説明

導光板ユニットの製造方法、この導光板ユニットを備える照明装置の製造方法及びプログラム

【課題】導光板を厚み方向に重ねて構成される導光板ユニットにおいて、均斉度を効率的に向上させることができる製造方法を提供する。
【解決手段】照明装置に用いられる導光板ユニット30の製造方法は、均斉度検出ステップと、均斉度向上ステップと、を含む。均斉度検出ステップでは、導光板ユニット30から出射される光の均斉度を調べる。均斉度向上ステップでは、均斉度検出ステップで調べた均斉度に基づいて1枚の導光板50の凹状反射部の数又は配置の少なくとも何れかを変更する。そして、均斉度向上ステップごとに導光板50を変更し、均斉度検出ステップと均斉度向上ステップとを交互に繰り返す。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、主要には、反射部が複数配置された導光板を厚み方向に重ねて構成される導光板ユニットの製造方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来から、LEDを光源として用いる照明装置において、導光板を介して光源の光を目的の方向に照射する構成が知られている。照明装置に用いられる導光板には、微細な形状の複数の反射部を配置し、これらの反射部によって導光板に照射された光を目的の方向により多く反射するものがある。この種の導光板を備えた照明装置を開示するものとして、例えば特許文献1がある。特許文献1には、反射部が複数形成された導光板を用いた照明装置をバックライトとして採用した液晶表示装置が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2003−149640号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
導光板を備える照明装置の照射光の輝度を向上させる方法として、導光板に形成される反射部の数を増やすことが考えられる。しかし、特許文献1に示す構成では、配置できる反射部の数にも限界がある。そこで、複数の導光板を厚み方向に重ねて導光板ユニットを構成する方法が考えられる。導光板を重ねることで、反射部を配置する箇所を導光板ユニットの厚み方向に拡張することができる。本願発明者が実験を行ったところ、導光板を複数枚重ねた構成の導光板ユニットの方が、導光板1枚の構成よりも出射エネルギーが大きくなることがわかった。ところで、照明装置の面光源として導光板ユニットを用いる場合、出射面から均一に光が出射されることが好ましい。この点、導光板を複数枚重ねた構成の導光板ユニットは、出射エネルギーが向上するものの、均斉度の向上という観点から改善の余地があった。
【0005】
本発明は、以上の事情に鑑みてなされたものであり、その目的は、導光板を厚み方向に重ねて構成される導光板ユニットにおいて、均斉度を効率的に向上させることができる製造方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段及び効果】
【0006】
本発明の解決しようとする課題は以上の如くであり、次にこの課題を解決するための手段とその効果を説明する。
【0007】
本発明の第1の観点によれば、反射部が複数配置された導光板を厚み方向に重ねて構成される導光板ユニットの製造方法において、以下のステップを含む製造方法が提供される。即ち、導光板ユニットの製造方法は、均斉度検出ステップと、均斉度向上ステップと、を含む。前記均斉度検出ステップでは、前記導光板ユニットから出射される光の均斉度を調べる。均斉度向上ステップでは、前記均斉度検出ステップで調べた均斉度に基づいて1枚の導光板の反射部の数又は配置の少なくとも何れかを変更する。そして、前記均斉度向上ステップごとに導光板を変更し、前記均斉度検出ステップと前記均斉度向上ステップとを交互に繰り返す。
【0008】
これにより、導光板ごとに反射部の数又は配置の少なくとも何れかを変更するので、導光板ユニットの均斉度を目標とする値に着実に近づけることができる。従って、均斉度を向上させるための反射部の変更回数を低減することができ、均斉度が高い導光板ユニットを効率的に製造できる。
【0009】
