説明

密閉式貯湯タンク

【課題】複数のタンクユニット間を接続する連結配管に設けた電気ヒータに適宜のタイミングで通電することにより、凍結防止と温水の保温とを併せて実現することができる密閉式貯湯タンクを提供することを目的とする。
【解決手段】連結配管22を介して接続された複数のタンクユニット20,21と、連結配管22に設けられた電気ヒータ25と、一のタンクユニット20上部の温水温度および連結配管22位置の温水温度に応答し、連結配管22位置の温水温度が予め設定された凍結防止温度以下のとき、または一のタンクユニット20上部の温水温度が温水の有無を確かめるために予め設定された第1の設定温度以上で、かつ連結配管22位置の温水温度が保温を必要とする予め設定された第2の設定温度以下のとき、電気ヒータ25に通電する手段と、を備えている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、熱源機(給湯機)で製造された温水を貯湯タンクに貯え、それを適宜所要箇所に給湯する給湯システムに用いられる密閉式貯湯タンクに関するものである。
【背景技術】
【0002】
ヒートポンプ、ボイラ、太陽熱コレクター等の熱源機器(給湯機)で製造された温水を貯湯タンクに貯え、それを適宜所要箇所に給湯する給湯システムに用いられる密閉式貯湯タンクにおいては、一般に、複数のタンクユニットを連結して使用することを許容していないか、もしくは非常に短い数十センチ程度の配管で連結して使用することを許容しているに過ぎない。これは、連結配管が長くなった場合、その連結配管部分で温水(お湯)が冷却され、使用可能温水量が減少するだけでなく、貯湯タンク内に温水と冷水が斑に残る現象が生じる可能性があり、これが給湯時に問題となるためと考えられる。
【0003】
また、貯湯タンク内の温水を消費したタイミングでは、連結配管内に未沸かし上げの水が存在するケースが想定され、この場合、保温のみに着目して電気ヒータ等で加熱し続けると、電気ヒータで水を沸かすような事態になり、エネルギー消費効率が著しく低下するおそれ。なお、配管の凍結を防止する技術として、特許文献1には、配管温度を感知する配管感知サーモスタットと、このサーモスタットに接続されている発熱部とを備えた発熱体を配管に取付け施工し、該配管の凍結を防止するようにしたものが提示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平8−17553号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1に示すものでは、低外気温時に連結配管部位において水が凍結するのを防止することは可能であるとしても、連結配管部分での温水の放熱による温度低下を防止することは困難である。一方、給湯システムにおいては、貯湯タンクの容量増大のため、複数のタンクユニットを連結配管により連結して使用するニーズがあり、この場合、複数のタンクユニットを設置する際の自由度を高めるには、連結配管の長さを長くできることがキーポイントとなる。
【0006】
特に、連結配管が長くなった場合には、連結配管部分において水が凍結するリスクを解消できることはもちろんであるが、連結配管部分で温水が放熱して温度低下する事態を防止する必要があり、従って、如何にして保温するかが課題となる。また、貯湯タンク内の温水を消費したタイミングにおいては、連結配管内に未沸かし上げの水が存在するケースが考えられるため、温水の保温のみに着目し、電気ヒータ等により加熱して保温する構成とした場合、水を電気ヒータで沸かすような事態にもなり兼ねず、この問題を解消することも重要な課題の1つとなる。
【0007】
本発明は、このような事情に鑑みてなされたものであって、複数のタンクユニットを連結配管で接続した構成の密閉式貯湯タンクにあって、連結配管に設けた電気ヒータに適宜のタイミングで通電することにより、凍結防止と温水の保温とを併せて実現することができる密閉式貯湯タンクを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記した課題を解決するために、本発明の密閉式貯湯タンクは以下の手段を採用する。
