説明

封緘装置

【課題】簡単な構成で封筒への糊の転写とフラップの折り曲げを可能とした封緘装置を提供する。
【解決手段】封緘装置1Aは、封筒10と共に台100に載置されて使用され、封筒10のフラップ11に、ハンドル20aの操作によって糊を転写する糊転写機構2Aと、ハンドル20aの操作による糊転写機構2Aの動作と連動して、フラップ11を折り曲げる折り曲げ機構3Aを備え、ハンドル20aを往復させる動作で転写スタンプ21Aを昇降させて、封筒10のフラップ11に糊を転写させると共に、転写スタンプ21Aが封筒10のフラップ11から退避する動作で、転写スタンプ21Aを揺動させて糊切りを行う。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、封筒のフラップに糊を転写するとともに、フラップを折り曲げる封緘装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、封筒を封緘する作業は、手で封筒のフラップに糊付けをし、フラップを手で折り曲げて圧着するという面倒な作業であり、多数の封筒を封緘するためには多大な労力と時間を必要としていた。
【0003】
これに対して、テープ状の糊を供給可能に設け、封筒等に転写できるようにした装置が提案されている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2009−154382号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
従来の糊転写装置では、封筒のフラップにテープ状の糊を転写する場合、封筒の幅方向に糊を転写すると、1テープ当たりの糊転写可能回数は、封筒の長手方向に糊を転写する場合と比較して少なくなる。一方、封筒の長手方向に糊を塗布する場合、封筒幅に近い幅広の糊テープを使用することで、1テープ当たりの糊転写回数を増やすことができる。
【0006】
しかし、糊テープの幅が広くなると、糊を転写した後テープからフラップを剥離する際に糊切れが悪くなり、転写範囲外に糊が残り仕上がりが悪くなる。
【0007】
また、糊の転写から封緘までを自動で行う自動封緘機も提案されているが、大型かつ高額な装置であり、大量の封緘作業量があり省力効果が得られないと、購入費用を回収することができない。
【0008】
本発明は、このような課題を解決するためになされたもので、簡単な構成で封筒への糊の転写を可能とした封緘装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上述した課題を解決するため、本発明は、封筒のフラップの面に対して離接する方向に移動可能に設けられ、封筒のフラップに糊を転写する糊転写手段と、糊転写手段を移動させる操作手段と、糊転写手段が移動して封筒のフラップから退避する動作で、糊転写手段を揺動させる糊切り手段とを備えた封緘装置である。
【0010】
本発明の封緘装置では、操作手段の操作によって糊転写手段が封筒のフラップを押圧する方向に移動する動作で、封筒のフラップに糊が転写される。また、操作手段の操作によって糊転写手段が封筒のフラップから退避する方向に移動する動作で、糊転写手段が揺動して糊切りが行われる。
【発明の効果】
【0011】
本発明の封緘装置によれば、簡単な構成の装置で、かつ、簡単な操作により、封筒に対する糊の転写と糊切りを行うことができ、封緘作業に伴う糊付け作業を容易に行うことができる。また、低コストで装置を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】第1の実施の形態の封緘装置の内部構成の一例を示す側断面図である。
【図2】第1の実施の形態の封緘装置の内部構成の一例を示す正面断面図である。
【図3】第1の実施の形態の封緘装置の内部構成の一例を示す平面断面図である。
【図4】第1の実施の形態の封緘装置の内部構成の一例を示す斜視図である。
【図5】第1の実施の形態の封緘装置の動作の一例を示す動作説明図である。
【図6】第1の実施の形態の封緘装置の動作の一例を示す動作説明図である。
【図7】第1の実施の形態の封緘装置の動作の一例を示す動作説明図である。
【図8】第1の実施の形態の封緘装置の動作の一例を示す動作説明図である。
【図9】第1の実施の形態の封緘装置の変形例を示す側断面図である。
【図10】第2の実施の形態の封緘装置の内部構成の一例を示す側断面図である。
【図11】第2の実施の形態の封緘装置の内部構成の一例を示す平面断面図である。
【図12】第2の実施の形態の封緘装置の動作の一例を示す動作説明図である。
【図13】第2の実施の形態の封緘装置の動作の一例を示す動作説明図である。
【図14】第2の実施の形態の封緘装置の動作の一例を示す動作説明図である。
【図15】第2の実施の形態の封緘装置の動作の一例を示す動作説明図である。
【図16】第2の実施の形態の封緘装置の動作の一例を示す動作説明図である。
【図17】第2の実施の形態の封緘装置の動作の一例を示す動作説明図である。
【図18】第2の実施の形態の封緘装置の動作の一例を示す動作説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、図面を参照して、本発明の封緘装置の実施の形態について説明する。
【0014】
<第1の実施の形態の封緘装置の構成例>
図1は、第1の実施の形態の封緘装置の内部構成の一例を示す側断面図、図2は、第1の実施の形態の封緘装置の内部構成の一例を示す正面断面図、図3は、第1の実施の形態の封緘装置の内部構成の一例を示す平面断面図である。また、図4は、第1の実施の形態の封緘装置の内部構成の一例を示す斜視図である。
【0015】
第1の実施の形態の封緘装置1Aは、封緘処理の対象物である封筒10と共に台100に載置されて使用され、封筒10のフラップ11に、ハンドル20aの操作によって糊を転写する糊転写機構2Aを備える。
【0016】
また、封緘装置1Aは、糊転写機構2Aの動作と連動して、ハンドル20aの操作によってフラップ11を折り曲げる折り曲げ機構3Aを備える。更に、封緘装置1Aは、糊転写機構2Aと折り曲げ機構3Aが取り付けられる筐体4Aを備える。
【0017】
糊転写機構2Aは糊転写手段の一例で、基材に糊が塗布された糊テープ20を封筒10のフラップ11に押圧し、糊を糊テープ20からフラップ11に転写する転写スタンプ21Aと、転写スタンプ21Aに糊テープ20を供給する糊供給機構23Aを備える。
【0018】
転写スタンプ21Aは転写部材の一例で、操作手段であるハンドル20aが上部に設けられ、封筒10のフラップ11の面に対して離接する方向である第1の方向、すなわち、フラップ11を押圧する方向とフラップ11から退避する方向に、ハンドル20aの操作により手動で移動可能な構成で筐体4Aに取り付けられる。また、転写スタンプ21Aは、フラップ11から退避する方向に移動する動作で揺動するように構成される。
【0019】
転写スタンプ21Aは、封筒10のフラップ11の全面または所定の範囲を押圧する大きさの平面で構成される転写面22aが下面に形成される。転写面22aは、本例では封緘処理の対象とする最大の大きさの封筒10のフラップ11の長手方向と短手方向の長さに合わせた長方形状で構成される。
【0020】
転写スタンプ21Aは、長手方向に沿った両側面に、それぞれ昇降ガイド軸22bと揺動ガイド軸22cを備える。昇降ガイド軸22bと揺動ガイド軸22cは、転写スタンプ21Aの移動方向に沿った本例では上下方向に並べて設けられ、転写スタンプ21Aを挟んだ両側では、昇降ガイド軸22b同士及び揺動ガイド軸22c同士が、それぞれ同軸上に設けられる。
【0021】
糊供給機構23Aは、長尺状で、かつ、封緘処理の対象とする最大の大きさの封筒10のフラップ11の長手方向、すなわち封筒10の幅に合わせた幅を有した糊テープ20が巻かれた供給リール23sと、供給リール23sから繰り出された糊テープ20が巻き取られる巻取リール23wを備える。また、糊供給機構23Aは、供給リール23sと巻取リール23wがセットされる支持部材24Aを、転写スタンプ21Aの長手方向の両端に備える。
【0022】
