説明

嵩高な材料の梱包および開梱方法

【課題】嵩高な材料を圧縮して大量に効率よく梱包でき、容易に開梱でき、また、袋を繰り返し使用できる梱包および開梱方法を提供する。
【解決手段】下記(1)〜(4)の過程を含む、嵩高な材料の梱包および開梱方法を提供する。(1)嵩高な材料を、袋の上部にある開口部から該袋内に投入した後、該開口部を封止部材により封止する封止過程(2)前記封止された袋の排気弁1から、袋の内部の空気を吸引装置により吸引し排気して袋を圧縮する圧縮過程(3)前記圧縮された袋の重心の上部と下部の位置に、少なくとも1組ずつ設置された取手に、係止具を係止して該袋を吊り上げた後、上部の取手はそのままにして、下部の取手を更に吊り上げることにより、該袋を上下反転させる反転過程(4)前記反転した状態で、袋の開口部を封止している封止部材を取り外して、袋の内容物を排出する排出過程

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、嵩高な材料を梱包し開梱する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、化石燃料の消費抑制や廃棄物の処理等の、資源環境問題への対応から、化石燃料の代替物として、廃棄物由来の燃料が多く用いられるようになってきた。
通常、廃棄物は金属やガラスなどの不燃物を含むため、廃棄物を破砕した後は、一般に、比重選別、磁気選別または篩選別などにより不燃物を除去した後、可燃分を回収する作業が行われる。
しかし、破砕した廃棄物は嵩が大きいため、該廃棄物の運搬や保管には、化石燃料と比べて、広い空間が必要となる。したがって、その分、廃棄物由来の燃料の運搬等はコスト高になる。
このため、破砕した廃棄物の如き嵩高な材料は、一般に、圧縮して梱包した状態で運搬や保管をする必要がある。
【0003】
これを受けて、以前から、嵩高い材料を圧縮して梱包する方法が、いくつか提案されている。
例えば、特許文献1では、嵩高な材料を通気性のない容器に梱包して、内部の気体を吸引する梱包方法が提案されている。しかし、該文献には、容器の開梱方法や、容器を開梱して内容物を取り出した後の、容器の再利用については記載されていない。
また、特許文献2では、焼却炉に投入すべき圧縮可能で嵩張り度合の大きな可燃性廃棄物を、気密性を保持し得る袋に収容し、該袋内の空気を排気・圧縮してマット状に形成する可燃性廃棄物の減容方法が提案されている。しかし、該提案において、可燃性廃棄物を収容した袋も、そのまま補助燃料として使うため、袋を開梱したり再利用することはない。
したがって、いずれの方法においても、容器や袋を再利用しないためコスト高になる。また、1梱包あたりに収容する材料の質量は、コストを勘案すると数百kg程度以上が好ましいが、いずれの文献も、大量の材料を梱包することについては記載されていない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平06−199324号公報
【特許文献2】特開2008−105028号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
したがって、本発明は、(i)嵩高な材料を圧縮して、大量に効率よく梱包することができ、(ii)開梱が容易であり、(iii)梱包容器を繰り返し使うことができる、嵩高な材料の梱包および開梱方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明者は、前記目的を達成するために鋭意検討した結果、下記の4つの過程を含む梱包および開梱方法によれば、前記目的を達成できることを見い出し、本発明を完成させた。
【0007】
すなわち、本発明は、以下の[1]〜[4]を提供する。
[1]下記(1)〜(4)の過程を含む、嵩高な材料の梱包および開梱方法。
(1)嵩高な材料を、袋の上部にある開口部から該袋内に投入した後、該開口部を封止部材により封止する封止過程
(2)前記封止された袋の排気弁から、袋の内部の空気を吸引装置により吸引し排気して袋を圧縮する圧縮過程
(3)前記圧縮された袋の重心の上部と下部の位置に、少なくとも1組ずつ設置された取手に、係止具を係止して該袋を吊り上げた後、上部の取手はそのままにして、下部の取手を更に吊り上げることにより、該袋を上下反転させる反転過程
(4)前記反転した状態で、袋の開口部を封止している封止部材を取り外して、袋の内容物を排出する排出過程
[2]前記袋が多層構造を有する、前記[1]に記載の嵩高な材料の梱包および開梱方法。
[3]前記袋が、前記排気弁を、袋の内と外から螺合により狭着させて取り付けてなる袋である、前記[1]または[2]に記載の嵩高な材料の梱包および開梱方法。
[4]前記嵩高な材料が、可燃性廃棄物を含む粉砕物、破断物または裁断物である、前記[1]〜[3]のいずれか1項に記載の嵩高な材料の梱包および開梱方法。
なお、袋の「上部」とは、袋の開口部を上にした場合の上半分の部分をいい、袋の「下部」とは、袋の開口部を上にした場合の下半分の部分をいう。
【発明の効果】
【0008】
本発明の梱包および開梱方法によれば、嵩高な材料を圧縮して、大量に効率よく梱包することができるとともに、必要な時に、いつでも容易に開梱することができ、また、袋(梱包容器)は繰り返し使うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】封止過程において、袋の開口部を封止する操作と封止部材の1例を示す図である。
【図2】封止過程において、袋の開口部を封止する封止部材の1例を示す図である。
【図3】(a)は開閉弁を備えた排気弁の断面図であり、(b)は逆止弁を備えた排気弁の断面図である。
【図4】袋における取手と排気弁の位置を例示する図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
