説明

密度の増加したペットフード製品および製造方法

1立方フィート当たり25〜ポンドの嵩密度、ペットフード製品1グラム当たり0.1〜57NUの範囲内の残留α−アミラーゼ活性を有し、そして維持または増加した軟らかさを有する密度の増加したドライペットフード製品が提供される。このドライペットフード製品を製造する方法も提供される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は一般にペットフード製品、具体的には増加した密度を有し、そして活性な熱安定性アミラーゼをその製品の嵩密度に増加をもたらすのに十分な量で含んでいるドライペットフード製品に関する。
【背景技術】
【0002】
ペットフード製品は一般に3つのカテゴリー、即ちドライ製品、半湿り製品および缶詰製品に分けられる。工業規格はないけれども、ドライペットフードは典型的には15重量%未満の水分率を有し、そして一般的には乾質の硬い組織を有する。半湿りフードは典型的には15〜50重量%の範囲内の水分率を有する。缶詰フードは一般に50重量%超、そしてしばしばおよそ70重量%の水分率を有する。これら3つのカテゴリーに入る各種ペットフード製品の開発と製造は、この技術分野においてよく知られている。キャットフードおよびドッグフードのようなペットフード製品は知られて何年にもなっていて、この技術分野の当業者はそのような製品を製造するための多様な配合および方法を知っている。しかし、この技術分野内には問題が継続して残されている。
【0003】
ペットフード製品は典型的には重さで売られる。ドライペットフード製品の嵩密度には従って重要な商業的意味がある。比較的高い嵩密度を有するドライ製品は、対応するその低嵩密度製品で貯蔵可能であるよりも、たとえペットフード製品の総重量が同じであるとしても、小さいバッグまたは他の容器の中に貯蔵することが可能である。高嵩密度はメーカーの包装コストを低減する。さらに、高嵩密度製品は必要とされる貯蔵用倉庫スペースがより小さく、またしばしば小売りレベルで掛かる棚スペースがより小さい。かくして、動物によって受け入れられる比較的高い密度のペットフード製品の必要が存在する。
【0004】
しかし、高嵩密度のドライペットフード製品を提供する試みを複雑にする要因がある。即ち、ペットフード製品の嵩密度は、脂肪、乳化剤、またはその両者とガム若しくはヒドロコロイドのような他の添加剤との組み合わせの添加なしでは増加するので、この製品はより硬くなる。嵩密度を増加させる媒体として水だけが用いられるならば、その製品は硬くなる。製品が硬くなりすぎるならば、それは猫または犬には許容できないだろう。かくして、ペットフード製品が適切な動物用食品源として役立つのに必要とされる軟らかさの程度を保持している、増加した嵩密度を有するペットフード製品を提供する必要が存在する。また、製品の軟らかさが時間の経過に対して低下するのが速すぎることのないように品質変化に抵抗するような製品を提供する必要も存在する。この技術分野には、高嵩密度の動物用ドライフードを提供するという問題を解決しようとする試みがあったし、また品質変化にある程度抵抗する軟らかいペットフード製品を提供しようとする試みもあった。これら従来の試みの各々は本発明のアプローチとは異なる。
【0005】
Priegnitzに対して発行された米国特許第4,540,585号明細書は、α−アミラーゼを含んでいる半湿りペットフード製品を教示している。その開示によれば、完成ペットフード製品は約50%の水分率を有する。Priegnitzは、さらに、α−アミラーゼの活性はおよそ15%超の水分レベルにおいてのみ生ずると教示している。Priegnitzの完成ペットフード製品は1立方フィート当たり31〜32ポンド(1ブッシェル当たり38.6〜40ポンド)の嵩密度を有する。Priegnitzは、また、半湿りペットフードの軟らかさを改善するためのα−アミラーゼの使用を開示している。本出願人の知る限りでは、軟らかさを改善するために動物用ドライフードにα−アミラーゼを加えることは知られていない。
【0006】
