説明

屋根端部の耐風構造

【課題】耐風仕様を満足しながら、折版屋根材の端壁を唐草に対して簡便に掛止固定できる屋根端部の耐風構造を提供する。
【解決手段】それぞれアルミニウム条材からなる唐草本体24と、挟持体25とで唐草23を構成する。唐草本体24は、屋根下地2に締結されるベース壁29と、屋根外面へ突出する掛止壁30と、屋根下地2の端面で受け止められる縦壁31と、縦壁31の外面に突設される係合壁32とを含む。掛止壁30に折り曲げ掛止した折版屋根材5の反転壁6aを、係合壁32に係合装着した挟持体25の押圧壁37で浮き離れ不能に押さえ固定して、耐風機能を満足に発揮する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、軒先やケラバなどの折版屋根の端部における耐風構造、なかでも折版屋根材の端壁が屋根下地に固定した唐草に折り曲げて固定してある耐風構造に関する。
【背景技術】
【0002】
この種の耐風構造は、例えば特許文献1に公知である。そこでは、屋根下地の軒端に唐草を固定したうえで、折版屋根材の軒端を折り曲げて、唐草の掛止壁に掛止固定している。唐草はアルミニウム条材からなり、その上部外面に逆L字状の掛止壁が突設してある。折版屋根材の軒端は、逆L字状の掛止壁に沿って下向きに折り曲げられ、さらに上向きに反転する状態で折り曲げられる。なお、折版屋根材の軒端を折り曲げる作業は、屋根葺き作業に併行して現場で行われる。この種の耐風仕様の軒先構造は特許文献2にも開示してある。因みに、一般的な仕様の軒先構造においては、横一文字状に張出した掛止壁に、折版屋根材の軒端を単に反転状に折り曲げて固定している。ケラバにおいても同様の耐風構造が適用されている。
【0003】
【特許文献1】特許第2715063号公報(段落番号0018、図1)
【特許文献2】特許第2999720号公報(段落番号0018、図4)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記のように、折版屋根材の軒端を、逆L字状の掛止壁に沿って2箇所で折り曲げる耐風仕様の軒先構造によれば、一般的な仕様の軒先構造に比べて、強風によって折版屋根材が捲れあがるのを確実に防止できる。しかし、軒端を2箇所で折り曲げる必要があるため、一般的な仕様の軒先構造に比べて、作業に多くの手間と時間が掛かる。さらに、折版屋根材の板厚が増えると軒端を適切に折り曲げるのが困難になり、仕上がり状態にばらつきを生じやすい。曲げ加工が不十分な場合には、折版屋根材が捲れあがる事故の一因になることもある。とくに、掛止壁の真下に雨樋が配置してある場合には、軒端を折り曲げる際に雨樋が邪魔になるため、折り曲げ作業に多くの時間が掛かる。
【0005】
本発明の目的は、耐風仕様を満足しながら、折版屋根材の端部を唐草に対して簡便に掛止固定できる屋根端部の耐風構造を提供することにある。本発明の目的は、折版屋根材の端壁を唐草に、より少ない手間でしかも迅速に掛止固定できるうえ、屋根端部の仕上がり状態にばらつきがなく、高い信頼性を発揮できる屋根端部の耐風構造を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、屋根下地2に唐草23が固定され、屋根外面へ突出する唐草23の掛止壁30に、折版屋根材5の端部壁面が反転状に折り曲げ固定してある屋根端部の耐風構造を適用対象とする。唐草23は、屋根下地2に固定される唐草本体24と、唐草本体24の外面に係合装着される挟持体25とで構成する。以て、掛止壁30に折り曲げ掛止した折版屋根材5の反転壁6aを、唐草本体24に係合装着した挟持体25で浮き離れ不能に押さえ固定することを特徴とする。
【0007】
図3において唐草本体24は、屋根下地2の上面に締結されるベース壁29と、ベース壁29に連続して屋根外面へ突出する掛止壁30と、屋根下地2の端面で受け止められる縦壁31とを備えたアルミニウム条材からなる。縦壁31ないし掛止壁30の外面に、挟持体25を係合装着するための係合壁32が突設されている。以て、折版屋根材5の反転壁6aを、係合壁32に係合装着した挟持体25で浮き離れ不能に押さえ固定する。
