説明

家電収納キャビネット

【課題】収納部内の正面側及び背面側での結露の発生を防ぐことのできる家電収納キャビネットを提供すること。
【解決手段】使用時に蒸気を排出する電気機器を配置可能な収納部6bを有するキャビネット本体2と、電気機器が収納部6b内で載置される載置台9と、収納部6b内で電気機器から排出された蒸気を収納部6b外に排気する蒸気処理装置13と、収納部6bの正面側を開閉可能な開閉扉24と、を備えた家電収納キャビネット1であって、開閉扉24の下端部には、蒸気処理装置13が運転されることにより、載置台9の正面側から載置台9の上方に向かう気流30と、載置台9の下方を通過し、載置台9の背面側から上方に向かう気流31と、が発生する通気孔27,28が設けられている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、キャビネット本体の収納部に電気機器を収納可能であり、電気機器より排出された蒸気を収納部外に排気する蒸気処理装置が設けられた家電収納キャビネットに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、内部が前面(正面側)に開口する収納部に形成された収納体(キャビネット本体)を有し、この収納部内には家庭電気器具(電気機器)を載置する底板(載置台)がスライド機構を介して前方に引き出し自在に収納されているとともに、収納部前端部は扉(開閉扉)によって覆っており、収納部の上部には、家庭電気器具から排出された熱や水蒸気を収納部の外部に排気する換気装置(蒸気処理装置)が設けられている収納キャビネット(家電収納キャビネット)がある。このような収納キャビネットにおいては、底板に上下方向に貫通する通気孔が設けられており、換気装置を運転することで外部の空気を扉の下方から収納部内に流入させ、底板の通気孔を介して収納部の下方から換気装置に向けて発生する気流によって収納部内の水蒸気を排気している(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
【特許文献1】特開平2008−36224号公報(第5頁、第1図)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1に記載の家電収納キャビネットにあっては、収納部内の気流の経路は通気孔を介して収納部の下方から換気装置に向けて発生するものだけであるので、収納部の正面側及び背面側には蒸気が滞留したままになってしまい、結露が発生することで黴等が発生しやすいという問題があった。
【0005】
本発明は、このような問題点に着目してなされたもので、収納部内の正面側及び背面側での結露の発生を防ぐことのできる家電収納キャビネットを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
前記課題を解決するために、本発明の請求項1に記載の家電収納キャビネットは、
使用時に蒸気を排出する電気機器を配置可能な収納部を有するキャビネット本体と、前記電気機器が前記収納部内で載置される載置台と、前記収納部内で前記電気機器から排出された蒸気を前記収納部外に排気する蒸気処理装置と、前記収納部の正面側を開閉可能な開閉扉と、を備えた家電収納キャビネットであって、
前記開閉扉の下端部には、前記蒸気処理装置が運転されることにより、前記載置台の正面側から該載置台の上方に向かう気流と、前記載置台の下方を通過し、該載置台の背面側から上方に向かう気流と、が発生する通気孔が設けられていることを特徴としている。
この特徴によれば、収納部内に、載置台の正面側から上方に向かう気流と、載置台の下方を通過して載置台の背面側から上方に向かう気流の2つの気流が発生するので、収納部内の正面側及び背面側に沿って蒸気を蒸気処理装置によって排気することができるので、収納部内の正面側及び背面側において結露の発生を防ぐことができる。
【0007】
本発明の請求項2に記載の家電収納キャビネットは、請求項1に記載の家電収納キャビネットであって、
