説明

家禽中の胸肉収率を増加させるための方法

家禽を有効量のナタマイシンで処置することにより、鳥類の胸肉収率を増加させる方法。ナタマイシンの有効量は、直接またはキャリヤーを含むプレミックスの形態で、鳥類の飼料に加えることができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は、2003年5月9日に出願された米国仮出願第60/469,230号の利益を主張するものであり、その内容は参照することで本明細書に組み込まれる。
【0002】
本発明は、家禽中の胸肉収率を増加させるための方法に関する。より具体的には、本発明は、商業用に育成した家禽、例えばニワトリおよびシチメンチョウなどにおいて、胸肉重量および収率を、有効量の抗真菌剤、例えばナタマイシンなどの投与により増加させるための方法に関する。
【背景技術】
【0003】
家禽生産は過去10年の間に大きく変化し、合併によりますます競争が激化しており、その結果、世界中の家禽企業はより少なくなった。他方、この同じ期間中に、企業が消費者により目を向けるようになり、ますます多くの新鮮で高付加価値の製品群を市販するようになったため、一人当たりの家禽消費量は増加し続けた。主要な養鶏業者はまた、自分たちの生産品をより早くより効率的に成長させるだけでなく、鳥体の最も価値のある部分、例えば胸肉の収率を高める必要性を認識している。それがシチメンチョウであるかまたはニワトリのブロイラーであるかにかかわらず、焦点は胸肉収率に当てられている。
【0004】
今日、家禽中の胸肉収率に影響を与える種々の成分および栄養素に注目した多数の研究が存在する。胸肉収率を増やすことは、必然的に、より高い栄養密度、したがって、より高い飼料費を必要とする。その結果、企業は、適切な決定をするために、費用対効果を評価しなければならない。
【0005】
競争が激しく、あらゆる費用が考慮の対象となる現在の環境において、事業のあらゆる部分からの収益を最大化することは極めて重要である。ブロイラーおよびシチメンチョウ生産者にとって、多くの国におけるその高い市場価格を最大限利用するのであれば、胸肉収率を増やすことは優先事項である。
【0006】
抗真菌物質は、カビ、酵母および菌の増殖を阻害する物質である。1つの具体的な抗真菌剤は、ナタマイシンであり、米国政府の食品医薬品局により、食品添加物として承認された数少ない抗真菌剤の1つである。ナタマイシンは、例えば、Gist−Brocades Food Ingredients,Inc.(Delvocide(登録商標)として)またはCultor Food Science(Natanex(登録商標)として)から、商業的に得ることができる。
【0007】
抗真菌剤の有益な側面に鑑み、家禽飼料は、ある種の症状を予防または抑制するために、種々の抗真菌剤、例えばナタマイシンなどで処理される。例えば、特許文献1は、真菌またはカビの増殖を減少させ、または防ぐために、動物飼料をナタマイシンで処理する方法を記載している。同様に、ナタマイシンは動物飼料効率を改善するため(特許文献2)、腹水症(disease ascites)の発生率を減少させるため(特許文献3)に、動物飼料に組み込まれた。
【0008】
【特許文献1】米国特許第4,600,706号明細書
【特許文献2】米国特許第4,536,494号明細書
【特許文献3】米国特許第5,985,845号明細書
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
しかしながら、先行技術は、ナタマイシンなどの抗真菌剤がシチメンチョウおよびブロイラーの鳥体の特定の価値ある部分の収率を改善することに効果を有するかどうかについては開示していない。本発明は、したがって、ナタマイシンが実際に家禽中の胸肉収率を増加させることにプラスの効果を有するという知見に向けられたものである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明の最初の目的は、家禽中の胸肉収率を増加させるための方法であって、家禽を、胸肉収率を増加させる量のナタマイシンで処置することを含む方法を提供することである。
【0011】
本発明の第2の目的は、家禽中の胸肉収率を増加させるための方法であって、家禽の飼料に、胸肉収率を増加させる量のナタマイシンを添加することを含む方法を提供することである。
【0012】
