説明

家畜用給餌器

【課題】大小粒の不揃い度や滑りの良し悪しなど、飼料の如何に関わらず、ホッパ内にブリッジが発生するのを完全に防止すると共に、底皿ヘ送り出す餌送給量を適確に微調整する。
【解決手段】ブリッジ防止手段14は、飼料ガイド部21の内壁面21aに合わせて逆円錐台状をなし、吊り棒12を中心に貫挿して吊持する本体のブリッジ盤30と、外周縁に複数の切欠き31を周方向に間隔をあけて設け、ブリッジ盤の外周に鍔状に巻装した上方の第1調整リング35と、第1調整リングの切欠き位置とは周方向にずらして外周縁に複数の切欠き32を間隔をあけて設け、第1調整リングの下方でブリッジ盤の外周に巻装した第2調整リング40とを備え、上下調整リングの外周縁をそれぞれ飼料ガイド部の内壁面に近接させ、その内壁面との間に粒状飼料の粒径に合わせた僅かな間隙Dを開けてブリッジ盤を飼料ガイド部内に配設する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、仔豚等の家畜に飼料を与えるのに好適な家畜用給餌器に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、この種の家畜用給餌器は、大型の樹脂製ホッパにおいて、飼料が投入される円筒部の下側に、漸次下向きに縮径した上下逆円錐型の飼料ガイド部を設け、飼料供給時は、円筒部内に投入した飼料を、飼料ガイド部を通して底皿へ落下させて送給している。ところが、ホッパの下側を飼料ガイド部で漸次下向きに幅狭に形成するので、そのように重力で飼料を落下させるものにあっては、飼料ガイド部で飼料が詰まってブリッジ状になり易く、ホッパ下端の餌排出口から飼料が排出されない虞があった。
【0003】
そこで、従来の家畜用給餌器では、図8に示すように、ホッパ1内の上部側に支持棒2を横架し、支持棒2に吊り棒3の上端をクランク4を介して軸回転自在に連結する一方、吊り棒3は、T型の下端棒部3aを底皿5上の餌量調節パイプ1aの上部に連結して垂下すると共に、中途部から斜め上向きに丸棒3bを固着してホッパ1の飼料ガイド部1b内にブリッジ防止手段Aを枝状に配設し、例えば仔豚が食餌するときに鼻や口で触って起動部材6を押すと、吊り棒3が回転し、それと一体にブリッジ防止手段Aが回動することによってホッパ1内の中心周りで飼料を撹拌しながら、餌量調節パイプ1aを通して落下させて下端の餌排出口7から底皿5上へ送給するようにしている。
【0004】
一方で、この従来の家畜用給餌器は、支持棒2の一端軸部2aを軸受部材8でホッパ1に回転自在に軸支する一方、他端軸部2bをホッパ1の周壁を貫通させて餌量調節手段Sを連結し、餌量調節手段Sを操作して餌送給量を調節するときは、ハンドル9を持って支持棒2を回動して吊り棒3を上下移動させることにより、餌排出口7の開口量を調整して底皿5への餌送給量を微調節していた。
【特許文献1】登録実用新案第3019037号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、上述のような従来の家畜用給餌器では、飼料供給時、ホッパ1内において、ブリッジ防止手段Aによって飼料ガイド部1bの中心周りにある飼料だけをかき混ぜて落す構成であるため、確かに飼料ガイド部1bの中心付近にある飼料は、撹拌されて落下するが、特に使用する飼料が、例えば大小粒の不揃いな地場食用廃品を配合して発酵させた飼料で、湿り気のある滑りの悪い自家製配合飼料である場合には、図9に示すように、飼料ガイド部1bの内壁面1c寄りにある飼料は、内壁面1cに付着したまま滑り落ちず、依然としてブリッジ状に残留するため、結局、ブリッジの発生を確実には防止できない、という課題があった。
【0006】
他方、国内の家畜用給餌器では、最近、飼料として、家畜に対する栄養素など数々の点に配慮し、例えば図10に示すように、予め細かく砕いて配合した魚粉など顆粒状や粉状の餌aや、予め熱処理を施して粒度を揃えたペレット等の粒状の餌や、トウモトコシ等の大粒な餌bなど、大小粒の不揃いな各種飼料を配合し、反対に、いずれも乾燥した比較的滑りの良好な自家配合飼料も使用されている。
【0007】