すなわち、本発明にかかる密閉式貯湯タンクは、熱源機で製造された温水を貯湯タンクに貯え、適宜所要箇所に給湯する給湯システムに用いられる密閉式貯湯タンクであって、一のタンクユニット上部と、他のタンクユニット底部とが連結配管を介して直列に接続され、前記一のタンクユニットが前記熱源機への給水側に、前記他のタンクユニットが前記熱源機からの出湯側に接続されている複数のタンクユニットと、前記連結配管に設けられている電気ヒータと、前記一のタンクユニット上部の温水温度および前記他のタンクユニット底部に接続されている前記連結配管の貯湯時に前記一のタンクユニットへの出口、出湯時に前記他のタンクユニットへの入口となる位置の温水温度に応答し、前記連結配管位置の温水温度が予め設定された凍結防止温度以下のとき、または前記一のタンクユニット上部の温水温度が温水の有無を確かめるために予め設定された第1の設定温度以上で、かつ前記連結配管位置の温水温度が保温を必要とする予め設定された第2の設定温度以下のとき、前記電気ヒータに通電する手段と、を備えていることを特徴とする。
【0009】
本発明によれば、複数のタンクユニットを連結配管により直列に接続し、その連結配管に電気ヒータを設けるとともに、該電気ヒータに対して、一のタンクユニット上部の温水温度および他のタンクユニット底部に接続されている連結配管の貯湯時に一のタンクユニットへの出口、出湯時に他のタンクユニットへの入口となる位置の温水温度に応答し、該連結配管位置の温水温度が予め設定されている凍結防止温度以下のとき、または一のタンクユニット上部の温水温度が温水の有無を確かめるために予め設定されている第1の設定温度以上で、かつ連結配管位置の温水温度が保温を必要とする予め設定されている第2の設定温度以下のとき、通電する手段を設けているため、複数のタンクユニットを比較的長い連結配管を介して接続せざるを得ない貯湯タンク構造となった場合でも、一のタンクユニット上部の温水温度が第1の設定温度以上で、一のタンクユニット上部に温水が有ることが確認された場合に、連結配管位置の温水温度が保温を必要とする第2の設定温度以下の温度のとき、電気ヒータに通電して連結配管を加熱することにより、連結配管部分での放熱による温水温度の低下を防ぐことができるとともに、連結配管前後が水で外気温が低い場合に、連結配管位置の温水温度が予め設定されている凍結防止温度以下のとき、電気ヒータに通電して連結配管を加熱することにより、連結配管部分での水の凍結を防ぐことができる。従って、貯湯タンクの容量を増大する時のタンクユニットの設置の自由度を高めることができるとともに、連結配管部分での放熱により貯湯タンク内に温水と温度低下した水とが斑に残る現象が生じる可能性や水の凍結による連結配管の破損事故等を解消することができる。また、貯湯タンク内の温水を消費したタイミングでは、連結配管内に未沸かし上げの水が存在するケースが考えられ、この場合、温水の保温のみに着目して電気ヒータで加熱し続けると、水を電気ヒータで沸かすような事態になり兼ねないが、このような事態をも防止することができる。
【0010】
さらに、本発明の密閉式貯湯タンクは、上記の密閉式貯湯タンクにおいて、前記電気ヒータへの通電手段は、前記一のタンクユニット上部に設置され、温水の有無を確かめるために前記第1の設定温度以上の温度でON動作する第1サーモスタットと、前記連結配管位置に設置され、前記第1の設定温度よりも高温の保温を必要とする前記第2の設定温度以下の温度でON動作する第2サーモスタットと、前記連結配管位置に設置され、前記第1の設定温度よりも低温の前記凍結防止温度以下の温度でON動作する第3サーモスタットと、を備え、前記電気ヒータの電源回路に、前記第1サーモスタットおよび前記第2サーモスタットを直列に接続した回路と前記第3サーモスタットとを並列に接続した並列回路を設けた構成とされていることを特徴とする。
【0011】