本発明の最後の目的は、家禽中の胸肉重量を増加させるための方法であって、家禽を、胸肉重量を増加させる量のナタマイシンで処置することを含む方法を提供することである。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
本発明は、ナタマイシンが鳥類、具体的には、家禽の胸肉の収率の増加を誘発するという知見に基づくものである。特に、本発明者らは、ナタマイシンを家禽の飼料に添加した場合に、家禽の胸肉が増加する結果になると判断した。実際、胸肉収率の増加が、ナタマイシンで処理しない飼料を給餌された家禽の胸肉収率に対して、統計上、有意であることが見出された。本明細書で用いる「鳥類」という用語は、鳥属の成員である動物を意味する。鳥属の中では、家畜化されたキジ目鳥類または家禽が好ましいが、この属の他の成員は、なかでもシチメンチョウ、カモおよびガチョウを含む。
【0014】
ナタマイシンは、ピマリシンまたはテネクチンとも称される抗真菌剤である。それは、乳白色で、無臭、無味の、実際上不溶性で結晶質の両性粉末である。それは、ポリエンマクロライドまたは大環状ラクトン化合物群に属する。乾燥状態にある場合、または乾燥した希釈剤と混合されている場合に、それは比較的安定している。本分子は、しかしながら、紫外線光、酸素または極端なpH値に感受性である。それは、比較的水不溶性であり、その溶解度は0.005〜0.010重量/重量パーセントのオーダーである。さらに、溶液の状態では、ナタマイシンはむしろ不安定である。6mcg/mlのナタマイシンの水溶液は、光への24時間の暴露の後、微生物学的に不活性となる。光、過酸化物または酸素によるナタマイシンの不活化は、溶液または懸濁液の状態において最も速い速度で進行する。ナタマイシンはまた、重金属に感受性であり、それらの存在下4から5時間で、その効果の75%までを失う場合がある。
【0015】
ナタマイシンは、食品に、様々な用途で、最も顕著にはカビの増殖を抑制するために適用されてきた。それは、いくつかの様式で食品に適用されることができる。十分な混合が達成できる場合には、それは液体、スラリー、ペーストおよび半固体に、乾燥形態で添加することができ、または、純粋なナタマイシンを、乾燥成分の1つまたは2つ以上と混合し、その後所定の食品に添加することができる。表面の保護を必要とする固形食品は、ナタマイシンの溶液または懸濁液で浸し、ミストし、噴霧し、またはこれをまぶすことができる。また、ナタマイシンを食物自体に均一に組み込むこともできる。
【0016】
動物飼料は、主に穀物および穀類製品から構成されるが、少量成分として肉副産物を含む場合もある。また、動物飼料は、柑橘類パルプおよびブドウ果皮を含んでもよく、これらのいずれかまたは両方は、約5重量%未満で存在する。動物飼料はまた、添加脂肪、ビタミンおよびミネラルを含むことができ、これにはリボフラビンおよび微量金属が包含される。
【0017】
家禽に給餌するための動物飼料は、タンパク質、脂肪、繊維、カルシウムおよびリンを含む。好ましい飼料は、コーンおよび/または小麦、脂肪、肉粉、大豆ミール、ビタミンおよびミネラルを含む。
【0018】
動物飼料は、通常、無傷の穀物粒子を組み込むよりも、むしろ、穀物を割るか、挽くことにより形成される。飼料中のこれらの挽かれたまたは割られた粒子は、最初の穀物サイズの約1/100である。動物飼料は、典型的には直径1/32インチ(約0.08cm)以下から1/8インチ(約0.32cm)の間の範囲の多くの異なる粒子から構成される。また、破砕処理は、通常外皮または他の被覆を有する穀物粒子の表面に典型的に存在するものより高い水分およびそれとは異なる濃度の栄養を露出させる。したがって、従来の飼料の増加した含水量は、当該技術分野の文献によると、ナタマイシンの安定性を減少させ得る。
【0019】
飼料はまた、通常、その製造の間、光に暴露される。それはその後、水分の侵入を防ぐために、典型的には暗色のふた付容器に保存される。飼料の含水量は、しかしながら、10〜30%の範囲である。また、使用時には、食べ残されて残った飼料は、自動給餌システムにおいて典型的に見られるパン中に保持されているため、完全に光に暴露される。したがって、ある飼料は、消費される前に1週間以上、高湿度の、紫外線および可視光線の暴露を有する環境に保持される場合があるため、それに添加されたナタマイシンの安定性がさらに減少するおそれがある。
【0020】
