説明

対象画像検出デバイス、その制御方法、制御プログラム、および該プログラムを記録した記録媒体、ならびに対象画像検出デバイスを備えた電子機器

【課題】顔画像の検出結果を迅速に出力する。
【解決手段】デジタルカメラ10の制御部20は、撮影画像の中から顔画像を検出する対象画像検出デバイスである。制御部20は、撮影画像を取得する画像取得部22と、顔画像を検出するための複数の検出条件のうち、前回の検出条件とは異なる検出条件に決定する条件決定部23と、画像取得部22が取得した撮影画像に対し、条件決定部23が決定した検出条件で、顔画像を検出する顔検出部24と、検出された顔画像の位置情報を画像合成部17に出力する位置情報出力部26とを備えている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、元画像の中から対象画像を検出する対象画像検出デバイス、その制御方法、制御プログラム、および該プログラムを記録した記録媒体、ならびに対象画像検出デバイスを備えた電子機器に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、撮像機器および表示デバイスなどにおいて、使い易いユーザインタフェースを提供したり、自動的に最適な画像を取得したりするために、撮影対象または表示対象を自動認識するニーズが高まっている。このようなニーズの一例として、人の顔を検出し、検出した顔に最適なフォーカスおよび露出となるように調整したり、文字を認識し、認識した文字の領域を自動的にOCR(Optical Character Recognition)の対象にしたりするような機能が挙げられる。
【0003】
一般に、このような機能を実現するには、高度な画像処理が必要となり、多大な計算量が必要となる。また、上記機能は、一般に、リアルタイム性が要求されるため、高速な処理が必要となる。このため、デジタルカメラ、携帯型通信端末などのような、処理能力、消費電力、およびコストが制約される組込み機器で上記機能を実現することが困難な場合が多い。
【0004】
この問題点に対し、処理を高速化する種々の方法が提案されている。例えば、特許文献1に記載の画像処理装置では、解像度が順次段階的に変化する順序により縮小画像を順次テンプレートマッチングして、特定の被写体が撮影された領域を検出し、検出後に処理を中断することにより、処理の高速化を図っている。また、特許文献2に記載の顔検出方法では、大きい顔から順に検出し、顔が検出されたら、それ以降は既に顔が検出された領域を検出対象領域から除いて検出を続けている。これにより、顔を検出する度に検出対象領域を縮小できるので、処理を高速化することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2007−135115号公報(2007年5月31日公開)
【特許文献2】特開2006−301847号公報(2006年11月2日公開)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
特許文献1の画像処理装置は、特定の被写体の動きを追従するためのものである。このため、不特定であり、かつ数が未定である被写体が撮影された領域を検出する処理では、検出後に処理を中断することが困難であり、処理の高速化を図ることが困難となる。また、特許文献2の顔検出方法では、検出対象領域に対する顔の検出を、大きい顔から小さい顔まで順番に繰り返しているため、依然として処理に時間がかかることになる。
【0007】
本発明は、上記の問題点に鑑みてなされたものであり、その目的は、検出結果を迅速に出力できる対象画像検出デバイスなどを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明に係る対象画像検出デバイスは、元画像の中から対象画像を検出する対象画像検出デバイスであって、前記元画像を取得する取得手段と、前記対象画像を検出するための複数の検出条件のうち、前回の検出条件とは異なる第1の検出条件に決定する決定手段と、前記取得手段が取得した第1の元画像から、前記決定手段が決定した第1の検出条件で前記対象画像を検出する検出手段と、前記検出手段が検出した対象画像を特定可能な情報を、前記第1の元画像に続く第2の元画像に出力する出力手段とを備え、前記決定手段は、或る検出条件と前記検出手段が該検出条件で前記対象画像を検出したか否かを示す検出結果との対応付けの履歴に基づいて、前記第1の検出条件とは異なる第2の検出条件をさらに決定することを特徴としている。
【0009】
また、本発明に係る対象画像検出デバイスの制御方法は、元画像の中から対象画像を検出する対象画像検出デバイスの制御方法であって、前記元画像を取得する取得ステップと、前記対象画像を検出するための複数の検出条件のうち、前回の検出条件とは異なる第1の検出条件に決定する決定ステップと、前記取得ステップにおいて取得された第1の元画像から、前記決定ステップにおいて決定された第1の検出条件で前記対象画像を検出する検出ステップと、前記検出ステップにおいて検出された対象画像を特定可能な情報を、前記第1の元画像に続く第2の元画像に出力する出力ステップとを含み、前記決定ステップでは、或る検出条件と前記検出ステップにおいて該検出条件で前記対象画像が検出されたか否かを示す検出結果との対応付けの履歴に基づいて、前記第1の検出条件とは異なる第2の検出条件をさらに決定することを特徴としている。
【0010】
本発明に係る対象画像検出デバイスでは、前記検出手段は、前記第2の元画像から前記決定手段が決定した第2の検出条件で前記対象画像をさらに検出し、前記出力手段は、前記検出手段が検出した対象画像を特定可能な情報を、前記第2の元画像に続く第3の元画像にさらに出力してもよい。
【0011】
本発明に係る対象画像検出デバイスは、前記検出条件が検出した対象画像を、当該対象画像を含む元画像に続く元画像にて追跡する追跡手段をさらに備えてもよい。
【0012】
本発明に係る対象画像検出デバイスでは、前記追跡手段は、前記第1の検出条件に含まれる追跡条件で、前記第2の元画像にて前記対象画像を追跡し、前記出力手段は、前記追跡手段が追跡した対象画像を特定可能な情報を、前記第2の元画像に続く第3の元画像にさらに出力してもよい。
【0013】
本発明に係る対象画像検出デバイスは、前記対応付けの履歴に基づいて、前記追跡手段が追跡した追跡結果を補正する補正手段をさらに備え、前記出力手段は、前記補正手段が補正した追跡結果を、前記追跡手段が追跡した対象画像を特定可能な情報として、前記第2の元画像に続く第3の元画像にさらに出力してもよい。
【0014】
本発明に係る対象画像検出デバイスでは、前記補正手段は、前記検出結果に対応付けられた検出条件に含まれる数値の平均で、前記追跡手段が追跡した追跡結果を補正してもよい。
【0015】
本発明に係る対象画像検出デバイスでは、前記補正手段は、前記検出条件を変更することで前記対象画像を検出したことを示す検出結果の検出数が減少した場合、減少する前の検出条件を優先して適用することによって、前記追跡手段が追跡した追跡結果を補正してもよい。
【0016】
