説明

工事用車両の運行管理方法

【課題】運行中の工事用車両のそれぞれにおいて、走行ルート中の要注意地点で注意を運転者に喚起できるような仕組みの提供。
【解決手段】走行ルートを選定し、該選定した走行ルートにある要注意地点を抽出するルート選定過程(S1〜S4)と、データ処理手段を操作して、走行ルートの要注意地点の情報を地図データに関連付けて記憶した地点情報データベースを作成する地点登録過程(S5〜S7)と、地点情報データベースから要注意地点の情報を読み出し、走行ルートを含んだ地図データに要注意地点の情報を組み合わせて表示するナビゲーション装置を、工事用車両に配備するナビ配備過程(S8)と、ナビゲーション装置が工事用車両の現在位置を測位し、要注意地点にさしかかるときに注意を喚起する注意喚起過程(S9)と、を含む工事用車両の運行管理方法を提案する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
工事用車両を適切に運行するための管理技術が以下に開示される。
【背景技術】
【0002】
ビル等の建設工事や道路工事の現場へは、プラント等の工場から様々な機材が、ダンプトラックやトレーラー(牽引自動車)、アジテータトラック(ミキサー車)などの工事用車両によって搬入される。また、クレーンやパワーショベル等の工事用車両の現場への移動もある。したがって、工事の管理者においては、これら工事用車両の走行が安全且つ能率良く行われるように運行管理する必要がある。この目的のために、特許文献1や特許文献2に開示される運行管理システムが提案されている。
【0003】
特許文献1の運行管理システムは、各種の機材を運搬する工事用車両の運行の状況を、搬出元の工場に設置した運行管理センターにてリアルタイムに表示して管理するシステムである。すなわち、この運行管理システムは、工場に設置した運行管理センターにて、各工事用車両から発信された車両位置及び現在の運行状態を示す運行情報を受信し、該運行情報に基づいて地図画面上に該当車両をリアルタイムでアイコン表示する、というものである。
【0004】
また、特許文献2の運行管理システムは、工事用車両の速度及び走行ルートを監視して適切な運行管理を行うようにしたシステムである。すなわち、GPS(Global Positioning System)を利用して工事用車両の現在位置に関する情報を取得し、時間の経過に伴って移動する位置情報に基づいて当該車両の走行ルートを把握すると共にその走行速度を演算するシステムで、予め設定された走行ルート及び走行速度と実測された走行ルート及び走行速度とを比較して、工事用車両の運行状況をリアルタイムに監視するシステムである。
【0005】
これら特許文献1,2に開示の運行管理システムは、工事用車両の現状を管理センターの地図画面でリアルタイム監視することにより、管理センターにおいて各車の運行を管理するシステムである。したがって、工事用車両の走行ルート逸脱や制限速度超過は管理センターにおいて検出され、管理センターから運転者へ、車載の無線機や携帯電話端末を通して警告が発せられるものとなっている(特許文献2の段落0048)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2003−242591号公報
【特許文献2】特開2008−197860号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
街中の幹線道路工事などの場合、アスファルト合材の工場から工事現場への走行ルートに、病院や小学校、あるいは、道幅の狭い道路や踏切といった安全上注意すべき地点が存在し得る。安全への配慮を考えれば、走行ルートにおけるこのような要注意地点の存在について運転者に注意を喚起し、徐行、一時停止や、走行速度を控えて騒音、振動を抑えるなどの徹底を図るのが好ましい。
【0008】
従来では、紙に印刷した走行ルートの地図中に要注意地点の印を書き込み、これをコピーして事前に運転者へ配布することにより、注意喚起を行う場合もあった。しかし、紙のルートマップを渡しておくだけでは注意喚起の実効性に欠けており、要注意地点での注意喚起の徹底という点で改善が図られるべきである。この点に関し、特許文献1,2の運行管理システムでは、管理センターにおいて走行ルート上に各工事用車両を表示し、その位置や状態、速度を監視するだけなので、それぞれが別行動している工事用車両の運転者に対し、要注意地点が近いことを個別に注意喚起する、という運用が想定されない。
【0009】
以上の背景に鑑みると、運行中の工事用車両のそれぞれにおいて要注意地点で注意を運転者に喚起できるような仕組みが必要である。
【課題を解決するための手段】
【0010】
当課題に対して提案するのは、
出発地点から到着地点までの走行ルートを選定し、該選定した走行ルートにある要注意地点を抽出するルート選定過程と、