本発明によれば、電気ヒータへの通電手段が、一のタンクユニット上部に設置され、温水の有無を確かめるために第1の設定温度以上の温度でON動作する第1サーモスタットと、連結配管位置に設置され、第1の設定温度よりも高温の保温を必要とする第2の設定温度以下の温度でON動作する第2サーモスタットと、連結配管位置に設置され、第1の設定温度よりも低温の凍結防止温度以下の温度でON動作する第3サーモスタットと、を備え、電気ヒータの電源回路に、第1サーモスタットおよび第2サーモスタットを直列に接続した回路と第3サーモスタットとを並列に接続した並列回路を設けた構成とされているため、連結配管位置の温度が、第3サーモスタットがON動作する凍結防止温度以下の温度となったとき、または一のタンクユニット上部のお湯の温度が、第1サーモスタットがON動作する第1の設定温度以上の温度であって、かつ連結配管位置の温度が、第2サーモスタットがON動作する第2の設定温度以下の温度となったときに、電気ヒータに通電して連結配管を加熱することができる。従って、保温が必要時における連結配管での放熱による温水の温度低下防止や、連結配管での水の凍結防止等を、3個の第1ないし第3サーモスタットを組み合わせた電気回路の追加のみで簡易に実現することができ、密閉式貯湯タンクの機能向上と信頼性の向上を図ることができる。
【0012】
さらに、本発明の密閉式貯湯タンクは、上記の密閉式貯湯タンクにおいて、前記第1サーモスタット、前記第2サーモスタットおよび前記第3サーモスタットは、それぞれ適宜幅の温度ヒステリシスを以てOFF動作する構成とされていることを特徴とする。
【0013】
本発明によれば、第1サーモスタット、第2サーモスタットおよび第3サーモスタットが、それぞれ適宜幅の温度ヒステリシスを以てOFF動作する構成とされているため、各サーモスタットの乱調やハンチングを防止することができるとともに、電気ヒータに対する無用な通電による電力消費を阻止することができる。従って、各サーモスタットの動作を安定化し、電力消費量を低減しつつ、密閉式貯湯タンクにおける温度低下防止や凍結防止機能の向上を図ることができる。
【0014】
さらに、本発明の密閉式貯湯タンクは、上記の密閉式貯湯タンクにおいて、前記電気ヒータへの通電手段は、前記一のタンクユニットの上部位置に設置され、当該位置の温水温度を検出する第1温度センサと、前記連結配管位置に設置され、当該位置での温水温度を検出する第2温度センサと、前記第1温度センサおよび前記第2温度センサの検出温度に基づいて、前記第2温度センサが前記凍結防止温度以下の温度を検出したとき、または前記第1温度センサが前記一のタンクユニット上部に温水の有無を確認する第1の設定温度以上の温度を検出し、かつ前記第2温度センサが保温を必要とする第2の設定温度以下の温度を検出したときに、前記電気ヒータに通電する制御部と、を備えていることを特徴とする。
【0015】
本発明によれば、電気ヒータへの通電手段が、一のタンクユニットの上部位置に設置され、当該位置の温水温度を検出する第1温度センサと、連結配管位置に設置され、当該位置での温水温度を検出する第2温度センサと、第1温度センサおよび第2温度センサの検出温度に基づいて、第2温度センサが凍結防止温度以下の温度を検出したとき、または第1温度センサが一のタンクユニット上部に温水の有無を確認する第1の設定温度以上の温度を検出し、かつ第2温度センサが保温を必要とする第2の設定温度以下の温度を検出したときに、電気ヒータに通電する制御部と、を備えているため、第2温度センサが凍結防止温度以下の温度を検出したとき、または第1温度センサが第1の設定温度以上の温度を検出し、かつ第2温度センサが第2の設定温度以下の温度を検出したとき、電気ヒータに通電して連結配管を加熱することができる。従って、保温が必要時における連結配管での放熱による温水の温度低下防止や、連結配管での水の凍結防止等を、2個の温度センサと制御部との組み合わせで実現することができ、密閉式貯湯タンクの機能向上と信頼性の向上を図ることができる。
【発明の効果】
【0016】