前記通気孔は、前記蒸気処理装置が運転されることにより、前記載置台の正面側から該載置台の上方に向かう気流が発生する第1通気孔と、前記載置台の下方を通過し、該載置台の背面側から上方に向かう気流が発生する第2通気孔と、から構成されていることを特徴としている。
この特徴によれば、載置台の正面側から載置台の上方に向かう気流と、載置台の下方を通過し、載置台の背面側から上方に向かう気流を、それぞれ異なる通気孔から発生させるので、第1通気孔及び第2通気孔は、正確に向きの異なる気流を発生させることができる。
【0008】
本発明の請求項3に記載の家電収納キャビネットは、
使用時に蒸気を排出する電気機器を配置可能な収納部を有するキャビネット本体と、前記電気機器が前記収納部内で載置される載置台と、前記収納部内で前記電気機器から排出された蒸気を前記収納部外に排気する蒸気処理装置と、前記収納部の正面側を開閉可能な開閉扉と、を備えた家電収納キャビネットであって、
前記蒸気処理装置が運転されることにより、前記開閉扉の下端部には、前記載置台の正面側から該載置台の上方に向かう気流が発生する第1通気孔が、前記キャビネット本体には、前記載置台の下方を通過し、該載置台の背面側から上方に向かう気流が発生する第2通気孔が、それぞれ設けられていることを特徴としている。
この特徴によれば、収納部内に、載置台の正面側から上方に向かう気流と、載置台の下方を通過して載置台の背面側から上方に向かう気流の2つの気流が発生するので、収納部内の正面側及び背面側に沿って蒸気を蒸気処理装置によって排気することができるので、収納部内の正面側及び背面側において結露の発生を防ぐことができる。
【0009】
本発明の請求項4に記載の家電収納キャビネットは、請求項1ないし3のいずれかに記載の家電収納キャビネットであって、
前記開閉扉の背面側には、前記収納部で上方に向かって発生する気流を上方に向けて方向付けする整流板が配置されていることを特徴としている。
この特徴によれば、上方に向かって発生する気流の向きを整流板によって揃えることができるので、収納部内での正面側の蒸気の排気をより確実に行うことができる。
【0010】
本発明の請求項5に記載の家電収納キャビネットは、請求項1ないし4のいずれかに記載の家電収納キャビネットであって、
前記載置台の左右幅方向の長さは、前記収納部の左右幅方向の長さよりも短く形成されていることを特徴としている。
この特徴によれば、載置台の左右側方より上方に向かう気流が発生するので、収納部内の左右側方に沿って蒸気を蒸気処理装置で排気することができるので、収納部内の左右側方での結露の発生を防ぐことができる。
【0011】
本発明の請求項6に記載の家電収納キャビネットは、請求項2ないし5のいずれかに記載の家電収納キャビネットであって、
前記第1通気孔及び前記第2通気孔は左右方向に長いスリットに形成されていることを特徴としている。
この特徴によれば、家電収納キャビネットの外面視から目立つことなく、蒸気を収納部内から排気するのに十分な量の空気を吸入することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
本発明に係る家電収納キャビネットを実施するための最良の形態を実施例に基づいて以下に説明する。
【実施例1】
【0013】
本発明の実施例1を図面に基づいて説明すると、先ず図1は、本発明の実施例における家電収納キャビネットの全体像を示す斜視図であり、図2は、家電収納キャビネットを示す縦断側面図であり、図3は、開閉扉の下端部を示す要部拡大縦断側面図であり、図4は、下方収納部内での気流の流れを示す縦断側面図であり、図5は、下方収納部の開放状態を示す正面図であり、図6は、下方収納部内での仕切板の着脱を示す縦断側面図である。以下、図2、図3、図4および図6の紙面左側を家電収納キャビネットの正面側とし、図5の紙面手前側を家電収納キャビネットの正面側として説明する。
【0014】
図1の符号1は、本発明の適用された家電収納キャビネットである。この家電収納キャビネット1は、例えば、各家庭のキッチン内に設置されて使用されるキャビネットである。この家電収納キャビネット1は、略筐体形状のキャビネット本体2を備えており、このキャビネット本体2内には、キッチンで使用される炊飯器やコーヒーメーカー等の電気機器が収納可能となっている。