したがって、ナタマイシンを家禽飼料に添加したときに、ナタマイシンを含んでいる飼料が上述の条件と類似した照明および湿度条件に供された場合でさえも、それが胸肉収率に統計上有意な影響を有したことを見出したことは、驚くべきことであった。
【0021】
家禽飼料において、好ましい配合で用いられる場合、ナタマイシンは先ず最初にプレミックスに混入される。用語「プレミックス」は、活性成分と、例えば、キャリヤーとを含む初期混合物として調製され、その後、最終的な飼料中に混和される飼料組成物を意味するものとする。本発明においては、計算しやすいように、1ポンドのプレミックスを約1トンの従来飼料に混和し、その結果胸肉収率の有意な増加をもたらすのに必要なナタマイシンの必要投与量を家禽に与えることが、一般的に提案される。本発明のプレミックスは、キャリヤー1ポンド当たり好ましくは約2から25、より好ましくは約5から20グラムのナタマイシンを、最も好ましくは、キャリヤー1ポンド当たり約10グラムのナタマイシンを含む。本発明に用いられる好ましいキャリヤーは炭酸カルシウムであるが、実質的に、他の任意のキャリヤーをプレミックス形成の目的で用いることができる。プレミックスに用いるためのキャリヤーは当業者によく知られており、適切な濃度は容易に決定することができる。いくつかの例として、ごく一部であるが、もみ殻、クルミ殻、ゼオライト、ベントナイトおよび二酸化ケイ素が挙げられる。
【0022】
ナタマイシンは、乾燥粉末としてまたは液状溶液または懸濁液としてキャリヤーに添加することができる。液体として添加する場合、ナタマイシンは、例えばナタマイシン結晶約2から25グラムを、適切な溶液、例えばプロピレングリコールもしくはメタノールなど、または、ナタマイシンが溶解するか懸濁される任意の他の溶媒に加え、室温で約5分間攪拌することにより、液体に溶解または懸濁することができる。ナタマイシンの限られた溶解性のため、それは通常完全に溶液とはらないが、懸濁液を形成することができる。2から25グラムのナタマイシンを懸濁するために選ばれる体積は、適切な溶液の約30から60mlである。好ましくは、かかる量のナタマイシンは、その後、約1ポンドの慣用のプレミックスに添加され、過度に湿らさない。一旦プレミックスが調製されたならば、その後、家禽のためのナタマイシンの1日必要量を供給するために、好ましくはプレミックス半ポンドから10ポンド対飼料1トンの範囲の割合で、最も好ましくは、プレミックス1ポンド当たり飼料1トンで、プレミックスを最終飼料に添加する。
【0023】
好ましいプレミックス組成はもみ殻を含むが、その比較的安い価格のために有益であるからである。しかしながら、他のプレミックス原料を用いることもでき、これには、炭酸カルシウム(石灰岩)などのミネラル、大豆ミール飼料およびトウモロコシ穂軸片などの不活性製品、および任意の他の関連するプレミックス原料が含まれる。当業者は、プレミックス混合物において有効に機能するかまたは役立つ製品に精通しており、したがって、どのプレミックス原料が最もその目的にかなうかについて決定することができる。必須ではないが、通常、プレミックス原料が単数または複数の不活性物質を含むことが好ましい。
【0024】
ナタマイシン固形物または懸濁物は、直接プレミックス原料に加え、その後混合することができる。混合は、任意の既知の手段により、例えば標準的な水平または垂直ブレンダーによって達成することができる。混合時間は、プレミックスの具体的な成分に依存して変わり、成分が完全に混合したことを保証するのに必要な時間かかることがある。好ましい実施形態においては、プレミックスの混合には約5〜20分かかる。
【0025】
プレミックスは、その後、家禽に給餌される飼料中に組み込まれる。より好ましい実施形態では、ナタマイシンは、乾燥粉末の形態で、好ましいキャリヤーである炭酸カルシウムと混和されてプレミックスを形成し、当該プレミックスを最終飼料中に直接混和する。
【0026】