Spradlin等に対して発行された米国特許第4,393,085号明細書は、ドッグフード製品の酵素消化を教示している。Spradlin等は15%超の水分率を有するフード製品と一緒に使用する方法を教示している。Spradlin等は、さらに、ドッグフード製品を処理するための2つの酵素系、例えばアミラーゼおよびプロテアーゼを教示し、そして製品製造中におけるそれら酵素の熱不活性化を教示している。2種の酵素を使用する方法は、明らかに、単一の酵素を使用する方法よりも高価である。プロテアーゼがα−アミラーゼよりも高価であることは周知である。ペットフード工業においてコストは重要な因子である。
【0007】
Lewis等に対して発行された米国特許第4,810,506号明細書は、湯がいた穀物製品を酵素溶液による処理に付すことを含む穀物製品の処理法について述べている。Lewis等は穀物が付される酵素としてα−アミラーゼの使用を開示している。Lewis等の教示によれば、酵素処理は穀物製品の密度を減少させ、その結果として軽量製品をもたらす。
【0008】
Borochoff等に対して発行された米国特許第3,617,300号明細書は、澱粉の現場転化法を教示している。この方法は、澱粉を澱粉性(amylaceous)系内でデキストロースに転化するためにα−アミラーゼおよびアミログルコシダーゼを使用する。Borochoff等は、その製品は酵素反応が起こるためにはおよそ25%の最低水分レベルを有していなければならないことを教示している。Borochoff等は、さらに、酵素反応が進行するためには温度がおよそ90℃(194°F)未満に留まらなければならないこと、およびそれより高い温度は酵素の熱不活性化をもたらすことを教示している。また一方、2種の酵素を使用する方法は単一の酵素を使用する方法よりも使用することが高価である。アミログルコシダーゼがα−アミラーゼよりも高価であることは知られている。
【発明の開示】
【課題を解決するための手段】
【0009】
ドライペットフード製品は、一般に、押出法を用いて粒子またはキブル(kibbles)の形で製造される。完成製品中の水分率は、典型的には、ドライペットフードで15%未満である。これらのドライペットフード製品は、また、一般に、配合物中におけるトウモロコシのような色々な穀物の使用に因り15〜40%の澱粉含有率を有する。本発明は、嵩密度の増加したドライペットフード製品および同製品を製造する方法を提供する。ペットフード製品の増加した密度は、一部は、製造中におけるフード製品成分に対する熱安定性アミラーゼの添加により成し遂げられる。この発明で用いられるα−アミラーゼは、一般に、完成製品1グラム当たり0.1〜57NUの範囲内の残留活性を有し、他方このペットフードはおおよそで約8〜約11%の水分率を有する。かくして、本発明は、1立方フィート当たり25ポンド超、典型的には1立方フィート当たり約25〜約31ポンド(1ブッシェル当たり31〜38.5ポンド)の範囲内の嵩密度を有するドライペットフードを提供する。
【0010】
本発明は、また、上記のドライペットフード製品の改善された製造方法を提供する。この発明の方法は、特にこのドライペットフードを押出形態で製造するのに要するエネルギーの節約においてより大きな製造効率を達成することが発見された。押出法における増加した効率の故に、本発明はまた製造プロセス中にコストの節約をもたらす。
【0011】
維持または改善された軟らかさを有する密度の増加したペットフード製品は、ペットフード製品に対する有効量のα−アミラーゼの添加によって製造される。α−アミラーゼは周知の酵素である。そのIUBMBナンバーは3.2.1.1である。この酵素は、3個または4個以上の1,4−α−結合D−グルコース単位を含んでいる多糖類中における1,4−α−D−グルコシド結合のエンド加水分解を触媒する。α−アミラーゼはカビ源、穀物源または細菌源から誘導することができる。カビα−アミラーゼは感温性であって、一般におよそ60−65℃(140−149°F)で失活されるようになる。ある種特定の細菌アミラーゼはより高い熱安定性を有し、110℃(230°F)までの温度に耐えることができる。アミラーゼの澱粉に対する添加は、澱粉を可溶性のデキストリンおよび少糖類に分解する。ドライペットフード製品の配合物に対するアミラーゼの添加は、その配合物中における澱粉の一部の、押出後に膨張しない糖類への分解を引き起こす。その結果、より高い嵩密度のキブルがもたらされる。熱安定性アミラーゼの使用は、上記ペットフード製品中に製造後に酵素活性を残すことを可能にし、かくしてその製品に増加した軟らかさと保存寿命を与える。
