射出スリーブ内面への粉体塗布装置
【課題】粉体噴出管から噴射される粉体が射出スリーブ内の不要な箇所に付着されてしまうのを防止し、特に溶湯と接触しない射出スリーブ上側に付着する粉体の量を殆ど無くし、これらのことによって、チップにより掻き取られて溶湯中に巻き込まれる粉体を殆ど無くして,製品の内部に混入する粉体の量を減らす事ができ、ひいては、鋳造される製品の品質を安定して確保することができる射出スリーブ内面への粉体塗布装置を提供する。
【解決手段】導電性金属管からなり、前記射出スリーブ内に挿入されて、該射出スリーブ内に静電電界を発生させる電極棒として作用すると共に、前記粉体を前記射出スリーブ内に噴出させる粉体噴出管21を備え、粉体噴出管21は、射出スリーブ内の下側部位へ向けて粉体を噴出する粉体噴出口21aを軸線方向に複数配設する。
【解決手段】導電性金属管からなり、前記射出スリーブ内に挿入されて、該射出スリーブ内に静電電界を発生させる電極棒として作用すると共に、前記粉体を前記射出スリーブ内に噴出させる粉体噴出管21を備え、粉体噴出管21は、射出スリーブ内の下側部位へ向けて粉体を噴出する粉体噴出口21aを軸線方向に複数配設する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ダイカストマシン等の鋳造装置における射出スリーブ内面に潤滑剤及び断熱剤としての粉体を塗布する粉体塗布装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、この種の発明には、注湯口から射出スリーブ内へ挿入される電極棒により静電気を発生させながら、注湯口へ向けた粉体噴射ノズル(潤滑剤供給ノズル)から粉体を噴射し、その噴射される粉体を前記射出スリーブの内面に静電塗布するようにしたものがある。(例えば、特許文献1参照)
【0003】
ところで、上記従来技術によれば、スリーブ内面の全体に粉体が付着するが、射出スリーブ内に流動される溶湯は、主に射出スリーブ内の下側を流れ、射出スリーブの上側への接触が少ない。
【0004】
上記従来技術によれば,必要としない個所,特に溶湯と接触しない射出スリーブの上側にも粉体が付着されてしまうため,チップによって掻き取られて溶湯中に巻き込まれる粉体の量が多くなり,溶湯と共にキャビィティ内に流れ込む粉体が多くなる。より詳細に説明すれば、スリーブの上側に粉体が付着していると、その粉体が、チップによって掻き取られ、スリーブの下側を流れる溶湯の中に落下するため、溶湯と共にキャビィティ内に流れ込む粉体が多くなる。
【0005】
したがって,粉体の混入により鋳造された製品の湯口の破断面に粉体が混入したり、製品内に混入された粉体が「ふくれ」や「鋳巣」の原因となったりし、製品の品質が悪化してしまう。さらに,粉体の使用量が多いという問題もあった。
【特許文献1】特公平6−69607号公報(第5図)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は上記従来事情に鑑みてなされたものであり、その課題とする処は、粉体噴出管から噴射される粉体が射出スリーブ内の不要な箇所に付着されてしまうのを防止し、特に溶湯と接触しない射出スリーブ上側に付着する粉体の量を殆ど無くし、これらのことによって、チップにより掻き取られて溶湯中に巻き込まれる粉体を殆ど無くして,製品の内部に混入する粉体の量を減らす事ができ、ひいては、鋳造される製品の品質を安定して確保することができる射出スリーブ内面への粉体塗布装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
このような目的を達成するために、本発明は、鋳造装置における射出スリーブの内面に粉体を静電塗布する粉体塗布装置において、導電性金属管からなり、前記射出スリーブ内に挿入されて、該射出スリーブ内に静電電界を発生させる電極棒として作用すると共に、前記粉体を前記射出スリーブ内に噴出させる粉体噴出管を備え、前記粉体噴出管は、前記射出スリーブ内の下側部位へ向けて前記粉体を噴出する粉体噴出口を軸線方向に複数配設することを特徴とする。
【0008】
また、前記粉体噴出口から噴出された前記粉体が前記射出スリーブ内の上側へ流れるのを防止する干渉体を具備してなることを特徴とする。
【0009】
また、前記射出スリーブの内周面に近接又は接触して前記射出スリーブ内の下側に略仕切られた空間を確保する仕切体を具備してなることを特徴とする。
【0010】
また、前記射出スリーブ内の上側空間へ向けて気体を噴出する気体噴出口を有する気体噴出管を具備してなることを特徴とする。
【0011】
本発明の射出スリーブ内面への粉体塗布装置によると、射出スリーブ内に静電電界を発生させる電極棒として作用すると共に、粉体を射出スリーブ内に噴出させる粉体噴出管を備え、粉体噴出管は、射出スリーブ内の下側部位へ向けて粉体を噴出する粉体噴出口を軸線方向に複数配設するので、粉体噴出管は射出スリーブ内で静電電界を発生しながら、内部に流通する粉体を射出スリーブの下側に向けて噴出することができ、その粉体を、射出スリーブの下側部位のみに静電塗布することが可能になる。
【0012】
上記粉体噴出口は、具体的な好ましい態様としては、上記粉体噴出管の周壁に、下方向き又は斜め下方向きに上記粉体噴出口を形成した態様が挙げられる。この態様において、更に好ましくは、前記粉体噴出口を上記粉体噴出管の軸方向に複数設け、上記粉体噴出管内に当該粉体噴出管の下流側から粉体の供給方向と逆方向に向けて背圧エアーを噴射し、背圧エアーによって粉体噴射管内に形成される気体壁の範囲を設定可能な背圧噴射手段を備えることで、射出スリーブ内面の下側部位に軸方向にわたって略均一に粉体が塗布される。
【0013】
また、上記粉体噴出管は、上記粉体噴出口から粉体を噴出しながら、上記射出スリーブの軸方向へ移動するように構成してもよい。この構成によれば、上記粉体噴出管の移動により、上記粉体噴出口から噴出される粉体を、射出スリーブの軸方向にわたって略均等に塗布することができる。
【発明の効果】
【0014】
本発明は、以上説明したように構成されているので、以下に記載されるような作用効果を奏する。
先ず、射出スリーブ内に静電電界を発生させる電極棒として作用すると共に、粉体を射出スリーブ内に噴出させる粉体噴出管を備え、粉体噴出管は、射出スリーブ内の下側部位へ向けて粉体を噴出する粉体噴出口を軸線方向に複数配設するので、粉体噴出管は射出スリーブ内で静電電界を発生しながら、内部に流通する粉体を射出スリーブの下側に向けて噴出することができ、その粉体を、射出スリーブの下側部位のみに静電塗布することが可能になる。
【0015】
また、本発明によると、粉体が溶湯との接触面以外の箇所に塗布されるのを防止することができ、粉体噴出管から噴射される粉体が、射出スリーブ内の不要な箇所に付着されてしまうのを防止できる。そのことによってキャビティ内に流れ込む粉体量を減らして、製品の内部に混入される粉体の量を殆ど無くすことができ、ひいては鋳造される製品の品質を向上することができる。また、粉体の使用量も軽減される。
【0016】
また、粉体噴出管から噴射される粉体が射出スリーブ内上面側へ流れるのを、干渉体によって一層確実に防止することができる。
また、仕切体が射出スリーブの内周面に近接又は接触することで、射出スリーブ内の下側に略仕切られた空間を確保するため、粉体が射出スリーブ内の上面側へ流れるのをより確実に阻止することができる。したがって、製品の内部に混入される粉体の量を一層少なくすることができ、例えば、製品切断面に混入される粉体の量を、従来技術と比較しておよそ1/7に減少することができる。
【0017】
また、射出スリーブの上側空間には、気体噴出管から噴出される気体によって、所謂エアーカーテンのような気体層が形成される。したがって、粉体噴出管から下側空間へ向って噴出される粉体は、前記気体層により射出スリーブの上側空間へ流れるのを阻止される。
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。図1は、本発明に係わる粉体塗布装置1を備えたダイカストマシンAの一部を示している。このダイカストマシンAは、ホッパーA1から注湯口A2を介して射出スリーブA3内に給湯される溶湯を、プランジャチップA5のピストン運動により、仮想線で示すキャビティA4内へ射出充填して鋳造する周知の構造のものであり、前記注湯口A2の後方側に粉体塗布装置1を具備している。粉体塗布装置1は、注湯口A2の後方側に斜めに支持されたシリンダー機構10、該シリンダー機構10のスライド部12に揺動自在に軸支された略管状の粉体塗布ユニット20、該粉体塗布ユニット20を支承して注湯口A2内へ導く支承部30等を具備している。
【0019】
シリンダー機構10は、油圧あるいは空圧等の駆動媒体により、斜めに支持されたシリンダー本体11に対してスライド部12を直線往復運動させる所謂ロッドレスシリンダであり、スライド部12には、ブラケット等を介して粉体塗布ユニット20が揺動自在に軸支されている。
【0020】
粉体塗布ユニット20は、への字状に曲げられた導電性金属管である粉体噴出管21を備え、該粉体噴出管21の内部に流通させる粉体を先端面及び外周面から噴出する粉体噴出作用と、図示しない高電圧発生器により射出スリーブA3内に静電電界を発生する電極棒としての作用とを兼ね備えている。
【0021】