最終飼料中に組み込まれる前に、ナタマイシンはプレミックス原料と混合されることが好ましいが、一方で、代替的に、適切な量のナタマイシンを、飼料中に直接混入することができる。最終飼料へのナタマイシンの好ましい添加範囲は、直接添加するか、プレミックスを介して添加するかにかかわらず、約0.000011から0.011重量パーセント(飼料1トン当たり約0.1から100グラム)であり、より好ましくは、約0.000055から0.0055重量パーセント(1トン当たり約0.5から50グラム)、より一層好ましくは0.00022から0.0028重量パーセント(1トン当たり約2から25グラム)、最も好ましくは0.00088から0.0017重量パーセント(1トン当たり約8から15グラム)である。好ましい実施形態においては、この量のナタマイシンを上述のように調製し、約1ポンドのプレミックスキャリヤーに添加する。より多い量の使用が、処置される家禽に何らかの毒性問題を引き起こすという証拠はないが、それは費用の検討に影響を及ぼす。プレミックスは、一般的に1トンの分量の飼料(当該産業分野において一般的である)に添加されるため、プレミックスに添加された1グラムのナタマイシンは、対応して、飼料において、約1ppmのナタマイシンの濃度(約0.0001重量パーセント)をもたらす。したがって、10グラムのナタマイシンを1ポンドのプレミックスに添加し、これを次に1トンの飼料に添加すると、約11ppmのナタマイシンの有効濃度が得られる。
【0027】
飼料は、従来通り、大きな容器または混合器において調製され、そこで飼料成分は、最終的な飼料混合物におけるその存在量にしたがって、重量の多い順に添加される。したがって、割られた穀物が主要な成分となる。少量成分は、その後添加される。微量成分は最後に添加される。これは、ビタミン、薬物、成長促進物質、抗生物質、本ケースにおいては、ナタマイシンを含む。したがって、ナタマイシンは微量成分のうちの1つであることができ、最後の混入ステップにおいて飼料に添加される。飼料は、通常の時間混和される。
【0028】
ナタマイシンを含む飼料は、標準的な給餌量範囲および頻度で群に給餌される。飼料に含まれるナタマイシンの上記の量を基礎にすると、各ニワトリまたはシチメンチョウのための1日当たりの投与量は、好ましくは約0.0008グラムから約0.033グラム、より好ましくは、約0.0016グラムから約0.0083グラムである。
【0029】
本発明の有利な特性は、本発明を例示する以下の例を参照することにより見ることができる。これらの例は説明の目的で提供されており、本発明の範囲を制限することを目的としない。
【0030】
(実施例)
【実施例1】
【0031】
給餌量制限処理ブロイラーのために配合された飼料におけるナタマイシンの評価
ナタマイシン被験物質は、Colorado Quality Research,Inc.(CQR)の標準操作手順に従い、フィードミルの4000ポンドの容量ミキサーを用いて、基礎飼料中に混合した。混合された飼料は、50ポンドの容量の飼料袋中に保管した。飼料は処置ごとに保管され、処置飼料は、カラーコードでさらに識別された。
【0032】
各々の飼料を混合した後、3つの複合サンプル(それぞれ約1ポンド)を採取した。各処置のために混合された飼料の量は、以下の通りである。
スタータ飼料 第0〜21日(クランブル) 1500ポンド
仕上げ飼料 第21〜32日(ペレット) 2150ポンド
休薬(withdrawal)飼料 第32〜42日(ペレット) 3200ポンド
【0033】
正常で健康な生後1日の雛を、商業的な孵化場から得た。鳥は、孵化場の場所からコロラド州デンバーまで商業空輸を介して輸送した。地上輸送は、デンバーからコロラド州ウエリントンに雛を輸送するのに用いた。
【0034】
実験は、ニワトリ(Gallus domesticus)種の1200羽の商業的なブロイラーで開始し、鳥はペンに入れた(1ペン当たり雄30羽/雌30羽)。処置は、乱塊法を用いてペンに割り当てた。実験施設は、各々2ペンの10ブロックに分けた。鳥は、CQR SOPに従ってランダムに割り当てた。具体的な処置群を、下記の表1に示す。
【0035】
【表1】

【0036】
飼料は、実験期間中、1ペン当たり2台の、吊り下げ式の直径17インチ(43.18cm)のチューブ型給餌器フィーダーにより自由給餌した。雛用給餌トレイも、最初の約6日間、各ペンに設置した。すべての鳥は、受け入れ時(約0日齢)に、それぞれの処置飼料に配した。ペンに加えた飼料およびペンから除去した飼料はすべて計量し、記録した。すべての実験的な飼料の変化は、両方の処置群について同時に行った。
【0037】
第43日における結果は、以下の通りだった。
【0038】
【表2】

【0039】
上表2に示す通り、ブロイラーの飼料へのナタマイシンの添加は、43日間にわたって、胸肉重量および胸肉収率を増加させた。さらに、胸肉重量および収率の増加は、統計上有意であることが決定された。