【0012】
本発明の方法は、少なくとも1種の澱粉性成分を有する乾燥混合物を用いて始め、水および/または水蒸気を加えて湿潤混合物を生じさせ、その湿潤混合物に有効量の熱安定性α−アミラーゼを加え、そのα−アミラーゼを上記湿潤混合物と、1立方フィート当たり24.9〜30.9ポンド(1ブッシェル当たり31〜38.5ポンド)の範囲内の嵩密度を有する最終製品を生成させるのに十分な時間反応させ、上記湿潤混合物を十分に冷却してその湿潤混合物中のα−アミラーゼの全部ではなく一部を失活させ、そしてそのフード製品を8〜11%の範囲内の水分率まで乾燥することを含む。本発明における使用に適したα−アミラーゼの量は、特定のペットフード製品に使用される厳密な成分、またはそのペットフード製品を製造するのに使用される正確な方法に応じて変えることができる。一般的には、およそ60−600KNU(1140〜11400SKB単位)の酵素の範囲が乾燥ミールの各キログラムについて加えられる。ここで酵素の単位は、本発明の実施例で用いられるα−アミラーゼのメーカーが使用する活性の尺度であるKNU、およびこの技術分野で知られ、そしてSanstedt等のCereal Chemistry、第16巻、第712頁(1939年)に記載されるアミラーゼ活性の1つのより古い尺度であるSKB単位の両単位で与えられる。本発明を実施する際に使用される酵素の量に影響を及ぼす因子には、ペットフード製品の水分率、酵素の活性、カルシウムレベル、クロリドレベル、製品のpH、製品の温度、製品中の澱粉量、および所定の各種プロセスパラメーターにおける酵素反応に利用できる時間を挙げることができる。これらのパラメーターの各々は酵素活性の速度と程度に影響を及ぼし得る。大部分のペットフード製品は酵素を活性化するのに十分なカルシウムとクロリドを含んでいる。適切な量のこれらイオンがペットフード製品中に存在しないならば、それらは適切な食用塩の形で加えることができる。
【0013】
ペットフード製品を本発明の教示に従って製造するために使用される正確な反応条件およびプロセスパラメーターは、製造されるペットフード製品のタイプおよび使用される特定のα−アミラーゼに応じて変えることができる。製造プロセスに含まれる温度は製造されるペットフード製品のタイプに応じて変えることができるので、プロセスパラメーターの範囲内で安定であるα−アミラーゼが選択されるべきである。
【0014】
温度に関して、製品のpHは製造される特定のペットフード製品に従って変えることができる。上記プロセスの間に遭遇するpHレベルにおいて効果的に反応するα−アミラーゼが選択されるべきである。
【0015】
ペットフード製品中の澱粉はα−アミラーゼが澱粉上で作用しうるようになる前に糊化されなければならないことに注意することが重要である。かくして、ペットフード製品は澱粉を糊化するのに十分な温度に十分な時間付されなければならない。但し、この温度と時間はα−アミラーゼを失活させるほどに大きくてはいけない。その目的には、熱安定性α−アミラーゼが高温に耐えることができないものよりも好ましい。
【0016】
本発明の目的に好ましいα−アミラーゼは、バシラス−ステアロサーモフィラスから産生される細菌α−アミラーゼであって、これはノースカロライナ州、FranklintonのNovozymes社から商標名Termamyl(登録商標)120L、タイプSで得ることができる。この特定のα−アミラーゼは105−110℃までの温度において活性である。単一の酵素を用いる本発明はある種の従来法技術よりも安価である。増加した嵩密度を有するペットフード製品は、それより低い密度の製品よりも包装および貯蔵するコストが低い。軟らかくもある密なドライペットフードは、動物によってより良く受け入れられるだろう。この発明における使用に適したもう1つのα−アミラーゼはバシラス−リシェニフォルミスから産生され、これもノースカロライナ州、FranklintonのNovozymes社から商標名Termamyl(登録商標)120L、タイプLで得ることができる。
【0017】
