説明

導電膜用粘着シートおよび導電膜用粘着シートの製造方法

【課題】特定の反応開始剤を用いて重合することによって、長時間乾燥させなくても、アクリル系ポリマー中に残存するモノマー及び反応開始剤の量を低減でき、残存するモノマー及び反応開始剤によるITOの腐食を抑制できる粘着シートを提供する。
【解決手段】基材シートと該基材シートの少なくとも一方の面に形成された粘着剤層とからなる導電膜用粘着シートにおいて、該粘着剤層を形成する粘着剤が、(a-1)アルコキシ(メタ)アクリレート20〜99.4重量%、(a-2)水酸基含有モノマー0.5〜10重量%、(a-3)窒素含有モノマー0.1〜5重量%、及び(a-4)アルキル(メタ)アクリレート0〜79.4重量%を含むモノマー混合物を、少なくとも反応開始剤を二回に分割添加して共重合させてなり、該分割して最後に添加する反応開始剤の10時間半減期温度が40〜80℃の範囲内にある過酸化物系開始剤であり、共重合させて得られたカルボキシル基以外の官能基を有する重量平均分子量が5万以上40万未満のアクリル系ポリマーを、該アクリル系ポリマー100重量部に対してイソシアネート架橋剤を0.1〜5重量部添加して架橋された架橋アクリル系粘着剤からなり、該アクリル系ポリマー中における計算残存反応開始剤量が500ppm以下であり、該粘着シートの粘着剤層の厚さを50μmとした時に、該粘着剤層に含有される未反応モノマーの量が50 mg/m2以下である導電膜用粘着シート。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は導電膜用粘着シート、および、この導電膜用粘着シートを製造する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
現在、主に用いられているタッチパネルユニットには、大別して抵抗膜式タッチパネルと静電容量方式のタッチパネルとがあり、これらは共には各種材料の積層体であり、その貼り合わせには主にアクリル系粘着剤が使用されている。タッチパネルユニットは、画面の最表面に配置されることから、使用されるアクリル系粘着剤には、高い透明性が求められ、さらに、高い耐熱性、耐湿熱性等の特性が必要とされる。具体的には、各種材料の積層体であるタッチパネルユニットは、タッチパネル装置の最表面に配置されることから、外部からの水分の浸入によって白化現象を生ずることがあり、また、貼付の際、空気を巻き込むことによる発泡および積層する材料から発生するアウトガスによる発泡などが、外観不良を生じる原因となる。
【0003】
また、これまでのタッチパネルの主流であった抵抗膜方式のタッチパネルにおいては、ポリカーボネート(PC)あるいはインモールドフィルム(IMD)の貼り付けのために種々の粘着剤が使用されてきた。
【0004】
しかしながら、PCの材料上の特性として高温条件でアウトガスが発生するために、耐熱条件で発泡が起きること、湿熱条件で水分流入による粘着剤層の白化現象を抑えることが難しいという問題もある。さらに、IMDはサブミクロンオーダーの段差を有するために、その段差に粘着剤が追従できずに泡を巻き込むという問題もある。
【0005】
従来は、上記のような問題を、粘着剤に酸成分を配合することにより解決していた。即ち、酸成分は混入した水分を分散させて析出させないという機能を有しており、粘着剤層に浸入した水分は酸成分の分散力によって粘着剤層内に分散され析出することがなかったので、粘着剤層が白化するのを防止し、また水素結合を形成することからその水素結合による高い凝集力によって、耐熱発泡における泡の発生を抑えていたのである。
【0006】
ところで、近時、マルチタッチ化をはじめとする機能の充実化に伴い、抵抗膜方式のタッチパネルに代わって静電容量方式のタッチパネルが主流になりつつある。この静電容量方式のタッチパネルにおいては、抵抗膜方式のタッチパネルで要求されていた特性は当然必要となるが、それに加えて、粘着剤が配線を形成している導電層と直接接触するために、粘着剤が導電層の特性を変動させないという特性が必要になる。導電層は、酸化インジウムスズ(ITO)のような金属あるいは金属酸化物で形成されており、酸との接触により腐食を起こし、その抵抗値が上昇してしまうので、従来から使用されていた酸成分を用いて耐熱性、耐湿熱性等の特性を確保するという手段は用いることができない。
【0007】
このようなITO等の金属あるいは金属酸化物からなる透明電極の腐食に関しては、特許文献1(特開2010−77287号公報)には、アルコキシアルキルアクリレートを主成分とする重合体が開示されており、この特許文献1では、重量平均分子量が40万〜160万のアルコキシアルキルアクリレート系のポリマーであってカルボキシル基含有モノマーを使用しないポリマーを用いることが開示されている。
【0008】
このようにカルボキシル基含有モノマーを使用せずに40万〜160万のアルコキシアルキルアクリレート系のポリマーを使用することにより、ITO等の金属あるいは金属酸化物からなる透明電極の腐食に関してはある程度改善されるものの、湿熱白化性、耐熱発泡性などの性能に関しては充分な効果を得られていない。さらに、作業性も充分とはいえない。
【0009】
さらに、特許文献1に開示されているポリマーの重量平均分子量は40万〜160万と大きいので、これを溶媒に溶解して塗布液を調製する際に固形分の量が多くなるとポリマー溶液の粘度が高くなりすぎる。タッチパネル用途、特に静電容量方式のタッチパネル用途においては、表面支持体とITO等の導電性膜を接着するために厚膜の粘着剤層を形成する必要があるが、重量平均分子量が40万〜160万のアルコキシアルキルアクリルレート系ポリマーを用いたのでは固形分含量が高い塗布液を調製することができないので、固形分含有量が低い塗布液を調製し、繰返し塗布する必要があり、一度の塗工で必要とされる厚さの粘着剤層を形成することが困難であるとの問題を有している。
【0010】
ところで、カルボキシル基含有モノマーを使用する重合体を用いることの他に、粘着剤中に残存するモノマーや重合開始剤によって導電層が腐食を起こすことがわかってきた。特許文献2(特開2004−315767号公報)および特許文献3(特開2008−138033号公報)には、臭気の原因となる粘着剤中に残存するモノマーや重合開始剤を低下させた粘着剤が開示されている。
【0011】
特許文献2には、アクリル系ポリマーを重合する場合に、重合開始剤やその残渣が揮発成分として反応溶液中に残存しないように、重合開始剤として10時間半減温度が80℃以下であるものを選択し、かつ、重合条件として10時間半減期温度より高い反応温度に保ち、できる限り長時間反応を行うことが開示されている。
【0012】
特許文献3には、重合開始剤として特定の重合開始剤を使用するとともに、この重合開始剤を多段に分けて添加し、さらに反応温度を使用する重合開始剤の10時間半減期温度よりも15℃以上高い温度に設定することにより、使用するモノマーを効率よく反応させることができ、モノマーの残存率を著しく低下させるとともに、開始剤由来の臭気も著しく低減されることが開示されている。
【0013】
特許文献2および3には、残存するモノマーや反応開始剤を低減するために、開始剤を選択することや重合中に多段で添加することは開示されているが、このような残存モノマー等を低減した粘着シートを導電膜貼り付け用途に用いること、残存モノマーが導電膜を腐食することについては開示されていない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0014】
【特許文献1】特開2010−77287号公報
【特許文献2】特開2004−315767号公報
【特許文献3】特開2008−138033号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0015】
本発明は、特定の反応開始剤を用いて重合することによって、長時間乾燥させなくても、アクリル系ポリマー中に残存するモノマーおよび反応開始剤の量を低減することができ、残存するモノマーおよび反応開始剤によるITOの腐食を抑制することができる粘着シートを提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0016】
本発明の導電膜用粘着シートは、基材シートと該基材シートの少なくとも一方の面に形成された粘着剤層とからなり、
該粘着剤層を形成する粘着剤が、下記(a−1)〜(a−4)成分
(a−1)アルコキシ(メタ)アクリレート 20〜99.4重量%、
(a−2)水酸基含有モノマー 0.5〜10重量%、
(a−3)窒素含有モノマー 0.1〜5重量%、および、
(a−4)アルキル(メタ)アクリレート 0〜79.4重量%
を含むモノマー混合物を、少なくとも反応開始剤を二回に分割添加して共重合させてなり、該分割して最後に添加する反応開始剤が、10時間半減期温度が40〜80℃の範囲内にある過酸化物系開始剤であり、共重合させて得られたカルボキシル基以外の官能基を有する重量平均分子量が5万以上40万未満のアクリル系ポリマーを、該アクリル系ポリマー100重量部に対してイソシアネート架橋剤を0.1〜5重量部添加して架橋された架橋アクリル系粘着剤からなり、
該アクリル系ポリマー中における計算残存反応開始剤量が500ppm以下であり、
該粘着シートの粘着剤層の厚さを50μmとしたときに、該粘着剤層に含有される未反応モノマーの量が50mg/m2以下であることを特徴とする。
【0017】
上記水酸基含有モノマー(a−2)は、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、または、4−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレートであることが好ましい。
上記窒素含有モノマー(a−3)は、アクリルアミド、ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、N−ビニルピロリドン、または、アクリロイルモルホリンであることが好ましい。
【0018】
上記10時間半減期温度40〜80℃の反応開始剤は、パーオキシエステル系有機過酸化物開始剤であることが好ましい。
上記アクリル系ポリマーは、上記最後に添加するパーオキシエステル系有機過酸化物開始剤を、モノマー混合物の重合率が60%以上になった時点で添加して重合されたポリマーであることが好ましい。
【0019】
本発明の導電膜用粘着シートの製造方法は、基材シートと該基材シートの少なくとも一方の面に粘着剤層が積層して導電膜用粘着シートを製造する方法において、
該粘着剤層を形成する粘着剤が、下記(a−1)〜(a−4)成分
(a−1)アルコキシ(メタ)アクリレート 20〜99.4重量%、
(a−2)水酸基含有モノマー 0.5〜10重量%、
(a−3)窒素含有モノマー 0.1〜5重量%、および、
(a−4)アルキル(メタ)アクリレート 0〜79.4重量%
を含むモノマー混合物を、少なくとも反応開始剤を二回に分割添加して共重合させて得られるアクリル系ポリマー100重量部に対して、イソシアネート架橋剤を0.1〜5重量部配合して架橋構造を形成した架橋アクリル系粘着剤であり、該架橋アクリル系粘着剤を、基材シートの少なくとも一方の面に塗布して該粘着シートの粘着剤層の厚さを50μmとしたときに、該粘着剤層に含有される未反応モノマーの量が50mg/m2以下である導電膜用粘着シートの製造方法であって、上記分割して最後に添加する反応開始剤が10時間半減期温度40〜80℃の範囲内にある過酸化物系開始剤であり、該アクリル系ポリマーが計算残留反応開始剤量500ppm以下で、カルボキシル基以外の官能基を有し、且つ、重量平均分子量が5万以上40万未満のアクリル系ポリマーであることを特徴とする。
【0020】
上記水酸基含有モノマー(a−2)は、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、または、4−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレートであることが好ましい。
上記窒素含有モノマー(a−3)は、アクリルアミド、ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、N−ビニルピロリドン、または、アクリロイルモルホリンであることが好ましい。
【0021】
上記10時間半減期温度40〜80℃の反応開始剤は、パーオキシエステル系有機過酸化物開始剤であることが好ましい。
上記最後に添加するパーオキシエステル系有機過酸化物開始剤を、モノマー混合物の重合率が60%以上になった時点で添加することが好ましい。
【発明の効果】
【0022】