本発明によると、複数のタンクユニットを比較的長い連結配管を介して接続せざるを得ない貯湯タンク構造となった場合でも、一のタンクユニット上部の温水温度が第1の設定温度以上で、一のタンクユニット上部に温水が有ることが確認された場合に、連結配管位置の温水温度が保温を必要とする第2の設定温度以下の温度のとき、電気ヒータに通電して連結配管を加熱することにより、連結配管部分での放熱による温水温度の低下を防ぐことができるとともに、連結配管前後が水で外気温が低い場合に、連結配管位置の温水温度が予め設定されている凍結防止温度以下のとき、電気ヒータに通電して連結配管を加熱することにより、連結配管部分での水の凍結を防ぐことができるため、貯湯タンクの容量を増大する時のタンクユニットの設置の自由度を高めることができるとともに、連結配管部分での放熱により貯湯タンク内に温水と温度低下した水とが斑に残る現象が生じる可能性や水の凍結による連結配管の破損事故等を解消することができる。また、貯湯タンク内の温水を消費したタイミングでは、連結配管内に未沸かし上げの水が存在するケースが考えられ、この場合、温水の保温のみに着目して電気ヒータで加熱し続けると、水を電気ヒータで沸かすような事態になり兼ねないが、このような事態をも防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】本発明の第1実施形態に係る密閉式貯湯タンクを用いた給湯システムの概略構成図である。
【図2】図1に示す密閉式貯湯タンクの連結配管に設けられた電気ヒータに対する電気回路図である。
【図3】図2に示す電気ヒータをON/OFFする第1ないし第3サーモスタットの動作説明図である。
【図4】本発明の第2実施形態に係る密閉式貯湯タンクの連結配管に設けられた電気ヒータに対する制御回路図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下に、本発明にかかる実施形態について、図面を参照して説明する。
[第1実施形態]
以下、本発明の第1実施形態について、図1ないし図3を用いて説明する。
図1には、本発明の第1実施形態に係る密閉式貯湯タンクを用いた給湯システムの概略構成図が示され、図2には、密閉式貯湯タンクの連結配管に設けられた電気ヒータに対する電気回路図である。
給湯システム1は、温水を製造する熱源機(給湯機)2と、該熱源機2で製造された温水を貯え、それを適宜所要箇所に給湯することができる密閉式貯湯タンク3とから構成されている。
【0019】
熱源機2としては、ヒートポンプ、ボイラ、太陽熱コレクターあるいはそれらを組み合せた熱源機器等を用いることができるが、本実施形態では、ヒートポンプ4を用いた例について説明する。ヒートポンプ4は、圧縮機5、冷媒/水熱交換器6、膨張弁7および蒸発器として機能する空気熱交換器8を冷媒配管9により接続し、閉サイクルの冷凍サイクルを構成したものである。このヒートポンプ4は、圧縮機5で圧縮した高温高圧の冷媒ガスを冷媒/水熱交換器6で放熱させ、その熱で水を加熱して温水を製造するようにしたものであり、冷媒/水熱交換器6に対して密閉式貯湯タンク3側から水を給水するための給水配管10および給水ポンプ11と、冷媒/水熱交換器6で製造された温水を出湯するための出湯配管12を備えている。
【0020】
ヒートポンプ4で製造された温水を貯え、それを所要の給湯箇所に適宜給湯するための密閉式貯湯タンク3は、複数の第1タンクユニット(一のタンクユニット)20と第2タンクユニット(他のタンクユニット)21とから構成されており、その間を連結配管22により直列に接続した構成とされている。連結配管22は、一端が第1タンクユニット20の上部に接続され、他端が第2タンクユニット21の底部に接続されており、熱源機2に対する給水配管10と、熱源機2からの出湯配管12との間において、複数の第1タンクユニット20と第2タンクユニット21とを直列に接続している。
【0021】
熱源機2の給水側に接続されている第1タンクユニット20の底部には、熱源機2に対する給水配管10が接続されるとともに、第1タンクユニット20に対して水道水等を給水するための給水管23が接続されている。また、熱源機2の出湯側に接続されている第2タンクユニット21の上部には、熱源機2からの出湯配管12が接続されている。
【0022】