本発明に係る対象画像検出デバイスでは、前記決定手段は、或る検出条件によるこれまでの検出回数に応じて当該検出条件の利用頻度を変更し、変更した利用頻度に基づいて、前記複数の検出条件のうち、前回の検出条件とは異なる検出条件に決定してもよい。
【0017】
本発明に係る対象画像検出デバイスでは、前記決定手段は、前記対象画像を検出するための複数の検出条件の組み合わせに応じて、前記複数の検出条件のうち、前回の検出条件とは異なる検出条件に決定してもよい。
【0018】
本発明に係る対象画像検出デバイスでは、前記決定手段は、所定の規則性に基づいて前記対象画像を検出するための複数の検出条件の順番を変更することによって、前記複数の検出条件のうち、前回の検出条件とは異なる検出条件に決定してもよい。
【0019】
本発明に係る対象画像検出デバイスは、或る検出条件と前記検出手段が該検出条件で前記対象画像を検出したか否かを示す検出結果との対応付けの履歴を記憶する結果履歴記憶部をさらに備えてもよい。
【0020】
本発明に係る対象画像検出デバイスでは、前記決定手段は、前記対象画像を検出するための複数の検出条件の中から、検出条件を逐次決定してもよい。
【0021】
本発明に係る対象画像検出デバイスでは、前記取得手段は、動画像に含まれる一連の静止画像を前記元画像として取得してもよい。
【0022】
本発明に係る電子機器は、上記対象画像検出デバイスを備えてもよい。
【0023】
本発明に係る電子機器は、情報を表示する表示部と、前記対象画像検出デバイスが検出した検出結果を示す画像を、前記元画像に合成して前記表示部に表示させる画像合成手段とをさらに備えてもよい。
【0024】
なお、上記対象画像検出デバイスにおける各手段を、制御プログラムによりコンピュータ上で実行させることができる。さらに、上記制御プログラムをコンピュータ読取り可能な記録媒体に記憶させることにより、任意のコンピュータ上で上記制御プログラムを実行させることができる。
【発明の効果】
【0025】
以上のように、本発明に係る対象画像検出デバイスは、元画像を取得すると、対象画像を検出するための複数の検出条件のうち、前回の検出条件とは異なる検出条件で、取得された元画像に対して対象画像を検出して、検出結果を出力するので、従来技術に比べて、対象画像の一部の検出結果ではあるが、該検出結果を短時間で出力でき、その結果、出力された検出結果を他のデバイスが迅速に利用できるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【図1】本発明の一実施形態であるデジタルカメラの概略構成を示すブロック図である。
【図2】顔検出の検出条件の例を示す図である。
【図3】上記デジタルカメラにおける顔検出処理および顔追跡処理の処理動作を示すフローチャートである。
【図4】上記デジタルカメラにおいて表示される合成画像の例と、従来技術により表示される合成画像の比較例とを時系列的に示す図である。
【図5】本発明の他の実施形態であるデジタルカメラの概略構成を示すブロック図である。
【図6】上記デジタルカメラにおける顔検出処理および顔追跡処理の処理動作を示すフローチャートである。
【図7】上記デジタルカメラにおける顔追跡の追跡結果を補正する一例を説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0027】
〔実施の形態1〕
本発明の一実施形態について図1〜図4を参照して説明する。図1は、本実施形態であるデジタルカメラの概略構成を示している。図示のように、デジタルカメラ(電子機器)10は、撮影部11で撮影され、画像処理部12にて画像処理された撮影画像(元画像)が、ライブビュー画像として表示部13に表示される。また、デジタルカメラ10は、ユーザが操作部14のシャッターボタン(図示せず)を押すと、画像処理部12にて画像処理された撮影画像が、画像圧縮部15にて画像圧縮された後、画像記録部16に記憶される。
【0028】
本実施形態のデジタルカメラ10は、まず、画像処理部12にて画像処理された撮影画像を取得し、顔画像(対象画像)を検出するための複数の検出条件のうち、前回の検出条件とは別の検出条件に変更する。次に、取得された撮影画像に対し、変更された検出条件で顔画像を検出する。そして、検出された顔画像の領域を囲む枠画像(対象画像を特定可能な情報)を生成し、生成された枠画像を、画像合成部(画像合成手段)17にて上記撮影画像と合成して、ライブビュー画像として表示部13に表示される。
【0029】
これにより、従来技術に比べて、顔画像の一部の検出結果ではあるが、該検出結果が短時間で出力される。その結果、出力された検出結果を利用して、枠画像を迅速に表示することができる。また、続く撮影画像に対し、さらに別の検出条件で顔画像を検出し、別の検出結果が短時間で出力される。従って、撮影画像が動画像である場合、枠画像の数が徐々に増えていくので、枠画像の表示の様子が、従来技術に比べて滑らかとなる。
【0030】
次に、本実施形態のデジタルカメラ10の詳細について説明する。上述のように、デジタルカメラ10は、撮影部11、画像処理部12、表示部13、操作部14、画像圧縮部15、画像記録部16、および画像合成部17を備えている。さらに、図1に示すように、デジタルカメラ10は、制御部(対象画像検出デバイス)20および記憶部21を備えている。
【0031】
撮影部11は、被写体の撮影を行うものであり、例えばレンズ群、絞り、撮像素子などの光学系と、アンプ、A/Dコンバータなどの回路系とを備えている。撮像素子の例としては、CCD、CMOS(Complementary Metal-oxide Semiconductor)イメージセンサなどが挙げられる。撮影部11は、上記撮影により撮影画像を生成し、撮影画像のデータに変換して画像処理部12に送信する。
【0032】
画像処理部12は、撮影部11からの撮影画像のデータに対し、マトリックス演算、γ補正、ホワイトバランスの調整などの画像処理を行うものである。また、画像処理部12は、画像処理された撮影画像のデータから、表示用、記録用、および顔検出用の撮影画像のデータを作成し、それぞれ、表示部13、画像圧縮部15、および制御部20に送信する。なお、表示用および顔検出用の撮影画像のデータは同じであってもよい。
【0033】
画像合成部17は、画像処理部12からの撮影画像に対し、制御部20からの指示に基づく画像を合成するものである。画像合成部17は、合成した画像である合成画像のデータを表示部13に送信する。
【0034】
本実施形態では、画像合成部17は、制御部20が検出した顔画像の位置情報を受信し、受信した位置情報に基づいて、上記顔画像を適当に囲む矩形画像、円形画像などの枠画像を生成する。また、画像合成部17は、制御部20が追跡した顔画像の位置情報を受信し、受信した位置情報に基づいて、上記顔画像を適当に囲む枠画像を生成する。そして、画像合成部17は、生成した枠画像を画像処理部12からの撮影画像に合成する。合成された合成画像は、そのデータが表示部13に送信されて、表示部13に表示される。
【0035】
なお、制御部20が検出した顔画像に関する枠画像と、制御部20が追跡した顔画像に関する枠画像とは、同じでもよいし、異なっていてもよい。また、枠画像は、その内側に顔画像を含むことを示し得る図形であればよく、例えば、矩形の頂点付近のみを表示するような画像であってもよい。