支承部30は、射出スリーブA3における注湯口A2の後端側(図示例によれば右端側)に配置され、その上面によって粉体塗布ユニット20を支承しながら注湯口A2内へ案内する部材であり、本実施の形態の好ましい一例によれば、粉体塗布ユニット20との摩擦抵抗を小さくして該粉体塗布ユニット20をスムーズに注湯口A2内へ導くように、ローラーを軸止してなる。
【0022】
而して、上記構成によれば、シリンダー機構10のスライド部12がシリンダー本体11に沿って斜めに下降すると、粉体塗布ユニット20は、その先端側部位を、支承部30に支承されることで上方へ揺動させながら、注湯口A2から射出スリーブA3内に挿入させて行き、同先端側部位を射出スリーブA3の略軸心上に配置する。その後、粉体塗布ユニット20は、静電電界を発生しながら、内部に流通する粉体を噴出し、その粉体を、スリーブA3の内面に静電塗布する。
【0023】
次に、上記粉体塗布ユニット20の構成及び粉体噴出作用について詳細に説明する。この粉体塗布ユニット20は、への字状に曲げ形成された粉体噴出管21と、該粉体噴出管21の外周面に所定間隔置きに複数配設された第1〜3の背圧噴射手段22a,22b,22cと、粉体噴出管21の上半部側を囲む干渉体23とからなる(図2参照)。尚、図2及び図5においては、前記第1〜3の背圧噴射手段22a,22b,22cを、粉体噴出管21外周面における上端部に直列状に配設することで、図示を簡潔明瞭にしているが、実際には、これら背圧噴射手段22は、相互の干渉を避けるために、図3に示すように、粉体噴出管21の周方向に所定角度ずらして配設されている。
【0024】
粉体噴出管21は、導電性金属材料からなるパイプ材をへの字状に曲げるとともに、その外周面における第1〜3の背圧噴射手段22a,22b,22cと干渉しない部位に、粉体噴出ロ21aを周方向及び軸方向にわたって複数穿設し、且つ、先端部には、粉体を噴出可能にすべく先端噴出開口部21bを形成している。前記粉体噴出ロ21aは、本実施の形態の好ましい一例によれば、図3に示すように、垂直中心線の左右に角度45度下向きに二箇所配設され、且つ、軸線方向に所定間隔置きに複数配設されることで、上記粉体噴出管21から噴出される粉体を、上記射出スリーブA3内面における略溶湯との接触面のみに、部分的に塗布する部分的粉体塗布手段を構成している。
【0025】
第1〜3の背圧噴射手段22a,22b,22cは、粉体噴出管21の最先端側から後端側にかけて順番に配置されている。すなわち、図示例によれば、第1の背圧噴射手段22aが、粉体噴出管21の最先端側に配置され、第2の背圧噴射手段22bが、第1の背圧噴射手段22aと所定間隔を置いて上流側(図示によれば右側)に配置され、第3の背圧噴射手段22cが、第2の背圧噴射手段22bと所定間隔を置いて上流側に配置されている。
【0026】
第1〜3の背圧噴射手段22a,22b,22cの各々は、空気圧縮機等(図示せず)で加圧されたエアーを、粉体噴出管21の外面に沿って粉体噴出管21先端方向へ流通する背圧エアー流通管p1と、該背圧エアー流通管p1の先端側に連通され、該背圧エアー流通管p1内のエアーを、粉体噴出管21内の下流側から粉体の供給方向と逆方向へ噴射する背圧噴射ノズルp2とからなる。
【0027】
ここで、第1〜3の背圧噴射手段22a,22b,22cの各々の作用について詳細に説明すれば、図4に示すように、各背圧噴射手段22a(22b,22c)は、背圧噴射ノズルp2を介して粉体噴出管21内へ、粉体の流れ方向と逆向きのエアーを噴射する。すると、その噴射されたエアーが粉体の流れに衝突し、粉体噴出管21内には、前記エアーによる気体壁qが形成される。この気体壁qの範囲wは、背圧噴射ノズルp2から噴射された気体が粉体の流れに衝突した際において、その衝突面q1と背圧噴射ノズルp2との間の範囲である。また、その際の前記衝突面q1の位置は、複数の粉体噴出ロ21aからの粉体噴出量を実験的に測定した場合において、該粉体噴出量が極端に減った粉体噴出ロ21aよりも粉体供給側で、且つ同粉体噴出ロ21aの近傍とされる。
【0028】
そして、前記気体壁qの範囲wは、背圧噴射ノズルp2から噴射されるエアーの圧力と粉体噴出管21内を流れる粉体の圧力(詳細には粉体の搬送媒体であるエアーの圧力)との圧力比(エアーの圧力/粉体の圧力)によって異なり、すなわち、この圧力比が大きければ気体壁qの範囲wが大きくなり、同圧力比が小さければ気体壁qの範囲wが小さくなる。本実施の形態では、前記圧力比(エアーの圧力/粉体の圧力)を、約1.5〜3の範囲内、好ましくは約2.5前後に設定している。
【0029】
粉体噴出管21内を流れる粉体は、前記気体壁qに衝突することで、前記気体壁qに近い部分xの密度が濃くなる。そして、粉体の密度の濃い部分xは、前記背圧噴射ノズルp2からのエアーの噴射が停止されることで、粉体下流方向(図示における左方向)へ略一定速度で徐々に移動する。
【0030】
前記エアーの制御についてより具体的に説明すれば、例えば、背圧エアー流通管p1のエアー供給源側に電動バルブ(図示せず)を設け、該電動バルブのON/OFF制御により開閉させることで、背圧噴射ノズルp2からのエアーの噴射をONからOFFにすればよい。尚、前記ON/OFF制御により背圧噴射ノズルp2からのエアーの噴出が急激に停止した場合でも、粉体噴出管21内の粉体が濃くなった部分xは、急激に下流方向へ移動することなく、粉体噴出管21の管摩擦等の影響により、略一定速度で徐々に下流方向へ移動することになる。
【0031】
一方、粉体噴出管21は、上記気体壁qよりも粉体供給源側において、各粉体噴出ロ21aから粉体を噴出する。その際の粉体の噴出量は、粉体の密度の濃い部分xに近い粉体噴出ロ21a1が最も多く、この粉体噴出ロ21a1よりも更に粉体供給源側の粉体噴出ロ21a2,21a3・・・に行くにしたがって徐々に少なくなる。そして、上記ON/OFF制御により背圧噴射ノズルp2からのエアーの噴出が停止された際には、上記したように粉体の密度の濃い部分xが略一定速度で徐々に下流方向へ移動するため、その移動に伴って、最も粉体を多く噴出する粉体噴出ロ21a1、及び該粉体噴出ロ21a1よりも粉体噴出量の少ない粉体噴出ロ21a2,21a3・・・が、徐々に下流方向側の粉体噴出ロ21aへ移行することになる。
【0032】
尚、本実施の形態によれば、上記したように背圧噴射ノズルp2からのエアーの噴射をONからOFFにすることにより、粉体を噴出する粉体噴出ロ21a1,21a2,21a3・・・を徐々に下流方向へ移行させるようにしたが、背圧噴射ノズルp2から噴射させるエアーの圧力を徐々に弱めることによっても同様の作用を得ることができる。また、背圧噴射ノズルp2からのエアーの噴射をOFFからONにするか、あるいは、背圧噴射ノズルp2から噴射させるエアーの圧力を徐々に強めるようにすれば、粉体を噴出する粉体噴出口21a1,21a2,21a3・・・を徐々に上流方向へ移行させることも可能である。
【0033】
また、図4の例示によれば、最も粉体噴出量の多い粉体噴出ロ21a1よりも下流側(図示による左側)の粉体噴出ロ21aにおいては粉体の噴出を示す実線を図示していないが、実際には、粉体噴出管21内の乱流の発生等により、図示における粉体噴出ロ21a1よりも下流側の粉体噴出ロ21aにおいても、若干の粉体の噴出がある。
【0034】
そして、上記したように作用する第1〜3の背圧噴射手段22a,22b,22cは、図2に示すように、粉体噴出管21の長手方向にわたって所定間隔置きに配設され、その配設間隔、すなわち背圧噴射ノズルp2,p2間の間隔は、上述した気体壁qの範囲wを目安に設定してある。図示例では、第1の背圧噴射手段22aの背圧噴射ノズルp2と第2の背圧噴射手段22bの背圧噴射ノズルp2との間隔をw1とし、第2の背圧噴射手段22bの背圧噴射ノズルp2と第3の背圧噴射手段22cの背圧噴射ノズルp2との間隔をw2としており、これら間隔w1,w2は、それぞれ背圧噴射ノズルp2により形成される気体壁qの範囲を目安に設定してある。また、図中符号w3で示す範囲は、粉体塗布ユニット20の後端側において粉体噴出ロ21aを設けた範囲を示しており、射出スリーブA3内の後端まで粉体を塗布できるように設定してある。粉体噴出管21の複数の粉体噴出ロ21aは、上記範囲w1〜w3内に配設されている。
【0035】
また、干渉体23は、図3に示すように、粉体噴出管21の上半部側を囲む包囲部23aと、該包囲部23aの両端部の各々から略水平方向へ延設された水平板部23bとからなり、粉体噴出管21の先端から略粉体噴出ロ21aを有する範囲にわたって連続的に設けられ、粉体噴出管21の外周面に支持される。そして、この干渉体23は、上記粉体噴出管21における複数の粉体噴出ロ21aと協働して、上記粉体噴出管21から噴出される粉体を、上記射出スリーブA3内面における略溶湯との接触面のみに、部分的に塗布する部分的粉体塗布手段を構成している。
【0036】
この干渉体23は、粉体噴出管21と共に射出スリーブA3内に挿入された際、射出スリーブA3内の空間を略上下に仕切るように配置され、複数の粉体噴出ロ21aから噴出される粉体が射出スリーブA3内上側に流れるのを防ぐ。すなわち、この干渉体23は、図7に示すように、粉体噴出管21の複数の粉体噴出ロ21aから斜め下方向きに噴射される粉体が、射出スリーブA3内の上方側へ回り込むのを防止している。そして、複数の粉体噴出ロ21aから射出スリーブA3内へ噴出される粉体は、射出スリーブA3内周面の上側にはほとんど塗布されることなく、主に射出スリーブA3内の下側、つまり溶湯が流れる範囲に塗布されることになる。
【0037】