糊供給機構23Aは、供給リール23sがセットされる供給軸25sが、転写スタンプ21Aの短手方向に沿った一方の側面側で1対の支持部材24Aの間に回転可能に設けられる。また、糊供給機構23Aは、巻取リール23wがセットされる巻取軸25wが、転写スタンプ21Aの短手方向に沿った他方の側面側で1対の支持部材24Aの間に回転可能に設けられる。
【0023】
これにより、供給リール23sから繰り出された糊テープ20が転写スタンプ21Aの転写面22aを通り、巻取リール23wに巻き取られる経路で、供給軸25sに供給リール23sがセットされると共に、巻取軸25wに巻取リール23wがセットされる。
【0024】
糊供給機構23Aは、転写スタンプ21Aの移動方向に沿って延在するラックギア26aを筐体4Aに備える。また、糊供給機構23Aは、一方の昇降ガイド軸22bと同軸上で昇降ガイド軸22bとは独立して回転可能に設けられ、ラックギア26aと噛み合う駆動ギア26bを備える。
【0025】
更に、糊供給機構23Aは、巻取軸25wと同軸上に設けられ、駆動ギア26bと噛み合う巻取ギア27wを備える。巻取ギア27wは、逆回転防止手段であるラチェット式のワンウエイクラッチ、ワンウエイベアリング等を介して巻取軸25wに取り付けられる。
【0026】
駆動ギア26bから駆動力が伝達されて、巻取ギア27wが所定の方向に回転すると、巻取ギア27wの駆動力が巻取軸25wに伝達されて巻取軸25wが回転し、巻取軸25wにセットされた巻取リール23wが回転して、糊テープ20が巻取リール23wに巻き取られる。
【0027】
これに対し、駆動ギア26bから駆動力が伝達されて、巻取ギア27wが所定の方向と逆方向に回転すると、巻取ギア27wが巻取軸25wに対して空転し、巻取軸25wに駆動力が伝達されず、巻取リール23wが回転しない。なお、ワンウエイクラッチ等の逆回転防止手段は、駆動ギア26bに備えても良い。また、ラックギア26aと噛み合う駆動ギアと、巻取ギア27wと噛み合う駆動ギアを、ピッチが異なる、または歯数が異なる等による2段のギアで構成しても良い。
【0028】
ここで、供給リール23sを供給軸25sに対して着脱可能に構成し、巻取リール23wを巻取軸25wに対して着脱可能に構成して、糊テープ20を交換可能な構成としても良い。あるいは、支持部材24Aと、供給軸25s及び巻取軸25wと、駆動ギア26b及び巻取ギア27wをアセンブリ部品とし、転写スタンプ21Aに対して着脱可能な構成とすることで、糊テープ20を交換可能な構成としても良い。
【0029】
折り曲げ機構3Aは折り曲げ手段の一例で、封筒10のフラップ11の面に沿って離接する方向である第2の方向に移動して、封筒10のフラップ11を折り曲げる折り曲げブロック30と、転写スタンプ21Aが上下方向に移動する動作を折り曲げブロック30に伝達するリンク部31を備える。
【0030】
折り曲げブロック30は、封緘処理の対象とする最大の大きさの封筒10のフラップ11の長手方向の長さに合わせた長方形状で構成され、短手方向に沿った一方の側面に、台100に載置された封筒10のフラップ11の下側に入り込む形状で折り曲げ斜面30aが形成される。また、折り曲げブロック30は、長手方向に沿った両側面にスライドガイド軸30bを備える。
【0031】
リンク部31は伝達手段の一例で、転写スタンプ21Aに連結される第1のリンク31aと、折り曲げブロック30に連結される第2のリンク31bを備える。第1のリンク31aは、本例では転写スタンプ21Aの昇降ガイド軸22bに取り付けられた連結部材32Aの連結軸33に、一方の端部である上端側が回転可能に連結される。
【0032】
第1のリンク31aと第2のリンク31bは、第1のリンク31aの他方の端部である下端側と、第2のリンク31bの一方の端部である上端側が、軸31cにより回転可能に連結される。そして、第2のリンク31bは、折り曲げブロック30のスライドガイド軸30bに、他方の端部である下端側が回転可能に連結される。
【0033】
筐体4Aは、昇降ガイド軸22bを介して転写スタンプ21Aに取り付けられた連結部材32Aの上面に取り付けられたハンドル20aが、上面に露出する。ハンドル20aは、コイルスプリング等のバネ20bにより上方に付勢されることで、ハンドル20aが取り付けられた転写スタンプ21Aを待機位置に移動させる。
【0034】
筐体4Aは、台100に載置される載置面40が下面に形成される。載置面40は、昇降動作で転写スタンプ21Aの転写面22aが露出すると共に、転写スタンプ21Aの昇降動作に連動して折り曲げブロック30がスライド移動する開口部40aを備える。
【0035】
また、載置面40は、開口部40aを移動する折り曲げブロック30の折り曲げ斜面30aと対向し、封筒10を押さえる位置決め手段としての封筒押さえ部40bを備える。更に、載置面40は、封筒押さえ部40bの下側に、封筒10が挿入可能な空間を設けて挿入部40cを備える。なお、挿入部40cに挿入された封筒10のフラップ11の先端が突き当てられて、フラップ11の転写スタンプ21Aに対する位置合わせが行われる位置決め手段としての突き当てガイドを備える構成としても良い。
【0036】
筐体4Aは、転写スタンプ21Aの昇降ガイド軸22bと揺動ガイド軸22cをガイドする昇降ガイド溝41と、転写スタンプ21Aの揺動ガイド軸22cをガイドする揺動ガイド溝42を備える。また、筐体4Aは、折り曲げブロック30のスライドガイド軸30bをガイドする第1のスライドガイド溝43と、リンク部31の軸31cをガイドする第2のスライドガイド溝44を備える。
【0037】
昇降ガイド溝41は糊切り手段を構成するガイド溝の一例で、転写スタンプ21Aの昇降ガイド軸22bと揺動ガイド軸22cが移動可能に嵌る幅を有した開口または凹部が筐体4Aの長手方向の両側面部に設けられ、本例では載置面40に対して直交する上下方向に延在する。
【0038】
揺動ガイド溝42は糊切り手段を構成するガイド溝の一例で、転写スタンプ21Aの揺動ガイド軸22cが移動可能に嵌る幅を有した開口または凹部が筐体4Aの長手方向の両側面部に設けられ、揺動ガイド部42aと戻りガイド部42bを備える。
【0039】
揺動ガイド溝42は、本例では昇降ガイド溝41に対して筐体4Aの載置面40の封筒押さえ部40b側に設けられ、揺動ガイド部42aと戻りガイド部42bが、本例では傾斜した直線状の溝部で形成されて、三角形状の経路を構成する。
【0040】
揺動ガイド部42aは、一方の端部である上端が合流部45aで昇降ガイド溝41と繋がる。揺動ガイド部42aと戻りガイド部42bは、揺動ガイド部42aの他方の端部である下端と、戻りガイド部42bの一方の端部である上端が、曲部42cで繋がる。そして、戻りガイド部42bは、他方の端部である下端が分岐部45bで昇降ガイド溝41と繋がる。
【0041】
なお、揺動ガイド部42aと戻りガイド部42bは、曲線状の溝部で形成される形態でも良く、このような形態では、揺動ガイド溝42は、円弧形状の経路を構成する。
【0042】
転写スタンプ21Aは、昇降ガイド軸22bと揺動ガイド軸22cが昇降ガイド溝41に嵌められることで、上下方向に移動可能な状態で筐体4Aに取り付けられる。また、連結部材32Aが昇降ガイド軸22bに取り付けられることで、転写スタンプ21Aと連動して連結部材32Aが上下方向に移動可能な状態で筐体4Aに取り付けられる。
【0043】
転写スタンプ21Aにおいて、揺動ガイド軸22cに対して上側に設けられる昇降ガイド軸22bは、転写スタンプ21Aが上下方向に移動する動作で、昇降ガイド溝41にガイドされる。
【0044】
すなわち、ハンドル20aが押されることで、転写スタンプ21Aが連結部材32Aを介して封筒10のフラップ11を押圧する方向に下降する動作、及び、ハンドル20aがバネ20bにより押し上げられることで、転写スタンプ21Aが封筒10のフラップ11から退避する方向に上昇する動作で、昇降ガイド軸22bは昇降ガイド溝41にガイドされる。
【0045】
一方、昇降ガイド軸22bに対して下側に設けられる揺動ガイド軸22cは、転写スタンプ21Aが封筒10のフラップ11を押圧する方向に下降する動作では、昇降ガイド溝41にガイドされる。また、揺動ガイド軸22cは、転写スタンプ21Aが封筒10のフラップ11から退避する方向に上昇する動作では、揺動ガイド溝42にガイドされる。
