説明

容器熱処理装置

【課題】容器を必要以上に加熱することなしに容器が結露するのを防止する。
【解決手段】内容物が充填されていて封止された容器を熱処理する容器熱処理装置(12)は、容器に温水を散水する温水散水手段(27)と、容器を温水散水手段に通して搬送する搬送手段(19)と、搬送手段周りの露点を計測する露点計測手段(39)と、露点計測手段により計測された露点よりも高くなるように容器の内容物の温度を調節する温度調節手段(32)とを含む。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、容器、例えば飲料が充填されていて封止された容器を熱処理する容器熱処理装置に関する。
【背景技術】
【0002】
ビールまたは炭酸飲料などの炭酸ガスを含有する発泡性の飲料を缶容器に充填して封止する場合には、通常、飲料内に溶込んでいる炭酸ガスが抜け難いように、飲料自体の温度が比較的低く維持される。このため、飲料が充填・封止された直後の缶容器の温度が露点よりも大幅に低くなり、その結果、缶容器の表面に結露が生じる可能性がある。そのような場合には、缶容器に対するラベルの貼付けおよび缶容器に対する印字が困難になる。
【0003】
さらに、複数の缶容器を包装体により梱包するとき、または缶容器を段ボール箱に詰めるときには、結露した缶容器の表面によって包装体または段ボール箱が湿る場合がある。包装体または段ボール箱が湿ると、搬送時に包装体または段ボール箱が変形したり破損する場合がある。
【0004】
従って、特許文献1に開示されるように、容器熱処理装置によって温水を封止後の缶容器に供給することが従来から行われており、それにより、缶容器の表面に結露が生じるのを防止している。さらに、特許文献2には、缶容器を熱処理する際の加温ムラを排除するために、高周波誘導加熱法を採用することが開示されている。
【特許文献1】特開2000−313499号公報
【特許文献2】特開平10−218130号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、飲料容器の製造現場においては、容器が結露するのを確実に防止する観点から、容器を必要以上に加熱することがあり、このため、容器を加熱するのに要求されるエネルギが過大となり、年間を通じてのコストは膨大なものになっている。また、容器を必要以上に加熱すると、飲料の風味を劣化させることにもなりうる。
【0006】
本発明者は、容器熱処理装置による加熱工程の下流側において、容器の内容物の温度を露点よりも高くすればよいという観点から、加熱工程の下流側における露点を正確に把握できていれば容器を必要最小限で加熱できる、との知見に基づき、以下の発明を完成するに至った。
【0007】
本発明はこのような事情に鑑みてなされたものであり、容器を必要以上に加熱することなしに結露が容器に生じるのを防止することのできる容器熱処理装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
前述した目的を達成するために1番目の発明によれば、内容物が充填されていて封止された容器を熱処理する容器熱処理装置において、前記容器に温水を散水する温水散水手段と、前記容器を前記温水散水手段に通して搬送する搬送手段と、該搬送手段周りの露点を計測する露点計測手段と、前記露点計測手段により計測された前記露点よりも高くなるように前記容器の内容物の温度を調節する温度調節手段とを具備する、容器熱処理装置が提供される。
【0009】
すなわち1番目の発明においては、計測された露点に基づいて容器の内容物の温度を調節している。このため、容器を必要以上に加熱することなしに容器の表面に結露が生じるのを防止することができる。また、容器を必要以上に加熱することがなく、従って、飲料の風味が劣化するのを防止することができる。なお、容器は缶容器、ペットボトルおよびガラス瓶などが含まれる。また、容器の内容物が炭酸飲料以外の飲料、例えば茶飲料、コーヒーなどであってもよい。
【0010】
2番目の発明によれば、1番目の発明において、前記露点計測手段は、前記搬送手段の搬送方向において前記温水散水手段の下流に位置する処理装置と前記温水散水手段との間に配置されている。
すなわち、2番目の発明においては、この露点に基づいて容器の内容物の温度を調節することにより、容器が結露した状態で処理装置に搬送されてしまうのを確実に防止することができる。なお、温水散水手段よりも下流に位置する処理装置は、印字装置、ラベラ、ビン容器における欠けや割れなどの異常を検出するビン検査機(以下、「検ビン機」と呼ぶ)などである。