尚、干渉体23の幅寸法(射出スリーブA3径方向の幅寸法)は、射出スリーブA3内に溶湯を流した際におけるその溶湯の周方向(射出スリーブA3周方向)の範囲に応じて適宜設定される。すなわち、溶湯の前記周方向範囲が比較的広い場合には、粉体が射出スリーブA3内の上側へ回り込む量を多くするように、前記幅寸法を狭く設定し、また、溶湯の前記周方向範囲が比較的狭い場合には、粉体が射出スリーブA3内の上側へ回り込む量を少なくするように、前記幅寸法を広く設定する。
【0038】
次に、上記第1〜3の背圧噴射手段22a,22b,22cによる気体の噴射を軸方向に順番にON/OFF制御するようにした好ましい制御例について詳細に説明する(図5及び図6参照)。先ず、粉体塗布ユニット20は、射出スリーブA3内に挿入され、その先端側部位が射出スリーブA3と略同軸になるように配置される。そして、粉体噴出管21内に粉体が約0.2MPaの圧力で8秒間供給され、その供給開始と同時に、第3の背圧噴射手段22cによるエアーの噴射が開始される。この第3の背圧噴射手段22cによるエアーの噴射は、約0.5MPaの圧力で約2秒間継続される。すると、粉体噴出管21内には、範囲w3に気体壁qが形成されるとともに、該気体壁qよりも粉体供給側である該気体壁q近傍に、粉体の密度の濃い部分xが形成される(図5(a)参照)。
【0039】
次に、第3の背圧噴射手段22cによる気体の噴射が停止されると同時に、第2の背圧噴射手段22bによる気体の噴射が開始される。この第2の背圧噴射手段22bによる気体の噴射は、約0.5MPaの圧力で約2秒間継続される。すると、粉体噴出管21内には範囲w2に気体壁qが形成され、この気体壁qへ徐々に近づくようにして、粉体の密度の濃い部分xが、範囲w3内を略一定速度で下流方向へ移動する。そして、その移動に伴って、範囲w3における複数の粉体噴出ロ21aからは、上流側(図示による右側)から下流側(図示による左側)へ向かって順番に粉体が噴出されて行く(図5(b)参照)。
【0040】
更に、第2の背圧噴射手段22bによる気体の噴射が停止されると同時に、第1の背圧噴射手段22aによる気体の噴射が開始される。この第1の背圧噴射手段22aによる気体の噴射は、約0.3MPaの圧力で約4秒間継続される。すると、粉体噴出管21内には範囲w1に気体壁qが形成され、この気体壁qに徐々に近づくようにして、粉体の密度の濃い部分xが、範囲w2を略一定速度で下流方向へ移動する。そして、その移動に伴って、範囲w2における複数の粉体噴出ロ21aからは、上流側から下流側へ向かって順番に粉体が噴出されて行く。尚、範囲w3における複数の粉体噴出ロ21aからの粉体の噴出も継続される(図5(c)参照)。
【0041】
最後に、第1の背圧噴射手段22aによる気体の噴射が停止されると同時に、粉体供給源から粉体噴出管21内への粉体の供給も停止され、粉体噴出管21内には、粉体を含まない清掃用エアーが約0.2MPaの圧力で約3秒間供給される。すると、粉体の密度の濃い部分xが、徐々に範囲w1を下流方向へ移動し、その移動に伴って、範囲w1における複数の21aからは、上流側から下流側へ向かって順番に粉体が噴出されて行く。そして、粉体の密度の濃い部分xは、最終的には先端噴出開口部21bから排出される。尚、範囲w2及びw3における複数の粉体噴出ロ21aからの粉体の噴出も、最上流側の粉体噴出ロ21aに前記清掃用エアーが到達するまでは継続される(図5(c)参照)。そして、前記清掃用エアーによって粉体噴出ロ21a内が清掃された後、粉体塗布ユニット20は、射出スリーブA3内から抜き出される。
【0042】
尚、第1〜3の背圧噴射手段22a,22b,22cの各々のエアー噴出時間は、粉体の密度の濃い部分xが範囲w3,w2,w1を略連続的に移動するように設定してある。
【0043】
而して、上記粉体塗布装置1によれば、粉体噴出管21内で粉体の密度の濃い部分xが略一定速度で粉体噴出管21の上流側から下流側へ移動し、それに後続する前記xよりも粉体密度が薄い部分も、略一定速度で粉体噴出管21の上流側から下流側へ移動する。したがって、射出スリーブA3の内周面における下側、すなわち溶湯が流れる部位において、上記範囲w3,w2,w1には、軸方向にわたって略均一な厚さで塗膜が形成される。更に、射出スリーブA3の内周面における上記範囲w3,w2,w1よりも先端側(図示における左側)の範囲には、最終的に先端噴出開口部21bから排出される粉体により、上記範囲w3,w2,w1と略均一な厚さで塗膜が形成される。
【0044】
尚、第1〜3の背圧噴射手段22a,22b,22cの各々のエアー圧力、エアー噴出時間、及び粉体供給源の粉体供給圧力、粉体供給時間等について上記した値(図6に示す値)は、特に好ましい一例を示すものであるが、実際に射出スリーブA3内周面に塗布された粉体の膜厚が略一定になるように適宜調整される。
すなわち、射出スリーブA3内周面と粉体噴出管21外周面との間は、上記塗布作業中に乱流が生じるため、例えば、各粉体噴出ロ21aから噴出される粉体噴出量を略一定にするように制御したとしても、射出スリーブA3内周面に塗布される粉体の膜厚は略一定にならない場合がある。そのため、第1〜3の背圧噴射手段22a,22b,22cの各々のエアー圧力、エアー噴出時間、及び粉体供給源の粉体供給圧力、粉体供給時間等は、実際に塗布される射出スリーブA3内周面の粉体の膜厚を実験的に測定し、その膜厚が略一定となるように設定される。
【0045】
尚、上記実施の形態において、干渉体23は、粉体噴出管21の粉体噴出ロ21aから噴出される粉体を射出スリーブA3の上側に流れるのを防止するものであれば、上記したものに限定されるものでない。以下に、干渉体23の他の態様について説明する。尚、以下に示す態様においては、上記背圧噴射手段22を省いた構成としているが、必要に応じて上記背圧噴射手段22を加えた構成としてもよい。また、以下に示す態様では、上記実施の形態と略同一の部位については、同一の符号を付けるとともに、重複する詳細説明を省略する。
【0046】
図8に示す干渉体40は、射出スリーブA3内に軸方向にわたって挿入される粉体噴出管41と、該粉体噴出管41を略水平方向の略中央に挟むようにして、該粉体噴出管41の両側に略平行に固定された二本の補助管42,42とから構成され、これら粉体噴出管41及び補助管42が射出スリーブA3内の空間を上下に仕切ることによって、上述した干渉体23と同様に、噴出される粉体が射出スリーブA3の上側へ流れるのを防止する。
【0047】
前記粉体噴出管41は、上記粉体塗布ユニット20の粉体噴出管21と略同様に構成された管体であり、噴出方向を射出スリーブA3内の下側部位へ向けた粉体噴出ロ41aを、周方向および軸方向にわたって複数備えている。また、前記補助管42は、例えば、粉体噴出口(図示せず)を射出スリーブA3内の下側部位へ向けて設けることで、前記粉体噴出管41による粉体噴出量を増加するための管として用いてもよいし、あるいは、粉体を吸引するための吸引口(図示せず)を射出スリーブA3内の上側部位へ向けて設けることで、粉体噴出管41から噴出される粉体が射出スリーブA3内の上側へ流れるのをより確実に防止するように用いてもよい。
【0048】
また、図9に示す干渉体50は、射出スリーブA3内に軸方向にわたって挿入される断面矩形状の管体であり、上記干渉体23と同様に粉体が射出スリーブA3の上側へ流れるのを防止する作用と、上記粉体噴出管21と同様に射出スリーブA3内の下側部位へ向けて粉体を噴出する作用との双方の作用を兼ね備えたものである。この干渉体50は、その下面における幅方向及び軸方向にわたって複数の粉体噴出ロ51aを形成してなり、その内部には、図示しない粉体供給源から供給された粉体が流通され、該粉体を前記複数の粉体噴出ロ51aから噴出して射出スリーブA3内の下側部位に塗布する。そして、同干渉体50は、射出スリーブA3内で上側へ流れようとする粉体の障害物となることで、粉体が射出スリーブA3内の上側部位に塗布されるのを防止する。
【0049】
上記粉体噴出管から噴出される粉体を、上記射出スリーブA3内面における略溶湯との接触面のみに、部分的に塗布する部分的粉体塗布手段は、上述してきた構成に限定されるものでなく、以下に示す構成とすることもできる。
【0050】
図10及び11に示す粉体塗布装置60は、射出スリーブA3のキャビティ側開口部A3aから挿入される粉体噴出管61と、該粉体噴出管61の先端側に固定された仕切体62と、該粉体噴出管61の上面に軸方向にわたって略平行に止着された吸引管63とを備え、前記粉体噴出管61、仕切体62、及び吸引管63を射出スリーブA3内で軸方向に移動させるように構成してある。
【0051】
粉体噴出管61には、前記仕切体62内の空間へ向けて下方向きに粉体を噴出する粉体噴出ロ61a1が複数穿設されている。この粉体噴出管61は、前記複数の粉体噴出ロ61a1を有する先側部位61aを金属管により構成するとともに、後側部位61bを可撓性のチューブから構成することで、射出スリーブA3外のキャビティ側空間へ容易に抜き取られるようにしてある。
【0052】
また、上記仕切体62は、射出スリーブA3内における一部分の空間を上下に仕切るようにして配設された水平仕切壁62aと、該水平仕切壁62aの軸方向の両端部に下方向きに配設された二枚の垂直仕切壁62b,62bとから一体に構成され、射出スリーブA3の内周面に近接又は接触して射出スリーブA3内の下側に略仕切られた空間を確保する。
【0053】
水平仕切壁62aは、射出スリーブA3の軸心に交差する水平方向の両端部を射出スリーブA3の内周面に接触させるとともに、それら両端部間の略中央に、射出スリーブA3の軸心と略平行になるように粉体噴出管61及び吸引管63を固定している。