上述した従来の家畜用給餌器では、飼料供給時、この大小粒の不揃いな滑りやすい飼料がホッパ1内に投入されると、これら飼料は、飼料ガイド部1bを滑るように流れ落ちて餌量調節パイプ1aを勢い良く落下し、その結果、餌排出口7から底皿5へ出過ぎることがある。そこで、この従来の家畜用給餌器では、餌量調節手段Sを操作し、図11(A)に示すように、餌排出口7の開口量d1を調整して狭くし、餌排出口7から底皿5へ送り出す餌量を抑えると、餌量調節パイプ1a内に大粒の餌bが残り、それが家畜へ供給されない給餌不足状態になってしまう。そこで、同図(B)に示すように、反対に餌排出口7の開口量d2を調整して広くすると、今度は、餌排出口7から飼料が多く零れ出て、無駄に出過ぎてしまい、結果として、餌排出口7から飼料を底皿5へ送り出す餌送給量の微調整が不能になるという、重大な課題があった。
【0008】
そこで、本発明の目的は、大小粒の不揃い度や滑りの良し悪しなど、飼料の如何に関わらず、ホッパ内にブリッジが発生するのを完全に防止すると共に、底皿ヘ送り出す餌送給量を適確に微調整することができる家畜用給餌器を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記した課題を解決すべく、請求項1に記載の発明は、たとえば以下に図1〜図7を用いて説明する実施の形態に示すとおり、ホッパ10内に横架した支持棒15で吊持する吊り棒12の下端部に起動部材13を固定し、該起動部材13が底皿18上で家畜に押されると、前記ホッパ10の漸次下向きに縮径した飼料ガイド部21内でブリッジ防止手段14を一体に動かし、該ブリッジ防止手段14で飼料を流動させながら落下させて前記底皿18へ送給する一方、前記支持棒15に餌量調節手段16を連結し、該餌量調節手段16で前記支持棒15を動かして前記ブリッジ防止手段14を前記吊り棒12と一体に上下に微動させることにより、前記底皿18へ送り出す飼料の送給量を微調節する家畜用給餌器であって、前記ブリッジ防止手段14は、前記飼料ガイド部21の内壁面21aに合わせて逆円錐台状をなし、前記吊り棒12を中心に貫挿して吊持する本体のブリッジ盤30と、外周縁に複数の切欠き31…を周方向に間隔をあけて設け、前記ブリッジ盤30の外周に鍔状に巻装した上方の第1調整リング35と、該第1調整リング35の切欠き位置とは周方向にずらして外周縁に複数の切欠き32…を間隔をあけて設け、前記第1調整リング35の下方で前記ブリッジ盤30の外周に巻装した第2調整リング40と、を備え、上下の前記調整リング35・40の外周縁をそれぞれ前記飼料ガイド部21の内壁面21aに近接させ、その内壁面21aとの間に粒状飼料の粒径に合わせた僅かな間隙Dを開けて前記ブリッジ盤30を前記飼料ガイド部21内に配設してなることを特徴とする。
【0010】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の家畜用給餌器において、たとえば以下に図1〜図7を用いて説明する実施の形態に示すとおり、下方の前記第2調整リング40には、上方の前記第1調整リング35の切欠き31…の数より少ない数の切欠き32…を設けてなることを特徴とする。
【0011】
請求項3に記載の発明は、請求項1又は2に記載の家畜用給餌器において、たとえば以下に図1〜図7を用いて説明する実施の形態に示すとおり、前記ブリッジ防止手段14は、前記吊り棒12でそれと一体に揺動自在に吊持してなることを特徴とする。
【発明の効果】
【0012】
請求項1に記載の発明によれば、
(1)飼料供給時、ホッパ内に飼料を投入すると、それら飼料は、基本として、飼料ガイド部内で、その内壁面とブリッジ防止手段の外周間の間隙を流れ落ちて底皿上に送り出され、家畜へと供給されるが、このとき、使用する飼料が、大小粒の不揃いで湿った滑りの悪い種類の飼料であっても、ブリッジを発生し易いホッパの飼料ガイド部内に、その飼料ガイド部に合わせてブリッジ盤が上下逆円錐台状をなすブリッジ防止手段を配設した構成であるため、ホッパ内の何処にも飼料のブリッジを発生させる余地がなく、滑りの悪い飼料でも、すべて残らず、飼料ガイド部の内壁面とブリッジ防止手段の外周間の間隙を通して流れ落して底皿上へと送り出すことができる。
