屋上緑化装置
【課題】構造を簡易にすることで軽量化し、よって建物に対する負担を軽減させるようにした屋上緑化装置を提供する。
【解決手段】建物12の上部12aを覆う構造物(屋根)14に設置されると共に、植物16bが植えられる植栽部16が載置される載置部20からなる緑化構造体22を備えた屋上緑化装置10において、緑化構造体を構造物に支持する支持部24aと、支持部から緑化構造体の方向に突出させられる突出部24bと、載置部の端部に形成されて突出部に係止自在な係止部20aとを備え、よって植栽部16が載置される載置部20が支持部24aを介して構造物14に設置されるようにする。
【解決手段】建物12の上部12aを覆う構造物(屋根)14に設置されると共に、植物16bが植えられる植栽部16が載置される載置部20からなる緑化構造体22を備えた屋上緑化装置10において、緑化構造体を構造物に支持する支持部24aと、支持部から緑化構造体の方向に突出させられる突出部24bと、載置部の端部に形成されて突出部に係止自在な係止部20aとを備え、よって植栽部16が載置される載置部20が支持部24aを介して構造物14に設置されるようにする。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は屋上緑化装置に関し、具体的には、植物が植えられる植栽部などからなる緑化構造体を建物の上部を覆う構造物に設置して緑化するようにした装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、植物が植えられる植栽部などからなる緑化構造体を建物の上部を覆う構造物(具体的には、屋根や屋上など)に設置することで屋上などを緑化し、建物の断熱性などを向上させるようにした屋上緑化装置が提案されている(例えば、特許文献1参照)。特許文献1記載の技術にあっては、屋根に網目状の部材を敷設し、その上に土壌層や植栽マットなどからなる植栽部を載置するように構成される。
【特許文献1】特開2005−68800号公報(段落0010,0011、図1,3など)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
ところで、上記した屋上緑化装置においては、建物に対する負荷を軽減させるため、その重量は可能な限り軽量であることが望ましい。しかしながら、特許文献1記載の技術にあっては、植栽部が載置されるべき網目状の部材を単に屋根に敷設する構成であるため、網目状の部材を屋根に固定する固定部材(取り付け部材)が多数必要となって構造が複雑になり、結果としてその分だけ重量が増加するという不具合が生じていた。
【0004】
従って、この発明の目的は上記した課題を解決し、構造を簡易にすることで軽量化し、よって建物に対する負担を軽減させるようにした屋上緑化装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記した課題を解決するために、請求項1にあっては、建物の上部を覆う構造物に設置されると共に、植物が植えられる植栽部が載置される載置部からなる緑化構造体を備えた屋上緑化装置において、前記緑化構造体を前記構造物に支持する支持部と、前記支持部から前記緑化構造体の方向に突出させられる突出部と、前記載置部の端部に形成されて前記突出部に係止自在な係止部とを備え、よって前記植栽部が載置される載置部が前記支持部を介して前記構造物に設置されるように構成した。
【0006】
請求項2に係る屋上緑化装置にあっては、前記緑化構造体に隣接して設置される足場板を備えると共に、前記構造物から前記足場板の上面までの高さが前記構造物から前記緑化構造体の上面までの高さと同一または略同一になるように構成した。
【0007】
請求項3に係る屋上緑化装置にあっては、前記緑化構造体は、前記載置部に固定自在な、前記植栽部を被覆するネットを備えるように構成した。
【発明の効果】
【0008】
請求項1に係る屋上緑化装置にあっては、植栽部が載置される載置部からなる緑化構造体を構造物に支持する支持部と、支持部から緑化構造体の方向に突出させられる突出部と、載置部の端部に形成されて突出部に係止自在な係止部とを備え、よって植栽部が載置される載置部が支持部を介して構造物に設置されるように構成、即ち、載置部が係止部と突出部との係止によって支持部に固定されるように構成したので、構造を簡易にする、具体的には載置部を支持部に固定する固定部材(取り付け部材)の数量を減少させることが可能となり、よってその減少分だけ軽量化でき、建物に対する負担を軽減させることができる。
【0009】
請求項2に係る屋上緑化装置にあっては、緑化構造体に隣接して設置される足場板を備えると共に、構造物から足場板の上面までの高さが構造物から緑化構造体の上面までの高さと同一または略同一になるように構成、換言すれば、足場板の上面と緑化構造体の上面との段差がなくなる(または少なくなる)ように構成したので、上記した効果に加え、風の影響による不具合、例えば緑化構造体の植栽部が風によってめくれ上がるといった不具合を回避できると共に、整備担当者の足場板と緑化構造体との往来が容易となってメンテナンス性を向上させることができる。
【0010】
請求項3に係る屋上緑化装置にあっては、緑化構造体は、載置部に固定自在な、植栽部を被覆するネットを備えるように構成したので、上記した効果に加え、植栽部に植えられた植物が風などによって飛散するのを効果的に防止することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
以下、添付図面に即してこの発明に係る屋上緑化装置を実施するための最良の形態について説明する。
【実施例】
【0012】
図1はこの発明の実施例に係る屋上緑化装置を全体的に示す分解斜視図である。また、図2は図1に示す屋上緑化装置が複数個配置された状態を示す平面図であり、図3は図2のIII−III線拡大断面図、図4は図2のIV−IV線拡大断面図である。
【0013】
図1から図4において、符号10は屋上緑化装置を示す。屋上緑化装置10は、図1に良く示す如く、建物12(例えば工場や民家など。一部のみ示す)の上部12aを覆う構造物、具体的には屋根14に設置されると共に、植物が植えられる植栽部16が載置される載置部20などからなる緑化構造体22と、緑化構造体22を屋根14に支持する支持部24a(図2,3で見えず)と、支持部24aから緑化構造体22の方向に突出させられる突出部24b(図3で見えず)と、載置部20の端部に形成されて突出部24bに係止自在な係止部20a(図3で見えず)と、緑化構造体22に隣接して設置される足場板26(図1で図示せず)などを備える。