【0054】
垂直仕切壁62bは、正面視半円状の板状部材であり、その上辺部分を上記水平仕切壁62aの下面に連接固定するとともに、半円部分の外周端部を射出スリーブA3の下半部に近接させて若干の隙間Sを確保している。この隙間Sは、垂直仕切壁62bが射出スリーブA3内で軸方向へ移動された際に、垂直仕切壁62bの外周端部によって射出スリーブA3内周面に塗布された粉体を擦ってしまうことがないようにするものである。
【0055】
また、上記吸引管63は、その先端の吸引口63aを仕切体62内の下側空間部に連通させて配設され、後側部位を可撓性のチューブから構成することで、射出スリーブA3外のキャビティ側空間へ容易に抜き取られるようにしてある。そして、この吸引管63は、粉体噴出管61の粉体噴出ロ61a1から仕切体62内の空間へ粉体が噴出される際に、該空間の雰囲気を吸引する。すなわち、仮に、吸引管63による吸引を行わずに粉体噴出ロ61a1から仕切体62内の空間へ粉体が噴出された場合には、仕切体62内の雰囲気が圧力上昇することで、仕切体62内の粉体が、仕切体62外へ漏れて射出スリーブA3内の上面側へ回り込んでしまうことが懸念される。吸引管63は、仕切体62内の雰囲気を吸引することで、粉体の噴出による仕切体62内の圧力上昇を防ぎ、そのことによって、仕切体62内から仕切体62外へ粉体が漏れてしまうのを防止し、更には射出スリーブA3内の上側部位に粉体が塗布されてしまうのをより確実に防止するものである。
【0056】
尚、図中、符号64は、上記粉体噴出管61や、仕切体62、吸引管63等を支持している支持棒である。この支持棒64は、その後部側64bが前部側64aに対して上方へ折れ曲がるように枢着されている。そして、この支持棒64は、キャビティ側の限られたスペースを利用して、上記粉体噴出管61や、仕切体62、吸引管63等を、射出スリーブA3内外に、挿入および抜き取り可能にする。
【0057】
次に、上記構成の粉体塗布装置60を用いて射出スリーブA3内に粉体を塗布する作業について説明する。先ず、上記粉体塗布装置60は、射出スリーブA3のキャビティ側開口部A3aから挿入され、粉体噴出管61の先端側の仕切体62を、プランジャチップA5の先端面に当接または近接させた状態で、複数の粉体噴出ロ61a1から仕切体62内へ粉体を噴出すると略同時に、吸引管63による吸引も開始する。そして、同粉体塗布装置60は、前記噴出および吸引の直後に、射出スリーブA3内をキャビティ側へ移動され、最終的にはキャビティ側開口部A3aから抜き取られる。したがって、上記粉体塗布装置60によれば、複数の粉体噴出ロ61a1から噴出される粉体が、射出スリーブA3内の下側面のみに、軸方向にわたって略均一に塗布されることになる。
【0058】
尚、図示例の粉体塗布装置60によれば、射出スリーブA3のキャビティ側開口部A3aへの挿入及び同開口部からの抜き出しを容易にするために、仕切体62の軸方向長さを射出スリーブA3の軸方向長さよりも大幅に短くしたが、仕切体62の軸方向長さを、図示例のものよりも長くしたり、射出スリーブA3の軸方向長さと略同等の長さとすることも可能である。
【0059】
また、図12に示す粉体塗布装置70は、上述した粉体噴出管21と略同構成の粉体噴出管71と、該粉体噴出管71の上面に軸方向にわたって略平行に固定された気体噴出管72とを具備してなる。
【0060】
粉体噴出管71は、上記粉体噴出管21と略同様に、その周壁に、粉体を噴出する粉体噴出ロ71aを複数備える。これら粉体噴出ロ71aは、射出スリーブA3内の下側部位へ向くとともに、粉体噴出管71の周方向及び軸方向にわたって複数配設されている。気体噴出管72は、その周壁に、射出スリーブA3内の上側空間へ向けて気体を噴出する気体噴出ロ72aを軸方向にわたって複数配設してなる。この気体噴出管72から噴出される気体には、空気又は窒素等の不活性ガスが用いられる。
【0061】
上記構成の粉体塗布装置70によれば、射出スリーブA3の上側空間部には、気体噴出管72から噴出される気体によって、所謂エアーカーテンのような気体層が形成される。したがって、粉体噴出管71から噴出される粉体は、前記気体層により射出スリーブA3内の上側空間部へ流れるのを阻止され、射出スリーブA3内の下側部位のみに付着される。
【0062】
尚、図示例によれば、上記気体噴出ロ72aは、略真上向きに穿設されているが、射出スリーブA3内の上側空間へ向けて気体を噴出することで、射出スリーブA3内の上側空間に気体層を形成する作用を奏すれば、略水平向き(図13参照)や斜め上方向きに穿設されていてもよい。
【0063】
また、上記粉体塗布装置70において、粉体噴出管71と気体噴出管72との間に、上記干渉体23と略同構成の干渉体(図示せず)を設けることで、粉体が射出スリーブA3内の上側へ流れるのを、一層確実に阻止するようにしてもよい。
【0064】
また、上記粉体塗布装置70は、射出スリーブA3における注湯口A2から挿入されるように構成してもよいし、射出スリーブA3におけるキャビティ側開口部A3aから挿入されるように構成してもよい。
【0065】
また、図1乃至5、及び図7乃至9に示す上記実施の形態は、粉体噴出管21、干渉体23、干渉体40、及び干渉体50等からなる部分的粉体塗布手段を射出スリーブA3における注湯口A2から挿入するようにした態様を例示したが、同部分的粉体塗布手段を、射出スリーブA3におけるキャビティ側開口部A3aから挿入されるように構成することも可能である。
【0066】
次に、上記部分的粉体塗布手段を用いて射出スリーブA3内に粉体を塗布するようにした実験の結果について説明する。先ず、図2〜7に示す部分的粉体塗布手段を用いて、射出スリーブA3内に粉体を塗布し、射出スリーブA3内の上側部位に付着された粉体と、同射出スリーブA3内の下側部位に付着された粉体とをそれぞれ掻き取り、掻き取られた双方の粉体量を比較した結果、その比率(上側部位の粉体量/下側部位の粉体量)は、およそ10%以下であった。すなわち、射出スリーブA3内の上側部位に付着される粉体量を、下側部位に付着される粉体量のおよそ10%以下とすることができた。
【0067】
また、図10及び11に示す部分的粉体塗布手段を用いて射出スリーブA3内に粉体を塗布するようにした比較実験結果を以下に示す。図14は、スリーブ内へ粉体塗布領域(横軸)によって、製品切断面の粉体混入面積率[%](縦軸)がどの程度異なるかを示すグラフである。尚、前記製品切断面の粉体混入面積率は、実際に鋳造された製品を切断し、その切断面の全体の面積と粉体が混入されている部分の面積とを測定し、双方の比率を算出したものである。図中N1とN2の各々は、従来の粉体塗布装置を用いて射出スリーブA3内面の略全体に粉体を塗布した場合のグラフを示している。図中n1とn2の各々は、図10及び11に示す部分的粉体塗布手段を用いて、射出スリーブA3内の下側部位のみに粉体を塗布した場合のグラフを示している。上記比較実験結果より、上記部分的粉体塗布手段を用いることで射出スリーブA3内の下側部位のみに粉体を塗布した場合には、粉体を射出スリーブA3内の略全体に塗布した場合と比較して、製品切断面に混入される粉体の量を、およそ1/7に減少することができた。
【図面の簡単な説明】
【0068】
【図1】本発明に係わる粉体塗布装置を備えたダイカストマシンの一例を示す模式図。
【図2】本発明に係わる粉体塗布装置を備えた粉体塗布ユニットの一例を示す要部断面図。
【図3】同粉体塗布ユニットの横断面図。
【図4】同粉体塗布ユニットの要部拡大断面図。
【図5】粉体噴出管内で粉体が流れる状態を(a)乃至(d)に順次に示す要部断面図であり、干渉体は省略している。
【図6】同粉体塗布ユニットの制御タイムチャート。
【図7】同粉体噴出管内で粉体が流れる状態を示す横断面図。
【図8】干渉体の他の態様を示す横断面図。
【図9】干渉体の他の態様を示す横断面図。
【図10】本発明に係わる粉体塗布装置の他例を示す縦断面図。
【図11】図10における(11)−(11)線断面図。
【図12】本発明に係わる粉体塗布装置の他例を示す横断面図。
【図13】気体噴出管の他例を示す横断面図。
【図14】比較実験の結果を示すグラフ。
【符号の説明】
【0069】
1,60,70:粉体塗布装置
21,41,61,71:粉体噴出管
21a,41a,51a,61a1:粉体噴出ロ
23,40,50:干渉体
62:仕切体
72:気体噴出管
A3:射出スリーブ
【技術分野】
【0001】
本発明は、ダイカストマシン等の鋳造装置における射出スリーブ内面に潤滑剤及び断熱剤としての粉体を塗布する粉体塗布装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、この種の発明には、注湯口から射出スリーブ内へ挿入される電極棒により静電気を発生させながら、注湯口へ向けた粉体噴射ノズル(潤滑剤供給ノズル)から粉体を噴射し、その噴射される粉体を前記射出スリーブの内面に静電塗布するようにしたものがある。(例えば、特許文献1参照)
【0003】
ところで、上記従来技術によれば、スリーブ内面の全体に粉体が付着するが、射出スリーブ内に流動される溶湯は、主に射出スリーブ内の下側を流れ、射出スリーブの上側への接触が少ない。
【0004】
上記従来技術によれば,必要としない個所,特に溶湯と接触しない射出スリーブの上側にも粉体が付着されてしまうため,チップによって掻き取られて溶湯中に巻き込まれる粉体の量が多くなり,溶湯と共にキャビィティ内に流れ込む粉体が多くなる。より詳細に説明すれば、スリーブの上側に粉体が付着していると、その粉体が、チップによって掻き取られ、スリーブの下側を流れる溶湯の中に落下するため、溶湯と共にキャビィティ内に流れ込む粉体が多くなる。