【0011】
3番目の発明によれば、1番目または2番目の発明において、前記温度調節手段は、前記容器の内容物の温度が前記露点よりも高くなるように、前記容器に散水される前記温水の温度を調節する。
【0012】
4番目の発明によれば、1番目または2番目の発明において、前記温度調節手段は、前記容器の内容物の温度が前記露点よりも高くなるように、前記搬送手段の搬送速度を調節する。
【0013】
5番目の発明によれば、1番目または2番目の発明において、前記温度調節手段は、前記容器の内容物の温度が前記露点よりも高くなるように、前記容器に散水される前記温水の流量を調節する。
すなわち3番目から5番目の発明においては、比較的簡易な構成により、容器を必要以上に加熱することなしに容器が結露するのを防止できる。
【0014】
6番目の発明によれば、1番目から5番目のいずれかの発明において、複数の前記露点計測手段が前記搬送手段に沿って設けられており、前記温度調節手段は、前記複数の露点計測手段により計測された露点のうちの最大値よりも高くなるように前記容器の内容物の温度を調節する。
すなわち6番目の発明においては、露点の最大値に基づいて容器の内容物の温度を調節することにより、容器の表面が結露するのを確実に防止することができる。
【0015】
7番目の発明によれば、1番目から6番目のいずれかの発明において、前記温度調節手段は、前記露点計測手段により計測された前記露点が所定の上限値と所定の下限値との間に位置する場合においてのみ、前記容器の内容物の温度を調節するようにした。
すなわち7番目の発明においては、何らかの理由により、極めて高い露点が計測された場合であっても容器を必要以上に加熱するのを防止できる。さらに、他の何らかの理由により、極めて低い露点が計測された場合であっても、容器が結露するのを防止することができる。
【0016】
8番目の発明によれば、1番目から7番目のいずれかの発明において、さらに、前記容器を前記搬送手段に沿って案内するガイド部を具備する。
すなわち8番目の発明においては、ガイド部によって複数の容器が整列されるので、温水が容器に均等に散水される。従って、容器が均等に加温され、それにより、容器間における加温バラツキを低減できる。
【0017】
9番目の発明によれば、1番目から8番目のいずれかの発明において、さらに、前記温水散水手段の下流に設けられていて前記容器に乾燥気体を吹付ける気体吹付手段を具備する。
すなわち9番目の発明においては、温水散水手段により加温された容器の表面に付着した温水の小滴を吹飛ばすことができる。これにより、加温後に水滴が付着した容器が、水滴が付着したままで搬送されるのをさらに防止することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
以下、添付図面を参照して本発明の実施形態を説明する。以下の図面において同様の部材には同様の参照符号が付けられている。理解を容易にするために、これら図面は縮尺を適宜変更している。
図1(a)は、本発明の第一の実施形態に基づく容器熱処理装置を含む飲料容器包装装置の略図である。図1(a)においては、飲料容器包装装置10は、容器C、例えば缶容器(図1(a)には示さない)に飲料を充填して封止する充填機11と、封止後の容器Cを加温するウォーマ12(容器熱処理装置)とを含んでいる。ウォーマ12は、封止後の容器Cに温水を散水して、容器Cの表面に結露が生じるのを防止する役目を果たす。なお、ウォーマ12はレトルト殺菌を行う役目を兼ねるものであってもよい。
【0019】
さらに、飲料容器包装装置10は、容器Cに製造日などを印字する印字装置13と、ラベル(この場合にはキャンペーンシール)を容器Cの表面に貼付けるラベラ14とを含んでいる。図1(a)に示される飲料容器包装装置10においては、ラベラ14は必ずしも必要とされず、ラベラ14を省略してもよい。さらに、飲料容器包装装置10は、複数の容器Cを包装材により取囲んでマルチパック包装体を形成するマルチパック包装装置15と、複数のマルチパック包装体を段ボール箱に詰めるケーサ16とを含んでいる。なお、図示されるように、容器Cおよびマルチパック包装体は搬送装置19、例えばコンベヤにより矢印方向に搬送されて、保管倉庫17に至る。
【0020】