【実施例2】
【0040】
大型(growing large)ブロイラーのために配合された飼料におけるナタマイシンの評価
ナタマイシン被験物質は、Colorado Quality Research,Inc.(CQR)の標準操作手順に従い、フィードミルの4000ポンドの容量ミキサーを用いて、基礎飼料中に混合した。混合された飼料は、50ポンドの容量の飼料袋中に保管した。飼料は処置ごとに保管され、処置飼料は、カラーコードでさらに識別された。
【0041】
各々の飼料を混合した後、3つの複合サンプル(それぞれ約1ポンド)を採取した。各処置のために混合された飼料の量は、以下の通りである。
スタータ飼料 第0〜19日(クランブル) 1400ポンド
仕上げ飼料 第19〜39日(ペレット) 4000ポンド
休薬飼料 第39〜60日(ペレット) 5200ポンド
【0042】
正常で健康な生後1日の雛を、商業的な孵化場から得た。鳥は、孵化場の場所からコロラド州デンバーまで商業空輸を介して輸送した。地上輸送は、デンバーからコロラド州ウエリントンに雛を輸送するのに用いた。
【0043】
実験は、ニワトリ(Gallus domesticus)種の1400羽の商業的なブロイラーで開始した。処置は、乱塊法を用いてペンに割り当てた。実験施設は、各々2ペンの10ブロックに分けた。鳥は、CQR SOPに従ってランダムに割り当てた。具体的な処置群を、下記の表3に示す。
【0044】
【表3】

【0045】
飼料は、実験期間中、1ペン当たり2台の、吊り下げ式の直径17インチ(43.18cm)のチューブ型給餌器フィーダーにより自由給餌した。雛用給餌トレイも、最初の約6日間、各ペンに設置した。すべての鳥は、受け入れ時(約0日齢)に、それぞれの処置飼料に配した。ペンに加えた飼料およびペンから除去した飼料はすべて計量し、記録した。すべての実験的な飼料の変化は、両方の処置群について同時に行った。
【0046】
第61日における結果は、以下の通りだった。
【0047】
【表4】

【0048】
上表4に示す通り、ブロイラーの飼料へのナタマイシンの添加は、61日間にわたって、胸肉重量および胸肉収率を増加させた。さらに、胸肉収率の増加は、統計上有意であることが決定された。胸肉重量の増加の統計値は計算しなかった。
【実施例3】
【0049】
ギャップエクステンダー(Gap Extender)を用いて製造された飼料におけるナタマイシン飼料添加物の評価
ナタマイシン被験物質は、ConAgra Poultry Companyによる処置中に混合した。各々の飼料を混合した時点で、3つの複合サンプル(それぞれ約1ポンド)を採取した。各処置のために混合された飼料の量は、以下の通りである。
スタータ飼料 第0〜21日(クランブル)
育成飼料 第21〜35日(ペレット)
仕上げ飼料 第35〜42日(ペレット)
休薬飼料 第42〜49日(ペレット)
【0050】
正常で健康な生後1日の雛を、商業的な孵化場から得た。鳥は、孵化場の場所からコロラド州デンバーまで商業空輸を介して輸送した。地上輸送は、デンバーからコロラド州ウエリントンに雛を輸送するのに用いた。
【0051】
実験は、ニワトリ(Gallus domesticus)種の1140羽の商業的なブロイラーで開始した。処置は、乱塊法を用いてペンに割り当てた。実験施設は、各々2ペンの10ブロックに分けた。鳥は、CQR SOPに従ってランダムに割り当てた。具体的な処置群を、下記の表5に示す。
【0052】
【表5】

【0053】
飼料は、実験期間中、1ペン当たり2台の、吊り下げ式の直径17インチ(43.18cm)のチューブ型給餌器フィーダーにより自由給餌した。雛用給餌トレイも、最初の約6日間、各ペンに設置した。すべての鳥は、受け入れ時(約0日齢)に、それぞれの処置飼料に配した。ペンに加えた飼料およびペンから除去した飼料はすべて計量し、記録した。すべての実験的な飼料の変化は、両方の処置群について同時に行った。
【0054】
第49日における結果は、以下の通りだった。
【0055】
【表6】

【0056】
上表6に示す通り、ブロイラーの飼料へのナタマイシンの添加は、49日間にわたって、胸肉重量および胸肉収率を増加させた。さらに、胸肉収率の増加は、統計上有意であることが決定された。
【0057】