(2)また、ブリッジ防止手段は、上下の調整リングを飼料ガイド部の内壁面に近接させ、その内壁面に合わせて同じ上下逆円錐台状のブリッジ盤を飼料ガイド部に配設するため、ブリッジ防止手段の下方空間には、飼料が充満されることなく、常に空気層が形成され、この空気層により、湿気が上昇してホッパ内へ侵入するのを遮断し、これによって、夜間等の間に湿気が原因で飼料がホッパ内などで膨張し、例えば起動部材下端の餌出口近傍などで詰まるのを防止することができ、その結果、ホッパ内の飼料は、途中で詰まって滞ることなく、すべて落下して底皿上へ円滑に送り出すことができ、湿気による餌詰まりが原因で給餌不能になるのを防止することもできる。
(3)更に、ブリッジ防止手段は、外周縁に互いの切欠きを周方向にずらして設けた上下調整リングの外周縁を、それぞれ飼料ガイド部の内壁面に近接させ、その内壁面との間に、粒状飼料の粒径に合わせた僅かな間隙を開けて同じ上下円錐台状をなすブリッジ盤を、飼料ガイド部内に配設するため、ホッパ内に投入した飼料が、大小粒の不揃いで乾燥した滑りの良い飼料であっても、その不揃いな飼料が飼料ガイド部を通るとき、小粒な餌の一部は、途中で止まることなく、飼料ガイド部の内壁面とブリッジ防止手段間の間隙を一気にすり抜けて流れ落ちる一方、他の小粒な餌や大粒の餌の大半は、ブリッジ盤上から滑り落ちると、第1調整リングの切欠き間に有した鍔部上にいったん載ってから、切欠きを通って下方へ滑り落ち、次いで、第2調整リングの切欠き間に有した鍔部上に載っていったん止まってから、更に下方へ滑り落ち、そこで初めて底皿上へ落下する。その結果、ホッパ内に投入した飼料が、例え大小粒の不揃いな滑りやすい餌であっても、そのような飼料の如何に関わりなく、それら不揃いな飼料が飼料ガイド部を流れ落ちるとき、大半は、一気に流れ落ちるのではなく、ブリッジ防止手段の上下調整リングで落下速度を調整して遅らせることによって、下方の底皿へ送り出す餌送給量を適量に調整される。以上のように本発明では、飼料供給中に、ブリッジ防止手段の上下調整リングで飼料ガイド部を流れ落ちる飼料の落下速度を調整して遅らせ、底皿へ送り出す餌送給量を事前に調整してから、底皿上へ流れ落すのであって、従来の如く飼料ガイド部を飼料がすべて一気に滑るように餌排出口へ流れ落ちることがないため、餌量調節手段の操作で餌排出口の開口を狭めて餌送給量を少な目に調節すると、餌落下パイプ内に大粒の餌が残って仔豚へ給餌不足になる問題がなく、反対に、餌排出口の開口を大粒の飼料に合わせて広くして餌送給量を多目に調節すると、餌排出口から飼料が零れ出て、無駄に出過ぎしまう問題もなく、結果として、使用する飼料の大小粒の不揃い度や滑りの良し悪しなど、飼料の如何に関わらず、底皿へ送り出す飼料の送給量を自由に且つ適確に微調整することができる。
【0013】
請求項2に記載の発明によれば、ブリッジ防止手段は、下方の第2調整リングに上方の第1調整リングの切欠きの数より少ない数の切欠きを設け、切欠き間の鍔部がより長く形成されるため、飼料供給時、投入飼料が、例えば小粒の餌群を含んでいても、それらがブリッジ盤上から、第1調整リングの切欠きを通って滑り落ちると、その多くは、第2調整リングの切欠き間に有した鍔部上にいったん載って止まってから下方へ滑り落ち、それから底皿上へと落下する。その結果、ホッパ内に投入した餌が大小粒の不揃いで滑りの良い飼料であっても、その不揃いな飼料が飼料ガイド部を流れ落ちるとき、途中で、ブリッジ防止手段の第2調整リングで受けて効果的に落下速度を遅らせ、底皿へ送り出す飼料の送給量をより一層効果的に調整することができる。
【0014】
請求項3に記載の発明によれば、飼料供給時、家畜が食餌中に鼻や口で触って起動部材を押すと、それに従い、吊り棒がブリッジ防止手段と一体に振子のように揺動するため、家畜が食餌するとき、即ち、ブリッジ防止手段を揺すったときにだけ、飼料は飼料ガイド部の内壁面間の間隙を流れ落ちて家畜自身の下へ、無駄なく送り出すことができる。しかも、このとき、ブリッジ防止手段は、ブリッジ盤の上方に、例えば湿った滑りの悪い飼料の凝集飼料層(ブリッジ)が発生していても、揺れ動くブリッジ盤で、凝集飼料層を持ち上げて左右に揺すりながら破壊し、これによって、飼料を流動させて、飼料ガイド部の内壁面とブリッジ防止手段の外周間の間隙を通して流れ落して底皿上へ送り出すことができる。