【0036】
表示部13は、LCD(液晶表示素子)、CRT(陰極線管)、プラズマディスプレイなどの表示デバイスによって構成されている。表示部13は、画像合成部17からの合成画像のデータに基づいて、文字や画像などの各種の情報を表示出力する。
【0037】
操作部14は、ユーザの操作によりユーザから各種の入力を受け付けるものであり、入力用ボタン、タッチパネル、その他の入力デバイスによって構成されている。操作部14は、ユーザが操作した情報を操作データに変換して制御部20に送信する。なお、入力デバイスの他の例としては、キーボードと、テンキーと、マウスなどのポインティングデバイスとが挙げられる。
【0038】
画像圧縮部15は、画像処理部12からの撮影画像のデータを、JPEG、MPEGなどの方式に従って圧縮するものである。画像圧縮部15は、圧縮した撮影画像のデータを画像記録部16に記録する。
【0039】
画像記録部16は、情報を記録するものであり、特に画像圧縮部15が圧縮した撮影画像のデータを記録するものである。画像記録部16は、フラッシュメモリ、ハードディスクなどの不揮発性の記憶装置によって構成される。
【0040】
制御部20は、デジタルカメラ10内における各種構成の動作を統括的に制御する。制御部20は、例えばCPU(Central Processing Unit)およびメモリを含むコンピュータによって構成される。そして、各種構成の動作制御は、制御プログラムをコンピュータに実行させることによって行われる。このプログラムは、例えばフラッシュメモリなどのリムーバブルメディアに記録されているものを読み込んで使用する形態であってもよいし、ハードディスクなどにインストールされたものを読み込んで使用する形態であってもよい。また、上記プログラムをダウンロードしてハードディスクなどにインストールして実行する形態なども考えられる。なお、制御部20の詳細については後述する。
【0041】
記憶部21は、フラッシュメモリ、ROM(Read Only Memory)などの不揮発性の記憶装置と、RAM(Random Access Memory)などの揮発性の記憶装置とによって構成されるものである。不揮発性の記憶装置に記憶される内容としては、上記した制御プログラム、OS(operating system)プログラム、その他の各種プログラム、画像処理部12における動作設定値、入力された文字データなどが挙げられる。画像処理部12における動作設定値としては、装置出荷時やメンテナンス時などに設定されるホワイトバランスの値、撮影画像の明暗などを調整する際の画像処理に関する各種パラメータ値などが挙げられる。一方、揮発性の記憶装置に記憶される内容としては、作業用ファイル、テンポラリファイルなどが挙げられる。なお、記憶部21の詳細については後述する。
【0042】
本実施形態では、制御部20は、時系列順の複数の撮影画像からなる動画像に関して、上記撮影画像から顔画像を検出する顔検出機能と、検出された顔画像を、続く撮影画像から検出することにより、上記顔画像を追跡する顔追跡機能とを有している。なお、顔画像の検出には、テンプレートマッチングを利用したり、肌色領域を検出したり、顔の輪郭を検出したり、顔の特徴点を検出したりするなど、公知の顔検出技術を利用することができる。
【0043】
図1には、制御部20および記憶部21において、顔検出機能および顔追跡機能に関連する構成が示されている。図示のように、制御部20は、画像取得部(取得手段)22、条件決定部(決定手段)23、顔検出部(検出手段)24、顔追跡部(追跡手段)25、および位置情報出力部(出力手段)26を備える構成である。また、記憶部21は、条件記憶部27および結果履歴記憶部28を備える構成である。
【0044】
条件記憶部27は、上記顔画像を検出するための複数の検出条件(以下「顔検出の検出条件」と称する。)を予め記憶している。図2は、上記顔検出の検出条件の例を示している。なお、図示の矢印は、テンプレートのスキャン方向を示している。同図の(a)は、上記テンプレートマッチングで利用されるテンプレートであって、サイズが異なる複数のテンプレートを示している。また、同図の(b)は、上記テンプレートに対し画像内の回転(RIP(Rotation In Plane))を行った複数のテンプレートを示している。また、同図の(c)は、上記テンプレートに対し観測方向の変化(ROP(Rotation Off Plane))した複数のテンプレートを示している。
【0045】
また、図2の(d)は、顔検出の対象となる撮影画像において、上記テンプレートで検索を行う複数の検索範囲を示している。また、同図の(e)は、特徴量の異なる複数のテンプレートを示している。その他の検出条件としては、顔検出を良好に行うための複数の画像フィルタ、テンプレートとの類似度を算出する複数の類似度算出方法などが挙げられる。
【0046】
ところで、人は、1または数フレームといったごく短時間にさほど移動しないと考えられる。このことから、或る撮影画像で検出された顔画像は、続く撮影画像においても、前回検出された顔画像の位置付近に、前回の検出条件と同じまたは類似する検出条件で検出されることが予想される。従って、上記顔画像を追跡するための追跡条件は、上記顔画像を検出するための検出条件に含まれることになる。
【0047】
結果履歴記憶部28は、上記顔検出の検出結果および検出条件と、上記顔追跡の追跡結果および検出条件とを結果履歴として蓄積している。上記検出結果および上記追跡結果としては、検出された顔画像の検出日時、サイズ、位置情報などが挙げられる。
【0048】
画像取得部22は、画像処理部12から撮影画像のデータを取得するものである。画像取得部22は、上記撮影画像のデータを取得すると、その旨を条件決定部23に通知すると共に、取得した上記撮影画像のデータを顔検出部24および顔追跡部25に送出する。
【0049】
条件決定部23は、画像取得部22からの通知を受け取ると、結果履歴記憶部28の検出条件を参照し、条件記憶部27における複数の検出条件の中から、前回の検出条件とは異なる検出条件を決定するものである。本実施形態では、条件決定部23は、撮影画像から全ての顔画像を検出するために必要とされる複数の検出条件を逐次決定している。条件決定部23は、決定した検出条件を顔検出部24に送出する。
【0050】
また、条件決定部23は、画像取得部22からの通知を受け取ると、結果履歴記憶部28における顔画像の検出履歴および追跡履歴に基づき、上記追跡条件を決定する。条件決定部23は、決定した追跡条件を顔追跡部25に送出する。なお、条件決定部23は、上記追跡条件を決定するときに、条件記憶部27における複数の検出条件を利用してもよい。
【0051】
顔検出部24は、画像取得部22から撮影画像のデータを受け取ると、条件決定部23からの検出条件に基づいて、当該撮影画像から顔画像を検出する。顔検出部24は、検出結果を位置情報出力部26に送出すると共に、上記検出結果および上記検出条件を結果履歴記憶部28に蓄積する。なお、顔検出部24が行う顔検出の具体的な処理は、従来と同様であるので、その説明を省略する。