また、図1(b)は本発明の第一の実施形態に基づく容器熱処理装置を含む他の飲料容器包装装置の略図である。図1(b)においては、飲料容器包装装置10'は飲料が充填されたガラスビンなどのビン容器を包装する。この飲料容器包装装置10'は、充填機11と、パストライザとしての役目も果たしうるウォーマ12とを含んでいる。さらに、搬送装置19の搬送方向においてウォーマ12の下流には、検ビン機13'と、製品ラベルを容器に貼付けるラベラ14と、複数の容器を段ボール箱に詰めるケーサ16とが配置されている。
【0021】
これら飲料容器包装装置10、10'は、飲料が包含されたペットボトルなどのプラスチックボトルを包装するのに使用されてもよい。
【0022】
図1(a)に示される飲料容器包装装置10においては、ウォーマ12と印字装置13との間において露点の最大値が存在するものとする。そして、図1(a)においては、露点計39がウォーマ12と印字装置13との間における露点の最大値を計測できるよう搬送装置19に設けられている。さらに、図1(b)に示される飲料容器包装装置10’においては、ウォーマ兼パストライザ12と検ビン機13’との間において露点の最大値が存在するものとする。そして、図1(b)に示される飲料容器包装装置10'においても、露点計39’がウォーマ兼パストライザ12と検ビン機13’との間における露点の最大値を計測できるよう搬送装置19に設けられている。図1(a)および図1(b)に示される露点計39、39’のそれぞれは後述する制御装置30に電気的に接続されているものとする。
【0023】
これら露点計は例えば、鏡面冷却式露点計のような直接的に露点を計測する露点計であっても、例えば、静電容量式湿度センサを使用したような湿度と温度とを測定してこれらの値から露点を算出する露点計であってもよい。また、図面には示さないものの、これら露点計のそれぞれは、フィルタ等で覆われているのが好ましい。これにより、露点計の計測値に対する外乱の影響を小さくすることが可能となる。すなわち、例えば作業者が露点計の周囲を通るだけでは、露点計の計測値はほとんど変動しない。従って、本発明においては、安定した露点を得ることが可能となる。
【0024】
図2は飲料容器包装装置におけるウォーマの詳細図である。図2に示されるように、複数の容器Cが搬送装置19によってウォーマ12を順次通過される。ウォーマ12は、ノズル27から容器Cに温水を散水する。温水は温水受容部28に一時的に貯留され、ポンプ43が駆動されることにより管路25を通ってノズル27まで再び供給される。なお、図2に示されるノズル27は容器Cの上方にのみ備え付けられているが、容器Cを均等に加温するためにはノズル27を容器の側方または下方にも備え付けるのが望ましい。
【0025】
図3はウォーマの部分斜視図である。図3に示されるようにガイド部49をウォーマ12における搬送装置19の両側に配置してもよい。これらガイド部49によって、複数の容器Cは図示されるように搬送装置19上で搬送時に概ね整列される。従って、ノズル27からの温水は、複数の容器Cのそれぞれに均等に散水される。それゆえ、後述する容器Cの加温時に複数の容器Cは均等に加温され、容器C間における加温バラツキを低減することができる。
【0026】
再び図2を参照すると、管路25は他の管路22と共に熱交換器23を通過している。管路22に備えられた開閉弁41が開放すると、高温水タンク21からの温水が管路22を通じて熱交換器23に供給される。次いで、高温水タンク21からの温水は、熱交換器23において管路25内の温水に熱を与えて低温水タンク24に回収される。
【0027】
さらに、蒸気源26が管路29を通じて温水受容部28に接続されている。要求される場合には、管路29の開閉弁42を開放して、蒸気源26内の蒸気を温水受容部28内の温水に供給する。これにより、温水受容部28内の温水をさらに加熱することができる。なお、蒸気源26は必ずしも必要ではなく、熱交換器23および関連する機器のみによって温水受容部28内の温水を加熱するようにしてもよい。
【0028】
図2に示される制御装置30はウォーマ12の動作を制御する。制御装置30はデジタルコンピュータであり、容器C内の飲料に要求される要求温度を決定する要求温度決定手段31と、容器C内の飲料の温度を調節する温度調節手段32と、各種パラメータ(後述するマップ等)が予め記憶された記憶部33とを主に有している。
【0029】
また、図2から分かるように、温度調節手段32は、搬送装置19に接続されたモータ44の回転数を制御して搬送装置19の搬送速度を調節する搬送速度調節手段35と、開閉弁41、42の開度を制御してノズル27から散水される温水の温度を調節する温水温度調節手段36と、管路25のポンプ43の回転数を制御してノズル27から散水される温水の流量を調節する温水流量調節手段37としての役目を果たす。
