説明

導電部材及びその導電部材を用いたコンデンサ装置

【課題】充分にインダクタンスを低減することができる導電部材を提供する。
【解決手段】一方が正極であり他方が負極である一対の電気配線導体1,2が所定間隔を以って並列配置される。電気配線導体1,2の一面側には、これに当接する第1絶縁層31が電気配線導体間に亘り連続して配置され、他面側には、これに当接する第2絶縁層32が電気配線導体間に亘り連続して配置される。さらに、電気配線導体1,2の一面側には、第1絶縁層31を介して当接する第1導電層41が電気配線導体間に亘り連続して配置される。好ましくは、他面側には、第2絶縁層32を介して当接する第2導電層42が電気配線導体間に亘り連続して配置される。そして、第1絶縁層31と第2絶縁層32とは、電気配線導体1,2間において電気配線導体同士が対向する面に沿って屈曲し互いに当接して一体化されている。5が、第1絶縁層31と第2絶縁層32の一体化部である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、一対の電気配線導体が並列配置される導電部材及びその導電部材を用いたコンデンサ装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、電気自動車、ハイブリッド車などの電動車両においては、低価格化、燃費向上、装置の実装スペースの縮小化などのために、バッテリから供給された直流電流を交流電流に変換して電動機に供給する電力変換装置の小型化の検討が進められている。
従来、電力変換装置としては、半導体素子のスイッチングによるサージ電圧を抑制するため、正極と負極の電気配線導体に関わるインダクタンス成分を小さくすることにより、サージ電圧を抑制している。例えば、正極となる電気配線導体と負極となる電気配線導体を、それぞれに流れる電流の向きが逆向きになるように、また広い面積で重ね合わせるように配置することにより、インダクタンスを低減させている。
【0003】
また、特許文献1(特許第3750338号公報)には、板状の電気配線導体に、導電板を対向して近接配置することにより、自己インダクタンスを低減する技術が開示されている。
さらに、特許文献2(特許第3480771号公報)には、正極となる電気配線導体と負極となる電気配線導体にできるだけ広く対応する導電板を近接配置することにより、正極となる電気配線導体と負極となる電気配線導体のそれぞれの自己インダクタンスを低減する技術が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特許第3750338号公報
【特許文献2】特許第3480771号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1、2に開示された技術は、電気配線導体に電流が流れたときに、近接配置した導電板に見かけ上流れる誘導電流を利用して、正極側と負極側の電気配線導体それぞれの自己インダクタンスを低減するものである。
しかし、これらの特許文献に開示された技術では、インダクタンスの低減効果が充分ではなく、素子のスイッチングによるサージ電圧を充分に抑制できないという問題がある。
【0006】
また、電力変換装置の小型化、大電流化のためには、従来よりも更にインダクタンスを低減できる技術が望まれている。
本発明の目的は、一対の電気配線導体が並列配置される導電部材について、そのインダクタンスを充分に低減することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するために、本発明に係る導電部材は、一方が正極となり他方が負極となる一対の電気配線導体が所定間隔を以って並列配置される。前記一対の電気配線導体の一面側には第1絶縁層が当接し、この第1絶縁層は前記一対の電気配線導体間に亘り連続して配置される。また、前記一対の電気配線導体の他面側には第2絶縁層が当接し、この第2絶縁層は前記一対の電気配線導体間に亘り連続して配置される。さらに、前記一対の電気配線導体の一面側には前記第1絶縁層を介して第1導電層が当接し、この第1導電層は前記一対の電気配線導体間に亘り連続して配置される。そして、前記第1絶縁層と第2絶縁層とは、前記所定間隔を以って並列配置された一対の電気配線導体間において電気配線導体同士が対向する面に沿って屈曲し互いに当接して一体化されていることを特徴とする(請求項1)。
上記の構成において、前記第1導電層は、第1絶縁層の屈曲形状に沿って屈曲していることが好ましく(請求項2)、前記第1導電層は、並列配置された一対の電気配線導体の外側縁より外側に第1絶縁層とともに張り出していることが好ましい(請求項3)。