【0046】
これにより、転写スタンプ21Aが封筒10のフラップ11から退避する方向に上昇する動作では、転写スタンプ21Aの転写面22aが、封筒10のフラップ11に糊テープ20の糊を転写する糊転写位置と、封筒10のフラップ11から糊テープ20を剥離する糊切り位置との間で揺動するように構成される。
【0047】
筐体4Aは、昇降ガイド溝41を移動する転写スタンプ21Aの揺動ガイド軸22cを、揺動ガイド溝42へ誘導する誘導ガイド46を備える。誘導ガイド46は切替手段の一例で、昇降ガイド溝41と揺動ガイド溝42の分岐部45bに設けられ、バネ46aにより軸46bを支点に回転して、昇降ガイド溝41内のガイド位置に突出する方向に付勢される。
【0048】
誘導ガイド46は、昇降ガイド溝41内のガイド位置に突出した状態で、転写スタンプ21Aの揺動ガイド軸22cに押圧される押圧面46cが上面側に設けられ、揺動ガイド軸22cをガイドするガイド面46dが下面側に設けられる。また、誘導ガイド46は、押圧面46cとガイド面46dが、軸46bに対して下側に設けられる。
【0049】
誘導ガイド46は、転写スタンプ21Aが封筒10のフラップ11を押圧する方向に下降する動作では、昇降ガイド溝41を下降する揺動ガイド軸22cが押圧面46cに接触する。誘導ガイド46は、揺動ガイド軸22cに押圧面46cが押されると、押圧面46cと軸46bの位置関係から、バネ46aの力に抗して軸46bを支点に回転し、昇降ガイド溝41から退避して、揺動ガイド軸22cが通過可能となる。揺動ガイド軸22cが通過すると、誘導ガイド46はバネ46aに付勢されてガイド位置に復帰する。
【0050】
一方、誘導ガイド46は、転写スタンプ21Aが封筒10のフラップ11から退避する方向に上昇する動作では、昇降ガイド溝41を上昇する揺動ガイド軸22cがガイド面46dに接触する。誘導ガイド46は、揺動ガイド軸22cにガイド面46dが押されても、ガイド面46dと軸46bの位置関係から、バネ46aの力で昇降ガイド溝41から退避せず、誘導ガイド46のガイド面46dにより、揺動ガイド軸22cを揺動ガイド溝42の揺動ガイド部42aに誘導する。
【0051】
転写スタンプ21Aが上昇する動作で、揺動ガイド軸22cが揺動ガイド溝42の揺動ガイド部42aにガイドされると、転写スタンプ21Aは、昇降ガイド溝41にガイドされる昇降ガイド軸22bを支点に本例では封筒押さえ部40b方向へ回転して、糊転写位置から糊切り位置に移動する。
【0052】
転写スタンプ21Aの上昇に伴って、揺動ガイド軸22cが揺動ガイド溝42の戻りガイド部42bにガイドされると、転写スタンプ21Aは、昇降ガイド軸22bを支点に回転して、糊切り位置から糊転写位置へ移動する。そして、転写スタンプ21Aの上昇に伴って、揺動ガイド軸22cが揺動ガイド溝42の戻りガイド部42bから合流部45aで昇降ガイド溝41に戻る。
【0053】
ラックギア26aは、昇降ガイド溝41に沿って延在し、昇降ガイド溝41に昇降ガイド軸22bと揺動ガイド軸22cがガイドされて転写スタンプ21Aが上下方向に移動することで、ラックギア26aとかみ合う駆動ギア26bが回転する。
【0054】
転写スタンプ21Aが封筒10のフラップ11を押圧する方向に下降する動作で、ラックギア26aと噛み合う駆動ギア26bが一の方向に回転すると、駆動ギア26bとかみ合う巻取ギア27wが一の方向に回転する。
【0055】
本例では、巻取ギア27wが一の方向に回転すると、図示しないワンウエイクラッチにより巻取ギア27wが巻取軸25wに対して空転し、巻取軸25wに駆動力が伝達されず、巻取リール23wが回転しないように構成される。
【0056】
これにより、転写スタンプ21Aが封筒10のフラップ11を押圧する方向に下降する動作では、糊テープ20が巻取リール23wに巻き取られない。
【0057】
転写スタンプ21Aが封筒10のフラップ11から退避する方向に上昇する動作で、ラックギア26aと噛み合う駆動ギア26bが他の方向に回転すると、駆動ギア26bとかみ合う巻取ギア27wが他の方向に回転する。
【0058】
本例では、巻取ギア27wが他の方向に回転すると、図示しないワンウエイクラッチにより巻取ギア27wの駆動力が巻取軸25wに伝達されて巻取軸25wが回転し、巻取軸25wにセットされた巻取リール23wが回転する。
【0059】
これにより、転写スタンプ21Aが封筒10のフラップ11から退避する方向に上昇する動作では、糊テープ20が巻取リール23wに巻き取られると共に、供給リール23sから糊テープ20が繰り出され、転写スタンプ21Aの昇降動作に連動して、転写スタンプ21Aの転写面22aに糊テープ20が供給される。
【0060】
駆動ギア26bは、昇降ガイド軸22bと同軸上に設けられることで、転写スタンプ21Aが昇降ガイド軸22bを支点に揺動する動作で、左右方向に移動せず、ラックギア26aとのかみ合い状態が保持される。
【0061】
第1のスライドガイド溝43は、折り曲げブロック30のスライドガイド軸30bが移動可能に嵌る幅を有した開口または凹部が筐体4Aの長手方向の両側面部に設けられ、本例では載置面40に対して平行な水平方向に延在する。
【0062】
第2のスライドガイド溝44は、リンク部31の軸31cが移動可能に嵌る幅を有した開口または凹部が筐体4Aの長手方向の両側面部に設けられ、本例では昇降ガイド溝41に対して平行な上下方向に延在する。
【0063】
折り曲げブロック30は、スライドガイド軸30bが第1のスライドガイド溝43に嵌められることで、筐体4Aの載置面40の開口部40aに、転写スタンプ21Aの昇降方向に対して直交し載置面40に沿った水平方向に移動可能な状態で取り付けられる。
【0064】
リンク部31は、軸31cが第2のスライドガイド溝44に嵌められることで、第1のリンク31aと第2のリンク31bが連結される軸31cが、上下方向に移動可能な状態で筐体4Aに取り付けられる。
【0065】
転写スタンプ21Aが上下方向に移動する動作は、リンク部31により折り曲げブロック30に伝達される。リンク部31は、第1のリンク31aの上端側が、転写スタンプ21Aと一体に上下方向に移動する連結部材32Aの連結軸33に回転可能に連結される。
【0066】
また、リンク部31は、軸31cが第2のスライドガイド溝44にガイドされることで、第1のリンク31aの下端側と第2のリンク31bの上端側の移動方向が上下方向に規制される。更に、リンク部31は、第2のリンク31bの下端側が、水平方向に移動する折り曲げブロック30のスライドガイド軸30bに回転可能に連結される。
【0067】
これにより、転写スタンプ21Aが上下方向に移動する動作で、リンク部31は、第1のリンク31aの上端側が連結される連結軸33と下端側が連結される軸31cが上下方向に移動することで、第1のリンク31aが、角度が変化することなく上下方向に移動する。
【0068】
一方、リンク部31は、第2のリンク31bの上端側が連結される軸31cが上下方向に移動し、下端側が連結されるスライドガイド軸30bが水平方向に移動することで、第2のリンク31bが、軸31cの上下方向の移動に伴い軸31cを支点に回転して、第2のリンク31bが連結されたスライドガイド軸30bが水平方向に移動する。これにより、転写スタンプ21Aが上下方向に移動する動作が折り曲げブロック30に伝達され、折り曲げブロック30の水平方向の動作に変換される。
【0069】
折り曲げブロック30は、転写スタンプ21Aが封筒10のフラップ11を押圧する方向に下降する動作では、折り曲げ斜面30aが、筐体4Aの封筒押さえ部40bから離れる方向に移動する。また、折り曲げブロック30は、転写スタンプ21Aが封筒10のフラップ11から退避する方向に上昇する動作では、折り曲げ斜面30aが、筐体4Aの封筒押さえ部40bに近づく方向に移動する。
【0070】
<第1の実施の形態の封緘装置の動作例>
図5〜図8は、第1の実施の形態の封緘装置の動作の一例を示す動作説明図で、次に、各図を参照して封緘装置1Aにおける封緘動作について説明する。
【0071】
まず、図5に示すように、台100に封緘装置1Aが載置され、挿入部40cから封筒10が挿入されて、封筒10が封緘装置1Aに対して位置合わせされる。または、台100に封筒10が載置され、封緘装置1Aが台100に載置されて、封緘装置1Aが封筒10に対して位置合わせされる。
