家屋の外壁構造
【課題】例えば竪樋、エアコン用のホース、電線などの種々の配管を外観性を損ねることなく配管作業やメンテナンス作業を効率よく行う。又室内への断熱性や遮音性などの悪影響を抑える。
【解決手段】外壁1を、外装パネル7を用いた外壁部3と、内装パネル21を用いた内壁部4とで形成する。外壁部3と内壁部4との間に、外装パネル7の内部スペースH4、隣り合う外装パネル7、7間の外装パネル間スペースH1、又は外装パネル7と内装パネル21との間の内外装パネル間スペースH3から選択されるスペースHを通って上下にのびる縦配管部30xを少なくとも含む配管路31が設けられる。前記配管路31は、スペースH内に固定される誘導管32と、この誘導管32内を通る可撓性かつシームレス状の内管33とからなる2重管構造をなす。
【解決手段】外壁1を、外装パネル7を用いた外壁部3と、内装パネル21を用いた内壁部4とで形成する。外壁部3と内壁部4との間に、外装パネル7の内部スペースH4、隣り合う外装パネル7、7間の外装パネル間スペースH1、又は外装パネル7と内装パネル21との間の内外装パネル間スペースH3から選択されるスペースHを通って上下にのびる縦配管部30xを少なくとも含む配管路31が設けられる。前記配管路31は、スペースH内に固定される誘導管32と、この誘導管32内を通る可撓性かつシームレス状の内管33とからなる2重管構造をなす。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、架構体に、外壁面を有する外壁部とその屋内側に配される内壁部とからなる外壁を形成する家屋の外壁構造であって、詳しくは、前記外壁内に誘導管を取付けるとともに、この誘導管内に、例えばエアコン用のホース、電線、雨樋などである内管を通すことにより、配管を見栄え良くかつ配管作業やそのメンテナンス作業を効率よく行いうる家屋の外壁構造に関する。
【背景技術】
【0002】
家屋の外壁面には、例えばエアコン用のホース、雨樋などの各種のパイプ類が露出して取り付けられているため、家屋の外観性を損ねる。そこで下記の特許文献1などには、外壁内に竪樋の一部を先に配設して竪樋を目隠しすることが提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平11−141075号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、外壁内に竪樋を配設する場合、この竪樋によって室内への断熱性や遮音性などの問題を招く。又竪樋に劣化や損傷が生じた際の修理や交換などのメンテナンスにおいて、外壁の一部を取り外す必要が生じるなど作業が大掛かりとなってメンテナンス作業性を損ねるという問題も招く。
【0005】
又例えばエアコン用のホース、電線などの他の配管においても、外観性向上のために目隠しすることが望まれる。しかし、これらエアコン用のホース、電線などの他の配管は、外壁施工後、通常は内装工事後においてその配管作業が行われるため、前述の外壁内に配管する工法を採用することは難しい。
【0006】
そこで本発明は、外壁部と内壁部とに分割した外壁内のスペースを利用して、前記内壁部をなす内装パネルの取付前に前記スペース内に誘導管を予め施工しておき、その後、この誘導管内にシームレス状の可撓性内管を通すことを基本として、外壁施工後において、例えば竪樋、エアコン用のホース、電線などの種々の配管を内管として外壁内の前記スペースに通すことが可能となり、外観性を損ねることなく配管作業やメンテナンス作業を効率よく行いうるとともに、室内への断熱性や遮音性などの悪影響を抑えうる家屋の外壁構造を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するために、本願請求項1の発明は、複数の柱と、この柱間を継ぐ梁材とからなる架構体に、外壁面を有する外壁部とその屋内側に配される内壁部とからなる外壁を形成する家屋の外壁構造であって、
前記外壁部は、前記柱の外面よりも屋外側に配されかつ前記架構体に支持される外装パネルを含んで形成され、
かつ前記内壁部は、前記柱間に配される下枠部を有しかつ前記架構体に前記外装パネルとは独立して支持されるとともに前記下枠部内に断熱材を配した内装パネルから形成されるとともに、
前記外壁部3と内壁部4との間には、前記外装パネルの内部スペース、隣り合う外装パネル間の外装パネル間スペース、又は外装パネルと内装パネルとの間の内外装パネル間スペースから選択されるスペースを通って上下にのびる縦配管部を少なくとも含む配管路が設けられる一方、
前記配管路は、前記内装パネルの架構体への取付前に前記スペース内に固定される誘導管と、この誘導管の一端部から挿入されて該誘導管内を通る可撓性の内管とからなる2重管構造をなし、しかも該内管は、少なくとも前記誘導管内を通る範囲において継ぎ目のないシームレス状をなすことを特徴としている。
【0008】
又請求項2の発明では、前記外装パネル間スペースは、外壁の入隅部、又は出隅部に形成されることを特徴と
【0009】
又請求項3の発明では、前記内外装パネル間スペースは、外壁面を屋外側に突出させた外壁部のふかし部分に形成されることを特徴と
【0010】
又請求項4の発明では、前記梁材の屋外側に、外壁面の一部をなす幕板が配されるとともに、前記配管路は、前記幕板と前記梁材との間を通って該梁材に沿って伸びる横配管部を具え、該横配管部の誘導管は、エルボ継ぎ手を介して前記縦配管部の誘導管に連結されることを特徴としている。
【発明の効果】
【0011】
本発明は叙上の如く、外壁を、外壁部と内壁部とに分割する一方、この外壁部と内壁部との間のスペースに、縦配管部を収納している。そして、この縦配管部を含む配管路は、内壁部の施工前に前記スペース内に固定される誘導管と、この誘導管内を通るシームレス状の可撓性の内管とから形成される。
【0012】