前記の導光板ユニットの製造方法においては、以下のようにすることが好ましい。即ち、導光板ユニットの製造方法は、重ねられる全ての前記導光板に対して前記均斉度検出ステップと前記均斉度向上ステップとを行う。その後、最初に均斉度検出ステップを行った導光板に戻って再び前記均斉度検出ステップと前記均斉度向上ステップとを前記導光板を変えながら繰り返す。
【0010】
これにより、導光板の数が多い場合でも、導光板ユニットの均斉度を目標の値に確実に到達させることができる。
【0011】
前記の導光板ユニットの製造方法においては、以下のようにすることが好ましい。即ち、前記均斉度向上ステップでは、繰り返しを通じて、反射部を減らす処理又は増やす処理のうち何れかだけを行うことにより均斉度を向上させる。
【0012】
これにより、反射部の変更が一方向の処理(不可逆的な処理)で行われるので、均斉度向上ステップを簡素化でき、導光板ユニットの製造をより効率化できる。
【0013】
前記の導光板ユニットの製造方法においては、以下のようにすることが好ましい。即ち、前記均斉度向上ステップは、シミュレーションプログラムを用いて行う。そして、このシミュレーションプログラムの結果に基づいて前記導光板の反射部の数又は配置の少なくとも何れかを決定する。
【0014】
これにより、現実に導光板を製造して試行実験を行うことなく、均斉度が高い導光板ユニットの最適な設計条件を導き出すことができ、導光板ユニットの製造をより効率的に行うことができる。
【0015】
本発明の第2の観点によれば、反射部が複数配置された導光板を厚み方向に重ねて構成される導光板ユニットを備える照明装置の製造方法において、以下のステップを含む製造方法が提供される。即ち、照明装置の製造方法は、均斉度検出ステップと、均斉度向上ステップと、を含む。前記均斉度検出ステップでは、前記導光板ユニットから出射される光の均斉度を調べる。前記均斉度向上ステップでは、前記均斉度検出ステップで調べた均斉度に基づいて1枚の導光板の反射部の数又は配置の少なくとも何れかを変更する。そして、前記均斉度向上ステップごとに導光板を変更し、前記均斉度検出ステップと前記均斉度向上ステップとを交互に繰り返す。
【0016】
これにより、導光板ごとに反射部を変更するので、導光板ユニットの均斉度を目標とする値に着実に近づけることができる。従って、均斉度を向上させるための反射部の変更回数を低減することができ、均斉度が高い導光板ユニットによって光を照射できる照明装置を効率的に製造することができる。
【0017】
本発明の第3の観点によれば、反射部が複数配置された導光板を厚み方向に重ねて構成される導光板ユニットの反射部の最適化を行うプログラムにおいて、以下のステップを含む構成が提供される。即ち、プログラムは、均斉度検出ステップと、均斉度向上ステップと、を含む。前記均斉度検出ステップでは、前記導光板ユニットから出射される光の均斉度を調べる。前記均斉度向上ステップでは、前記均斉度検出ステップで調べた均斉度に基づいて1枚の導光板の反射部の数又は配置の少なくとも何れかを変更する。そして、前記均斉度向上ステップごとに導光板を変更し、前記均斉度検出ステップと前記均斉度向上ステップとを交互に繰り返す。
【0018】
これにより、導光板ごとに反射部を変更するので、導光板ユニットの均斉度を目標とする値に着実に近づけることができる。従って、均斉度を向上させるための反射部の変更回数を低減することができ、均斉度が高い導光板ユニットの最適な設計条件を効率的に導き出すことができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】本発明の製造方法を用いて製造された照明装置の構成を示した分解斜視図。
【図2】図2(a)は、導光板ユニットの内部の様子を模式的に示した側面図。図2(b)は、凹状反射部に光が衝突して反射する様子を示した模式図。
【図3】ドットパターンの最適化を行う流れを模式的に示した説明図。
【図4】ドットパターンの変更に伴って変化する導光板ユニットの出射面の均斉度を示した図。
【図5】ドットパターンの変更に伴って変化する導光板ユニットの出射面の均斉度を示した図。
【図6】ドットパターンの変更に伴って変化する導光板ユニットの出射面の均斉度を示した図。
【図7】最適化処理によって、各導光板に設定されたドットパターンを模式的に示した図。
【図8】1枚の導光板の均斉度と本実施形態の導光板ユニットとの均斉度を模式的に示した図。
【発明を実施するための形態】
【0020】