次に図1を参照して説明すると、本発明のドライペットフード製品を製造する方法の模式的説明図が示される。少なくとも1種の澱粉性成分を含み、そして一般に澱粉質(farinaceous)成分、蛋白質性成分並びに乾燥ビタミン類および同ミネラル類等から構成される乾燥成分10はビン12または他の適切な装置から送出され、そして適切な混合装置14の中で混合される。適切な澱粉質成分は小麦、トウモロコシ、大麦、エンバク等であって、一般に乾燥ミール(dry meal)形態をしている。また、粉砕トウモロコシ、全粒小麦粉、玄米、または他の穀物および穀類も適している。乾燥蛋白質性成分は、一般に、食用獣肉源または野菜源から得られる。適した成分に、トウモロコシグルテンミール、鶏肉副産物ミール、大豆ミール、魚肉ミール、動物ダイジェスト(animal digest)およびカルシウム・塩化コリンがある。乾燥ビタミン成分として、ビタミンE、A、B−12、D−3、リボフラビン、ナイアシン、パントテン酸カルシウム、ビオチン、チアミン硝酸塩、葉酸塩、ピリドキシン塩酸塩、メナジオン重硫酸ナトリウム錯体(ビタミンK源)、その他を挙げることができる。ミネラルとしては、とりわけ、塩化カリウム、炭酸カルシウム、塩化カルシウム、リン酸二カルシウム、塩化ナトリウム、硫酸亜鉛、硫酸第一鉄、硫酸マンガン、硫酸銅、ヨウ素酸カルシウムおよび亜セレン酸ナトリウムを挙げることができる。上に列挙した乾燥成分は完全なリストを構成するものではないことを理解されるべきである。乾燥成分の適切などんな組み合わせも使用でき、そしてそのような乾燥成分はペットフードが製造される動物の種類に応じて変えることができる。
【0018】
乾燥成分10のプレコンディショナー16への導入直前または導入に続いて、熱安定性α−アミラーゼが酵素供給源18から送出されて、乾燥成分10と接触せしめられる。酵素は1時間当たり乾燥ミールの重量に対して0.05〜0.5%の速度で加えられるのが好ましく、そして酵素の添加はライン40に沿ってのその酵素溶液の流れを可能にするバルブ38で制御される。本発明の方法の温度に耐える能力のあるどんな熱安定性α−アミラーゼも使用できるが、好ましいα−アミラーゼはデンマークのNovozymes社によって商標名Termamyl(登録商標)120Lで販売されるもので、それは前記で説明されている。このα−アミラーゼは105〜110℃の運転温度で安定であり、そして販売されたままのそれは120KNU/g(2.28x10SKB単位/g)の活性を有する。この酵素は水溶液で販売され、そして液体形で本発明の乾燥成分と接触せしめられる。この酵素は、乾燥ミール1キログラム当たり約60KNU乃至乾燥ミール1キログラム当たり約600KNU(乾燥ミール1キログラム当たり1140SKB単位乃至乾燥ミール1キログラム当たり11400SKB単位)の濃度まで加えられるのが好ましい。
【0019】
プレコンディショナー16の内部に、半湿りの湿潤混合物26を生成させるために水20および/または水蒸気22が加えられる。水20および/または水蒸気22の添加は、水20および水蒸気22のライン46および48にそれぞれ沿っての流れを可能にするバルブ42および44でそれぞれ制御される。湿潤混合物26は、プレコンディショナー16の内側の水分センサー24によって測定して22〜29%の水分率を有するのが好ましい。湿潤混合物26はプレコンディショナー16内におよそ5秒間で20秒以下の間保持されるが、この時間はプレコンディショナー16から出ると約93.3℃(200°F)の温度を達成するその混合物を湿らせ、そして調理し始めるのに十分である。
【0020】
湿潤混合物26は次に押出機28に移動し、そこでその混合物は、そのα−アミラーゼの少なくとも一部を活性なままにしておきながら、そのフード製品を調理するのに十分な温度で十分な時間調理される。押出機28内部での最低保持時間はおよそ30〜60秒で、好ましくは300秒以下である。押出機28内部の温度は一般に93.3〜110℃の範囲内である。押出物は、それをダイキャップ30に通して通過させ、それをスピニングナイフ32でカットすることによって「キブル」と称される粒子34に切断される。キブルが押し出された後、その澱粉成分は膨張する傾向があり、それによって最終製品の嵩密度が減少せしめられる。本発明において使用されるα−アミラーゼは澱粉の全部ではないが一部を単純糖類に転化させる。最終製品中の澱粉はより少ないので、それは押出後の膨張がより少ない。
【0021】