【0008】
挟持体25は中空のアルミニウム条材で形成し、挟持体25の一部を係合壁32に係合装着した状態において、折版屋根材5の反転壁6aを、挟持体25の上面に設けた押圧壁37で掛止壁30に押さえ固定することができる。
【0009】
アルミニウム条材からなる唐草本体24の縦壁31の外面には、掛止壁30と上下に対向する係合壁32を突設し、掛止壁30と係合壁32との間に装着されて、折版屋根材5の反転壁6aを掛止壁30に押さえ固定する挟持体25を弾性材で形成することができる。
【0010】
アルミニウム条材からなる唐草本体24の縦壁31の外面には、掛止壁30と上下に対向する係合壁32を突設し、折版屋根材5の反転壁6aを、掛止壁30と係合壁32との間に嵌め込み装着した挟持体25で浮き離れ不能に押さえ固定することができる。
【0011】
図4に示すように係合壁32には、挟持体25を係合壁32の屋根外面側から嵌め込むための装着口34を切り欠き形成することができる。
【発明の効果】
【0012】
本発明では、屋根下地2に固定される唐草本体24と、唐草本体24の外面に係合装着される挟持体25とで唐草23を構成し、唐草本体24の掛止壁30に折り曲げ掛止した折版屋根材5の反転壁6aが、唐草本体24に係合装着した挟持体25で浮き離れ不能に押さえ固定されているので、施工現場では、折版屋根材5の主面壁6を1回だけ折り曲げて反転したのち、挟持体25を唐草本体24に係合装着すればよく、一連の作業をより少ない手間でしかも迅速に掛止固定できる。屋根端部の仕上がり状態がばらつくこともない。さらに、反転壁6aを挟持体25で押さえ固定して、反転壁6aが掛止壁30から浮き離れるのを確実に防止するので、主面壁6の折り曲げ個所が1個所だけであるにもかかわらず、耐風仕様を満足して屋根端部構造の信頼性が向上する。
【0013】
屋根下地2に締結されるベース壁29と、ベース壁29に連続する掛止壁30と、屋根下地2の端面で受け止められる縦壁31と、縦壁31ないし掛止壁30の外面に突設した係合壁32を備えたアルミニウム条材で唐草本体24を構成し、係合壁32に係合装着した挟持体25で折版屋根材5の反転壁6aを浮き離れ不能に押さえ固定する耐風構造によれば、反転壁6aを受け止める掛止壁30と、挟持体25が装着される係合壁32との関係寸法のばらつきを一掃できるので、反転壁6aを挟持体25で常に確実に押さえ固定でき、作業者の熟練の度合いなどに影響されることなく、屋根端部の耐風構造の信頼性を向上できる。
【0014】
挟持体25を中空のアルミニウム条材で形成して、折版屋根材5の反転壁6aを挟持体25の上面の押圧壁37で掛止壁30に押さえ固定する耐風構造によれば、例えば、挟持体25がプレス成形してある場合に比べて、挟持体25の出来上がり寸法のばらつきがなく、その分だけ屋根端部の施工品質をさらに向上し、耐風構造の信頼性が高まる。とくに、唐草本体24がアルミニウム条材で形成してある場合には、両者24・25を高い精度に組み付けて、反転壁6aをさらに確実に押さえ固定できる。中空体からなる挟持体25は、それ自体の構造強度が高く長期使用時の耐久性に優れている。
【0015】
図5(a)に示すように、折版屋根材5の反転壁6aを弾性材で形成した挟持体25で掛止壁30に押さえ固定する耐風構造によれば、反転壁6aを挟持体25のばね力によって掛止壁30に密着する状態で押さえ固定できるので、唐草本体24に装着した挟持体25や反転壁6aが風を受けてがた付くのを一掃できる。さらに、唐草本体24に装着した挟持体25が係合溝36に沿って遊動するのを規制して、常に適正な位置で反転壁6aを押さえ固定できる。掛止壁30と上下に対向する係合壁32を突設し、掛止壁30と係合壁32との間に挟持体25を装着するので、係合壁32に装着口34を切り欠き形成する必要もなく、挟持体25を係合溝36に係合装着でき、その分だけ唐草本体24に対する加工の手間を省いて、資材コストの削減化を図れる。