【0015】
上述の家電収納キャビネット1について図1及び図2に基づき詳述する。この家電収納キャビネット1を構成するキャビネット本体2は、左右の側板3,3と、天板4と、背板5と、により構成されており、正面側に開口を有し、キャビネット本体2内部は、側板3,3と、天板4と、背板5と、により囲まれた収納部6に形成されている。
【0016】
この収納部6には、上下方向に複数(本実施例では2枚)の棚板7が、側板3,3間に渡設されることで取り付けられている。上方の棚板7によって収納部6は上方収納部6aと、下方収納部6bに分割されている。
【0017】
更に、図5に示すように、下方収納部6b内の下方の棚板7上面には、左右にスライドレール8,8が設けられている。これらスライドレール8,8間には上面に電気機器を載置可能な、左右幅が収納部6の左右幅よりも短い載置台9が配置されている。尚、この載置台9は、図3に示すように、棚板7との間に間隙10を形成した状態で、左右のスライドレールによって下方収納部6b内と家電収納キャビネット1の正面外方とを前後移動自在に支持されている。
【0018】
そして、載置台9の上面には、図2に示すように、電気炊飯器や、電気ポット、コーヒーメーカー等(図示せず)の使用時に熱や蒸気を排出する電気機器が載置可能になっており、上方収納部6aには電気機器としての電気炊飯器や、電気ポット、コーヒーメーカー等を収納可能となっている。
【0019】
特に、図4及び図5に示すように、下方収納部6b内の上部の、側板3,3には、後述の仕切板20をネジで固定するためのL字状の固定金具12が取り付けられており、この固定金具12の正面側には、下方収納部6bに収納された電気機器から排出される蒸気を吸引した後に、家電収納キャビネット1の正面側に排気を行う蒸気処理装置13が、側板3,3に取り付けられた正面視L字形状の支持材14.14に、図示しないネジに螺着されることによって支持されている。
【0020】
この蒸気処理装置13には、図4に示すように、底面に開口し、下方収納部6b内の蒸気を吸引するための吸入口13aと、正面側に開口し、吸入口13aから吸引した蒸気を家電収納キャビネット1の正面外方に向けて排出する排気口13b(図1及び図5参照)が設けられている。また、蒸気処理装置13内には、蒸気処理装置13が運転することで回転する排気ファン13cが設けられており、この排気ファン13cが回転することによって吸入口13aからの蒸気の吸入と、排気口13bからの蒸気の排気が行われる。
【0021】
図2に示すように、下方収納部6b内である背板5には、電気機器に電力を供給するための電源コンセント15が設けられている。そして、この電源コンセント15からは、キャビネット本体2の背面側から先端部に電源プラグ16が設けられた電源コード17が延設されている。この電源プラグ16が外部の図示しない交流電源に接続されることによって、電気機器に交流電力を供給できるようになっている。
【0022】
更に、蒸気処理装置13の後端部は、蒸気処理装置13に電力を供給する本実施例における配線としての電源コード18が接続される配線部13dとなっている。この配線部13dに接続された電源コード18は、背板5に穿設された連通孔5aから家電収納キャビネット1の外方に延設されることで、外部の図示しない交流電源に接続されている。尚、余剰分の電源コード18は、蒸気処理装置13後端部と、背板5と、の間の空間に収納されている。つまり、蒸気処理装置13後端部と、背板5と、後述する仕切板20と、で囲まれる空間は、本実施例における配線空間19を構成している。
【0023】
この配線空間19は、下方収納部6b内の電気機器より排出された蒸気が浸入しないよう、着脱自在な仕切板20によって下方収納部6bと仕切られている。具体的には、図6に示すように、配線空間19と下方収納部6bとを仕切る仕切板20は、固定金具12からキャビネット本体2の背板5に向かって下方に傾斜を成すように取り付けられる板体であり、その外周端縁部には、側板3,3若しくは背板5に当接することによって配線空間19と下方収納部6bを水密に仕切る本実施例におけるシール部材としてのパッキン21が設けられている。