【0072】
封緘装置1Aと封筒10が位置合わせされて台100に載置され、ハンドル20aが作業者により下方へ向けて押される。封緘装置1Aは、ハンドル20aが押されると、連結部材32Aにより昇降ガイド軸22bが押されることで、昇降ガイド軸22bと揺動ガイド軸22cが昇降ガイド溝41にガイドされて、転写スタンプ21Aが封筒10のフラップ11を押圧する方向に下降する。
【0073】
転写スタンプ21Aが封筒10のフラップ11を押圧する方向に下降する動作で、ラックギア26aと噛み合う駆動ギア26bが一の方向に回転すると、駆動ギア26bとかみ合う巻取ギア27wが一の方向である矢印a方向に回転する。
【0074】
巻取ギア27wが矢印a方向に回転すると、図示しないワンウエイクラッチにより巻取ギア27wが巻取軸25wに対して空転し、巻取軸25wに駆動力が伝達されず、巻取リール23wが回転しない。これにより、転写スタンプ21Aが封筒10のフラップ11を押圧する方向に下降する動作では、糊テープ20が巻取リール23wに巻き取られない。なお、本実施の形態では、転写スタンプ21Aの上昇時に糊テープ20の巻き取りを行っているが、転写スタンプ21Aの下降時に糊テープ20の巻き取りを行う構成としてもよい。また、糊テープ20の巻き取り側と供給側の配置を、転写スタンプ21Aを挟んで反転させ、糊テープ20の送り方向を逆向きとする構成としてもよい。
【0075】
また、転写スタンプ21Aが封筒10のフラップ11を押圧する方向に下降する動作で、揺動ガイド軸22cに押圧面46cが押され、誘導ガイド46が昇降ガイド溝41から退避して、揺動ガイド軸22cが通過可能となる。揺動ガイド軸22cが通過すると、誘導ガイド46はバネ46aに付勢されてガイド位置に復帰する。
【0076】
更に、転写スタンプ21Aが封筒10のフラップ11を押圧する方向に下降する動作がリンク部31で折り曲げブロック30に伝達され、折り曲げブロック30は、折り曲げ斜面30aが筐体4Aの封筒押さえ部40bから離れる方向に移動する。
【0077】
図6に示すように、ハンドル20aが押し下げられて転写スタンプ21Aの転写面22aが封筒10のフラップ11に押圧されると、転写面22aを通る糊テープ20がフラップ11に押圧され、糊がフラップ11に転写される。
【0078】
糊がフラップ11に転写された後、ハンドル20aから手を離すと、バネ20bによりハンドル20aが上方に付勢される。ハンドル20aがバネ20bにより押し上げられることで、昇降ガイド軸22bが昇降ガイド溝41にガイドされて、転写スタンプ21Aが封筒10のフラップ11から退避する方向に上昇する。
【0079】
転写スタンプ21Aが封筒10のフラップ11から退避する方向に上昇する動作で、ラックギア26aと噛み合う駆動ギア26bが他の方向に回転すると、駆動ギア26bとかみ合う巻取ギア27wが他の方向である矢印b方向に回転する。
【0080】
巻取ギア27wが矢印b方向に回転すると、図示しないワンウエイクラッチにより巻取ギア27wの駆動力が巻取軸25wに伝達されて巻取軸25wが回転し、巻取軸25wにセットされた巻取リール23wが矢印b方向に回転する。
【0081】
これにより、転写スタンプ21Aが封筒10のフラップ11から退避する方向に上昇する動作では、糊テープ20が巻取リール23wに巻き取られると共に、供給リール23sから糊テープ20が繰り出され、転写スタンプ21Aの昇降動作に連動して、転写スタンプ21Aの転写面22aに糊テープ20が供給され、次回の糊の転写に備えることができる。なお、糊テープ20の供給量は、転写面22aの短手方向の長さと略同等となるようにギア比等が設定されることで、糊テープ20の無駄を省くことができる。
【0082】
転写スタンプ21Aが封筒10のフラップ11から退避する方向に上昇する動作では、昇降ガイド溝41を上昇する揺動ガイド軸22cが、誘導ガイド46のガイド面46dにより、分岐部45bで揺動ガイド溝42の揺動ガイド部42aに誘導される。
【0083】
転写スタンプ21Aが上昇する動作で、揺動ガイド軸22cが揺動ガイド溝42の揺動ガイド部42aにガイドされると、図7に示すように、転写スタンプ21Aは、昇降ガイド溝41にガイドされる昇降ガイド軸22bを支点に矢印cで示す封筒押さえ部40b方向へ回転して、糊転写位置から糊切り位置に移動する。
【0084】
このとき、転写スタンプ21Aの転写面22aに位置する糊テープ20は、フラップ11が貼り付いた状態で上昇しつつ、転写スタンプ21Aがフラップ11の短手方向に沿って糊切り位置に移動する。また、糊テープ20は、巻取リール23wに巻き取られる動作により、転写スタンプ21Aの移動方向と反対方向の矢印d方向に送られる。これにより、フラップ11に合わせて幅広な糊テープ20が、糊をフラップ11に転写してフラップ11から剥離されて糊切りされる。
【0085】
糊テープ20は、封筒10の幅に合わせられたもので、1テープ当たりの転写可能回数を増やすことができる。また、このような幅広の糊テープ20であっても、転写スタンプ21Aを揺動させることで、転写範囲に合わせた糊切りが確実に行われる。
【0086】
転写スタンプ21Aの上昇に伴って、揺動ガイド軸22cが揺動ガイド溝42の戻りガイド部42bにガイドされると、転写スタンプ21Aは、昇降ガイド軸22bを支点に回転して、糊切り位置から糊転写位置へ移動する。そして、転写スタンプ21Aの上昇に伴って、揺動ガイド軸22cが揺動ガイド溝42の戻りガイド部42bから合流部45aで昇降ガイド溝41に戻る。
【0087】
また、転写スタンプ21Aが封筒10のフラップ11から退避する方向に上昇する動作がリンク部31で折り曲げブロック30に伝達され、折り曲げブロック30は、折り曲げ斜面30aが筐体4Aの封筒押さえ部40bに近づく方向に移動する。
【0088】
折り曲げブロック30は、折り曲げ斜面30aが筐体4Aの封筒押さえ部40bに近づく方向に移動すると、上述した糊切り動作で持ち上げられたフラップ11の下側に折り曲げ斜面30aが入る。封筒10は、筐体4Aの封筒押さえ部40bで押さえられている。
【0089】
これにより、図8に示すように、転写スタンプ21Aが待機位置まで戻り、折り曲げ斜面30aが封筒押さえ部40bに当接するまで折り曲げブロック30が水平移動すると、折り曲げ斜面30aと封筒押さえ部40bに挟まれたフラップ11は、封筒10に対して折り曲げられて折り目がつけられる。
【0090】
そして、封筒10を封緘装置1Aから抜く、あるいは、封緘装置1Aを台100から移動させることで、フラップ11からはみ出ることなくフラップ11に糊が付けられていると共に、フラップ11に直線状の折り目が付けられた封筒10が得られる。
【0091】
後は、フラップ11を作業者が人手で曲げれば、容易かつ綺麗に封緘処理を行うことができる。すなわち、上述した糊切り動作によりフラップ11からはみ出さないように、フラップ11に糊が転写されているので、封緘後に糊が外にはみ出すことはなく、仕上がりの品質が向上する。また、上述した折り曲げ動作で折り曲げブロック30により直線状の折り目を付けることができるので、折り目に沿ってフラップ11を容易に折り曲げることができ、折り目が曲がることがない。
【0092】
封緘装置1Aは、ハンドル20aを往復させる操作で糊の転写とフラップ11の折り曲げを行うことができ、操作が容易である。また、構成が簡単な装置であり、小型かつ低コストで提供することができる。封緘装置1Aでは、糊が付けられたフラップを圧着するところまで行う装置ではないが、フラップ11に折り目をつける工程までを行うことで、糊が付けられたフラップを直接触って折り目を付ける作業は不要となり、作業効率は改善する。なお、転写スタンプ21Aの上下動は、手動に限らず、既知の技術により電動化しても良い。
【0093】
<第1の実施の形態の封緘装置の変形例>
図9は、第1の実施の形態の封緘装置の変形例を示す側断面図である。図9に示す変形例の封緘装置1Bは、糊供給機構23Bに、供給軸25sと同軸上に設けられて供給軸25sと一体に回転し、駆動ギア26bと噛み合う供給ギア27sを備え、転写スタンプ21Aの昇降動作に連動して、巻取リール23wに加えて供給リール23sを回転するようにしたものである。他の構成及び動作は、上述した封緘装置1Aと同じ構成であるので、説明を省略する。