次に発明の実施の形態について説明する。図1は、本発明の製造方法を用いて製造された照明装置10の構成を示す分解斜視図である。図2(a)は、照明装置10が備える導光板ユニット30の内部の様子を模式的に示した側面図である。図2(b)は、凹状反射部60に光が衝突して反射する様子を示した模式図である。
【0021】
まず、図1を参照して、本発明の製造方法を用いて製造された照明装置10について説明する。図1に示すように、照明装置10は、ケーシング21と、LED22と、導光板ユニット30と、反射板23と、を備える。
【0022】
ケーシング21は、照明装置10の各部を保持するためのものであり、このケーシング21によって、LED22と、導光板ユニット30と、反射板23と、が保持されている。
【0023】
LED22は、照明装置10の光源であり、導光板ユニット30に光を照射するためのものである。本実施形態の照明装置10は、導光板ユニット30を介してLED22の光を目的の方向に照射するように構成されている。図2(a)に示すように、LED22は、導光板ユニット30の側面に対面するように前記ケーシング21に固定されている。本実施形態においては、6個のLED22が、導光板ユニット30を構成する長方形状の導光板50の短手方向に並列配置されている。
【0024】
導光板ユニット30は、複数の導光板50を厚み方向に重ねて構成されており、LED22の光を目的の方向に照射するための導光部材である。図1に示すように、本実施形態の導光板ユニット30は、3枚の導光板50a,50b,50cによって構成されている。導光板50aは、厚み方向の一側の面が外側に露出しており、この導光板50aから照射される光が照明装置10の光になる。導光板50bは、導光板50aと導光板50cとの間に配置されている。導光板50cは、出射面62と反対側の面が反射板23と対面するようにケーシング21に取り付けられており、この導光板50cの上に、導光板50b及び導光板50aが配置されている。なお、本実施形態の導光板ユニット30は、隣接する導光板50の間に空気層が介在するように構成されている。
【0025】
導光板ユニット30を構成するそれぞれの導光板50は、LED22の光が透過可能な適宜の樹脂等によって平板状に構成されており、入射面61と、出射面62と、凹状反射部60と、を備えている。
【0026】
入射面61は、LED22からの光が導光板50の内部に入射するときに通過する面である。本実施形態において、入射面61は、導光板50が有する端面のうち1つとされている。出射面62は、導光板50の内部に入射した光が外部に出射するときに通過する面であり、導光板50の厚み方向一側の平面部分に形成されている。本実施形態において、入射面61と出射面62は向きが直交するように配置されている。
【0027】
凹状反射部60は、導光板50の内部に入射した光を出射面62に向けて反射するためのものである。図2(a)に示すように、凹状反射部60は、導光板50において出射面62の反対側の面(底面)に複数形成されている。本実施形態の凹状反射部60は、その底面の直径が55μm、高さが30μm、頂角が70°の円錐台形状となるように形成されている。凹状反射部60はフォトリソグラフィ等を用いて形成されている。
【0028】
反射板23は、導光板50の外側に漏れ出ようとする光を導光板50の内側に戻すためのものである。図1に示すように、反射板23は、導光板ユニット30の底面と対面するようにケーシング21に取り付けられる。この反射板23は、アルミニウムを適宜の樹脂に蒸着させて構成されており、導光板ユニット30と対面する面が鏡面加工されている。なお、反射板23と同じ材料で構成されたものを入射面61以外の導光板ユニット30の端面に形成してもよい。
【0029】
この構成で、LED22が点灯すると、LED22からの光が導光板50の内部に入射面61を通過して進入する。内部に進入した光は、導光板50の内部で反射を繰り返す。図2(b)に示すように、導光板50の内部で反射を繰り返す過程で、凹状反射部60の傾斜面に衝突した光は、その傾斜によって出射面62側へ導かれる。この反射光は、反射によって進行方向が出射面62に直交する方向に近くなっており、導光板50の内部に留まることなく(出射面62で反射することなく)、当該導光板50の外部へ放射される。
【0030】
本実施形態の導光板ユニット30のように、複数の導光板50を重ねた構成では、それぞれの導光板50の内部で上述した現象が生じる。即ち、それぞれの導光板50に入射した光は、凹状反射部60によってそれぞれの出射面62から当該導光板50の外部に放出されるのである。