このように配管路が、外壁内を通ることで目隠しされるため、外観性の低下を防止できる。又誘導管を、内壁部の施工前に事前に配置しているため、内壁部の施工後においても、例えば竪樋、エアコン用のホース、電線などの種々の配管を内管として前記誘導管を介して外壁内に配管することができる。このとき、前記内管は、可撓性を有するシームレス状をなすため、誘導管が非直線状をなす場合にも、誘導管内で引っ掛かることなく円滑に挿入することができ、配管作業を効率よく行いうる。又メンテナンスに際しても、前記内管を誘導管の一端から出し入れすることで容易に対応しうるため、メンテナンス作業も効率よく行いうる。
【0013】
又前記配管路は、断熱材を内蔵する内装パネルよりも屋外側に配される。そのため、前記断熱材による断熱効果及び遮音効果により、前記配管路に起因する室内への断熱性や遮音性の悪影響を抑えることが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】本発明の家屋の外壁構造の一実施例を概念的に示す横断面図である。
【図2】内装パネル体の一実施例を示す斜視図である。
【図3】内装パネル及び外装パネルの取り付き状態を示す縦断面図である。
【図4】出隅部における内装パネル及び外装パネルの取り付き状態を示す横断面図である。
【図5】外装パネル体の一実施例を示す斜視図である。
【図6】入隅部における内装パネル及び外装パネルの取り付き状態を示す横断面図である。
【図7】ふかし部分における内装パネル及び外装パネルの取り付き状態を示す縦断面図である。
【図8】配管用の外装パネルの一実施例を示す斜視図である。
【図9】配管路が雨樋用の配管路をなす場合の側面図である。
【図10】(A)は配管受け具の一実施例を示す平面図、(B)その他の実施例を示す斜視図である。
【図11】配管路が電線用の配管路をなす場合の側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明の実施の形態について、詳細に説明する。
図1は、本発明の家屋の外壁構造の一実施例を概念的に示す横断面図であって、家屋の架構体2に、外壁面Soを有する外壁部3と、その屋内側に配される内壁部4とからなる外壁1が形成される。
【0016】
前記架構体2は、外壁1の入隅部Piおよび出隅部Poの各位置で立設するコーナ柱5Aを含む複数の柱5と、柱5同士を水平に継ぐ梁材6(図3、11に示す。)とからなる周知構造をなす。なお本例では、前記柱5が角管からなり、かつ梁材6が、垂直なウエブ6aの上下にフランジ6b、6bを設けたI型鋼からなる場合を例示しているが、柱5、梁材6を木質材で形成することもできる。
【0017】
次に、前記内壁部4は、前記柱5、5間に配される下枠部20を有する内装パネル21から形成される。この内装パネル21は、図2に示すように、上下の横枠材20a、20bの両側端間を縦枠材20c、20cで連結した矩形枠組み状の下枠部20と、この下枠部20に屋内側で添設される内装下地板22とを具える。又下枠部20の内部には、例えばグラスウールなどからなる断熱材23が充填されるとともに、この断熱材23は、前記下枠部20に屋外側で取り付く押え板24によって抜け止めされる。なお前記内装パネル21は、一方の側縁側に、内装下地板22の側縁が下枠部20の側縁よりも小距離突出する突出部22Aを有するとともに、他方の側縁側には、内装下地板22の側縁が下枠部20の側縁よりも同距離だけ控える控え部22Bを有する。
【0018】
このような内装パネル21は、図3に示すように、本例ではその下端部が、床パネル18上に載置、保持されるとともに、その上端部は、前記梁材6に内装パネル取付金具25を介して固定される。又幅方向に隣り合う内装パネル21、21同士は、図4に示すように、下枠部20、20同士を互いに突き合わせ、かつ一方の内装パネル21の前記突出部22Aを、他方の内装パネル21の控え部22Bに重ね合わせることにより連結される。
【0019】
次に、前記外壁部3は、前記柱5の外面よりも屋外側に配される複数の外装パネル7と、前記出隅部Poに配される略L字状の出隅用外装板11とを含んで形成される。前記外装パネル7は、図5に示すように、上下の横枠材8a、8bの両側端間を縦枠材8c、8cで連結した矩形枠組み状の下枠部8と、この下枠部8の屋外側に木質の矩形枠状の下地枠9を介して添設される外装板10とを具える。本例では、前記横枠材8a、8b、及び縦枠材8cは、それぞれウエブ片12aの両側縁に、フランジ片12b、12bを設けた断面コ字状の溝形鋼からなり、各溝部を向かい合わせて連結される。なお外装板10は、その外面が前記外壁面Soを構成する。
【0020】
このような外装パネル7は、一階部分においては、前記図3に示すように、その上端部が、前記梁材6に略L字状の外装パネル取付金具13を介して固定され、又下端側部においては、基礎Fに略L字状の外装パネル取付金具14を介して固定される。又二階部分等の階上部分においては、外装パネル7の上端部及び下端側部が、それぞれ階上/階下の各梁材6に、前記外装パネル取付金具13、14と略同様の外装パネル取付金具15を介して固定される。又図4に示すように、幅方向に隣り合う外装パネル7、7同士は、互いに向き合う下枠部8のウエブ片12a、12a間をボルト固定することにより互いに連結される。
【0021】
又前記出隅部Poで略直角に隣り合う外装パネル7、7同士は、そのウエブ片12a、12a間を、前記コーナ柱5Aを避けて略W字状に折れ曲がる外装パネル取付金具16を介してボルト固定することにより連結される。又前記出隅用外装板11は、一方の外装パネル7の外装板10に整一する外装板部11Aと、他方の外装パネル7の外装板10に整一する外装板部11Bとを接続したL字状をなし、前記一方,他方の外装パネル7の下地枠9、9間に跨って該下地枠9に固定される。なお出隅部Poで隣り合う一方,他方の外装パネル7の各側端部は、前記コーナ柱5Aの略幅中心線i上で終端し、従って、この出隅部Poで隣り合う外装パネル7、7間には、外壁面Soをなす出隅用外装板11よりも屋内側かつ内装パネル21からなる内壁部4よりも屋外側の位置に、本例では、外壁部3の上端から下端まで連続してのびる広い外装パネル間スペースH1が形成される。