本発明によれば、残存するモノマーおよび反応開始剤によるITO等の電極の腐食を抑制することができる。すなわち、重合反応中に少なくとも二回に分けて反応開始剤を添加し、さらに、最後に添加する開始剤として特定の反応開始剤を用いて重合することにより、アクリル系ポリマー中に残存するモノマーおよび反応開始剤を低減することができ、長時間乾燥させることなく、粘着シート中の残存モノマー量および残存開始剤量を特定量以下にすることができる。したがって、本発明の導電膜用粘着シートの粘着剤層は、ITO電極等のタッチパネルに使用されている電極と長時間接触しても、これらの電極の特性が低下しない。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【図1】図1は、タッチパネル用積層体を組み込んだ抵抗膜方式のタッチパネルにおけるタッチパネルユニットの例を模式的に示す断面図である。
【図2】図2は、タッチパネル用積層体を組み込んだ静電容量方式のタッチパネルにおけるタッチパネルユニットの例を模式的に示す断面図である。
【図3】図3は、静電容量方式のタッチパネルにおける端部の構成の例を模式的に示す断面図である、
【図4】図4は、タッチパネルの端部に形成された額縁印刷部分への粘着シートの粘着状態を模式的に示す断面図である。
【図5】図5は、タッチパネル用積層体に生ずる発泡の状態を説明するための断面図である。
【図6】図6は、タッチパネル用積層体に生ずる白化現象の発生を説明するための断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
次に、本発明の導電膜用粘着シートおよびその製造方法について具体的に説明する。
本発明の導電膜用粘着シート(以下単に「粘着シート」ともいう。)は、基材シートと、該基材シートの少なくとも一方の面に形成された粘着剤層とからなる。
【0025】
本発明で使用するアクリル系ポリマーは、(a−1)アルコキシ(メタ)アクリレート、(a−2)水酸基含有モノマー、(a−3)窒素含有モノマーおよび(a−4)アルキル(メタ)アクリレートを反応開始剤の存在下に共重合させて得られるポリマーである。
【0026】
ここで使用される粘着剤層を構成する(a−1)アルコキシ(メタ)アクリレートの例としては、メトキシメチル(メタ)アクリレート、2−メトキシエチル(メタ)アクリレート、2−エトキシエチルアクリレート、メトキシジエチレングリコール(メタ)アクリレート、3−メトキシプロピル(メタ)アクリレート、3−エトキシプロピル(メタ)アクリレート、4−メトキシブチル(メタ)アクリレート、4−エトキシブチル(メタ)アクリレート等のアルコキシアルキル(メタ)アクリレート、アルコキシポリアルキレングリコール(メタ)アクリレートを挙げることができる。このうち、2−メトキシエチル(メタ)アクリレート、メトキシジエチレングリコール(メタ)アクリレートを使用することが好ましい。これらは単独であるいは組み合わせて使用することができる。
【0027】
上記アクリル系ポリマーにおいて、上記の(a−1)アルコキシ(メタ)アクリレートは20〜99.4重量%、好ましくは30〜98.9重量%、より好ましくは50〜98.5重量%の量で共重合している。(a−1)アルコキシ(メタ)アクリレートが99.4重量%よりも多いと、必然的に架橋性官能基を有するモノマーの使用量が少なくなり充分な架橋密度を達成できない。また、20重量%よりも少ないと本発明の粘着剤層が白化しやすくなる。
【0028】
なお、本発明においては、上述の(a−1)アルコキシ(メタ)アクリレート、(a−2)水酸基含有モノマー、(a−3)窒素含有モノマーおよび(a−4)アルキル(メタ)アクリレートの合計を100重量%とする。
【0029】
また、上記 (a−2)水酸基含有モノマーの例としては、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、3−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、3−クロロ−2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、4−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、6−ヒドロキシヘキシル(メタ)アクリレート、8−ヒドロキシオクチル(メタ)アクリレートを挙げることができる。上記のような水酸基を有する(メタ)アクリレート化合物としては、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、4−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレートが好ましく、これらの水酸基を有する(メタ)アクリレート化合物は単独であるいは組み合わせて使用することができる。
【0030】
本発明で使用するアクリル系ポリマー中において、(a−2) 水酸基含有モノマーは、0.5〜10重量%、好ましくは1〜9重量%、より好ましくは1〜8重量%の範囲内の量で共重合している。
【0031】
ただし、上述のように(a−1)アルコキシ(メタ)アクリレート、(a−2)水酸基含有モノマー、(a−3)窒素含有モノマーおよび(a−4)アルキル(メタ)アクリレートの合計は100重量%である。
【0032】
(a−2) 水酸基含有モノマーの量が上記より少ないと、イソシアネート架橋剤による架橋構造が充分に形成されないことがあり、架橋性官能基を有するモノマーが10重量%より多いと、架橋構造が密になりすぎて段差追従性が低下し、気泡の発生を招来する。
【0033】
上記 (a−3)窒素含有モノマーは、アミノ基、アミド基、イミド基等のように活性水素を有する化合物が好ましく、このような活性水素を有する(メタ)アクリレート化合物の例としては、(メタ)アクリルアミド;ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、ジエチルアミノエチル(メタ)アクリレート等のアミノ基含有モノマー;マレイミド、メチルマレイミド、エチルマレイミド、プロピルマレイミド、ブチルマレイミド、ヘキシルマレイミド、オクチルマレイミド、ドデシルマレイミド、ステアリルマレイミド、フェニルマレイミド、シクロヘキシルマレイミド等のマレイミド系モノマー等のマレイミド基含有モノマー;(メタ)アクリロニトリル;N−ビニルピロリドン;アクリロイルモルホリン、を挙げることができる。
【0034】
本発明で使用するアクリル系ポリマー中において、(a−3)窒素含有モノマーは、0.1〜5重量%、好ましくは0.1〜4重量%、より好ましくは0.5〜3重量%の範囲内の量で共重合している。ただし、上述のように(a−1)アルコキシ(メタ)アクリレート、(a−2)水酸基含有モノマー、(a−3)窒素含有モノマーおよび(a−4)アルキル(メタ)アクリレートの合計を100重量%とする。
【0035】
上記 (a−4) アルキル(メタ)アクリレートの例としては、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、n−プロピル(メタ)アクリレート、イソプロピル(メタ)アクリレート、n−ブチル(メタ)アクリレート、イソブチル(メタ)アクリレート、t−ブチル(メタ)アクリレート、ペンチル(メタ)アクリレート、ヘキシル(メタ)アクリレート、ヘプチル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、オクチル(メタ)アクリレート、ノニル(メタ)アクリレート、デシル(メタ)アクリレート、ウンデカ(メタ)アクリレート、ジデカ(メタ)アクリレートを挙げることができる。これらの(メタ)アクリレートは単独であるいは組み合わせて使用することができる。これらの中でも、ブチル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、メチル(メタ)アクリレート、イソブチル(メタ)アクリレートを使用することが好ましい。
【0036】
本発明で使用するアクリル系ポリマー中において、(a−4) アルキル(メタ)アクリレートは、0〜79.4重量%、好ましくは0〜68.9重量%、より好ましくは0〜48.5重量%の範囲内の量で使用することができる。ただし、(a−1)アルコキシ(メタ)アクリレート、(a−2)水酸基含有モノマー、(a−3)窒素含有モノマーおよび(a−4)アルキル(メタ)アクリレートの合計は100重量%である。
【0037】
さらに、本発明で使用するアクリル系ポリマーは、上記(a−1)アルコキシ(メタ)アクリレート、(a−2)水酸基含有モノマー、(a−3)窒素含有モノマーおよび(a−4)アルキル(メタ)アクリレートの他に、このアクリル系ポリマーの特性を損なわない範囲内で他のモノマーが共重合していてもよい。
【0038】
ここで、アクリル系ポリマーを形成する他のモノマーの例としては、酢酸ビニル;シクロヘキシル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート、フェニル(メタ)アクリレート;スチレン;メチルスチレン、ジメチルスチレン、トリメチルスチレン、プロピルスチレン、ブチルスチレン、へキシルスチレン、ヘプチルスチレン、オクチルスチレン等のアルキルスチレン、フルオロスチレン、クロロスチレン、ブロモスチレン、ジブロモスチレン、ヨードスチレン、ニトロスチレン、アセチルスチレン、メトキシスチレン等のスチレン系単量体;グリシジル(メタ)アクリレート等を本発明の作用効果を損なわない範囲、好ましくは0〜5重量%で使用することができる。
【0039】
本発明で使用するアクリル系ポリマーは、酸性基を実質的に有しない。ここで酸性基を有していないとは、共重合に際して作為的に酸性基を有するモノマーを配合しないことを意味し、得られるポリマーの酸価で表すと通常は0.5以下である。ここで酸性基を有するモノマーとしては、(メタ)アクリル酸、マレイン酸、イタコン酸等のカルボキシル基を有するモノマー、リン酸基を有するモノマー、硫酸基を有するモノマー等を挙げることができる。本発明においてアクリル系ポリマーには、上記のような酸性基含有モノマーは共重合していない。このように、酸性基含有モノマーを共重合させていないので、本発明で使用するアクリル系ポリマーは、金属あるいは金属酸化物からなる配線と直接接触してもこれらを腐食することがなく、本発明で使用する粘着剤に、配線の抵抗値を長期間にわたって変動させないとする特性を賦与することができる。
【0040】
さらに、本発明で使用するアクリル系ポリマーは、重量平均分子量が5万以上40万未満、好ましくは20万〜38万の範囲内にある。
従来から使用されていた粘着剤では重量平均分子量が40万〜160万程度の高分子量のアクリル系ポリマーが使用されていたが、本発明では上述のように粘着剤層として従来と比較して重量平均分子量の低いアクリル系ポリマーを用いることにより、粘着剤が軟質になり形態追従性が良くなり、さらにこの粘着剤を用いた粘着シートを貼着する際に気泡を巻き込みにくくなる。なお、重量平均分子量が5万未満のアクリル系ポリマーを用いても充分な凝集力が得られない。
【0041】
本発明において、上記のようなアクリル系ポリマーを製造するに際しては得られるFoxの式により求めたアクリル系ポリマーのガラス転移温度(Tg)は、通常は−70〜0℃、好ましくは−70〜−20℃の範囲内になるようにモノマーを選択する。このようなガラス転移温度(Tg)を有するアクリル系ポリマーを用いることにより常温で優れた接着強度を有する粘着剤を得ることができる。
【0042】
上記のアクリル系ポリマーは、公知の方法により製造することができるが、溶液重合により製造することが好ましい。溶液重合においては、重合溶媒として、例えば、酢酸エチル、メチルエチルケトン、トルエン、アセトン等を使用することができる。具体的には反応容器内に重合溶媒、モノマーを仕込み、窒素ガス等の不活性ガス雰囲気下で反応開始剤を添加し、反応温度50〜90℃程度に加熱し、4〜20時間反応させる。
【0043】
溶液重合に用いる反応開始剤としては、過酸化物系開始剤、アゾ系開始剤を挙げることができる。
