説明

導通検査機、導通検査方法、それらに用いるチェッカーおよびダミーコネクタ

【課題】短時間で効率的にワイヤハーネスの導通検査を行うことが可能で実用的な導通検査機および導通検査方法を提供する。
【解決手段】導通検査機1は、接続された回路の導通状態を検査しその検査結果を予め記憶された回路データと照合して合否の判定を行う導通機2と、その導通機2に電気的に接続された複数のチェッカー3,3・・とを備えている。また、導通機2には、通信ケーブル6を介してパーソナルコンピュータ7が接続されている。当該PC7には、液晶画面を有するモニタ8、テンキー等を有する入力手段9が設けられており、各種のデータを記憶するための記憶手段10が内蔵されている。そして、チェッカー3,3・・には、コネクタ5aの嵌合状態を表示するためのLED23a,23bが設けられている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、自動車に使用されるワイヤハーネスを複数接続した状態で導通検査を行うための導通検査機および導通検査方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
自動車用のワイヤハーネスは、試作時に、回路の設計が所定の要求仕様を満たしているか否かを確認するための導通検査を行う必要がある。かかる導通検査の方法としては、端子間の導通状態を検査可能な導通機とワイヤハーネスのコネクタを嵌合可能なコネクタを備えた多数のチェッカーとを備えた導通検査機を利用して、大型の検査台上で、各ワイヤハーネスのコネクタを互いにあるいは導通検査機のチェッカーに接続することにより、自動車1台分のワイヤハーネスを組み立てて、導通機により所定の端子間の導通状態を検査する方法が採用されている。
【0003】
【特許文献1】特開2007−212249号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記の如く導通検査機を利用して自動車用のワイヤハーネスの導通検査を行うためには、何百個ものワイヤハーネスのコネクタを、検査盤上に配置された多数のチェッカーに正しく接続する必要がある。しかしながら、すべてのワイヤハーネスのコネクタをチェッカーに正しく接続するためには、導通機においてエラー状況を調べながら、チェッカーの結束用レバーの倒し忘れやチェッカーへのコネクタの嵌合不良等の接続の不具合を一つずつ潰していく必要があるため、非常に時間がかかる。
【0005】
本発明の目的は、上記従来の導通検査方法が有する問題点を解消し、短時間で効率的にワイヤハーネスの導通検査を行うことが可能で実用的な導通検査機および導通検査方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
かかる本発明の内、請求項1に記載された発明は、接続された回路の導通状態を検査しその検査結果を予め記憶された回路データと照合して合否の判定を行う導通機と、ワイヤハーネスのコネクタを嵌合するためのチェッカーとを備えており、複数のワイヤハーネスを前記チェッカーに接続させた状態でその導通検査を実施する導通検査機であって、前記チェッカーに、コネクタの嵌合状態を表示するための第一表示手段を設けたことを特徴とするものである。なお、第一表示手段による表示方法としては、ランプ、LED等を点灯/消灯させる方法や、液晶ディスプレイに文字や図形を表示する方法等を採用することができる。
【0007】
請求項2に記載された発明は、請求項1に記載された発明において、ワイヤハーネス同士の接続部分に介在させるためのダミーコネクタを備えており、そのダミーコネクタに、ワイヤハーネスとワイヤハーネスとの接続状態を表示するための第二表示手段を設けたことを特徴とするものである。なお、第二表示手段による表示方法としては、ランプ、LED等を点灯/消灯させる方法や、液晶ディスプレイに文字や図形を表示する方法等を採用することができる。
【0008】
請求項3に記載された発明は、請求項1、または請求項2に記載された発明において、前記第一表示手段が、チェッカーとコネクタとの嵌合の要否と、チェッカーとコネクタとの嵌合状態の適否と、チェッカーとコネクタとが嵌合された後の導通エラーの有無とを、それぞれ区別して異なる態様で表示することを特徴とするものである。なお、表示の態様を異ならせる方法としては、ランプやLEDを点灯/消灯したり、点滅の間隔を変化させたり、発光する色を変化させたり、液晶ディスプレイの表示内容を変化させたりする方法を採用することができる。