【0014】
上記した屋根14は、図1,3から分かるように折板屋根である。具体的には、屋根14は、建物12の上部12a(より具体的には梁)に図示しない固定部材によって固定されるタイトフレーム30と、タイトフレーム30の上に設置される、複数個の折板屋根材32などからなる。
【0015】
タイトフレーム30は、鋼材などから製作される帯状の鋼板を複数個の台形形状が並列するように加工、換言すれば、山部30aと谷部30bが連続して形成されるように加工されてなる。
【0016】
図5は図1などに示す複数個の折板屋根材32の一部を取り出して示す拡大断面図である。尚、図5において、建物の上部12aとタイトフレーム30を想像線で示す。
【0017】
折板屋根材32は、例えばフッ素樹脂鋼板から製作されると共に、図5に示す如く、タイトフレーム30の形状に沿って形成される。具体的には、折板屋根材32は、タイトフレーム30の山部30aから谷部30bを介して隣接する山部30aに即し、側面視略U字状を呈するように形成される。
【0018】
折板屋根材32の両端部には、隣接して配置されるべき折板屋根材32に接合自在な接合部32aが設けられる。従って、折板屋根材32の一端に設けられた接合部32aを、隣接する折板屋根材32の他端の接合部32aに係止させて折り曲げる、即ち、はぜ締めすることで、折板屋根材32同士は接合されて連結される。尚、このはぜ締めにより、折板屋根材32の連結部分、換言すれば、屋根14の山部14aには、側面視逆L字状を呈する突起14bが形成されることとなる(尚、図1においては、図示の簡略化のため、突起14bの図示を省略した)。
【0019】
屋上緑化装置10は、図2などにおいて符号10a1,10a2,10a3で示す如く、並列に複数個(3個)配置されると共に、それらを1個のブロックとし、符号10a,10b,10c,10dで示すように、複数個(4個)配置されてなる。尚、以下において、屋上緑化装置10を屋上緑化装置10aを中心に説明するが、屋上緑化装置10b,10c,10dも略同一の構成であるため、以下の説明は屋上緑化装置10b,10c,10dにも妥当する。
【0020】
図6は図4に示す屋上緑化装置10a1付近を示す拡大断面図であり、図7は屋上緑化装置10a2付近を、図8は屋上緑化装置10a3付近を示す拡大断面図である。
【0021】
図1および図6から図8(特に図1)に示すように、屋上緑化装置10の緑化構造体22を構成する植栽部16は、断熱性および保水性を有するロックウール(人造鉱物繊維)から製作されると共に、板状を呈する1枚の繊維ボード16aと、繊維ボード16aに植えられる植物16b(図1にのみ示す)とを備える。植栽部16の寸法は、例えば図2における縦方向(図6〜8で紙面左右方向)が920mm、横方向(長手方向)が4000mmであり、厚さは約20mmである。尚、前記した植物16bは、例えばスナゴケなどである。
【0022】
載置部20は、例えばビニールコーティングされた鉄線(線材)などを用いて製作され、格子状を呈する複数個(2個)のメッシュボード(メッシュフェンス)からなる。また、前述した如く、載置部20の端部、正確には長手方向と直交する方向の両端部には、緑化構造体22の方向(上方)に湾曲させられ、側面視略円弧状(凸状)を呈する係止部(凸部)20aが形成される。この係止部20aは弾性変形自在とされる。
【0023】
上記の如く構成された載置部20の寸法は、例えば縦方向(図6〜8で紙面左右方向)が1120mm、横方向(長手方向)が2000mmである。また、載置部20における格子の寸法(メッシュ寸法)は、載置されるべき植栽部16が格子孔から落下することのない値、例えば縦80mm、横50mmとされる。
【0024】
緑化構造体22は、植栽部16などに加え、植栽部16に固定自在な、植栽部16を被覆するネット34を備える。ネット34はポリプロピレンなどの樹脂材から製作され、その目合は例えば10mm目とされる。尚、ネット34の寸法は、植栽部16を被覆可能な値、詳しくは植栽部16の寸法に比して僅かに大きな値とされる。
【0025】
このように、緑化構造体22は植栽部16、載置部20およびネット34を備え、後述する如く、紙面上方からネット34、植栽部16、載置部20の順に積層されて多層構造とされる。
【0026】
図9は図3に示す屋上緑化装置10において破線Aで囲まれた部分を示す拡大断面図であり、図10は図3において破線Bで囲まれた部分を示す拡大断面図である。また、図11は図2に示す屋上緑化装置10aにおいて緑化構造体22などを取り外した状態、別言すれば、緑化構造体22を取り付ける前の状態を示す拡大平面図である。尚、図示の簡略化のため、図11において屋根14の図示は省略した。
【0027】
屋上緑化装置10の支持部24aと突出部24bは、図1および図6から図11、特に図1に示すように、L型鋼(アングル。以下「第1のL型鋼」という)24である。即ち、屋上緑化装置10(10a1)において、第1のL型鋼24は、緑化構造体22を屋根14に支持する支持部24aと、支持部24aから緑化構造体22の方向に突出させられる突出部24bとからなると共に、図示の如く、複数本(2本)備える。尚、第1のL型鋼24の長さは、載置部20の横方向の長さ(2000mm)の2個分、即ち、約4000mmとされる。
【0028】
屋上緑化装置10は、第1のL型鋼24に加え、第1のL型鋼24の両端部付近に配置される複数本(2本)の第2のL型鋼(アングル)36と、第1、第2のL型鋼24,36を屋根14に支持する複数本(5本)の第3のL型鋼(アングル)40とを備える。
【0029】
第2のL型鋼36は、第1のL型鋼24と同様、緑化構造体22を第3のL型鋼40などを介して屋根14に支持する支持部36aと、支持部36aから紙面上方、具体的には支持部36aから緑化構造体22の方向に突出させられる突出部36bとからなる。また、第2のL型鋼36の長さは、載置部20の縦方向の長さ(1120mm)より僅かに短い値とされる。
【0030】
第3のL型鋼40は、第1あるいは第2のL型鋼24,36を支持する支持部40aと、支持部40aから紙面下方、具体的には、屋根14の方向に突出させられる突出部40bとからなる。第3のL型鋼40の長さは、屋上緑化装置10や屋根14の大きさに応じて適宜設定される。尚、第1から第3のL型鋼24,36,40は、例えば亜鉛メッキ鋼板から製作される。