【0008】
好ましくは、さらに、前記一対の電気配線導体の他面側には前記第2絶縁層を介して第2導電層が当接し、この第2導電層は前記一対の電気配線導体間に亘り連続して配置される(請求項4)。
上記の構成において、前記第1導電層と第2導電層は、第1絶縁層と第2絶縁層の屈曲形状に沿って屈曲していることが好ましく(請求項5)、前記第1導電層と第2導電層は、並列配置された一対の電気配線導体の外側縁より外側に第1絶縁層と第2絶縁層とともに、それぞれ張り出していることが好ましい(請求項6)。
【0009】
上記のいずれかの構成において、前記第1絶縁層と第2絶縁層は、その厚みが0.5mm以下であることが好ましい(請求項7)。
また、本発明に係るコンデンサ装置は、上記のいずれかの導電部材を用いたものであり、その電気配線導体にコンデンサの電極が接続されていることを特徴とする(請求項8)。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、一方が正極となり他方が負極となる一対の電気配線導体に電流が流れたときに、近接配置した導電層に見かけ上流れる誘導電流を利用して、正極側と負極側の電気配線導体それぞれの自己インダクタンスを低減することができる。
加えて、一対の電気配線導体間において、第1絶縁層と第2絶縁層が一体化されていることにより、並列配置された一対の電気配線導体間を絶縁することができるため、一対の電気配線導体を接近させることができる。これにより、正極側の電気配線導体の電流によるインダクタンスと負極側の電気配線導体の電流によるインダクタンスを、負の相互インダクタンスとして結合させることができ、大幅にインダクタンスを低減することができる。
【0011】
本発明の導電部材は、例えば、コンデンサや電力変換装置に適用することによって、コンデンサや電力変換装置のサージ電圧を充分に抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】本発明に係る導電部材の実施形態を示す断面図である。
【図2】本発明に係る導電部材の他の実施形態を示す断面図である。
【図3】比較例を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
本発明を実施する具体的な形態は、例えば、図1、図2に示すような構成が望ましい。
本発明に係る導電部材は、一方が正極となり他方が負極となる一対の電気配線導体1,2が所定間隔を以って配置されている。一対の電気配線導体1,2の一面側には、第1絶縁層31が当接し、第1絶縁層31は電気配線導体1,2間に亘り連続して配置される。同様に、一対の電気配線導体1,2の他面側には、第2絶縁層32が当接し、第2絶縁層32は電気配線導体1,2間に亘り連続して配置される。
さらに、一対の電気配線導体1,2の一面側には、第1絶縁層31を介して第1導電層41が当接し、第1導電層41は電気配線導体1,2間に亘り連続して配置される(図1参照)。自己インダクタンス低減の観点から、さらに、一対の電気配線導体1,2の他面側には、第2絶縁層32を介して第2導電層42が当接し、第2導電層42は電気配線導体1,2間に亘り連続して配置される(図2参照)ことが好ましい。
そして、第1絶縁層31と第2絶縁層32とは、所定間隔を以って並列配置された電気配線導体1,2間において電気配線導体同士が対向する面に沿って屈曲し互いに当接して一体化されている。5は、電気配線導体1,2間に形成された第1絶縁層31と第2絶縁層32の一体化部である。
【0014】
<電気配線導体>
一方が正極となり他方が負極となる一対の電気配線導体1,2は、所定の間隔を以って並列配置されるが、自己インダクタンス低減の観点から、平行に配置されることが望ましい。
電気配線導体の材質は、特に限定するものではないが、好ましくは、非磁性材料であり透磁率が1に近く、また、電気伝導度が高く電流が流れやすい銅、アルミニウム、アルミニウム合金である。その形状は、特に限定するものではなく、板状、丸棒状のものを使用することができる。その厚み又は径は、大きくなれば電流が流れやすくなるが、形状の加工性も考慮すると、0.5〜3mmが好ましい。また、その表面には、酸化防止や表面光沢向上のため、メッキを施すこともできる。
【0015】
<絶縁層>
第1絶縁層、第2の絶縁層は、一対の電気配線導体の一面側と他面側に、それぞれ当接して配置され、一対の電気配線導体間に亘って連続して広がっている。なお、電気配線導体と絶縁層とは、一体化されている必要はないが、絶縁性確保と導電部材の取り扱い性の観点から、一体化されていることが望ましい。