このような水配管構成とすることにより、第1タンクユニット20に対してその底部から給水管23を介して水道水等の水を給水することができる。この水を実線矢印で示すように、給水配管10および給水ポンプ11を経てヒートポンプ4の冷媒/水熱交換器6を供給し、高温高圧の冷媒で加熱することにより温水を製造することができる。こうして製造された温水を、出湯配管12を介して第2タンクユニット21の上部からタンクユニット内に導入することにより、複数の第2タンクユニット21および第1タンクユニット20内に温水と冷水との温度境界層を形成し、その温度境界層を移動させながら、順次両タンクユニット20,21内に所要量の温水を貯湯することができるようになっている。
【0023】
一方、第1タンクユニット20および第2タンクユニット21内に貯湯された高温の温水を、所要箇所に給湯して利用に供する場合、第1タンクユニット20に対する給水圧を利用することにより、第2タンクユニット21内に貯湯されている温水から順次、破線矢印で示すように、第2タンクユニット21の上部より出湯管24へと送出すことで、所要の給湯箇所での利用に供することができるようになっている。
【0024】
また、上記の密閉式貯湯タンク3において、複数の第1タンクユニット20と第2タンクユニット21とを接続している連結配管22の外周に、その長さ方向に沿うように電気ヒータ25が設けられている。更に、この電気ヒータ25をON/OFFするため、第1タンクユニット20の上部位置に、第1サーモスタット26が設置され、連結配管22の貯湯時に第1タンクユニット20への出口、出湯時に第2タンクユニット21への入口となる位置に、第2サーモスタット27および第3サーモスタット28が設置されている。
【0025】
第1サーモスタット26は、第1タンクユニット20の上部に温水が有るか否かを確かめるためのものであり、この第1サーモスタット26は、図3に示されるように、例えば50℃でON動作、40℃でOFF動作するサーモスタットとされている。これは、第1タンクユニット20内の温水温度が40℃以下の場合は、保温せずに凍結防止のみを行わせるためである。
【0026】
また、第2サーモスタット27は、第1サーモスタット26がON動作し、第1タンクユニット20の上部に50℃以上の温水が有ると確認されたときに、温水を保温する必要があるか否かを決定するためのものであり、この第2サーモスタット27は、図3に示されるように、例えば70℃でON動作、80℃でOFF動作するサーモスタットとされている。これは、温水の温度を70℃以上で保温したい場合の例であり、保温したい温度に対応して変更することができるものである。
【0027】
さらに、第3サーモスタット28は、低外気温時に、連結配管22内において水が凍結するのを防止するためのものであり、この第3サーモスタット28は、図3に示されるように、例えば5℃でON動作、10℃でOFF動作するサーモスタットとされている。これは、水の温度が5℃以下となったときに凍結を防止したい場合の例であり、必要に応じて変更することができるものである。
加えて、上記第1サーモスタット26、第2サーモスタット27および第3サーモスタット28には、それぞれ上記したように温度ヒステリシスが設けられているが、この温度ヒステリシスは適宜の幅で設定すればよく、上記の温度幅に限定されるものではない。
【0028】
この第1サーモスタット26、第2サーモスタット27および第3サーモスタット28の3個のサーモスタットによって、図2に示されるように、電気ヒータ25に電源29からの電気を通電する電気回路30において、第1サーモスタット26および第2サーモスタット27を直列に接続した回路に対し、第3サーモスタット28を並列に接続して構成した並列回路を、電気ヒータ25に対し直列に接続した電気回路を構成している。この電気回路30により、連結配管22内の水の温度が5℃以下に低下した場合、第3サーモスタット28がその温度を感知してON動作し、電気ヒータ25に対して通電することができる。その結果、電気ヒータ25により連結配管22を加熱することができ、連結配管22内での水の凍結を防止することが可能となる。
【0029】