【0052】
顔追跡部25は、画像取得部22から撮影画像のデータを受け取ると、条件決定部23からの追跡条件に基づいて、当該撮影画像から顔画像を追跡する。具体的には、顔追跡部25は、条件決定部23からの上記顔追跡に適した検出条件に基づいて、前回検出した顔画像を当該撮影画像から検出する。顔追跡部25は、追跡結果を位置情報出力部26に送出すると共に、上記追跡結果および上記追跡条件を結果履歴記憶部28に蓄積する。なお、顔追跡部25が行う顔追跡の具体的な処理は、従来と同様であるので、その説明を省略する。
【0053】
位置情報出力部26は、顔検出部24からの検出結果に基づいて、検出された顔画像の位置情報を画像合成部17に出力するものである。また、位置情報出力部26は、顔追跡部25からの追跡結果に基づいて、追跡された顔画像の位置情報を画像合成部17に出力するものである。
【0054】
なお、位置情報出力部26が出力する顔画像の位置情報としては、撮影画像における顔画像の領域を特定できる情報であれば任意の情報を利用できる。上記顔画像の位置情報の例としては、上記顔画像の領域における中心座標および幅の組合せや、上記顔画像の領域の境界を示す矩形の4頂点の座標の組合せなどが挙げられる。
【0055】
図3は、上記構成のデジタルカメラ10における顔検出処理および顔追跡処理の処理動作を示している。図示のように、撮影部11にて撮影された動画像における一撮影画像を画像取得部22が取得すると、条件決定部23は、結果履歴記憶部28における結果履歴である顔画像の検出履歴および追跡履歴を参照し、検出された顔画像(検出済対象)が存在するか否かを判断する(ステップS10。以下、単に「S10」と記載することがある。他のステップについても同様である。)。存在しない場合、ステップS15に進む。
【0056】
検出済対象が存在する場合、条件決定部23は、上記結果履歴から上記追跡条件を決定し(S11)、決定された追跡条件で、顔追跡部25は、検出された顔画像を追跡する(S12)。次に、顔追跡部25は、追跡結果および追跡条件を結果履歴記憶部28に記憶する一方、位置情報出力部26は、上記追跡結果に基づく顔画像の位置情報を画像合成部17に出力する(S13)。これにより、画像合成部17は、顔追跡部25が追跡した顔画像に関する枠画像を生成し、生成した枠画像と撮影画像とを合成して、表示部13を介して表示出力する。
【0057】
次に、条件決定部23は、上記検出済対象を全て処理したか否かを判断する(S14)。全て処理していない場合、ステップS11に戻って上記処理動作を繰り返す。一方、全て処理している場合、ステップS15に進む。
【0058】
ステップS15において、条件決定部23は、結果履歴記憶部28における検出条件を参照して、検出条件を前回の検出条件から変更する。次に、変更された検出条件で、顔検出部24は、顔画像を検出する(S16)。そして、顔検出部24は、検出結果および検出条件を結果履歴記憶部28に記憶する一方、位置情報出力部26は、上記検出結果に基づく顔画像の位置情報を画像合成部17に出力する(S17)。これにより、画像合成部17は、顔検出部24が検出した顔画像に関する枠画像を生成し、生成した枠画像と撮影画像とを合成して、表示部13を介して表示出力する。その後、処理動作を終了する。
【0059】
図4は、上記合成画像の例を示している。同図の(a)は、本実施形態のデジタルカメラ10において表示される合成画像の例を時系列的に示している。また、同図の(b)は、比較例であり、従来のデジタルカメラにおいて表示される合成画像の例を時系列的に示している。なお、図示の例では、全ての顔検出を行うための検出条件の数は5つとしている。
【0060】
本実施形態では、図4の(a)に示すように、1番目の撮影画像a1に対し、第1の検出条件で顔検出が行われて、検出された顔画像を囲む矩形の枠画像b1が2番目の撮影画像a2に合成されて表示される。次に、2番目の撮影画像a2に対し、第1の検出条件とは異なる第2の検出条件で顔検出が行われて、検出された顔画像を囲む矩形の枠画像b2が3番目の撮影画像a3に合成されて表示される。また、2番目の撮影画像a2に対し、枠画像b1で囲まれた顔画像に適した追跡条件で顔追跡が行われて、追跡された顔画像を囲む矩形の枠画像c1が3番目の撮影画像a3に合成されて表示される。
【0061】
次に、3番目の撮影画像a3に対し、第1・第2の検出条件とは異なる第3の検出条件で顔検出が行われて、検出された顔画像を囲む矩形の枠画像b3が4番目の撮影画像a4に合成されて表示される。また、3番目の撮影画像a3に対し、枠画像c1・b2で囲まれた2つの顔画像のそれぞれに適した追跡条件で顔追跡が行われて、追跡された顔画像を囲む矩形の枠画像c1・c2が4番目の撮影画像a4に合成されて表示される。
【0062】
次に、4番目の撮影画像a4に対し、第1〜第3の検出条件とは異なる第4の検出条件で顔検出が行われて、検出された顔画像を囲む矩形の枠画像b4が5番目の撮影画像a5に合成されて表示される。また、4番目の撮影画像a4に対し、枠画像c1・c2・b3で囲まれた3つの顔画像のそれぞれに適した追跡条件で顔追跡が行われて、追跡された顔画像を囲む矩形の枠画像c1〜c3が5番目の撮影画像a5に合成されて表示される。
【0063】
以下、これを繰り返すことにより、6番目の撮影画像a6と、5番目の撮影画像a5にて検出された顔画像を囲む矩形の枠画像b5と、5番目の撮影画像a5にて追跡された顔画像を囲む矩形の枠画像c1〜c4とが合成されて表示されることになる。すなわち、6番目の合成画像に、全ての検出条件で顔検出が行われた結果の枠画像c1〜c4・b5が表示されることになる。
【0064】
一方、従来は、図4の(b)に示すように、1番目の撮影画像a1に対し、第1〜第5の検出条件で順番に顔検出が行われ、該顔検出の終了後に、検出された全ての顔画像を囲む矩形の枠画像d1〜d5が撮影画像と合成されて表示される。このため、上記枠画像d1〜d5が表示されるまでに時間がかかることになる。図示の例では、1番目の撮影画像a1に対する顔検出による枠画像d1〜d5が、6番目の撮影画像a6と合成されて表示されることになる。
【0065】
なお、図4では、撮影画像における各被写体の位置は、撮影画像a1〜a6間で同じとしているが、実際には被写体は動くので、撮影画像a1〜a6間で異なることが多く、時間の経過と共に、ずれが大きくなることが多い。
【0066】
図4の(a)および(b)を比較すると、本実施形態の方が、従来よりも、顔検出および顔追跡の結果を示す枠画像が、一部とはいえ迅速に表示開始されるので、顔画像の検出をユーザが待機する時間を短縮できることが理解できる。また、枠画像の数が徐々に増えていくので、枠画像の表示の様子が、従来技術に比べて滑らかとなる。また、顔検出および顔追跡の残りの結果を示す枠画像が逐次表示されるので、ユーザに新たな娯楽を提供できることが理解できる。
【0067】
また、本実施形態では、図4の(a)に示すように、第2の検出条件での顔検出が、2番目の撮影画像a2に対し行われて、検出結果を示す枠画像b2が次(3番目)の撮影画像a3と合成される。一方、従来技術では、図4の(b)に示すように、第2の検出条件での顔検出が、1番目の撮影画像a1に対し行われて、検出結果を示す枠画像d2が6番目の撮影画像a6と合成される。