【0009】
請求項4に記載された発明は、請求項1〜3のいずれかに記載された発明において、導通エラーの有無を表示するためのモニタと導通検査に関連したデータを取り込むための記憶手段とを有するコンピュータが導通機に接続されていることを特徴とするものである。
【0010】
請求項5に記載された発明は、請求項1〜3のいずれかに記載された発明において、接続された回路の導通状態を検査しその検査結果を予め記憶された回路データと照合して合否の判定を行う導通機と、ワイヤハーネスのコネクタを嵌合するためのチェッカーとを用いて、複数のワイヤハーネスを前記チェッカーに接続させた状態でその導通検査を実施する導通検査方法であって、複数のワイヤハーネスの要求仕様を記憶したデータ群から所定の車種のワイヤハーネスの要求仕様を選択し、その選択された要求仕様に応じて、各チェッカーの表示手段において、コネクタとの嵌合の要否の別を表示し、所定のコネクタが嵌合されるとその旨を表示し、コネクタの嵌合状態が不良である場合にはその旨を表示するとともに、すべてのチェッカーにおいて嵌合状態の不良が解消された場合には、その旨を報知した後に、導通検査を開始し、その導通検査の結果、ワイヤハーネスの設計に関連した設計エラーが生じた場合には、その設計エラーに関するエラー情報を、コンピュータのモニタに表示し、コンピュータの記憶手段に記憶することを特徴とするものである。
【0011】
請求項6に記載された発明は、接続されたワイヤハーネスの導通検査を行う際にワイヤハーネスのコネクタを嵌合させるためのチェッカーであって、コネクタの嵌合状態を表示するための第一表示手段が設けられていることを特徴とするものである。
【0012】
請求項7に記載された発明は、接続されたワイヤハーネスの導通検査を行う際にワイヤハーネス同士の接続部分に介在させるためのダミーコネクタであって、一方のワイヤハーネス側のコネクタに嵌合可能な第一コネクタと、他方のワイヤハーネス側のコネクタに嵌合可能な別の第二コネクタとを備えており、それらの第一コネクタと第二コネクタとが内部でストレートに配線されているとともに、ワイヤハーネスとの接続状態を表示するための第二表示手段が設けられていることを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0013】
請求項1の導通検査機によれば、ワイヤハーネスのコネクタをチェッカーに嵌合させる際に、チェッカーに設けられた第一表示手段の表示を視認することにより、嵌合の不具合の発生箇所を一目で認識することができるので、短時間の内に速やかに接続エラーを解消することが可能となる。
【0014】
請求項2の導通検査機によれば、ダミーコネクタに設けられた第二表示手段の表示を視認することにより、ワイヤハーネス同士の接続箇所における接続不良を一目で認識することができるので、短時間の内に速やかに接続エラーを解消することが可能となる。
【0015】
請求項3の導通検査機によれば、チェッカーに設けられた第一表示手段の表示を視認することにより、作業者に、導通検査前にはどのチェッカーにコネクタを嵌合させる必要があるのかを知らせることができ、チェッカーへのコネクタの嵌合後にはその嵌合が正常であるか否かを知らせることができ、導通検査後にはそのチェッカーに接続されたワイヤハーネスに導通エラーがあるか否かを知らせることができる。したがって、接続不良や導通エラーの発生箇所および発生状況を一目で認識することができるので、それらの嵌合不良や導通エラーを短時間の内に速やかに解消することができる。
【0016】
請求項4の導通検査機によれば、コンピュータのモニタの画面を確認することにより導通エラーの有無を瞬時に確認することができる。また、導通検査の結果を、非常に容易に管理することができる。
【0017】
請求項5の導通検査方法によれば、本来チェックすべきワイヤハーネスの設計に起因する設計エラーがコンピュータに表示されるため、設計エラーの有無を瞬時に確認することができる。また、設計エラーに関する情報を、非常に容易に管理することができる。
【0018】
請求項6のチェッカーによれば、第一表示手段の表示によってワイヤハーネスのコネクタとの嵌合状態を一目で把握することができるので、ワイヤハーネスの導通検査を短時間の内に効率的に行うことが可能となる。