【0005】
したがって,粉体の混入により鋳造された製品の湯口の破断面に粉体が混入したり、製品内に混入された粉体が「ふくれ」や「鋳巣」の原因となったりし、製品の品質が悪化してしまう。さらに,粉体の使用量が多いという問題もあった。
【特許文献1】特公平6−69607号公報(第5図)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は上記従来事情に鑑みてなされたものであり、その課題とする処は、粉体噴出管から噴射される粉体が射出スリーブ内の不要な箇所に付着されてしまうのを防止し、特に溶湯と接触しない射出スリーブ上側に付着する粉体の量を殆ど無くし、これらのことによって、チップにより掻き取られて溶湯中に巻き込まれる粉体を殆ど無くして,製品の内部に混入する粉体の量を減らす事ができ、ひいては、鋳造される製品の品質を安定して確保することができる射出スリーブ内面への粉体塗布装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
このような目的を達成するために、本発明は、鋳造装置における射出スリーブの内面に粉体を静電塗布する粉体塗布装置において、導電性金属管からなり、前記射出スリーブ内に挿入されて、該射出スリーブ内に静電電界を発生させる電極棒として作用すると共に、前記粉体を前記射出スリーブ内に噴出させる粉体噴出管を備え、前記粉体噴出管は、前記射出スリーブ内の下側部位へ向けて前記粉体を噴出する粉体噴出口を軸線方向に複数配設することを特徴とする。
【0008】
また、前記粉体噴出口から噴出された前記粉体が前記射出スリーブ内の上側へ流れるのを防止する干渉体を具備してなることを特徴とする。
【0009】
また、前記射出スリーブの内周面に近接又は接触して前記射出スリーブ内の下側に略仕切られた空間を確保する仕切体を具備してなることを特徴とする。
【0010】
また、前記射出スリーブ内の上側空間へ向けて気体を噴出する気体噴出口を有する気体噴出管を具備してなることを特徴とする。
【0011】
本発明の射出スリーブ内面への粉体塗布装置によると、射出スリーブ内に静電電界を発生させる電極棒として作用すると共に、粉体を射出スリーブ内に噴出させる粉体噴出管を備え、粉体噴出管は、射出スリーブ内の下側部位へ向けて粉体を噴出する粉体噴出口を軸線方向に複数配設するので、粉体噴出管は射出スリーブ内で静電電界を発生しながら、内部に流通する粉体を射出スリーブの下側に向けて噴出することができ、その粉体を、射出スリーブの下側部位のみに静電塗布することが可能になる。
【0012】
上記粉体噴出口は、具体的な好ましい態様としては、上記粉体噴出管の周壁に、下方向き又は斜め下方向きに上記粉体噴出口を形成した態様が挙げられる。この態様において、更に好ましくは、前記粉体噴出口を上記粉体噴出管の軸方向に複数設け、上記粉体噴出管内に当該粉体噴出管の下流側から粉体の供給方向と逆方向に向けて背圧エアーを噴射し、背圧エアーによって粉体噴射管内に形成される気体壁の範囲を設定可能な背圧噴射手段を備えることで、射出スリーブ内面の下側部位に軸方向にわたって略均一に粉体が塗布される。
【0013】
また、上記粉体噴出管は、上記粉体噴出口から粉体を噴出しながら、上記射出スリーブの軸方向へ移動するように構成してもよい。この構成によれば、上記粉体噴出管の移動により、上記粉体噴出口から噴出される粉体を、射出スリーブの軸方向にわたって略均等に塗布することができる。
【発明の効果】
【0014】
本発明は、以上説明したように構成されているので、以下に記載されるような作用効果を奏する。
先ず、射出スリーブ内に静電電界を発生させる電極棒として作用すると共に、粉体を射出スリーブ内に噴出させる粉体噴出管を備え、粉体噴出管は、射出スリーブ内の下側部位へ向けて粉体を噴出する粉体噴出口を軸線方向に複数配設するので、粉体噴出管は射出スリーブ内で静電電界を発生しながら、内部に流通する粉体を射出スリーブの下側に向けて噴出することができ、その粉体を、射出スリーブの下側部位のみに静電塗布することが可能になる。
【0015】
また、本発明によると、粉体が溶湯との接触面以外の箇所に塗布されるのを防止することができ、粉体噴出管から噴射される粉体が、射出スリーブ内の不要な箇所に付着されてしまうのを防止できる。そのことによってキャビティ内に流れ込む粉体量を減らして、製品の内部に混入される粉体の量を殆ど無くすことができ、ひいては鋳造される製品の品質を向上することができる。また、粉体の使用量も軽減される。
【0016】
また、粉体噴出管から噴射される粉体が射出スリーブ内上面側へ流れるのを、干渉体によって一層確実に防止することができる。
また、仕切体が射出スリーブの内周面に近接又は接触することで、射出スリーブ内の下側に略仕切られた空間を確保するため、粉体が射出スリーブ内の上面側へ流れるのをより確実に阻止することができる。したがって、製品の内部に混入される粉体の量を一層少なくすることができ、例えば、製品切断面に混入される粉体の量を、従来技術と比較しておよそ1/7に減少することができる。
【0017】
また、射出スリーブの上側空間には、気体噴出管から噴出される気体によって、所謂エアーカーテンのような気体層が形成される。したがって、粉体噴出管から下側空間へ向って噴出される粉体は、前記気体層により射出スリーブの上側空間へ流れるのを阻止される。
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。図1は、本発明に係わる粉体塗布装置1を備えたダイカストマシンAの一部を示している。このダイカストマシンAは、ホッパーA1から注湯口A2を介して射出スリーブA3内に給湯される溶湯を、プランジャチップA5のピストン運動により、仮想線で示すキャビティA4内へ射出充填して鋳造する周知の構造のものであり、前記注湯口A2の後方側に粉体塗布装置1を具備している。粉体塗布装置1は、注湯口A2の後方側に斜めに支持されたシリンダー機構10、該シリンダー機構10のスライド部12に揺動自在に軸支された略管状の粉体塗布ユニット20、該粉体塗布ユニット20を支承して注湯口A2内へ導く支承部30等を具備している。
【0019】
シリンダー機構10は、油圧あるいは空圧等の駆動媒体により、斜めに支持されたシリンダー本体11に対してスライド部12を直線往復運動させる所謂ロッドレスシリンダであり、スライド部12には、ブラケット等を介して粉体塗布ユニット20が揺動自在に軸支されている。
【0020】
粉体塗布ユニット20は、への字状に曲げられた導電性金属管である粉体噴出管21を備え、該粉体噴出管21の内部に流通させる粉体を先端面及び外周面から噴出する粉体噴出作用と、図示しない高電圧発生器により射出スリーブA3内に静電電界を発生する電極棒としての作用とを兼ね備えている。
【0021】
支承部30は、射出スリーブA3における注湯口A2の後端側(図示例によれば右端側)に配置され、その上面によって粉体塗布ユニット20を支承しながら注湯口A2内へ案内する部材であり、本実施の形態の好ましい一例によれば、粉体塗布ユニット20との摩擦抵抗を小さくして該粉体塗布ユニット20をスムーズに注湯口A2内へ導くように、ローラーを軸止してなる。
【0022】
而して、上記構成によれば、シリンダー機構10のスライド部12がシリンダー本体11に沿って斜めに下降すると、粉体塗布ユニット20は、その先端側部位を、支承部30に支承されることで上方へ揺動させながら、注湯口A2から射出スリーブA3内に挿入させて行き、同先端側部位を射出スリーブA3の略軸心上に配置する。その後、粉体塗布ユニット20は、静電電界を発生しながら、内部に流通する粉体を噴出し、その粉体を、スリーブA3の内面に静電塗布する。
【0023】
次に、上記粉体塗布ユニット20の構成及び粉体噴出作用について詳細に説明する。この粉体塗布ユニット20は、への字状に曲げ形成された粉体噴出管21と、該粉体噴出管21の外周面に所定間隔置きに複数配設された第1〜3の背圧噴射手段22a,22b,22cと、粉体噴出管21の上半部側を囲む干渉体23とからなる(図2参照)。尚、図2及び図5においては、前記第1〜3の背圧噴射手段22a,22b,22cを、粉体噴出管21外周面における上端部に直列状に配設することで、図示を簡潔明瞭にしているが、実際には、これら背圧噴射手段22は、相互の干渉を避けるために、図3に示すように、粉体噴出管21の周方向に所定角度ずらして配設されている。
【0024】
粉体噴出管21は、導電性金属材料からなるパイプ材をへの字状に曲げるとともに、その外周面における第1〜3の背圧噴射手段22a,22b,22cと干渉しない部位に、粉体噴出ロ21aを周方向及び軸方向にわたって複数穿設し、且つ、先端部には、粉体を噴出可能にすべく先端噴出開口部21bを形成している。前記粉体噴出ロ21aは、本実施の形態の好ましい一例によれば、図3に示すように、垂直中心線の左右に角度45度下向きに二箇所配設され、且つ、軸線方向に所定間隔置きに複数配設されることで、上記粉体噴出管21から噴出される粉体を、上記射出スリーブA3内面における略溶湯との接触面のみに、部分的に塗布する部分的粉体塗布手段を構成している。
【0025】