【0016】
図5(b)に示すように、上下に対向する掛止壁30と係合壁32との間に挟持体25を嵌め込み装着して、その上面の押圧壁37で反転壁6aを浮き離れ不能に押さえ固定する耐風構造によれば、上下に対向する掛止壁30と係合壁32とで挟持体25を常に安定した状態で支持して、反転壁6aが掛止壁30から浮き離れようとするのを確実に防止できる。
【0017】
係合壁32に装着口34が切り欠き形成してあると、挟持体25を係合壁32の屋根外面側から嵌め込むことにより、挟持体25の組み付け作業をより少ない手間で迅速に行え、耐風機能を備えた屋根端部の施工能率を大幅に向上して、施工に掛かる費用を削減できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
(実施例1) 図1ないし図4は本発明を縦葺き屋根における軒先の耐風構造に適用した実施例を示す。図1および図2において、符号1は形鋼からなる母屋、2は屋根下地、3はアスファルトルーフィングフェルトあるいはゴムシートなどで形成される防水シートであり、防水シート3の外面を覆う状態で折版屋根材5を葺き上げる。屋根下地2は、例えばグラスウールボードで形成した断熱板や木毛板からなり、母屋1にビスで締結する。
【0019】
折版屋根材5は、コイル状に巻かれた所定幅の塗装鋼板をロール成形して形成してあり、その内面に発泡断熱層10が裏打ちされている。図2に示すように折版屋根材5は、平坦な主面壁6の左右端に、斜め上向きの円弧壁7を膨出形成し、円弧壁7の上端に連続して逆V状の接合部8が折り返し形成してある。発泡断熱層10は、例えばポリエチレンフォームを主面壁6の内面側に貼り付けて形成される。
【0020】
屋根下地2上には、折版屋根材5を葺き上げるための吊子11が一定間隔置きに締結固定される。吊子11は軒棟方向に連続する長尺材からなり、上向きに開口する断面コ字形の樋体部12と、樋体部12の上部外側面に折り曲げ形成される逆V字状の連結部13とを一体に備えている。樋体部12の底壁中央に膨出形成された締結壁14をタッピンビスなどのねじ15で締結することにより、吊子11を屋根下地2を介して母屋1に固定できる。
【0021】
折版屋根材5は左右両側の各接合部8を吊子11の連結部13に下面側から弾性係合し、さらに各接合部8にキャップ19を弾性係合して、隣接する折版屋根材5どうしを連結する。連結状態における吊子11の上面開口はキャップ19で塞がれる。なお、キャップ19の左右幅が約43mmであるのに対し、折版屋根材5の左右幅は約375mm、後述する挟持体25の左右幅は約120mmである。
【0022】
キャップ19は、接合部8の屈曲個所の外面に弾性係合する左右一対の脚片20と、各脚片20の上端に連続して吊子11の開口面を覆う上壁21とを一体に折り曲げた長尺材からなり、折版屋根材5と同等の素材で形成する。両脚片20の下端には、上すぼまりテーパー状に折れ曲がる誘導壁を形成する。
【0023】
折版屋根における軒先の雨仕舞のために、屋根下地2に唐草23を固定し、軒先外面へ突出する唐草23の掛止壁30に、折版屋根材5の主面壁6の軒端側の壁面を反転状に折り曲げ固定している。この反転壁を符合6aで示す。
【0024】
唐草23は、屋根下地2の軒端に沿って配置される長尺の唐草本体24と、唐草本体24の外面に係合装着される短寸の挟持体25とからなる。図1および図3において唐草本体24は、屋根下地2の上面にねじ26で締結されるベース壁29と、ベース壁29の前端に連続して軒先外面へ突出される掛止壁30と、ベース壁29の前端から下向きに突設されて、屋根下地2の軒端面で受け止められる縦壁31と、縦壁31の外面の上下中途部に突設される係合壁32とを一体に備えた長尺のアルミニウム条材からなる。掛止壁30の基端上面には断面コ字状の水切溝33が凹み形成されている。水切溝33で区分されるベース壁29と掛止壁30とは同一平面上に設けてある。