【0031】
例えば、導光板ユニット30の照射面と最も離れている導光板50c(図2(a)において最も下側の導光板50c)においてLED22から入射した光は、反射を繰り返した後に当該導光板50cの出射面62を通過して、更に導光板50b及び導光板50aを通過して放射される。また、導光板50bにおいてLED22から入射した光は、凹状反射部60に反射して出射面62を通過し、更に導光板50aを通過して放射される。導光板50aにおいてLED22から入射した光は、凹状反射部60に反射して出射面62を通過して放射される。このように、それぞれの導光板50a,50b,50cの光が導光板50aの出射面62から導光板ユニット30の外部へ放射され、この光が照明装置10の照射光となるのである。
【0032】
以上に説明したように、導光板ユニット30は、凹状反射部60が形成される面を階層状に備えていると表現することもできる(図2(a)を参照)。このように、導光板ユニット30の厚み方向のスペースを活用して凹状反射部60を配置することによって、導光板ユニット30の端面から内部へ照射される光を効率的に導光板50aの出射面62側に集めることができるようになっているのである。
【0033】
このように、複数の導光板50を重ねて導光板ユニット30を構成すると、凹状反射部60を配置できる延べ面積を増やすことができ、導光板ユニット30が有する凹状反射部60の総数を増加させることができるのである。
【0034】
次に、本実施形態の照明装置10に用いられる導光板ユニット30の製造方法について説明する。なお、以下の説明において、導光板50に形成される凹状反射部60の配置をドットパターンと称することがある。また、凹状反射部60の数の増減及び配置位置の変更のことをドットパターンの変更と称することがある。また、導光板50を重ねる枚数のことを積層枚数と称することがある。
【0035】
本実施形態の製造方法では、最適化処理プログラム(シミュレーションプログラム)を用いて導光板ユニット30のドットパターンの設計を行う。この最適化処理プログラムは、パーソナルコンピュータによって実行される。パーソナルコンピュータは、内部にCPU(中央演算処理装置)、RAM(ランダムアクセスメモリ)、HDD(ハードディスクドライブ)を備えており、内部バスを通してディスプレイ、キーボード、マウスに接続されている。ドットパターンの最適化処理を行うプログラムは、HDDにインストールされている。CPUは、パーソナルコンピュータのユーザからプログラム実行の指示がされると、RAM上にHDD上の前記プログラムを読み出し、RAM上のプログラムを実行し、実行結果をディスプレイに表示する。
【0036】
最適化処理プログラムによる最適化処理について説明する。図3は、ドットパターンの最適化を行う流れを模式的に示した説明図である。図4から図6は、ドットパターンの変更に伴って変化する導光板ユニット30の出射面の均斉度(シミュレーションの解析結果)を示した図である。なお、以下の説明において、単にドットパターンの変更というときは、シミュレーション上でのドットパターンの変更のことを意味するものとする。
【0037】
図3には、出射面の面積及び厚みが同じ導光板50を3枚重ねて構成した導光板ユニット30を最適化する例が示されている。本実施形態の最適化処理プログラムは、均斉度の目標値を設定し、この均斉度の目標値に到達するように導光板ユニット30のドットパターンの最適化を行うためのものである。このシミュレーションでは、凹状反射部60の形状が、上記実施形態で説明した形状と同じ円錐台形状に設定されている。
【0038】
また、最適化処理プログラムは、LEDから光が照射された導光板ユニット30の出射面(導光板50aの出射面62)の光の均斉度をシミュレーション解析する機能を有している。本実施形態の最適化処理プログラムは、シミュレーション解析した結果の均斉度と目標値を比較し、均斉度が目標値に達していない場合にドットパターンの変更を行うようになっている。なお、本実施形態の最適化処理プログラムは、均斉度が目標値に達している場合には、最適化が完了したと判断し、その時点のドットパターンの情報をディスプレイに表示したり、適宜の記憶媒体に保存したりする処理を行う。
【0039】
