説明

寝室構造および寝室用置き棚

【課題】一緒に居ながら静かで快適に就寝することができる寝室構造と、この寝室構造に好適に用いることができる寝室用置き棚とを提供する。
【解決手段】寝室用置き棚1は、人が横たわることが可能な大きさに形成され、畳22が敷設可能となされた床面2と、この床面2の長手方向の一辺に隣接して設けられた置き棚3とを具備し、置き棚3は、床面2に横たわった人の視線の高さに、この置き棚3の床面2側から反対側へと貫通する開放棚32が設けられ、この開放棚32には、開放棚32の長手方向に沿って滑動可能となされた引き戸31が設けられてなる。この寝室用置き棚1による寝室構造は、この引き戸31の開閉によって置き棚3の隣接する位置に設けたベッド5と、床面2との間を連通させたり閉塞させたりできるようになされたものである。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、住宅建物内の寝室構造と、この寝室構造に好適に用いることができる寝室用置き棚とに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来より、住宅建物において、夫婦の寝室のように二人用の就寝空間には、一つの寝室にダブルベッドを一つ配置するか、シングルベッドを二つ配置して構成されている(例えば、特許文献1参照)。
【特許文献1】特開2002−70334号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかし、上記従来の寝室の場合、相手のイビキが気になったり、相手の読書灯が気になったりして寝付けないといった不都合を生じることとなる。また、ダブルベッドで就寝する場合には、夜中にトイレへ行くためにベッドを離れる際にベッドが揺れて相手を起こしてしまったりするといった不都合を生じる。
【0004】
そのため、夫婦別室で就寝するといったことも考えられるが、高齢者夫婦や病気を抱えた夫婦などの場合、相手の体調の異変に直ぐに気づくことが出来ないといった不都合を生じることとなる。
【0005】
本発明は係る実情に鑑みてなされたものであって、一緒に居ながら静かで快適に就寝することができる寝室構造と、この寝室構造に好適に用いることができる寝室用置き棚とを提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するための本発明の寝室構造は、寝室に二つのベッドが隣接して設けられ、これらベッド間を遮るように置き棚が設けられ、この置き棚は、双方のベッド間を貫通する開放棚を具備し、開放棚は、ベッドに横たわった人の視線高さ位置に設けられるとともに、この開放棚に沿って滑動可能となされた引き戸が設けられ、この引き戸の開閉によって隣接するベッド間を連通させたり閉塞させたりできるようになされたものである。
【0007】
また、置き棚には、一方のベッド側および/または他方のベッド側に開放された収納棚がさらに具備されたものであってもよい。
【0008】
さらに、置き棚の少なくとも一方に畳を敷設可能な床面が形成され、この床面がベッドとなされたものであってもよい。
【0009】
また、上記課題を解決するための本発明の寝室用置き棚は、上記寝室構造に用いられる寝室用の置き棚であって、人が横たわることが可能な大きさに形成され、畳が敷設可能となされた床面と、この床面の長手方向の一辺に隣接して設けられた置き棚とを具備し、
置き棚は、床面に横たわった人の視線の高さに、この置き棚の床面側から反対側へと貫通する開放棚が設けられ、この開放棚には、開放棚の長手方向に沿って滑動可能となされた引き戸が設けられてなるものである。
【発明の効果】
【0010】
以上述べたように、本発明によると、置き棚によってベッド間が遮られるので、それぞれが静かに就寝することができる。
【0011】
また、ベッド間を遮っているのは置き棚で、しかも引き戸を開閉することによってベッド間を見通すことができるので、隣で就寝している人に何か異変などがあった場合にはすぐに確認したり、知らせたりすることができるので、安心して快適に就寝することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
以下、本発明の実施の形態を図面を参照して説明する。
【0013】
図1ないし図3は寝室用置き棚1の全体構成の概略を示し、図4は同寝室用置き棚1を設けた寝室10を示している。
【0014】
すなわち、この寝室用置き棚1は、寝室10に用いられるものであって、床面2と置き棚3とを具備し、置き棚3には、引き戸31によって開閉可能な開放棚32が設けられている。
【0015】
床面2は、幅約1450mm、長さ約2000mm、高さ約150mmに形成された木製枠組21の上面に、畳22をはめ込んで形成されている。この床面2は、長手方向に沿って人が横たわることができる大きさとなされており、一方を頭側、他方を足側にして就寝することができる畳ベッドを構成するようになされている。
【0016】
置き棚3は、この床面2の長手方向に沿った一方の側面に一体化するように設けられている。この置き棚3は、長さ約2000mm、幅約220mm、高さ約1200mmに形成され、長さ方向の中央に設けられた仕切り板3aで、前後に仕切られている。なお、前は上記床面2の頭側、後は上記床面2の足側である。
【0017】
置き棚3の上から一段目と二段目とは、床面2側に開口して反床面側が閉塞された、または反床面側に開口して床面2側が閉塞された、収納棚33が形成されている。この収納33は、仕切り板3aより前側が床面2側に開口していれば、後側が反床面側に開口し、前面が反床面側に開口していれば後側が床面側に開口するように互い違いに形成されている。
【0018】
また、置き棚3の上から三段目は、床面2側から反床面側へと貫通する開放棚32が形成されている。この開放棚32は、床面2側端縁および反床面側端縁に設けられたガイドレール(図示省略)に沿って引き戸31が滑動可能に設けられている。この引き戸31は、開放棚32の仕切り板3aの前後何れか半分を閉塞することができる大きさに形成されており、床面2側および反床面側にそれぞれ一枚ずつ設けられる。この引き戸31は、両面の両側に引き手31aが設けられており、床面2側または反床面側の何れからでも、床面2側または反床面側の引き戸31を開閉することができるようになされている。
【0019】
さらに、置き棚3の上から四段目は、床面2側、または反床面側へ引き出すことができる引き出し収納棚34を形成するようになされている。
【0020】
この寝室用置き棚1の床面2の頭側の位置には、ヘッドボード4が設けられている。このヘッドボード4は、置き棚3を挟んで反床面側にも延設されており、高さ約1250mm、幅約3140mmに形成されている。そして、この反床面側に延設されたヘッドボード4の位置が頭となるように、置き棚3を挟んだ床面2の反対側の位置に、ベッド5の配置場所が形成されている。
【0021】
このようにして構成される寝室用置き棚1は、寝室10に設けられ、上記した配置場所にベッド5を設けて使用される。
【0022】
この寝室用置き棚1によって構成される寝室構造によると、一人はベッド5で就寝し、残りの一人は床面2に布団を敷いて就寝する。この際、ベッド5まはた床面2の何れ側で寝る場合であっても、両者間に置き棚3があるため、何れか一方で読書灯を付けているような場合であっても、置き棚3が程よく光を遮断するので、他の一方では眩しくて気になる程ではなく、快適に就寝することができる。また、何れか一方でイビキをかくようなことがあっても、置き棚3が程よく遮音するため、他の一方では快適に就寝することができる。
【0023】
また、上記の何れの場合でも、完全に気配を消すのではなく、何となく気配を感じながら就寝することができる。したがって、高齢者や病人などを抱えているような家庭の場合、万が一何かあった場合は、素早く気づくことができる。また、就寝中に何か気になるような場合であっても、寝た体勢のまま開放棚32の引き戸31を開けて隣を確認することができるし、この引き戸31を開けたまま就寝することもできる。また、二人のうち何れかが死亡したり、何らかの理由で一人になった場合には、ベッド5で就寝し、床面2は和室コーナーとして使用することができる。
【0024】
なお、本実施の形態において、寝室用置き棚1は、置き棚3の一方に床面2が設けられているが、置き棚3の両側に床面2が形成されたものであってもよいし、置き棚3のみで構成され、寝室10で使用する際には置き棚3の両側にそれぞれベッド5を設けるものであってもよい。
【0025】
また、本実施の形態において、寝室用置き棚1は、置き棚3の上から三段目の位置に、引き戸31によって開閉可能な開放棚32を設けているが、この開放棚32を設ける高さ位置としては、特に上から三段目に限定されるものではなく、1段目、2段目または4段目であってもよい。この開放棚32を設ける位置としては、就寝した状態のまま引き戸31を開けて隣を確認することができる高さを基準に決定される。床面2の畳22の表面を0とした場合、開放棚32を設ける位置としては、0〜1000mm、好ましくは200〜600mmが良い。また、開口の高さとしても600mm以下、好ましくは200mm〜350mm程度がよい。開口高さが大きすぎると引き戸31を開けた際に大きく開口し過ぎて置き棚3の意味が無くなり、小さすぎると引き戸31を開けた際に充分に開口せず隣を確認し難くなる。
【0026】
また、本実施の形態において、寝室用置き棚1は、置き棚3に、開放棚32以外に、収納棚33、引き出し収納棚34を設けているが、上記したように、就寝した状態のまま隣の位置を確認できる位置に開放棚32を設けておけば、その他については各棚の割付位置や設ける数としては、特に限定されるものではなく、自由に設計したものを用いることがてきる。
【産業上の利用可能性】
【0027】
本発明に係る寝室構造および寝室用置き棚は、住宅建物の二人用の寝室空間に使用される。
【図面の簡単な説明】
【0028】
【図1】本発明に係る寝室構造に用いられる寝室用置き棚の全体構成の概略を示す斜視図である。
【図2】(a)は本発明に係る寝室構造に用いられる寝室用置き棚の反床面側の側面図、(b)は同図(a)におけるI−I線断面図である。
【図3】(a)は本発明に係る寝室構造に用いられる寝室用置き棚の床面側の側面図、(b)は同図(a)におけるII−II 線断面図である。
【図4】図1ないし図3に係る寝室用置き棚を設けて構成された本発明に係る寝室構造を示す平面図である。
【符号の説明】
【0029】
1 寝室用置き棚
10 寝室
2 床面
22 畳
3 置き棚
31 引き戸
32 開放棚
33 収納棚
5 ベッド