【0094】
糊供給機構23Bでは、供給ギア27sは巻取ギア27wより歯数が多く、駆動ギア26bに対して巻取ギア27wは供給ギア27sよりギア比が高く構成され、駆動ギア26bと噛み合う巻取ギア27wと供給ギア27sの間で、回転量を異ならせ、巻取ギア27wの方が、供給ギア27sより回転量が多くなるように構成される。また、供給ギア27sには、供給軸25sとの間に図示しないスリップ機構やトルクリミッタ等のトルククラッチが設けられる。
【0095】
これにより、上述したように、転写スタンプ21Aの昇降動作に連動して、糊テープ20が巻取リール23wに巻き取られると共に、供給リール23sから糊テープ20が繰り出される。
【0096】
そして、巻取リール23wでの糊テープ20の巻取量の方が、供給リール23sでの繰り出し量より多く、かつ、巻取量と繰り出し量の差を図示しないトルククラッチで吸収することで、糊テープ20に常にテンションを掛けながら送ることができ、糊テープ20が弛むことを防止できる。
【0097】
<第2の実施の形態の封緘装置の構成例>
図10は、第2の実施の形態の封緘装置の内部構成の一例を示す側断面図、図11は、第2の実施の形態の封緘装置の内部構成の一例を示す平面断面図である。第2の実施の形態の封緘装置1Cは、封筒10のフラップ11に、ハンドル20aの操作によって糊を転写する糊転写機構2Cを備える。
【0098】
また、封緘装置1Cは、糊転写機構2Cの動作と連動して、ハンドル20aの操作によってフラップ11に折り目を付ける折り目付け機構3Cを備える。更に、封緘装置1Cは、糊転写機構2Cと折り目付け機構3Cが取り付けられる筐体4Cを備える。
【0099】
糊転写機構2Cは糊転写手段の一例で、基材に糊が塗布された糊テープ20を封筒10のフラップ11に押圧し、糊を糊テープ20からフラップ11に転写する転写スタンプ21Cと、転写スタンプ21Cに糊テープ20を供給する糊供給機構23Cを備える。
【0100】
転写スタンプ21Cは転写部材の一例で、封筒10のフラップ11の面に対して離接する方向、すなわち、フラップ11を押圧する方向とフラップ11から退避する方向に、ハンドル20aの操作により手動で移動可能な構成で筐体4Cに取り付けられる。また、転写スタンプ21Cは、フラップ11から退避する方向に移動する動作で揺動するように構成される。
【0101】
転写スタンプ21Cは、封筒10のフラップ11の全面または所定の範囲を押圧する大きさの平面で構成される転写面22aが下面に形成される。転写面22aは、本例では封緘処理の対象とする最大の大きさの封筒10のフラップ11の長手方向と短手方向の長さに合わせた長方形状で構成される。
【0102】
転写スタンプ21Cは、長手方向に沿った両側面に、それぞれ昇降ガイド軸22bと揺動ガイド軸22cを備える。昇降ガイド軸22bと揺動ガイド軸22cは、転写スタンプ21Cの移動方向に沿った本例では上下方向に並べて設けられる。
【0103】
昇降ガイド軸22bと揺動ガイド軸22cは、転写スタンプ21Cを長手方向に貫通して形成された穴部に挿入されて、転写スタンプ21Cの長手方向の両側面から突出する形態で転写スタンプ21Cに取り付けられる。これにより、転写スタンプ21Cを挟んだ両側では、昇降ガイド軸22b同士及び揺動ガイド軸22c同士が、それぞれ同軸上に設けられる。
【0104】
転写スタンプ21Cは、短手方向に沿った一方の側面に、折り目付け手段を構成する折り目付けプレート押圧部材22dを備える。また、転写スタンプ21Cは、短手方向に沿った他方の側面に、位置決め手段を構成するストッパプレート押圧部材22eを備える。
【0105】
糊供給機構23Cは、長尺状で、かつ、封緘処理の対象とする最大の大きさの封筒10のフラップ11の長手方向、すなわち封筒10の幅に合わせた幅を有した糊テープ20が巻かれた供給リール23sと、供給リール23sから繰り出された糊テープ20が巻き取られる巻取リール23wを備える。また、糊供給機構23Cは、供給リール23sと巻取リール23wがセットされる支持部材24Cを、転写スタンプ21Cの長手方向の両端に備える。
【0106】
糊供給機構23Cは、供給リール23sがセットされる供給軸25sが、転写スタンプ21Cの短手方向に沿った一方の側面側で1対の支持部材24Cの間に回転可能に設けられる。また、糊供給機構23Cは、巻取リール23wがセットされる巻取軸25wが、転写スタンプ21Cの短手方向に沿った他方の側面側で1対の支持部材24Cの間に回転可能に設けられる。
【0107】
これにより、供給リール23sから繰り出された糊テープ20が転写スタンプ21Cの転写面22aを通り、巻取リール23wに巻き取られる経路で、供給軸25sに供給リール23sがセットされると共に、巻取軸25wに巻取リール23wがセットされる。
【0108】
糊供給機構23Cは、転写スタンプ21Cの移動方向に沿って延在するラックギア26aを筐体4Cに備える。また、糊供給機構23Cは、一方の昇降ガイド軸22bと同軸上に回転可能に設けられる第1の駆動ギア26cと第2の駆動ギア26dを備える。
【0109】
第1の駆動ギア26cと第2の駆動ギア26dは、逆回転防止手段としてのワンウエイクラッチ26eを介して昇降ガイド軸22bに取り付けられ、第1の駆動ギア26cの回転がワンウエイクラッチ26eを介して第2の駆動ギア26dに伝達される。
【0110】
第1の駆動ギア26cは、転写スタンプ21Cの昇降動作でラックギア26aと噛み合い、転写スタンプ21Cの移動方向に応じて所定の方向、及び所定の方向と逆方向の正逆両方向に回転する。
【0111】
第2の駆動ギア26dは、第1の駆動ギア26cが所定の方向に回転すると、ワンウエイクラッチ26eを介して第1の駆動ギア26cから駆動力が伝達されて、第1の駆動ギア26cと同方向に回転する。これに対して、第2の駆動ギア26dは、第1の駆動ギア26cが所定の方向と逆方向に回転すると、ワンウエイクラッチ26eにより第1の駆動ギア26cに対して空転する。
【0112】
糊供給機構23Cは、巻取軸25wと同軸上に設けられ、第2の駆動ギア26dと噛み合う巻取ギア27wと、供給軸25sと同軸上に設けられ、第2の駆動ギア26dと噛み合う供給ギア27sを備える。
【0113】
巻取ギア27wは、巻取軸25wと一体に回転する。供給ギア27sは、巻取ギア27wより歯数が多く、第2の駆動ギア26dに対して、巻取ギア27wが供給ギア27sよりギア比が高く構成され、第2の駆動ギア26dと噛み合う巻取ギア27wと供給ギア27sの間で回転量を異ならせ、巻取ギア27wの方が、供給ギア27sより回転量が多くなるように構成される。また、供給ギア27sは、供給軸25sとの間にトルクリミッタ26fが設けられる。
【0114】
糊供給機構23Cでは、第2の駆動ギア26dから駆動力が伝達されて、巻取ギア27wが所定の方向に回転すると、巻取ギア27wの駆動力が巻取軸25wに伝達されて巻取軸25wが回転し、巻取軸25wにセットされた巻取リール23wが回転して、糊テープ20が巻取リール23wに巻き取られる。
【0115】
また、糊供給機構23Cでは、第2の駆動ギア26dから駆動力が伝達されて、供給ギア27sが所定の方向に回転すると、供給ギア27sの駆動力が供給軸25sに伝達されて供給軸25sが回転し、供給軸25sにセットされた供給リール23sが回転して、糊テープ20が供給リール23sから繰り出される。
【0116】
そして、巻取リール23wでの糊テープ20の巻取量の方が、供給リール23sでの繰り出し量より多く、かつ、巻取量と繰り出し量の差をトルクリミッタ26fで吸収することで、糊テープ20には常にテンションが掛けられながら送られる。
【0117】
ここで、供給リール23sを供給軸25sに対して着脱可能に構成し、巻取リール23wを巻取軸25wに対して着脱可能に構成して、糊テープ20を交換可能な構成としても良い。
【0118】
折り目付け機構3Cは折り目付け手段の一例で、封筒10のフラップ11の面に対して離接する方向に移動して、封筒10のフラップ11に折り目を付ける折り目付けプレート30Cを備える。