【0022】
又図6に示すように、前記入隅部Piで略直角に隣り合う外装パネル7、7同士は、そのウエブ片12a、12a間を、略L字状の外装パネル取付金具17を介してボルト固定することにより連結される。このとき、一方,他方の外装パネル7の外装板10が近接することにより、この入隅部Piで隣り合う外装パネル7、7間にも、外壁面Soをなす外装板10よりも屋内側かつ内装パネル21からなる内壁部4よりも屋外側の位置に、外壁部3の上端から下端まで連続してのびる広い外装パネル間スペースH2が形成される。
【0023】
又本実施形態の外壁1には、図1に示すように、外壁1の意匠性、及び/又は敷地対応のために、外壁面Soの一部を屋外側に突出量xで突出させた外壁部3のふかし部分Qが形成されている。本例では、前記ふかし部分Qが出隅部Poに隣接して形成される場合が例示されるが、例えば出隅部Po、Po間の中間位置など、自在な位置に形成することができる。
【0024】
該ふかし部分Qでは、図7に示すように、前記外装パネル7と略同構成のふかし用の外装パネル7Aを、前記外装パネル取付金具13、14、15に比して梁材6からの突出量が大な外装パネル取付金具13q、14q、15qを用いて梁材6等に固定することにより形成される。なお、前記ふかし用の外装パネル7Aの両側端は、前記出隅用外装板11と略同様のL字状外装板11qによって閉止される。なお、前記ふかし部分Qの屋外側への突出量x、及び横幅wは、特に規制されないが、意匠性向上の場合、通常、前記突出量xは150mm程度、横幅wは900mm程度である。従って、前記ふかし用の外装パネル7Aと内装パネル21との間には、外壁部3の上端から下端までの間を連続してのびるとともに、前記外装パネル間スペースH1、H2よりも十分に広い内外装パネル間スペースH3が形成される。
【0025】
又前記外装パネル7には、横幅が例えば150mm程度と幅狭の配管用の外装パネル7Bを含めることができる。この配管用の外装パネル7Bは、図8に示すように、他の外装パネル7、7Aと同様、矩形枠組み状の下枠部8と、この下枠部8の屋外側に木質の矩形枠状の下地枠9を介して添設される外装板10とを具えて構成されるが、下枠部8の上端面、下端面にそれぞれ開口部26が形成される点で、他の外装パネル7、7Aと相違する。具体的には、配管用の外装パネル7Bの下枠部8は、本例では、左右の縦枠材8c、8cの向き合うフランジ片12b、12b間が、平板状の上下の横枠材8dによって連結される。これにより、前記下枠部8の上端面、下端面を開口させている。従って、この配管用の外装パネル7Bには、前記開口部26を通って上下に連続してのびる内部スペースH4を形成することができる。なお配管用の外装パネル7Bは、幅狭であることにより、前記開口部26に起因する剛性低下を抑え、必要な剛性強度を確保しうる。
【0026】
次に、前記外壁部3と内壁部4との間には、図1に示すように、前記外装パネル間スペースH1、H2、内外装パネル間スペースH3、及び内部スペースH4から選択されるスペースHを通って上下にのびる縦配管部30を少なくとも含む配管路31が配される。そして、前記配管路31は、前記内装パネル21の架構体2への取付前に前記スペースH内に固定される誘導管32と、この誘導管32の一端部から挿入されて該誘導管32内を通る屈曲自在な可撓性の内管33とからなる2重管構造をなす。
【0027】
本例では、図1において、
・左上出隅部Po1の外装パネル間スペースH1Aを通る縦配管部30Axを有する配管路31A、
・左下出隅部Po2の外装パネル間スペースH1Bを通る縦配管部30Bxを有する配管路31B、
・右下出隅部Po3の外装パネル間スペースH1Cを通る縦配管部30Cxを有する配管路31C、
・左下入隅部Pi1の外装パネル間スペースH2Dを通る縦配管部30Dxを有する配管路31D、
・右中央側の内部スペースH4Eを通る縦配管部30Exを有する配管路31E、及び
・右上ふかし部分Qの内外装パネル間スペースH3Fを通る縦配管部30F1x、30F2x、30F3xを有する配管路31F1、31F2、31F3が配される場合が例示される。
【0028】
このうち本例では、配管路31A、31B、31F3は、それぞれ雨樋用の配管路として形成される。具体的には、図1,9に略示するように、屋根軒先部には、軒先縁に沿ってのびる胴部35aと、この胴部35aから例えば集水器(図示しない)等をへて屋内に向かってのびる引き込み管部35bとを具える軒樋35が、それぞれ配される。そして、各前記引き込み管部35bの下端に、前記内管33の上端部が連結される。
【0029】
他方、前記外壁部3と内壁部4との間には、前記外装パネル間スペースH1A、H1B、及び即ち内外装パネル間スペースH3Fを通って、上下にのびる縦の誘導管部32xを有する誘導管32が配される。この誘導管32の上端部は、図9の如く、前記外装板10、11、11qなどに設ける屋外導入口36に接続される。又前記誘導管32の下端部は、本例では、外壁部3の下端近傍の高さ位置で終端している場合が例示されているが、外壁部3の下端を越えて、地上の下水管入り口37まで延在させることもできる。
【0030】
ここで、前記誘導管32は、図10(A)に示すように、先に取り付けられる前記外装パネル7、7A、7Bの下枠部8、及び/又は前記外装パネル取付金具13、14、15、13q、14q、15q、梁材6等である支持部材41に、配管受け具40を介して固定される。前記配管受け具40は、誘導管32の周囲を囲む環状受け部40aと、この環状受け部40aから半径方向に突出しかつその突出端が前記支持部材41等にナット止めされるアーム部40bとを具える。又本例の如く、ふかし部分Qの内外装パネル間スペースH3Fのように、1つのスペース内に、例えば2本、3本等の複数本の誘導管32を配することができ、係る場合には、図10(B)に示すように、一つの台板47に複数の配管受け具40を並設させたものを予め用意し、これを使用することができる。