【特許請求の範囲】
【請求項1】
寝室に二つのベッドが隣接して設けられ、これらベッド間を遮るように置き棚が設けられ、この置き棚は、双方のベッド間を貫通する開放棚を具備し、
開放棚は、ベッドに横たわった人の視線高さ位置に設けられるとともに、この開放棚に沿って滑動可能となされた引き戸が設けられ、この引き戸の開閉によって隣接するベッド間を連通させたり閉塞させたりできるようになされたことを特徴とする寝室構造。
【請求項2】
置き棚には、一方のベッド側および/または他方のベッド側に開放された収納棚がさらに具備された請求項1記載の寝室構造。
【請求項3】
置き棚の少なくとも一方に畳を敷設可能な床面が形成され、この床面がベッドとなされた請求項1または2記載の寝室構造。
【請求項4】
請求項3記載の寝室構造に用いられる寝室用の置き棚であって、
人が横たわることが可能な大きさに形成され、畳が敷設可能となされた床面と、この床面の長手方向の一辺に隣接して設けられた置き棚とを具備し、
置き棚は、床面に横たわった人の視線の高さに、この置き棚の床面側から反対側へと貫通する開放棚が設けられ、この開放棚には、開放棚の長手方向に沿って滑動可能となされた引き戸が設けられてなることを特徴とする寝室用置き棚。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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