粒子34は乾燥機(図示されず)に移され、そこでそれら粒子はおよそ8〜11%の最終水分率まで乾燥される。乾燥温度は71〜148℃(160−300°F)の範囲にあるのが好ましい。乾燥機中の保持時間は一般的にはおよそ20〜30分であり、好ましくは180分以下である。乾燥工程の終わりまでに、製品が包装の準備ができているとき、そのα−アミラーゼ酵素の少なくとも一部はなおも活性であり、そしてその製品は1立方フィート当たり24.9〜30.9ポンド(1ブッシェル当たり31〜38.5ポンド)の範囲内の嵩密度を有する。完成製品の水分率はおよそ8〜11重量%、好ましくは7.5重量%である。
【0022】
混合装置14、プレコンディショナー16および押出機28のような上記装置の各々には、動力がモーターによってこの技術分野で周知の制御系の制御下で供給される。混合装置14には動力がモーター50によって制御機構52の制御下で供給される。プレコンディショナー16には動力がモーター54によって制御機構56の制御下で供給され、そして押出機28には動力がモーター60によって制御機構58の制御下で供給される。押出機28の制御はギアーボックス62によっても調節される。
【0023】
実施例
次の実施例は、本発明をさらに例証および説明する目的のために与えられる。それらの実施例は、本発明の範囲をいかなる点でも限定しようとするものではない。
【0024】
実施例1および2は同様のドライキャットフード製品の製造を説明するもので、その違いは、実施例1が本発明に従ってα−アミラーゼの添加によって製造されてはいない従来技術のキャットフード製品を説明し、そして実施例2が本発明の教示に従って製造されたキャットフード製品を説明していることである。
【0025】
実施例1−従来技術キャットフード
ドライキャットフードを次の処方を用いて従来技術に従って製造する。
【0026】
【表1】

【0027】
乾燥澱粉質成分、乾燥蛋白質性成分、乾燥ビタミン類、ミネラル類および必須脂肪酸を、16インチのプレコンディショナーにおよそ4,000ポンド/時で送り込んだ。この流速はときには「乾燥ミール供給速度(dry meal feed rate)」と称される。本実施例で用いられたプレコンディショナーは、16”直径の湿式ミキサーまたはおよそ9フィートの長さを有するプレコンディショナーであった。その水分率を他の成分のおよそ28重量%(これは、ときには「凝縮ミール水分率(condensed meal moisture)」と称される)まで上昇させるために、プレコンディショナーに水および/または水蒸気を加えた。プレコンディショナー中のミールの温度は約93℃(200°F)であった。プレコンディショナー中のミール保持時間は約5秒であった。
【0028】
次に、上記の予備調節済みミールは、約7インチの直径および約10フィートの長さを有する押出機に200プラス馬力モーターにより移動した。押出機を駆動するモーターは483ボルト、3相、AC電流を用いるもので、約130アンペアを引き出す。押出機の押出量は1時間当たり約5,000ポンドで、これはときには「湿式製造速度(wet production rate)」と称される。押出機中のミール保持時間はおよそ30〜60秒であった。内部押出機温度および押出物の温度はおよそ95.5℃(204°F)であった。冷却ジャケットの水温度はおよそ53.8℃(129°F)であった。押出物がダイキャップを通過した後、その押出物を切開/切断ナイフにより粒子(ときにはキブルと呼ばれる)にカットした。
【0029】
上記粒子を次に71〜148℃(160〜300°F)の温度を有する乾燥機に移した。粒子の乾燥機中における保持時間はおよそ30分であった。次に、このドライキャットフードを獣脂および酸調味料で被覆した。完成製品はおよそ7.5重量%の水分率を有していた。この従来技術製品のキブルを砕くのに必要とされる平均エネルギーは12.34フィート・ポンドであった。この実施例で製造されたドライキャットフードの保存寿命はおよそ18ヶ月であった。この実施例で製造されたドライキャットフードのカロリー含量(代謝エネルギー)はおよそ1648Kcal/ポンドであった。
【0030】
この完成ドライキャットフードの化学分析はおおよそで次のとおりであった:
【0031】
【表2】

【0032】
この完成ドライキャットフード製品は、1立方フィート当たり約23.3ポンド(1ブッシェル当たり29ポンド)の密度を有する。