絶縁層の材質は、特に限定するものではなく、熱可塑性樹脂と熱硬化性樹脂のいずれの樹脂シートも使用することができる。熱可塑性樹脂としては、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエチレンテレフタレート等を使用することができる。また、熱硬化性樹脂としては、例えば、エポキシ樹脂、フェノール樹脂、ポリイミド樹脂等を使用することができる。前記樹脂は、必要に応じて、充填材等を含有してもよい。樹脂シートは、単なるシート状やフィルム状のものだけでなく、無機繊維や有機繊維の織布や不織布に樹脂を保持させたものであってもよい。
絶縁層の厚みが薄いほど、絶縁層を介して位置する電気配線導体と導電層との間隔も小さくすることができる。これによって、磁束が漏れにくくなり、負の相互インダクタンスの結合が高くなるため、自己インダクタンスの低減効果が大きくなる。従って、絶縁層の厚みは、好ましくは、0.5mm以下である。なお、絶縁層の厚みを薄くし過ぎると絶縁性は低下するが、絶縁層内部にボイドや異物のような欠陥が発生しにくい熱可塑性樹脂フィルムを使用することで、絶縁層の厚みを0.1mm程度まで薄くすることができる。
【0016】
<絶縁層の一体化>
第1絶縁層と第2絶縁層は、所定間隔を以って並列配置された一対の電気配線導体間において電気配線導体同士が対向する面に沿って屈曲し互いに当接して一体化されている。一対の電気配線導体間において、第1絶縁層と第2絶縁層が一体化されていることにより、並列配置された一対の電気配線導体間を絶縁することができるため、一対の電気配線導体を接近させることができる。これにより、正極側の電気配線導体のインダクタンスと負極側の電気配線導体のインダクタンスを、より一層の負の相互インダクタンスとして結合させることができ、インダクタンスを低減することができる。なお、一体化部5の厚さ方向の位置は、自己インダクタンス低減の観点から、電気配線導体の厚さ方向中央とすることが望ましい。
第1絶縁層と第2絶縁層の一体化は、当該絶縁層が熱可塑性樹脂製であれば、熱溶着、レーザ溶着等にて実施することができる。また、熱硬化性樹脂製であれば、加熱加圧成形等にて実施することができる。
【0017】
<導電層>
第1導電層は、一対の電気配線導体の一面側に、第1絶縁層を介し当接して配置され、一対の電気配線導体間に亘って連続して広がっている。好ましくは、さらに、第2導電層を備える。第2導電層は、一対の電気配線導体の他面側に、第2絶縁層を介し当接して配置され、一対の電気配線導体間に亘って連続して広がっている。なお、導電層と絶縁層とは、一体化されている必要はないが、絶縁性確保と導電部材の取り扱い性の観点から、一体化されていることが望ましい。
導電層の材質は、特に限定するものではないが、好ましくは、非磁性材料であり透磁率が1に近く、また、電気伝導度が高く電流が流れやすく、軽量でコストが安いアルミニウムやアルミニウム合金である。その厚みは、厚いほど電流が流れやすくなるが、形状の加工性や材料コストも考慮すると、0.001〜0.1mmが好ましい。また、その表面には、酸化防止や表面光沢向上のため、メッキを施すこともできる。
絶縁層として熱可塑性樹脂フィルムを選択する場合、当該フィルム表面にスパッタや蒸着の手段によってアルミニウム等の薄膜を形成することができ、簡単な手段で厚み精度が良い連続した導電層を形成することができるため好ましい。
なお、本発明に係る導電部材に電力変換装置が接続される場合、その周波数が1MHz以上の高い値のときでも、導電層の厚みを0.01mm程度まで薄くして、自己インダクタンスの低減効果を得ることができる。絶縁層としての熱可塑性樹脂フィルムにアルミニウム等の薄膜を蒸着したフィルムは、絶縁層と導電層を予め一体化しているので、一対の電気配線導体への取り付け作業を簡略化できる。
【0018】
第1導電層は、第1絶縁層の屈曲形状に沿って屈曲していることが好ましく、第1導電層と第2導電層とが、第1絶縁層と第2絶縁層の屈曲形状に沿って屈曲していることがさらに好ましい。これにより、一対の電気配線導体に電流を流した際に発生する磁束と導電層が垂直となり、自己インダクタンスを効率よく低減することができる。
また、第1導電層は、並列配置された一対の電気配線導体の外側縁より外側に第1絶縁層とともに張り出していることが好ましく、第1導電層と第2導電層とが、並列配置された一対の電気配線導体の外側縁より外側に第1絶縁層と第2絶縁層とともに、それぞれ張り出していることがさらに好ましい。これにより、磁束が漏れにくくなり、負の相互インダクタンスの結合が高くなるため、自己インダクタンスの低減効果が大きくなる。