ドットパターンの変更は、シミュレーション解析の結果に基づいて導光板50ごとに行う。シミュレーションの開始時点では、ドットパターンは、各導光板50で同じパターンが設定されているものとする。そして、このシミュレーションでは、凹状反射部60の配置密度が偏らないように開始時点のドットパターンが設定されている。
【0040】
導光板50に対して行われるドットパターンの変更処理は、凹状反射部60の数を減らすことで行われる。例えば、入射面近傍の範囲の凹状反射部60の数を減らす(密度を小さくする)といった具合に、一部の凹状反射部60を減らすことで均斉度及び平均輝度が向上するように最適なドットパターンが最適化処理プログラムによって計算される。
【0041】
ユーザによって最適化処理プログラムが実行されると、最適化処理プログラムは、まず、ドットパターンの変更を行う前の初期状態の均斉度を調べる処理(シミュレーション解析)を行う。図4(a)は、初期状態の導光板ユニット30の均斉度を示すシミュレーション解析の結果である。図4(a)に示すように、この時点では出射エネルギーのバラツキが非常に大きくなっている。
【0042】
次に、重ねられた導光板50のうちの1枚を選択し、その導光板50のドットパターンの変更をプログラム上で行う。本実施形態のシミュレーションでは、導光板ユニット30の出射面から最も離れている導光板50cから、導光板ユニット30の出射面となる導光板50aに向かってドットパターンの変更を順番に行う。従って、最初にドットパターンの変更が行われる導光板50は、一番下の導光板50cである(図3(a)を参照)。この導光板50cの次にドットパターンの変更が行われるのは導光板50bであり(図3(b)を参照)、その次は一番上の導光板50aである(図3(c))。一番上の導光板50aのドットパターンを変更しても、均斉度が目標値に達しない場合には、導光板50cに戻ってドットパターンの変更を行う。均斉度が目標値に達するまでこの処理は繰り返される。
【0043】
1回目のドットパターンの変更では、初期状態(図4(a)に示す状態)のシミュレーション結果に基づいてドットパターンの変更が行われる。そして、ドットパターンの変更後に、再びシミュレーション解析を行う。導光板50cのドットパターンを変更した後(1回目のドットパターン変更後)のシミュレーション解析の結果を示すものが図4(b)である。
【0044】
以下、上述したように、均斉度が目標値に到達するまで図3に示す処理を繰り返す。真ん中の導光板50bのドットパターンの変更を行ったときのシミュレーション解析の結果が図4(c)である。その次に、一番上の導光板50aのドットパターンの変更を行ったときのシミュレーション解析の結果が図5(d)である。図5(e)からは、2回り目のドットパターンの変更になる。即ち、図5(e)は導光板50cの2回目のドットパターン変更後、図5(f)は導光板50cの2回目のドットパターン変更後、図6(g)は導光板50aの2回目のドットパターン変更後のシミュレーション解析の結果である。この例では、合計6回のドットパターンの変更によって導光板ユニット30の均斉度が目標値に到達している。
【0045】
以上の処理によって、均斉度の高いドットパターンを求めることができる。また、図4から図6までに示すように、この最適化処理の過程で、均斉度だけではなく、導光板ユニット30の輝度も向上していることが判る。図7は、上述した最適化処理によって、各導光板50に設定されたドットパターンを模式的に示した図である。図7(a)は、導光板ユニット30の出射面となる一番上の導光板50aであり、図7(b)は、真ん中に配置される導光板50bであり、図7(c)は、一番下の導光板50cである。
【0046】
図7において、黒くなっている部分は、凹状反射部60が密集している部分であり、凹状反射部60の密度が大きくなっている部分である。図7(a)に示される導光板50aは、入射面から離れるに従って凹状反射部60の配置密度が徐々に増加しており、入射面と反対側の端面近傍で最も密度が高くなっている。図7(b)に示される導光板50bは、導光板50aと同様に、入射面から離れるに従って凹状反射部60の配置密度が徐々に増加している。この導光板50bは、入射面と反対側の端面近傍において、密度が最も高くなっている範囲(黒い部分)が導光板50aの密度が最も高くなっている範囲よりも若干広くなっている(黒い部分が大きくなっている)。図7(c)に示される導光板50cは、密度の最も高い部分が中途部になっており、その範囲は導光板の真ん中から入射面から離れる方向に向かって一定の範囲に広がっている。