【0031】
又前記引き込み管部35bに接続される内管33は、前記屋外導入口36から挿入されて誘導管32内を通るとともに、その下端部は、例えば前記下水管入り口37に接続される。なお前記内管33は、少なくとも誘導管32内を通る範囲において継ぎ目のないシームレス状をなすことが必要であり、前記可撓性を有すること、及びシームレス状をなすことにより、前記誘導管32が非直線状をなす場合にも、誘導管32内で引っ掛かることなく、内管33を円滑に配管することができる。
【0032】
次に、本例では、前記配管路31E,31F1、31F2は、エアコンの冷却媒体循環ホース及びドレインホースであるエアコン用の配管路として形成される。具体的には、図7に示すように、前記内外装パネル間スペースH3F、及び内部スペースH4Eを通って上下にのびる縦の誘導管部32xを有する誘導管32を、前記外壁部3と内壁部4との間に取り付ける。なお図7は、前記内外装パネル間スペースH3Fの場合が示されている。この縦の誘導管部32xは、前記雨樋用の配管路31F1、31F2、31F3の場合と同様、配管受け具40を介して、前記下枠部8などの支持部材41に固定することができる。なお誘導管32の上端は、前記内装パネル21に設ける室内導入口42に接続されるとともに、前記誘導管32の下端部は、外壁部3の下端近傍の高さ位置で終端している。
【0033】
そして、室内にエアコン43を設置した時、このエアコン43からのびるエアコン用ホースである内管33を、前記室内導入口42から挿入する。これにより前記内管33を、誘導管32を通って下方に案内できかつ内管33の下端部を誘導管32の下端から引き出すことができる。又引き出された内管33の下端部は屋外に設置の各室外機50に接続される。
【0034】
このように、外壁1内に誘導管32を事前に設置することで、エアコン取付など、内装部4施行後の後工事に対しても、内管33を外壁1内に円滑に配置することが可能となり、配管作業及びそのメンテナンス作業を能率良く行うことができる。
【0035】
次に、本例では、前記配管路31Dは、電線用の配管路として形成される。具体的には、配管路31Dは、図11に示すように、該梁材6に沿って横向きに伸びる横配管部30Dyと、前記入隅部Pi1の外装パネル間スペースH2Dを通る縦配管部30Dxとを具える。なお一階及び2階の各天井裏空間Kには、前記梁材6の屋外側に、外壁面Soの一部をなす幕板45(図3に示す)が添設されており、前記横配管部30Dyは、前記幕板45と梁材6との間の横スペースHyを通って配管される。より詳しくは、前記横配管部30Dyの誘導管部32yは、下枠部8等である支持部材41に固定される前記配管受け具40を介して、該梁材6に沿って取り付けられる。又前記誘導管部32yの一端部は、エルボ継ぎ手46を介して屋内側に折れ曲がり、本例では、前記梁材6の例えばウエブ6aに設ける孔部6Hを通って、天井裏空間K内にて開口している。又前記誘導管部32yの他端部は、エルボ継ぎ手46を介して、前記外装パネル間スペースH2Dをのびる縦配管部30Dxの誘導管部32xに連結される。そして、例えば室内の分電盤から引き込み線側にのびる電線である内管33は、前記天井裏空間Kにて前記誘導管部32yに挿入され、誘導管部32y、32xをへて、屋外のメータに接続される。
【0036】
以上、本発明の特に好ましい実施形態について詳述したが、前記配管路31は、雨樋、エアコン用の冷却媒体循環ホース、ドレインホース、電線の他、水道用ホース(水道管)、ガス用ホース(ガス管)などの種々の配管のために使用することができる。又誘導管32として、本例では丸管の場合が例示されているが、角管を使用することもでき、又その太さ、及び内管33の太さ等は、用途に応じて適宜設定することができるなど、本発明は図示の実施形態に限定されることなく、種々の態様に変形して実施しうる。
【符号の説明】
【0037】
1 外壁
2 架構体
3 外壁部
4 内壁部
5 柱
6 梁材
7 外装パネル
20 下枠部
21 内装パネル
23 断熱材
30x 縦配管部
30y 横配管部
31 配管路
32 誘導管
33 内管
45 幕板
46 エルボ継ぎ手
H スペース
H1、H2 外装パネル間スペース
H3 内外装パネル間スペース
H4 内部スペース
Pi 入隅部
Po 出隅部
Q ふかし部分
So 外壁面
【技術分野】
【0001】
本発明は、架構体に、外壁面を有する外壁部とその屋内側に配される内壁部とからなる外壁を形成する家屋の外壁構造であって、詳しくは、前記外壁内に誘導管を取付けるとともに、この誘導管内に、例えばエアコン用のホース、電線、雨樋などである内管を通すことにより、配管を見栄え良くかつ配管作業やそのメンテナンス作業を効率よく行いうる家屋の外壁構造に関する。
【背景技術】
【0002】
家屋の外壁面には、例えばエアコン用のホース、雨樋などの各種のパイプ類が露出して取り付けられているため、家屋の外観性を損ねる。そこで下記の特許文献1などには、外壁内に竪樋の一部を先に配設して竪樋を目隠しすることが提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平11−141075号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、外壁内に竪樋を配設する場合、この竪樋によって室内への断熱性や遮音性などの問題を招く。又竪樋に劣化や損傷が生じた際の修理や交換などのメンテナンスにおいて、外壁の一部を取り外す必要が生じるなど作業が大掛かりとなってメンテナンス作業性を損ねるという問題も招く。
【0005】
又例えばエアコン用のホース、電線などの他の配管においても、外観性向上のために目隠しすることが望まれる。しかし、これらエアコン用のホース、電線などの他の配管は、外壁施工後、通常は内装工事後においてその配管作業が行われるため、前述の外壁内に配管する工法を採用することは難しい。