このように、ブリッジが発生し易いホッパの飼料ガイド部内に同じ上下逆円錐台状のブリッジ盤を配設したことと、そのブリッジ盤を揺すってブリッジを破壊しながら飼料を流れ落す相乗効果により、本発明では、使用飼料が、たとえブリッジを発生し易い湿った滑りの悪い餌であったとしても、そのような飼料の如何に関わりなく、飼料ガイド部内でブリッジ状に残留させず、すべて、下方の底皿上へと落下させてブリッジの発生を完全に防止することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
以下、本発明を実施するための最良の形態を、図面を参照して詳細に説明する。
【0016】
図1〜図7には、本発明の家畜用給餌器を実施するための最良の形態を示す。図示家畜用給餌器は、図1及び図2に示すように、ホッパ10、餌落下パイプ11、吊り棒12、起動部材13、ブリッジ防止手段14、支持棒15、餌量調節手段16、給水部17、底皿18、仕切枠19などで構成されている。
【0017】
ホッパ10は、樹脂製で、不図示の開閉蓋を開けて上部開口から飼料を投入する上側の円筒部20と、円筒部20の下縁から漸次下向きに縮径した上下逆円錐台状の飼料ガイド部21とを有し、飼料ガイド部21の下端に、縦長な餌落下パイプ11を一体に接続し、格子状の支持枠22に組み付けて立設してなる。餌落下パイプ11は、上下に貫通した円筒体で、その下端部と起動部材13間に餌排出口25を形成してなる。
【0018】
吊り棒12は、それぞれ長尺な丸棒製の上吊り棒23に下吊り棒24を繋いでなる。上吊り棒23は、上端部の端面にボルト頭部を溶接して外周に雄ねじ部23aを刻設する一方、下端部を鉤状に形成してなる。反対に、下吊り棒24は、上端部を鉤状に形成する一方、下端部の端面にボルト頭部を溶接して外周に雄ねじ部24aを刻設してなる。
【0019】
起動部材13は、上下に貫通した円錐台形の筒本体13aを有し、筒本体13aの下端開口の中心に、放射状に組み付けた止め軸26で受けナット27を固持してなる。
【0020】
ブリッジ防止手段14は、金属板を用いて、飼料ガイド部21の内壁面21aに合わせて上下逆円錐台状につくり、中心に上下に貫通する貫挿穴をあけた本体のブリッジ盤30と、それぞれ細長い環状の金属板からなる第1調整リング35および第2調整リング40を備える。第1調整リング35は、外周縁に複数の矩形な切欠き31…を周方向に間隔をあけて設けた板状リングで、ブリッジ盤30の外周上側に溶接して鍔状に巻装する。第2調整リング40は、外周縁に複数の矩形な切欠き32…を間隔をあけて設けた板状リングで、切欠き32を、第1調整リング35の切欠き位置とは周方向にずらして第1調整リング35の下側でブリッジ盤30の外周に溶接して鍔状に巻装してなる。そして、下方の第2調整リング40には、上方の第1調整リング35の切欠き31の数より少ない数の切欠き32が設けられている。
【0021】
そこで、吊り棒12は、上吊り棒23の鉤状下端部に下吊り棒24の鉤状上端部を掛止して組み立てる一方、下吊り棒24をブリッジ盤30の中心貫挿穴に貫挿させて、ブリッジ防止手段14を下吊り棒24に溶接で固定する。それから、吊り棒12は、上吊り棒23の雄ねじ部23aにナット28を螺着し、ホッパ10の円筒部20内で横架する支持棒15にL状連結板29を介して連結することにより、軸周りに回転自在に支持棒15で吊持すると共に、鉤状端部の掛止位置を支点として、ブリッジ防止手段14を揺動自在に吊持する。他方、吊り棒12は、下吊り棒24を餌落下パイプ11を貫挿させて、下端部の雄ねじ部24aに、それを受けナット27を通して止めナット42を螺着して起動部材13を固着する。そして、ブリッジ防止手段14は、第1および第2調整リング35・40の周縁を飼料ガイド部21の内壁面21aに近接させ、その内壁面21aとの間に粒状飼料の粒径に合わせた僅かな間隙Dを開けてブリッジ盤30を飼料ガイド部21内に配設し(図5参照)、起動部材13は、底皿18上に配置する。
【0022】