また、上記の電気回路30は、第1サーモスタット26により第1タンクユニット20の上部に温水が有ることが確認された場合で、かつ連結配管22内の温水温度が保温を必要とする温度、すなわち70℃以下に低下していることを第2サーモスタット27が感知した場合、つまり、第1サーモスタット26および第2サーモスタット27が共にON動作されている場合において、電気ヒータ25に対して通電することができる構成とされている。その結果、第1タンクユニット20の上部に温水が有ることが確認され、かつ連結配管22内の温水温度が保温を必要とする温度となっているときに、電気ヒータ25に通電して連結配管22を加熱し、タンクユニット内の温水温度を所要温度に保温することが可能となる。
【0030】
以上に説明の構成により、本実施形態によれば、以下の作用効果を奏する。
上記給湯システム1においては、密閉式貯湯タンク3を構成する複数の第1タンクユニット20および第2タンクユニット21内に温水を貯湯する場合、公知の如く、ヒートポンプ4および給水ポンプ11を運転し、冷媒/水熱交換器6において高温高圧の冷媒で水を加熱することにより温水を製造することができる。この温水を出湯配管12により第1タンクユニット20および第2タンクユニット21に導入し貯えて行くことにより、所要量の温水を貯湯することができる。また、この温水を第2タンクユニット21の上部から出湯管24を介して所要の給湯箇所に出湯することにより、給湯箇所での利用に供することができる。
【0031】
この間、第1タンクユニット20と第2タンクユニット21との間を接続している連結配管22においては、第1タンクユニット20および第2タンクユニット21内に温水が貯えられている場合、連結配管22から放熱されることによって温水の温度低下が想定される。また、温水が貯えられておらず、連結配管22の前後が水の場合、低外気温時に連結配管22内において水が凍結する可能性が想定される。
【0032】
しかるに、本実施形態では、連結配管22の外周に電気ヒータ25を設けており、この電気ヒータ25に対して、第1タンクユニット20の上部に設置した第1サーモスタット26、連結配管22の貯湯時に第1タンクユニット20への出口、出湯時に第2タンクユニット21への入口となる位置に設置した第2サーモスタット27および第3サーモスタット28を介して低外気温時で連結配管22内の水が凍結するおそれがある場合、または第1タンクユニット20の上部に温水があって、連結配管22内の温水の温度が保温を必要とする温度まで低下した場合にそれぞれ通電することにより、電気ヒータ25で連結配管22を加熱できるようにしている。
【0033】
つまり、本実施形態においては、第1サーモスタット26を50℃でON、40℃でOFF動作するサーモスタット、第2サーモスタット27を70℃でON、80℃でOFF動作するサーモスタット、第3サーモスタット28を5℃でON、10℃でOFF動作するサーモスタットとしており、このサーモスタット26,27,28を、図2に示されるように、第1サーモスタット26と第2サーモスタット27とを直列に接続した回路に対して、第3サーモスタット28を並列に接続することにより並列回路を構成し、この並列回路を電気ヒータ25の電源回路に電気ヒータ25と直列に接続した構成としている。
【0034】
このため、連結配管22に設置されている第3サーモスタット28が5℃以下の温度を感知してON動作したとき、または、第1タンクユニット20の上部に設置されている第1サーモスタット26が50℃以上の温度を感知してON動作されている状態で、連結配管22に設置されている第2サーモスタット27が70℃以下の温度を感知してON動作したとき、それぞれ電気ヒータ25に通電して連結配管22を加熱することができる。
【0035】
これにより、複数のタンクユニット20,21を比較的長い連結配管22を介して接続せざるを得ない貯湯タンク構造となった場合でも、第1タンクユニット20の上部の温水温度が設定温度(ここでは50℃)以上で、第1タンクユニット20の上部に温水が有ることが確認された場合に、連結配管22の温水温度が保温を必要とする設定温度(ここでは70℃)以下の温度のとき、電気ヒータ25に通電して連結配管22を加熱することにより、連結配管22からの放熱による温水温度の低下を防ぐことができる。また、連結配管22前後が水で外気温が低い場合に、連結配管22の温水温度が予め設定されている凍結防止温度(ここでは5℃)以下のとき、電気ヒータ25に通電して連結配管22を加熱することにより、連結配管部分での水の凍結を防ぐことができる。