【0068】
従って、本実施形態の方が、従来よりも、顔検出の対象となる撮影画像の撮影時刻と、検出結果を示す枠画像が合成される撮影画像の撮影時刻との期間が短いので、枠画像と、該枠画像が合成される撮影画像における顔画像とのずれが小さくなることが理解できる。
【0069】
また、本実施形態では、図4の(a)に示すように、6番目の撮影画像a6と合成される枠画像のうち、枠画像c1〜c4は、5番目までの撮影画像に対し、一度検出された後に追跡され続けた顔画像に関するものであり、枠画像b5は、5番目までの撮影画像に対し検出された顔画像に関するものである。すなわち、本実施形態では、6番目の撮影画像a6と合成される枠画像は、直前(5番目)の撮影画像a5における顔画像に関するものである。一方、従来技術では、図4の(b)に示すように、6番目の撮影画像a6と合成される枠画像d1〜d5の全ては、1番目の撮影画像a1に対し検出された顔画像に関するものである。
【0070】
従って、本実施形態の方が、従来よりも、枠画像を生成する元になった撮影画像の撮影時刻と、当該枠画像が合成される撮影画像の撮影時刻との期間が短いので、枠画像と、該枠画像が合成される撮影画像における顔画像とのずれがさらに小さくなることが理解できる。
【0071】
〔実施の形態2〕
次に、本発明の他の実施形態について図5〜図7を参照して説明する。図5は、本実施形態であるデジタルカメラの概略構成を示している。図示のデジタルカメラ10は、図1に示すデジタルカメラ10に比べて、条件決定部30の機能が異なる点と、顔検出部24および顔追跡部25から位置情報出力部26までの間に、結果補正部(補正手段)31が追加されている点が異なり、その他の構成は同様である。なお、上記実施形態で説明した構成および処理動作と同様の構成および処理動作には、同一の符号を付して、その説明を省略する。
【0072】
図1に示す条件決定部23は、全ての顔画像を検出するために必要とされる複数の検出条件を逐次決定していた。この場合、動画像に含まれる複数の撮影画像を取得することにより、上記複数の検出条件の全てについて、上記従来技術と同様に、顔画像の全検出結果を出力することができる。
【0073】
これに対し、本実施形態の条件決定部30は、結果履歴記憶部28の検出結果の履歴に基づいて、検出条件を動的に変更して決定している。なお、動的に変更する条件の情報は、条件記憶部27に記憶される。
【0074】
例えば、図2の(c)における左側の画像に示されるような、横向きの顔画像のテンプレートによる顔検出が所定期間に無い場合、該テンプレートを利用する検出条件での検出頻度を減らすことが挙げられる。これは、上記の場合では、被写体の顔がデジタルカメラ10の方向を向いていると考えられるからである。
【0075】
また、今まで顔画像が検出されていた撮影画像の領域から急に顔画像が検出されなくなった場合、当該顔画像の検出条件での検出頻度を増やすことが挙げられる。これは、上記の場合では、被写体がデジタルカメラ10からフレームアウトしたか、或いは、被写体が振り返ったため、被写体の顔がデジタルカメラ10と反対の方向を向いていると考えられ、再び当該顔画像が検出される可能性が高いからである。
【0076】
このように、上記検出結果の履歴に基づいて、検出条件を動的に変更することにより、顔検出の効率を向上することができる。
【0077】
以下に、上記検出結果の履歴に基づいて、検出条件を動的に変更する手法をまとめて記載する。第1の手法は、或る検出条件によるこれまでの検出回数に応じて、当該検出条件の利用頻度を変更することである。例えば、撮影画像の或る領域での検出回数が多い場合、当該領域を検出条件として利用する頻度を増加することが挙げられる。また、顔の或る向きの検出回数が少ない場合、当該向きのテンプレートを検出条件として利用する頻度を減少することが挙げられる。
【0078】
第2の手法は、検出条件の組合せに応じて、検出条件の利用頻度および/または組合せを変更することである。例えば、撮影画像における右下の領域と左上の領域とに同時に顔画像を検出する回数が少ない場合、一方の領域で顔画像を検出すると、他方の領域を検出条件として利用する頻度を減少することが挙げられる。また、第1の方向の顔画像と、第1の方向から画像内で180°回転した第2の方向の顔画像とを同時に検出する可能性が低い場合、第1の方向の顔画像を検出すると、第2の方向を検出条件として利用する頻度を減少することが挙げられる。
【0079】
また、例えば、撮影画像の中央領域で30ピクセルの顔画像が多く、周縁領域で20ピクセルの顔画像が多い場合のように、撮影画像における領域に応じて、検出される顔画像のサイズに傾向が存在する場合、顔画像のサイズを検出条件として利用する頻度を、領域に応じて変更することが挙げられる。
【0080】
第3の手法は、検出条件の順番に規則性が存在する場合、当該規則性に基づいて検出条件の順番を変更することである。例えば、一度検出した顔画像のサイズが時間と共に小さくなる傾向がある場合、顔画像のサイズを大きい方から小さい方に順番に検出条件として利用することが挙げられる。また、一度検出した顔画像を見失うと、しばらくの間に同じ検出条件で再度現れることが予想される場合、しばらくの間上記検出条件を利用する頻度を増加することが挙げられる。
【0081】
結果補正部31は、顔検出部24からの検出結果に基づいて、顔追跡部25からの追跡結果を補正するものである。結果補正部31は、補正した検出結果および追跡結果を位置情報出力部26に送出する。
【0082】
従来は、撮影画像から全ての顔画像を検出するために必要とされる複数の検出条件のそれぞれについて順番に顔画像を検出し、これらの複数の検出結果に基づき、検出結果を補正して、補正された検出結果を出力していた。例えば、撮影画像の或る領域に対し、サイズが20画素である顔画像と、サイズが30画素である顔画像との両方が検出された場合、平均値である25画素をサイズとする顔画像に補正することが挙げられる。
【0083】
これに対し、本実施形態では、撮影画像を取得すると、上記複数の検出条件の一部を決定し、決定された検出条件で顔画像を検出し、検出結果を出力している。このため、上記複数の検出条件の全てによる検出結果に基づいて、検出結果を補正する従来の場合に比べて、検出結果の精度が低下することになる。
【0084】
そこで、本実施形態では、結果補正部31は、上述のように、顔追跡部25からの追跡結果を、顔検出部24からの検出結果に基づいて補正している。なお、結果補正部31は、さらに結果履歴記憶部28の結果履歴に基づいて顔追跡部25からの追跡結果を補正してもよい。
【0085】
図7は、追跡結果の補正の一例を説明するためのものである。同図の(a)は、或る時点での合成画像を示している。図示のように、該合成画像は、或る時点での撮影画像e1と、該時点の直前の撮影画像(図示せず)に対し、顔検出により検出された30ピクセルの顔画像に対応する枠画像f1とを含んでいる。同図の(a)に示す撮影画像e1に対し、20ピクセルのテンプレートを用いて顔検出部24が顔検出を行ったところ、同図の(b)に破線で示すように、20ピクセルの顔画像g1・g2が2つ検出されたとする。このとき、枠画像f1で囲まれた30ピクセルの顔画像と、20ピクセルの顔画像g1とは、撮影画像における同じ様な領域で検出されるので、同一の顔であると考えられる。