第1〜3の背圧噴射手段22a,22b,22cは、粉体噴出管21の最先端側から後端側にかけて順番に配置されている。すなわち、図示例によれば、第1の背圧噴射手段22aが、粉体噴出管21の最先端側に配置され、第2の背圧噴射手段22bが、第1の背圧噴射手段22aと所定間隔を置いて上流側(図示によれば右側)に配置され、第3の背圧噴射手段22cが、第2の背圧噴射手段22bと所定間隔を置いて上流側に配置されている。
【0026】
第1〜3の背圧噴射手段22a,22b,22cの各々は、空気圧縮機等(図示せず)で加圧されたエアーを、粉体噴出管21の外面に沿って粉体噴出管21先端方向へ流通する背圧エアー流通管p1と、該背圧エアー流通管p1の先端側に連通され、該背圧エアー流通管p1内のエアーを、粉体噴出管21内の下流側から粉体の供給方向と逆方向へ噴射する背圧噴射ノズルp2とからなる。
【0027】
ここで、第1〜3の背圧噴射手段22a,22b,22cの各々の作用について詳細に説明すれば、図4に示すように、各背圧噴射手段22a(22b,22c)は、背圧噴射ノズルp2を介して粉体噴出管21内へ、粉体の流れ方向と逆向きのエアーを噴射する。すると、その噴射されたエアーが粉体の流れに衝突し、粉体噴出管21内には、前記エアーによる気体壁qが形成される。この気体壁qの範囲wは、背圧噴射ノズルp2から噴射された気体が粉体の流れに衝突した際において、その衝突面q1と背圧噴射ノズルp2との間の範囲である。また、その際の前記衝突面q1の位置は、複数の粉体噴出ロ21aからの粉体噴出量を実験的に測定した場合において、該粉体噴出量が極端に減った粉体噴出ロ21aよりも粉体供給側で、且つ同粉体噴出ロ21aの近傍とされる。
【0028】
そして、前記気体壁qの範囲wは、背圧噴射ノズルp2から噴射されるエアーの圧力と粉体噴出管21内を流れる粉体の圧力(詳細には粉体の搬送媒体であるエアーの圧力)との圧力比(エアーの圧力/粉体の圧力)によって異なり、すなわち、この圧力比が大きければ気体壁qの範囲wが大きくなり、同圧力比が小さければ気体壁qの範囲wが小さくなる。本実施の形態では、前記圧力比(エアーの圧力/粉体の圧力)を、約1.5〜3の範囲内、好ましくは約2.5前後に設定している。
【0029】
粉体噴出管21内を流れる粉体は、前記気体壁qに衝突することで、前記気体壁qに近い部分xの密度が濃くなる。そして、粉体の密度の濃い部分xは、前記背圧噴射ノズルp2からのエアーの噴射が停止されることで、粉体下流方向(図示における左方向)へ略一定速度で徐々に移動する。
【0030】
前記エアーの制御についてより具体的に説明すれば、例えば、背圧エアー流通管p1のエアー供給源側に電動バルブ(図示せず)を設け、該電動バルブのON/OFF制御により開閉させることで、背圧噴射ノズルp2からのエアーの噴射をONからOFFにすればよい。尚、前記ON/OFF制御により背圧噴射ノズルp2からのエアーの噴出が急激に停止した場合でも、粉体噴出管21内の粉体が濃くなった部分xは、急激に下流方向へ移動することなく、粉体噴出管21の管摩擦等の影響により、略一定速度で徐々に下流方向へ移動することになる。
【0031】
一方、粉体噴出管21は、上記気体壁qよりも粉体供給源側において、各粉体噴出ロ21aから粉体を噴出する。その際の粉体の噴出量は、粉体の密度の濃い部分xに近い粉体噴出ロ21a1が最も多く、この粉体噴出ロ21a1よりも更に粉体供給源側の粉体噴出ロ21a2,21a3・・・に行くにしたがって徐々に少なくなる。そして、上記ON/OFF制御により背圧噴射ノズルp2からのエアーの噴出が停止された際には、上記したように粉体の密度の濃い部分xが略一定速度で徐々に下流方向へ移動するため、その移動に伴って、最も粉体を多く噴出する粉体噴出ロ21a1、及び該粉体噴出ロ21a1よりも粉体噴出量の少ない粉体噴出ロ21a2,21a3・・・が、徐々に下流方向側の粉体噴出ロ21aへ移行することになる。
【0032】
尚、本実施の形態によれば、上記したように背圧噴射ノズルp2からのエアーの噴射をONからOFFにすることにより、粉体を噴出する粉体噴出ロ21a1,21a2,21a3・・・を徐々に下流方向へ移行させるようにしたが、背圧噴射ノズルp2から噴射させるエアーの圧力を徐々に弱めることによっても同様の作用を得ることができる。また、背圧噴射ノズルp2からのエアーの噴射をOFFからONにするか、あるいは、背圧噴射ノズルp2から噴射させるエアーの圧力を徐々に強めるようにすれば、粉体を噴出する粉体噴出口21a1,21a2,21a3・・・を徐々に上流方向へ移行させることも可能である。
【0033】
また、図4の例示によれば、最も粉体噴出量の多い粉体噴出ロ21a1よりも下流側(図示による左側)の粉体噴出ロ21aにおいては粉体の噴出を示す実線を図示していないが、実際には、粉体噴出管21内の乱流の発生等により、図示における粉体噴出ロ21a1よりも下流側の粉体噴出ロ21aにおいても、若干の粉体の噴出がある。
【0034】
そして、上記したように作用する第1〜3の背圧噴射手段22a,22b,22cは、図2に示すように、粉体噴出管21の長手方向にわたって所定間隔置きに配設され、その配設間隔、すなわち背圧噴射ノズルp2,p2間の間隔は、上述した気体壁qの範囲wを目安に設定してある。図示例では、第1の背圧噴射手段22aの背圧噴射ノズルp2と第2の背圧噴射手段22bの背圧噴射ノズルp2との間隔をw1とし、第2の背圧噴射手段22bの背圧噴射ノズルp2と第3の背圧噴射手段22cの背圧噴射ノズルp2との間隔をw2としており、これら間隔w1,w2は、それぞれ背圧噴射ノズルp2により形成される気体壁qの範囲を目安に設定してある。また、図中符号w3で示す範囲は、粉体塗布ユニット20の後端側において粉体噴出ロ21aを設けた範囲を示しており、射出スリーブA3内の後端まで粉体を塗布できるように設定してある。粉体噴出管21の複数の粉体噴出ロ21aは、上記範囲w1〜w3内に配設されている。
【0035】
また、干渉体23は、図3に示すように、粉体噴出管21の上半部側を囲む包囲部23aと、該包囲部23aの両端部の各々から略水平方向へ延設された水平板部23bとからなり、粉体噴出管21の先端から略粉体噴出ロ21aを有する範囲にわたって連続的に設けられ、粉体噴出管21の外周面に支持される。そして、この干渉体23は、上記粉体噴出管21における複数の粉体噴出ロ21aと協働して、上記粉体噴出管21から噴出される粉体を、上記射出スリーブA3内面における略溶湯との接触面のみに、部分的に塗布する部分的粉体塗布手段を構成している。
【0036】
この干渉体23は、粉体噴出管21と共に射出スリーブA3内に挿入された際、射出スリーブA3内の空間を略上下に仕切るように配置され、複数の粉体噴出ロ21aから噴出される粉体が射出スリーブA3内上側に流れるのを防ぐ。すなわち、この干渉体23は、図7に示すように、粉体噴出管21の複数の粉体噴出ロ21aから斜め下方向きに噴射される粉体が、射出スリーブA3内の上方側へ回り込むのを防止している。そして、複数の粉体噴出ロ21aから射出スリーブA3内へ噴出される粉体は、射出スリーブA3内周面の上側にはほとんど塗布されることなく、主に射出スリーブA3内の下側、つまり溶湯が流れる範囲に塗布されることになる。
【0037】
尚、干渉体23の幅寸法(射出スリーブA3径方向の幅寸法)は、射出スリーブA3内に溶湯を流した際におけるその溶湯の周方向(射出スリーブA3周方向)の範囲に応じて適宜設定される。すなわち、溶湯の前記周方向範囲が比較的広い場合には、粉体が射出スリーブA3内の上側へ回り込む量を多くするように、前記幅寸法を狭く設定し、また、溶湯の前記周方向範囲が比較的狭い場合には、粉体が射出スリーブA3内の上側へ回り込む量を少なくするように、前記幅寸法を広く設定する。
【0038】
次に、上記第1〜3の背圧噴射手段22a,22b,22cによる気体の噴射を軸方向に順番にON/OFF制御するようにした好ましい制御例について詳細に説明する(図5及び図6参照)。先ず、粉体塗布ユニット20は、射出スリーブA3内に挿入され、その先端側部位が射出スリーブA3と略同軸になるように配置される。そして、粉体噴出管21内に粉体が約0.2MPaの圧力で8秒間供給され、その供給開始と同時に、第3の背圧噴射手段22cによるエアーの噴射が開始される。この第3の背圧噴射手段22cによるエアーの噴射は、約0.5MPaの圧力で約2秒間継続される。すると、粉体噴出管21内には、範囲w3に気体壁qが形成されるとともに、該気体壁qよりも粉体供給側である該気体壁q近傍に、粉体の密度の濃い部分xが形成される(図5(a)参照)。
【0039】
次に、第3の背圧噴射手段22cによる気体の噴射が停止されると同時に、第2の背圧噴射手段22bによる気体の噴射が開始される。この第2の背圧噴射手段22bによる気体の噴射は、約0.5MPaの圧力で約2秒間継続される。すると、粉体噴出管21内には範囲w2に気体壁qが形成され、この気体壁qへ徐々に近づくようにして、粉体の密度の濃い部分xが、範囲w3内を略一定速度で下流方向へ移動する。そして、その移動に伴って、範囲w3における複数の粉体噴出ロ21aからは、上流側(図示による右側)から下流側(図示による左側)へ向かって順番に粉体が噴出されて行く(図5(b)参照)。
【0040】
更に、第2の背圧噴射手段22bによる気体の噴射が停止されると同時に、第1の背圧噴射手段22aによる気体の噴射が開始される。この第1の背圧噴射手段22aによる気体の噴射は、約0.3MPaの圧力で約4秒間継続される。すると、粉体噴出管21内には範囲w1に気体壁qが形成され、この気体壁qに徐々に近づくようにして、粉体の密度の濃い部分xが、範囲w2を略一定速度で下流方向へ移動する。そして、その移動に伴って、範囲w2における複数の粉体噴出ロ21aからは、上流側から下流側へ向かって順番に粉体が噴出されて行く。尚、範囲w3における複数の粉体噴出ロ21aからの粉体の噴出も継続される(図5(c)参照)。