上記過酸化物系開始剤としては、10時間半減期温度が40〜80℃の開始剤であれば特に限定されず、例えば、ビス−3,5,5−トリメチルヘキサノニルパーオキサイド(10時間半減期温度;60℃)、オクタノイルパーオキサイド(10時間半減期温度;62℃)、ラウロイルパーオキサイド(10時間半減期温度;62℃)、ステアロイルパーオキサイド(10時間半減期温度;62℃)、スクシニックパーオキサイド(10時間半減期温度;66℃)、4−メチルベンゾイルパーオキサイド(10時間半減期温度;71℃)、ベンゾイルパーオキサイド(10時間半減期温度;72℃)、1,1,3,3−テトラメチルブチルパーオキシネオデカノエート(10時間半減期温度;41℃)、1−シクロヘキシル−1−メチルエチルパーオキシネオデカノエート(10時間半減期温度;41℃)、t−ヘキシルパーオキシネオデカノエート(10時間半減期温度;45℃)、t−ブチルパーオキシネオデカノエート(10時間半減期温度;47℃)、t−ブチルパーオキシネオヘプタノエート(10時間半減期温度;50℃)、t−ヘキシルパーオキシピバレート(10時間半減期温度;53℃)、t−ブチルパーオキシピバレート(10時間半減期温度;55℃)、1,1,3,3−テトラメチルブチルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート(10時間半減期温度;64℃)、t−ヘキシルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート(10時間半減期温度;70℃)、t−アミルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート(10時間半減期温度;70℃)、t−ブチルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート(10時間半減期温度;74℃)、t−ブチルパーオキシイソブチレート(10時間半減期温度;78℃)、ジ−n−プロピルパーオキシジカーボネート(10時間半減期温度;40℃)ジ−sec−ブチルパーオキシジカーボネート(10時間半減期温度;41℃)ジ−3−メトキシブチルパーオキシジカーボネート(10時間半減期温度;43℃)、ジ−2−エトキシエチルパーオキシジカーボネート(10時間半減期温度;43℃)、ジ−2−エチルヘキシルパーオキシジカーボネート(10時間半減期温度;44℃)、ビス(4−t−ブチルシクロヘキシル)パーオキシジカーボネート(10時間半減期温度;44℃)、ジイソプロピルパーオキシジカーボネート(10時間半減期温度;45℃)、ジメトキシブチルパーオキシジカーボネート(10時間半減期温度;46℃)等を挙げることができる。これらは単独であるいは組み合わせて使用することができる。
【0044】
また、本発明では、過酸化物系の反応開始剤以外の開始剤、例えば、アゾ系開始剤等を併用することも可能である。
しかしながら、アゾ系の反応開始剤はラジカル同士が再結合しやすく、モノマーと反応せず残存する開始剤量が比較的多いため、未反応の反応開始剤が残留してITO電極等との接触により電極の特性が低下する傾向がある。このため本発明でアゾ系開始剤など過酸化物系以外の反応開始剤を用いる場合には反応の前段で用いる。このように、反応の前段で用いることで、後段の反応中に未反応の反応開始剤が分解され、前段の未反応開始剤はほとんど全部が分解される。
【0045】
アゾ系開始剤としては、例えば、2,2’−アゾビスイソブチロニトリル(10時間半減期温度;65℃)、2,2’−アゾビス(2−メチルブチロニトリル)(10時間半減期温度;67℃)、2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)(10時間半減期温度;51℃)、2,2’−アゾビスイソ酪酸ジメチル(10時間半減期温度;66℃)、ジメチル2,2’−アゾビス(2−メチルプロピオネート)(10時間半減期温度;66℃)等のアゾ化合物を挙げることができる。これらは単独であるいは組み合わせて使用することができる。
【0046】
これらの反応開始剤は、モノマー100重量部に対して、通常は0.15〜5重量部、好ましくは0.2〜3重量部の範囲内の量で使用される。
また、反応の最終段で添加される反応開始剤は、モノマー100重量部に対して、通常は0.1〜1重量部、好ましくは0.2〜0.9重量部の範囲内の量である。
【0047】
本発明でアクリル系ポリマー中に残存するモノマーや反応開始剤は、ITO等の導電層と接触すると腐食を起こすことから、本発明では、モノマーの重合条件を変えて多段重合により残存するモノマーを低減することを行っている。すなわち、多段重合を行う際に、反応開始剤を複数回に分けて添加することで、未反応モノマーの含有率を下げ、また、残存する反応開始剤の量を下げることができる。具体的には、最初に添加する反応開始剤として、10時間半減期温度が40〜80℃の過酸化物系の反応開始剤を用いることが好ましい。また最初の反応段階であれば、10時間半減期温度が40〜80℃のアゾ系反応開始剤を用いたとしても同等の効果を得ることができる。本発明の最初の段階では、上記のような反応開始剤を用いて、60〜80℃で0.5〜4時間攪拌することが好ましい。最初に添加する反応開始剤として、アゾ系開始剤を用いる場合、反応温度をアゾ系開始剤の10時間半減期温度よりも20℃低い温度から10時間半減期温度よりも20℃高い温度の範囲にする。最初に添加する反応開始剤として、過酸化物系開始剤を用いる場合、反応温度をアゾ系開始剤の10時間半減期温度よりも20℃低い温度から10時間半減期温度よりも20℃高い温度の範囲にする。アクリル系ポリマーの重合率が60%以上、好ましくは60〜95%となった時点で、10時間半減期温度が40〜80℃の過酸化物系開始剤をさらに添加し、未反応のモノマーの残存率が低くなるように反応させた後、反応温度を10時間半減期温度より20℃低い温度から20℃高い温度にして重合反応をさらに続ける。反応当初に用いる反応開始剤として、アゾ系開始剤を使用することはできるが、多段で反応開始剤を追加添加する場合には、最後に加える反応開始剤は過酸化物系の反応開始剤である。過酸化物系の反応開始剤の中でも、特にt−ヘキシルパーオキシピバレートおよびt−ブチルパーオキシピバレート等を使用することにより、開始剤の残存量および未反応モノマー量を低減することができる。
【0048】
未反応モノマーの含有率を下げ、残存する反応開始剤の量を低減するためには、できるかぎり反応を速やかに完全に進行させるべく、重合時間を長くすることが好ましい。
上述するように、本発明で使用するアクリル系ポリマーは、残存するモノマーおよび反応開始剤は少ないほど好ましく、該アクリル系ポリマー中における計算残存反応開始剤量は500ppm以下、好ましくは300ppm以下である。なお、計算残存反応開始剤量は、反応開始剤の温度T(K)における半減期tの2点以上(カタログ値)から、ln t−1/Tの直線プロットを作成し、実際の反応温度における半減期を求め、反応温度における半減期から、分解される反応開始剤の量を算出する。2種類以上の反応開始剤を用いるときは、それぞれの半減期を求めて算出する。
【0049】
また、本発明の導電膜用粘着シートの粘着剤層の厚さを50μmとしたときに、該粘着剤層に含有される未反応モノマーの量は50mg/m2以下、好ましくは40mg/m2以下である。
【0050】
本発明では、必要に応じて、重合時または重合終了後、必要に応じて未反応モノマー、未反応開始剤またはその他の不純物を除去する操作を行うことができる。
重合時に残存モノマーを低減する手段としては、例えば、重合終期に、モノマーと反応し揮発除去され易い低沸点のスキャベンジャーモノマーを添加して、還流溶媒中の残存モノマーを分離・除去する方法を挙げることができる。
【0051】
重合系から残存モノマーを除去する方法として、重合率が通常60%以上、好ましくは60〜95%、より好ましくは80〜90%となった時点で、酢酸ビニル、ビニルブチルエーテル、アクリル酸メチル、スチレン等の比較的低沸点のスキャベンジャーモノマーを添加し、スキャベンジャーと共に除去する方法、あるいは重合終了時に、アクリル系ポリマーに対する貧溶媒、例えば、メタノール、エタノール、n−ヘキサン、n−へプタン等の低沸点溶媒を用いてアクリル系ポリマーを洗浄する方法等の重合溶媒の還流液を新鮮な溶媒で置換する方法を用いてもよい。これらの方法は単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
【0052】
上記のような条件において、重量平均分子量は、公知技術に従って、使用する溶媒の種類、反応開始剤の種類および量、反応時間、反応温度等の反応条件を調整することにより調節することができる。
【0053】
また本発明では、アクリル系ポリマーの重合において、反応開始剤の他に、連鎖移動剤、モノマー、溶媒を適宜添加してもよい。
本発明で使用する粘着剤層は、上記アクリル系ポリマーにイソシアネート架橋剤を反応させて架橋させた架橋アクリル系粘着剤からなる。
【0054】
本発明で使用するイソシアネート架橋剤の例としては、トリレンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート、クロロフェニレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、テトラメチレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、水添されたジフェニルメタンジイソシアネート等の分子中に二個以上のイソシアネート基を有する化合物;それらをトリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール等の多価アルコールと付加反応させた化合物やイソシアヌレート化合物、ビウレット型化合物、さらには上記イソシアネートと公知のポリエーテルポリオール、ポリエステルポリオール、アクリルポリオール、ポリブタジエンポリオール等とを重付加反応させたウレタンプレポリマー型の分子内に二個以上のイソシアネート基を有する化合物を挙げることができる。
【0055】
これらの中でも、被着体への馴染み性を向上させ貼り合わせ時の泡の巻き込みを低減することができ、高温でのアウトガスを抑制できる点でキシリレンジイソシアネートおよびそのトリメチロールプロパン付加体が好ましく、また、貼り付け面の段差追従性を向上させ、耐熱発泡性を良好にすることができる点でヘキサメチレンジイソシアネートおよびそのトリメチロールプロパン付加体、イソシアヌレート体が好ましい。
【0056】
このようなイソシアネート架橋剤は単独であるいは組み合わせて使用することができる。
このようにイソシアネート架橋剤を配合することにより、粘着剤の凝集力が向上し、貼り付け時に僅かに気泡を巻き込んでも、この気泡の膨張を抑えることができる。
【0057】
上記架橋アクリル系粘着剤は、上記アクリル系ポリマーと、このアクリル系ポリマー100重量部に対して、イソシアネート架橋剤を0.1〜5重量部、好ましくは0.1〜3重量部配合することにより得られる。本発明においては、前述のように反応開始剤を多段で添加して重合反応を行う。本発明のように過酸化物系反応開始剤を重合後段で添加すると、過酸化物系の反応開始剤はラジカルの再結合がほとんど起こらないことから未反応の反応開始剤が残存しにくく、さらに、モノマーを効率的に重合することが出来るので、仕込んだモノマーをほぼ完全に反応させることができると共に、反応開始剤の残存物を少なくすることが出来る。したがって、得られた粘着剤には電極膜を腐食する成分および未反応モノマーはほとんど残存していない。このために本発明の粘着剤を用いても電気的特性の低下、臭気の発生などが生じない。本発明では、反応開始剤を二段から十段に分割して添加することが好ましい。
【0058】
本発明で使用する粘着剤には、その効果を損なわない範囲で、さらに重量平均分子量が10万未満の低分子量(メタ)アクリル系ポリマー、酸化防止剤、光安定剤、金属腐食防止剤、粘着賦与剤、可塑剤、帯電防止剤、架橋促進剤、リワーク剤等を配合することもできる。
【0059】
ここで、低分子量(メタ)アクリル系ポリマーは、重量平均分子量が10万未満で、かつ、水素結合性官能基を有し、酸性基を実質的に有しないポリマーである。
上記分子量(メタ)アクリル系ポリマーを形成する水素結合性官能基含有モノマーとしては、アミノ基含有モノマー、アミド基含有モノマー、窒素系複素環含有モノマー、シアノ基含有モノマーのいずれかを用いることが好ましい。
【0060】
上記アミノ基含有モノマーの例としては、(メタ)アクリルアミド、ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、ジエチルアミノエチル(メタ)アクリレートを挙げることができる。
【0061】
また、アミド基含有モノマーの例としては、(メタ)アクリルアミド、アセトアクリル(メタ)アクリル酸を挙げることができる。
さらに窒素系複素環含有モノマーの例としては、ビニルピロリドン、アクリロイルモルホリンを挙げることができる。
【0062】
また、シアノ基含有モノマーの例としては、シアノ(メタ)アクリレート、を挙げることができる。
また、水素結合官能基含有モノマーとして、前掲の水酸基含有モノマー(a−2)を使用することも可能である。
【0063】
これらは単独であるいは組み合わせて使用することができる。
上記低分子量(メタ)アクリル系ポリマーは、通常は上記水素結合性官能基含有モノマーと他のモノマーとの共重合体である。
【0064】