【0047】
このように、各導光板50は、最適化処理されることによって、それぞれ異なるドットパターンに変更される。このようにして最適化処理されたドットパターンに基づいて製造した導光板ユニット30が、上記の照明装置10に用いられる導光板ユニット30である。
【0048】
次に、図8を参照して、本発明の製造方法によって製造された導光板ユニット30の有利な効果について説明する。図8(a)は、1枚の導光板の均斉度を模式的に示した図であり、図8(b)は、本実施形態の導光板ユニット30の均斉度を模式的に示した図である。
【0049】
まず、図8のシミュレーション条件について説明する。図8(a)に示す導光板の出射面積と、図8(b)に示す導光板ユニット30の出射面積と、は同じ大きさ(48mm×88mm)に設定されている。図8(a)に示す導光板の厚みは1mmであり、ドット総数(凹状反射部60の合計)は191,008個である。一方、導光板ユニット30は、3枚の導光板50を厚み方向に重ねることによって構成されており、1枚当たりの導光板50の厚みは0.33mmに設定されている。導光板ユニット30全体のドット総数は480,779個である。この導光板ユニット30は、上述の最適化処理プログラムによって最適化処理が行われたものである。
【0050】
このシミュレーション解析の結果は以下のようになった。即ち、図8(a)に示す1枚の導光板は、平均輝度は668cd/m2であり、均斉度は94%になった。一方、図8(b)に示す導光板ユニット30は、平均輝度は767cd/m2であり、均斉度は95%になった。この結果から、最適化処理を行うことで、均斉度及び平均輝度が何れも良好な導光板ユニット30を製造できることが判る。
【0051】
以上に示したように、本実施形態の照明装置10に用いられる導光板ユニット30の製造方法は、均斉度検出ステップと、均斉度向上ステップと、を含む。均斉度検出ステップでは、導光板ユニット30から出射される光の均斉度を調べる。均斉度向上ステップでは、均斉度検出ステップで調べた均斉度に基づいて1枚の導光板50の凹状反射部60の数又は配置の少なくとも何れかを変更する。そして、均斉度向上ステップごとに導光板50を変更し、均斉度検出ステップと均斉度向上ステップとを交互に繰り返す。
【0052】
これにより、導光板50ごとに凹状反射部60の数又は配置の少なくとも何れかを変更するので、導光板ユニット30の均斉度を目標とする値に着実に近づけることができる。従って、均斉度を向上させるための凹状反射部60の変更回数を低減することができ、均斉度が高い導光板ユニット30を効率的に製造できる。
【0053】
また、本実施形態の導光板ユニット30の製造方法は、重ねられる全ての導光板50a,50b,50cに対して均斉度検出ステップと均斉度向上ステップとを行う。その後、最初に均斉度検出ステップを行った導光板50cに戻って再び均斉度検出ステップと均斉度向上ステップとを導光板50を変えながら繰り返す。
【0054】
これにより、導光板50の数が多い場合でも、導光板ユニット30の均斉度を目標値に確実に到達させることができる。
【0055】
また、本実施形態の導光板ユニット30の製造方法においては、均斉度向上ステップでは、繰り返しを通じて、凹状反射部60を減らす処理だけを行うことにより均斉度を向上させている。
【0056】
これにより、凹状反射部60の変更が一方向の処理(不可逆的な処理)で行われるので、均斉度向上ステップを簡素化でき、導光板ユニット30の製造をより効率化できる。
【0057】
また、本実施形態の導光板ユニット30の製造方法においては、均斉度向上ステップは、最適化処理プログラムを用いて行う。そして、この最適化処理プログラムの結果に基づいて導光板50の凹状反射部60の数又は配置の少なくとも何れかを決定する。
【0058】
これにより、現実に導光板50を製造して試行実験を行うことなく、均斉度が高い導光板ユニット30の最適な設計条件を導き出すことができ、導光板ユニット30の製造をより効率的に行うことができる。
【0059】
以上に本発明の実施形態を説明したが、上記の構成は更に以下のように変更することができる。
【0060】