【0024】
また、仕切板20の上端部は床面と平行となるように正面側に向けて屈曲された水平片20aに形成されており、下端部は床面と垂直となるように下方に向けて屈曲された垂直片20bに形成されている。そして、水平片20aを固定金具12の底面に、垂直片20bを背板5の正面にそれぞれ当接させ、ネジによって螺着することで仕切板20を配線空間19と下方収納部6b間に取り付けている。尚、仕切板20には差込片20cを設けずに、水平片20aを支持材14,14に螺着することで、仕切板20を配線空間19と下方収納部6b間に取り付けてもよい。
【0025】
更に、仕切板20の水平片20aの先端からは、水平片20aと垂直な差込片20cが上方に向かって延設されている。この差込片20cは、仕切板20を配線空間19と下方収納部6b間に取り付ける際に、蒸気処理装置13と、固定金具12間に下方から差し込まれる。尚、このとき、図6に示すように、蒸気処理装置13の後端部にパッキン22を設け、差込片20cの正面側にパッキン22を当接させてから蒸気処理装置13を支持材14.14に固定することによって、蒸気処理装置13の後端部と固定金具12間から蒸気が配線空間19に浸入することを防止している。
【0026】
図2に示すように、キャビネット本体2には開閉扉23,24が上下2つ取り付けられており、棚板7によって分割された上方収納部6a及び下方収納部6bを開放可能及び閉塞可能となっている。詳しくは、これら開閉扉23,24は、上方収納部6a及び下方収納部6bを閉塞する扉板23a,24aの背面の左右端と、キャビネット本体2の左右側板3,3の内側面をリンクアーム25,25によって連結することで、上方収納部6a及び下方収納部6bの上方または下方に退避可能となっている。
【0027】
また、上方収納部6aを閉塞する開閉扉23の扉板23aの下端部には、扉板23aの左右方向に沿って使用者が収納部6を開放する際に掴む把手26が取り付けられており、同一の把手26が、下方収納部6bを閉塞する開閉扉24の扉板24aの上端部にも取り付けられている。そして、上方収納部6a及び下方収納部6bの閉塞時には、把手26を掴み、開閉扉23,24を家電収納キャビネット1の上方または下方に向けて牽引操作することで、上方収納部6a及び下方収納部6bを正面側から閉塞する。
【0028】
更に、図3に示すように、下方収納部6bを閉塞する開閉扉24の扉板24aの下端部には、家電収納キャビネット1の正面外方と、下方収納部6b内を連通する本実施例における通風孔としての第1通気孔27と、第2通気孔28と、が設けられている。これら第1通気孔27及び第2通気孔28は、扉板24aの左右方向の略全長に亘って設けられたスリットである。
【0029】
尚、第1通気孔27及び第2通気孔28は、扉板24aに対して正面側から平行に穿設された後、扉板24aの背面側から所定の角度を成して穿設されている。具体的には、図3に示すように、第1通気孔27は、扉板24a内の途上から所定角度θにて上方に向かって傾斜を成しており、第2通気孔28は、扉板24a内の途上から所定角度θにて下方に向かって傾斜を成している。更に尚、第1通気孔27及び第2通気孔28が成す傾斜角度θは、90度未満の鋭角であり、第1通気孔27と第2通気孔28が成す傾斜角度θは、必要な吸気高さとなるように、第1通気孔27と第2通気孔28で個別に相違する角度に設定してもよい。
【0030】
そして、これら第1通気孔27及び第2通気孔28は、下方収納部6bが開閉扉24によって閉塞された状態で蒸気処理装置13が運転されると、家電収納キャビネット1の正面外方の空気を下方収納部6b内に吸入するようになっている。このとき、下方収納部6b内では、図4に示すように、第1通気孔27で家電収納キャビネット1の正面外方から吸入した空気によって、載置台9の正面側において、扉板24aの背面近傍を上方に向かう本発明における気流としての前方上昇気流30が発生する。