【0031】
上記した第3のL型鋼40は、複数個の固定金具42(図1で図示せず)によって屋根14(正確には屋根14の突起14b)に固定される。図12はその固定金具42を示す拡大側面図であり、図13は図12に示す固定金具42の平面図である。
【0032】
図12,13に示すように、固定金具42は、折板屋根用のつかみ金物(角はぜ用)であり、具体的には第1、第2の金具片42a,42bと、第1、第2の金具片42a,42bとを組み付ける2組のボルト42c、ナット42dとからなる。
【0033】
第1、第2の金具片42a,42bは、側面視略コの字状を呈し、背中合わせとなるようにして配置される。第1の金具片42aにおいて第2の金具片42bと接触する部位には、図示の如く、外側(即ち、第2の金具片42bと離間する方向)に向けて湾曲する湾曲部42a1が形成される。また、第1、第2の金具片42a,42bの上部であって第3のL型鋼40と接する部位の適宜位置には、後述する固定用ボルトが挿通されるべきボルト孔42a2,42b1がそれぞれ穿設される。
【0034】
詳細な図示は省略するが、第1から第3のL型鋼24,36,40の支持部24a,36a,40aの適宜位置、正確には、固定金具42に対応する位置には、固定用ボルトが挿通されるべきボルト孔が穿設される。
【0035】
また、第2、第3のL型鋼36,40は、図1などから分かるように、屋根14において山部14aが形成される方向(矢印Cで示す)と略平行となるように配置される。一方、第1のL型鋼24は、第2、第3のL型鋼36,40と直交する方向(山部14aと直交する方向)であって、緑化構造体22の載置部20の長手方向と略平行となるように配置される。
【0036】
足場板26は、図2または図11などに示すように、緑化構造体22に隣接する位置、具体的には緑化構造体22の周囲を取り囲むように複数個(正確には、1個の屋上緑化装置10aにつき4個であり、屋上緑化装置10a〜10dでは計16個)配置される。足場板26は、金属材、例えばアルミニウム材から製作されると共に、整備担当者などが歩行自在な長板形状とされ、その寸法は緑化構造体22などに応じて適宜設定される。
【0037】
次いで、上記の如く構成された屋上緑化装置10の屋根14への取り付け(組み立て)について説明する。
【0038】
先ず固定金具42を屋根14に取り付ける。具体的には、図9,10に良く示すように、第1、第2の金具片42a,42bを屋根14の突起14bを挟むように配置、より具体的には、第1の金具片42aの湾曲部42a1と第2の金具片42bとの間に形成される空間に突起14bが位置されるように配置し、ボルト42cとナット42dで締結固定する。尚、このようにして屋根14に取り付けられた固定金具42の位置を、図2または図11において黒四角印で模式的に示した。
【0039】
次いで、固定金具42の上に第3のL型鋼40を配置、正確には第3のL型鋼40の支持部40aが固定金具42に接すると共に、突出部40bが屋根14の方向に突出するようにして配置する。その後、第3のL型鋼40の支持部40aの上に、第1、第2のL型鋼24,36を敷設する。
【0040】
具体的には、図1などに示すように、第1、第2のL型鋼24,36の支持部24a,36aが第3のL型鋼40の支持部40aに接すると共に、突出部24b,36bが後に取り付けられる緑化構造体22の方向に突出するようにして配置、換言すれば、第1、第2のL型鋼24,36の支持部24a,36aが互いに向き合う(接する)ように配置する。これにより、突出部24b,36bは緑化構造体22を取り囲むように設置されることとなる。
【0041】
このとき、第1のL型鋼24の突出部24bと対応する(向き合うように配置される)第1のL型鋼24の突出部24bとの離間距離、換言すれば、向き合うように配置される突出部24bにおいて載置部20の係止部20aに接触する面24b1の離間距離(図11において符号lで示す)は、前述した載置部20の縦方向の長さ(即ち、1120mm)よりも僅かに小さい値とされる。
【0042】
次いで、固定金具42とその上に配置された第3のL型鋼40および第1、第2のL型鋼24,36とを固定用ボルト44と固定用ナット46(図9,10にのみ示す)を用いて固定する。即ち、固定用ボルト44を、第1あるいは第2のL型鋼24,36のボルト孔、第3のL型鋼40のボルト孔および固定金具42のボルト孔42a2(あるいは42b1)に挿通し、固定用ナット46を締めて締結固定する。
【0043】
その後、足場板26を第1、第2のL型鋼24,36の周囲(外周)、別言すれば、後に取り付けられる緑化構造体22の周囲に隣接させて配置し、タッピングビス50(図11に示す)によって第1、第2のL型鋼24,36に固定する。尚、理解の便宜のため、図11でタッピングビス50を誇張して示した。
【0044】
次いで、緑化構造体22を第1、第2のL型鋼24,36に固定する。具体的には、先ず緑化構造体22の載置部20の係止部20aを、図6〜8などに示す如く、第1のL型鋼24の突出部24bに係止させる。即ち、前述した如く、第1のL型鋼24の突出部24bと対応する第1のL型鋼24の突出部24bとの離間距離lは、載置部20の縦方向の長さよりも僅かに小さい値とされるため、載置部20を第1のL型鋼24の間に配置するとき、係止部20aは弾性変形して撓み、それによって係止部20aは突出部24bに係止される。これにより、載置部20は、固定部材(取り付け部材)などを必要とすることなく、2本の第1のL型鋼24の間に挟持されて固定される。
【0045】
このように、載置部20の係止部20aは第1のL型鋼24の突出部24bに係止自在とされ、よって載置部20は第1のL型鋼24の支持部24aを介して屋根14に設置される。
【0046】
そして、載置部20を第2のL型鋼36に、図14に示すような載置部用固定金具52を用いて複数箇所(1個の載置部20につき例えば2箇所。図1で丸印Dで示す)固定する。載置部用固定金具52は、図示の如く側面視略U字状を呈し、その内部空間に載置部20の一端(載置部20の長手方向の端部であって第2のL型鋼36に近接する側の一端)20bを挟んだ後、ネジ54を用いて第2のL型鋼36の支持部36aに固定する。このようにして載置部20は第1、第2のL型鋼24,36に固定される。