【0041】
最後に、第1の背圧噴射手段22aによる気体の噴射が停止されると同時に、粉体供給源から粉体噴出管21内への粉体の供給も停止され、粉体噴出管21内には、粉体を含まない清掃用エアーが約0.2MPaの圧力で約3秒間供給される。すると、粉体の密度の濃い部分xが、徐々に範囲w1を下流方向へ移動し、その移動に伴って、範囲w1における複数の21aからは、上流側から下流側へ向かって順番に粉体が噴出されて行く。そして、粉体の密度の濃い部分xは、最終的には先端噴出開口部21bから排出される。尚、範囲w2及びw3における複数の粉体噴出ロ21aからの粉体の噴出も、最上流側の粉体噴出ロ21aに前記清掃用エアーが到達するまでは継続される(図5(c)参照)。そして、前記清掃用エアーによって粉体噴出ロ21a内が清掃された後、粉体塗布ユニット20は、射出スリーブA3内から抜き出される。
【0042】
尚、第1〜3の背圧噴射手段22a,22b,22cの各々のエアー噴出時間は、粉体の密度の濃い部分xが範囲w3,w2,w1を略連続的に移動するように設定してある。
【0043】
而して、上記粉体塗布装置1によれば、粉体噴出管21内で粉体の密度の濃い部分xが略一定速度で粉体噴出管21の上流側から下流側へ移動し、それに後続する前記xよりも粉体密度が薄い部分も、略一定速度で粉体噴出管21の上流側から下流側へ移動する。したがって、射出スリーブA3の内周面における下側、すなわち溶湯が流れる部位において、上記範囲w3,w2,w1には、軸方向にわたって略均一な厚さで塗膜が形成される。更に、射出スリーブA3の内周面における上記範囲w3,w2,w1よりも先端側(図示における左側)の範囲には、最終的に先端噴出開口部21bから排出される粉体により、上記範囲w3,w2,w1と略均一な厚さで塗膜が形成される。
【0044】
尚、第1〜3の背圧噴射手段22a,22b,22cの各々のエアー圧力、エアー噴出時間、及び粉体供給源の粉体供給圧力、粉体供給時間等について上記した値(図6に示す値)は、特に好ましい一例を示すものであるが、実際に射出スリーブA3内周面に塗布された粉体の膜厚が略一定になるように適宜調整される。
すなわち、射出スリーブA3内周面と粉体噴出管21外周面との間は、上記塗布作業中に乱流が生じるため、例えば、各粉体噴出ロ21aから噴出される粉体噴出量を略一定にするように制御したとしても、射出スリーブA3内周面に塗布される粉体の膜厚は略一定にならない場合がある。そのため、第1〜3の背圧噴射手段22a,22b,22cの各々のエアー圧力、エアー噴出時間、及び粉体供給源の粉体供給圧力、粉体供給時間等は、実際に塗布される射出スリーブA3内周面の粉体の膜厚を実験的に測定し、その膜厚が略一定となるように設定される。
【0045】
尚、上記実施の形態において、干渉体23は、粉体噴出管21の粉体噴出ロ21aから噴出される粉体を射出スリーブA3の上側に流れるのを防止するものであれば、上記したものに限定されるものでない。以下に、干渉体23の他の態様について説明する。尚、以下に示す態様においては、上記背圧噴射手段22を省いた構成としているが、必要に応じて上記背圧噴射手段22を加えた構成としてもよい。また、以下に示す態様では、上記実施の形態と略同一の部位については、同一の符号を付けるとともに、重複する詳細説明を省略する。
【0046】
図8に示す干渉体40は、射出スリーブA3内に軸方向にわたって挿入される粉体噴出管41と、該粉体噴出管41を略水平方向の略中央に挟むようにして、該粉体噴出管41の両側に略平行に固定された二本の補助管42,42とから構成され、これら粉体噴出管41及び補助管42が射出スリーブA3内の空間を上下に仕切ることによって、上述した干渉体23と同様に、噴出される粉体が射出スリーブA3の上側へ流れるのを防止する。
【0047】
前記粉体噴出管41は、上記粉体塗布ユニット20の粉体噴出管21と略同様に構成された管体であり、噴出方向を射出スリーブA3内の下側部位へ向けた粉体噴出ロ41aを、周方向および軸方向にわたって複数備えている。また、前記補助管42は、例えば、粉体噴出口(図示せず)を射出スリーブA3内の下側部位へ向けて設けることで、前記粉体噴出管41による粉体噴出量を増加するための管として用いてもよいし、あるいは、粉体を吸引するための吸引口(図示せず)を射出スリーブA3内の上側部位へ向けて設けることで、粉体噴出管41から噴出される粉体が射出スリーブA3内の上側へ流れるのをより確実に防止するように用いてもよい。
【0048】
また、図9に示す干渉体50は、射出スリーブA3内に軸方向にわたって挿入される断面矩形状の管体であり、上記干渉体23と同様に粉体が射出スリーブA3の上側へ流れるのを防止する作用と、上記粉体噴出管21と同様に射出スリーブA3内の下側部位へ向けて粉体を噴出する作用との双方の作用を兼ね備えたものである。この干渉体50は、その下面における幅方向及び軸方向にわたって複数の粉体噴出ロ51aを形成してなり、その内部には、図示しない粉体供給源から供給された粉体が流通され、該粉体を前記複数の粉体噴出ロ51aから噴出して射出スリーブA3内の下側部位に塗布する。そして、同干渉体50は、射出スリーブA3内で上側へ流れようとする粉体の障害物となることで、粉体が射出スリーブA3内の上側部位に塗布されるのを防止する。
【0049】
上記粉体噴出管から噴出される粉体を、上記射出スリーブA3内面における略溶湯との接触面のみに、部分的に塗布する部分的粉体塗布手段は、上述してきた構成に限定されるものでなく、以下に示す構成とすることもできる。
【0050】
図10及び11に示す粉体塗布装置60は、射出スリーブA3のキャビティ側開口部A3aから挿入される粉体噴出管61と、該粉体噴出管61の先端側に固定された仕切体62と、該粉体噴出管61の上面に軸方向にわたって略平行に止着された吸引管63とを備え、前記粉体噴出管61、仕切体62、及び吸引管63を射出スリーブA3内で軸方向に移動させるように構成してある。
【0051】
粉体噴出管61には、前記仕切体62内の空間へ向けて下方向きに粉体を噴出する粉体噴出ロ61a1が複数穿設されている。この粉体噴出管61は、前記複数の粉体噴出ロ61a1を有する先側部位61aを金属管により構成するとともに、後側部位61bを可撓性のチューブから構成することで、射出スリーブA3外のキャビティ側空間へ容易に抜き取られるようにしてある。
【0052】
また、上記仕切体62は、射出スリーブA3内における一部分の空間を上下に仕切るようにして配設された水平仕切壁62aと、該水平仕切壁62aの軸方向の両端部に下方向きに配設された二枚の垂直仕切壁62b,62bとから一体に構成され、射出スリーブA3の内周面に近接又は接触して射出スリーブA3内の下側に略仕切られた空間を確保する。
【0053】
水平仕切壁62aは、射出スリーブA3の軸心に交差する水平方向の両端部を射出スリーブA3の内周面に接触させるとともに、それら両端部間の略中央に、射出スリーブA3の軸心と略平行になるように粉体噴出管61及び吸引管63を固定している。
【0054】
垂直仕切壁62bは、正面視半円状の板状部材であり、その上辺部分を上記水平仕切壁62aの下面に連接固定するとともに、半円部分の外周端部を射出スリーブA3の下半部に近接させて若干の隙間Sを確保している。この隙間Sは、垂直仕切壁62bが射出スリーブA3内で軸方向へ移動された際に、垂直仕切壁62bの外周端部によって射出スリーブA3内周面に塗布された粉体を擦ってしまうことがないようにするものである。
【0055】
また、上記吸引管63は、その先端の吸引口63aを仕切体62内の下側空間部に連通させて配設され、後側部位を可撓性のチューブから構成することで、射出スリーブA3外のキャビティ側空間へ容易に抜き取られるようにしてある。そして、この吸引管63は、粉体噴出管61の粉体噴出ロ61a1から仕切体62内の空間へ粉体が噴出される際に、該空間の雰囲気を吸引する。すなわち、仮に、吸引管63による吸引を行わずに粉体噴出ロ61a1から仕切体62内の空間へ粉体が噴出された場合には、仕切体62内の雰囲気が圧力上昇することで、仕切体62内の粉体が、仕切体62外へ漏れて射出スリーブA3内の上面側へ回り込んでしまうことが懸念される。吸引管63は、仕切体62内の雰囲気を吸引することで、粉体の噴出による仕切体62内の圧力上昇を防ぎ、そのことによって、仕切体62内から仕切体62外へ粉体が漏れてしまうのを防止し、更には射出スリーブA3内の上側部位に粉体が塗布されてしまうのをより確実に防止するものである。
【0056】
尚、図中、符号64は、上記粉体噴出管61や、仕切体62、吸引管63等を支持している支持棒である。この支持棒64は、その後部側64bが前部側64aに対して上方へ折れ曲がるように枢着されている。そして、この支持棒64は、キャビティ側の限られたスペースを利用して、上記粉体噴出管61や、仕切体62、吸引管63等を、射出スリーブA3内外に、挿入および抜き取り可能にする。
【0057】
