説明

小滴堆積装置

【課題】高精細グレイスケール印刷に好適なプリントヘッドを提供する。
【解決手段】液小滴射出ノズル、該ノズルが連結していてそこからノズルが小滴射出用液を供給する圧力チャンバ、およびノズルから小滴を射出するために電気信号を印加すると変形可能であるアクセプター注入圧電材料からなるチャンバ壁をもつことを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は小滴堆積装置に関するものである。
詳しくは、本発明はチャンバから液(例えばインク)の小滴を射出させるため、電気信号によって音響圧力波が生ずるプリンターその他の小滴堆積装置に関するものである。この装置は単一の上記チャンバを持ち得るが、より典型的にはそれぞれがノズルを有する上記チャンバのアレイを有するプリントヘッドを持ち、該プリントヘッドはデータを運ぶ電気信号を受け該信号はオンデマンドでチャンバから小滴を射出するのに必要な電力を与える。各チャンバは圧電素子によって区切られ、圧電素子は電気信号によって偏位することにより、音響圧力波を生じて小滴を射出する。これらのさらに代表的な構造は、EP第0277703号明細書、US第4887100号明細書およびWO91/17051号パンフレットに開示されている。
【背景技術】
【0002】
小滴射出に要する電気信号の電圧が最小化されるのが上記装置における慣例であり、より低い電圧によって駆動回路が簡単になり、コストが低減する。さらに、プリントヘッドと駆動回路の双方でVに比例する発生熱も最小化される。過剰な発熱は、インクの流体特性に影響して、特に異なるチャンバ間で顕著な温度変化がある場合、印刷を不正確にするので、避けるべきである。そのような温度変化は、1つのチャンバが他のチャンバよりも頻繁に作動するとき、たとえば前者が印刷像の濃い部分を印刷し、後者がより薄い部分を印刷するとき生じる。このため軟らかな(ドナー注入)ジルコン酸チタン酸鉛(lead zirconate titanate:PZT)がしばしば好ましい圧電材料である。軟らかなPZTは、高い圧電活性を有する。すなわち、ある与えられた電圧が比較的大きな材料の物理変形を生じ、それは特にチャンバからの小滴を射出するのに有効である。
【0003】
さらに駆動電圧を下げることは、出願人のEP−A277703号明細書に「エンド・シューター」プリントヘッドに関し記載したように、「山形」形状に圧電材料を配列することによって得られる。あるいは、出願人のWO91/17051号パンフレットに記載したように「サイド・シューター」状にプリントヘッドを配列してもよい。これらの配列はいずれも、モノリシックな圧電素子を採用する「エンド・シューター」に関する小滴射出機能に対し、駆動電圧を半減する。したがって、この両方を採用すると、駆動電圧を1/4に減らせる。「エンド・シューター」とは、ノズルが長いチャンバの端にあり、圧電材料がチャンバの両側に沿って置かれている配置をいう。サイド・シューターでは、ノズルは代わりに、圧電材料によって区切られていないチャンバの長手側の一つに置かれている。「山形」配置では、チャンバの長手に伸びる対向極部をもつ圧電材料によってチャンバが区切られているので、電気信号の印加により山形配置への同一方向の材料の双方の部分が断面から見て変形する。
【0004】
上記手段は低駆動電圧および低熱効果を与えると考えられるが、重大な難点がある。すなわち、モノリシックなエンド・シューターに比べると、それらはいずれも駆動回路からみてチャンバ壁の静電容量を約2倍にする。その結果、山形サイド・シューターはモノリシックなエンド・シューターに比べて4倍の静電容量をもつ。高い静電容量には2つの難点がある。まず、既述したように熱影響が増し、次に素子の時定数(RC)を増す。駆動電気信号の波形は方形波に近ければ近いほど好ましいので、音響圧力波の鋭度(シャープネス)が最大化される。時定数が大きいとステップ変化に応じる回路の立ち上がり時間が長くなり、高周波で効果的な方形波を生じることができにくくなる。したがって駆動信号の周波数は制限され、プリンタの作動スピードが落ちる。このことは可変密度(「グレイスケール」)プリンタにおいて特に重要で、各小滴が高周波で生じる制御可能な数がより小さいな準小滴を形成する。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、上記した点に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、高精細グレイスケール印刷に好適な小滴堆積装置を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の好ましい実施態様はこの問題を対象にしている。