【0030】
充填機11において飲料が充填されて封止されると、容器Cは搬送装置19によってウォーマ12に順次搬送される。ウォーマ12においては、ノズル27からの温水が容器Cに散水され、それにより、容器Cが加温される。図2に示される実施形態においては、ノズル27から散水される温水の温度は、露点計39により計測されたウォーマ12と印字装置13との間の露点Tdに基づいて以下のように定められる。
【0031】
はじめに、露点Tdは制御装置30の要求温度決定手段31に供給される。要求温度決定手段31においては、ウォーマ12を通過する容器C内の飲料の要求温度Trが、Tr>Tdとして決定される。次いで、温度調節手段32の温水温度調節手段36が、Tr>Tdを満たすように温水の温度Twを以下の式(1)に基づいて決定する。
【0032】
Tw=Td+a+b (1)
【0033】
ここで、定数aは、ノズル27から容器Cに温水を散水した場合に、その容器C内の飲料の温度がどの程度上昇するかを示す値である。
【0034】
図4(a)は、定数aのマップを示す図である。図4(a)に示されるように、定数aは飲料の種類および容器Cの種類の関数としてマップの形で制御装置30の記憶部33に記憶されている。このようなマップは実験等により予め求められているものとする。なお、容器内の飲料の種類としては、ビール、チューハイなどの炭酸飲料に加えて、茶飲料、コーヒーなどが挙げられる。また、容器Cの種類としては、缶容器、ペットボトルおよびガラス瓶などの容器材料に加えて、容器の寸法、例えばレギュラー缶、ロング缶などが挙げられるものとする。
【0035】
定数bは露点計の実測値のバラツキや制御機器のバラツキに関する余裕代である。定数aの場合と同様に、定数bも記憶部33内に記憶されている。
【0036】
定数a、bに基づいて温水の温度Twが算出されると、温水温度調節手段36が温水の温度Twに応じて開閉弁41、42の開度を変更する。これにより、ノズル27から散水される温水の温度は温度Twになるように調節される。その結果、温度Twの温水が散水されることにより容器C内の飲料の温度は露点Tdよりも高い温度になる。それゆえ、温水を散水して容器Cを加熱するのに必要とされるエネルギを最小限にしつつ、容器Cの表面に結露が生じるのを抑えると共に、飲料の風味が劣化するのを防止することが可能となる。
【0037】
飲料容器包装装置10、10’が工場の建物内に配置される場所などに応じて、飲料容器包装装置10、10’において露点が最大になる部分が異なることがある。このような場合であっても、本発明においては、飲料容器包装装置10、10’における露点の最大値Td(max)に基づいて水温を調節すれば足りる。これにより、飲料容器包装装置10、10’の設置場所にかかわらず、容器Cの表面が結露するのを防止できる。
【0038】
特に、本発明はウォーマ12よりも下流側に位置する印字装置13および/または保管倉庫17等における結露の防止を目的としている。従って、ウォーマ12よりも下流側において露点の最大値を求めることが望まれる。図5(a)および図5(b)は、それぞれ本発明の第二の実施形態に基づく飲料容器包装装置10、10’の略図である。図5(a)に示されるように、複数の露点計39a〜39jが搬送装置19に沿って順次設けられている。図5(a)から分かるように、露点計39b、39d、39f、39h、39jはそれぞれ印字装置13、ラベラ14、マルチパック包装装置15、ケーサ16、保管倉庫17内において搬送装置19に設けられている。他の露点計39a、39c、39e、39g、39iはこれら機器の外部において搬送装置19に設けられている。
【0039】
図5(b)に示される飲料容器包装装置10'においても、複数の露点計39a、39b'、39c〜39e、39h、39i、39jが搬送装置19に沿って順次設けられている。図5(b)から分かるように、露点計39b'、39d、39h、39jはそれぞれ検ビン機13'、ラベラ14、ケーサ16、保管倉庫17内において搬送装置19に設けられている。他の露点計39a、39c、39e、39iはこれら機器の外部において搬送装置19に設けられている。図5(a)および図5(b)に示される露点計のそれぞれも、制御装置30に同様に接続されているものとする。
【0040】