上記他のモノマーの例としては、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、n−プロピル(メタ)アクリレート、イソプロピル(メタ)アクリレート、n−ブチル(メタ)アクリレート、イソブチル(メタ)アクリレート、t−ブチル(メタ)アクリレート、ペンチル(メタ)アクリレート、ヘキシル(メタ)アクリレート、ヘプチル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、オクチル(メタ)アクリレート、ノニル(メタ)アクリレート、デシル(メタ)アクリレート、ウンデカ(メタ)アクリレート、ジデカ(メタ)アクリレート等のような脂肪族(メタ)アクリレート;シクロヘキシル(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレート等のような脂環族(メタ)アクリレート;ベンジル(メタ)アクリレート、フェニル(メタ)アクリレート等の芳香族(メタ)アクリレート;さらには、スチレン、メチルスチレン、ジメチルスチレン、トリメチルスチレン、プロピルスチレン、ブチルスチレン、へキシルスチレン、ヘプチルスチレンおよびオクチルスチレン等のアルキルスチレン、フルオロスチレン、クロロスチレン、ブロモスチレン、ジブロモスチレン、ヨウ化スチレン、ニトロスチレン、アセチルスチレンおよびメトキシスチレン等のスチレン系単量体;グリシジル(メタ)アクリレート、酢酸ビニル、アクリロニトリル等を挙げることができる。このうち、メチル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレート等を好ましく使用することができる。これらのモノマーは単独であるいは組み合わせて使用することができる。
【0065】
上記低分子量(メタ)アクリル系ポリマーにおいては、水素結合性官能基含有モノマーと他のモノマーとは通常は0.1〜20:99.9〜80の重量比、好ましくは0.5〜15:99.5〜85の重量比で共重合されている。
【0066】
上記低分子量(メタ)アクリル系ポリマーは、重量平均分子量が10万未満、好ましくは5000以上5万未満の範囲内にある。このような重量平均分子量を有する低分子量(メタ)アクリル系ポリマーは、本発明で使用するアクリル系ポリマーと共に使用すると、擬似的な架橋剤のように作用して良好な凝集力と段差追従性が発現する。
【0067】
なお、低分子量(メタ)アクリル系ポリマーは、酸性基を実質的に有しない。ここで、酸性基を有していないとは、前掲のアクリル系ポリマーにおけるのと同義である。このように低分子量(メタ)アクリル系ポリマーには、酸性基含有モノマーは共重合していないので、低分子量(メタ)アクリル系ポリマーは、金属あるいは金属酸化物からなる配線と直接接触してもこれらを腐食することがなく、上記アクリル系ポリマーに、配線の抵抗値を長期間にわたって変動させないとする特性を賦与することができる。
【0068】
本発明において、上記のような低分子量(メタ)アクリル系ポリマーを製造するに際しては得られるFoxの式により求めた低分子量(メタ)アクリル系ポリマーのガラス転移温度(Tg)は、通常は50℃〜110℃、好ましくは60℃〜100℃の範囲内になるようにモノマーを選択する。このようなガラス転移温度(Tg)を有する低分子量(メタ)アクリル系ポリマーを用いることにより常温で優れた接着強度を有する粘着剤を得ることができる。
【0069】
上記アクリル系ポリマーと低分子量(メタ)アクリル系ポリマーとを混合して使用する場合のアクリル系ポリマーのガラス転移温度(Tg−1)と低分子量(メタ)アクリル系ポリマーのガラス転移温度(Tg−2)との差[(Tg−2)−(Tg−1)]を通常は50℃以上、好ましくは100〜180℃の範囲内であり、この範囲内であれば、耐白化性、形態追従性、耐発泡性に優れた粘着剤を得ることができる。
【0070】
なお、上記アクリル系ポリマーに低分子量(メタ)アクリル系ポリマーを添加した場合の粘着剤におけるアクリル系ポリマーの重量平均分子量(A)と、低分子量(メタ)アクリル系ポリマーの重量平均分子量(B)とはA>Bの関係を有しており、アクリル系ポリマーの重量平均分子量と、低分子量(メタ)アクリル系ポリマーの重量平均分子量との差が8万〜39万の範囲内になるように、アクリル系ポリマーおよび低分子量(メタ)アクリル系ポリマーを選定することが好ましい。
【0071】
なお、低分子量(メタ)アクリル系ポリマーは、公知の方法により製造することができるが、溶液重合により製造することが好ましい。溶液重合においては、重合溶媒として、例えば酢酸エチル、メチルエチルケトン、トルエン、アセトン等を使用することができる。具体的には反応容器内に重合溶媒、モノマーを仕込み、窒素ガス等の不活性ガス雰囲気下で重合開始剤を添加し、反応温度50〜90℃程度に加熱し、4〜20時間反応させる。
【0072】
このようにして得られた粘着剤は、公知の粘着剤と同様に、適当な濃度に希釈された後、塗工、乾燥することにより、各種部材の接着に用いることができる。本発明で使用するアクリル系ポリマーおよびイソシアネート架橋剤を溶媒中に含有する塗布溶液は、アクリル系ポリマーの重量平均分子量(Mw)が低いことから、酢酸エチル、メチルエチルケトン、アセトン、トルエン等の溶剤を用いて不揮発分の濃度を所望の濃度に調整することができる。そのため、上記アクリル系ポリマーおよびイソシアネート架橋剤から得られる粘着剤を用いることにより、塗工後の粘着剤の厚さを容易に所望の厚さにすることができる。特に、上記粘着剤は不揮発分を10〜70%、好ましくは30〜60%の範囲で含む、不揮発分含量の高い溶液を形成できるため、少ない塗布回数で所望の厚さの粘着剤層を形成することができる。また、このように不揮発分含量の高い溶液を用いることにより、塗工・乾燥後の塗膜のレベリング性が向上し、さらに乾燥時間も短縮され作業性が向上する。さらに揮発溶剤量が少ないので環境への負荷も小さくなる。
【0073】
このような特性を利用して、本発明の粘着シートは、上記粘着剤を10〜1000μmの範囲内の厚さ、好ましくは25〜500μmの範囲内の厚さに塗布し、溶剤を除去した後、養生することにより得られる。
【0074】
この粘着シートは、通常は不揮発分が通常10〜70%、好ましくは30〜60%に調整された粘着剤の塗布液を、表面を剥離処理した基材シート(例えば、剥離処理PET等)の表面に乾燥厚が通常10〜1000μmの範囲内の厚さ、好ましくは25〜500μmの範囲内の厚さになるように塗布し、溶媒を除去した後、形成された粘着層の表面に、表面が剥離処理されたカバーフィルムを貼着して通常は0〜50℃の温度で1〜10日養生することにより得られる。
【0075】
このようにして得られた粘着シートの粘着剤層のゲル分率は、通常は50〜80%、好ましくは60〜70%の範囲内にある。
このようにして得られた粘着シートは、各種部材に対して貼着することができるが、特に異種部材を貼り合わせるタッチパネル用積層体の貼着に好適である。
【0076】
図1および図2に示すように、タッチパネルユニットには、抵抗膜方式タッチパネルのユニット(図1参照)と、静電容量方式タッチパネルのユニット(図2参照)がある。
図1に抵抗膜方式タッチパネルユニット10−1の例を示す。
【0077】
図1に示されるように、抵抗膜方式のタッチパネルユニット10−1は、貼り合わせ剤30によって間隙34が形成されるように上部積層体11−1と下部積層体13−1とを貼り合わせることにより形成されており、間隙34内には有効に間隙幅を確保するためにスペーサー32が配置されている。
【0078】
上部積層体11−1には、間隙34に面して金属あるいは金属酸化物からなる透明導電膜27−1が配置されている。この透明導電膜27−1は、ITO(インジウムチンオキサイド)、ATO(アンチモンチンオキサイド)、酸化錫等の透明性を有する導電材料で形成されており、通常は図1に示すようにポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリカーボネート(PC)、ポリメチルメタクリレート(PMMA)あるいはガラス等の透明部材からなる上部電極支持体25−1の表面に形成されている。
【0079】
上部積層体11−1の最表面には表面支持体21−1が配置されており、この表面支持体21−1は通常は透明性の高いガラスのような透明部材あるいはポリカーボネート(PC)、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリメチルメタクリレート(PMMA)、シクロオレフィンポリマー(COP)等の透明プラスチックフィルムまたはプラスチック板である。
【0080】
上記表面支持体21−1と上部電極支持体25−1とを接着するために、本発明の粘着剤からなる粘着剤層23−1が形成されている。
また、下部積層体13−1は、同様に間隙34に面して金属あるいは金属酸化物からなる透明導電膜27−2が形成されており、この透明導電膜27−2は、ITO、ATO、酸化錫等の透明性を有する導電材料で形成されており、通常は図1に示すようにポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリカーボネート(PC)、ポリメチルメタクリレート(PMMA)等の透明フィルムあるいはガラス等の透明部材からなる下部電極支持体25−2の表面に形成されている。
【0081】
下部積層体13−1の最深部にはディスプレイの表面と対面するように深部の表面支持体21−2が形成されており、この深部の表面支持体21−2はガラスのような透明部材あるいはポリカーボネート(PC)、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリメチルメタクリレート(PMMA)、シクロオレフィンポリマー(COP)等の透明プラスチックフィルム、プラスチック板等の透明性の高い部材から形成されている。
【0082】
下部積層体13−1において、深部の表面支持体21−2と下部電極支持体25−2とを接着するために、本発明の粘着剤からなる粘着剤層23−2が形成されている。
また、貼り合わせ剤30として本発明の粘着剤が使用されることもある。
【0083】
なお、上記透明導電膜27−1、27−2は、回路が形成されており、表面支持体21−1の上から指などで圧力を加えることにより、圧力が加わった部分の間隙34が消滅して透明導電膜27−1、27−2が接触して通電し、加圧部分を検知するように形成されている。
【0084】
抵抗膜方式のタッチパネルユニット10−1において、表面支持体21−1の厚さは通常は25〜2000μmであり、上部透明導電膜27−1の厚さは通常25〜100nmであり、上部電極支持体25−1の厚さは通常は25〜2000μmである。これらを積層する粘着剤層23−1の厚さは上述の通り、10〜1000μmの範囲内、好ましくは25〜500μmの範囲内にある。
【0085】
同様に抵抗膜方式のタッチパネルユニットにおいて、深部の表面支持体21−2の厚さは通常は25〜2000μmであり、透明導電膜27−2の厚さは通常25〜100nmであり、下部電極支持体25−2の厚さは通常は25〜2000μmである。これらを積層する粘着剤層23−2の厚さは上述の通り、10〜1000μmの範囲内、好ましくは25〜500μmの範囲内にある。
【0086】
また、抵抗膜方式のタッチパネルユニット10−1において、中央に形成されている間隙の幅は、通常は1〜2000μmの範囲内にある。
他方、静電容量方式のタッチパネルユニット10−2は、一般にはガラス、ポリカーボネート(PC)、ポリエチレンテレフタレート、シクロオレフィンポリマー(COP)、ポリメチルメタクリレート等の透明性の高い部材からなる中央支持体60を挟んで上部積層体15−1と下部積層体15−2とを配置された構造を有していることが多い。
【0087】
静電容量方式のタッチパネル10−2における上部積層体15−1では、中央支持体60に接触して透明導電膜57−1が配置されており、最表面は、カバーガラスあるいはポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリカーボネート(PC)、ポリメチルメタクリレート(PMMA)、シクロオレフィンポリマー(COP)等の光透過性部材からなる表面支持体51−1が配置されている。この透明導電膜57−1と表面支持体51−1とを接着するように本発明の粘着シートからなる粘着剤層53−1が配置されており、この粘着剤層53−1は、透明導電膜57−1と直接接触している。
【0088】
一方、静電容量方式のタッチパネルユニット10−2における下部積層体15−2では、中央支持体60に接触して透明導電膜57−2が配置されており、最深部には、カバーガラスあるいはポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリカーボネート(PC)、ポリメチルメタクリレート(PMMA)、シクロオレフィンポリマー(COP)等の光透過性部材からなる表面支持体51−2が配置されている。この透明導電膜57−2と最深部の表面支持体51−2とを接着するように本発明の導電膜用粘着シートからなる粘着剤層53−2が配置されており、この粘着剤層53−2は、透明導電膜57−2と直接接触している。
【0089】
静電容量方式のタッチパネルユニット10−2において、最深部の表面支持体51−2は、ディスプレイと対面するように配置される。