【0036】
斯くして、本実施形態によると、貯湯タンク3の容量を増大する時に設置する複数のタンクユニット20,21の設置の自由度を高めることができるとともに、連結配管22での放熱によりタンクユニット20,21内に温水と温度低下した水とが斑に残る現象が生じる可能性や水の凍結によって連結配管22が破損する事故等の問題を解消することができる。また、タンクユニット20,21内の温水を消費したタイミングでは、連結配管22内に未沸かし上げの水が存在するケースが考えられ、この場合、温水の保温のみに着目して電気ヒータ25で加熱し続けると、水を電気ヒータ25で沸かすような事態になり兼ねないが、このような事態をも防止することができる。
【0037】
また、保温が必要時における連結配管22での放熱による温水の温度低下防止や、連結配管22での水の凍結防止等を、上記位置に設置した3個の第1ないし第3サーモスタット26,27,28を組み合わせた並列回路を電気ヒータ25の電気回路30に組み込んだだけの簡単な構成により簡易に実現することができ、密閉式貯湯タンク3の機能向上と信頼性の向上を図ることができる。
【0038】
さらに、上記した3個の第1、第2、第3サーモスタット26,27,28には、それぞれ適宜の温度幅で設定した温度ヒステリシスが設けられているため、各サーモスタット26,27,28の乱調やハンチングを防止することができるとともに、電気ヒータ25に対する無用な通電による電力消費を阻止することができる。従って、各サーモスタット26,27,28の動作を安定化し、電力消費量を低減しつつ、密閉式貯湯タンク3における温度低下防止や凍結防止機能の向上を図ることができる。
【0039】
[第2実施形態]
次に、本発明の第2実施形態について、図1および図4を用いて説明する。
本実施形態は、上記した第1実施形態におけるサーモスタット26,27,28および電気回路30に代えて、第1および第2温度センサ40,41および電気ヒータ25への通電制御部42を設けた構成としている点が異なる。その他の点については第1実施形態と同様であるので説明は省略する。
本実施形態においては、図1に示されるように、第1タンクユニット20の上部位置に第1温度センサ40を設けるとともに、連結配管22の貯湯時に第1タンクユニット20への出口、出湯時に第2タンクユニット21への入口となる位置に第2温度センサ41を設け、この第1および第2温度センサ40,41の検出値に基づいて、電気ヒータ25への通電をON/OFF制御する通電制御部42を設けた構成としている(図4参照)。
【0040】
この通電制御部42は、図3に示されているように、第2温度センサ41が凍結防止温度(ここでは5℃)以下の温度を検出したとき、または第1温度センサ40が第1の設定温度(ここでは50℃)以上の温度を検出し、かつ第2温度センサ41が第2の設定温度(ここでは70℃)以下の温度を検出したとき、それぞれ電気ヒータ25の電源回路の接点43をONとし、電気ヒータ25に通電する機能を有している。
【0041】
上記したように、本実施形態によると、第2温度センサ41が凍結防止温度(5℃)以下の温度を検出したとき、または第1温度センサ40が第1の設定温度(50℃)以上の温度を検出し、かつ第2温度センサ41が第2の設定温度(70℃)以下の温度を検出したとき、電気ヒータ25に通電して連結配管22を加熱することができる。
従って、保温が必要時における連結配管22での放熱による温水の温度低下防止や連結配管22での水の凍結防止等を、2個の温度センサ40,41と通電制御部42との組み合わせで実現することができ、第1実施形態と同様の効果が得られ、密閉式貯湯タンク3の機能向上と信頼性の向上を図ることができる。
【0042】