【0047】
次いで、図6から図10に示すように、載置部20に植栽部16を載置し、ネット34を植栽部16に被覆させる。その後、ネット34の端部34aと載置部20の係止部20aとをクリップ56を用いて挟むことでネット34を載置部20に固定し、屋上緑化装置10が完成する。
【0048】
このとき、屋上緑化装置10において、屋根14から足場板26の上面26aまでの高さh1(図10に示す)は、屋根14から緑化構造体22の上面22a(正確にはネット34の上面)までの高さh2と同一または略同一になるように構成される。
【0049】
このように、植物16bが植えられる植栽部16などからなる緑化構造体22を備える屋上緑化装置10を建物12の屋根14に設置して緑化することで、建物12の断熱性などを向上させることができる。
【0050】
以上の如く、この発明の実施例にあっては、建物12の上部12aを覆う構造物(屋根)14に設置されると共に、植物16bが植えられる植栽部16が載置される載置部20からなる緑化構造体22を備えた屋上緑化装置10において、前記緑化構造体を前記構造物に支持する支持部(第1のL型鋼の支持部)24aと、前記支持部から前記緑化構造体の方向に突出させられる突出部(第1のL型鋼の突出部)24bと、前記載置部の端部に形成されて前記突出部に係止自在な係止部20aとを備え、よって前記植栽部16が載置される載置部20が前記支持部24aを介して前記構造物14に設置されるように構成した。
【0051】
このように、載置部20が係止部20aと突出部24bとの係止によって支持部24aに固定されるように構成したので、構造を簡易にする、具体的には載置部20を支持部24aに固定する固定部材(取り付け部材)を不要とし、載置部20を支持部36aに固定する固定部材(載置部用固定金具52)の数量も減少させることが可能となり、よってその減少分だけ軽量化でき、建物12に対する負担を軽減させることができる。
【0052】
また、前記緑化構造体22に隣接して設置される足場板26を備えると共に、前記構造物(屋根)14から前記足場板26の上面26aまでの高さh1が前記構造物14から前記緑化構造体22の上面22aまでの高さh2と同一または略同一になるように構成、換言すれば、換言すれば、足場板26の上面26aと緑化構造体22の上面22aとの段差がなくなる(または少なくなる)ように構成したので、風の影響による不具合、例えば緑化構造体22の植栽部16が風によってめくれ上がるといった不具合を回避できると共に、整備担当者の足場板26と緑化構造体22との往来が容易となってメンテナンス性を向上させることができる。
【0053】
また、前記緑化構造体22は、前記載置部20に固定自在な、前記植栽部16を被覆するネット34を備えるように構成した。これにより、植栽部16に植えられた植物16bが風などによって飛散するのを効果的に防止することができる。
【0054】
尚、上記において、屋上緑化装置10の緑化構造体22を建物12の屋根14に設置するように構成したが、建物の屋上などであっても良く、その意味から請求項1において「建物の上部を覆う構造物に設置される」と記載した。
【0055】
また、植栽部16や載置部20などの寸法や材質などを具体的に示したが、それらは例示であって限定されるものではない。また、屋上緑化装置10a1,10a2,10a3を並列に配置し、それらを1個のブロックとして4個(10a,10b,10c,10d)配置するように構成したが、これらの配列などは例示であって限定されるものではない。
【0056】
また、植栽部16にスナゴケを植えるように構成したが、それに限られるものではなく、ハイゴケなどの他のコケ類あるいは草花などの他の植物を植えるように構成しても良い。
【図面の簡単な説明】
【0057】
【図1】この発明の実施例に係る屋上緑化装置を全体的に示す分解斜視図である。
【図2】図1に示す屋上緑化装置が複数個配置された状態を示す平面図である。
【図3】図2のIII−III線拡大断面図である。
【図4】図2のIV−IV 線拡大断面図である。
【図5】図1などに示す複数個の折板屋根材の一部を取り出して示す拡大断面図である。
【図6】図4に示す屋上緑化装置の一部を拡大して示す拡大断面図である。
【図7】図4に示す屋上緑化装置の一部を拡大して示す、図6と同様な拡大断面図である。
【図8】図4に示す屋上緑化装置の一部を拡大して示す、図6と同様な拡大断面図である。
【図9】図3に示す屋上緑化装置において破線Aで囲まれた部分を示す拡大断面図である。
【図10】図3に示す屋上緑化装置において破線Bで囲まれた部分を示す拡大断面図である。
【図11】図2に示す屋上緑化装置において緑化構造体などを取り外した状態を示す拡大平面図である。
【図12】図9などに示す固定金具を示す拡大側面図である。
【図13】図12に示す固定金具の平面図である。
【図14】図1などに示す載置部を第2のL型鋼に固定するための載置部用固定金具を示す拡大斜視図である。
【符号の説明】
【0058】
10 屋上緑化装置、12 建物、12a (建物の)上部、14 屋根(構造物)、16 植栽部、16b 植物、20 載置部、20a 係止部、22 緑化構造体、22a (緑化構造体の)上面、26 足場板、26a (足場板の)上面、24 第1のL型鋼、24a (第1のL型鋼の)支持部、24b (第1のL型鋼の)突出部、34 ネット
【技術分野】
【0001】
この発明は屋上緑化装置に関し、具体的には、植物が植えられる植栽部などからなる緑化構造体を建物の上部を覆う構造物に設置して緑化するようにした装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、植物が植えられる植栽部などからなる緑化構造体を建物の上部を覆う構造物(具体的には、屋根や屋上など)に設置することで屋上などを緑化し、建物の断熱性などを向上させるようにした屋上緑化装置が提案されている(例えば、特許文献1参照)。特許文献1記載の技術にあっては、屋根に網目状の部材を敷設し、その上に土壌層や植栽マットなどからなる植栽部を載置するように構成される。
【特許文献1】特開2005−68800号公報(段落0010,0011、図1,3など)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