本発明は、液小滴射出ノズル、該ノズルがそれとつながってそこから小滴射出のための液を供給される圧力チャンバからなり、該チャンバの壁がノズルから小滴を射出するための電気信号を印加されると変形可能なアクセプタ注入圧電材料からなる小滴堆積装置を提供する。
【0007】
好ましくは、該材料は印加電圧において0.05以下のヒステリシス損失(tanδ)をもつ。
ヒステリシス損失tanδは次式で示される:
tan δ = ε"/ε'
ε"は誘電率(ε)の虚部、ε'は実部である。
好ましくは、該材料は以下に定表するメリット指数(figure of merit)が15〜30の間、特に約25が好ましい。
「メリット指数」:d15/(S55・ε1/2
ここで d15: 剪断歪/電界圧電定数
55: 電気剪断コンプライアンス
ε : 自由空間の誘電率
【0008】
一連のPZTの実験の結果、一般に高いメリット指数は高い誘電損失正接(tanδ)および高い相対誘電率に関係することがわかった。
既述したように、本発明は特に、剪断モードで圧電材料が変形する「サイド・シューター」および「山形」配置の一方、あるいは好ましくは双方をもつ装置に対して適切である。
本発明で用いる好ましい圧電材料はモーガン・マトロック社製のPC4Dのようなアクセプタ注入PZTである。
【発明の効果】
【0009】
本発明は、上記のように構成したので、高精細グレイスケール印刷に好適な小滴堆積装置の実現を可能にした。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】米国特許第4887100号明細書の図1に似た従来技術によるモノリシック・エンドシューター・プリントヘッドの斜視図である。
【図2】上記米国特許の図2に似た山形エンドシューター・プリントヘッドの断面図である。
【図3】本発明による山形サイドシューター・プリントヘッドの長手方向断面図である。
【図4】異なるPZTからつくったプリントヘッドのヒステリシス損失の比較を示すグラフである。
【図5】200kHzでの異なる波形および異なるPZTの熱ヒステリシス損失の変化を示すグラフである。
【図6】各PZTおよび異なるプリントヘッドの構造の相対熱発生を示すグラフである。
【図7】各PZTおよび異なるプリントヘッドの構造の相対熱発生を示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、例示の便宜上、図面を用いて本発明を説明する。
図1において、滴下オンデマンドインクジェットプリンタが多数の並列インクチャンバ、すなわちチャンネル2を有して構成されたプリントヘッド10を有し、チャンネルのうちの9つのみが図示され、長手軸が平面内にある。チャンネル2はプリントヘッドの全頂面を覆って伸びているカバー(図示せず)によって囲まれている。
【0012】
チャンネル2はインク4を含み、ノズル6が形成されているノズルプレート5内の対応する端に終わっているエンド・シューター配置を有する。インク小滴7がオンデマンドでチャンネル2から射出され、それとプリントヘッド10の間にある印刷面9の印刷ライン8上に堆積する。そこにはチャンネル軸の面に直交する相対運動がある。
【0013】
プリントヘッド10は平面状のベース部20を有し、ベース部内にチャンネル2がやわらかなPZT圧電材料をカットなどして形成され、ノズルプレート5から後方に並列に伸びる。チャンネル2は長方形断面をもつ長くて狭い形状で、長手に伸びる対向する側壁11を有する。側壁11はチャンネル長手に伸びる電極(図示せず)を設けられているので、側壁は実質的に全長さにわたってチャンネル軸に対し横方向に剪断モードで偏位でき、チャンネル内のインクの圧力変化を生じてノズルから小滴を射出させる。チャンネル2はノズルから離れた端で、横方向チャンネル(図示せず)とつながり、横方向チャンネルはパイプ14によってインク容器(図示せず)とつながっている。側壁11を動かすための電気接続(図示せず)がベース部20上のLSIチップ16になされている。
【0014】
