説明

履物用ソール

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、発汗を吸収し且つ蒸発させ、筋肉や関節の動きを良好にし、足の運動を自由にすると共にクッションとして機能して、快適で衛生的な足のベースを構成する、植物繊維を部分的に用いて織物構造で作られた履物用のソールに関する。
【0002】
【従来の技術】現在使用されている履物用ソールは、その目的とする用途に必要な剛性、可撓性並びに外観を勘案して選択されている。これらの特性が、ソールの材料と設計を決定する。例えば、ロープ製のソールを具えたサンダル等の植物繊維のソールは、該繊維の性質に起因して汗を蒸発させ易い特徴がある。
【0003】この種のソールは、平たく編まれた繊維のひもで作られている。次にこのひもはソールの形に合うように巻かれ、縁を縫われて補強され、出来上がった製品に剛性が付与される。この手順によって、対称形で両方の足に区別なく使用可能なソール、又は左右の足のそれぞれの解剖学的な形状に適合したソールが得られる。
【0004】この種のソールの製造工程は、人手により、又は次に述べる操作を行う機械の助けにより行われる。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】この通常の手順によって得られる構造体は、巻きの強度が低いために変形に対する抵抗性が非常に低く、連続して使用した場合、ソールの劣化とへたりを生じる。このソールを製造する際には、最終製品が得られるまでに幾つかの工程を経なければならないので多くの時間がかかり、その結果、製造コストが高くなると共に、疲労が増加して肉体的な限界に達し、日が経つにつれて生産量が減少する。
【0006】異なるサイズを得るために繊維ひもを巻く作業は非常に難しいことも考慮に入れる必要がある。古いタイプの履物の一つとして、ロープ製のソールを有するサンダルがあるが、これはソールを作る材料を探すのが困難なことから、最も質素ではあるが最も高価なものとなっている。
【0007】これらの材料は、最も高価なジュートから最も安価なアフリカはねがや(esparto)までの中から得られる。これらの植物はやせた土壌に栽培され、しかも人手で収穫・裁断されるので、多大の労力を必要とする。ジュートは主としてインドが産地であり、コード、ロープを作ったり、袋用の布帛や安価な補強材を必要とする合成材料製のシートの基布を製織するための糸を作るのに使用される。
【0008】本発明は、この種の植物繊維を使用して、その生産量を吸収し切れない現在の市場とは別の新規な市場を提供することを目的とする。これによって大きな需要が生まれ、前記繊維を生産している地域に影響を与え、富を創成すると共に作業条件を改善するであろう。本発明のソールは、可撓性、クッション性、吸汗性並びに足の筋肉や関節の動きの快適性と自由を与え、且つ血液循環を良好にし、使用者の肉体的状態を改善する優れた性質を有するジュート等の植物繊維を使用するものである。
【0009】
【課題を解決するための手段】本発明は、結合部材によって連結された二枚の繊維材料基礎シートで構成された履物用ソールであり、連続して使用しても劣化が少ない、コンパクトな、抵抗性を有するユニットを形成している。各シートは、ジュート又はコストと特性がこれと同様な植物繊維で作られた緯糸と、綿繊維等の大きな抵抗性と引張り強度を有する材料をジュート、麻、亜麻等と共に、又は単独で使用した経糸とによって形成されている。
【0010】両シートの結合部材は、ソールの長手方向に沿った引張り強度を有する材料を含んでいる。「ジャカード」のような綿の経糸を形成する植物繊維が、上下のシートを未切断のカーペットであるかのように二重又は三重の結合点で連結している。得られたソールは大きな抵抗性を有し、シートの変位を防止しこれらを一緒に保持する。
【0011】使用される各材料の量は可変であるが、ジュートがその大きな部分を占めることが必要である。ソールに与えられる形状は、対称的であって両方の足に区別なく使用可能であっても、又はそれぞれの足の形状に合わせてもよい。ソールのサイズと形状は、該ソールと同じ形のパンチ型を使用した機械的な型打ち抜きによって得られる。これによれば、異なるサイズのソールを得たい場合にパンチ型さえ取替えればよいので、非常に便利である。
【0012】両方の足のソールを得るには一つのパンチ型さえ用意すればよい。なぜならば、これを引っ繰り返せば左右それぞれのソールが得られる。
【0013】
【実施例】本発明を更に詳細に説明し、その特徴を理解してもらうために、図面に示す好適実施例に基づいて以下に述べる。但し、本発明はこの実施例に限定されるものではない。図1に示すように、履物用ソールは結合部材3によって連結された二枚の織物製基礎シート1,2で構成され、それぞれは緯糸4と経糸5で形成されている。経糸5は結合部材3の糸によって隔てられた3本の綿糸のグループによって構成されている。
【0014】綿糸を用いたそれぞれの経糸5は、一本のジュート糸4の下をくぐり次いでのジュート糸4の上を通過するシーケンスを糸の全長にわたって繰り返す。これらの3本の糸の各グループの中で、端の方の2本の糸は同じ経路を持っているが、真ん中の1本は別の経路を有する。即ち3本のグループの中の両端の糸がジュート糸4の上を通過するときに、この真ん中の一本だけはジュート糸4の下をくぐり、その逆も真である。綿経糸5の量はジュート糸4の3〜20%である。
【0015】両シートの結合構造は、ジュート糸3によって構成される。こうして得られた結合構造は、2枚の平行な布帛の間の未切断のカーペットに似ており、2枚のシートを二重又は三重の結合点で連結する。前述のようにして構成された2枚のシートは、従来型の織機等の機械的手段によって作られ、これには繊維技術の知識さえあればよい。
【0016】これらのシートが得られた後、パンチ型によって打ち抜き、図2に示すソールを得る。このソールをプレスによって型取りし、解剖学的な形状に適合させることが可能である。このソールは種々の履物に組み込まれ、インナーソール及び/又はラバーソール用のベースを構成する。
【0017】抵抗性を向上させるために地面に接する部分にどんな補強が施されても、このソールの吸汗蒸発能力が損なわれることはない。
【図面の簡単な説明】
【図1】各エレメントによって構成された複合ユニットの斜視図である。
【図2】型打ち抜きによって得られたソールの斜視図である。
【符号の説明】
1,2…シート
3…結合部材
4…緯糸
5…経糸
6…綿糸