上記静電容量方式のタッチパネルユニット10−2において、上部積層体51−1の厚さは通常は175〜3000μm、上部透明電極膜57−1の厚さは通常は25〜100nmであり、両者を接着する粘着剤層53−1の厚さは上述のように10〜1000μmである。また下部積層体15−2において、下部透明電極膜57−2の厚さは通常は25〜100nmであり、最深部の表面支持体51−2の厚さは通常は25〜2000μmであり、両者を接着する粘着剤層の厚さは上述のように10〜1000μmである。また、上記上部積層体15−1と下部積層体15−2の間にある中央支持体60の厚さは、通常は25〜2000μmの範囲内にある。
【0090】
なお、上部積層体15−1および下部積層体15−2は、回路を形成している。また、図2に示す静電容量方式のタッチパネルユニット10−2においては、上部電極膜10−2をX軸方向およびY軸方向にそれぞれ独立に設けられた二系列の回路とすることにより、下部積層体15−2を省略することもできる。
【0091】
静電容量方式のタッチパネルにおいては、タッチパネルユニット10−2の表面に指が接触することによる接触部分の静電容量の変化を読み取って接触位置を検知する。
上記のようなタッチパネルユニットには、例えば図2にAで示す縁部の表面支持体51−1の粘着剤と接触する面に額縁印刷が施される。この額縁印刷部分を図3に拡大して示す。図3において額縁印刷部分は付番62で示されている。この額縁印刷部分62の厚さ(t0)は通常10〜50μmであり、その断面はほぼ矩形に形成されている。粘着剤層53−1は、上述した本発明の粘着シートを表面支持体51−1に貼着することにより形成されるので、粘着シートに形成された粘着剤層が硬質で形態追従性に乏しいと、図4(イ)に示すように額縁印刷部分62の端部であって表面支持体51−1との間に粘着剤層53−1が表面支持体51−1および額縁印刷部分62の縁部のいずれにも接触していない空隙64が形成されてしまう。この部分は本来、図4(ロ)に示すように空隙64を形成せずに表面支持体51−1および額縁印刷部分62の縁部に粘着剤層53−1が密着しなければならない。
【0092】
しかしながら、従来のように重量平均分子量が40万〜160万の粘着剤をベースにした粘着剤においては、こうした非常に微細な形態の変化に粘着剤層の形状が変化しきれずに、空隙64が形成されてしまうのである。
【0093】
表面支持体、粘着剤層および(支持体を有することもある)透明電極膜が積層されたタッチパネル用積層体を構成する粘着剤層53−1は、上述のように特定の組成を有し、重量平均分子量(Mw)が5万以上40万未満のアクリル系ポリマーを用いて、これらをイソシアネート架橋剤で架橋することにより、非常に優れた形態追従性を有しており、額縁印刷部分62の周辺に空隙64が形成されることがない。
【0094】
また、タッチパネル用積層体が、図5に示すように支持体51−2としてポリカーボネート(PC)のようにアウトガスの発生し易い部材を用いた場合、例えば耐熱試験条件80℃の条件で試験を行うと支持体からのアウトガスが発生して支持体と粘着剤層との間に気泡66を生じさせることがある。また、アウトガスが発生しない支持体を用いたとしても、支持体と粘着剤層との接着の際に泡68を巻き込むことがあり、温度変化によってこの気泡が成長すれば発泡原因となる。本発明で使用する架橋アクリル系粘着剤は、特定の組成を有し、重量平均分子量(Mw)が5万以上40万未満のアクリル系ポリマーをイソシアネート架橋剤で架橋しているので、非常に高い凝集力を有しており、上記のようなアウトガスによる発泡および巻き込み気泡の成長による発泡を高い凝集力によって抑え込むことができる。従って、タッチパネル用積層体では、上記のような発泡は殆ど観察されないようにすることができる。
【0095】
また、タッチパネル用積層体では、耐久試験条件(60℃、90%)に部材を放置すると、図6に示すように、支持体側および端部から水分が浸入することがある。温度が高い条件では、この浸入した水分が析出することはないが、温度が下がると浸入した水分が析出し、目に見える大きさの液滴を形成することで、タッチパネル用積層体が白化し、ヘイズ値が上昇する。タッチパネル用積層体を形成する粘着剤層は、特定の組成を有することにより支持体層や端部から水分が浸入しても、水分が粘着剤層中に分散され、目に見える大きさの液滴を形成しないため、白化現象によるヘイズ値の上昇が極めて発生しにくい。
【0096】
さらに、本発明のアクリル系ポリマーには酸性基が実質的に含有されていないので、金属あるいは金属酸化物からなる透明導電膜にこの粘着剤が直接接触したとしても、透明電極膜の抵抗値の変化は最大でも10%程度であり、この変化量はタッチパネルを駆動させる上では全く問題にならない量である。
【0097】
上記のように、本発明の粘着シートから得られるタッチパネル用積層体は、粘着剤として特定の組成を有する重量平均分子量5万以上40万未満のアクリル系ポリマーとイソシアネート架橋剤とを有する粘着剤を用いて支持体と透明導電性膜とを粘着しており、優れた形態追従性を有しており、縁部に形成された額縁印刷部分に空隙が形成されることなく、また、巻き込みによる発泡およびアウトガスによる発泡の両者を抑えることができ、さらに水分を析出させないので粘着剤層が白化してヘイズ値が上昇することもない。
【実施例】
【0098】
次に本発明の実施例を示して本発明をさらに詳細に説明するが、本発明はこれらによって限定されるものではない。
以下に示す方法により、アクリル系ポリマーの重量平均分子量、白化性、発泡性、ITO腐食性および塗工性を測定した。
【0099】
[分子量]
ゲルパーミエーションクロマトグラフィ(GPC)を用い、下記条件で標準ポリスチレン換算による重量平均分子量(Mw)を求めた。
測定条件
装置:HLC-8120GPC(東ソー(株)製)
カラム:TSK-GEL HXL-H(ガードカラム、東ソー(株)製)
TSK-GEL 7000HXL(東ソー(株)製)
TSK-GEL GMHXL(東ソー(株)製)
TSK-GEL GMHXL(東ソー(株)製)
TSK-GEL G2500HXL(東ソー(株)製)
サンプル濃度:1.0mg/cm3となるようにテトラヒドロフランで希釈
移動相溶媒:テトラヒドロフラン
流速:1.0cm3/min
カラム温度:40℃
[ゲル分率]
23℃で7日間熟成後の架橋アクリル系粘着剤溶液約0.1gをサンプル瓶に採取し、酢酸エチル30cm3を加えて4時間振盪した後、このサンプル瓶の内容物を200メッシュのステンレス製金網で濾過し、金網上の残留物を100℃で2時間乾燥して乾燥重量を測定し、次式により求めた。
【0100】
ゲル分率(%)=(乾燥重量/粘着剤採取重量)×100
[白化(ヘイズ)]
実施例および比較例で製造した粘着シートの片面の剥離シートを剥がして、厚み38μmポリエチレンテレフタレートフィルムを貼り合わせ、50mm×50mmのサイズに裁断した。次いで、もう一方の剥離フィルムを剥がして、厚み1.5mmPC板に貼り合わせて試験片を作成した。作成した試験片の耐久試験前のヘイズを測定した後、60℃、90%環境下、85℃、85%環境下にそれぞれ静置した。24時間後試験片を取り出し、常温下で1時間静置した後ヘイズを測定し、耐久試験前のヘイズ値との差を求めた。
【0101】
ヘイズの測定は、MH−150(村上色彩技術研究所(株)製)を用いた。
[発泡]
実施例および比較例で製造した粘着シートの片側の剥離シートを剥がし、ITOを蒸着した厚み38μmポリエチレンテレフタレートフィルムを貼り合わせて、50mm×50mmのサイズに裁断した。次いで、もう一方の剥離フィルムを剥がして、厚み1.5mmPC板に貼り合わせて試験片を作成した。
【0102】
作成した試験片を、60℃、90%環境下、85℃、dry環境下、85℃、85%環境下にそれぞれ静置した。500時間経過後の試験片を取り出し、常温下で1時間静置した後、目視で発泡の度合いを確認した。
評価の基準は以下の通りである
(評価) (内容)
○ :目視では粘着剤層に気泡は確認できない。
【0103】
× :大きな気泡が確認できる。また、粘着剤層が基材または被着体から浮いている。
[腐食(ITO抵抗変化率)]
実施例および比較例で製造した粘着シートの片側の剥離シートを剥がし、ITOを蒸着した厚み38μmポリエチレンテレフタレートフィルムを貼り合わせて、50mm×50mmのサイズに裁断した。次いで、もう一方の剥離フィルムを剥がして、厚み1.5mmPC板に貼り合わせて試験片を作成した。あらかじめ試験前の抵抗値を測定しておき、次いで85℃、85%環境下に静置し、1000時間経過後の試験片を取り出し、常温下で1時間静置した後、試験片の抵抗値を測定し、抵抗値の変化率を求めた。
【0104】
なお、抵抗値の測定には、テスター(三和電気計器(株)製、デジタルマルチメーターPC510)を用いた。
[塗工性]
得られたアクリル系粘着剤を、乾燥後の厚みが50μmになるように、PETフィルム上に塗工し、塗工面のスジ、気泡、荒れを目視で確認した。
○:塗工面にスジ、気泡、荒れは見られず、表面は平坦で滑らかであった。
×:塗工面にスジ、気泡、荒れが見られた。
【0105】
[残存モノマー]
(1)ワニスの場合
アクリル系ポリマー溶液を酢酸エチルで1mg/mlになるように希釈し、GC−MS測定により残存モノマー量を求めた。
【0106】
<GC−MS測定条件>
測定装置:Agilent:6890N/5973inert
カラム:HP−5ms 30m×0.25mm、0.25μm
サンプル濃度:1mg/mlとなるように酢酸エチルを用い希釈
サンプルを測定し、定量したい成分毎に検量線を作成し算出した。
(2)シートの場合
粘着シート(粘着剤層厚50μm)を50mm×50mmに裁断し、両面の剥離シートを剥がしてバイアルに入れ、130℃で30分間加熱した後、HS−GC測定により残存モノマー量を求めた。
【0107】
<HS−GC測定条件>
測定装置:Agilent:G1888/6850
カラム:DB624 30m×0.32mm、1.80μm
サンプル調製方法:50mm×50mmに裁断した試料をバイアルに入れ、直ちに封止
バイアルを130℃で30分加熱した上で、定量したい成分毎に検量線を作成し算出した。
【0108】
[実施例1]
攪拌機、還流冷却器、温度計および窒素導入管を備えた反応装置に、メトキシエチルアクリレート(MEA)60重量部、ブチルアクリレート(BA)31重量部、アクリルアミド(AM)2重量部、2−ヒドロキシエチルアクリレート(2−HEA)7重量部、および、酢酸エチル(EtAc)100重量部、メチルエチルケトン(MEK)20重量部を仕込み、窒素ガスを導入しながら75℃に昇温した。次いで、アゾビスイソブチロニトリル(AIBN)0.1重量部を加え、窒素雰囲気下、75℃で反応を開始した。反応開始から1時間後、重合率が60%になった時点で、追加の開始剤として、10時間半減期温度53℃のt−ヘキシルパーオキシピバレート(HPV)0.2重量部を添加し、75℃で反応継続した。反応開始から2時間後、HPVをさらに0.8重量部添加して、合計7時間、重合反応を行った。反応終了後、酢酸エチル(EtAc)を加えて希釈し、固形分30%、重量平均分子量30万、ワニス中の残存モノマー濃度200ppm、および、計算残存開始剤量87ppmのアクリル系ポリマー溶液を得た。
【0109】
得られたアクリル系ポリマーにイソシアネート架橋剤(D−110N;三井化学(株)製)を表1に示す量加えて架橋アクリル系粘着剤塗布液を得、この塗布液を用いて塗布液の塗布性を調べた。
【0110】
この塗布液を用いて、剥離処理されたポリエチレンテレフタレートフィルム表面に乾燥厚さが50μmになるように塗布し、塗布面に剥離処理されたポリエチレンテレフタレートを粘着して7日間23℃で養生して粘着テープを製造した。7日間経過後、剥離処理された2枚のポリエチレンテレフタレートと共に粘着テープを切り出し、ゲル分率、ヘイズ変化、発泡、段差追従性、ITO抵抗変化率を調べた。
【0111】
結果を表1に示す。
[実施例2]
攪拌機、還流冷却器、温度計および窒素導入管を備えた反応装置に、メトキシエチルアクリレート(MEA)60重量部、ブチルアクリレート(BA)31重量部、アクリルアミド(AM)2重量部、2−ヒドロキシエチルアクリレート(2−HEA)7重量部、および、酢酸エチル(EtAc)100重量部、メチルエチルケトン(MEK)20重量部を仕込み、窒素ガスを導入しながら75℃に昇温した。次いで、アゾビスイソブチロニトリル(AIBN)0.1重量部を加え、窒素雰囲気下、75℃で反応を開始した。反応開始から1時間後、重合率が60%になった時点で、追加の開始剤として、10時間半減期温度55℃のt−ブチルパーオキシピバレート(PBPV)0.2重量部を添加し、75℃で反応継続した。反応開始から2時間後、PBPVをさらに0.8重量部添加して、合計7時間、重合反応を行った。反応終了後、酢酸エチル(EtAc)を加えて希釈し、固形分30%、重量平均分子量30万、ワニス中の残存モノマー濃度200ppm、および、残存開始剤濃度113ppmのアクリル系ポリマー溶液を得た。
【0112】
