説明

展示用物品の保持具

【課題】保持する物品と一体になって所望のインテリアを構成できるインテリア構成部品としての保持具を提供する。
【解決手段】ホルダ本体部9と、ホルダ本体部9に形成された受け溝部29と、受け溝部29に装着された、展示用物品を挟持して保持する保持作用部3と、ホルダ本体部9を展示面に対して固定する固定手段7とを備える保持具。好ましくは、保持作用部3は断面形状がU字状をした弾性挟持片によって構成され、その挟持面にはクッションパッド17が設けられ、保持作用部3と固定手段7は一体部品によって構成されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、壁面に展示用物品を展示するときに展示用物品を保持するのに使用する展示用物品の保持具に関するものである。
【背景技術】
【0002】
スポーツ用品店等では、商品を小さいスペースで効率良く陳列するために、壁面の下側に吊下げ式のフックや引掛け式のバーあるいは載置式のブラケット等の保持具を壁面に取り付け、そこに複数の商品を束にして陳列していた。
例えばテニスラケットを例にとると、ガットが張られる前のラケットフレームを壁面から突出した引掛け式のバーに何本も通し、複数のテニスラケットを重ねた状態で陳列していた。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
近年は、店内の雰囲気を洒落たものにすることで競合店との差別化を行うことが求められており、スポーツ用品店も例外ではない。
そこで、視認され易い壁面を展示面として積極的に利用し、商品を単なる陳列ではなく展示することで店内のインテリアを一新して雰囲気を洒落たものにすることが考えられる。
しかしながら、その場合には、商品を展示するのに使用される保持具自体も視界に入ることから、その形状も従来の機能性のみを重視した実用的なデザインではなく、所望のインテリアを構成できるインテリア構成部品の一つとなることが求められる。
【0004】
本発明は、上記の背景技術及び背景技術が抱えていた問題点の存在を踏まえてなされたものであって、保持する物品と一体になって所望のインテリアを構成できるインテリア構成部品としての保持具を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記課題を解決するために、請求項1の発明は、ホルダ本体部と、前記ホルダ本体部に形成された受け溝部と、前記受け溝部に装着された、展示用物品を挟持して保持する保持作用部と、前記ホルダ本体部を展示面に対して固定する固定手段とを備えていることを特徴とする展示用物品の保持具である。
【0006】
請求項2の発明は、請求項1に記載した展示用物品の保持具において、前記保持作用部は断面形状がU字状をした弾性挟持片によって構成されていることを特徴とする展示用物品の保持具である。
【0007】
請求項3の発明は、請求項2に記載した展示用物品の保持具において、前記弾性挟持片における挟持面にはクッションパッドが設けられていることを特徴とする展示用物品の保持具である。
【0008】
請求項4の発明は、請求項1〜3のいずれかに記載した展示用物品の保持具において、前記保持作用部と固定手段は一体部品によって構成されていることを特徴とする展示用物品の保持具である。
【0009】
請求項5の発明は、請求項1〜4のいずれかに記載した展示用物品の保持具において、前記ホルダ本体部は展示用物品と関連する物品の形状を模した形状に形成されていることを特徴とする展示用物品の保持具である。
【0010】
請求項6の発明は、請求項1〜5のいずれかに記載した展示用物品の保持具において、前記固定手段は展示面に取り付けた係止部材に挿し込んで係止される係止フックによって構成されていることを特徴とする展示用物品の保持具である。
【発明の効果】
【0011】
本発明の展示用物品の保持具によれば、保持作用部と固定手段の一部はホルダ本体部によって隠され、しかも展示状態で視認されるホルダ本体部は種々の形状に形成できることから、保持する商品と一体になって所望のインテリアを構成できる。
【0012】
また保持作用部を断面形状がU字状をした弾性挟持片によって構成した場合には、展示用物品の着脱が簡単に行えるようになる。
また上記弾性挟持片における挟持面にクッションパッドを設けた場合には、展示用物品の挟持部において生ずる着脱時の傷の発生が防止される。
また保持作用部と固定手段を一体部品によって構成した場合にはホルダ本体部はその一体部品を単に包んだ状態で済む。従って、ホルダ本体部は弾性挟持片の弾性変形に追随して弾性可能な素材で構成できるので、弾性挟持片を外側から包んでも挟持機能は損なわれない。
また固定手段を係止フックによって構成した場合には、展示面に対する固定手段の着脱作業が容易になる。そのため、展示用物品の変更や展示レイアウトの変更に随時対応することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
以下、本発明の展示用物品の保持具を実施するための最良の形態として図1〜6に示す実施の形態を例にとって具体的に説明する。
尚、以下の説明では展示用物品Aとしてテニスラケットを例にとり、該テニスラケットを保持するのに好適な構造とデザイン性を備える展示用物品の保持具1について説明する。