【0019】
請求項7のダミーコネクタによれば、第二表示手段の表示によってワイヤハーネスの同士の嵌合状態を一目で把握することができるので、ワイヤハーネスの導通検査を短時間の内に効率的に行うことが可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0020】
以下、本発明に係る導通検査機および導通検査方法の一実施形態について、図面に基づいて詳細に説明する。図1は、本発明に係る導通検査機の概略を示したものであり、導通検査機1は、接続された回路の導通状態を検査しその検査結果を予め記憶された回路データと照合して合否の判定を行う導通機2と、その導通機2に電気的に接続された複数のチェッカー3,3・・とを備えている。また、導通機2には、通信ケーブル6を介してパーソナルコンピュータ(以下、単にPCという)7が接続されている。当該PC7には、液晶画面を有するモニタ8、テンキー等を有する入力手段9が設けられており、各種のデータを記憶するための記憶手段10が内蔵されている。
【0021】
かかる導通検査機1を用いて導通検査を行う場合には、自動車一台分のワイヤハーネス4,4・・が所定の検査台上にセットされ、所定のワイヤハーネス4,4・・が互いにあるいはチェッカー3,3・・に接続される。なお、各ワイヤハーネス4,4・・の両端には、雄型のコネクタ5aと、雌型のコネクタ5bとが設けられており、コネクタ5aを利用してチェッカー3と接続される。また、ワイヤハーネス4,4・・同士を接続する場合には、ワイヤハーネス4のコネクタ5aと別のワイヤハーネス4のコネクタ5bとが、ダミーコネクタ11を介して接続される。なお、チェッカー3は、ワイヤハーネス4の雌型のコネクタ5bと嵌合可能な構造にすることも可能である。
【0022】
導通機2は、電源スイッチ12、スタートスイッチ13、検査ポイントを示す表示部14、検査結果を示す表示部15、所定の情報を記録したICカード17を挿入するためのスロット16等を備えており、チェッカー3に接続されたワイヤハーネス4の導通状態(オープンあるいはショート)を検出するための周知の構成を有している。また、導通機2には、制御手段26が内蔵されている。
【0023】
また、図2は、チェッカー3の正面および平面を示したものである。チェッカー3は、本体18が直方体状に形成されており、その本体18の右側に、ワイヤーハーネス4を嵌め込むための縦溝19および横溝20が形成されている。そして、それらの縦溝19および横溝20の形成部分の内壁面には、ワイヤーハーネス4(コネクタ5a)の嵌合状態を検知するためのスイッチ(マイクロスイッチ)21a,21bが設けられている。また、本体18の左側には、棒状のレバー22が鉛直面内を回動可能に設けられている。さらに、本体18の上面の縦溝19の前側および後側には、それぞれ、第一表示手段として機能するLED23a,23bが設けられている。
【0024】
かかるチェッカー3は、電源が供給された状態においては、縦溝19、横溝20の内部に設けられたスイッチ21a,21bによって、ワイヤーハーネス4(コネクタ5a)の嵌合状態を検知することができるようになっている。すなわち、チェッカー3が、コネクタ5aを嵌合させて試験をすべき仕様であって、ワイヤーハーネス4のコネクタ5aが縦溝19に嵌合されていない場合には、スイッチ21aがONとなり、LED23aが所定の色(たとえば、黄色)で点灯するようになっており、コネクタ5aが正常に嵌合されると、スイッチ21aがOFFとなり、LED23aが消灯するようになっている。また、コネクタ5aが正常に嵌合された状態で、レバー22を左側から右側へ回動させると、本体18に内蔵されたコネクタ(図示せず)が、ワイヤーハーネス4のコネクタ5aと嵌合するようになっている。その際に、内蔵されたコネクタがワイヤーハーネス4のコネクタ5aに十分に嵌合していないと(すなわち、レバーが十分に倒されていないと)、スイッチ21bがONとなり、LED23bが所定の色(たとえば、赤色)で点灯するようになっており、内蔵されたコネクタがワイヤーハーネス4のコネクタ5aに十分に嵌合されると、スイッチ21bがOFFとなり、LED23bが消灯するようになっている。かかる各チェッカー3,3・・は、ケーブル24を介して導通機2に接続されている。
【0025】