【0086】
そこで、図7の(a)に示す撮影画像e1に対し、枠画像f1で囲まれた顔画像に適した追跡条件で追跡された30ピクセルの顔画像(図示せず)を、結果補正部31が、30ピクセルと20ピクセルの平均である25ピクセルの顔画像に補正し、補正結果を位置情報出力部26に送出する。なお、上記領域とは別の領域で初めて検出された顔画像g2は、補正されることなく位置情報出力部26に送出される。
【0087】
このとき、表示部13に表示される合成画像を図7の(c)に示す。図示のように、該構成画像は、次の撮影画像e2と、撮影画像e1に対し、顔検出により検出された20ピクセルの顔画像に対応する枠画像f2と、顔追跡により追跡されかつ補正された25ピクセルの顔画像に対応する枠画像h1とを含んでいる。同図の(a)および(c)を比較すると、補正後の枠画像h1は、補正前の枠画像f1に比べて、サイズが実際の顔画像のサイズに近付いていることが理解できる。従って、顔画像の精度を徐々に向上させることができる。
【0088】
以下に、検出結果に基づいて追跡結果を補正する手法をまとめて記載する。第1の手法は、同じ被写体と推測される顔画像を複数の検出条件で検出した場合、検出結果の平均で追跡結果を補正する手法である。例えば、撮影画像のほぼ同じ領域での顔画像の検出回数が所定のフレーム数に達した場合、検出した顔画像のサイズの平均値で、追跡結果における顔画像のサイズを補正したり、検出した顔画像の方向の平均値で、追跡結果における顔画像の方向を補正したりすることが挙げられる。また、同じ被写体と推測される顔画像の移動軌跡が滑らかとなるように、追跡結果における顔画像の追跡位置を補正することが挙げられる。
【0089】
また、同じ被写体と推測される顔画像を複数の検出条件で検出した場合、適切な方の検出条件の検出結果を優先して追跡結果を補正する手法である。例えば、画像フィルタの検出条件を変更することで検出数が減った場合、前の検出条件の検出結果の方がより適切であるとして、その検出結果に重きをおいた加重平均を算出し、算出結果に基づいて追跡結果を補正することが挙げられる。
【0090】
図6は、上記構成のデジタルカメラ10における顔検出処理および顔追跡処理の処理動作を示している。図示のように、撮影部11にて撮影された動画像における一撮影画像を画像取得部22が取得すると、条件決定部30は、結果履歴記憶部28における結果履歴を参照し、検出済対象が存在するか否かを判断する(S10)。存在しない場合、ステップS21に進む。
【0091】
検出済対象が存在する場合、条件決定部30は、上記結果履歴から上記追跡条件を決定し(S11)、決定された追跡条件で、顔追跡部25は、検出された顔画像を追跡する(S12)。次に、顔追跡部25は、追跡結果および追跡条件を結果履歴記憶部28に記憶する(S20)。
【0092】
次に、条件決定部30は、上記検出済対象を全て処理したか否かを判断する(S14)。全て処理していない場合、ステップS11に戻って上記処理動作を繰り返す。一方、全て処理している場合、ステップS21に進む。
【0093】
ステップS21において、条件決定部30は、結果履歴記憶部28における検出条件を参照して、検出条件を前回の検出条件から変更する。このとき、条件決定部30は、さらに、結果履歴記憶部28における検出結果の履歴を考慮して検出条件を変更する。
【0094】
次に、変更された検出条件で、顔検出部24は、顔画像を検出する(S16)。そして、顔検出部24は、検出結果および検出条件を結果履歴記憶部28に記憶する(S22)。
【0095】
次に、結果補正部31は、ステップS16による検出結果に基づいて、ステップS12による追跡結果を補正する(S23)。そして、位置情報出力部26は、上記検出結果に基づく顔画像の位置情報と、補正された追跡結果に基づく顔画像の位置情報とを画像合成部17に出力する(S24)。これにより、画像合成部17は、顔検出部24が検出した顔画像に関する枠画像と、顔追跡部25が追跡し、結果補正部31が補正した顔画像に関する枠画像とを生成し、生成した枠画像と撮影画像とを合成して、表示部13を介して表示出力する。その後、処理動作を終了する。
【0096】
本発明は上述した各実施形態に限定されるものではなく、請求項に示した範囲で種々の変更が可能であり、異なる実施形態にそれぞれ開示された技術的手段を適宜組み合わせて得られる実施形態についても本発明の技術的範囲に含まれる。
【0097】
例えば、上記実施形態では、顔検出および顔追跡に関する各構成22〜28・30・31を制御部20に設けているが、画像処理部12に設けることもできる。また、上記実施形態では、検出結果および追跡結果を枠画像として表示出力しているが、検出結果および追跡結果に基づいて、フォーカス調整やピント調整などの撮影部11の制御を行うこともできる。
【0098】
また、上記実施形態では、撮影画像から人の顔画像を検出して追跡している。しかしながら、アニメーションその他の動画像にも適用可能である。また、人の上半身や全身の画像を検出してもよいし、ボール、車両、運搬される荷物その他の動く物体の画像を検出してもよい。さらには、静止した物体であっても、デジタルカメラ10を動かせば、撮影画像上では移動することになるので、適用可能である。すなわち、本発明は、取得した時系列画像上で移動する物体の画像の検出に適用可能である。
【0099】
また、上記実施形態では、本発明をデジタルカメラ10に適用しているが、カメラ付き携帯電話機など、撮影部を有する任意の電子機器に本発明を適用可能である。さらに、動画像を取得して画像処理を行う画像処理デバイスにも適用可能である。このような画像処理デバイスは、デジタルカメラ10だけでなく、プリンタにも適用されることが予想される。
【0100】
最後に、デジタルカメラ10の各ブロック、特に制御部20および画像処理部12は、ハードウェアロジックによって構成してもよいし、次のようにCPUを用いてソフトウェアによって実現してもよい。
【0101】
すなわち、デジタルカメラ10は、各機能を実現する制御プログラムの命令を実行するCPU、上記プログラムを格納したROM、上記プログラムを展開するRAM、上記プログラムおよび各種データを格納するメモリ等の記憶装置(記録媒体)などを備えている。そして、本発明の目的は、上述した機能を実現するソフトウェアであるデジタルカメラ10の制御プログラムのプログラムコード(実行形式プログラム、中間コードプログラム、ソースプログラム)をコンピュータで読み取り可能に記録した記録媒体を、上記デジタルカメラ10に供給し、そのコンピュータ(またはCPUやMPU)が記録媒体に記録されているプログラムコードを読み出し実行することによっても、達成可能である。
【0102】
上記記録媒体としては、例えば、磁気テープやカセットテープ等のテープ系、フロッピー(登録商標)ディスク/ハードディスク等の磁気ディスクやCD−ROM/MO/MD/DVD/CD−R等の光ディスクを含むディスク系、ICカード(メモリカードを含む)/光カード等のカード系、あるいはマスクROM/EPROM/EEPROM(登録商標)/フラッシュROM等の半導体メモリ系などを用いることができる。