このような場合には、はじめに、搬送装置19に沿って設けられた複数の露点計39a〜39jのそれぞれによって複数の露点Tdを計測する。次いで、これら露点Tdのうちの最大の露点Td(max)に基づいて温水の温度Twを前述したように調節する。この場合でも、ウォーマ12による熱処理工程よりも後の全ての工程において、容器Cの表面が結露するのを確実に防止することが可能となる。すなわち、印字装置13等に搬送される容器Cの結露が防止されるので、印字装置13による印字作用、ラベラ14によるラベルの貼付けを良好に行うことができ、また、マルチパック包装装置15における包装体およびケーサ16における段ボール箱が湿るのを回避することも可能である。
【0041】
ところで、故障などにより複数の露点計のうちの或る露点計が非常に高い露点を計測し、その露点に基づいて温水の温度Twを制御した場合には、容器Cを加熱するのに必要とされるエネルギが極めて大きくなり、容器Cを適切に加温できなくなる可能性がある。このような事態に対処するために、露点に関する許容幅を予め設定するのが好ましい。
【0042】
ところで、作業者が露点計39a〜39j付近を通過した場合または露点計が配置されたボックスの蓋部を開放した場合などには、極めて高い露点Tdが計測される可能性がある。この場合には容器Cを加熱するのに必要とされるエネルギが極めて大きくなる。あるいは、例えば露点計の故障などによる他の理由によって、極めて低い露点Tdが計測される可能性もある。極めて低い露点Tdに基づいて容器Cを加熱すると、加熱後であっても容器Cの表面に結露が生じることがありうる。
【0043】
このため、露点Tdに関する所定の上限値および下限値を予め定め、計測された露点Tdがこれら上限値と下限値との間の範囲から逸脱した場合にはその露点Tdを考慮しないようにするのが望ましい。これにより、極めて高い露点Tdが計測された場合であっても容器Cを必要以上に加熱するのを防止でき、また、極めて低い露点Tdが計測された場合であっても、容器Cが結露するのを防止することが可能となる。
【0044】
また、図2には、乾燥気体を容器Cに吹付けるブロワ45がノズル27の下流に設けられている。このブロワ45は、加温された容器Cの表面に付着した温水の小滴を吹飛ばす役目を果たす。これにより、加温後に水滴が付着した容器が、水滴が付着したままで搬送されるのを防止することができる。なお、容器Cを冷やして結露をさせないように、ブロワ45から供給される乾燥気体の温度は比較的高温であることが好ましい。
【0045】
ところで、他の実施形態においては、搬送速度調節手段35を用いて搬送装置19の現在の搬送速度V0をこれよりも低い搬送速度Vまで低下させる。図6は搬送速度Vのマップを示す図である。図6に示されるように、搬送速度Vは、飲料の種類と容器Cの種類と露点Tdとの関数としてマップの形で記憶部33内に記憶されている。これら搬送速度Vは容器Cの飲料の要求温度Trが、Tr>Tdを満たすように実験等により予め求められたものである。
【0046】
この場合には、搬送速度調節手段35によって飲料の種類と容器Cの種類と露点Tdとに応じた搬送速度Vが定められる。そして、搬送速度調節手段35がモータ44の回転数を変更して、搬送装置19の現在の搬送速度V0を搬送速度Vまで低下させる。これにより、ノズル27からの温水が一つの容器Cに散水される時間が長くなり、容器Cをより加熱することができる。従って、温水の温度Twを変化させることなしに且つ容器Cを必要以上に加熱することなしに、容器Cの表面に結露が生じるのを防止することが可能となる。
【0047】
また、さらに他の実施形態においては、ノズル27からの温水の現在の流量F0を温水流量調節手段37によって流量Fまで低下させる。図7は温水流量Fのマップを示す図である。搬送速度Vの場合と同様に、温水流量Fも飲料の種類と容器Cの種類と露点Tdとの関数としてマップの形で記憶部33内に記憶されている。
【0048】
この場合には、温水流量調節手段37によって飲料の種類と容器Cの種類と露点Tdとに応じた温水流量Fが定められる。そして、温水流量調節手段37がポンプ43の回転数を変更して、ノズル27からの温水の現在の流量F0を流量Fに低下させる。この場合にも、一つの容器Cに散水される温水の流量が増し、容器Cをより加熱することができる。従って、この場合においても、温水の温度Twを変化させることなしに且つ容器Cを必要以上に加熱することなしに、容器Cの表面に結露が生じるのを防止することが可能となる。
【0049】
さらに、これら実施形態のうちのいくつかを適宜組み合わせることは本発明の範囲に含まれる。つまり、搬送速度調節手段35、温水温度調節手段36、温水流量調節手段37のうちの少なくとも二つを同時に使用してもよい。