【0006】
そこで本発明は、外壁部と内壁部とに分割した外壁内のスペースを利用して、前記内壁部をなす内装パネルの取付前に前記スペース内に誘導管を予め施工しておき、その後、この誘導管内にシームレス状の可撓性内管を通すことを基本として、外壁施工後において、例えば竪樋、エアコン用のホース、電線などの種々の配管を内管として外壁内の前記スペースに通すことが可能となり、外観性を損ねることなく配管作業やメンテナンス作業を効率よく行いうるとともに、室内への断熱性や遮音性などの悪影響を抑えうる家屋の外壁構造を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するために、本願請求項1の発明は、複数の柱と、この柱間を継ぐ梁材とからなる架構体に、外壁面を有する外壁部とその屋内側に配される内壁部とからなる外壁を形成する家屋の外壁構造であって、
前記外壁部は、前記柱の外面よりも屋外側に配されかつ前記架構体に支持される外装パネルを含んで形成され、
かつ前記内壁部は、前記柱間に配される下枠部を有しかつ前記架構体に前記外装パネルとは独立して支持されるとともに前記下枠部内に断熱材を配した内装パネルから形成されるとともに、
前記外壁部3と内壁部4との間には、前記外装パネルの内部スペース、隣り合う外装パネル間の外装パネル間スペース、又は外装パネルと内装パネルとの間の内外装パネル間スペースから選択されるスペースを通って上下にのびる縦配管部を少なくとも含む配管路が設けられる一方、
前記配管路は、前記内装パネルの架構体への取付前に前記スペース内に固定される誘導管と、この誘導管の一端部から挿入されて該誘導管内を通る可撓性の内管とからなる2重管構造をなし、しかも該内管は、少なくとも前記誘導管内を通る範囲において継ぎ目のないシームレス状をなすことを特徴としている。
【0008】
又請求項2の発明では、前記外装パネル間スペースは、外壁の入隅部、又は出隅部に形成されることを特徴と
【0009】
又請求項3の発明では、前記内外装パネル間スペースは、外壁面を屋外側に突出させた外壁部のふかし部分に形成されることを特徴と
【0010】
又請求項4の発明では、前記梁材の屋外側に、外壁面の一部をなす幕板が配されるとともに、前記配管路は、前記幕板と前記梁材との間を通って該梁材に沿って伸びる横配管部を具え、該横配管部の誘導管は、エルボ継ぎ手を介して前記縦配管部の誘導管に連結されることを特徴としている。
【発明の効果】
【0011】
本発明は叙上の如く、外壁を、外壁部と内壁部とに分割する一方、この外壁部と内壁部との間のスペースに、縦配管部を収納している。そして、この縦配管部を含む配管路は、内壁部の施工前に前記スペース内に固定される誘導管と、この誘導管内を通るシームレス状の可撓性の内管とから形成される。
【0012】
このように配管路が、外壁内を通ることで目隠しされるため、外観性の低下を防止できる。又誘導管を、内壁部の施工前に事前に配置しているため、内壁部の施工後においても、例えば竪樋、エアコン用のホース、電線などの種々の配管を内管として前記誘導管を介して外壁内に配管することができる。このとき、前記内管は、可撓性を有するシームレス状をなすため、誘導管が非直線状をなす場合にも、誘導管内で引っ掛かることなく円滑に挿入することができ、配管作業を効率よく行いうる。又メンテナンスに際しても、前記内管を誘導管の一端から出し入れすることで容易に対応しうるため、メンテナンス作業も効率よく行いうる。
【0013】
又前記配管路は、断熱材を内蔵する内装パネルよりも屋外側に配される。そのため、前記断熱材による断熱効果及び遮音効果により、前記配管路に起因する室内への断熱性や遮音性の悪影響を抑えることが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】本発明の家屋の外壁構造の一実施例を概念的に示す横断面図である。
【図2】内装パネル体の一実施例を示す斜視図である。
【図3】内装パネル及び外装パネルの取り付き状態を示す縦断面図である。
【図4】出隅部における内装パネル及び外装パネルの取り付き状態を示す横断面図である。
【図5】外装パネル体の一実施例を示す斜視図である。
【図6】入隅部における内装パネル及び外装パネルの取り付き状態を示す横断面図である。
【図7】ふかし部分における内装パネル及び外装パネルの取り付き状態を示す縦断面図である。
【図8】配管用の外装パネルの一実施例を示す斜視図である。
【図9】配管路が雨樋用の配管路をなす場合の側面図である。
【図10】(A)は配管受け具の一実施例を示す平面図、(B)その他の実施例を示す斜視図である。
【図11】配管路が電線用の配管路をなす場合の側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明の実施の形態について、詳細に説明する。
図1は、本発明の家屋の外壁構造の一実施例を概念的に示す横断面図であって、家屋の架構体2に、外壁面Soを有する外壁部3と、その屋内側に配される内壁部4とからなる外壁1が形成される。
【0016】
前記架構体2は、外壁1の入隅部Piおよび出隅部Poの各位置で立設するコーナ柱5Aを含む複数の柱5と、柱5同士を水平に継ぐ梁材6(図3、11に示す。)とからなる周知構造をなす。なお本例では、前記柱5が角管からなり、かつ梁材6が、垂直なウエブ6aの上下にフランジ6b、6bを設けたI型鋼からなる場合を例示しているが、柱5、梁材6を木質材で形成することもできる。
【0017】
次に、前記内壁部4は、前記柱5、5間に配される下枠部20を有する内装パネル21から形成される。この内装パネル21は、図2に示すように、上下の横枠材20a、20bの両側端間を縦枠材20c、20cで連結した矩形枠組み状の下枠部20と、この下枠部20に屋内側で添設される内装下地板22とを具える。又下枠部20の内部には、例えばグラスウールなどからなる断熱材23が充填されるとともに、この断熱材23は、前記下枠部20に屋外側で取り付く押え板24によって抜け止めされる。なお前記内装パネル21は、一方の側縁側に、内装下地板22の側縁が下枠部20の側縁よりも小距離突出する突出部22Aを有するとともに、他方の側縁側には、内装下地板22の側縁が下枠部20の側縁よりも同距離だけ控える控え部22Bを有する。