次に、上記構成の粉体塗布装置60を用いて射出スリーブA3内に粉体を塗布する作業について説明する。先ず、上記粉体塗布装置60は、射出スリーブA3のキャビティ側開口部A3aから挿入され、粉体噴出管61の先端側の仕切体62を、プランジャチップA5の先端面に当接または近接させた状態で、複数の粉体噴出ロ61a1から仕切体62内へ粉体を噴出すると略同時に、吸引管63による吸引も開始する。そして、同粉体塗布装置60は、前記噴出および吸引の直後に、射出スリーブA3内をキャビティ側へ移動され、最終的にはキャビティ側開口部A3aから抜き取られる。したがって、上記粉体塗布装置60によれば、複数の粉体噴出ロ61a1から噴出される粉体が、射出スリーブA3内の下側面のみに、軸方向にわたって略均一に塗布されることになる。
【0058】
尚、図示例の粉体塗布装置60によれば、射出スリーブA3のキャビティ側開口部A3aへの挿入及び同開口部からの抜き出しを容易にするために、仕切体62の軸方向長さを射出スリーブA3の軸方向長さよりも大幅に短くしたが、仕切体62の軸方向長さを、図示例のものよりも長くしたり、射出スリーブA3の軸方向長さと略同等の長さとすることも可能である。
【0059】
また、図12に示す粉体塗布装置70は、上述した粉体噴出管21と略同構成の粉体噴出管71と、該粉体噴出管71の上面に軸方向にわたって略平行に固定された気体噴出管72とを具備してなる。
【0060】
粉体噴出管71は、上記粉体噴出管21と略同様に、その周壁に、粉体を噴出する粉体噴出ロ71aを複数備える。これら粉体噴出ロ71aは、射出スリーブA3内の下側部位へ向くとともに、粉体噴出管71の周方向及び軸方向にわたって複数配設されている。気体噴出管72は、その周壁に、射出スリーブA3内の上側空間へ向けて気体を噴出する気体噴出ロ72aを軸方向にわたって複数配設してなる。この気体噴出管72から噴出される気体には、空気又は窒素等の不活性ガスが用いられる。
【0061】
上記構成の粉体塗布装置70によれば、射出スリーブA3の上側空間部には、気体噴出管72から噴出される気体によって、所謂エアーカーテンのような気体層が形成される。したがって、粉体噴出管71から噴出される粉体は、前記気体層により射出スリーブA3内の上側空間部へ流れるのを阻止され、射出スリーブA3内の下側部位のみに付着される。
【0062】
尚、図示例によれば、上記気体噴出ロ72aは、略真上向きに穿設されているが、射出スリーブA3内の上側空間へ向けて気体を噴出することで、射出スリーブA3内の上側空間に気体層を形成する作用を奏すれば、略水平向き(図13参照)や斜め上方向きに穿設されていてもよい。
【0063】
また、上記粉体塗布装置70において、粉体噴出管71と気体噴出管72との間に、上記干渉体23と略同構成の干渉体(図示せず)を設けることで、粉体が射出スリーブA3内の上側へ流れるのを、一層確実に阻止するようにしてもよい。
【0064】
また、上記粉体塗布装置70は、射出スリーブA3における注湯口A2から挿入されるように構成してもよいし、射出スリーブA3におけるキャビティ側開口部A3aから挿入されるように構成してもよい。
【0065】
また、図1乃至5、及び図7乃至9に示す上記実施の形態は、粉体噴出管21、干渉体23、干渉体40、及び干渉体50等からなる部分的粉体塗布手段を射出スリーブA3における注湯口A2から挿入するようにした態様を例示したが、同部分的粉体塗布手段を、射出スリーブA3におけるキャビティ側開口部A3aから挿入されるように構成することも可能である。
【0066】
次に、上記部分的粉体塗布手段を用いて射出スリーブA3内に粉体を塗布するようにした実験の結果について説明する。先ず、図2〜7に示す部分的粉体塗布手段を用いて、射出スリーブA3内に粉体を塗布し、射出スリーブA3内の上側部位に付着された粉体と、同射出スリーブA3内の下側部位に付着された粉体とをそれぞれ掻き取り、掻き取られた双方の粉体量を比較した結果、その比率(上側部位の粉体量/下側部位の粉体量)は、およそ10%以下であった。すなわち、射出スリーブA3内の上側部位に付着される粉体量を、下側部位に付着される粉体量のおよそ10%以下とすることができた。
【0067】
また、図10及び11に示す部分的粉体塗布手段を用いて射出スリーブA3内に粉体を塗布するようにした比較実験結果を以下に示す。図14は、スリーブ内へ粉体塗布領域(横軸)によって、製品切断面の粉体混入面積率[%](縦軸)がどの程度異なるかを示すグラフである。尚、前記製品切断面の粉体混入面積率は、実際に鋳造された製品を切断し、その切断面の全体の面積と粉体が混入されている部分の面積とを測定し、双方の比率を算出したものである。図中N1とN2の各々は、従来の粉体塗布装置を用いて射出スリーブA3内面の略全体に粉体を塗布した場合のグラフを示している。図中n1とn2の各々は、図10及び11に示す部分的粉体塗布手段を用いて、射出スリーブA3内の下側部位のみに粉体を塗布した場合のグラフを示している。上記比較実験結果より、上記部分的粉体塗布手段を用いることで射出スリーブA3内の下側部位のみに粉体を塗布した場合には、粉体を射出スリーブA3内の略全体に塗布した場合と比較して、製品切断面に混入される粉体の量を、およそ1/7に減少することができた。
【図面の簡単な説明】
【0068】
【図1】本発明に係わる粉体塗布装置を備えたダイカストマシンの一例を示す模式図。
【図2】本発明に係わる粉体塗布装置を備えた粉体塗布ユニットの一例を示す要部断面図。
【図3】同粉体塗布ユニットの横断面図。
【図4】同粉体塗布ユニットの要部拡大断面図。
【図5】粉体噴出管内で粉体が流れる状態を(a)乃至(d)に順次に示す要部断面図であり、干渉体は省略している。
【図6】同粉体塗布ユニットの制御タイムチャート。
【図7】同粉体噴出管内で粉体が流れる状態を示す横断面図。
【図8】干渉体の他の態様を示す横断面図。
【図9】干渉体の他の態様を示す横断面図。
【図10】本発明に係わる粉体塗布装置の他例を示す縦断面図。
【図11】図10における(11)−(11)線断面図。
【図12】本発明に係わる粉体塗布装置の他例を示す横断面図。
【図13】気体噴出管の他例を示す横断面図。
【図14】比較実験の結果を示すグラフ。
【符号の説明】
【0069】
1,60,70:粉体塗布装置
21,41,61,71:粉体噴出管
21a,41a,51a,61a1:粉体噴出ロ
23,40,50:干渉体
62:仕切体
72:気体噴出管
A3:射出スリーブ
【特許請求の範囲】
【請求項1】
鋳造装置における射出スリーブの内面に粉体を静電塗布する粉体塗布装置において、
導電性金属管からなり、前記射出スリーブ内に挿入されて、該射出スリーブ内に静電電界を発生させる電極棒として作用すると共に、前記粉体を前記射出スリーブ内に噴出させる粉体噴出管を備え、
前記粉体噴出管は、前記射出スリーブ内の下側部位へ向けて前記粉体を噴出する粉体噴出口を軸線方向に複数配設することを特徴とする射出スリーブ内面への粉体塗布装置。
【請求項2】
前記粉体噴出口から噴出された前記粉体が前記射出スリーブ内の上側へ流れるのを防止する干渉体を具備してなることを特徴とする請求項1に記載された射出スリーブ内面への粉体塗布装置。
【請求項3】
前記射出スリーブの内周面に近接又は接触して前記射出スリーブ内の下側に略仕切られた空間を確保する仕切体を具備してなることを特徴とする請求項1に記載された射出スリーブ内面への粉体塗布装置。
【請求項4】
前記射出スリーブ内の上側空間へ向けて気体を噴出する気体噴出口を有する気体噴出管を具備してなることを特徴とする請求項1に記載された射出スリーブ内面への粉体塗布装置。
【請求項1】
鋳造装置における射出スリーブの内面に粉体を静電塗布する粉体塗布装置において、
導電性金属管からなり、前記射出スリーブ内に挿入されて、該射出スリーブ内に静電電界を発生させる電極棒として作用すると共に、前記粉体を前記射出スリーブ内に噴出させる粉体噴出管を備え、
前記粉体噴出管は、前記射出スリーブ内の下側部位へ向けて前記粉体を噴出する粉体噴出口を軸線方向に複数配設することを特徴とする射出スリーブ内面への粉体塗布装置。
【請求項2】
前記粉体噴出口から噴出された前記粉体が前記射出スリーブ内の上側へ流れるのを防止する干渉体を具備してなることを特徴とする請求項1に記載された射出スリーブ内面への粉体塗布装置。
【請求項3】
前記射出スリーブの内周面に近接又は接触して前記射出スリーブ内の下側に略仕切られた空間を確保する仕切体を具備してなることを特徴とする請求項1に記載された射出スリーブ内面への粉体塗布装置。
【請求項4】
前記射出スリーブ内の上側空間へ向けて気体を噴出する気体噴出口を有する気体噴出管を具備してなることを特徴とする請求項1に記載された射出スリーブ内面への粉体塗布装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【公開番号】特開2009−66665(P2009−66665A)
【公開日】平成21年4月2日(2009.4.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−333428(P2008−333428)
【出願日】平成20年12月26日(2008.12.26)
【分割の表示】特願2003−52748(P2003−52748)の分割
【原出願日】平成15年2月28日(2003.2.28)
【出願人】(000005256)株式会社アーレスティ (44)
【公開日】平成21年4月2日(2009.4.2)
【国際特許分類】
【出願日】平成20年12月26日(2008.12.26)
【分割の表示】特願2003−52748(P2003−52748)の分割
【原出願日】平成15年2月28日(2003.2.28)
【出願人】(000005256)株式会社アーレスティ (44)
[ Back to top ]