本発明は、具体的な実施形態を参照して本明細書中に例示され、説明されているが、本発明は、示された詳細に限定されることを意図しない。むしろ、特許請求の範囲および一連の均等物の範囲内で、本発明から逸脱することのない限り、これら詳細に様々な変更がなされてもよい。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
鳥類の胸肉収率を増加させるための方法であって、鳥類を胸肉収率増加有効量のナタマイシンで処置することを含むことを特徴とする方法。
【請求項2】
前記鳥類に胸肉収率増加有効量のナタマイシンを給餌することをさらに含むことを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項3】
鳥類は、家禽、シチメンチョウ、カモおよびガチョウからなる群から選択されることを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項4】
胸肉収率増加有効量のナタマイシンは、1羽当たり1日約0.0008グラムから0.033グラムであることを特徴とする請求項2に記載の方法。
【請求項5】
ナタマイシンはナタマイシンプレミックスを含み、該ナタマイシンプレミックスは、少なくとも1種のキャリヤーを含むことを特徴とする請求項2に記載の方法。
【請求項6】
ナタマイシンプレミックスは、ナタマイシン約0.1〜100グラムをさらに含むことを特徴とする請求項5に記載の方法。
【請求項7】
ナタマイシンプレミックスは、ナタマイシン約0.5〜50グラムをさらに含むことを特徴とする請求項6に記載の方法。
【請求項8】
ナタマイシンプレミックスは、ナタマイシン約2〜25グラムをさらに含むことを特徴とする請求項7に記載の方法。
【請求項9】
ナタマイシンプレミックスは、ナタマイシン約10グラムをさらに含むことを特徴とする請求項8に記載の方法。
【請求項10】
キャリヤーは、炭酸カルシウムを含むことを特徴とする請求項5に記載の方法。
【請求項11】
有効量のナタマイシンプレミックスを最終飼料に添加するステップをさらに含むことを特徴とする請求項5に記載の方法。
【請求項12】
有効量のナタマイシンプレミックスは、最終飼料1トン当たりナタマイシンプレミックス約1ポンドを含むことを特徴とする請求項11に記載の方法。
【請求項13】
a)胸肉収率増加有効量のナタマイシンを得るステップと、
b)該胸肉収率増加有効量のナタマイシンとキャリヤーとを混合し、ナタマイシンプレミックスを形成するステップと、
c)有効量のナタマイシンプレミックスと飼料とを混和し、最終飼料製品を形成するステップと、
d)鳥類に、該最終飼料製品を給餌するステップと
を含むことを特徴とする鳥類の胸肉収率を増加させるための方法。
【請求項14】
前記キャリヤーは、炭酸カルシウムを含むことを特徴とする請求項13に記載の方法。
【請求項15】
ナタマイシンプレミックスは、ナタマイシン約0.1〜100グラムをさらに含むことを特徴とする請求項13に記載の方法。
【請求項16】
ナタマイシンプレミックスは、ナタマイシン約0.5〜50グラムをさらに含むことを特徴とする請求項15に記載の方法。
【請求項17】
ナタマイシンプレミックスは、ナタマイシン約2〜25グラムをさらに含むことを特徴とする請求項16に記載の方法。
【請求項18】
ナタマイシンプレミックスは、ナタマイシン約10グラムをさらに含むことを特徴とする請求項17に記載の方法。
【請求項19】
有効量のナタマイシンプレミックスは、最終飼料1トン当たりナタマイシンプレミックス約1ポンドを含むことを特徴とする請求項13に記載の方法。
【請求項20】
胸肉収率増加有効量のナタマイシンは、1羽当たり1日約0.0008グラムから0.033グラムであることを特徴とする請求項13に記載の方法。

【公表番号】特表2007−500014(P2007−500014A)
【公表日】平成19年1月11日(2007.1.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−532808(P2006−532808)
【出願日】平成16年5月5日(2004.5.5)
【国際出願番号】PCT/US2004/014078
【国際公開番号】WO2004/100675
【国際公開日】平成16年11月25日(2004.11.25)
【出願人】(302045521)アルキオン ライフ サイエンシズ リミテッド ライアビリティ カンパニー (1)
【Fターム(参考)】