また、ダミーコネクタ11は、ワイヤハーネス4のコネクタ5aと同じ機構を有する第一コネクタ27と、ワイヤハーネス4のコネクタ5bと同じ機構を有する第二コネクタ28とを、それぞれ、左右両側に一体的に備えた構造を有している。また、上面には、第二表示手段として機能するLED25が設けられている。そして、ワイヤーハーネス4のコネクタ5a,5bが両側に嵌合されていない場合には、LED25が点灯するようになっており、コネクタ5a,5bが両側に正常に嵌合されると、LED25が消灯するようになっている。
【0026】
以下、上記の如く構成された導通検査機1を用いて所定の自動車一台分のワイヤハーネス4,4・・の導通検査をする場合の検査方法について説明する。図3は、導通検査機1を用いて導通検査を行う際のフローチャートを示したものである。導通検査を行う場合には、作業者は、最初に、多数の自動車に要求される回路の接続仕様(要求仕様)を記録した所定のICカード17を、導通機2のスロット16に挿入する(S1)。なお、ICカード17には、ワイヤハーネス4を搭載する自動車の車種毎に、ショートであるワイヤハーネス4の回路データが記録されている。
【0027】
上記の如くICカード17がスロット16に挿入されると、導通機2の制御手段26によって、ICカード内の回路データが読み取られる。なお、導通機2は、ICカード17に記録されている回路データ以外の回路データをオープンと判断する。しかる後、S2で、作業者によって、車種(号車)が選択されると、ICカード17に記録されている多数の回路データの中から、選択された車種に対応した回路データが呼び出される。導通機2の制御手段26は、その呼び出された回路データに基づいて、以下の動作を実行する。
【0028】
S2で号車が選択された後には、続くS3で、呼び出された回路データに基づいて、導通機2の制御手段26からの指令により、ワイヤハーネス4との接続が必要なチェッカー3,3・・のLED23aが所定の色(たとえば、黄色)で点滅する。また、それらの各チェッカー3,3・・のLED23aの点灯と同時に、S4で、導通機2に接続されたPC7のモニタ8に、使用する回路表が表示される。
【0029】
しかる後、作業者が、LED23aが点滅したチェッカー3,3・・に所定のワイヤハーネス4,4・・のコネクタ5aを嵌合させると、S5で、嵌合されたチェッカー3,3・・のLED23aが消灯する。しかる後、S6で、作業者が、導通機2のスタートスイッチ13を操作すると、所定の回路においてオープンであるかショートであるかの導通検査(回路チェック)が行われる。
【0030】
しかる後、S7で、導通機2の制御手段26において、当該導通検査の結果とICカード17から呼び出された回路データ(要求仕様)との照合が行われる。そして、その照合の結果、ICカード17から呼び出された要求仕様と実際の接続態様(チェックにより判明した接続態様)とが一致した場合には、S12で、合格と判定され、S13で、ワイヤーハーネス4,4・・のシリアルナンバーと導通検査の結果とが関連付けられてPC7の記憶手段10内に記憶される。
【0031】
一方、照合の結果、ICカード17から呼び出された要求仕様と実際の接続態様とが不一致である場合には、S8で、導通機2の表示部15においてエラーである旨を表示する。また、その導通機2のエラー表示と同時に、導通機2の制御手段26からの指令により、S9で、PC7のモニタ8に表示されている回路表のエラー部位(ICカード17から呼び出された要求仕様と異なる接続態様の部位)において、エラー表示が行なわれる。なお、かかるエラー表示は、PC7のモニタ8の液晶画面において回路表のエラー発生箇所の表示が点滅する対応によって行われる。しかる後、S10で、導通機2の制御手段26からの指令により、回路表のエラー表示部位に対応したチェッカー3,3・・のLED23bが所定の色(たとえば、赤色)で点滅し、エラーを報知する。
【0032】
作業者は、上記した各チェッカー3,3・・のLED23bの点滅表示等によって、エラーの発生およびエラーの発生箇所を一目で認識できる。そして、エラー発生箇所においてチェッカー3へのワイヤハーネス4のコネクタ5aの嵌合状態を適正にしたり、ワイヤハーネス4を別のものと取り替えたりした後に(S11)、再度、スタートスイッチ13を操作すると、導通検査が繰り返し行われ、再度、ICカード17から呼び出された要求仕様と実際の接続態様との照合が行われる。そして、その照合の結果、ICカード17から呼び出された要求仕様と実際の接続態様とが一致した場合には、S12で、合格と判定され、S13で、ワイヤーハーネス4,4・・のシリアルナンバーと導通検査回路の結果とが関連付けられてPC7の記憶手段10内に記憶される。