得られたアクリル系ポリマーにイソシアネート架橋剤(D−110N;三井化学(株)製)を表1に示す量加えて架橋アクリル系粘着剤塗布液を得、この塗布液を用いて塗布液の塗布性を調べた。
【0113】
この塗布液を用いて、剥離処理されたポリエチレンテレフタレートフィルム表面に乾燥厚さが50μmになるように塗布し、塗布面に剥離処理されたポリエチレンテレフタレートを粘着して7日間23℃で養生して粘着テープを製造した。7日間経過後、剥離処理された2枚のポリエチレンテレフタレートと共に粘着テープを切り出し、ゲル分率、ヘイズ変化、発泡、段差追従性、ITO抵抗変化率を調べた。
【0114】
結果を表1に示す。
[実施例3]
攪拌機、還流冷却器、温度計および窒素導入管を備えた反応装置に、メトキシエチルアクリレート(MEA)25重量部、ブチルアクリレート(BA)66重量部、アクリルアミド(AM)2重量部、2−ヒドロキシエチルアクリレート(2−HEA)7重量部、および、酢酸エチル(EtAc)100重量部、メチルエチルケトン(MEK)20重量部を仕込み、窒素ガスを導入しながら75℃に昇温した。次いで、アゾビスイソブチロニトリル(AIBN)0.1重量部を加え、窒素雰囲気下、75℃で反応を開始した。反応開始から1時間後、重合率が60%になった時点で、追加の開始剤として、10時間半減期温度53℃のt−ヘキシルパーオキシピバレート(HPV)0.2重量部を添加し、75℃で反応継続した。反応開始から2時間後、HPVをさらに0.8重量部添加して、合計7時間、重合反応を行った。反応終了後、酢酸エチル(EtAc)を加えて希釈し、固形分30%、重量平均分子量30万、ワニス中の残存モノマー濃度200ppm、および、残存開始剤濃度87ppmのアクリル系ポリマー溶液を得た。
【0115】
得られたアクリル系ポリマーにイソシアネート架橋剤(D−110N;三井化学(株)製)を表1に示す量加えて架橋アクリル系粘着剤塗布液を得、この塗布液を用いて塗布液の塗布性を調べた。
【0116】
この塗布液を用いて、剥離処理されたポリエチレンテレフタレートフィルム表面に乾燥厚さが50μmになるように塗布し、塗布面に剥離処理されたポリエチレンテレフタレートを粘着して7日間23℃で養生して粘着テープを製造した。7日間経過後、剥離処理された2枚のポリエチレンテレフタレートと共に粘着テープを切り出し、ゲル分率、ヘイズ変化、発泡、段差追従性、ITO抵抗変化率を調べた。
【0117】
結果を表1に示す。
[実施例4]
攪拌機、還流冷却器、温度計および窒素導入管を備えた反応装置に、メトキシエチルアクリレート(MEA)60重量部、ブチルアクリレート(BA)31重量部、ジメチルアミノエチルアクリレート(DMAEA)2重量部、2−ヒドロキシエチルアクリレート(2−HEA)7重量部、および、酢酸エチル(EtAc)100重量部、メチルエチルケトン(MEK)20重量部を仕込み、窒素ガスを導入しながら75℃に昇温した。次いで、アゾビスイソブチロニトリル(AIBN)0.1重量部を加え、窒素雰囲気下、75℃で反応を開始した。反応開始から1時間後、重合率が60%になった時点で、追加の開始剤として、10時間半減期温度53℃のt−ヘキシルパーオキシピバレート(HPV)0.2重量部を添加し、75℃で反応継続した。反応開始から2時間後、HPVをさらに0.8重量部添加して、合計7時間、重合反応を行った。反応終了後、酢酸エチル(EtAc)を加えて希釈し、固形分30%、重量平均分子量30万、ワニス中の残存モノマー濃度200ppm、および、残存開始剤濃度87ppmのアクリル系ポリマー溶液を得た。
【0118】
得られたアクリル系ポリマーにイソシアネート架橋剤(D−110N;三井化学(株)製)を表1に示す量加えて架橋アクリル系粘着剤塗布液を得、この塗布液を用いて塗布液の塗布性を調べた。
【0119】
この塗布液を用いて、剥離処理されたポリエチレンテレフタレートフィルム表面に乾燥厚さが50μmになるように塗布し、塗布面に剥離処理されたポリエチレンテレフタレートを粘着して7日間23℃で養生して粘着テープを製造した。7日間経過後、剥離処理された2枚のポリエチレンテレフタレートと共に粘着テープを切り出し、ゲル分率、ヘイズ変化、発泡、段差追従性、ITO抵抗変化率を調べた。
【0120】
結果を表1に示す。
[実施例5]
攪拌機、還流冷却器、温度計および窒素導入管を備えた反応装置に、メトキシエチルアクリレート(MEA)60重量部、ブチルアクリレート(BA)31重量部、n−ビニルピロリドン(n−VP)2重量部、2−ヒドロキシエチルアクリレート(2−HEA)7重量部、および、酢酸エチル(EtAc)100重量部、メチルエチルケトン(MEK)20重量部を仕込み、窒素ガスを導入しながら75℃に昇温した。次いで、アゾビスイソブチロニトリル(AIBN)0.1重量部を加え、窒素雰囲気下、75℃で反応を開始した。反応開始から1時間後、重合率が60%になった時点で、追加の開始剤として、10時間半減期温度53℃のt−ヘキシルパーオキシピバレート(HPV)0.2重量部を添加し、75℃で反応継続した。反応開始から2時間後、HPVをさらに0.8重量部添加して、合計7時間、重合反応を行った。反応終了後、酢酸エチル(EtAc)を加えて希釈し、固形分30%、重量平均分子量30万、ワニス中の残存モノマー濃度200ppm、および、残存開始剤濃度87ppmのアクリル系ポリマー溶液を得た。
【0121】
得られたアクリル系ポリマーにイソシアネート架橋剤(D−110N;三井化学(株)製)を表1に示す量加えて架橋アクリル系粘着剤塗布液を得、この塗布液を用いて塗布液の塗布性を調べた。
【0122】
この塗布液を用いて、剥離処理されたポリエチレンテレフタレートフィルム表面に乾燥厚さが50μmになるように塗布し、塗布面に剥離処理されたポリエチレンテレフタレートを粘着して7日間23℃で養生して粘着テープを製造した。7日間経過後、剥離処理された2枚のポリエチレンテレフタレートと共に粘着テープを切り出し、ゲル分率、ヘイズ変化、発泡、段差追従性、ITO抵抗変化率を調べた。
【0123】
結果を表1に示す。
[実施例6]
攪拌機、還流冷却器、温度計および窒素導入管を備えた反応装置に、メトキシエチルアクリレート(MEA)60重量部、ブチルアクリレート(BA)31重量部、アクリロイルモルホリン(ACMO)2重量部、2−ヒドロキシエチルアクリレート(2−HEA)7重量部、および、酢酸エチル(EtAc)100重量部、メチルエチルケトン(MEK)20重量部を仕込み、窒素ガスを導入しながら75℃に昇温した。次いで、アゾビスイソブチロニトリル(AIBN)0.1重量部を加え、窒素雰囲気下、75℃で反応を開始した。反応開始から1時間後、重合率が60%になった時点で、追加の開始剤として、10時間半減期温度53℃のt−ヘキシルパーオキシピバレート(HPV)0.2重量部を添加し、75℃で反応継続した。反応開始から2時間後、HPVをさらに0.8重量部添加して、合計7時間、重合反応を行った。反応終了後、酢酸エチル(EtAc)を加えて希釈し、固形分30%、重量平均分子量30万、ワニス中の残存モノマー濃度200ppm、および、残存開始剤濃度87ppmのアクリル系ポリマー溶液を得た。
【0124】
得られたアクリル系ポリマーにイソシアネート架橋剤(D−110N;三井化学(株)製)を表1に示す量加えて架橋アクリル系粘着剤塗布液を得、この塗布液を用いて塗布液の塗布性を調べた。
【0125】
この塗布液を用いて、剥離処理されたポリエチレンテレフタレートフィルム表面に乾燥厚さが50μmになるように塗布し、塗布面に剥離処理されたポリエチレンテレフタレートを粘着して7日間23℃で養生して粘着テープを製造した。7日間経過後、剥離処理された2枚のポリエチレンテレフタレートと共に粘着テープを切り出し、ゲル分率、ヘイズ変化、発泡、段差追従性、ITO抵抗変化率を調べた。
【0126】
結果を表1に示す。
[実施例7]
攪拌機、還流冷却器、温度計および窒素導入管を備えた反応装置に、メトキシエチルアクリレート(MEA)60重量部、ブチルアクリレート(BA)37.5重量部、アクリルアミド(AM)2重量部、2−ヒドロキシエチルアクリレート(2−HEA)0.5重量部、および、酢酸エチル(EtAc)100重量部、メチルエチルケトン(MEK)20重量部を仕込み、窒素ガスを導入しながら75℃に昇温した。次いで、アゾビスイソブチロニトリル(AIBN)0.1重量部を加え、窒素雰囲気下、75℃で反応を開始した。反応開始から1時間後、重合率が60%になった時点で、追加の開始剤として、10時間半減期温度53℃のt−ヘキシルパーオキシピバレート(HPV)0.2重量部を添加し、75℃で反応継続した。反応開始から2時間後、HPVをさらに0.8重量部添加して、合計7時間、重合反応を行った。反応終了後、酢酸エチル(EtAc)を加えて希釈し、固形分30%、重量平均分子量30万、ワニス中の残存モノマー濃度200ppm、および、残存開始剤濃度87ppmのアクリル系ポリマー溶液を得た。
【0127】
得られたアクリル系ポリマーにイソシアネート架橋剤(D−110N;三井化学(株)製)を表1に示す量加えて架橋アクリル系粘着剤塗布液を得、この塗布液を用いて塗布液の塗布性を調べた。
【0128】
この塗布液を用いて、剥離処理されたポリエチレンテレフタレートフィルム表面に乾燥厚さが50μmになるように塗布し、塗布面に剥離処理されたポリエチレンテレフタレートを粘着して7日間23℃で養生して粘着テープを製造した。7日間経過後、剥離処理された2枚のポリエチレンテレフタレートと共に粘着テープを切り出し、ゲル分率、ヘイズ変化、発泡、段差追従性、ITO抵抗変化率を調べた。
【0129】
結果を表1に示す。
[実施例8]
攪拌機、還流冷却器、温度計および窒素導入管を備えた反応装置に、メトキシエチルアクリレート(MEA)60重量部、ブチルアクリレート(BA)28重量部、アクリルアミド(AM)2重量部、2−ヒドロキシエチルアクリレート(2−HEA)10重量部、および、酢酸エチル(EtAc)100重量部、メチルエチルケトン(MEK)20重量部を仕込み、窒素ガスを導入しながら75℃に昇温した。次いで、アゾビスイソブチロニトリル(AIBN)0.1重量部を加え、窒素雰囲気下、75℃で反応を開始した。反応開始から1時間後、重合率が60%になった時点で、追加の開始剤として、10時間半減期温度53℃のt−ヘキシルパーオキシピバレート(HPV)0.2重量部を添加し、75℃で反応継続した。反応開始から2時間後、HPVをさらに0.8重量部添加して、合計7時間、重合反応を行った。反応終了後、酢酸エチル(EtAc)を加えて希釈し、固形分30%、重量平均分子量30万、ワニス中の残存モノマー濃度200ppm、および、残存開始剤濃度87ppmのアクリル系ポリマー溶液を得た。
【0130】
得られたアクリル系ポリマーにイソシアネート架橋剤(D−110N;三井化学(株)製)を表1に示す量加えて架橋アクリル系粘着剤塗布液を得、この塗布液を用いて塗布液の塗布性を調べた。
【0131】
この塗布液を用いて、剥離処理されたポリエチレンテレフタレートフィルム表面に乾燥厚さが50μmになるように塗布し、塗布面に剥離処理されたポリエチレンテレフタレートを粘着して7日間23℃で養生して粘着テープを製造した。7日間経過後、剥離処理された2枚のポリエチレンテレフタレートと共に粘着テープを切り出し、ゲル分率、ヘイズ変化、発泡、段差追従性、ITO抵抗変化率を調べた。
【0132】
結果を表1に示す。
【0133】
【表1】

【0134】
[比較例1]
攪拌機、還流冷却器、温度計および窒素導入管を備えた反応装置に、メトキシエチルアクリレート(MEA)60重量部、ブチルアクリレート(BA)31重量部、アクリルアミド(AM)2重量部、2−ヒドロキシエチルアクリレート(2−HEA)7重量部、および、酢酸エチル(EtAc)100重量部、メチルエチルケトン(MEK)20重量部を仕込み、窒素ガスを導入しながら75℃に昇温した。次いで、アゾビスイソブチロニトリル(AIBN)0.1重量部を加え、窒素雰囲気下、75℃で反応を開始した。75℃で反応継続した。反応開始から2時間後、7時間、重合反応を行った。反応終了後、酢酸エチル(EtAc)を加えて希釈し、固形分30%、重量平均分子量30万、ワニス中の残存モノマー濃度15000ppm、および、残存開始剤濃度59ppmのアクリル系ポリマー溶液を得た。
【0135】
得られたアクリル系ポリマーにイソシアネート架橋剤(D−110N;三井化学(株)製)を表1に示す量加えて架橋アクリル系粘着剤塗布液を得、この塗布液を用いて塗布液の塗布性を調べた。
【0136】
この塗布液を用いて、剥離処理されたポリエチレンテレフタレートフィルム表面に乾燥厚さが50μmになるように塗布し、塗布面に剥離処理されたポリエチレンテレフタレートを粘着して7日間23℃で養生して粘着テープを製造した。7日間経過後、剥離処理された2枚のポリエチレンテレフタレートと共に粘着テープを切り出し、ゲル分率、ヘイズ変化、発泡、段差追従性、ITO抵抗変化率を調べた。
【0137】
結果を表2に示す。
[比較例2]