ところで、上記した屋上緑化装置においては、建物に対する負荷を軽減させるため、その重量は可能な限り軽量であることが望ましい。しかしながら、特許文献1記載の技術にあっては、植栽部が載置されるべき網目状の部材を単に屋根に敷設する構成であるため、網目状の部材を屋根に固定する固定部材(取り付け部材)が多数必要となって構造が複雑になり、結果としてその分だけ重量が増加するという不具合が生じていた。
【0004】
従って、この発明の目的は上記した課題を解決し、構造を簡易にすることで軽量化し、よって建物に対する負担を軽減させるようにした屋上緑化装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記した課題を解決するために、請求項1にあっては、建物の上部を覆う構造物に設置されると共に、植物が植えられる植栽部が載置される載置部からなる緑化構造体を備えた屋上緑化装置において、前記緑化構造体を前記構造物に支持する支持部と、前記支持部から前記緑化構造体の方向に突出させられる突出部と、前記載置部の端部に形成されて前記突出部に係止自在な係止部とを備え、よって前記植栽部が載置される載置部が前記支持部を介して前記構造物に設置されるように構成した。
【0006】
請求項2に係る屋上緑化装置にあっては、前記緑化構造体に隣接して設置される足場板を備えると共に、前記構造物から前記足場板の上面までの高さが前記構造物から前記緑化構造体の上面までの高さと同一または略同一になるように構成した。
【0007】
請求項3に係る屋上緑化装置にあっては、前記緑化構造体は、前記載置部に固定自在な、前記植栽部を被覆するネットを備えるように構成した。
【発明の効果】
【0008】
請求項1に係る屋上緑化装置にあっては、植栽部が載置される載置部からなる緑化構造体を構造物に支持する支持部と、支持部から緑化構造体の方向に突出させられる突出部と、載置部の端部に形成されて突出部に係止自在な係止部とを備え、よって植栽部が載置される載置部が支持部を介して構造物に設置されるように構成、即ち、載置部が係止部と突出部との係止によって支持部に固定されるように構成したので、構造を簡易にする、具体的には載置部を支持部に固定する固定部材(取り付け部材)の数量を減少させることが可能となり、よってその減少分だけ軽量化でき、建物に対する負担を軽減させることができる。
【0009】
請求項2に係る屋上緑化装置にあっては、緑化構造体に隣接して設置される足場板を備えると共に、構造物から足場板の上面までの高さが構造物から緑化構造体の上面までの高さと同一または略同一になるように構成、換言すれば、足場板の上面と緑化構造体の上面との段差がなくなる(または少なくなる)ように構成したので、上記した効果に加え、風の影響による不具合、例えば緑化構造体の植栽部が風によってめくれ上がるといった不具合を回避できると共に、整備担当者の足場板と緑化構造体との往来が容易となってメンテナンス性を向上させることができる。
【0010】
請求項3に係る屋上緑化装置にあっては、緑化構造体は、載置部に固定自在な、植栽部を被覆するネットを備えるように構成したので、上記した効果に加え、植栽部に植えられた植物が風などによって飛散するのを効果的に防止することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
以下、添付図面に即してこの発明に係る屋上緑化装置を実施するための最良の形態について説明する。
【実施例】
【0012】
図1はこの発明の実施例に係る屋上緑化装置を全体的に示す分解斜視図である。また、図2は図1に示す屋上緑化装置が複数個配置された状態を示す平面図であり、図3は図2のIII−III線拡大断面図、図4は図2のIV−IV線拡大断面図である。
【0013】
図1から図4において、符号10は屋上緑化装置を示す。屋上緑化装置10は、図1に良く示す如く、建物12(例えば工場や民家など。一部のみ示す)の上部12aを覆う構造物、具体的には屋根14に設置されると共に、植物が植えられる植栽部16が載置される載置部20などからなる緑化構造体22と、緑化構造体22を屋根14に支持する支持部24a(図2,3で見えず)と、支持部24aから緑化構造体22の方向に突出させられる突出部24b(図3で見えず)と、載置部20の端部に形成されて突出部24bに係止自在な係止部20a(図3で見えず)と、緑化構造体22に隣接して設置される足場板26(図1で図示せず)などを備える。
【0014】
上記した屋根14は、図1,3から分かるように折板屋根である。具体的には、屋根14は、建物12の上部12a(より具体的には梁)に図示しない固定部材によって固定されるタイトフレーム30と、タイトフレーム30の上に設置される、複数個の折板屋根材32などからなる。
【0015】
タイトフレーム30は、鋼材などから製作される帯状の鋼板を複数個の台形形状が並列するように加工、換言すれば、山部30aと谷部30bが連続して形成されるように加工されてなる。
【0016】
図5は図1などに示す複数個の折板屋根材32の一部を取り出して示す拡大断面図である。尚、図5において、建物の上部12aとタイトフレーム30を想像線で示す。
【0017】
折板屋根材32は、例えばフッ素樹脂鋼板から製作されると共に、図5に示す如く、タイトフレーム30の形状に沿って形成される。具体的には、折板屋根材32は、タイトフレーム30の山部30aから谷部30bを介して隣接する山部30aに即し、側面視略U字状を呈するように形成される。
【0018】
折板屋根材32の両端部には、隣接して配置されるべき折板屋根材32に接合自在な接合部32aが設けられる。従って、折板屋根材32の一端に設けられた接合部32aを、隣接する折板屋根材32の他端の接合部32aに係止させて折り曲げる、即ち、はぜ締めすることで、折板屋根材32同士は接合されて連結される。尚、このはぜ締めにより、折板屋根材32の連結部分、換言すれば、屋根14の山部14aには、側面視逆L字状を呈する突起14bが形成されることとなる(尚、図1においては、図示の簡略化のため、突起14bの図示を省略した)。
【0019】
屋上緑化装置10は、図2などにおいて符号10a1,10a2,10a3で示す如く、並列に複数個(3個)配置されると共に、それらを1個のブロックとし、符号10a,10b,10c,10dで示すように、複数個(4個)配置されてなる。尚、以下において、屋上緑化装置10を屋上緑化装置10aを中心に説明するが、屋上緑化装置10b,10c,10dも略同一の構成であるため、以下の説明は屋上緑化装置10b,10c,10dにも妥当する。