上記実施形態では、最適化処理の過程において、導光板から凹状反射部60を減らすことで、ドットパターンの変更を行っているが、この構成に限定される訳ではない。例えば、ある範囲の凹状反射部60の数を減らし、他の範囲では凹状反射部60の数を増やすようにドットパターンの変更を行ってもよい。
【0061】
また、上記実施形態では、凹状反射部60が偏らないように開始時点のドットパターンが設定されているが、偏りがあるように開始時点のドットパターンを設定することもできる。
【0062】
また、上記実施形態の照明装置10では、凹状反射部60が出射面62と反対側の面に形成される構成であるが、出射面62側に凹状反射部60を形成する構成としてもよい。また、出射面62と、出射面62の反対側の面と、の両方に凹状反射部60を形成することもできる。何れの場合も、シミュレーションは、そのような反射部の配置に対応させた条件を設定して行うことが好ましい。
【0063】
また、上記実施形態では、凹状反射部60は、円錐台形状になるように構成されているが、凹状反射部60を円錐形状や円柱形状とすることもできる。この場合においても、シミュレーションは、そのような凹状反射部の形状を設定した上で行うことが好ましい。
【0064】
また、上記実施形態では、シミュレーションによって導光板50のドットパターンの最適化を行っているが、実測値に基づいて、導光板ユニット30のドットパターンの最適化を行うようにしてもよい。
【符号の説明】
【0065】
10 照明装置
30 導光板ユニット
50 導光板

【特許請求の範囲】
【請求項1】
反射部が複数配置された導光板を厚み方向に重ねて構成される導光板ユニットの製造方法において、
前記導光板ユニットから出射される光の均斉度を調べる均斉度検出ステップと、
前記均斉度検出ステップで調べた均斉度に基づいて1枚の導光板の反射部の数又は配置の少なくとも何れかを変更する均斉度向上ステップと、
を含み、
前記均斉度向上ステップごとに導光板を変更し、前記均斉度検出ステップと前記均斉度向上ステップとを交互に繰り返すことを特徴とする導光板ユニットの製造方法。
【請求項2】
請求項1に記載の導光板ユニットの製造方法であって、
重ねられる全ての前記導光板に対して前記均斉度検出ステップと前記均斉度向上ステップとを行った後は、
最初に均斉度検出ステップを行った導光板に戻って、再び前記均斉度検出ステップと前記均斉度向上ステップとを前記導光板を変えながら繰り返すことを特徴とする導光板ユニットの製造方法。
【請求項3】
請求項1又は2に記載の導光板ユニットの製造方法であって、
前記均斉度向上ステップでは、繰り返しを通じて、反射部を減らす処理又は増やす処理のうち何れかだけを行うことにより均斉度を向上させることを特徴とする導光板ユニットの製造方法。
【請求項4】
請求項1から3までの何れか一項に記載の導光板ユニットの製造方法であって、
前記均斉度向上ステップは、シミュレーションプログラムを用いて行い、このシミュレーションプログラムの結果に基づいて前記導光板の反射部の数又は配置の少なくとも何れかを決定することを特徴とする導光板ユニットの製造方法。
【請求項5】
反射部が複数配置された導光板を厚み方向に重ねて構成される導光板ユニットを備える照明装置の製造方法において、
前記導光板ユニットから出射される光の均斉度を調べる均斉度検出ステップと、
前記均斉度検出ステップで調べた均斉度に基づいて1枚の導光板の反射部の数又は配置の少なくとも何れかを変更する均斉度向上ステップと、
を含み、
前記均斉度向上ステップごとに導光板を変更し、前記均斉度検出ステップと前記均斉度向上ステップとを交互に繰り返すことを特徴とする照明装置の製造方法。
【請求項6】
反射部が複数配置された導光板を厚み方向に重ねて構成される導光板ユニットの反射部の最適化を行うプログラムにおいて、
前記導光板ユニットから出射される光の均斉度を調べる均斉度検出ステップと、
前記均斉度検出ステップで調べた均斉度に基づいて1枚の導光板の反射部の数又は配置の少なくとも何れかを変更する均斉度向上ステップと、
を含み、
前記均斉度向上ステップごとに導光板を変更し、前記均斉度検出ステップと前記均斉度向上ステップとを交互に繰り返すことを特徴とするプログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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