攪拌機、還流冷却器、温度計および窒素導入管を備えた反応装置に、メトキシエチルアクリレート(MEA)60重量部、ブチルアクリレート(BA)31重量部、アクリルアミド(AM)2重量部、2−ヒドロキシエチルアクリレート(2−HEA)7重量部、および、酢酸エチル(EtAc)100重量部、メチルエチルケトン(MEK)20重量部を仕込み、窒素ガスを導入しながら75℃に昇温した。次いで、アゾビスイソブチロニトリル(AIBN)0.1重量部を加え、窒素雰囲気下、75℃で反応を開始した。反応開始から1時間後、重合率が60%になった時点で、追加の開始剤として、10時間半減期温度83℃のジ−t−ブチルパーオキシヘキサハイドロフタレート(HTP65W)0.2重量部を添加し、75℃で反応継続した。反応開始から2時間後、HTP65Wをさらに0.8重量部添加して、合計7時間、重合反応を行った。反応終了後、酢酸エチル(EtAc)を加えて希釈し、固形分30%、重量平均分子量30万、ワニス中の残存モノマー濃度5000ppm、および、残存開始剤濃度2614ppmのアクリル系ポリマー溶液を得た。
【0138】
得られたアクリル系ポリマーにイソシアネート架橋剤(D−110N;三井化学(株)製)を表1に示す量加えて架橋アクリル系粘着剤塗布液を得、この塗布液を用いて塗布液の塗布性を調べた。
【0139】
この塗布液を用いて、剥離処理されたポリエチレンテレフタレートフィルム表面に乾燥厚さが50μmになるように塗布し、塗布面に剥離処理されたポリエチレンテレフタレートを粘着して7日間23℃で養生して粘着テープを製造した。7日間経過後、剥離処理された2枚のポリエチレンテレフタレートと共に粘着テープを切り出し、ゲル分率、ヘイズ変化、発泡、段差追従性、ITO抵抗変化率を調べた。
【0140】
結果を表2に示す。
[比較例3]
攪拌機、還流冷却器、温度計および窒素導入管を備えた反応装置に、メトキシエチルアクリレート(MEA)60重量部、ブチルアクリレート(BA)31重量部、アクリルアミド(AM)2重量部、2−ヒドロキシエチルアクリレート(2−HEA)7重量部、および、酢酸エチル(EtAc)100重量部、メチルエチルケトン(MEK)20重量部を仕込み、窒素ガスを導入しながら75℃に昇温した。次いで、アゾビスイソブチロニトリル(AIBN)0.1重量部を加え、窒素雰囲気下、75℃で反応を開始した。反応開始から1時間後、重合率が60%になった時点で、追加の開始剤として、10時間半減期温度37℃のクミルパーオキシネオデカネート(PCND)0.2重量部を添加し、75℃で反応継続した。反応開始から2時間後、PCNDをさらに0.8重量部添加して、合計7時間、重合反応を行った。反応終了後、酢酸エチル(EtAc)を加えて希釈し、固形分30%、重量平均分子量30万、ワニス中の残存モノマー濃度2000ppm、および、残存開始剤濃度58ppmのアクリル系ポリマー溶液を得た。
【0141】
得られたアクリル系ポリマーにイソシアネート架橋剤(D−110N;三井化学(株)製)を表1に示す量加えて架橋アクリル系粘着剤塗布液を得、この塗布液を用いて塗布液の塗布性を調べた。
【0142】
この塗布液を用いて、剥離処理されたポリエチレンテレフタレートフィルム表面に乾燥厚さが50μmになるように塗布し、塗布面に剥離処理されたポリエチレンテレフタレートを粘着して7日間23℃で養生して粘着テープを製造した。7日間経過後、剥離処理された2枚のポリエチレンテレフタレートと共に粘着テープを切り出し、ゲル分率、ヘイズ変化、発泡、段差追従性、ITO抵抗変化率を調べた。
【0143】
結果を表2に示す。
[比較例4]
攪拌機、還流冷却器、温度計および窒素導入管を備えた反応装置に、メトキシエチルアクリレート(MEA)60重量部、ブチルアクリレート(BA)31重量部、アクリルアミド(AM)2重量部、2−ヒドロキシエチルアクリレート(2−HEA)7重量部、および、酢酸エチル(EtAc)100重量部、メチルエチルケトン(MEK)20重量部を仕込み、窒素ガスを導入しながら75℃に昇温した。次いで、アゾビスイソブチロニトリル(AIBN)0.1重量部を加え、窒素雰囲気下、75℃で反応を開始した。反応開始から1時間後、重合率が60%になった時点で、追加の開始剤として、10時間半減期温度66℃のアゾ系開始剤である、ジメチル2,2’−アゾビス(2−メチルプロピオネート)(V−601)0.2重量部を添加し、75℃で反応継続した。反応開始から2時間後、V−601をさらに0.8重量部添加して、合計7時間、重合反応を行った。反応終了後、酢酸エチル(EtAc)を加えて希釈し、固形分30%、重量平均分子量30万、ワニス中の残存モノマー濃度200ppm、および、残存開始剤濃度953ppmのアクリル系ポリマー溶液を得た。
【0144】
得られたアクリル系ポリマーにイソシアネート架橋剤(D−110N;三井化学(株)製)を表1に示す量加えて架橋アクリル系粘着剤塗布液を得、この塗布液を用いて塗布液の塗布性を調べた。
【0145】
この塗布液を用いて、剥離処理されたポリエチレンテレフタレートフィルム表面に乾燥厚さが50μmになるように塗布し、塗布面に剥離処理されたポリエチレンテレフタレートを粘着して7日間23℃で養生して粘着テープを製造した。7日間経過後、剥離処理された2枚のポリエチレンテレフタレートと共に粘着テープを切り出し、ゲル分率、ヘイズ変化、発泡、段差追従性、ITO抵抗変化率を調べた。
【0146】
結果を表2に示す。
[比較例5]
攪拌機、還流冷却器、温度計および窒素導入管を備えた反応装置に、メトキシエチルアクリレート(MEA)10重量部、ブチルアクリレート(BA)81重量部、アクリルアミド(AM)2重量部、2−ヒドロキシエチルアクリレート(2−HEA)7重量部、および、酢酸エチル(EtAc)100重量部、メチルエチルケトン(MEK)20重量部を仕込み、窒素ガスを導入しながら75℃に昇温した。次いで、アゾビスイソブチロニトリル(AIBN)0.1重量部を加え、窒素雰囲気下、75℃で反応を開始した。反応開始から1時間後、重合率が60%になった時点で、追加の開始剤として、10時間半減期温度53℃の、t−ヘキシルパーオキシピバレート(HPV)0.2重量部を添加し、75℃で反応継続した。反応開始から2時間後、HPVをさらに0.8重量部添加して、合計7時間、重合反応を行った。反応終了後、酢酸エチル(EtAc)を加えて希釈し、固形分30%、重量平均分子量30万、ワニス中の残存モノマー濃度200ppm、および、残存開始剤濃度87ppmのアクリル系ポリマー溶液を得た。
【0147】
得られたアクリル系ポリマーにイソシアネート架橋剤(D−110N;三井化学(株)製)を表1に示す量加えて架橋アクリル系粘着剤塗布液を得、この塗布液を用いて塗布液の塗布性を調べた。
【0148】
この塗布液を用いて、剥離処理されたポリエチレンテレフタレートフィルム表面に乾燥厚さが50μmになるように塗布し、塗布面に剥離処理されたポリエチレンテレフタレートを粘着して7日間23℃で養生して粘着テープを製造した。7日間経過後、剥離処理された2枚のポリエチレンテレフタレートと共に粘着テープを切り出し、ゲル分率、ヘイズ変化、発泡、段差追従性、ITO抵抗変化率を調べた。
【0149】
結果を表2に示す。
[比較例6]
攪拌機、還流冷却器、温度計および窒素導入管を備えた反応装置に、メトキシエチルアクリレート(MEA)60重量部、ブチルアクリレート(BA)33重量部、アクリルアミド(AM)0重量部、2−ヒドロキシエチルアクリレート(2−HEA)7重量部、および、酢酸エチル(EtAc)100重量部、メチルエチルケトン(MEK)20重量部を仕込み、窒素ガスを導入しながら75℃に昇温した。次いで、アゾビスイソブチロニトリル(AIBN)0.1重量部を加え、窒素雰囲気下、75℃で反応を開始した。反応開始から1時間後、重合率が60%になった時点で、追加の開始剤として、10時間半減期温度53℃のt−ヘキシルパーオキシピバレート(HPV)0.2重量部を添加し、75℃で反応継続した。反応開始から2時間後、HPVをさらに0.8重量部添加して、合計7時間、重合反応を行った。反応終了後、酢酸エチル(EtAc)を加えて希釈し、固形分30%、重量平均分子量30万、ワニス中の残存モノマー濃度200ppm、および、残存開始剤濃度87ppmのアクリル系ポリマー溶液を得た。
【0150】
得られたアクリル系ポリマーにイソシアネート架橋剤(D−110N;三井化学(株)製)を表1に示す量加えて架橋アクリル系粘着剤塗布液を得、この塗布液を用いて塗布液の塗布性を調べた。
【0151】
この塗布液を用いて、剥離処理されたポリエチレンテレフタレートフィルム表面に乾燥厚さが50μmになるように塗布し、塗布面に剥離処理されたポリエチレンテレフタレートを粘着して7日間23℃で養生して粘着テープを製造した。7日間経過後、剥離処理された2枚のポリエチレンテレフタレートと共に粘着テープを切り出し、ゲル分率、ヘイズ変化、発泡、段差追従性、ITO抵抗変化率を調べた。
【0152】
結果を表2に示す。
[比較例7]
攪拌機、還流冷却器、温度計および窒素導入管を備えた反応装置に、メトキシエチルアクリレート(MEA)60重量部、ブチルアクリレート(BA)26重量部、アクリルアミド(AM)7重量部、2−ヒドロキシエチルアクリレート(2−HEA)7重量部、および、酢酸エチル(EtAc)100重量部、メチルエチルケトン(MEK)20重量部を仕込み、窒素ガスを導入しながら75℃に昇温した。次いで、アゾビスイソブチロニトリル(AIBN)0.1重量部を加え、窒素雰囲気下、75℃で反応を開始した。反応開始から1時間後、重合率が60%になった時点で、追加の開始剤として、10時間半減期温度53℃のt−ヘキシルパーオキシピバレート(HPV)0.2重量部を添加し、75℃で反応継続した。反応開始から2時間後、HPVをさらに0.8重量部添加して、合計7時間、重合反応を行った。反応終了後、酢酸エチル(EtAc)を加えて希釈し、固形分30%、重量平均分子量30万、ワニス中の残存モノマー濃度200ppm、および、残存開始剤濃度87ppmのアクリル系ポリマー溶液を得た。
【0153】
得られたアクリル系ポリマーにイソシアネート架橋剤(D−110N;三井化学(株)製)を表1に示す量加えて架橋アクリル系粘着剤塗布液を得、この塗布液を用いて塗布液の塗布性を調べた。
【0154】
この塗布液を用いて、剥離処理されたポリエチレンテレフタレートフィルム表面に乾燥厚さが50μmになるように塗布し、塗布面に剥離処理されたポリエチレンテレフタレートを粘着して7日間23℃で養生して粘着テープを製造した。7日間経過後、剥離処理された2枚のポリエチレンテレフタレートと共に粘着テープを切り出し、ゲル分率、ヘイズ変化、発泡、段差追従性、ITO抵抗変化率を調べた。
【0155】
結果を表2に示す。
[比較例8]
攪拌機、還流冷却器、温度計および窒素導入管を備えた反応装置に、メトキシエチルアクリレート(MEA)60重量部、ブチルアクリレート(BA)38重量部、アクリルアミド(AM)2重量部、2−ヒドロキシエチルアクリレート(2−HEA)0重量部、および、酢酸エチル(EtAc)100重量部、メチルエチルケトン(MEK)20重量部を仕込み、窒素ガスを導入しながら75℃に昇温した。次いで、アゾビスイソブチロニトリル(AIBN)0.1重量部を加え、窒素雰囲気下、75℃で反応を開始した。反応開始から1時間後、重合率が60%になった時点で、追加の開始剤として、10時間半減期温度53℃のt−ヘキシルパーオキシピバレート(HPV)0.2重量部を添加し、75℃で反応継続した。反応開始から2時間後、HPVをさらに0.8重量部添加して、合計7時間、重合反応を行った。反応終了後、酢酸エチル(EtAc)を加えて希釈し、固形分30%、重量平均分子量30万、ワニス中の残存モノマー濃度200ppm、および、残存開始剤濃度87ppmのアクリル系ポリマー溶液を得た。
【0156】
得られたアクリル系ポリマーにイソシアネート架橋剤(D−110N;三井化学(株)製)を表1に示す量加えて架橋アクリル系粘着剤塗布液を得、この塗布液を用いて塗布液の塗布性を調べた。
【0157】
この塗布液を用いて、剥離処理されたポリエチレンテレフタレートフィルム表面に乾燥厚さが50μmになるように塗布し、塗布面に剥離処理されたポリエチレンテレフタレートを粘着して7日間23℃で養生して粘着テープを製造した。7日間経過後、剥離処理された2枚のポリエチレンテレフタレートと共に粘着テープを切り出し、ゲル分率、ヘイズ変化、発泡、段差追従性、ITO抵抗変化率を調べた。
【0158】
結果を表2に示す。
[比較例9]
攪拌機、還流冷却器、温度計および窒素導入管を備えた反応装置に、メトキシエチルアクリレート(MEA)60重量部、ブチルアクリレート(BA)27重量部、アクリルアミド(AM)2重量部、2−ヒドロキシエチルアクリレート(2−HEA)11重量部、および、酢酸エチル(EtAc)100重量部、メチルエチルケトン(MEK)20重量部を仕込み、窒素ガスを導入しながら75℃に昇温した。次いで、アゾビスイソブチロニトリル(AIBN)0.1重量部を加え、窒素雰囲気下、75℃で反応を開始した。反応開始から1時間後、重合率が60%になった時点で、追加の開始剤として、10時間半減期温度53℃のt−ヘキシルパーオキシピバレート(HPV)0.2重量部を添加し、75℃で反応継続した。反応開始から2時間後、HPVをさらに0.8重量部添加して、合計7時間、重合反応を行った。反応終了後、酢酸エチル(EtAc)を加えて希釈し、固形分30%、重量平均分子量30万、ワニス中の残存モノマー濃度200ppm、および、残存開始剤濃度87ppmのアクリル系ポリマー溶液を得た。