図1のように側壁はモノリシックで、ベース部20から片持ち梁で支持され、単片の圧電材料からカットされている。
図2は図1のプリントヘッドの変形を示し、側壁11は電界の印加によって山形に偏位するように対向極部を有する。図2で、底壁25と頂壁27の間に挟まれた剪断モード・アクチュエータ15、17、19、21および23の形状でアレイが側壁11と一体化し、矢印33・35のようにそれぞれ上部壁29と下部壁31がチャンネル軸を含む面に直交して対向している。電極37、39、41、43および45はそれぞれ各チャンネル2の内壁を覆う。こうして、電圧が特定のチャンネルの電極、たとえばアクチュエータ19と21の間のチャンネル2の電極41に印加されるとき、電極39と43はグラウンド電位に保たれ、電界がアクチュエータ19と21に印加される。上部壁29および下部壁31の対向極によって、チャンネル2内に剪断モードで偏位して、破線47・49のように山形を形成する。こうして、アクチュエータ19と21の間のチャンネル2内に衝撃がインク4に対して印加され、チャンネルの長手に沿って動く音響圧力波を生じる。
【0015】
図3はサイド・シューター・プリントヘッドを貫く長手断面を示す。ノズル6がチャンネルの頂壁を形成するがカバー27内に設けられ、その側部が一例としてアクチュエータ21で示されている剪断モード・アクチュエータの形でPZTの側壁によって区切られている。各アクチュエータは電極(41、43)によって長手面に電界を印加されると山形に偏位する対向極部29、31を有する。端末34によって電極がLSIチップ16につなげられる。横方向チャンネル13により、チャンネル2が各端でインク容器につなげられる。ノズル6の位置を除いて、プリントヘッドは2−2矢視断面において図2の構成と同様である。
【0016】
また、後述する圧電材料の発明的選択を除いて、さらに本発明によるサイド・シュター・プリントヘッドの代わりに単方向に極をもつモノリシック・アクチュエータを使えるけれど、山形の剪断モード・アクチュエータを除いて、WO91/17051の図1(d)にも似ている。
【0017】
PZT材料は「やわらかい」ドナー注入型(donor−doped)、および「かたい」アクセプター注入型(acceptor−doped)の2つの基本型がある。A.J.モールソン『電子セラミクス』(チャップマン&ホール、1990年)に論じられているように、ドナー注入によりドメイン安定化欠陥ペア濃度が下がり、エージング率が下がる。その結果、ドメイン壁の移動度が上がり、誘電率・ヒステリシス損失(tanδ)・弾性コンプライアンスおよび結合係数が上がる。機械的なQおよび飽和保磁力が減る。したがって、高い圧電活性によりやわらかなPZTが圧電プリントヘッドの材料として選択されてきている。
【0018】
逆に、アクセプター注入PZTはドメイン壁の運動を抑えるので、誘電率・ヒステリシス損失(tanδ)・弾性コンプライアンスおよび結合係数を減らし、飽和保磁力を増す。したがって、圧電活性を低くするので、現在まで圧電プリントヘッドとして使われてきていない。
【0019】
多数のPZT材料の機能を解析した結果、ある環境下ではかたい材料がやわらかい材料よりも適切であるという驚くべきことがわかった。
4つのPZT材料、すなわちモトローラのHD3202、住友のH5E、モトローラのHD3195およびモーガン・マトロックのPC4Dが解析用に選ばれた。それらは入手可能なアクチュエータ材料の範囲をカバーし、剪断モード圧電活性の点で均一に間隔があいているので選ばれた。剪断モード活性は無次元のメリット指数d15/(S55・ε1/2によって特徴付けられ、単位電圧・単位体積当たりの変換された電気機械エネルギーに等しい。圧電活性の点で、上記4つの材料はHD3203>H5E>HD3195>PC4Dの順になり、ここで測定された低信号メリット指数はそれぞれ48.2、37.4、31.5および25.7である。
【0020】
128ライン・プリントヘッドの4つのウエハが4つのPZTから作られ、次のような代表的な作動条件の下、静電容量とヒステリシス損失が測定された。
駆動電圧: 10〜50V
駆動周波数: 20、50、100、200kHz
駆動波形タイプ: 実質的には方形波(ピーク電圧はサイクルの75%)
プリントヘッド温度: 18、40、50℃(測定は短バーストで示され、 プリントヘッド温度は顕著に上昇しないと仮定された)
【0021】