【0018】
このような内装パネル21は、図3に示すように、本例ではその下端部が、床パネル18上に載置、保持されるとともに、その上端部は、前記梁材6に内装パネル取付金具25を介して固定される。又幅方向に隣り合う内装パネル21、21同士は、図4に示すように、下枠部20、20同士を互いに突き合わせ、かつ一方の内装パネル21の前記突出部22Aを、他方の内装パネル21の控え部22Bに重ね合わせることにより連結される。
【0019】
次に、前記外壁部3は、前記柱5の外面よりも屋外側に配される複数の外装パネル7と、前記出隅部Poに配される略L字状の出隅用外装板11とを含んで形成される。前記外装パネル7は、図5に示すように、上下の横枠材8a、8bの両側端間を縦枠材8c、8cで連結した矩形枠組み状の下枠部8と、この下枠部8の屋外側に木質の矩形枠状の下地枠9を介して添設される外装板10とを具える。本例では、前記横枠材8a、8b、及び縦枠材8cは、それぞれウエブ片12aの両側縁に、フランジ片12b、12bを設けた断面コ字状の溝形鋼からなり、各溝部を向かい合わせて連結される。なお外装板10は、その外面が前記外壁面Soを構成する。
【0020】
このような外装パネル7は、一階部分においては、前記図3に示すように、その上端部が、前記梁材6に略L字状の外装パネル取付金具13を介して固定され、又下端側部においては、基礎Fに略L字状の外装パネル取付金具14を介して固定される。又二階部分等の階上部分においては、外装パネル7の上端部及び下端側部が、それぞれ階上/階下の各梁材6に、前記外装パネル取付金具13、14と略同様の外装パネル取付金具15を介して固定される。又図4に示すように、幅方向に隣り合う外装パネル7、7同士は、互いに向き合う下枠部8のウエブ片12a、12a間をボルト固定することにより互いに連結される。
【0021】
又前記出隅部Poで略直角に隣り合う外装パネル7、7同士は、そのウエブ片12a、12a間を、前記コーナ柱5Aを避けて略W字状に折れ曲がる外装パネル取付金具16を介してボルト固定することにより連結される。又前記出隅用外装板11は、一方の外装パネル7の外装板10に整一する外装板部11Aと、他方の外装パネル7の外装板10に整一する外装板部11Bとを接続したL字状をなし、前記一方,他方の外装パネル7の下地枠9、9間に跨って該下地枠9に固定される。なお出隅部Poで隣り合う一方,他方の外装パネル7の各側端部は、前記コーナ柱5Aの略幅中心線i上で終端し、従って、この出隅部Poで隣り合う外装パネル7、7間には、外壁面Soをなす出隅用外装板11よりも屋内側かつ内装パネル21からなる内壁部4よりも屋外側の位置に、本例では、外壁部3の上端から下端まで連続してのびる広い外装パネル間スペースH1が形成される。
【0022】
又図6に示すように、前記入隅部Piで略直角に隣り合う外装パネル7、7同士は、そのウエブ片12a、12a間を、略L字状の外装パネル取付金具17を介してボルト固定することにより連結される。このとき、一方,他方の外装パネル7の外装板10が近接することにより、この入隅部Piで隣り合う外装パネル7、7間にも、外壁面Soをなす外装板10よりも屋内側かつ内装パネル21からなる内壁部4よりも屋外側の位置に、外壁部3の上端から下端まで連続してのびる広い外装パネル間スペースH2が形成される。
【0023】
又本実施形態の外壁1には、図1に示すように、外壁1の意匠性、及び/又は敷地対応のために、外壁面Soの一部を屋外側に突出量xで突出させた外壁部3のふかし部分Qが形成されている。本例では、前記ふかし部分Qが出隅部Poに隣接して形成される場合が例示されるが、例えば出隅部Po、Po間の中間位置など、自在な位置に形成することができる。
【0024】
該ふかし部分Qでは、図7に示すように、前記外装パネル7と略同構成のふかし用の外装パネル7Aを、前記外装パネル取付金具13、14、15に比して梁材6からの突出量が大な外装パネル取付金具13q、14q、15qを用いて梁材6等に固定することにより形成される。なお、前記ふかし用の外装パネル7Aの両側端は、前記出隅用外装板11と略同様のL字状外装板11qによって閉止される。なお、前記ふかし部分Qの屋外側への突出量x、及び横幅wは、特に規制されないが、意匠性向上の場合、通常、前記突出量xは150mm程度、横幅wは900mm程度である。従って、前記ふかし用の外装パネル7Aと内装パネル21との間には、外壁部3の上端から下端までの間を連続してのびるとともに、前記外装パネル間スペースH1、H2よりも十分に広い内外装パネル間スペースH3が形成される。
【0025】
又前記外装パネル7には、横幅が例えば150mm程度と幅狭の配管用の外装パネル7Bを含めることができる。この配管用の外装パネル7Bは、図8に示すように、他の外装パネル7、7Aと同様、矩形枠組み状の下枠部8と、この下枠部8の屋外側に木質の矩形枠状の下地枠9を介して添設される外装板10とを具えて構成されるが、下枠部8の上端面、下端面にそれぞれ開口部26が形成される点で、他の外装パネル7、7Aと相違する。具体的には、配管用の外装パネル7Bの下枠部8は、本例では、左右の縦枠材8c、8cの向き合うフランジ片12b、12b間が、平板状の上下の横枠材8dによって連結される。これにより、前記下枠部8の上端面、下端面を開口させている。従って、この配管用の外装パネル7Bには、前記開口部26を通って上下に連続してのびる内部スペースH4を形成することができる。なお配管用の外装パネル7Bは、幅狭であることにより、前記開口部26に起因する剛性低下を抑え、必要な剛性強度を確保しうる。
【0026】