【0050】
あるいは、非接触式温度計48(図2参照)により加温後の容器Cの温度Tcを計測し、計測された温度Tcに基づいて温水の温度Twを自動的に補正するようにしてもよい。また、非接触式温度計48により計測された容器Cの温度Tcに基づいて容器C内の飲料に異常があるか否かを監視することも可能である。つまり、容器Cの温度Tcが極端に大きい場合には、容器C内の飲料に異常が生じる可能性があるので、そのような温度Tcの容器Cを排除すればよい。これにより、容器C内の飲料の品質を確保できるのが分かるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0051】
【図1】(a)本発明の第一の実施形態に基づく容器熱処理装置を含む飲料容器包装装置の略図である。(b)本発明の第一の実施形態に基づく容器熱処理装置を含む他の飲料容器包装装置の略図である。
【図2】飲料容器包装装置におけるウォーマの詳細図である。
【図3】ウォーマの部分斜視図である。
【図4】定数aのマップを示す図である。
【図5】(a)本発明の第二の実施形態に基づく容器熱処理装置を含む飲料容器包装装置の略図である。(b)本発明の第二の実施形態に基づく容器熱処理装置を含む他の飲料容器包装装置の略図である。
【図6】搬送速度Vのマップを示す図である。
【図7】温水流量Fのマップを示す図である。
【符号の説明】
【0052】
10、10' 飲料容器包装装置
11 充填機
12 ウォーマ
13 印字装置
13' 検ビン機
14 ラベラ
15 マルチパック包装装置
16 ケーサ
17 保管倉庫
19 搬送装置
21 高温水タンク
22 管路
23 熱交換器
24 低温水タンク
25 管路
26 蒸気源
27 ノズル(温水散水手段)
28 温水受容部
29 管路
30 制御装置
31 要求温度決定手段
32 温度調節手段
33 記憶部
35 搬送速度調節手段
36 温水温度調節手段
37 温水流量調節手段
39、39’、39a〜39j、39b 露点計(露点計測手段)
41、42 開閉弁
43 ポンプ
44 モータ
45 ブロワ(気体吹付手段)
49 ガイド

【特許請求の範囲】
【請求項1】
内容物が充填されていて封止された容器を熱処理する容器熱処理装置において、
前記容器に温水を散水する温水散水手段と、
前記容器を前記温水散水手段に通して搬送する搬送手段と、
該搬送手段周りの露点を計測する露点計測手段と、
前記露点計測手段により計測された前記露点よりも高くなるように前記容器の内容物の温度を調節する温度調節手段とを具備する、容器熱処理装置。
【請求項2】
前記露点計測手段は、前記搬送手段の搬送方向において前記温水散水手段の下流に位置する処理装置と前記温水散水手段との間に配置されている請求項1に記載の容器熱処理装置。
【請求項3】
前記温度調節手段は、前記容器の内容物の温度が前記露点よりも高くなるように、前記容器に散水される前記温水の温度を調節する、請求項1または2に記載の容器熱処理装置。
【請求項4】
前記温度調節手段は、前記容器の内容物の温度が前記露点よりも高くなるように、前記搬送手段の搬送速度を調節する、請求項1または2に記載の容器熱処理装置。
【請求項5】
前記温度調節手段は、前記容器の内容物の温度が前記露点よりも高くなるように、前記容器に散水される前記温水の流量を調節する、請求項1または2に記載の容器熱処理装置。
【請求項6】
複数の前記露点計測手段が前記搬送手段に沿って設けられており、
前記温度調節手段は、前記複数の露点計測手段により計測された露点のうちの最大値よりも高くなるように前記容器の内容物の温度を調節する、請求項1から5のいずれか一項に記載の容器熱処理装置。
【請求項7】
前記温度調節手段は、前記露点計測手段により計測された前記露点が所定の上限値と所定の下限値との間に位置する場合においてのみ、前記容器の内容物の温度を調節するようにした、請求項1から6のいずれか一項に記載の容器熱処理装置。
【請求項8】
さらに、前記容器を前記搬送手段に沿って案内するガイド部を具備する請求項1から7のいずれか一項に記載の容器熱処理装置。
【請求項9】
さらに、前記温水散水手段の下流に設けられていて前記容器に乾燥気体を吹付ける気体吹付手段を具備する請求項1から8のいずれかに記載の容器熱処理装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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