【0103】
また、デジタルカメラ10を通信ネットワークと接続可能に構成し、上記プログラムコードを通信ネットワークを介して供給してもよい。この通信ネットワークとしては、特に限定されず、例えば、インターネット、イントラネット、エキストラネット、LAN、ISDN、VAN、CATV通信網、仮想専用網(virtual private network)、電話回線網、移動体通信網、衛星通信網等が利用可能である。また、通信ネットワークを構成する伝送媒体としては、特に限定されず、例えば、IEEE1394、USB、電力線搬送、ケーブルTV回線、電話線、ADSL回線等の有線でも、IrDAやリモコンのような赤外線、Bluetooth(登録商標)、802.11無線、HDR、携帯電話網、衛星回線、地上波デジタル網等の無線でも利用可能である。なお、本発明は、上記プログラムコードが電子的な伝送で具現化された、搬送波に埋め込まれたコンピュータデータ信号の形態でも実現され得る。
【0104】
〔付記事項〕
本発明に係る対象画像検出デバイスは、元画像の中から対象画像を検出する対象画像検出デバイスであって、上記課題を解決するために、前記元画像を取得する取得手段と、前記対象画像を検出するための複数の検出条件のうち、前回の検出条件とは異なる検出条件に決定する決定手段と、前記取得手段が取得した元画像に対し、前記決定手段が決定した検出条件で、前記対象画像を検出する検出手段と、該検出手段が検出した検出結果を出力する出力手段とを備えることを特徴としている。
【0105】
また、本発明に係る対象画像検出デバイスの制御方法は、元画像の中から対象画像を検出するものであって、上記課題を解決するために、前記元画像を取得する取得ステップと、前記対象画像を検出するための複数の検出条件のうち、前回の検出条件とは異なる検出条件に決定する決定ステップと、前記取得ステップにて取得された元画像に対し、前記決定手段が決定した検出条件で、前記対象画像を検出する検出ステップと、該検出ステップにて検出された検出結果を出力する出力ステップとを含むことを特徴としている。
【0106】
ここで、検出される対象の例としては、人の顔、上半身、および全身、ボール、車両など、移動する物体またはその一部が挙げられる。
【0107】
上記の構成および方法によると、元画像を取得すると、対象画像を検出するための複数の検出条件のうち、前回の検出条件とは異なる検出条件で、取得された元画像に対して対象画像を検出して、検出結果を出力する。従って、或る元画像に対して、対象画像を検出するための複数の検出条件で対象画像をそれぞれ検出し、全検出結果を一斉に出力する従来技術に比べて、対象画像の一部の検出結果ではあるが、該検出結果を短時間で出力することができる。その結果、出力された検出結果を他のデバイス(例えば表示を制御するデバイス、撮影を制御するデバイスなど)が迅速に利用することができる。
【0108】
本発明に係る対象画像検出デバイスでは、前記検出手段が検出した検出結果の履歴を記憶する結果履歴記憶部をさらに備えており、前記決定手段は、さらに、前記結果履歴記憶部における検出結果の履歴に基づいて、検出条件を決定してもよい。或いは、本発明に係る対象画像検出デバイスでは、前記決定手段は、前記対象画像を検出するための複数の検出条件の中から、検出条件を逐次決定してもよい。
【0109】
逐次決定する場合、上記複数の検出条件の全てについて、上記従来技術と同様に、対象画像の全検出結果を出力することができる。さらに、元画像が、動画像に含まれる複数の静止画像であり、上記従来技術において或る静止画像の全検出結果が出力されるまでに、後に続く静止画像が取得される場合、本発明では、上記後に続く静止画像に対する検出結果を出力できるので、従来よりも新しい静止画像に対する検出結果を含むことができる。
【0110】
一方、検出結果の履歴に基づいて検出条件を決定する場合、例えば、対象画像を検出する可能性の高い検出条件は、検出条件として決定される頻度を多くする一方、対象画像を検出する可能性の低い検出条件は、検出条件として決定される頻度を少なくすることなどが考えられる。従って、対象画像を検出する効率が向上する。
【0111】
ところで、検出対象は上記移動する物体などであるため、元画像が動画像に含まれる複数の静止画像である場合、対象画像の位置は、時間の経過と共に検出位置からずれる虞がある。
【0112】
そこで、本発明に係る対象画像検出デバイスでは、前記取得手段は、動画像に含まれる複数の静止画像を前記元画像として取得しており、前記取得手段が取得した或る時点の元画像に対し、前記検出手段が検出した前記対象画像を、前記時点より後の時点の元画像にて追跡する追跡手段をさらに備えており、前記出力手段は、前記追跡手段が追跡した追跡結果をさらに出力することが好ましい。
【0113】
この場合、一度検出した対象画像を追跡して、追跡結果を出力するので、上記問題点を回避することができる。なお、追跡手段は、追跡条件に基づいて対象画像を追跡してもよい。さらに、上記追跡条件は、上記検出条件から取得してもよい。
【0114】
ところで、本発明では、一部の検出条件で対象画像を検出して、検出結果を出力するので、全ての検出条件で対象画像を検出した後に検出結果を出力する従来技術に比べて、検出結果の精度が低い場合が存在する。
【0115】
そこで、本発明に係る対象画像検出デバイスでは、前記追跡手段が追跡した追跡結果を、前記検出手段が検出した検出結果に基づいて補正する補正手段をさらに備えており、前記出力手段は、前記追跡手段が追跡した追跡結果に代えて、前記補正手段が補正した追跡結果を出力することが好ましい。
【0116】
この場合、別の検出条件での検出結果を追跡結果に反映させることができるので、検出結果の精度を徐々に向上させることができる。なお、上記補正手段は、さらに検出結果の履歴に基づいて補正してもよい。
【0117】
なお、上記構成の対象画像検出デバイスを備えた電子機器でも、上述の作用効果を奏することができる。
【0118】
さらに、上記電子機器では、情報を表示する表示部と、前記対象画像検出デバイスが検出した検出結果を示す画像を、前記元画像に合成して前記表示部に表示させる画像合成手段とをさらに備えてもよい。この場合、一部ではあるが、検出結果を示す画像の表示開始を迅速に行うことができ、その後に残りの検出結果を示す画像を逐次表示することができる。その結果、全ての検出結果を示す画像を一斉に表示する従来技術に比べて、対象画像の検出をユーザが待機する時間を短縮することができる。また、検出結果を示す画像が逐次表示されるので、ユーザに新たな娯楽を提供することができる。さらに、残りの検出結果は、最初の検出が行われた元画像よりも後の元画像に対するものであるので、当該検出結果を示す画像と、現在表示されている元画像に対して対象画像を検出した場合の検出結果を示す画像とのずれを抑えることができる。
【産業上の利用可能性】
【0119】