【特許請求の範囲】
【請求項1】 それぞれが経糸と該経糸に織構造で相互に交叉する緯糸から成り、履物のベースとして役立つように履物の使用者の足の形に合う寸法に作られた繊維材料製の第1基礎シート及び、該第1基礎シートの下方に配置された第2基礎シートと、該第1基礎シートと該第2基礎シートを連結する結合部材とによって構成され、前記経糸として高い引張り強度を有する繊維から成る糸を用い、前記緯糸及び前記結合部材として植物繊維から成る糸を用いる履物用ソール。
【請求項2】 前記結合部材が前記緯糸と二重結合点を形成して前記繊維材料製の第1基礎シートと第2基礎シートを連結する請求項1に記載の履物用ソール。

【請求項3】
前記結合部材が前記緯糸と三重結合点を形成して前記繊維材料製の第1基礎シートと第2基礎シートを連結する請求項1に記載の履物用ソール。
【請求項4】
前記結合部材がジュート糸である請求項1から3迄の何れか1項に記載の履物用ソール。
【請求項5】
前記緯糸がジュート糸である請求項1から4迄の何れか1項に記載の履物用ソール。
【請求項6】
前記経糸が綿糸である請求項1から5迄の何れか1項に記載の履物用ソール。

【図1】
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【図2】
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【特許番号】第2675764号
【登録日】平成9年(1997)7月18日
【発行日】平成9年(1997)11月12日
【国際特許分類】
【出願番号】特願平7−33440
【出願日】平成7年(1995)2月22日
【公開番号】特開平8−33505
【公開日】平成8年(1996)2月6日
【出願人】(595026427)ミクロリテ,ソシエダド リミタダ (1)
【参考文献】
【文献】実開 昭64−19306(JP,U)
【文献】実公 昭43−25321(JP,Y1)