支持棒15は、丸棒製で、図3および図4に示すように、一端棒部15aの端面に切れ込み43を凹設し、反対の他端棒部15bの端面にボルト頭部を溶接して外周に雄ねじ部44を形成している。そこで、支持棒15は、一端棒部15aを、餌量調節手段16の蝶番45を介してホッパ10の円筒部20に取り付ける一方、他端棒部15bを、円筒部20を貫通して餌量調節手段16のハンドル46に連結する。
【0023】
餌量調節手段16は、蝶番45およびハンドル46の他に、ガイド板47、アイナットからなるロックナット48を備える。蝶番45は、公知の羽根蝶番を用い、中心の支点軸部45aを、ホッパ10の円筒部20の内壁面に、支持棒15の横架高さ位置に合わせて横向きに配置して片側の羽根部45bをねじ止めし、他側の羽根部45cをホッパ10内で上下方向に揺動自在に取り付ける。ハンドル46は、L型をなし、縦長な把持部46aと横長なレバー部46bとの間のコーナ部46cに小穴の支点部P1を有した、てこ式ハンドルからなる。レバー部46bには、やや横長に開けた作用穴49を有し、先端には先細な針部46dを設けてなる。ガイド板47は、吊り棒12と平行な縦向きに長いガイド穴50を開ける一方、ガイド穴50を間に挟んだ片側の板面に、飼料ガイド部21の内壁面21aとブリッジ防止手段14の外周間の間隙Dの隙間量を示す目盛51を刻設し、他側にハンドル46の支点部P1と対応する小穴の支点部P2を設けてなる。
【0024】
そこで、餌量調節手段16において、ガイド板47は、ガイド穴50が吊り棒12と平行な縦向き状態で、蝶番45と対向するホッパ10の外壁面にねじ止めする。それから、支持棒15は、切れ込み43に蝶番45の他側羽根部45cを差し込んで、一端棒部15aを、ホッパ10に対して上下、左右および前後に可動に蝶番45に連結する一方、ボルトの雄ねじ部44をホッパ10の円筒部20の貫通穴から、ガイド板47のガイド穴50を通して作用穴49に遊嵌し、他端棒部15bをハンドル46に連結する。ハンドル46は、作用穴49に支持棒15の雄ねじ部44を遊嵌した状態で、両支点部P1・P2を合わせてガイド板47に重ね、支点用ボルト52とナット53で、共通の支点部を中心として回動可能にホッパ10の外周壁に組み付ける。そして、所望の餌送給量に応じた前記間隙Dの隙間量に合わせて、ハンドル46の回動角度位置を設定してから、支持棒15の雄ねじ部44にロックナット48を螺着してハンドル46をホッパ10の外壁面に締着し、組み立ててなる。餌量調節手段16では、いま設定したハンドル46の回動角度位置に応じて、針部46dでガイド板47上の目盛51を指示し、所望の餌送給量に応じた前記間隙Dの隙間量を表示している。
【0025】
従って、餌量調節手段16では、組み立て時、支持棒15は、切れ込み43に蝶番45の他側羽根部45cを差し込んで、ホッパ10に対して上下、左右および前後に可動に蝶番45に連結した構成であるため、ホッパ10に製造上の形状寸法に誤差があったり、歪などの変形を生じたり、ハンドル46など部品の取付位置にズレがあったりしても、これら誤差や変形やズレを支持棒15の上下、左右および前後の動きで吸収し、これにより、個々に異なるホッパの形状寸法の誤差や変形の程度に合わせて、現場でスムーズに且つ簡単に組立調整することができ、その結果、ホッパの形状寸法の誤差や変形状態や部品取付位置のズレ等に影響を受けることなく、簡単に精度よく組み立てることができる。
【0026】
給水部17は、図1に示すように、支持枠22に組み付けて立設した給水パイプ55の下端に給水器56を接続する一方、ホッパ10の円筒部20の外壁面にウォーターコントロール57を取り付け、予め水量を調整してから給水パイプ55を通して給水器56へ送水する構成になっている。そして、仔豚が給水器56を銜えて、その作用杆56aを揺動させることによって飲水できるようになっている。
【0027】
底皿18は、中央部を円錐台状に隆起させてあり、飼料が中央部から流動して周辺部へ拡散し、食餌し易いようになっている。仕切枠19は、餌落下パイプ11と底皿18の足部18aに固着し、給水器56の設置間隔に合わせて間隔をあけて配設する。そして、仕切枠19で区画した給餌空間内にて仔豚が争うことなく食餌し、又は個別に給水器56から飲水できるようにしている。
【0028】