【0119】
折り目付けプレート30Cは、封緘処理の対象とする最大の大きさの封筒10の幅に合わせた長さを有し、軸34aを支点とした回転動作で、封筒10とフラップ11の境目を押圧する方向と退避する方向に移動する。折り目付けプレート30Cは、ねじりコイルバネ等のバネ34bにより、フラップ11から退避する方向に付勢される。
【0120】
折り目付けプレート30Cは、転写スタンプ21Cの昇降動作が折り目付けプレート押圧部材22dにより伝達されて、軸34aを支点とした回転動作を行い、転写スタンプ21Cが下降する動作で、封筒10とフラップ11の境目を押圧する。また、転写スタンプ21Cが上昇する動作で、バネ34bによりフラップ11から退避する。
【0121】
筐体4Cは、転写スタンプ21Cと共に昇降ガイド軸22bに支持された連結部材32Cの上部に取り付けられたハンドル20aが、上面に露出する。ハンドル20aは、コイルスプリング等のバネ20bにより上方に付勢されることで、ハンドル20aが取り付けられた転写スタンプ21Cを待機位置に移動させる。
【0122】
筐体4Cは、封筒10が載置される封筒載置部47を備える。封筒載置部47は、封筒10が挿入される挿入部47aを、筐体4Cの一の側面に備える。また、封筒載置部47は、折り目付けプレート30Cと対向して折り目付け台47bを備える。更に、封筒載置部47は、転写スタンプ21Cの転写面22aと対向して糊付け台47cを備える。
【0123】
折り目付け台47bは、例えばゴム等の弾性変形可能な材質で構成され、折り目付けプレート30Cで封筒10とフラップ11の境目を押圧する力を受けて弾性変形することで、封筒10とフラップ11の境目に折り目が付けられる。糊付け台47cは、金属または所定の剛性を有した樹脂等で構成され、転写スタンプ21Cで糊テープ20を封筒10のフラップ11に押圧する力を受けることで、糊テープ20の糊がフラップ11に転写される。
【0124】
封筒載置部47は、挿入部47aから挿入された封筒10の位置を規制するストッパプレート48を備える。ストッパプレート48は位置決め手段の一例で、挿入部47aから挿入された封筒10のフラップ11の先端が突き当てられ、挿入部47aから挿入された封筒10のフラップ11と転写スタンプ21Cとの位置合わせ、及び封筒10とフラップ11の境目と折り目付けプレート30Cとの位置合わせが行われる。
【0125】
ストッパプレート48は、本例では、軸48aを支点とした回転動作で、封筒載置部47の糊付け台47cから突出する方向と退避する方向に移動する。ストッパプレート48は、ねじりコイルバネ等のバネ48bにより、糊付け台47cから突出する方向に付勢される。
【0126】
ストッパプレート48は、転写スタンプ21Cの昇降動作がストッパプレート押圧部材22eにより伝達されて、軸48aを支点とした回転動作を行い、転写スタンプ21Cが下降する動作で、糊付け台47cから退避する。また、転写スタンプ21Cが上昇する動作で、バネ48bにより糊付け台47cから突出する。
【0127】
筐体4Cは、転写スタンプ21Cの昇降ガイド軸22bと揺動ガイド軸22cをガイドする昇降ガイド溝41と、転写スタンプ21Cの揺動ガイド軸22cをガイドする揺動ガイド溝42を備える。
【0128】
昇降ガイド溝41は糊切り手段を構成するガイド溝の一例で、転写スタンプ21Cの昇降ガイド軸22bと揺動ガイド軸22cが移動可能に嵌る幅を有した開口または凹部が筐体4Cの長手方向の両側面部に設けられ、本例では封筒載置部47の糊付け台47cに対して直交する上下方向に延在する。
【0129】
揺動ガイド溝42は糊切り手段を構成するガイド溝の一例で、転写スタンプ21Cの揺動ガイド軸22cが移動可能に嵌る幅を有した開口または凹部が筐体4Cの長手方向の両側面部に設けられ、揺動ガイド部42aと戻りガイド部42bを備える。
【0130】
揺動ガイド溝42は、本例では昇降ガイド溝41に対して筐体4Cの挿入部47a側に設けられ、揺動ガイド部42aと戻りガイド部42bが、本例では傾斜した直線状の溝部で形成されて、三角形状の経路を構成する。
【0131】
揺動ガイド部42aは、一方の端部である上端が合流部45aで昇降ガイド溝41と繋がる。揺動ガイド部42aと戻りガイド部42bは、揺動ガイド部42aの他方の端部である下端と、戻りガイド部42bの一方の端部である上端が、曲部42cで繋がる。そして、戻りガイド部42bは、他方の端部である下端が分岐部45bで昇降ガイド溝41と繋がる。
【0132】
なお、揺動ガイド部42aと戻りガイド部42bは、曲線状の溝部で形成される形態でも良く、このような形態では、揺動ガイド溝42は、円弧形状の経路を構成する。
【0133】
転写スタンプ21Cは、昇降ガイド軸22bと揺動ガイド軸22cが昇降ガイド溝41に嵌められることで、上下方向に移動可能な状態で筐体4Cに取り付けられる。
【0134】
転写スタンプ21Cにおいて、揺動ガイド軸22cに対して上側に設けられる昇降ガイド軸22bは、転写スタンプ21Cが上下方向に移動する動作で、昇降ガイド溝41にガイドされる。
【0135】
すなわち、ハンドル20aが押されることで、転写スタンプ21Cが連結部材32Cを介して封筒10のフラップ11を押圧する方向に下降する動作、及び、ハンドル20aがバネ20bにより押し上げられることで、転写スタンプ21Cが封筒10のフラップ11から退避する方向に上昇する動作で、昇降ガイド軸22bは昇降ガイド溝41にガイドされる。
【0136】
一方、昇降ガイド軸22bに対して下側に設けられる揺動ガイド軸22cは、転写スタンプ21Cが封筒10のフラップ11を押圧する方向に下降する動作では、昇降ガイド溝41にガイドされる。また、揺動ガイド軸22cは、転写スタンプ21Cが封筒10のフラップ11から退避する方向に上昇する動作では、揺動ガイド溝42にガイドされる。
【0137】
これにより、転写スタンプ21Cが封筒10のフラップ11から退避する方向に上昇する動作では、転写スタンプ21Cの転写面22aが、封筒10のフラップ11に糊テープ20の糊を転写する糊転写位置と、封筒10のフラップ11から糊テープ20を剥離する糊切り位置との間で揺動するように構成される。
【0138】
筐体4Cは、昇降ガイド溝41を移動する転写スタンプ21Cの揺動ガイド軸22cを、揺動ガイド溝42へ誘導する誘導ガイド46を備える。誘導ガイド46は切替手段の一例で、昇降ガイド溝41と揺動ガイド溝42の分岐部45bに設けられ、バネ46aにより軸46bを支点に回転して、昇降ガイド溝41内のガイド位置に突出する方向に付勢される。
【0139】
誘導ガイド46は、昇降ガイド溝41内のガイド位置に突出した状態で、転写スタンプ21Cの揺動ガイド軸22cに押圧される押圧面46cが上面側に設けられ、揺動ガイド軸22cをガイドするガイド面46dが下面側に設けられる。また、誘導ガイド46は、押圧面46cとガイド面46dが、軸46bに対して下側に設けられる。
【0140】
誘導ガイド46は、転写スタンプ21Cが封筒10のフラップ11を押圧する方向に下降する動作では、昇降ガイド溝41を下降する揺動ガイド軸22cが押圧面46cに接触する。誘導ガイド46は、揺動ガイド軸22cに押圧面46cが押されると、押圧面46cと軸46bの位置関係から、バネ46aの力に抗して軸46bを支点に回転し、昇降ガイド溝41から退避して、揺動ガイド軸22cが通過可能となる。揺動ガイド軸22cが通過すると、誘導ガイド46はバネ46aに付勢されてガイド位置に復帰する。
【0141】
一方、誘導ガイド46は、転写スタンプ21Cが封筒10のフラップ11から退避する方向に上昇する動作では、昇降ガイド溝41を上昇する揺動ガイド軸22cがガイド面46dに接触する。誘導ガイド46は、揺動ガイド軸22cにガイド面46dが押されても、ガイド面46dと軸46bの位置関係から、バネ46aの力で昇降ガイド溝41から退避せず、誘導ガイド46のガイド面46dにより、揺動ガイド軸22cを揺動ガイド溝42の揺動ガイド部42aに誘導する。
【0142】
転写スタンプ21Cが上昇する動作で、揺動ガイド軸22cが揺動ガイド溝42の揺動ガイド部42aにガイドされると、転写スタンプ21Cは、昇降ガイド溝41にガイドされる昇降ガイド軸22bを支点に挿入部47a方向へ回転して、糊転写位置から糊切り位置に移動する。