以上のように、本発明に係るデジタルカメラは、撮影画像を取得すると、前回の検出条件とは異なる検出条件で、取得された撮影画像に対し顔画像を検出することにより、一部ではあるが検出結果を短時間で出力できるので、カメラ付き携帯電話機以外にも、プリンタなどのように、元画像から対象画像を検出する任意の電子機器に適用することができる。
【符号の説明】
【0120】
10 デジタルカメラ(電子機器)
11 撮影部
12 画像処理部
13 表示部
14 操作部
15 画像圧縮部
16 画像記録部
17 画像合成部(画像合成手段)
20 制御部(対象画像検出デバイス)
21 記憶部
22 画像取得部(取得手段)
23・30 条件決定部(決定手段)
24 顔検出部(検出手段)
25 顔追跡部(追跡手段)
26 位置情報出力部(出力手段)
27 条件記憶部
28 結果履歴記憶部
31 結果補正部(補正手段)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
元画像の中から対象画像を検出する対象画像検出デバイスであって、
前記元画像を取得する取得手段と、
前記対象画像を検出するための複数の検出条件のうち、前回の検出条件とは異なる第1の検出条件に決定する決定手段と、
前記取得手段が取得した第1の元画像から、前記決定手段が決定した第1の検出条件で前記対象画像を検出する検出手段と、
前記検出手段が検出した対象画像を特定可能な情報を、前記第1の元画像に続く第2の元画像に出力する出力手段とを備え、
前記決定手段は、或る検出条件と前記検出手段が該検出条件で前記対象画像を検出したか否かを示す検出結果との対応付けの履歴に基づいて、前記第1の検出条件とは異なる第2の検出条件をさらに決定することを特徴とする対象画像検出デバイス。
【請求項2】
前記検出手段は、前記第2の元画像から前記決定手段が決定した第2の検出条件で前記対象画像をさらに検出し、
前記出力手段は、前記検出手段が検出した対象画像を特定可能な情報を、前記第2の元画像に続く第3の元画像にさらに出力することを特徴とする請求項1に記載の対象画像検出デバイス。
【請求項3】
前記検出条件が検出した対象画像を、当該対象画像を含む元画像に続く元画像にて追跡する追跡手段をさらに備えたことを特徴とする請求項1または2に記載の対象画像検出デバイス。
【請求項4】
前記追跡手段は、前記第1の検出条件に含まれる追跡条件で、前記第2の元画像にて前記対象画像を追跡し、
前記出力手段は、前記追跡手段が追跡した対象画像を特定可能な情報を、前記第2の元画像に続く第3の元画像にさらに出力することを特徴とする請求項3に記載の対象画像検出デバイス。
【請求項5】
前記対応付けの履歴に基づいて、前記追跡手段が追跡した追跡結果を補正する補正手段をさらに備え、
前記出力手段は、前記補正手段が補正した追跡結果を、前記追跡手段が追跡した対象画像を特定可能な情報として、前記第2の元画像に続く第3の元画像にさらに出力することを特徴とする請求項3または4に記載の対象画像検出デバイス。
【請求項6】
前記補正手段は、前記検出結果に対応付けられた検出条件に含まれる数値の平均で、前記追跡手段が追跡した追跡結果を補正することを特徴とする請求項5に記載の対象画像検出デバイス。
【請求項7】
前記補正手段は、前記検出条件を変更することで前記対象画像を検出したことを示す検出結果の検出数が減少した場合、減少する前の検出条件を優先して適用することによって、前記追跡手段が追跡した追跡結果を補正することを特徴とする請求項5または6に記載の対象画像検出デバイス。
【請求項8】
前記決定手段は、或る検出条件によるこれまでの検出回数に応じて当該検出条件の利用頻度を変更し、変更した利用頻度に基づいて、前記複数の検出条件のうち、前回の検出条件とは異なる検出条件に決定することを特徴とする請求項1から7の何れか1項に記載の対象画像検出デバイス。
【請求項9】
前記決定手段は、前記対象画像を検出するための複数の検出条件の組み合わせに応じて、前記複数の検出条件のうち、前回の検出条件とは異なる検出条件に決定することを特徴とする請求項1から8の何れか1項に記載の対象画像検出デバイス。
【請求項10】
前記決定手段は、所定の規則性に基づいて前記対象画像を検出するための複数の検出条件の順番を変更することによって、前記複数の検出条件のうち、前回の検出条件とは異なる検出条件に決定することを特徴とする請求項1から9の何れか1項に記載の対象画像検出デバイス。
【請求項11】
或る検出条件と前記検出手段が該検出条件で前記対象画像を検出したか否かを示す検出結果との対応付けの履歴を記憶する結果履歴記憶部をさらに備えたことを特徴とする請求項1から10の何れか1項に記載の対象画像検出デバイス。
【請求項12】
前記決定手段は、前記対象画像を検出するための複数の検出条件の中から、検出条件を逐次決定することを特徴とする請求項1から11の何れか1項に記載の対象画像検出デバイス。
【請求項13】
前記取得手段は、動画像に含まれる複数の静止画像を前記元画像として取得することを特徴とする請求項1から12の何れか1項に記載の対象画像検出デバイス。
【請求項14】
請求項1から13までの何れか1項に記載の対象画像検出デバイスを備えた電子機器。
【請求項15】
情報を表示する表示部と、
前記対象画像検出デバイスが検出した検出結果を示す画像を、前記元画像に合成して前記表示部に表示させる画像合成手段とをさらに備えたことを特徴とする請求項14に記載の電子機器。
【請求項16】
請求項1から13までの何れか1項に記載の対象画像検出デバイスを動作させるための制御プログラムであって、コンピュータを前記各手段として機能させるための制御プログラム。
【請求項17】
請求項16に記載の制御プログラムが記録されたコンピュータ読取り可能な記録媒体。
【請求項18】
元画像の中から対象画像を検出する対象画像検出デバイスの制御方法であって、
前記元画像を取得する取得ステップと、
前記対象画像を検出するための複数の検出条件のうち、前回の検出条件とは異なる第1の検出条件に決定する決定ステップと、
前記取得ステップにおいて取得された第1の元画像から、前記決定ステップにおいて決定された第1の検出条件で前記対象画像を検出する検出ステップと、
前記検出ステップにおいて検出された対象画像を特定可能な情報を、前記第1の元画像に続く第2の元画像に出力する出力ステップとを含み、
前記決定ステップでは、或る検出条件と前記検出ステップにおいて該検出条件で前記対象画像が検出されたか否かを示す検出結果との対応付けの履歴に基づいて、前記第1の検出条件とは異なる第2の検出条件をさらに決定することを特徴とする対象画像検出デバイスの制御方法。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2013−42514(P2013−42514A)
【公開日】平成25年2月28日(2013.2.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−208544(P2012−208544)
【出願日】平成24年9月21日(2012.9.21)
【分割の表示】特願2008−66775(P2008−66775)の分割
【原出願日】平成20年3月14日(2008.3.14)
【出願人】(000002945)オムロン株式会社 (3,542)
【Fターム(参考)】