【0031】
このため、電気機器から排出された後に下方収納部6bの正面側に滞留する蒸気は、前方上昇気流30によって蒸気処理装置13の吸入口13aまで押し上げられて、下方収納部6b内から排気される。
【0032】
尚、扉板24aの背面側である第1通気孔27近傍には、第1通気孔27で上方に向かって所定角度θで吸引した空気を、扉板24aの背面側近傍に沿って略垂直方向に上昇する前方上昇気流30とする整流板29が設けられている。
【0033】
また、第2通気孔28で家電収納キャビネット1の正面外方から吸入した空気によって、載置台9の背面側から上方に向かう本発明における気流としての後方上昇気流31が発生する。具体的には、後方上昇気流31は、下方収納部6b内において、第2通気孔28から下方に向かって所定角度θを成して発生し、棚板7と載置台9の間に形成されている間隙10を通過して、下方収納部6bの後端部である背板5の下端部から、背板5の正面側に沿って上昇する。
【0034】
このため、電気機器から排出された後に下方収納部6bの背面側に滞留する蒸気は、後方上昇気流31によって蒸気処理装置13の吸入口13aまで押し上げられて、下方収納部6b内から排気される。尚このとき、後方上昇気流31は、途中から下方収納部6bと配線空間19を水密に仕切る仕切板20によってガイドされることによって、蒸気処理装置13の吸入口13aまで蒸気を円滑に案内している。
【0035】
尚、図5に示すように、載置台9の左右幅は下方収納部6bの左右幅よりも短いので、棚板7と載置台9の間に形成されている間隙10を通過した空気の一部は、左右の側板3,3と、載置台9のスライドレール8,8間を通過する。このとき、蒸気処理装置13からの吸引力を受けることによって、載置台9の左右側方より上方に向かう本実施例における気流としての側方上昇気流32,32が発生する。
【0036】
このため、電気機器から排出された後に下方収納部6bの左右側方に滞留する蒸気は、側方上昇気流32によって蒸気処理装置13の吸入口13aまで運ばれて、下方収納部6b内から排気される。
【0037】
上述したように、下方収納部6bの正面側からは前方上昇気流30が、背面側からは後方上昇気流31が、左右側方からは側方上昇気流32,32が、それぞれ蒸気処理装置13の吸入口13aに向けて発生するので、開閉扉24により下方収納部6bを閉塞した状態であっても、下方収納部6b内から蒸気を効果的に排気することができる。
【0038】
以上、本実施例における家電収納キャビネット1においては、蒸気処理装置の背面側には、蒸気処理装置13の電源コード18が収納される配線空間19が設けられており、配線空間19と、下方収納部6bとは、仕切板20により着脱自在に仕切られているので、仕切板20を取り外すことで配線空間19と下方収納部6bを連通させることができるので、蒸気処理装置13の点検作業等の際に、蒸気処理装置13を家電収納キャビネット1から取り外すことなく、家電収納キャビネット1の正面側から配線空間19にアプローチして蒸気処理装置13の配線部13dの点検作業を行なうことができる。
【0039】
また、仕切板20は、キャビネット本体2の背面側に向かって下方に傾斜を成して設けられているので、下方収納部6b内背面側で電気機器より排出された蒸気は、仕切板20の傾斜に沿って蒸気処理装置13に誘導されるので、下方収納部6b内背面側での蒸気の滞留を防ぎ、下方収納部6b内の蒸気による結露を減少させることができる。
【0040】
また、仕切板20は、キャビネット本体2の背面側に配置された背板5と、蒸気処理装置13を支持する支持材14.14間に取り付けられているので、家電収納キャビネット1の正面側からの仕切板20の着脱を容易に行うことができる。
【0041】
また、仕切板20の外周端縁部には、配線空間19と下方収納部6b間を水密に仕切るパッキン21が設けられているので、電気機器から排出される蒸気が仕切板20を超えて配線空間19内に浸入することがなくなるので、蒸気処理装置13の配線部13dが蒸気により故障することを防止することができる。