【0143】
転写スタンプ21Cの上昇に伴って、揺動ガイド軸22cが揺動ガイド溝42の戻りガイド部42bにガイドされると、転写スタンプ21Cは、昇降ガイド軸22bを支点に回転して、糊切り位置から糊転写位置へ移動する。そして、転写スタンプ21Cの上昇に伴って、揺動ガイド軸22cが揺動ガイド溝42の戻りガイド部42bから合流部45aで昇降ガイド溝41に戻る。
【0144】
ラックギア26aは、昇降ガイド溝41に沿って延在し、昇降ガイド溝41に昇降ガイド軸22bと揺動ガイド軸22cがガイドされて転写スタンプ21Cが上下方向に移動することで、ラックギア26aとかみ合う第1の駆動ギア26cが回転する。
【0145】
転写スタンプ21Cが封筒10のフラップ11を押圧する方向に下降する動作で、ラックギア26aと噛み合う第1の駆動ギア26cが所定の一の方向に回転すると、本例では、ワンウエイクラッチ26eを介して第1の駆動ギア26cから第2の駆動ギア26dに駆動力が伝達されて、第2の駆動ギア26dが第1の駆動ギア26cと同方向に回転する。
【0146】
第2の駆動ギア26dが所定の一の方向に回転すると、第2の駆動ギア26dと噛み合う巻取ギア27wと供給ギア27sが一の方向に回転する。巻取ギア27wが回転すると巻取軸25wが回転し、巻取軸25wにセットされた巻取リール23wが回転する。また、供給ギア27sが回転すると供給軸25sが回転し、供給軸25sにセットされた供給リール23sが回転する。
【0147】
転写スタンプ21Cが封筒10のフラップ11から退避する方向に上昇する動作で、ラックギア26aと噛み合う第1の駆動ギア26cが所定の一の方向と逆の他の方向に回転すると、本例では、ワンウエイクラッチ26eにより第2の駆動ギア26dが第1の駆動ギア26cに対して空転する。第2の駆動ギア26dが回転しないことで、第2の駆動ギア26dと噛み合う巻取ギア27w及び供給ギア27sが回転せず、巻取軸25w及び供給軸25sに駆動力が伝達されずに巻取リール23w及び供給リール23sが回転しない。
【0148】
これにより、転写スタンプ21Cが封筒10のフラップ11を押圧する方向に下降する動作では、糊テープ20が巻取リール23wに巻き取られると共に、供給リール23sから糊テープ20が繰り出される。また、転写スタンプ21Cが封筒10のフラップ11から退避する方向に上昇する動作では、糊テープ20が巻取リール23wに巻き取られない。よって、転写スタンプ21Cの昇降動作に連動して、転写スタンプ21Cの転写面22aに所定量の糊テープ20が供給される。
【0149】
第1の駆動ギア26c及び第2の駆動ギア26dは、昇降ガイド軸22bと同軸上に設けられることで、転写スタンプ21Cが昇降ガイド軸22bを支点に揺動する動作で、左右方向に移動せず、第1の駆動ギア26cとラックギア26aとのかみ合い状態が保持される。また、第2の駆動ギア26dと巻取ギア27w及び供給ギア27sとのかみ合い状態が保持される。
【0150】
<第2の実施の形態の封緘装置の動作例>
図12〜図18は、第2の実施の形態の封緘装置の動作の一例を示す動作説明図で、次に、各図を参照して封緘装置1Cにおける封緘動作について説明する。
【0151】
まず、図12に示すように、挿入部47aから封筒10が挿入されて、封筒10のフラップ11の先端がストッパプレート48に突き当てられて、封筒10のフラップ11と転写スタンプ21Cとの位置合わせ、及び封筒10とフラップ11の境目と折り目付けプレート30Cとの位置合わせが行われる。
【0152】
封筒10がセットされて、ハンドル20aが作業者により下方へ向けて押されると、封緘装置1Cは、連結部材32Cにより昇降ガイド軸22bが押されることで、昇降ガイド軸22bと揺動ガイド軸22cが昇降ガイド溝41にガイドされて、転写スタンプ21Cが封筒10のフラップ11を押圧する方向に下降する。
【0153】
転写スタンプ21Cが封筒10のフラップ11を押圧する方向に所定量下降すると、図13に示すように、第1の駆動ギア26cがラックギア26aとかみ合う。ラックギア26aと噛み合う第1の駆動ギア26cが所定の一の方向である矢印e方向に回転すると、ワンウエイクラッチ26eを介して第1の駆動ギア26cから第2の駆動ギア26dに駆動力が伝達されて、第2の駆動ギア26dが第1の駆動ギア26cと同方向に回転する。
【0154】
第2の駆動ギア26dが矢印e方向に回転すると、第2の駆動ギア26dと噛み合う巻取ギア27wと供給ギア27sが一の方向である矢印a方向に回転する。巻取ギア27wが回転すると巻取軸25wが回転し、巻取軸25wにセットされた巻取リール23wが矢印a方向に回転する。また、供給ギア27sが回転すると供給軸25sが回転し、供給軸25sにセットされた供給リール23sが矢印a方向に回転する。
【0155】
これにより、転写スタンプ21Cが封筒10のフラップ11を押圧する方向に下降する動作では、糊テープ20が巻取リール23wに巻き取られると共に、供給リール23sから糊テープ20が繰り出され、転写スタンプ21Cの昇降動作に連動して、転写スタンプ21Cの転写面22aに糊テープ20が供給される。なお、糊テープ20の供給量は、転写面22aの短手方向の長さと略同等となるようにラックギア26aの長さやギア比等が設定されることで、糊テープ20の無駄を省くことができる。
【0156】
転写スタンプ21Cが封筒10のフラップ11を押圧する方向に下降する動作で、揺動ガイド軸22cに押圧面46cが押され、誘導ガイド46が昇降ガイド溝41から退避して、揺動ガイド軸22cが通過可能となる。揺動ガイド軸22cが通過すると、誘導ガイド46はバネ46aに付勢されてガイド位置に復帰する。
【0157】
ハンドル20aが押されて転写スタンプ21Cが所定量下降すると、転写スタンプ21Cに取り付けられたストッパプレート押圧部材22eがストッパプレート48に接触し、転写スタンプ21Cが下降する動作でストッパプレート48が押圧される。また、転写スタンプ21Cに取り付けられた折り目付けプレート押圧部材22dが折り目付けプレート30Cに接触し、転写スタンプ21Cが下降する動作で折り目付けプレート30Cが押圧される。
【0158】
図14に示すように、ハンドル20aが押されて転写スタンプ21Cが下端位置まで下降すると、ストッパプレート48がストッパプレート押圧部材22eに押圧されて、封筒載置部47の糊付け台47cから下方へ退避する。これにより、転写スタンプ21Cの転写面22aが封筒10のフラップ11に押圧され、転写面22aを通る糊テープ20がフラップ11に押圧されて、糊がフラップ11に転写される。
【0159】
また、折り目付けプレート30Cが折り目付けプレート押圧部材22dに押圧されて、折り目付けプレート30Cで封筒10とフラップ11の境目が押圧される。封筒10は、折り目付け台47b上に封筒10とフラップ11の境目が位置し、折り目付けプレート30Cで封筒10とフラップ11の境目が押圧されると、折り目付け台47bが弾性変形することで、封筒10とフラップ11の境目に折り目が付けられる。
【0160】
糊がフラップ11に転写された後、ハンドル20aから手を離すと、バネ20bによりハンドル20aが上方に付勢される。ハンドル20aがバネ20bにより押し上げられることで、昇降ガイド軸22bと揺動ガイド軸22cが昇降ガイド溝41にガイドされて、転写スタンプ21Cが封筒10のフラップ11から退避する方向に上昇する。
【0161】
転写スタンプ21Cが封筒10のフラップ11から退避する方向に上昇する動作では、転写スタンプ21Cが下端位置から所定量上昇すると、図15に示すように、ストッパプレート48がバネ48bにより復帰して糊付け台47cから突出する。また、折り目付けプレート30Cがバネ34bにより上方へ退避する。
【0162】
更に、転写スタンプ21Cが下端位置から上昇する動作で、糊テープ20に貼り付いた状態のフラップ11が持ち上げられる。封筒10は、封筒10とフラップ11との境目に折り目が付けられているので、フラップ11が持ち上げられることで、フラップ11が折り曲げられる。
【0163】