D.A.ホール、P.J.スチーブンソン、T.R.マリンズ「かたい圧電セラミクスにおける誘電非線形性」(Brit.Cer.Pres.第57号、第197〜211頁)に記載された方法によって、ヒステリシス損失(tanδ)を測定した。
これらの測定により、静電容量およびtanδは周波数に対して変わらないことがわかった。しかし、駆動電圧に対しては両方とも明らかに増加する。
【0022】
図4に、200kHz(「方形」波形:ピーク電圧75%)での駆動電圧に対するtanδの変化の4つのPZTの比較を示す。また図4に、各材料に対するメーカーから引用した低電界カタログ・データも示す。図4からわかるように、3つの「よりやわらかい」PZTは駆動電圧に対しtanδが顕著に増すという類似した特性を有する。また、引用カタログの低電界tanδとプリントヘッド作動に要する駆動電圧(約25V)に対するそれとの間に大きな差があることがわかる。対照的に、「最もかたい」PZT、すなわちPC4Dは、さらに低いtanδを示し、駆動電圧に対して変化が少ない。
【0023】
また図4に、HD3203に対する駆動電圧25Vの等価プリントヘッドに対するヒステリシス損失を示し、より低い活性のPZTがより高い駆動電圧を要する。同等のプリントヘッド作動条件に対し、HD3203、H5EおよびHD3195は類似の損失を有するが、PC4Dに対する良くされたヒステリシス損失は相当低く、0.05を超えず、他の材料に対する値と比べて2〜5倍である。
【0024】
各PZTの相対メリット指数を使って、等価駆動電圧Vが、たとえば
H5E =VHD3203HD3203/MH5E
から算出した。
ある特定の周波数および駆動電圧において、さまざまな波形に対する測定をした。図5に、200kHzおよび30Vにおける三角波(ピーク電圧で0%)と方形波(ピーク電圧で理想的には100%だが、実際にはそれ未満)との間での遷移効果を示す。たとえば、三角波からサイクルの87.5%に対するピーク電圧をもつ波形に変化するとき、HD3203に対するtanδは85%増すように、波形タイプがtanδに対して顕著な効果を有する。このことは、プリントヘッドが方形波によって駆動されるとき、PZTからの熱発生増加に一致する。
【0025】
この駆動電圧に対するtanδの結果は、異なる設計のプリントヘッドにおいて発生する熱を計算するのに使われた。4つのタイプのPZTに対し、プリントヘッド内に発生する熱とPZT内の比率を計算した。これは3つの構造のプリントヘッド、すなわち従来のモノリシックな片持ち梁エンド・シューター、山形エンド・シューターおよび山形サイド・シューターに対して行った。後者2つに対する駆動電圧はそれぞれモノリシック片持ち梁の場合の0.5倍および0.25倍と仮定した。一方、静電容量はそれぞれ2倍および4倍と仮定した。さまざまな作動条件に対し、表計算モデルがこれらの構造を計算するために用いられた。その計算は次の仮定に基づいて行われた。
【0026】
(1)充放電エッジ当たりの駆動回路内発生熱=2× 1/2CV2
(各静電容量Cの2つの壁が各射出滴に対して作動する)
(2)チャンネル当たりのPZT内拡散熱の割合=πCV2 tanδ/2
(3)駆動回路立上り時間(10〜90%)=6.6RC
(並列につながれ、インピーダンスRから充電され放電する静電容量Cの壁に対して)
【0027】
(4)インク等に対する最大温度上昇=発生熱/比熱容量×滴体積
(PZT内発生熱はすべて射出滴によって除かれると仮定)
代表的なグレイスケール作動条件に対し、次のパラメータ群を仮定した。
駆動電圧(V)=25V(モノリシックHD3203に対して。他の材料に 対しては比例する)
壁静電容量(C)=200pF
グライスケール・レベル(L)=8レベル
活性化シーケンス:三重サイクル(3つの介挿群内でチャンネルを活性化)
【0028】
波形タイプ:DRR(WO95/25011号パンフレットの図4cのようなDraw,R elease,Reinforce)
ライン周波数(F)=6.19kHz(小滴周波数=130kHz)
フル密度滴下体積=55pl
【0029】
全発生熱を駆動チップ(たとえば64ライン)毎に算出し、各構造に対する基本ケース(HD3203、モノリシック片持ち梁)に対する比を計算した。その結果を図6、7に示す。図6は算出立上り時間に沿った駆動回路内全発生熱を示し、図7はインクの温度上昇に沿ったPZT単体間発生熱を示す。