【0033】
実施例2−本発明に従って製造されたドライキャットフード
ドライキャットフードを次の処方を用いて本発明に従って製造する。
【0034】
【表3】

【0035】
乾燥澱粉質成分、乾燥蛋白質性成分、乾燥ビタミン類、ミネラル類および必須脂肪酸を、16インチのプレコンディショナーにおよそ4,000ポンド/時の乾燥ミール供給速度で送り込んだ。プレコンディショナーの内部でα−アミラーゼを含んでいる水溶液を乾燥成分と接触させた。使用したα−アミラーゼはNC州、FranklintonのNovozymes社から得たTermamyl(登録商標)120L、タイプSであった。この酵素は120KNU/g(2.28x10SKB単位/g)で販売されているが、しかしその酵素溶液を乾燥成分と接触させる前に1:10希釈が行われた。酵素溶液の適用速度は1時間当たり乾燥成分の重量に対して0.5%であった。
【0036】
本実施例で用いられたプレコンディショナーは、16”直径の湿式ミキサーまたはおよそ9フィートの長さを有するプレコンディショナーであった。その凝縮ミール水分率を他の成分のおよそ28重量%まで上昇させるために、プレコンディショナー中に水および/または水蒸気を加えた。プレコンディショナー中のミールの温度は約93℃(200°F)であった。プレコンディショナー中のミール保持時間は約5秒であった。
【0037】
次に、上記の予備調節済みミールは、約7インチの直径および約10フィートの長さを有する押出機に、200プラス馬力モーターにより移動した。押出機を駆動するモーターは483ボルト、3相、AC電流を用いるもので、約116アンペアの範囲内で引き出す。押出機の押出量、即ち湿式製造速度は1時間当たり約5,000ポンドであった。押出機中のミール保持時間はおよそ45秒であった。内部押出機温度および押出物の温度はおよそ110℃(230°F)であった。冷却ジャケットの水温度はおよそ60℃(140°F)であった。押出物がダイキャップを通過した後、その押出物を切開/切断ナイフにより粒子(ときにはキブルと呼ばれる)にカットした。
【0038】
上記粒子を次に148℃(300°F)の温度を有する乾燥機に移した。粒子の乾燥機中における保持時間はおよそ30分であった。
【0039】
次に、上記ドライキャットフードを獣脂および酸調味料で被覆した。完成製品はおよそ7.5重量%の水分率を有していた。本発明の教示に従って製造されたこのキャットフードのキブルを砕くのに必要とされる平均エネルギーは10.27フィート・ポンドである。この実施例で製造されたドライキャットフードの保存寿命はおよそ18ヶ月であった。この実施例で製造されたドライキャットフードのカロリー含量(代謝エネルギー)はおよそ1760Kcal/ポンドであった。
【0040】
このドライキャットフードの化学分析はおおよそで次のとおりである:
【0041】
【表4】

【0042】
このドライキャットフード製品の嵩密度は、1立方フィート当たり約26.5ポンド(1ブッシェル当たり33ポンド)である。
【0043】
本発明で用いられたα−アミラーゼには、費用として完成ペットフード1トン当たり約1.50−10.00ドル掛かる。これはある種の従来法技術よりも経済的である。このα−アミラーゼは加工処理温度によって一部不活性化されるだけであって、完成製品中に0.1−57Novo単位/グラムの活性を保持する。
【0044】
さらなる製品を2つの他の酵素レベルにおいて製造した。これら2つの方法は次のパラメーターを含んでいた:
【0045】
【表5】

【0046】
上記表において、酵素レベルは1時間当たりの乾燥成分のパーセントで与えられ;DMR=ポンド/時での乾燥ミール速度であり;CMM=製品に対する重量パーセントでの凝縮ミール水分率であり;AMPS=押出機によって引き出される電流のアンペア数であり;そしてBD=1立方フィート当たりのポンド数での完成製品の嵩密度である。酵素適用の増加した速度は完成製品の増加した嵩密度と相関する。
【0047】
実施例3−本発明に従って製造されたドライドッグフード
ドライドッグフードを次の処方を用いて本発明に従って製造する。
【0048】
【表6】

【0049】