さて、図示給餌器では、飼料として、仔豚等の家畜に対する栄養素など数々の点に配慮してつくられる自家製配合飼料を使用するものとする。例えば図示省略するが、おから・ビール粕等の粘性のあるものや、スナック菓子や、大きなチョコレートの固まりや、廃品パンなど、大小粒の不揃いな固形物を含んだ地場食用廃品を配合したものを発酵させて生成した発酵飼料で、湿り気のある滑りの悪い第1の飼料を使用する。或いは、例えば前記図10に示したように、予め細かく砕いて配合した魚粉など顆粒状や粉状の餌aや、予め熱処理を施して粒度を揃えたペレット等の粒状の餌や、トウモトコシ等の大粒な餌bなど、大小粒の不揃いな各種飼料を配合し、反対に、いずれも乾燥した比較的滑りの良い第2の飼料を使用する。
【0029】
図示給餌器では、飼料供給時、開閉蓋を開けてホッパ10の円筒部20内に飼料を投入すると、それら飼料は、基本として、図5に示すように、飼料ガイド部21内で内壁面21aとブリッジ防止手段14の外周間の間隙Dを流れ落ち、更に餌落下パイプ11と起動部材13内を通って落下すると共に、途中で餌排出口25から排出されて底皿18上に送り出され、家畜、例えば仔豚へと供給されるようになっている。このとき、使用する飼料が、大小粒の不揃いで湿った滑りの悪い第1の飼料であっても、図示給餌器では、ブリッジを発生し易いホッパ10の飼料ガイド部21内に、その飼料ガイド部21に合わせてブリッジ盤30が上下逆円錐台状をなすブリッジ防止手段14を配設しているため、ホッパ10内の何処にも飼料のブリッジを発生させる余地がなく、滑りの悪い第1の飼料でも、すべて残らず、飼料ガイド部21の内壁面21aとブリッジ防止手段14の外周間の間隙Dを通して流れ落して底皿18上へと送り出すことができる。
【0030】
しかも、図示給餌器では、飼料供給時、仔豚が食餌中に鼻や口で触って起動部材13を押すと、それに従い、吊り棒12の下吊り棒24が、図6に示すように、上下の鉤状端部の掛止位置tを支点として、ブリッジ防止手段14と一体に振子のように揺動する。すると、仔豚が食餌するとき、即ち、ブリッジ防止手段14を揺すったときにだけ、飼料は飼料ガイド部21の内壁面21a間の間隙Dを流れ落ちて仔豚自身の下へ、無駄なく送り出すことができる。このとき、ブリッジ防止手段14は、ブリッジ盤30の上方に、湿った滑りの悪い第1飼料の凝集飼料層(ブリッジ)が発生していても、揺れ動くブリッジ盤30で、凝集飼料層を持ち上げて左右に揺すりながら破壊し、これによって、飼料を流動させて、飼料ガイド部21の内壁面21aとブリッジ防止手段14の外周間の間隙Dを通して流れ落して底皿18上へ送り出すことができる。このように、ブリッジが発生し易いホッパ10の飼料ガイド部21内に同じ上下逆円錐台状のブリッジ盤30を配設したことと、そのブリッジ盤30を揺すってブリッジを破壊しながら飼料を流れ落す相乗効果により、図示給餌器では、使用飼料が、たとえブリッジを発生し易い湿った滑りの悪い餌であったとしても、そのような飼料の如何に関わりなく、飼料ガイド部21内でブリッジ状に残留させず、すべて、下方の底皿18上へと落下させてブリッジの発生を完全に防止することができる。
【0031】
他方、図示給餌器では、ブリッジ防止手段14は、外周縁に切欠き31・32を周方向にずらして設けた上下調整リング35・40の外周縁を、それぞれ飼料ガイド部21の内壁面21aに近接させ、その内壁面21aとの間に、粒状飼料の粒径に合わせた僅かな間隙Dを開けて同じ上下円錐台状をなすブリッジ盤30を、飼料ガイド部21内に配設するため、ホッパ10内に投入した飼料が、大小粒の不揃いで乾燥した滑りの良い第2の飼料であっても、その不揃いな飼料が飼料ガイド部21を通るとき、小粒な餌aの一部は、途中で止まることなく、飼料ガイド部21の内壁面21aとブリッジ防止手段14間の間隙Dを一気にすり抜けて流れ落ち、餌落下パイプ11を通って落下する一方、他の小粒な餌や大粒の餌bの大半は、図7(イ)に示すように、ブリッジ盤30の天板部30aから滑り落ちると、第1調整リング35の切欠き31間に有した鍔部35a上にいったん載ってから、同図(ロ)に示すように、切欠き31を通って下方へ滑り落ち、次いで、第2調整リング40の切欠き32間に有した鍔部40a上に載っていったん止まってから、同図(ハ)に示すように更に下方へ滑り落ち、そこで初めて餌落下パイプ11を通って落下する。