【0030】
図7から、プリントヘッド材料内発生熱はPC4Dに対して最小だが、駆動電圧は高いことがわかる。図6から、駆動チップ内発生熱も考慮に入れると、プリントヘッド間全発生熱はHD3203に対して最小だが、PC4Dプリントヘッドは次善の材料H5Eを使ったものよりも目立って悪くはないことがわかる。PC4Dに要する駆動電圧は高いが、立上り時間は同一プリントヘッド構造においてHD3203に対するものに対して均一に1/2未満である。山形エンドシューター内発生熱はモノリシック・エンドシューター内発生熱よりも2ファクター以上少なく、山形サイド・シューター内発生熱は一般に約2ファクター少ない。しかし、山形エンド・シューターおよび山形サイド・シューターの立上り時間はモノリシック・エンドシューターのそれよりも約2ファクター大きい。
【0031】
これらの結果は一見、HD3203が最適材料であり続けることを示しているようであるが、実はPC4Dを直観に反して選ぶと利点の得られる場合がある。
こうして、速い立上り時間が必要で、高い駆動電圧と熱発生に耐えられるなら、モノリシック・エンドシューターにおけるPC4Dが疑いなく最もよい(HD3203の立上り時間356nsに対して、145ns)。
【0032】
HD3203と比べて立上り時間の改善が必要なら、かつ、熱発生の低減が必要なら、山形エンドシューターにおけるPC4Dの使用が示唆される。立上り時間は356nsから251nsに短縮され、発生熱は40%低減する。同様の結果がPC4Dをモノリシック・サイドシューターに用いれば期待できる。
【0033】
非常に低い熱発生(基本ラインの場合のわずか約30%)および低駆動電圧(25Vに対し12V)とともに、手頃な立上り時間(モノリシック・エンドシューターの356nsに対して456ns)に対し、PC4Dは山形サイドシューター構造に使うべきである。そのようなプリントヘッドにおいて、インクの温度上昇は、HD3203を使うモノリシック・エンドシューターにおける21℃に比べて、約0.5℃と無視し得る。こうして、山形サイドシューター構造のPC4Dプリントヘッドは、熱的に誘起された小滴速度の変化があったとしても、ほとんどないので、高精細グレイスケール・プリンターに対して非常に好適である。
【0034】
本発明をPC4Dの文脈で説明してきたが、他のアクセプター注入圧電材料も同一の特性と長所を示し得る。
本明細書および図面に開示した各特徴は、他の特徴と独立に本発明において結合し得る。
【0035】
本明細書における「本発明の目的」という記述は、本発明の好ましい実施態様に関係があるが、必ずしも、特許請求の範囲に記載したすべての実施態様に関している訳ではない。
本明細書に付けた要約の全文を、明細書の一部としてここにくり返し載せておく。
【0036】
従来の「やわらかい」ドナー注入材料の代わりに、「かたい」アクセプター注入PZTを圧電プリントヘッドに用いる。このプリントヘッドは、好ましくは山形サイドシューター構造を有し、高精細グレイスケール印刷に対して有利である。
【符号の説明】
【0037】
2 チャンネル
5 ノズルプレート
6 ノズル
10 プリントヘッド
11 側壁
15、17、19、21、23 剪断モード・アクチュエータ
16 LSIチップ
20 ベース部
27 カバー
29 上部壁
31 下部壁
37、39、41、43、45 電極

【特許請求の範囲】
【請求項1】
液小滴射出ノズル、該ノズルが連結していてそこからノズルが小滴射出用液を供給する圧力チャンバ、およびノズルから小滴を射出するために電気信号を印加すると変形可能であるアクセプター注入圧電材料からなるチャンバ壁をもつことを特徴とする小滴堆積装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2010−23524(P2010−23524A)
【公開日】平成22年2月4日(2010.2.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−252030(P2009−252030)
【出願日】平成21年11月2日(2009.11.2)
【分割の表示】特願2000−595842(P2000−595842)の分割
【原出願日】平成12年1月24日(2000.1.24)
【出願人】(301055608)ザール テクノロジー リミテッド (31)
【Fターム(参考)】