また、転写スタンプ21Cが下端位置から所定量上昇すると、昇降ガイド溝41を上昇する揺動ガイド軸22cが、誘導ガイド46のガイド面46dにより、分岐部45bで揺動ガイド溝42の揺動ガイド部42aに誘導される。
【0164】
転写スタンプ21Cが上昇する動作で、揺動ガイド軸22cが揺動ガイド溝42の揺動ガイド部42aにガイドされると、図16に示すように、転写スタンプ21Cは、昇降ガイド溝41にガイドされる昇降ガイド軸22bを支点に、矢印cで示す挿入部47a方向へ回転する。
【0165】
転写スタンプ21Cが昇降ガイド軸22bを支点に矢印c方向に回転すると、糊テープ20に貼り付いた状態のフラップ11が、挿入部47a方向に持ち上げられることで、折り目に近い側より糊テープ20から剥離し、糊テープ20の糊がフラップ11に転写される。
【0166】
転写スタンプ21Cは、図17に示すように、揺動ガイド溝42の揺動ガイド部42aにガイドされる揺動ガイド軸22cが、揺動ガイド部42aと戻りガイド部42bが繋がる曲部42cに移動する位置まで上昇すると、糊切り位置に移動する。
【0167】
転写スタンプ21Cが糊切り位置まで移動すると、転写スタンプ21Cが上昇しながら揺動する動作で、糊テープ20に貼り付いた状態で持ち上げられたフラップ11の全体が、折り目に近い側より糊テープ20から剥離される。これにより、フラップ11に合わせて幅広な糊テープ20が、糊をフラップ11に転写してフラップ11から剥離されて糊切りされる。
【0168】
糊テープ20は、封筒10の幅に合わせられたもので、1テープ当たりの転写可能回数を増やすことができる。また、このような幅広の糊テープ20であっても、転写スタンプ21Cを揺動させることで、転写範囲に合わせた糊切りが確実に行われる。
【0169】
転写スタンプ21Cが上昇する動作で、第1の駆動ギア26cがラックギア26aとかみ合う。転写スタンプ21Cが上昇する動作で、ラックギア26aと噛み合う第1の駆動ギア26cが所定の一の方向と逆の他の方向である矢印f方向に回転すると、ワンウエイクラッチ26eにより第2の駆動ギア26dが第1の駆動ギア26cに対して空転する。
【0170】
第2の駆動ギア26dが回転しないことで、第2の駆動ギア26dと噛み合う巻取ギア27w及び供給ギア27sが回転せず、巻取軸25w及び供給軸25sに駆動力が伝達されずに巻取リール23w及び供給リール23sが回転しない。これにより、転写スタンプ21Cが封筒10のフラップ11から退避する方向に上昇する動作では、糊テープ20が巻取リール23wに巻き取られない。なお、本実施の形態では、転写スタンプ21Cの下降時に糊テープ20の巻き取りを行っているが、転写スタンプ21Cの上昇時に糊テープ20の巻き取りを行う構成としてもよい。また、糊テープ20の巻き取り側と供給側の配置を、転写スタンプ21Cを挟んで反転させ、糊テープ20の送り方向を逆向きとする構成としてもよい。
【0171】
転写スタンプ21Cの上昇に伴って、揺動ガイド軸22cが揺動ガイド溝42の戻りガイド部42bにガイドされると、転写スタンプ21Cは、昇降ガイド軸22bを支点に回転して、糊切り位置から糊転写位置へ移動する。そして、転写スタンプ21Cの上昇に伴って、揺動ガイド軸22cが揺動ガイド溝42の戻りガイド部42bから合流部45aで昇降ガイド溝41に戻り、図18に示すように、転写スタンプ21Cが待機位置まで上昇する。
【0172】
そして、封筒10を封緘装置1Cの挿入部47aから抜くことで、フラップ11からはみ出ることなくフラップ11に糊が付けられていると共に、フラップ11に直線状の折り目が付けられた封筒10が得られる。
【0173】
後は、第1の実施の形態の封緘装置1Aと同様に、フラップ11を作業者が人手で曲げれば、容易かつ綺麗に封緘処理を行うことができる。すなわち、上述した糊切り動作によりフラップ11からはみ出さないように、フラップ11に糊が転写されているので、封緘後に糊が外にはみ出すことはなく、仕上がりの品質が向上する。また、上述した折り目付け動作で折り曲げプレート30Cにより直線状の折り目を付けることができるので、折り目に沿ってフラップ11を容易に折り曲げることができ、折り目が曲がることがない。
【0174】
封緘装置1Cでも、ハンドル20aを往復させる操作で糊の転写とフラップ11の折り目付けを行うことができ、操作が容易である。また、構成が簡単な装置であり、小型かつ低コストで提供することができる。封緘装置1Cでは、糊が付けられたフラップを圧着するところまで行う装置ではないが、フラップ11に折り目をつける工程までを行うことで、糊が付けられたフラップを直接触って折り目を付ける作業は不要となり、作業効率は改善する。なお、転写スタンプ21Cの上下動は、手動に限らず、既知の技術により電動化しても良い。
【産業上の利用可能性】
【0175】
本発明は、可搬型の封緘装置に適用される。
【符号の説明】
【0176】
1A,1B,1C・・・封緘装置、10・・・封筒、11・・・フラップ、2A,2C・・・糊転写機構、20・・・糊テープ、20a・・・ハンドル、20b・・・バネ、21A,21C・・・転写スタンプ、22a・・・転写面、22b・・・昇降ガイド軸、22c・・・揺動ガイド軸、23A,23B,23C・・・糊供給機構、23s・・・供給リール、23w・・・巻取リール、24A,24C・・・支持部材、25s・・・供給軸、25w・・・巻取軸、26a・・・ラックギア、26b・・・駆動ギア、26c・・・第1の駆動ギア、26d・・・第2の駆動ギア、26e・・・ワンウエイクラッチ、26f・・・トルクリミッタ、27w・・・巻取ギア、27s・・・供給ギア、3A・・・折り曲げ機構、3C・・・折り目付け機構、30・・・折り曲げブロック、30a・・・折り曲げ斜面、30b・・・スライドガイド軸、30C・・・折り目付けプレート、31・・・リンク部、31a・・・第1のリンク、31b・・・第2のリンク、31c・・・軸、32A,32C・・・連結部材、33・・・連結軸、4A,4C・・・筐体、40・・・載置面、40a・・・開口部、40b・・・封筒押さえ部、40c・・・挿入部、41・・・昇降ガイド溝、42・・・揺動ガイド溝、42a・・・揺動ガイド部、42b・・・戻りガイド部、42c・・・曲部、43・・・第1のスライドガイド溝、44・・・第2のスライドガイド溝、45a・・・合流部、45b・・・分岐部、46・・・誘導ガイド、46a・・・バネ、46b・・・軸、46c・・・押圧面、46d・・・ガイド面、47・・・封筒載置部、47a・・・挿入部、47b・・・折り目付け台、47c・・・糊付け台、48・・・ストッパプレート

【特許請求の範囲】
【請求項1】
封筒のフラップの面に対して離接する方向に移動可能に設けられ、封筒のフラップに糊を転写する糊転写手段と、
前記糊転写手段を移動させる操作手段と、
前記糊転写手段が移動して封筒のフラップから退避する動作で、前記糊転写手段を揺動させる糊切り手段と
を備えたことを特徴とする封緘装置。
【請求項2】
前記糊切り手段は、前記糊転写手段の移動をガイドするガイド溝で構成される
ことを特徴とする請求項1記載の封緘装置。
【請求項3】
前記糊切り手段は、
前記糊転写手段が封筒のフラップを押圧する動作で前記糊転写手段の移動をガイドする昇降ガイド溝と、
前記糊転写手段が封筒のフラップから退避する動作で前記糊転写手段の移動をガイドする揺動ガイド溝と、
前記糊転写手段の移動経路を切り替える切替手段を備えた
ことを特徴とする請求項2記載の封緘装置。
【請求項4】
前記糊転写手段は、封筒のフラップに押圧される転写面を有した転写部材と、前記転写面に糊を供給する糊供給機構を備え、
前記糊切り手段は、前記転写部材が封筒のフラップから退避する方向に移動する動作に伴い、前記転写面が封筒のフラップに沿った方向に移動するように前記転写部材を揺動させる
ことを特徴とする請求項1〜請求項3の何れか1項に記載の封緘装置。
【請求項5】
前記糊転写手段が封筒のフラップの面に対して離接する動作で、封筒のフラップに折り目を付ける折り目付け手段を備えた
ことを特徴とする請求項1〜請求項4の何れか1項に記載の封緘装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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