また、ブリッジ防止手段14は、下方の第2調整リング40に上方の第1調整リング35の切欠き31の数より少ない数の切欠き32を設け、切欠き32間の鍔部40aをより長く形成しているため、図7(A)に示すように、例えば小粒な餌aの飼料群がブリッジ盤30の天板部30aから、第1調整リング35の切欠き31を通って滑り落ちると、その大半は、第2調整リング40の切欠き32間に有した鍔部40a上にいったん載って止まってから下方へ滑り落ち、それから餌落下パイプ11を通って落下する。その結果、図示給餌器では、以上のようにホッパ10内に投入した飼料が、例え大小粒の不揃いな滑りやすい餌であっても、そのような飼料の如何に関わりなく、それら不揃いな飼料が飼料ガイド部21を流れ落ちるとき、大半は、一気に流れ落ちるのではなく、ブリッジ防止手段14の調整リング35・40で落下速度を調整して遅らせることによって、下方の底皿18へ送り出す餌送給量を適量に調整することができる。
【0032】
しかも、図示給餌器において、ブリッジ防止手段14は、図5でも示すように、上下の調整リング35・40を飼料ガイド部21の内壁面21aに近接させ、その内壁面21aに合わせて同じ上下逆円錐台状のブリッジ盤30を飼料ガイド部21に配設するため、ブリッジ防止手段14の下方空間、餌落下パイプ11の内部空間、起動部材13の内部空間には、飼料が充満されることなく、常に空気層Eが形成され、この空気層Eにより、湿気が餌排出口25や起動部材13下端の餌出口を通って上昇しホッパ10内へ侵入するのを遮断し、これによって、夜間等の間に湿気が原因で飼料がホッパ10や餌落下パイプ11内で膨張して起動部材13下端の餌出口近傍で詰まるのを防止する。その結果、図示給餌器において、ホッパ10内の飼料は、途中で詰まって滞ることなく、餌落下パイプ11を通って落下して底皿18上へ円滑に送り出すことができ、湿気による餌詰まりが原因で給餌不能になるのを防止することもできる。
【0033】
一方、図示給餌器では、使用する飼料を変更したとき、変更飼料中に配合された粒状飼料の粒径サイズにも変更があると、餌量調節手段16を操作し、変更粒径サイズに合わせて、飼料ガイド部21の内壁面21aとブリッジ防止手段14の外周間の前記間隙Dの隙間量を微調整し、これによって、底皿18へ送り出す飼料の送給量を微調節する。餌量調節手段16による微調節時は、図3に示すように、ロックナット48によるハンドル46の締付けを緩めてから、把持部46aを持って、針部46dが指示するガイド板47上の目盛51を見ながら、ハンドル46を支点部P1・P2を支点として回動する。ハンドル46を回動すると、その回動量に応じて、てこの原理に基づき、支持棒15が縦向きに長いガイド穴50の案内で連続的に上下移動し、これに従って、吊り棒12と一体にブリッジ防止手段14を上下に微動させて前記間隙Dの隙間量を微調整する。この調整後は、ロックナット48を支持棒15の雄ねじ部44に逆向きに螺合し、改めてハンドル46をホッパ10に締め付けて固持し、前記間隙Dの隙間量の微調整を終える。
【0034】
従って、餌量調節手段16では、ハンドル46を回動すると、その回動量に応じて、てこの原理に基づき、支持棒15は縦向きに長いガイド穴50の案内で連続的に上下移動する構成であるため、軽いハンドル操作で、前記間隙Dの隙間量を無制限に微調整することができ、その結果、飼料の粒径の違いに応じて、前記間隙Dの隙間量を自由に微妙に変えて調節することができる。
【0035】
そこで、図示給餌器では、飼料供給中に、ブリッジ防止手段14の調整リング35・40で飼料ガイド部21を流れ落ちる飼料の落下速度を調整して遅らせ、底皿18へ送り出す餌送給量を事前に調整してから、底皿18上へ流れ落すのであって、従来の如く飼料ガイド部21を飼料がすべて一気に滑るように流れ落ちることがないため、従来の如く餌量調節手段の操作で餌排出口の開口を狭めて餌送給量を少な目に調節すると、餌落下パイプ内に大粒の餌が残って仔豚へ給餌不足になるような問題がなく、反対に、餌排出口の開口を大粒の飼料に合わせて広くして餌送給量を多目に調節すると、餌排出口から飼料が零れ出て、無駄に出過ぎしまうような問題もなく、結果として、使用する飼料の大小粒の不揃い度や滑りの良し悪しなど、飼料の如何に関わらず、底皿18へ送り出す飼料の送給量を自由に且つ適確に微調整することができる。