展示用物品の保持具1は展示用物品Aを個別に保持する保持作用部3と、該保持作用部3を展示面5に固定する固定手段7と、ホルダ本体部9とを備えている。
【0014】
保持作用部3は断面形状がU字状をした例えば金属製材料からなる弾性挟持片11(図5)によって構成されている。尚、弾性挟持片11の一方(前側)の挟持面15は全長の2/3を超えた辺りまでは他方の挟持面15に徐々に近づき、それを超えると屈曲されて徐々に離れており、先端部は外側に拡がっている。そのため、展示用物品Aの挟持部となるラケットフレーム13の着脱が容易になっている。
また上記弾性挟持片11における内側の挟持面15には例えばフェルト等によって形成されるクッションパッド17が設けられており、ラケットフレーム13に弾性挟持片11に直接当って傷つくのが防止されている。
【0015】
固定手段7は展示面5となる例えば部屋の壁面に取り付けた係止部材19(図4)に挿し込んで係止される係止フック21によって構成されている。係止フック21は、一例として金属製の帯状平板材料の端部を互いに向かい合わせて折り曲げることにより形成されており、上記弾性挟持片11に対して図6に示すように溶接されて保持作用部3と固定手段7は一体部品になっている。
係止フック21は、コの字形をしており、垂直に延びて弾性挟持片11の一方の外側面に溶接される基部23と、基部23の上端から外方に向けて略水平に延びる伸張部25と、伸張部25の先端から垂直に下方に延びるフック部27とによって構成されている。
【0016】
係止部材19は図4に示すものが一例として挙げられる。この例では、符号31は横長の前プレートを示し、この前プレート31の左右両端側にはそれぞれネジ孔33が形成されている。符号35は一対のスペーサを示し、この一対のスペーサ35は前プレート31の裏面に互いに離間しながらそれぞれ固定されている。スペーサ35には、ネジ孔33に対向する部位にそれぞれ挿入孔(図示省略)が形成されている。
上記前プレート31は、裏面側を展示面5に合わせ、ネジ孔33,33にプラスネジ37,37を螺合させて締付けることにより、展示面5上に取り付けられる。
一対のスペーサ35,35の間の隙間は挿し込み部36を構成している。
【0017】
ホルダ本体部9は、展示用物品Aであるテニスラケットと関連する物品であるテニスボールの形状を模した球体形状に形成されている。
ホルダ本体部9は、その上半球側に両端が開口した受け溝部29が形成されている。
ホルダ本体部9の受け溝部29の形成された球面の反対側の面は平坦に切除されており、その平坦部39が展示面5に当接ないし近接するようになっている。
また上記平坦部39には内側に凹陥し下側が開口した凹陥部41が設けられている。
【0018】
ホルダ本体部9の内部には一体部品の一部である係止フック21の伸張部25が埋め込まれており、フック部27が上記凹陥部41の表面に顔を出している。また、フック部27の先端は凹陥部41の開口に向かって直線状に延びている。
係止フック21の伸張部25は受け溝部29側に向かって延びており、その先端の基部23は受け溝部29に至っている。図5に示すように、弾性挟持片11は基部23に溶接されて固定されているため、弾性挟持片11は外側面が受け溝部29から表に露出した状態となっている。
なお、弾性挟持片11の内側の挟持面15にはクッションパッド17が設けられているので、図2、図3に示すように、受け溝部29上にはクッションパッド17は視認できるが、弾性挟持片11は隠れている。
ホルダ本体部9は有る程度の弾性を有する発泡スチロールに表面硬化剤を塗布して形成されている。従って、ホルダ本体部9は弾性挟持片11の一対の挟持面15が互いに近接・離間する際の弾性変形に追随して弾性可能になっている。
【0019】
展示面5に取り付けられた係止部材19の挿し込み部36に係止フック21のフック部27が上方向から挿し込まれるので、保持具1は図2に示すような上下関係で展示面5に取付けられる。即ち、受け溝部29は傾斜しながら上下方向に延びている。
【0020】
ホルダ本体部9の表面はデザイン効果を向上させるためにテニスボールの色に似せた黄色に塗装されている。
【0021】
次にこのようにして構成される本発明の展示用物品の保持具1を使用して展示面5に展示用物品Aを展示する場合の手順と展示レイアウトについて説明する。
最初に展示面5に対して係止部材19を展示する展示用物品Aの数を考慮して用意し、展示したい展示用物品Aの展示レイアウトを考慮しながら取り付ける。
次にホルダ本体部9を持って、係止フック21のフック部27を係止部材19の挿し込み部36に挿し込んで展示面5に展示用物品の保持具1を係止部材19の数に対応した数、取り付ける。
【0022】
そして展示する展示用物品Aのラケットフレーム13の一部を図示のようにホルダ本体部9の受け溝部29に安着された弾性挟持片11の対向する挟持面15を覆うクッションパッド17どうしの間に押し込む。押し込まれるとラケットフレーム13は弾性挟持片11を外方に押し拡げながら弾性挟持片11の挟持面15の奥側に進入して、弾性挟持片11による内方への弾性挟持力によって保持される。なお、保持具1にラケットフレーム13が保持された状態では、クッションパッド17はラケットフレーム13により隠されて殆ど視認できない。
以下、同様にしてすべての展示用物品Aを本説明の展示用物品の保持具1に順次取り付けて行く。