【0033】
一方、エラー発生箇所においてチェッカー3へのワイヤハーネス4のコネクタ5aの嵌合状態を適正にした後でも、ICカード17から呼び出された要求仕様と実際の接続態様とが不一致のままである場合には、ワイヤハーネス4の設計に起因した設計エラーと判断して、その旨がワイヤーハーネス4のシリアルナンバーと関連付けられてPC7の記憶手段10内に記憶される。
【0034】
導通検査機1は、上記の如く、チェッカー3,3・・に、コネクタ5aの嵌合状態を表示するための第一表示手段であるLED23a,23bが設けられており、ワイヤハーネス4のコネクタ5aをチェッカー3に嵌合させる際に、チェッカー3のLED23a,23bを視認することにより、嵌合の不具合の発生箇所を一目で認識することができるので、短時間の内に速やかに接続エラーを解消することができる。
【0035】
また、導通検査機1は、ダミーコネクタ11にワイヤハーネス4,4同士の接続状態を表示するための第二表示手段であるLED25が設けられており、そのLED25を視認することにより、ワイヤハーネス4,4同士の接続箇所における接続不良を一目で認識することができるので、短時間の内に速やかにエラーを解消することができる。
【0036】
さらに、導通検査機1によれば、チェッカー3,・・に設けられたLED23aを視認することにより、作業者に、導通検査前にはどのチェッカー3,3・・にコネクタ5a,5a・・を嵌合させる必要があるのかを知らせることができ、チェッカー3,3・・へのコネクタ5a,5a・・の嵌合後にはその嵌合が正常であるか否かを知らせることができ、導通検査後にはそれらのチェッカー3,3・・に接続されたワイヤハーネス4,4・・に導通エラーがあるか否かを知らせることができる。したがって、接続不良や導通エラーの発生箇所および発生状況を一目で認識することができるので、それらの嵌合不良や導通エラーを短時間の内に速やかに解消することができる。
【0037】
加えて、導通検査機1は、導通エラーの有無を表示するためのモニタ8と導通検査に関連したデータを取り込むための記憶手段10とを有するPC7が導通機2に接続されているため、PC7のモニタ8の画面を確認することにより導通エラーの有無を瞬時に確認することができる。また、導通検査の結果を、非常に容易に管理することができる。
【0038】
なお、本発明の導通検査機の構成は、上記実施形態の態様に何ら限定されるものではなく、導通機、チェッカー、ダミーコネクタ等の形状、構造等の構成を、本発明の趣旨を逸脱しない範囲内で適宜変更することができる。また、本発明の導通検査方法の構成も、上記実施形態の態様に何ら限定されるものではなく、必要に応じて適宜変更することができる。
【0039】
たとえば、チェッカーは、上記実施形態の如く、第一表示手段として2個のLEDを備えたものに限定されず、1個あるいは3個以上のLED等の発光部材を備えたものでも良いし、液晶画面や7セグメント方式の発光表示部材を第一表示手段として備えたものでも良い。同様に、ダミーコネクタも、上記実施形態の如く、第二表示手段として1個のLEDを備えたものに限定されず、2個以上の発光部材を備えたものでも良いし、液晶画面や7セグメント方式の発光表示部材を第二表示手段として備えたものでも良い。
【0040】
一方、導通検査機は、上記実施形態の如く、導通機に制御手段が内蔵されており、その制御手段からの指令に基づいて、チェッカーの第一表示手段がエラー表示を行うものに限定されず、導通機に接続されたPCからの指令に基づいて、チェッカーの第一表示手段がエラー表示を行うもの等でも良い。加えて、導通検査機は、上記実施形態の如く、設計エラーに関するエラー情報を、PCの記憶手段に記憶させるものに限定されず、当該エラー情報を導通機に内蔵された記憶手段に記憶させるもの等でも良い。
【0041】
また、導通検査機は、上記実施形態の如く、チェッカーに所定のワイヤハーネスを嵌合させた後に(嵌合すべきワイヤハーネスをすべて嵌合させた後に)作業者がスイッチを操作することによって導通検査を行うものに限定されず、チェッカーに所定のワイヤハーネスを嵌合させた後に自動的に導通検査を行うものでも良い。
【図面の簡単な説明】
【0042】
【図1】導通検査機の概略を示す説明図である。