【図面の簡単な説明】
【0036】
【図1】本発明の一例である家畜用給餌器を示す斜視図である。
【図2】ブリッジ防止手段を、吊り棒、餌落下パイプ、起動部材と共に示す分解斜視図である。
【図3】餌量調節手段を含むホッパの上部側の構造を示す斜視図である。
【図4】餌量調節手段の分解斜視図である。
【図5】飼料ガイド部の内壁面とブリッジ防止手段の外周間の間隙を飼料が流れ落ちる状態を示す概略正面図である。
【図6】ホッパの飼料ガイド部内でブリッジ防止手段が左右に揺れ動く状態を示す概略正面図である。
【図7】(イ)・(ロ)・(ハ)は、大粒な飼料をブリッジ防止手段の調整リングで受けて流れ落ちる速度を調整する状態を段階的に分けて示す概略斜視図、(A)は、小粒な飼料群を下方の調整リングで受けて流れ落ちる速度を調整する状態を示す概略斜視図である。
【図8】従来の家畜用給餌器を示す斜視図である。
【図9】従来の家畜用給餌器において、ブリッジ防止作用を説明する縦断面図である。
【図10】大小粒の不揃いな自家配合飼料の一例を示す概要図である。
【図11】(A)は、従来の家畜用給餌器において、餌排出口を狭めて餌送給量を調整したときに給餌不足になった状態を示す縦断面図、(B)は、餌排出口を広めて餌送給量を調整したときに飼料の出過ぎ状態を示す縦断面図である。
【符号の説明】
【0037】
D 間隙
a・b 飼料
10 ホッパ
11 餌落下パイプ
12 吊り棒
13 起動部材
14 ブリッジ防止手段
15 支持棒
16 餌量調節手段
18 底皿
21 飼料ガイド部
21a 内壁面
25 餌排出口
30 ブリッジ盤
31・32 切欠き
35 第1調整リング
40 第2調整リング

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ホッパ内に横架した支持棒で吊持する吊り棒の下端部に起動部材を固定し、該起動部材が底皿上で家畜に押されると、前記ホッパの漸次下向きに縮径した飼料ガイド部内でブリッジ防止手段を一体に動かし、該ブリッジ防止手段で飼料を流動させながら落下させて前記底皿へ送給する一方、前記支持棒に餌量調節手段を連結し、該餌量調節手段で前記支持棒を動かして前記ブリッジ防止手段を前記吊り棒と一体に上下に微動させることにより、前記底皿へ送り出す飼料の送給量を微調節する家畜用給餌器であって、
前記ブリッジ防止手段は、
前記飼料ガイド部の内壁面に合わせて逆円錐台状をなし、前記吊り棒を中心に貫挿して吊持する本体のブリッジ盤と、
外周縁に複数の切欠きを周方向に間隔をあけて設け、前記ブリッジ盤の外周に鍔状に巻装した上方の第1調整リングと、
該第1調整リングの切欠き位置とは周方向にずらして外周縁に複数の切欠きを間隔をあけて設け、前記第1調整リングの下方で前記ブリッジ盤の外周に巻装した第2調整リングと、を備え、
上下の前記調整リングの外周縁をそれぞれ前記飼料ガイド部の内壁面に近接させ、その内壁面との間に粒状飼料の粒径に合わせた僅かな間隙を開けて前記ブリッジ盤を前記飼料ガイド部内に配設してなることを特徴とする、家畜用給餌器。
【請求項2】
請求項1に記載の家畜用給餌器において、下方の前記第2調整リングには、上方の前記第1調整リングの切欠きの数より少ない数の切欠きを設けてなることを特徴とする、家畜用給餌器。
【請求項3】
請求項1又は2に記載の家畜用給餌器において、前記ブリッジ防止手段は、前記吊り棒でそれと一体に揺動自在に吊持してなることを特徴とする、家畜用給餌器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開2008−263786(P2008−263786A)
【公開日】平成20年11月6日(2008.11.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−106771(P2007−106771)
【出願日】平成19年4月16日(2007.4.16)
【出願人】(390032263)株式会社藤井商会 (15)
【Fターム(参考)】