乾燥澱粉質成分、乾燥蛋白質性成分、乾燥ビタミン類、ミネラル類および必須脂肪酸を、16インチのプレコンディショナーにおよそ4,506ポンド/時で送り込んだ。プレコンディショナーの内部でα−アミラーゼを含んでいる水溶液を乾燥成分と接触させた。使用したα−アミラーゼはNC州、FranklintonのNovozymes社から得たTermamyl(登録商標)120L、タイプSであった。この酵素は、120KNU/g(2.28x10SKB単位/g)の活性で販売されているが、しかしその酵素溶液を乾燥成分と接触させる前に1:10希釈を行った。酵素溶液の適用速度は乾燥成分の重量に対して0.05%であった。
【0050】
本実施例で用いられたプレコンディショナーは、16”直径の湿式ミキサーまたはおよそ9フィートの長さを有するプレコンディショナーであった。プレコンディショナー中に水および/または水蒸気を他の成分のおよそ28.4重量%の凝縮ミール水分率まで加えた。プレコンディショナー中のミールの温度は約93℃(200°F)であった。プレコンディショナー中のミール保持時間は約5秒であった。
【0051】
次に、上記の予備調節済みミールは、約7インチの直径および約10フィートの長さを有する押出機に200プラス馬力モーターにより移動した。押出機を駆動するモーターは483ボルト、3相、AC電流を用いるもので、約99アンペアまで引き出すことができる。押出機の湿式製造速度は1時間当たり約5,600ポンドであった。押出機中のミール保持時間はおよそ30秒であった。内部押出機温度および押出物の温度はおよそ100℃(212°F)であった。冷却ジャケットの水温度はおよそ55.5℃(132°F)であった。押出物がダイキャップを通過した後、その押出物を切開/切断ナイフにより粒子(ときにはキブルと呼ばれる)にカットした。
【0052】
上記粒子を次に148℃(300°F)の温度を有する乾燥機に移した。粒子の乾燥機中における保持時間はおよそ30分であった。
【0053】
次に、上記ドライドッグフードを獣脂および酸調味料で被覆した。完成製品はおよそ9.7重量%の水分率を有していた。この完成製品は、キブルを砕くのにInstronで測定して17.34フィート・ポンドのエネルギーを必要とした。この実施例で製造されたドライドッグフードの保存寿命は、およそ18ヶ月であった。この実施例で製造されたドライドッグフードのカロリー含量(代謝エネルギー)はおよそ1679Kcal/ポンドであった。
【0054】
このドライドッグフードの化学分析はおおよそで次のとおりである:
【0055】
【表7】

【0056】
このドライドッグフード製品の嵩密度は、1立方フィート当たり約28.1ポンド(1ブッシェル当たり35ポンド)であった。
【0057】
さらなる製品を2つの他の酵素レベルにおいて製造した。これら2つの方法は次のパラメーターを含んでいた:
【0058】
【表8】

【0059】
上記表において、酵素レベルは1時間当たりの乾燥成分のパーセントで与えられ;DMR=ポンド/時での乾燥ミール速度であり;CMM=製品に対する重量パーセントでの凝縮ミール水分率であり;AMPS=押出機によって引き出される電流のアンペア数であり;そしてBD=1立方フィート当たりのポンド数での完成製品の嵩密度である。酵素適用の増加した速度は、完成製品の増加した嵩密度と相関する。
【0060】
本発明で用いられたα−アミラーゼには、その濃度に依存して、費用として完成ペットフード1トン当たり約1.50−10.00ドル掛かる。これはある種の従来法技術よりも経済的であると思われる。このアルファ−アミラーゼは加工処理温度によって一部不活性化されるだけであって、完成製品中に0.1−57Novo単位/グラムの活性を保持する。
【0061】
かくして、本発明の教示に従って製造されるドライペットフード製品の色々な態様が示され、かつ説明された。本発明の多くの変更、修正および変形は、しかしながら、この明細書を考察した後にこの技術分野の当業者に明白になるだろう。本発明の精神および範囲から逸脱しない全てのこのような変更、修正および変形は、次に続く特許請求の範囲によってのみ限定される本発明によってカバーされると考えられる。
【図面の簡単な説明】
【0062】
【図1】本発明のドライペットフード製品を製造するために使用されるプレコンデショナーおよび押出機の模式的説明図である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