次に、前記外壁部3と内壁部4との間には、図1に示すように、前記外装パネル間スペースH1、H2、内外装パネル間スペースH3、及び内部スペースH4から選択されるスペースHを通って上下にのびる縦配管部30を少なくとも含む配管路31が配される。そして、前記配管路31は、前記内装パネル21の架構体2への取付前に前記スペースH内に固定される誘導管32と、この誘導管32の一端部から挿入されて該誘導管32内を通る屈曲自在な可撓性の内管33とからなる2重管構造をなす。
【0027】
本例では、図1において、
・左上出隅部Po1の外装パネル間スペースH1Aを通る縦配管部30Axを有する配管路31A、
・左下出隅部Po2の外装パネル間スペースH1Bを通る縦配管部30Bxを有する配管路31B、
・右下出隅部Po3の外装パネル間スペースH1Cを通る縦配管部30Cxを有する配管路31C、
・左下入隅部Pi1の外装パネル間スペースH2Dを通る縦配管部30Dxを有する配管路31D、
・右中央側の内部スペースH4Eを通る縦配管部30Exを有する配管路31E、及び
・右上ふかし部分Qの内外装パネル間スペースH3Fを通る縦配管部30F1x、30F2x、30F3xを有する配管路31F1、31F2、31F3が配される場合が例示される。
【0028】
このうち本例では、配管路31A、31B、31F3は、それぞれ雨樋用の配管路として形成される。具体的には、図1,9に略示するように、屋根軒先部には、軒先縁に沿ってのびる胴部35aと、この胴部35aから例えば集水器(図示しない)等をへて屋内に向かってのびる引き込み管部35bとを具える軒樋35が、それぞれ配される。そして、各前記引き込み管部35bの下端に、前記内管33の上端部が連結される。
【0029】
他方、前記外壁部3と内壁部4との間には、前記外装パネル間スペースH1A、H1B、及び即ち内外装パネル間スペースH3Fを通って、上下にのびる縦の誘導管部32xを有する誘導管32が配される。この誘導管32の上端部は、図9の如く、前記外装板10、11、11qなどに設ける屋外導入口36に接続される。又前記誘導管32の下端部は、本例では、外壁部3の下端近傍の高さ位置で終端している場合が例示されているが、外壁部3の下端を越えて、地上の下水管入り口37まで延在させることもできる。
【0030】
ここで、前記誘導管32は、図10(A)に示すように、先に取り付けられる前記外装パネル7、7A、7Bの下枠部8、及び/又は前記外装パネル取付金具13、14、15、13q、14q、15q、梁材6等である支持部材41に、配管受け具40を介して固定される。前記配管受け具40は、誘導管32の周囲を囲む環状受け部40aと、この環状受け部40aから半径方向に突出しかつその突出端が前記支持部材41等にナット止めされるアーム部40bとを具える。又本例の如く、ふかし部分Qの内外装パネル間スペースH3Fのように、1つのスペース内に、例えば2本、3本等の複数本の誘導管32を配することができ、係る場合には、図10(B)に示すように、一つの台板47に複数の配管受け具40を並設させたものを予め用意し、これを使用することができる。
【0031】
又前記引き込み管部35bに接続される内管33は、前記屋外導入口36から挿入されて誘導管32内を通るとともに、その下端部は、例えば前記下水管入り口37に接続される。なお前記内管33は、少なくとも誘導管32内を通る範囲において継ぎ目のないシームレス状をなすことが必要であり、前記可撓性を有すること、及びシームレス状をなすことにより、前記誘導管32が非直線状をなす場合にも、誘導管32内で引っ掛かることなく、内管33を円滑に配管することができる。
【0032】
次に、本例では、前記配管路31E,31F1、31F2は、エアコンの冷却媒体循環ホース及びドレインホースであるエアコン用の配管路として形成される。具体的には、図7に示すように、前記内外装パネル間スペースH3F、及び内部スペースH4Eを通って上下にのびる縦の誘導管部32xを有する誘導管32を、前記外壁部3と内壁部4との間に取り付ける。なお図7は、前記内外装パネル間スペースH3Fの場合が示されている。この縦の誘導管部32xは、前記雨樋用の配管路31F1、31F2、31F3の場合と同様、配管受け具40を介して、前記下枠部8などの支持部材41に固定することができる。なお誘導管32の上端は、前記内装パネル21に設ける室内導入口42に接続されるとともに、前記誘導管32の下端部は、外壁部3の下端近傍の高さ位置で終端している。
【0033】
そして、室内にエアコン43を設置した時、このエアコン43からのびるエアコン用ホースである内管33を、前記室内導入口42から挿入する。これにより前記内管33を、誘導管32を通って下方に案内できかつ内管33の下端部を誘導管32の下端から引き出すことができる。又引き出された内管33の下端部は屋外に設置の各室外機50に接続される。
【0034】
このように、外壁1内に誘導管32を事前に設置することで、エアコン取付など、内装部4施行後の後工事に対しても、内管33を外壁1内に円滑に配置することが可能となり、配管作業及びそのメンテナンス作業を能率良く行うことができる。
【0035】
次に、本例では、前記配管路31Dは、電線用の配管路として形成される。具体的には、配管路31Dは、図11に示すように、該梁材6に沿って横向きに伸びる横配管部30Dyと、前記入隅部Pi1の外装パネル間スペースH2Dを通る縦配管部30Dxとを具える。なお一階及び2階の各天井裏空間Kには、前記梁材6の屋外側に、外壁面Soの一部をなす幕板45(図3に示す)が添設されており、前記横配管部30Dyは、前記幕板45と梁材6との間の横スペースHyを通って配管される。より詳しくは、前記横配管部30Dyの誘導管部32yは、下枠部8等である支持部材41に固定される前記配管受け具40を介して、該梁材6に沿って取り付けられる。又前記誘導管部32yの一端部は、エルボ継ぎ手46を介して屋内側に折れ曲がり、本例では、前記梁材6の例えばウエブ6aに設ける孔部6Hを通って、天井裏空間K内にて開口している。又前記誘導管部32yの他端部は、エルボ継ぎ手46を介して、前記外装パネル間スペースH2Dをのびる縦配管部30Dxの誘導管部32xに連結される。そして、例えば室内の分電盤から引き込み線側にのびる電線である内管33は、前記天井裏空間Kにて前記誘導管部32yに挿入され、誘導管部32y、32xをへて、屋外のメータに接続される。