【0159】
得られたアクリル系ポリマーにイソシアネート架橋剤(D−110N;三井化学(株)製)を表1に示す量加えて架橋アクリル系粘着剤塗布液を得、この塗布液を用いて塗布液の塗布性を調べた。
【0160】
この塗布液を用いて、剥離処理されたポリエチレンテレフタレートフィルム表面に乾燥厚さが50μmになるように塗布し、塗布面に剥離処理されたポリエチレンテレフタレートを粘着して7日間23℃で養生して粘着テープを製造した。7日間経過後、剥離処理された2枚のポリエチレンテレフタレートと共に粘着テープを切り出し、ゲル分率、ヘイズ変化、発泡、段差追従性、ITO抵抗変化率を調べた。
【0161】
結果を表2に示す。
[比較例10]
攪拌機、還流冷却器、温度計および窒素導入管を備えた反応装置に、メトキシエチルアクリレート(MEA)60重量部、ブチルアクリレート(BA)30重量部、アクリルアミド(AM)2重量部、2−ヒドロキシエチルアクリレート(2−HEA)7重量部、アクリル酸(AA)1重量部、および、酢酸エチル(EtAc)100重量部、メチルエチルケトン(MEK)20重量部を仕込み、窒素ガスを導入しながら75℃に昇温した。次いで、アゾビスイソブチロニトリル(AIBN)0.1重量部を加え、窒素雰囲気下、75℃で反応を開始した。反応開始から1時間後、重合率が60%になった時点で、追加の開始剤として、10時間半減期温度53℃のt−ヘキシルパーオキシピバレート(HPV)0.2重量部を添加し、75℃で反応継続した。反応開始から2時間後、HPVをさらに0.8重量部添加して、合計7時間、重合反応を行った。反応終了後、酢酸エチル(EtAc)を加えて希釈し、固形分30%、重量平均分子量30万、ワニス中の残存モノマー濃度200ppm、および、残存開始剤濃度87ppmのアクリル系ポリマー溶液を得た。
【0162】
得られたアクリル系ポリマーにイソシアネート架橋剤(D−110N;三井化学(株)製)を表1に示す量加えて架橋アクリル系粘着剤塗布液を得、この塗布液を用いて塗布液の塗布性を調べた。
【0163】
この塗布液を用いて、剥離処理されたポリエチレンテレフタレートフィルム表面に乾燥厚さが50μmになるように塗布し、塗布面に剥離処理されたポリエチレンテレフタレートを粘着して7日間23℃で養生して粘着テープを製造した。7日間経過後、剥離処理された2枚のポリエチレンテレフタレートと共に粘着テープを切り出し、ゲル分率、ヘイズ変化、発泡、段差追従性、ITO抵抗変化率を調べた。
【0164】
結果を表2に示す。
[比較例11]
攪拌機、還流冷却器、温度計および窒素導入管を備えた反応装置に、メトキシエチルアクリレート(MEA)60重量部、ブチルアクリレート(BA)31重量部、アクリルアミド(AM)2重量部、2−ヒドロキシエチルアクリレート(2−HEA)7重量部、および、酢酸エチル(EtAc)100重量部、メチルエチルケトン(MEK)20重量部を仕込み、窒素ガスを導入しながら75℃に昇温した。次いで、アゾビスイソブチロニトリル(AIBN)0.1重量部を加え、窒素雰囲気下、75℃で反応を開始した。反応開始から1時間後、重合率が60%になった時点で、追加の開始剤として、10時間半減期温度53℃のt−ヘキシルパーオキシピバレート(HPV)0.2重量部を添加し、75℃で反応継続した。反応開始から2時間後、HPVをさらに0.8重量部添加して、合計7時間、重合反応を行った。反応終了後、酢酸エチル(EtAc)を加えて希釈し、固形分30%、重量平均分子量70万、ワニス中の残存モノマー濃度200ppm、および、残存開始剤濃度87ppmのアクリル系ポリマー溶液を得た。
【0165】
得られたアクリル系ポリマーにイソシアネート架橋剤(D−110N;三井化学(株)製)を表1に示す量加えて架橋アクリル系粘着剤塗布液を得、この塗布液を用いて塗布液の塗布性を調べた。
【0166】
この塗布液を用いて、剥離処理されたポリエチレンテレフタレートフィルム表面に乾燥厚さが50μmになるように塗布し、塗布面に剥離処理されたポリエチレンテレフタレートを粘着して7日間23℃で養生して粘着テープを製造した。7日間経過後、剥離処理された2枚のポリエチレンテレフタレートと共に粘着テープを切り出し、ゲル分率、ヘイズ変化、発泡、段差追従性、ITO抵抗変化率を調べた。
【0167】
結果を表2に示す。
[比較例12]
攪拌機、還流冷却器、温度計および窒素導入管を備えた反応装置に、メトキシエチルアクリレート(MEA)60重量部、ブチルアクリレート(BA)31重量部、アクリルアミド(AM)2重量部、2−ヒドロキシエチルアクリレート(2−HEA)7重量部、および、酢酸エチル(EtAc)100重量部、メチルエチルケトン(MEK)20重量部を仕込み、窒素ガスを導入しながら75℃に昇温した。次いで、アゾビスイソブチロニトリル(AIBN)0.1重量部を加え、窒素雰囲気下、75℃で反応を開始した。反応開始から1時間後、重合率が60%になった時点で、追加の開始剤として、10時間半減期温度53℃のt−ヘキシルパーオキシピバレート(HPV)0.2重量部を添加し、75℃で反応継続した。反応開始から2時間後、HPVをさらに0.8重量部添加して、合計7時間、重合反応を行った。反応終了後、酢酸エチル(EtAc)重量部、を加えて希釈し、固形分30%、重量平均分子量3万、ワニス中の残存モノマー濃度200ppm、および、残存開始剤濃度87ppmのアクリル系ポリマー溶液を得た。
【0168】
得られたアクリル系ポリマーにイソシアネート架橋剤(D−110N;三井化学(株)製)を表1に示す量加えて架橋アクリル系粘着剤塗布液を得、この塗布液を用いて塗布液の塗布性を調べた。
【0169】
この塗布液を用いて、剥離処理されたポリエチレンテレフタレートフィルム表面に乾燥厚さが50μmになるように塗布し、塗布面に剥離処理されたポリエチレンテレフタレートを粘着して7日間23℃で養生して粘着テープを製造した。7日間経過後、剥離処理された2枚のポリエチレンテレフタレートと共に粘着テープを切り出し、ゲル分率、ヘイズ変化、発泡、段差追従性、ITO抵抗変化率を調べた。
【0170】
結果を表2に示す。
【0171】
【表2】

【符号の説明】
【0172】
10−1・・・抵抗膜方式のタッチパネルユニット
10−2・・・静電容量方式のタッチパネルユニット
11−1・・・上部積層体
13−1・・・下部積層体
15−1・・・上部積層体
15−2・・・下部積層体
21−1・・・表面支持体
21−2・・・深部の表面支持体
23−1・・・粘着剤層
23−2・・・粘着剤層
25−1・・・上部電極支持体
25−2・・・下部電極支持体
27−1・・・透明導電膜
27−2・・・透明導電膜
30・・・貼り合わせ剤
32・・・スペーサー
34・・・間隙
51−1・・・表面支持体
51−2・・・表面支持体
53−1・・・粘着剤層
57−1・・・透明導電膜
57−2・・・透明導電膜
60・・・中央支持体
62・・・額縁印刷部分
64・・・空隙
66・・・気泡
68・・・泡

【特許請求の範囲】
【請求項1】
基材シートと該基材シートの少なくとも一方の面に形成された粘着剤層とからなる導電膜用粘着シートにおいて、
該粘着剤層を形成する粘着剤が、下記(a−1)〜(a−4)成分
(a−1)アルコキシ(メタ)アクリレート 20〜99.4重量%、
(a−2)水酸基含有モノマー 0.5〜10重量%、
(a−3)窒素含有モノマー 0.1〜5重量%、および、
(a−4)アルキル(メタ)アクリレート 0〜79.4重量%
を含むモノマー混合物を、少なくとも反応開始剤を二回に分割添加して共重合させてなり、該分割して最後に添加する反応開始剤が、10時間半減期温度が40〜80℃の範囲内にある過酸化物系開始剤であり、共重合させて得られたカルボキシル基以外の官能基を有する重量平均分子量が5万以上40万未満のアクリル系ポリマーを、該アクリル系ポリマー100重量部に対してイソシアネート架橋剤を0.1〜5重量部添加して架橋された架橋アクリル系粘着剤からなり、
該アクリル系ポリマー中における計算残存反応開始剤量が500ppm以下であり、
該粘着シートの粘着剤層の厚さを50μmとしたときに、該粘着剤層に含有される未反応モノマーの量が50mg/m2以下であることを特徴とする導電膜用粘着シート。
【請求項2】
上記水酸基含有モノマー(a−2)が、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、または、4−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレートであることを特徴とする請求項1に記載の導電膜用粘着シート。
【請求項3】
上記窒素含有モノマー(a−3)が、アクリルアミド、ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、N−ビニルピロリドン、または、アクリロイルモルホリンであることを特徴とする請求項1または2に記載の導電膜用粘着シート。
【請求項4】
上記10時間半減期温度40〜80℃の反応開始剤がパーオキシエステル系有機過酸化物開始剤であることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の導電膜用粘着シート。
【請求項5】
該アクリル系ポリマーが、上記最後に添加するパーオキシエステル系有機過酸化物開始剤を、モノマー混合物の重合率が60%以上になった時点で添加して重合されたポリマーであることを特徴とする請求項4に記載の導電膜用粘着シート。
【請求項6】
基材シートと該基材シートの少なくとも一方の面に粘着剤層が積層して導電膜用粘着シートを製造する方法において、
該粘着剤層を形成する粘着剤が、下記(a−1)〜(a−4)成分
(a−1)アルコキシ(メタ)アクリレート 20〜99.4重量%、
(a−2)水酸基含有モノマー 0.5〜10重量%、
(a−3)窒素含有モノマー 0.1〜5重量%、および、
(a−4)アルキル(メタ)アクリレート 0〜79.4重量%
を含むモノマー混合物を、少なくとも反応開始剤を二回に分割添加して共重合させて得られるアクリル系ポリマー100重量部に対して、イソシアネート架橋剤を0.1〜5重量部配合して架橋構造を形成した架橋アクリル系粘着剤であり、該架橋アクリル系粘着剤を、基材シートの少なくとも一方の面に塗布して該粘着シートの粘着剤層の厚さを50μmとしたときに、該粘着剤層に含有される未反応モノマーの量が50mg/m2以下である導電膜用粘着シートの製造方法であって、上記分割して最後に添加する反応開始剤が10時間半減期温度40〜80℃の範囲内にある過酸化物系開始剤であり、該アクリル系ポリマーが計算残留反応開始剤量500ppm以下で、カルボキシル基以外の官能基を有し、且つ、重量平均分子量が5万以上40万未満のアクリル系ポリマーであることを特徴とする導電膜用粘着シートの製造方法。
【請求項7】
上記水酸基含有モノマー(a−2)が、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、または4−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレートであることを特徴とする請求項6に記載の導電膜用粘着シートの製造方法。
【請求項8】
上記窒素含有モノマー(a−3)が、アクリルアミド、ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、N−ビニルピロリドン、または、アクリロイルモルホリンであることを特徴とする請求項6または7に記載の導電膜用粘着シートの製造方法。
【請求項9】
上記10時間半減期温度40〜80℃の反応開始剤がパーオキシエステル系有機過酸化物開始剤であることを特徴とする請求項6〜8のいずれかに記載の導電膜用粘着シートの製造方法。
【請求項10】
上記最後に添加するパーオキシエステル系有機過酸化物開始剤を、モノマー混合物の重合率が60%以上になった時点で添加することを特徴とする請求項9に記載の導電膜用粘着シートの製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2013−56994(P2013−56994A)
【公開日】平成25年3月28日(2013.3.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−195873(P2011−195873)
【出願日】平成23年9月8日(2011.9.8)
【出願人】(000202350)綜研化学株式会社 (135)
【Fターム(参考)】