【0020】
図6は図4に示す屋上緑化装置10a1付近を示す拡大断面図であり、図7は屋上緑化装置10a2付近を、図8は屋上緑化装置10a3付近を示す拡大断面図である。
【0021】
図1および図6から図8(特に図1)に示すように、屋上緑化装置10の緑化構造体22を構成する植栽部16は、断熱性および保水性を有するロックウール(人造鉱物繊維)から製作されると共に、板状を呈する1枚の繊維ボード16aと、繊維ボード16aに植えられる植物16b(図1にのみ示す)とを備える。植栽部16の寸法は、例えば図2における縦方向(図6〜8で紙面左右方向)が920mm、横方向(長手方向)が4000mmであり、厚さは約20mmである。尚、前記した植物16bは、例えばスナゴケなどである。
【0022】
載置部20は、例えばビニールコーティングされた鉄線(線材)などを用いて製作され、格子状を呈する複数個(2個)のメッシュボード(メッシュフェンス)からなる。また、前述した如く、載置部20の端部、正確には長手方向と直交する方向の両端部には、緑化構造体22の方向(上方)に湾曲させられ、側面視略円弧状(凸状)を呈する係止部(凸部)20aが形成される。この係止部20aは弾性変形自在とされる。
【0023】
上記の如く構成された載置部20の寸法は、例えば縦方向(図6〜8で紙面左右方向)が1120mm、横方向(長手方向)が2000mmである。また、載置部20における格子の寸法(メッシュ寸法)は、載置されるべき植栽部16が格子孔から落下することのない値、例えば縦80mm、横50mmとされる。
【0024】
緑化構造体22は、植栽部16などに加え、植栽部16に固定自在な、植栽部16を被覆するネット34を備える。ネット34はポリプロピレンなどの樹脂材から製作され、その目合は例えば10mm目とされる。尚、ネット34の寸法は、植栽部16を被覆可能な値、詳しくは植栽部16の寸法に比して僅かに大きな値とされる。
【0025】
このように、緑化構造体22は植栽部16、載置部20およびネット34を備え、後述する如く、紙面上方からネット34、植栽部16、載置部20の順に積層されて多層構造とされる。
【0026】
図9は図3に示す屋上緑化装置10において破線Aで囲まれた部分を示す拡大断面図であり、図10は図3において破線Bで囲まれた部分を示す拡大断面図である。また、図11は図2に示す屋上緑化装置10aにおいて緑化構造体22などを取り外した状態、別言すれば、緑化構造体22を取り付ける前の状態を示す拡大平面図である。尚、図示の簡略化のため、図11において屋根14の図示は省略した。
【0027】
屋上緑化装置10の支持部24aと突出部24bは、図1および図6から図11、特に図1に示すように、L型鋼(アングル。以下「第1のL型鋼」という)24である。即ち、屋上緑化装置10(10a1)において、第1のL型鋼24は、緑化構造体22を屋根14に支持する支持部24aと、支持部24aから緑化構造体22の方向に突出させられる突出部24bとからなると共に、図示の如く、複数本(2本)備える。尚、第1のL型鋼24の長さは、載置部20の横方向の長さ(2000mm)の2個分、即ち、約4000mmとされる。
【0028】
屋上緑化装置10は、第1のL型鋼24に加え、第1のL型鋼24の両端部付近に配置される複数本(2本)の第2のL型鋼(アングル)36と、第1、第2のL型鋼24,36を屋根14に支持する複数本(5本)の第3のL型鋼(アングル)40とを備える。
【0029】
第2のL型鋼36は、第1のL型鋼24と同様、緑化構造体22を第3のL型鋼40などを介して屋根14に支持する支持部36aと、支持部36aから紙面上方、具体的には支持部36aから緑化構造体22の方向に突出させられる突出部36bとからなる。また、第2のL型鋼36の長さは、載置部20の縦方向の長さ(1120mm)より僅かに短い値とされる。
【0030】
第3のL型鋼40は、第1あるいは第2のL型鋼24,36を支持する支持部40aと、支持部40aから紙面下方、具体的には、屋根14の方向に突出させられる突出部40bとからなる。第3のL型鋼40の長さは、屋上緑化装置10や屋根14の大きさに応じて適宜設定される。尚、第1から第3のL型鋼24,36,40は、例えば亜鉛メッキ鋼板から製作される。
【0031】
上記した第3のL型鋼40は、複数個の固定金具42(図1で図示せず)によって屋根14(正確には屋根14の突起14b)に固定される。図12はその固定金具42を示す拡大側面図であり、図13は図12に示す固定金具42の平面図である。
【0032】
図12,13に示すように、固定金具42は、折板屋根用のつかみ金物(角はぜ用)であり、具体的には第1、第2の金具片42a,42bと、第1、第2の金具片42a,42bとを組み付ける2組のボルト42c、ナット42dとからなる。
【0033】
第1、第2の金具片42a,42bは、側面視略コの字状を呈し、背中合わせとなるようにして配置される。第1の金具片42aにおいて第2の金具片42bと接触する部位には、図示の如く、外側(即ち、第2の金具片42bと離間する方向)に向けて湾曲する湾曲部42a1が形成される。また、第1、第2の金具片42a,42bの上部であって第3のL型鋼40と接する部位の適宜位置には、後述する固定用ボルトが挿通されるべきボルト孔42a2,42b1がそれぞれ穿設される。
【0034】
詳細な図示は省略するが、第1から第3のL型鋼24,36,40の支持部24a,36a,40aの適宜位置、正確には、固定金具42に対応する位置には、固定用ボルトが挿通されるべきボルト孔が穿設される。
【0035】
また、第2、第3のL型鋼36,40は、図1などから分かるように、屋根14において山部14aが形成される方向(矢印Cで示す)と略平行となるように配置される。一方、第1のL型鋼24は、第2、第3のL型鋼36,40と直交する方向(山部14aと直交する方向)であって、緑化構造体22の載置部20の長手方向と略平行となるように配置される。
【0036】
足場板26は、図2または図11などに示すように、緑化構造体22に隣接する位置、具体的には緑化構造体22の周囲を取り囲むように複数個(正確には、1個の屋上緑化装置10aにつき4個であり、屋上緑化装置10a〜10dでは計16個)配置される。足場板26は、金属材、例えばアルミニウム材から製作されると共に、整備担当者などが歩行自在な長板形状とされ、その寸法は緑化構造体22などに応じて適宜設定される。