【0019】
<導電部材の製造法>
本発明に係る導電部材は、具体的には、例えば、次のようにして製造することができる。
下から上へ順に、第2導電層42(銅箔)、第2絶縁層32(ガラス織布基材エポキシ樹脂プリプレグ)、所定間隔を以って平行配置した一対の電気配線導体1,2、第1絶縁層31(ガラス織布基材エポキシ樹脂プリプレグ)、第1導電層41(銅箔)を配置する。
上記の構成体を、所定形状の金型内にて加熱加圧成形し、第1絶縁層31と第2絶縁層32を、一対の電気配線導体間において電気配線導体1,2同士が対向する面に沿って屈曲させて溶着する。本例の場合には、一対の電気配線導体の一方面と第1絶縁層31、一対の電気配線導体の他方面と第2絶縁層32も同時に一体化することができ、併せて、各絶縁層と各導電層も一体化することができる。
なお、銅箔とガラス織布基材エポキシ樹脂プリプレグの代わりに、前述したアルミニウム等の蒸着フィルムを使用することもできる。
【実施例】
【0020】
本発明に係る導電部材を磁場解析シミュレーションで解析しインダクタンス値を求めた。解析条件は以下の通りである。
<電気配線導体>
材質:アルミニウム、厚み1mm×幅10mm×長さ100mm
<電流>
一対の電気配線導体間で反対方向、交流1A
<周波数>
1MHz
なお、インダクタンス低減率は、下記により計算した。
インダクタンス低減率=〔1−(導電層がある時のインダクタンス)/(導電層がない時のインダクタンス)〕×100(%)
実施例1
<構成>
図2に基づき説明したとおりである。
<一対の電気配線導体の平行配置間隔>
2mm
<第1、第2絶縁層>
ポリエチレン製フィルム、厚み0.5mm×幅22mm×長さ90mm
<第1、第2導電層>
アルミニウム蒸着薄膜、厚み0.01mm×幅22mm×長さ90mm
なお、第1、第2導電層の側縁は、平行配置された一対の電気配線導体の外側縁と一致している。すなわち、図2におけるLは、0mmである。
【0021】
実施例2
<構成>
図2に基づき説明したとおりである。
<一対の電気配線導体の平行配置間隔>
2mm
<第1、第2絶縁層>
ポリエチレン製フィルム、厚み0.5mm×幅42mm×長さ90mm
<第1、第2の導電層>
アルミニウム蒸着薄膜、厚み0.01mm×幅42mm×長さ90mm
なお、第1、第2導電層の側縁は、平行配置された一対の電気配線導体の外側縁より外側に、それぞれ、10mmはみ出している。すなわち、図2におけるLは、10mmである。
【0022】
実施例3
<構成>
図2に基づき説明したとおりである。
<一対の電気配線導体の平行配置間隔>
2mm
<第1、第2の絶縁層>
ポリエチレン製フィルム、厚み0.5mm×幅62mm×長さ90mm
<第1、第2導電層>
アルミニウム蒸着薄膜、厚み0.01mm×幅62mm×長さ90mm
なお、第1、第2導電層の側縁は、平行配置された一対の電気配線導体の外側縁より外側に、それぞれ、20mmはみ出している。すなわち、図2におけるLは、20mmである。
【0023】
実施例4
<構成>
図2に基づき説明したとおりである。
<一対の電気配線導体の平行配置間隔>
2mm
<第1、第2絶縁層>
ポリエチレン製フィルム、厚み0.1mm×幅62mm×長さ90mm
<第1、第2の導電層>
アルミニウム蒸着薄膜、厚み0.01mm×幅62mm×長さ90mm
なお、第1、第2導電層の側縁は、平行配置された一対の電気配線導体の外側縁より外側に、それぞれ、20mmはみ出している。すなわち、図2におけるLは、20mmである。
【0024】
実施例5
<構成>
図2に基づき説明したとおりである。
<一対の電気配線導体の平行配置間隔>
2mm
<第1、第2絶縁層>
ポリエチレン製シート、厚み1mm×幅22mm×長さ90mm
<第1、第2導電層>
アルミニウム蒸着薄膜、厚み0.01mm×幅22mm×長さ90mm
なお、第1、第2導電層の側縁は、平行配置された一対の電気配線導体の外側縁と一致している。すなわち、図2におけるLは、0mmである。
【0025】
比較例1
<構成>
図3のとおりである。すなわち、図2に基づいて説明した一体化部5がなく、平行配置された一対の電気配線導体間に空隙を有する。
<一対の電気配線導体の平行配置間隔>
10mm
<第1、第2絶縁層>
ポリエチレン製フィルム、厚み0.5mm×幅30mm×長さ90mm
<第1、第2導電層>
アルミニウム蒸着薄膜、厚み0.01mm×幅30mm×長さ90mm