【0023】
このようにして展示面5上の保持具1に展示用物品Aであるテニスラケットを取り付けていくと、壁面である展示面5上にテニスラケットがあたかもボレーを打っているような姿勢で展示されるようになる。しかも、保持具1はテニスボールを模した形状になっているので、テニスラケットと一体になって統一性のあるインテリアを構成している。
また来店した客が手に取って展示用物品Aを確認したい場合には、展示用物品Aのグリップ43を握ってホルダ本体部9の受入れ溝部29のクッションパッド17の間からラケットフレーム13を取り出す方向に幾分力を加えるだけで簡単に保持具1から取り外すことができる。
【0024】
以上、本発明を実施するための最良の形態としての図示の実施の形態を例にとって詳述してきたが、本発明の具体的構成は図示の実施の形態に限定されるものではなく、本発明の要旨から外れない範囲での設計変更等があっても本発明に含まれる。
例えば、ホルダ本体部9の色や形状、大きさは展示用物品に対応して種々の色や形状、大きさが適用でき、展示用物品Aが釣竿であれば、リールや魚の形を模した形状にホルダ本体部9を形成したり、展示用物品Aがゴルフクラブであれば、ゴルフボールの形を模した形状にホルダ本体部9を形成したりすることも可能である。
またホルダ本体部9の材質は弾性挟持片11の挟持力を損なわないものならば特に限定されず、スポンジ等、軟質の材料でもよい。
また、受け溝部29に装着される保持作用部3は必ずしも露出している必要はなく、ホルダ本体部9を構成する材料により薄く被覆されていてもよい。但し、ホルダ本体部9の材質が剛性の場合には弾性挟持片11の弾性拡張を許容するためにホルダ本体部9の受け溝部29と少なくとも一方の挟持面15との間には隙間を設ける必要がある。
また、固定手段7は係止フック21に限らず、展示面5に吸盤で固定しても直接ネジ止めしてもよい。
【産業上の利用可能性】
【0025】
本発明の保持具は、展示面に展示用物品を展示する場合に展示用物品の保持機能を保ちつつ、該展示用物品と共にインテリア構成部品として積極的に見せる方向で使用できる。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【図1】本発明の実施の形態に係る展示用物品の保持具を示す前方斜め下方からの斜視図である。
【図2】本発明の実施の形態に係る展示用物品の保持具を示す受け溝部の開口部側からの側面図である。
【図3】本発明の実施の形態に係る展示用物品の保持具を示す受け溝部を側方から見た状態の側面図である。
【図4】本発明の実施の形態に係る展示用物品の保持具を示す後方斜め上方からの斜視図と、係止部材の前方斜め上方からの斜視図である。
【図5】本発明の実施の形態に係る展示用物品の保持具の内部を透視して示す斜視図である。
【図6】本発明の実施の形態に係る展示用物品の保持具を使用して展示用物品を展示した展示レイアウトの一例を示す斜視図である。
【符号の説明】
【0027】
1 展示用物品の保持具 3 保持作用部
5 展示面 7 固定手段
9 ホルダ本体部 11 弾性挟持片
13 ラケットフレーム 15 挟持面
17 クッションパッド 19 係止部材
21 係止フック 23 基部
25 伸張部 27 フック部
29 受け溝部 31 前プレート
33 ネジ孔 35 スペーサ
36 挿し込み部 37 プラスネジ
39 平坦部 41 凹陥部
43 グリップ
A 展示用物品

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ホルダ本体部と、前記ホルダ本体部に形成された受け溝部と、前記受け溝部に装着された、展示用物品を挟持して保持する保持作用部と、前記ホルダ本体部を展示面に対して固定する固定手段とを備えていることを特徴とする展示用物品の保持具。
【請求項2】
請求項1に記載した展示用物品の保持具において、前記保持作用部は断面形状がU字状をした弾性挟持片によって構成されていることを特徴とする展示用物品の保持具。
【請求項3】
請求項2に記載した展示用物品の保持具において、前記弾性挟持片における挟持面にはクッションパッドが設けられていることを特徴とする展示用物品の保持具。
【請求項4】
請求項1〜3のいずれかに記載した展示用物品の保持具において、前記保持作用部と固定手段は一体部品によって構成されていることを特徴とする展示用物品の保持具。
【請求項5】
請求項1〜4のいずれかに記載した展示用物品の保持具において、前記ホルダ本体部は展示用物品と関連する物品の形状を模した形状に形成されていることを特徴とする展示用物品の保持具。
【請求項6】
請求項1〜5のいずれかに記載した展示用物品の保持具において、前記固定手段は展示面に取り付けた係止部材に挿し込んで係止される係止フックによって構成されていることを特徴とする展示用物品の保持具。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2008−307284(P2008−307284A)
【公開日】平成20年12月25日(2008.12.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−159200(P2007−159200)
【出願日】平成19年6月15日(2007.6.15)
【出願人】(303055017)
【Fターム(参考)】