本発明は、前記のとおり、(1)封止過程、(2)圧縮過程、(3)反転過程、および、(4)排出過程を含む、嵩高な材料の梱包および開梱方法である。
以下に、本発明について、前記各過程に分け、必要に応じ図面を用いて説明する。
【0011】
(1)封止過程
該過程は、嵩高な材料を、袋の上部にある開口部から該袋に投入した後、該開口部を封止部材により封止する過程である。
該過程により、後に続く吸引による袋の圧縮を効果的に行うことができる。
(i)嵩高な材料
本発明において梱包の対象となる嵩高な材料として、例えば、金属、ガラスおよび陶磁器などの不燃物を含まない、粉砕物、破断物および裁断物(以下「処理物」という。)などが挙げられる。これらの中でも、プラスチック、ゴム、紙および布等の、可燃物や可燃性廃棄物を含む処理物は、単位質量あたりの燃焼熱が高いため、燃料として好適である。また、該材料の投入量は、袋の容積の60体積%以上が好ましく、80体積%以上がより好ましい。該投入量が60体積%未満では、コスト高になる。
【0012】
(ii)袋
前記袋は、後記の圧縮過程において、袋内の空気を吸引して排出するため、気密性が要求され、例えば、アルミニウム等の金属や、ゴム、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、フッ素樹脂、エラストマー等の樹脂が好ましい。
また、処理物に含まれる硬質プラスチックの破片等による破袋を防止するため、袋はラミネートなどの多層構造を有するものが好ましい。該多層構造は、気密性と耐久性を考慮すると、少なくとも1層は、前記気密性材料で構成し、少なくとも1層は繊維強化樹脂等の耐久材で構成したものが好ましい。また、多層構造にする範囲は、袋全体のほか、嵩高な材料で満たされる範囲に限定してもよい。該範囲を限定することにより、袋のコストダウンを図ることができる。
前記袋の容量は、材料の嵩密度に依るが、前記のように、実用上望ましい梱包単位の質量が数百kg程度であることから、概略、0.5〜10mが好ましく、1〜8mがより好ましい。
(iii)封止部材
前記袋の上部にある開口部を封止するための封止部材は、図1に示すような、袋の上部に予め取り付けられたジッパーや、図2に示すような、クリップが挙げられる。これらの中では、クリップが安価なことや、破袋の際にもクリップは流用できることから好ましい。
【0013】
(2)圧縮過程
該過程は、前記封止された袋にある排気弁1から、袋の内部の空気を吸引装置により吸引し排気して袋を圧縮する過程である。
該過程により、嵩高い材料の嵩容積を格段に小さくすることができる。
(i)排気弁
前記排気弁1は、1例として、図3の(a)に示すように、袋の内側に面したフィルタ2と、袋を内と外から挟むようにして排気弁1を袋に固定するための挟着部3と、開閉弁4とからなる。また、別の態様の排気弁は、図3の(b)に示すように、前記開閉弁4に代えて、逆止弁5を有するものがある。
前記挟着部3は、袋の内と外から、例えば、ねじの方式により螺合して、排気弁1を袋に固定する機構を有するものである。これにより、排気弁1は、袋から取り外すことができるため、破袋した場合に排気弁1を取り外して回収し、さらに再利用することにより、袋のコストダウンを図ることができる。
排気弁1の設置位置は、図4に示すように、投入された嵩高な材料の高さ以下のいずれかの位置が好ましい。該位置から吸引すると、袋の内部の空気が均一に排出され、該材料の嵩容積を、より小さくすることができる。具体的には、排気弁1の設置位置は、袋の高さの半分以下のいずれかの位置がよい。
フィルタ2は、嵩高な材料に含まれる微粉が、袋の外に排出されて吸引装置に詰まり、該装置の吸引性能が低下するのを防止する機能がある。
(ii)吸引装置
前記吸引装置は、袋の中の空気を吸引して袋の外へ排出するための装置である。該装置として、例えば、電気掃除機などが挙げられる。この過程を終えた袋は縮小しているため、運搬や保管が容易になる。
【0014】
(3)反転過程
該過程は、前記圧縮された袋の重心の上部と下部の位置に、少なくとも1組ずつ設置された取手に、係止具を係止して該袋を吊り上げた後、上部の取手はそのままにして、下部の取手を更に吊り上げることにより、該袋を上下反転させる過程である。
取手の取付け位置を、袋の重心の上部と下部に設置するだけで、該過程において、袋の上下を容易に反転することができる。
(i)取手
前記取手は、図4に示すように、袋の重心の上部と下部の位置になるように、それぞれ、少なくとも1組ずつ設置する。袋に取手を設置する時期は、嵩高な材料を袋に投入する前でも、後でもよい。例えば、該材料の投入量を予め定めておけば、袋の重心の位置は予測することができるため、該材料の投入前に、該重心の上部と下部の位置に取手を設置することができる。また、嵩高な材料を投入して圧縮した後は、重心の位置が明確になるから、該重心の上部と下部の位置に確実に、取手を設置することができる。
(ii)係止具
該係止具として、例えば、クレーンのフック等を用いることができる。
【0015】
(4)排出過程
該過程は、前記反転した状態で、袋の開口部を封止している封止部材を取り外して、袋の内容物を排出する過程である。該過程において、動力を用いることなく、重力を利用して、袋の内容物を容易に取り出すことができる。
【0016】
以上、述べたように、本発明の梱包および開梱方法によれば、嵩高な材料を圧縮して、大量に効率よく梱包することができ、また、容易に開梱することができ、さらに、袋を繰り返し使うことができる。したがって、本発明によれば、嵩高な材料の運搬や保管が極めて容易になる。
【符号の説明】
【0017】
1 排気弁
2 フィルタ
3 挟着部
4 開閉弁
5 逆止弁
6 袋
7 袋の内容物
8 取手