なお、本発明は、上記実施形態にかかる発明に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲において、適宜変形が可能である。例えば、密閉式貯湯タンク3やヒートポンプ4の構成は、上記した図1に示す実施形態の構成に限定されるものではなく、種々の変形が可能である。特に、第1タンクユニット20および第2タンクユニット21については、それぞれ1つの大きなタンクとして示されているが、各タンクユニットは、それぞれ小容量のタンクを複数個連結して構成したものとしてもよい。
【符号の説明】
【0043】
1 給湯システム
2 熱源機
3 密閉式貯湯タンク
20 第1タンクユニット(一のタンクユニット)
21 第2タンクユニット(他のタンクユニット)
22 連結配管
25 電気ヒータ
26 第1サーモスタット
27 第2サーモスタット
28 第3サーモスタット
29 電源
30 電気回路
40 第1温度センサ
41 第2温度センサ
42 通電制御部
43 接点


【特許請求の範囲】
【請求項1】
熱源機で製造された温水を貯湯タンクに貯え、適宜所要箇所に給湯する給湯システムに用いられる密閉式貯湯タンクであって、
一のタンクユニット上部と、他のタンクユニット底部とが連結配管を介して直列に接続され、前記一のタンクユニットが前記熱源機への給水側に、前記他のタンクユニットが前記熱源機からの出湯側に接続されている複数のタンクユニットと、
前記連結配管に設けられている電気ヒータと、
前記一のタンクユニット上部の温水温度および前記他のタンクユニット底部に接続されている前記連結配管の貯湯時に前記一のタンクユニットへの出口、出湯時に前記他のタンクユニットへの入口となる位置の温水温度に応答し、前記連結配管位置の温水温度が予め設定された凍結防止温度以下のとき、または前記一のタンクユニット上部の温水温度が温水の有無を確かめるために予め設定された第1の設定温度以上で、かつ前記連結配管位置の温水温度が保温を必要とする予め設定された第2の設定温度以下のとき、前記電気ヒータに通電する手段と、を備えていることを特徴とする密閉式貯湯タンク。
【請求項2】
前記電気ヒータへの通電手段は、
前記一のタンクユニット上部に設置され、温水の有無を確かめるために前記第1の設定温度以上の温度でON動作する第1サーモスタットと、
前記連結配管位置に設置され、前記第1の設定温度よりも高温の保温を必要とする前記第2の設定温度以下の温度でON動作する第2サーモスタットと、
前記連結配管位置に設置され、前記第1の設定温度よりも低温の前記凍結防止温度以下の温度でON動作する第3サーモスタットと、を備え、
前記電気ヒータの電源回路に、前記第1サーモスタットおよび前記第2サーモスタットを直列に接続した回路と前記第3サーモスタットとを並列に接続した並列回路を設けた構成とされていることを特徴とする請求項1に記載の密閉式貯湯タンク。
【請求項3】
前記第1サーモスタット、前記第2サーモスタットおよび前記第3サーモスタットは、それぞれ適宜幅の温度ヒステリシスを以てOFF動作する構成とされていることを特徴とする請求項2に記載の密閉式貯湯タンク。
【請求項4】
前記電気ヒータへの通電手段は、
前記一のタンクユニットの上部位置に設置され、当該位置の温水温度を検出する第1温度センサと、
前記連結配管位置に設置され、当該位置での温水温度を検出する第2温度センサと、
前記第1温度センサおよび前記第2温度センサの検出温度に基づいて、前記第2温度センサが前記凍結防止温度以下の温度を検出したとき、または前記第1温度センサが前記一のタンクユニット上部に温水の有無を確認する第1の設定温度以上の温度を検出し、かつ前記第2温度センサが保温を必要とする第2の設定温度以下の温度を検出したときに、前記電気ヒータに通電する制御部と、を備えていることを特徴とする請求項1に記載の密閉式貯湯タンク。



【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2013−96678(P2013−96678A)
【公開日】平成25年5月20日(2013.5.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−242365(P2011−242365)
【出願日】平成23年11月4日(2011.11.4)
【出願人】(000006208)三菱重工業株式会社 (10,378)
【Fターム(参考)】