約15重量%未満の水およびα−アミラーゼを含み、そして1立方フィート当たり約25ポンド超の嵩密度を有するドライペットフード。
【請求項2】
ドライペットフード製品1グラム当たり約0.1〜約57NUの範囲内の活性を有するα−アミラーゼを含むドライペットフード製品であって、1立方フィート当たり約25ポンド超の嵩密度を有する上記のドライペットフード製品。
【請求項3】
約15重量%未満の水、およびドライペットフード製品1グラムあたり約0.1〜約57NUの範囲内の活性を有するα−アミラーゼを含むドライペットフードであって、該ドライペットフード製品が1立方フィート当たり約25ポンド超の嵩密度および約13フィート・ポンド(Lbf)未満のインストロン・ローカルピーク力(Instron local peak force)値を有する上記のドライペットフード。
【請求項4】
a)約21〜約35重量%の範囲内の粗蛋白質;
b)約10〜約14重量%の範囲内の粗脂肪;
c)約8〜約11重量%の範囲内の水;および
d)ペットフード製品1グラムあたり約0.1〜約57NUの範囲内の活性を有するα−アミラーゼ
を含むドライペットフードであって、該ペットフード製品が1立方フィート当たり約25ポンド超の嵩密度およびインストロンスケールで約14フィート・ポンド(Lbf)未満の軟らかさを有する上記のドライペットフード。
【請求項5】
ドライペットフード製品を製造する方法であって、
a)少なくとも1種の澱粉性(amylaceous)成分を含む乾燥成分を混合し;
b)下記の工程i)またはii)、即ち;
i)上記工程aからの乾燥成分に十分な水を加えて、約22〜29%の総水分率を有する成分の湿潤混合物を生成させる工程;
ii)上記工程aからの乾燥成分に有効量の熱安定性α−アミラーゼを加える工程
のいずれかを行い;
c)前に行われていない上記工程i)またはii)の1つを行い;
d)上記湿潤混合物を、押出機中で、α−アミラーゼの少なくとも一部が調理済みペットフード製品中で活性を保っているような温度においてそのような時間の間調理し;そして
e)上記調理済みペットフード製品を、該ペットフード製品が約8〜約11重量%の水分率および1立方フィート当たり約25ポンド超の嵩密度を有するまで乾燥する
工程を含む上記の方法。
【請求項6】
ドライペットフード製品を製造する方法であって、
a)少なくとも1種の澱粉質(farinaceous)成分を有する乾燥成分、水および熱安定性α−アミラーゼを組み合わせて湿潤混合物を形成し;
b)上記湿潤混合物を、押出機中で、α−アミラーゼの少なくとも一部が調理済みペットフード製品中で活性を保っているような温度においてそのような時間の間調理し;そして
c)上記調理済みペットフード製品を、該ペットフード製品が約8〜約11重量%の水分率および1立方フィート当たり約25ポンド超の嵩密度を有するまで乾燥する
工程を含む上記の方法。
【請求項7】
ドライペットフード製品を製造する方法であって、
a)少なくとも1種の澱粉質成分を有する乾燥成分、水を組み合わせ;
b)工程a)の乾燥成分に水溶液中の熱安定性α−アミラーゼを加えて湿潤混合物を形成し;
c)上記湿潤混合0物を、押出機中で、α−アミラーゼの少なくとも一部が調理済みペットフード製品中で活性を保っているような温度においてそのような時間の間調理し;そして
d)上記調理済みペットフード製品を、該ペットフード製品が約8〜約11重量%の水分率および1立方フィート当たり約25ポンド超の嵩密度を有するまで乾燥する
工程を含む上記の方法。

【図1】
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【公表番号】特表2006−502718(P2006−502718A)
【公表日】平成18年1月26日(2006.1.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−544115(P2004−544115)
【出願日】平成15年10月9日(2003.10.9)
【国際出願番号】PCT/EP2003/011154
【国際公開番号】WO2004/034811
【国際公開日】平成16年4月29日(2004.4.29)
【出願人】(599132904)ネステク ソシエテ アノニム (637)
【Fターム(参考)】