【0042】
また、下方収納部6b正面側には、下方収納部6b内に空気を吸入させる第1通気孔27及び第2通気孔28が形成された開閉扉24が設けられているので、開閉扉24によって下方収納部6bが閉塞された状態であっても、蒸気処理装置13を運転することで、第1通気孔27及び第2通気孔28から吸入した空気から上方に向かう前方上昇気流30と、後方上昇気流31と、側方上昇気流32を発生させ、電気機器から排出された蒸気を下方収納部6b外に排気することができる。
【実施例2】
【0043】
次に、実施例2に係る家電収納キャビネットにつき、図7を参照して説明する。尚、前記実施例と同一構成で重複する構成を省略する。
【0044】
図7は、実施例2における開閉扉の下端部を示す要部拡大縦断側面図である。以下、図7の紙面左側を家電収納キャビネットの正面側として説明する。
【0045】
図7に示すように、下方収納部6bを閉塞する開閉扉33の扉板33aの下端部には、家電収納キャビネット1の正面外方と、下方収納部6b内を連通する本実施例における通風孔としての第1通気孔27が設けられている。
【0046】
また、棚板34の前端部は、下方収納部6bが開閉扉33によって閉塞されると略面一となる位置まで正面側に延設されており、上方に向かって突部34aが立設されている。この突部34aには、家電収納キャビネット1の正面外方と、下方収納部6b内を連通する本実施例における通風孔としての第2通気孔35が設けられている。この第2通気孔35は、棚板34の正面側から並行に穿設されており、蒸気処理装置13が運転されると、第2通気孔35で発生する後方上昇気流31は、載置台9と棚板34間の間隙10を背板5まで直進する。
【0047】
以上、下方収納部6b内に、載置台9の正面側から上方に向かう前方上昇気流30と、載置台9の下方を通過して載置台9の背面側から上方に向かう後方上昇気流31の2つの気流が発生するので、下方収納部6b内の正面側及び背面側に沿って蒸気を蒸気処理装置13によって排気することができるので、下方収納部6b内の正面側及び背面側において結露の発生を防ぐことができる。
【0048】
以上、本発明の実施例を図面により説明してきたが、具体的な構成はこれら実施例に限られるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲における変更や追加があっても本発明に含まれる。
【0049】
例えば、前記実施例では、下方収納部6bの上方に蒸気処理装置13を設け、扉板24aの下端部に前方上昇気流30を発生させる第1通気孔27と、後方上昇気流31を発生される第2通気孔28が穿設されたが、蒸気処理装置13は上方収納部6aの上方に設けられていてもよく、その場合も、扉板23aの下端部に第1通気孔27及び第2通気孔28が穿設される。
【0050】
また、前記実施例では、扉板24aに第1通気孔27及び第2通気孔28が穿設されたが、扉板24aに穿設される通気孔は1つとし、扉板24aの背面側に通気孔から発生する気流を上方に方向付ける整流板と、下方に方向付ける整流板を設けることによって前方上昇気流30と、後方上昇気流31が発生するようにしてもよい。
【0051】
また、前記実施例では、扉板24aの背面側に第1通気孔27から発生する前方上昇気流30を上方に方向付ける整流板29を設けたが、載置台9の前端部に、載置台9を引き出す把手を設け、この把手の上端部を、正面側から背面側にかけて上方に向かって傾斜させるように形成することによって、把手に整流板の働きを兼ねさせてもよい。
【0052】
また、前記実施例では、第2通気孔35を棚板34の前端部に延設された突部34aに設けたが、下方収納部6bの下方がオープンスペースであれば、棚板34に通気孔を設けてもよく、棚板34と背板5の間に間隙を設けて通気孔にしてもよく、背板5に通気孔を設けてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0053】