【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記(1)〜(4)の過程を含むことを特徴とする、嵩高な材料の梱包および開梱方法。
(1)嵩高な材料を、袋の上部にある開口部から該袋内に投入した後、該開口部を封止部材により封止する封止過程
(2)前記封止された袋の排気弁から、袋の内部の空気を吸引装置により吸引し排気して袋を圧縮する圧縮過程
(3)前記圧縮された袋の重心の上部と下部の位置に、少なくとも1組ずつ設置された取手に、係止具を係止して該袋を吊り上げた後、上部の取手はそのままにして、下部の取手を更に吊り上げることにより、該袋を上下反転させる反転過程
(4)前記反転した状態で、袋の開口部を封止している封止部材を取り外して、袋の内容物を排出する排出過程
【請求項2】
前記袋が多層構造を有することを特徴とする、請求項1に記載の嵩高な材料の梱包および開梱方法。
【請求項3】
前記袋が、前記排気弁を、袋の内と外から螺合により狭着させて取り付けてなる袋であることを特徴とする、請求項1または2に記載の嵩高な材料の梱包および開梱方法。
【請求項4】
前記嵩高な材料が、可燃性廃棄物を含む粉砕物、破断物または裁断物であることを特徴とする、請求項1〜3のいずれか1項に記載の嵩高な材料の梱包および開梱方法。

【図1】
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【図3】
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【図2】
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【図4】
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【公開番号】特開2013−23253(P2013−23253A)
【公開日】平成25年2月4日(2013.2.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−160098(P2011−160098)
【出願日】平成23年7月21日(2011.7.21)
【出願人】(000000240)太平洋セメント株式会社 (1,449)
【Fターム(参考)】