【0037】
次いで、上記の如く構成された屋上緑化装置10の屋根14への取り付け(組み立て)について説明する。
【0038】
先ず固定金具42を屋根14に取り付ける。具体的には、図9,10に良く示すように、第1、第2の金具片42a,42bを屋根14の突起14bを挟むように配置、より具体的には、第1の金具片42aの湾曲部42a1と第2の金具片42bとの間に形成される空間に突起14bが位置されるように配置し、ボルト42cとナット42dで締結固定する。尚、このようにして屋根14に取り付けられた固定金具42の位置を、図2または図11において黒四角印で模式的に示した。
【0039】
次いで、固定金具42の上に第3のL型鋼40を配置、正確には第3のL型鋼40の支持部40aが固定金具42に接すると共に、突出部40bが屋根14の方向に突出するようにして配置する。その後、第3のL型鋼40の支持部40aの上に、第1、第2のL型鋼24,36を敷設する。
【0040】
具体的には、図1などに示すように、第1、第2のL型鋼24,36の支持部24a,36aが第3のL型鋼40の支持部40aに接すると共に、突出部24b,36bが後に取り付けられる緑化構造体22の方向に突出するようにして配置、換言すれば、第1、第2のL型鋼24,36の支持部24a,36aが互いに向き合う(接する)ように配置する。これにより、突出部24b,36bは緑化構造体22を取り囲むように設置されることとなる。
【0041】
このとき、第1のL型鋼24の突出部24bと対応する(向き合うように配置される)第1のL型鋼24の突出部24bとの離間距離、換言すれば、向き合うように配置される突出部24bにおいて載置部20の係止部20aに接触する面24b1の離間距離(図11において符号lで示す)は、前述した載置部20の縦方向の長さ(即ち、1120mm)よりも僅かに小さい値とされる。
【0042】
次いで、固定金具42とその上に配置された第3のL型鋼40および第1、第2のL型鋼24,36とを固定用ボルト44と固定用ナット46(図9,10にのみ示す)を用いて固定する。即ち、固定用ボルト44を、第1あるいは第2のL型鋼24,36のボルト孔、第3のL型鋼40のボルト孔および固定金具42のボルト孔42a2(あるいは42b1)に挿通し、固定用ナット46を締めて締結固定する。
【0043】
その後、足場板26を第1、第2のL型鋼24,36の周囲(外周)、別言すれば、後に取り付けられる緑化構造体22の周囲に隣接させて配置し、タッピングビス50(図11に示す)によって第1、第2のL型鋼24,36に固定する。尚、理解の便宜のため、図11でタッピングビス50を誇張して示した。
【0044】
次いで、緑化構造体22を第1、第2のL型鋼24,36に固定する。具体的には、先ず緑化構造体22の載置部20の係止部20aを、図6〜8などに示す如く、第1のL型鋼24の突出部24bに係止させる。即ち、前述した如く、第1のL型鋼24の突出部24bと対応する第1のL型鋼24の突出部24bとの離間距離lは、載置部20の縦方向の長さよりも僅かに小さい値とされるため、載置部20を第1のL型鋼24の間に配置するとき、係止部20aは弾性変形して撓み、それによって係止部20aは突出部24bに係止される。これにより、載置部20は、固定部材(取り付け部材)などを必要とすることなく、2本の第1のL型鋼24の間に挟持されて固定される。
【0045】
このように、載置部20の係止部20aは第1のL型鋼24の突出部24bに係止自在とされ、よって載置部20は第1のL型鋼24の支持部24aを介して屋根14に設置される。
【0046】
そして、載置部20を第2のL型鋼36に、図14に示すような載置部用固定金具52を用いて複数箇所(1個の載置部20につき例えば2箇所。図1で丸印Dで示す)固定する。載置部用固定金具52は、図示の如く側面視略U字状を呈し、その内部空間に載置部20の一端(載置部20の長手方向の端部であって第2のL型鋼36に近接する側の一端)20bを挟んだ後、ネジ54を用いて第2のL型鋼36の支持部36aに固定する。このようにして載置部20は第1、第2のL型鋼24,36に固定される。
【0047】
次いで、図6から図10に示すように、載置部20に植栽部16を載置し、ネット34を植栽部16に被覆させる。その後、ネット34の端部34aと載置部20の係止部20aとをクリップ56を用いて挟むことでネット34を載置部20に固定し、屋上緑化装置10が完成する。
【0048】
このとき、屋上緑化装置10において、屋根14から足場板26の上面26aまでの高さh1(図10に示す)は、屋根14から緑化構造体22の上面22a(正確にはネット34の上面)までの高さh2と同一または略同一になるように構成される。
【0049】
このように、植物16bが植えられる植栽部16などからなる緑化構造体22を備える屋上緑化装置10を建物12の屋根14に設置して緑化することで、建物12の断熱性などを向上させることができる。
【0050】
以上の如く、この発明の実施例にあっては、建物12の上部12aを覆う構造物(屋根)14に設置されると共に、植物16bが植えられる植栽部16が載置される載置部20からなる緑化構造体22を備えた屋上緑化装置10において、前記緑化構造体を前記構造物に支持する支持部(第1のL型鋼の支持部)24aと、前記支持部から前記緑化構造体の方向に突出させられる突出部(第1のL型鋼の突出部)24bと、前記載置部の端部に形成されて前記突出部に係止自在な係止部20aとを備え、よって前記植栽部16が載置される載置部20が前記支持部24aを介して前記構造物14に設置されるように構成した。
【0051】
このように、載置部20が係止部20aと突出部24bとの係止によって支持部24aに固定されるように構成したので、構造を簡易にする、具体的には載置部20を支持部24aに固定する固定部材(取り付け部材)を不要とし、載置部20を支持部36aに固定する固定部材(載置部用固定金具52)の数量も減少させることが可能となり、よってその減少分だけ軽量化でき、建物12に対する負担を軽減させることができる。
【0052】