【0025】
係合壁32は斜め上向きに突設されて、縦壁31との間にV字状の係合溝36を形成しており、この係合溝36に挟持体25が嵌め込まれる。挟持体25は、唐草本体24の側端から差し込み装填できるが、唐草本体24の左右長さが大きい場合には、挟持体25を組み込むために、その都度唐草本体24の側端まで移動したうえで、係合溝36に嵌め込んだ挟持体25を葺き上げられた折版屋根材5の位置までスライド移動させる必要があり、その組み付けに多くの手間が掛かる。このような手間を省くために、図4に示すように、係合壁32の一部を一定間隔に切除して装着口34を形成して、挟持体25を係合壁32の軒先外面側から係合溝36に嵌係合できるようにした。
【0026】
図3において挟持体25は、掛止壁30の下面側へ折り返された反転壁6aを押保持する押圧壁37と、縦壁31に外接する接当壁38と、これら両壁37・38の端部どうしをつなぐ傾斜壁39とを一体に備えた、断面が直角三角形状の中空のアルミニウム条材からなる。挟持体25の接当壁38と傾斜壁39とで挟まれる隅部には、先の係合溝36に嵌合する断面V字状の嵌合部40が形成され、押圧壁37と接当壁38とで挟まれる隅部には、水切溝33の外形形状に沿う断面L字状の段部41が凹み形成されている。
【0027】
施工時には、屋根下地2、防水シート3および逆L字状の水切板44などを常法に従って配置したのち、屋根下地2の軒端に唐草23を取り付ける。詳しくは、唐草本体24のベース壁29を屋根下地2上に配置し、そのベース壁29をセルフドリリングビスやタッピンビスなどのねじ26で母屋1に締結する。この状態で折版屋根材5を葺き上げ、キャップ19で隣接する折版屋根材5どうしを固定する。次に、各折版屋根材5の主面壁6以外の軒先部分を切り落とし、残った壁部分を折り曲げ工具を使用して掛止壁30に沿って折り曲げ、反転壁6aの折り曲げ基端を掛止壁30に固定する。なお、キャップ19の軒端は化粧キャップ45で塞ぐ。両キャップ19・45はブラインドリベットなどで固定する。
【0028】
図4に示すように、装着口34に臨む縦壁31にあてがった挟持体25を横スライド操作して係合溝36に嵌係合することにより、その押圧壁37で反転壁6aを浮き離れ不能に押さえ固定する。挟持体25は、折版屋根材5の幅方向中央と、隣接する折版屋根材5・5の連結個所に対応して配置される。必要があれば、係合壁32の突端の一部を塑性変形させて、あるいは接着剤を挟持体25と係合溝36との間に充填して、挟持体25を横スライド不能に固定することができる。以後は、次々に折版屋根材5を葺き上げて、その反転壁6aを係合溝36に嵌係合した挟持体25で押さえ固定する。図1および図4において符合46は雨樋である。
【0029】
上記のように、掛止壁30に掛止した反転壁6aを挟持体25で押さえ固定する耐風構造によれば、主面壁6を掛止壁30の下面側へ折り曲げるだけであるので、主面壁6の折り曲げ作業に要する手間を著しく省くことができる。折版屋根材5の板厚が大きい場合でも問題なく折り曲げ作業を行える。さらに、折り曲げられた反転壁6aを挟持体25で押さえ固定するので、強風時であっても、反転壁6aが掛止壁30から浮き離れるのを確実に防止して耐風仕様を満足でき、全体として、一連の作業に要する手間を大幅に省いて、折版屋根材5の軒先の雨仕舞処理を、より少ない手間でしかも迅速に行える。係合溝36に嵌係合した挟持体25で反転壁6aを押さえ固定するので、軒端の仕上がり状態にばらつきがなく、施工品質を向上して高い信頼性を発揮できる利点もある。
【0030】