【0036】
以上、本発明の特に好ましい実施形態について詳述したが、前記配管路31は、雨樋、エアコン用の冷却媒体循環ホース、ドレインホース、電線の他、水道用ホース(水道管)、ガス用ホース(ガス管)などの種々の配管のために使用することができる。又誘導管32として、本例では丸管の場合が例示されているが、角管を使用することもでき、又その太さ、及び内管33の太さ等は、用途に応じて適宜設定することができるなど、本発明は図示の実施形態に限定されることなく、種々の態様に変形して実施しうる。
【符号の説明】
【0037】
1 外壁
2 架構体
3 外壁部
4 内壁部
5 柱
6 梁材
7 外装パネル
20 下枠部
21 内装パネル
23 断熱材
30x 縦配管部
30y 横配管部
31 配管路
32 誘導管
33 内管
45 幕板
46 エルボ継ぎ手
H スペース
H1、H2 外装パネル間スペース
H3 内外装パネル間スペース
H4 内部スペース
Pi 入隅部
Po 出隅部
Q ふかし部分
So 外壁面
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の柱と、この柱間を継ぐ梁材とからなる架構体に、外壁面を有する外壁部とその屋内側に配される内壁部とからなる外壁を形成する家屋の外壁構造であって、
前記外壁部は、前記柱の外面よりも屋外側に配されかつ前記架構体に支持される外装パネルを含んで形成され、
かつ前記内壁部は、前記柱間に配される下枠部を有しかつ前記架構体に前記外装パネルとは独立して支持されるとともに前記下枠部内に断熱材を配した内装パネルから形成されるとともに、
前記外壁部と内壁部との間には、前記外装パネルの内部スペース、隣り合う外装パネル間の外装パネル間スペース、又は外装パネルと内装パネルとの間の内外装パネル間スペースから選択されるスペースを通って上下にのびる縦配管部を少なくとも含む配管路が設けられる一方、
前記配管路は、前記内装パネルの架構体への取付前に前記スペース内に固定される誘導管と、この誘導管の一端部から挿入されて該誘導管内を通る可撓性の内管とからなる2重管構造をなし、しかも該内管は、少なくとも前記誘導管内を通る範囲において継ぎ目のないシームレス状をなすことを特徴とする家屋の外壁構造。
【請求項2】
前記外装パネル間スペースは、外壁の入隅部、又は出隅部に形成されることを特徴とする請求項1記載の家屋の外壁構造。
【請求項3】
前記内外装パネル間スペースは、外壁面を屋外側に突出させた外壁部のふかし部分に形成されることを特徴とする請求項1記載の家屋の外壁構造。
【請求項4】
前記梁材の屋外側に、外壁面の一部をなす幕板が配されるとともに、前記配管路は、前記幕板と前記梁材との間を通って該梁材に沿って伸びる横配管部を具え、該横配管部の誘導管は、エルボ継ぎ手を介して前記縦配管部の誘導管に連結されることを特徴とする請求項1〜3の何れかに記載の家屋の外壁構造。
【請求項1】
複数の柱と、この柱間を継ぐ梁材とからなる架構体に、外壁面を有する外壁部とその屋内側に配される内壁部とからなる外壁を形成する家屋の外壁構造であって、
前記外壁部は、前記柱の外面よりも屋外側に配されかつ前記架構体に支持される外装パネルを含んで形成され、
かつ前記内壁部は、前記柱間に配される下枠部を有しかつ前記架構体に前記外装パネルとは独立して支持されるとともに前記下枠部内に断熱材を配した内装パネルから形成されるとともに、
前記外壁部と内壁部との間には、前記外装パネルの内部スペース、隣り合う外装パネル間の外装パネル間スペース、又は外装パネルと内装パネルとの間の内外装パネル間スペースから選択されるスペースを通って上下にのびる縦配管部を少なくとも含む配管路が設けられる一方、
前記配管路は、前記内装パネルの架構体への取付前に前記スペース内に固定される誘導管と、この誘導管の一端部から挿入されて該誘導管内を通る可撓性の内管とからなる2重管構造をなし、しかも該内管は、少なくとも前記誘導管内を通る範囲において継ぎ目のないシームレス状をなすことを特徴とする家屋の外壁構造。
【請求項2】
前記外装パネル間スペースは、外壁の入隅部、又は出隅部に形成されることを特徴とする請求項1記載の家屋の外壁構造。
【請求項3】
前記内外装パネル間スペースは、外壁面を屋外側に突出させた外壁部のふかし部分に形成されることを特徴とする請求項1記載の家屋の外壁構造。
【請求項4】
前記梁材の屋外側に、外壁面の一部をなす幕板が配されるとともに、前記配管路は、前記幕板と前記梁材との間を通って該梁材に沿って伸びる横配管部を具え、該横配管部の誘導管は、エルボ継ぎ手を介して前記縦配管部の誘導管に連結されることを特徴とする請求項1〜3の何れかに記載の家屋の外壁構造。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【公開番号】特開2010−275744(P2010−275744A)
【公開日】平成22年12月9日(2010.12.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−127984(P2009−127984)
【出願日】平成21年5月27日(2009.5.27)
【出願人】(000004673)パナホーム株式会社 (319)
【公開日】平成22年12月9日(2010.12.9)
【国際特許分類】
【出願日】平成21年5月27日(2009.5.27)
【出願人】(000004673)パナホーム株式会社 (319)
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