なお、第1、第2導電層の側縁は、平行配置された一対の電気配線導体の外側縁と一致している。
【0026】
比較例2
<構成>
図3に基づいて説明したとおりである
<一対の電気配線導体の平行配置間隔>
2mm
<第1、第2絶縁層>
ポリエチレン製フィルム、厚み0.5mm×幅22mm×長さ90mm
<第1、第2導電層>
アルミニウム蒸着薄膜、厚み0.01mm×幅22mm×長さ90mm
なお、第1、第2導電層の側縁は、平行配置された一対の電気配線導体の外側縁と一致している。
【0027】
また、上記の各実施例及び比較例において、耐電圧(絶縁破壊の強さ)試験を行った。
試験方法は、図2又は図3に示す一対の電気配線導体間に印加する交流電圧を、0から一定の速度(500V/秒)で昇圧させる。そして、絶縁破壊したときの電圧で評価した。
【0028】
【表1】

【0029】
表1から明らかなように、本発明の実施例に係る導電部材は、インダクタンスを充分に低減できることが理解できる(実施例1〜5と比較例1の対照)。比較例1では、平行配置された一対の電気配線導体が対向する部分において、第1絶縁層と第2絶縁層が一体化されていないため、平行配置された一対の電気配線導体の対向間隔を狭くすることができず、インダクタンスの低減効果が小さい。なお、平行配置された一対の電気配線導体の対向間隔を狭くした比較例2では、インダクタンスの低減効果はみられるものの、耐電圧試験の結果が大幅に低下している。
【0030】
また、第1絶縁層及び第2絶縁層の厚みを、0.5mm以下とすることにより、インダクタンスの低減効果が大きくなることが理解できる(実施例1と実施例5の対照)。
【0031】
第1導電層及び第2導電層が、並列配置された一対の電気配線導体の外側縁より外側に、それぞれはみ出していることにより、インダクタンスの低減効果が大きくなることが理解できる(実施例2〜3と実施例1の対照)。
【符号の説明】
【0032】
1,2…電気配線導体、31…第1絶縁層、32…第2絶縁層、41…第1導電層、42…第2導電層、5…一体化部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
所定間隔を以って並列配置され、一方が正極となり、他方が負極となる一対の電気配線導体と、
前記一対の電気配線導体の一面側に当接し、前記一対の電気配線導体間に亘り連続して配置された第1絶縁層と、
前記一対の電気配線導体の他面側に当接し、前記一対の電気配線導体間に亘り連続して配置された第2絶縁層と、
前記第1絶縁層を介して前記一対の電気配線導体の一面側に当接し、前記一対の電気配線導体間に亘り連続して配置された第1導電層とを備え、
前記第1絶縁層と第2絶縁層とは、前記所定間隔を以って並列配置された一対の電気配線導体間において電気配線導体同士が対向する面に沿って屈曲し互いに当接して一体化されていることを特徴とする導電部材。
【請求項2】
第1導電層が、第1絶縁層の屈曲形状に沿って屈曲していることを特徴とする請求項1記載の導電部材。
【請求項3】
第1導電層が、並列配置された一対の電気配線導体の外側縁より外側に第1絶縁層とともに張り出していることを特徴とする請求項1又は2記載の導電部材。
【請求項4】
さらに、前記第2絶縁層を介して前記一対の電気配線導体の他面側に当接し、前記一対の電気配線導体間に亘り連続して配置された第2導電層を備えることを特徴とする請求項1記載の導電部材。
【請求項5】
第1導電層と第2導電層とが、第1絶縁層と第2絶縁層の屈曲形状に沿って屈曲していることを特徴とする請求項4記載の導電部材。
【請求項6】
第1導電層と第2導電層が、並列配置された一対の電気配線導体の外側縁より外側に第1絶縁層と第2絶縁層とともに、それぞれ張り出していることを特徴とする請求項4又は5記載の導電部材。
【請求項7】
第1絶縁層と第2絶縁層の厚みが0.5mm以下である請求項1〜6のいずれかに記載の導電部材。
【請求項8】
請求項1〜7のいずれかに記載された導電部材の電気配線導体にコンデンサの電極が接続されていることを特徴とするコンデンサ装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2013−109833(P2013−109833A)
【公開日】平成25年6月6日(2013.6.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−251419(P2011−251419)
【出願日】平成23年11月17日(2011.11.17)
【出願人】(000001203)新神戸電機株式会社 (518)
【Fターム(参考)】