【図2】チェッカーを示す説明図である(aは正面図であり、bは平面図である)。
【図3】導通検査機を用いた導通検査方法の手順を示すフローチャートである。
【符号の説明】
【0043】
1・・導通検査機
2・・導通機
3・・チェッカー
4・・ワイヤハーネス
5a,5b・・コネクタ
7・・PC
8・・モニタ
10・・記憶手段
11・・ダミーコネクタ
23a,b・・LED(第一表示手段)
25・・LED(第二表示手段)
26・・制御手段。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
接続された回路の導通状態を検査しその検査結果を予め記憶された回路データと照合して合否の判定を行う導通機と、ワイヤハーネスのコネクタを嵌合するためのチェッカーとを備えており、複数のワイヤハーネスを前記チェッカーに接続させた状態でその導通検査を実施する導通検査機であって、
前記チェッカーに、コネクタの嵌合状態を表示するための第一表示手段を設けたことを特徴とする導通検査機。
【請求項2】
ワイヤハーネス同士の接続部分に介在させるためのダミーコネクタを備えており、
そのダミーコネクタに、ワイヤハーネスとワイヤハーネスとの接続状態を表示するための第二表示手段を設けたことを特徴とする請求項1に記載の導通検査機。
【請求項3】
前記第一表示手段が、チェッカーとコネクタとの嵌合の要否と、チェッカーとコネクタとの嵌合状態の適否と、チェッカーとコネクタとが嵌合された後の導通エラーの有無とを、それぞれ区別して異なる態様で表示することを特徴とする請求項1、または請求項2に記載の導通検査機。
【請求項4】
導通エラーの有無を表示するためのモニタと導通検査に関連したデータを取り込むための記憶手段とを有するコンピュータが導通機に接続されていることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の導通検査機。
【請求項5】
接続された回路の導通状態を検査しその検査結果を予め記憶された回路データと照合して合否の判定を行う導通機と、ワイヤハーネスのコネクタを嵌合するためのチェッカーとを用いて、複数のワイヤハーネスを前記チェッカーに接続させた状態でその導通検査を実施する導通検査方法であって、
複数のワイヤハーネスの要求仕様を記憶したデータ群から所定の車種のワイヤハーネスの要求仕様を選択し、その選択された要求仕様に応じて、各チェッカーの表示手段において、コネクタとの嵌合の要否の別を表示し、所定のコネクタが嵌合されるとその旨を表示し、コネクタの嵌合状態が不良である場合にはその旨を表示するとともに、
すべてのチェッカーにおいて嵌合状態の不良が解消された場合には、その旨を報知した後に、導通検査を開始し、その導通検査の結果、ワイヤハーネスの設計に関連した設計エラーが生じた場合には、その設計エラーに関するエラー情報を、コンピュータのモニタに表示し、コンピュータの記憶手段に記憶することを特徴とするワイヤハーネスの導通検査方法。
【請求項6】
接続されたワイヤハーネスの導通検査を行う際にワイヤハーネスのコネクタを嵌合させるためのチェッカーであって、
コネクタの嵌合状態を表示するための第一表示手段が設けられていることを特徴とする導通検査用チェッカー。
【請求項7】
接続されたワイヤハーネスの導通検査を行う際にワイヤハーネス同士の接続部分に介在させるためのダミーコネクタであって、
一方のワイヤハーネス側のコネクタに嵌合可能な第一コネクタと、他方のワイヤハーネス側のコネクタに嵌合可能な別の第二コネクタとを備えており、それらの第一コネクタと第二コネクタとが内部でストレートに配線されているとともに、
ワイヤハーネスとの接続状態を表示するための第二表示手段が設けられていることを特徴とする導通検査用ダミーコネクタ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2009−236750(P2009−236750A)
【公開日】平成21年10月15日(2009.10.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−84472(P2008−84472)
【出願日】平成20年3月27日(2008.3.27)
【出願人】(000005290)古河電気工業株式会社 (4,457)
【出願人】(391045897)古河AS株式会社 (571)
【Fターム(参考)】