係合溝36に嵌係合した挟持体25は、反転壁6aを介して掛止壁30で受け止められ、さらに、係合壁32と水切溝33の底壁で傾動不能に保持されるので、掛止壁30から浮き離れる向きの外力が反転壁6aに作用する場合でも、安定した状態で反転壁6aを固定保持でき、従来のこの種の耐風先構造に比べてさらに安定した耐風機能を発揮する。掛止壁30と押圧壁37とに挟持された反転壁6aは、軒棟方向へスライドできるので、例えば夏期に折版屋根材5が熱膨張するような場合には、反転壁6aが軒先側へスライド変位して屋根材の伸長変形を吸収できる利点もある。
【0031】
(変形例) 図5(a)〜(d)は、唐草23の変形例を示す。図5(a)では、唐草本体24の縦壁31の外面に、掛止壁30と上下に対向する係合壁32を突設し、係合壁32の突端上面に抜止リブ48を突設した。挟持体25は、帯板状のばね材を素材にして連続波形に形成し、自由状態における挟持体25の上下寸法が、掛止壁30と係合壁32との上下対向間隔寸法より大きくなるようにした。なお、上記の実施例と同じ部材には同じ符合を付して、その説明を省略した。以下の各変形例においても同様に扱う。
【0032】
このように、弾性材で形成した挟持体25によれば、折版屋根材5の主面壁6を折り曲げて反転壁6aを形成した後、挟持体25を掛止壁30と係合壁32との間に、弾性変形しながら嵌め込むことにより、挟持体25の弾性によって反転壁6aを掛止壁30に押さえ固定することができる。先の実施例における装着口34を設けるまでもなく、挟持体25を係合壁32の軒先外面側から嵌係合できる利点もある。唐草本体24に嵌め込んだ挟持体25が、係合溝36の長手方向へずれ動くこともない。
【0033】
図5(b)では、図5(a)と同様の係合壁32および抜止リブ48を突設した。挟持体25は断面四角形状の中実材で形成されており、掛止壁30と係合壁32との間に嵌め込むことにより、その上面の押圧壁37で反転壁6aを押さえ固定できる。この変形例においては、抜止リブ48の長手方向に沿って複数個の装着口34を設けておく。必要があれば、挟持体25を断面四角形状の中空材で形成することができる。
【0034】
図5(c)では、掛止壁30の基端寄り下面から係合壁32を一体に突設し、両壁30・32間に形成される係合溝36に挟持体25を嵌係合して、反転壁6aを押さえ固定した。挟持体25は逆台形状の中空材で形成してあり、係合壁32に切り欠き形成した装着口34(図示していない)から、係合溝36に装着される。このように、係合壁32は、縦壁31から掛止壁30に到る任意位置に形成することができる。
【0035】
図5(d)では、縦壁31の外面に上下一対の係合壁32を突設して、両係合壁32の間に係合溝36を形成した。また、挟持体25を断面逆コ字状に形成し、その下壁の基端に、先の係合溝36と係合するT字断面状の嵌合部40を一体に形成した。
【0036】
(実施例2) 図6および図7は唐草23に関する本発明の実施例2を示す。そこでは、屋根下地2の表面にバックアップ材51を配置したうえで、その外面に折版屋根材5が葺き上げられる。先の実施例1における屋根とは、葺き上げられた折版屋根材5とキャップ19とが面一状に隣接する点が異なっている。そのため、図6に示すように、ベース壁29に連続する掛止壁30が、ベース壁29より上方に突出しており、掛止壁30に連続する縦壁31と、ベース壁29に連続する第2縦壁52とを、上下一対の橋絡壁53で一体化している。各橋絡壁53には、水抜穴が形成してある。図7において、符合54はキャップ19と折版屋根材5との間をシールする中空のパッキンである。キャップ19の上壁21は、主面壁6と同様に折り曲げられて掛止壁30に掛止固定される。
【0037】
上記の実施例以外に、唐草本体24や挟持体25はアルミニウム条材である必要はなく、板材をプレス成形して形成できる。反転壁6aは掛止壁30の下面全体に接当させることができる。挟持体25は、ばね線材やゴムなどの弾性材で形成してもよい。必要があれば、中空材の複数箇所にばねやゴムを分離不能に組み付けて挟持体25とすることができる。さらに、唐草本体24の側に挟持体25を押さえ保持するばねやゴムを組み付けることができる。本発明の耐風構造は、折版屋根材5の断面形状や連結構造が異なる場合にも広く適用でき、例えば互棒型の縦葺き屋根はもちろん、必要があれば横葺き屋根にも適用できる。もちろん、ケラバにおける屋根端部の耐風構造に適用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0038】