【図1】本発明の実施例1における家電収納キャビネットの全体像を示す斜視図である。
【図2】家電収納キャビネットを示す縦断側面図である。
【図3】開閉扉の下端部を示す要部拡大縦断側面図である。
【図4】下方収納部内での気流の流れを示す縦断側面図である。
【図5】下方収納部の開放状態を示す正面図である。
【図6】下方収納部内での仕切板の着脱を示す縦断側面図である。
【図7】実施例2における開閉扉の下端部を示す要部拡大縦断側面図である。
【符号の説明】
【0054】
1 家電収納キャビネット
2 キャビネット本体
5 背板
6 収納部
6a 上方収納部
6b 下方収納部
9 載置台
13 蒸気処理装置
14 支持材
17,18 電源コード
19 配線空間
20 仕切板
21 パッキン(シール部材)
23 開閉扉
24 開閉扉
24a 扉板
27 第1通気孔(通気孔)
28 第2通気孔(通気孔)
29 整流板
30 前方上昇気流(気流)
31 後方上昇気流(気流)
32 側方上昇気流(気流)
33 開閉扉
33a 扉板
34 棚板
35 第2通気孔(通気孔)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
使用時に蒸気を排出する電気機器を配置可能な収納部を有するキャビネット本体と、前記電気機器が前記収納部内で載置される載置台と、前記収納部内で前記電気機器から排出された蒸気を前記収納部外に排気する蒸気処理装置と、前記収納部の正面側を開閉可能な開閉扉と、を備えた家電収納キャビネットであって、
前記開閉扉の下端部には、前記蒸気処理装置が運転されることにより、前記載置台の正面側から該載置台の上方に向かう気流と、前記載置台の下方を通過し、該載置台の背面側から上方に向かう気流と、が発生する通気孔が設けられていることを特徴する家電収納キャビネット。
【請求項2】
前記通気孔は、前記蒸気処理装置が運転されることにより、前記載置台の正面側から該載置台の上方に向かう気流が発生する第1通気孔と、前記載置台の下方を通過し、該載置台の背面側から上方に向かう気流が発生する第2通気孔と、から構成されていることを特徴とする請求項1に記載の家電収納キャビネット。
【請求項3】
使用時に蒸気を排出する電気機器を配置可能な収納部を有するキャビネット本体と、前記電気機器が前記収納部内で載置される載置台と、前記収納部内で前記電気機器から排出された蒸気を前記収納部外に排気する蒸気処理装置と、前記収納部の正面側を開閉可能な開閉扉と、を備えた家電収納キャビネットであって、
前記蒸気処理装置が運転されることにより、前記開閉扉の下端部には、前記載置台の正面側から該載置台の上方に向かう気流が発生する第1通気孔が、前記キャビネット本体には、前記載置台の下方を通過し、該載置台の背面側から上方に向かう気流が発生する第2通気孔が、それぞれ設けられていることを特徴とする家電収納キャビネット。
【請求項4】
前記開閉扉の背面側には、前記収納部で上方に向かって発生する気流を上方に向けて方向付けする整流板が配置されていることを特徴とする請求項1ないし3のいずれかに記載の家電収納キャビネット。
【請求項5】
前記載置台の左右幅方向の長さは、前記収納部の左右幅方向の長さよりも短く形成されていることを特徴とする請求項1ないし4のいずれかに記載の家電収納キャビネット。
【請求項6】
前記第1通気孔及び前記第2通気孔は左右方向に長いスリットに形成されていることを特徴とする請求項2ないし5のいずれかに記載の家電収納キャビネット。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2009−225951(P2009−225951A)
【公開日】平成21年10月8日(2009.10.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−73869(P2008−73869)
【出願日】平成20年3月21日(2008.3.21)
【出願人】(000002222)サンウエーブ工業株式会社 (196)
【Fターム(参考)】