また、前記緑化構造体22に隣接して設置される足場板26を備えると共に、前記構造物(屋根)14から前記足場板26の上面26aまでの高さh1が前記構造物14から前記緑化構造体22の上面22aまでの高さh2と同一または略同一になるように構成、換言すれば、換言すれば、足場板26の上面26aと緑化構造体22の上面22aとの段差がなくなる(または少なくなる)ように構成したので、風の影響による不具合、例えば緑化構造体22の植栽部16が風によってめくれ上がるといった不具合を回避できると共に、整備担当者の足場板26と緑化構造体22との往来が容易となってメンテナンス性を向上させることができる。
【0053】
また、前記緑化構造体22は、前記載置部20に固定自在な、前記植栽部16を被覆するネット34を備えるように構成した。これにより、植栽部16に植えられた植物16bが風などによって飛散するのを効果的に防止することができる。
【0054】
尚、上記において、屋上緑化装置10の緑化構造体22を建物12の屋根14に設置するように構成したが、建物の屋上などであっても良く、その意味から請求項1において「建物の上部を覆う構造物に設置される」と記載した。
【0055】
また、植栽部16や載置部20などの寸法や材質などを具体的に示したが、それらは例示であって限定されるものではない。また、屋上緑化装置10a1,10a2,10a3を並列に配置し、それらを1個のブロックとして4個(10a,10b,10c,10d)配置するように構成したが、これらの配列などは例示であって限定されるものではない。
【0056】
また、植栽部16にスナゴケを植えるように構成したが、それに限られるものではなく、ハイゴケなどの他のコケ類あるいは草花などの他の植物を植えるように構成しても良い。
【図面の簡単な説明】
【0057】
【図1】この発明の実施例に係る屋上緑化装置を全体的に示す分解斜視図である。
【図2】図1に示す屋上緑化装置が複数個配置された状態を示す平面図である。
【図3】図2のIII−III線拡大断面図である。
【図4】図2のIV−IV 線拡大断面図である。
【図5】図1などに示す複数個の折板屋根材の一部を取り出して示す拡大断面図である。
【図6】図4に示す屋上緑化装置の一部を拡大して示す拡大断面図である。
【図7】図4に示す屋上緑化装置の一部を拡大して示す、図6と同様な拡大断面図である。
【図8】図4に示す屋上緑化装置の一部を拡大して示す、図6と同様な拡大断面図である。
【図9】図3に示す屋上緑化装置において破線Aで囲まれた部分を示す拡大断面図である。
【図10】図3に示す屋上緑化装置において破線Bで囲まれた部分を示す拡大断面図である。
【図11】図2に示す屋上緑化装置において緑化構造体などを取り外した状態を示す拡大平面図である。
【図12】図9などに示す固定金具を示す拡大側面図である。
【図13】図12に示す固定金具の平面図である。
【図14】図1などに示す載置部を第2のL型鋼に固定するための載置部用固定金具を示す拡大斜視図である。
【符号の説明】
【0058】
10 屋上緑化装置、12 建物、12a (建物の)上部、14 屋根(構造物)、16 植栽部、16b 植物、20 載置部、20a 係止部、22 緑化構造体、22a (緑化構造体の)上面、26 足場板、26a (足場板の)上面、24 第1のL型鋼、24a (第1のL型鋼の)支持部、24b (第1のL型鋼の)突出部、34 ネット
【特許請求の範囲】
【請求項1】
建物の上部を覆う構造物に設置されると共に、植物が植えられる植栽部が載置される載置部からなる緑化構造体を備えた屋上緑化装置において、前記緑化構造体を前記構造物に支持する支持部と、前記支持部から前記緑化構造体の方向に突出させられる突出部と、前記載置部の端部に形成されて前記突出部に係止自在な係止部とを備え、よって前記植栽部が載置される載置部が前記支持部を介して前記構造物に設置されるように構成したことを特徴とする屋上緑化装置。
【請求項2】
前記緑化構造体に隣接して設置される足場板を備えると共に、前記構造物から前記足場板の上面までの高さが前記構造物から前記緑化構造体の上面までの高さと同一または略同一になるように構成したことを特徴とする請求項1記載の屋上緑化装置。
【請求項3】
前記緑化構造体は、前記載置部に固定自在な、前記植栽部を被覆するネットを備えることを特徴とする請求項1または2記載の屋上緑化装置。
【請求項1】
建物の上部を覆う構造物に設置されると共に、植物が植えられる植栽部が載置される載置部からなる緑化構造体を備えた屋上緑化装置において、前記緑化構造体を前記構造物に支持する支持部と、前記支持部から前記緑化構造体の方向に突出させられる突出部と、前記載置部の端部に形成されて前記突出部に係止自在な係止部とを備え、よって前記植栽部が載置される載置部が前記支持部を介して前記構造物に設置されるように構成したことを特徴とする屋上緑化装置。
【請求項2】
前記緑化構造体に隣接して設置される足場板を備えると共に、前記構造物から前記足場板の上面までの高さが前記構造物から前記緑化構造体の上面までの高さと同一または略同一になるように構成したことを特徴とする請求項1記載の屋上緑化装置。
【請求項3】
前記緑化構造体は、前記載置部に固定自在な、前記植栽部を被覆するネットを備えることを特徴とする請求項1または2記載の屋上緑化装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図2】
【図3】
【図4】
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【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【公開番号】特開2010−41969(P2010−41969A)
【公開日】平成22年2月25日(2010.2.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−208853(P2008−208853)
【出願日】平成20年8月14日(2008.8.14)
【出願人】(000005326)本田技研工業株式会社 (23,863)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成22年2月25日(2010.2.25)
【国際特許分類】
【出願日】平成20年8月14日(2008.8.14)
【出願人】(000005326)本田技研工業株式会社 (23,863)
【Fターム(参考)】
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