【図1】屋根端部の耐風構造を示す縦断側面図である。
【図2】屋根構造を示す縦断正面図である。
【図3】耐風構造の構成部品の分解断面図である。
【図4】耐風構造の斜視図である。
【図5】耐風構造の変形例(a)〜(d)を示す縦断側面図である。
【図6】実施例2の耐風構造の縦断側面図である。
【図7】実施例2の屋根構造を示す縦断正面図である。
【符号の説明】
【0039】
2 屋根下地
5 折版屋根材
6a 折版屋根材の反転壁
23 唐草
24 唐草本体
25 挟持対
30 掛止壁
31 縦壁
32 係合壁
37 押圧壁

【特許請求の範囲】
【請求項1】
屋根下地(2)に唐草(23)が固定され、屋根外面へ突出する唐草(23)の掛止壁(30)に、折版屋根材(5)の端部壁面が反転状に折り曲げ固定してある屋根端部の耐風構造であって、
唐草(23)が、屋根下地(2)に固定される唐草本体(24)と、唐草本体(24)の外面に係合装着される挟持体(25)とで構成されており、
掛止壁(30)に折り曲げ掛止した折版屋根材(5)の反転壁(6a)が、唐草本体(24)に係合装着した挟持体(25)で浮き離れ不能に押さえ固定されていることを特徴とする屋根端部の耐風構造。
【請求項2】
唐草本体(24)が、屋根下地(2)の上面に締結されるベース壁(29)と、ベース壁(29)に連続して屋根外面へ突出する掛止壁(30)と、屋根下地(2)の端面で受け止められる縦壁(31)とを備えたアルミニウム条材からなり、
縦壁(31)ないし掛止壁(30)の外面に、挟持体(25)を係合装着するための係合壁(32)が突設されており、
折版屋根材(5)の反転壁(6a)が、係合壁(32)に係合装着した挟持体(25)で浮き離れ不能に押さえ固定されている請求項1記載の屋根端部の耐風構造。
【請求項3】
挟持体(25)が中空のアルミニウム条材で形成されており、挟持体(25)の一部を係合壁(32)に係合装着した状態において、折版屋根材(5)の反転壁(6a)が、挟持体(25)の上面に設けた押圧壁(37)で掛止壁(30)に押さえ固定されている請求項1または2記載の屋根端部の耐風構造。
【請求項4】
アルミニウム条材からなる唐草本体(24)の縦壁(31)の外面に、掛止壁(30)と上下に対向する係合壁(32)が突設されており、
掛止壁(30)と係合壁(32)との間に装着されて、折版屋根材(5)の反転壁(6a)を掛止壁(30)に押さえ固定する挟持体(25)が弾性材で形成してある請求項1または2記載の屋根端部の耐風構造。
【請求項5】
アルミニウム条材からなる唐草本体(24)の縦壁(31)の外面に、掛止壁(30)と上下に対向する係合壁(32)が突設されており、
折版屋根材(5)の反転壁(6a)が、掛止壁(30)と係合壁(32)との間に嵌め込み装着した挟持体(25)で浮き離れ不能に押さえ固定されている請求項1または2記載の屋根端部の耐風構造。
【請求項6】
係合壁(32)に、挟持体(25)を係合壁(32)の屋根外面側から嵌め込むための装着口(34)が切り欠き形成されている請求項2または3または5に記載の屋根端部の耐風構造。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate


【公開番号】特開2006−257748(P2006−257748A)
【公開日】平成18年9月28日(2006.9.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−76937(P2005−76937)
【出願日】平成17年3月17日(2005.3.17)
【出願人】(000006910)株式会社淀川製鋼所 (34)