地図データに関連付けた情報登録の処理を実行するデータ処理手段を操作して、前記走行ルートの要注意地点の情報を地図データに関連付けて記憶した地点情報データベースを作成する地点登録過程と、
前記地点情報データベースから前記要注意地点の情報を読み出し、前記走行ルートを含んだ地図データに前記要注意地点の情報を組み合わせて表示するナビゲーション装置を、工事用車両に配備するナビ配備過程と、
前記ナビゲーション装置が前記工事用車両の現在位置を測位し、該工事用車両が前記要注意地点にさしかかるときに当該ナビゲーション装置が運転者へ注意を喚起する注意喚起過程と、
を含む、工事用車両の運行管理方法である。
【発明の効果】
【0011】
上記提案に係る運行管理方法によれば、各車両に配備されたナビゲーション装置から自動的に、走行ルート上の各要注意地点で運転者に注意が喚起されるので実効性が高い。すなわち、個別に走行している工事用車両のそれぞれにおいて要注意地点の存在について実際の運転中に運転者へ注意が喚起され、徐行、一時停止や、走行速度を控えて騒音、振動を抑えるなどの徹底を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】ナビゲーション装置の実施形態を示した図。
【図2】工事用車両の運行管理方法のフローチャート。
【図3】地点登録過程の詳細を示したフローチャート。
【図4】工事用車両に配備されたナビゲーション装置の使用例を示した図。
【図5】工事用車両に配備されたナビゲーション装置の使用例を示した図。
【発明を実施するための形態】
【0013】
まず、工事用車両の運行管理方法で使用するナビゲーション装置の実施形態について、図1Aに外観図、図1Bに内部ブロック図を示している。
図示のように、ナビゲーション装置1はタッチパネル式ディスプレイ2を備えたタブレット型で、そのディスプレイ2を指やスタイラスペン3でタッチすることにより操作することができる。また、リムーバブルの記憶媒体としてメモリーカード4を使用することが可能で、メモリーカード4を着脱するカードスロット1aを備えている。この他に、ナビゲーション装置1は、LANケーブルやUSBケーブル、あるいは無線LANを介してパーソナルコンピュータ(PC)と通信することが可能なように構成可能である。
【0014】
図1Bに示すように、ナビゲーション装置1では、中央処理装置である制御部5が各種データを処理してディスプレイ2を制御する。制御部5は、道路地図のデータベースを記憶したHDD等の地図データ記憶部6からデジタル地図データを読み出し、ディスプレイ2に表示する。すなわち、制御部5は、GPS(Global Positioning System)部7によって測位される自車位置に該当する表示範囲の地図データを地図データ記憶部6から逐次読み出し、ディスプレイ2に表示する。また、HDDやEEPROM等の補助記憶部8に、地図データに連動させて表示する建物名やアイコン等の補助データを記憶してあり、制御部5は、これら補助データを組み合わせて地図データをディスプレイ2に表示する。さらに、制御部5は、カードスロット1aに差し込まれた図1Aのメモリーカード4にアクセスし、このメモリーカード4に記憶された地点情報データベースを補助記憶部8へコピーし、そして、コピーした地点情報データベースから要注意地点の情報を読み出して、地図データに組み合わせてディスプレイ2に表示する。このタッチパネル式のディスプレイ2をタッチすることで入力される信号に応じて制御部5は、その信号に従う各種の処理を実行する。
【0015】
本実施形態では、上記ナビゲーション装置1を、地図データに関連付けた情報登録の処理を実行するデータ処理手段として使用し、地点情報データベースの作成に使用する。ただし、この例に限らず、専用ソフトを立ち上げたPC上で同処理を実行することもできる。図2に、ナビゲーション装置1を使用して地点情報データベースを作成し、該地点情報データベースをコピーした複数のナビゲーション装置1を工事用車両へ配備する運行管理方法の一例に関し、フローチャートを示して説明する。
【0016】
まず、工事用車両の運行を管理する運行管理者は、例えば、運搬する機材の搬出元である工場等の出発地点から、その機材の搬入先である工事現場等の到着地点までの間の地域を実際に車で走行し、走行ルートにあたる区間の地域特性を調査する、現地調査を実施する(ステップS1)。この現地調査により、道幅や歩道の有無、交通量(一般車の多さ、自転車や歩行者の多さ)、交通量が増える時間帯などの特性を調査し、適切な走行ルートを1つ以上選定する(ステップS2)。走行ルートが選定されれば、当該走行ルートを実地検分し、踏切が在る、道幅が狭い、歩道が無い、急カーブ、見通しが悪い、学校/病院が在る、住宅街で飛び出しが怖い/老人が多い、事故多発、といった要注意地点を抽出する(ステップS3)。そして、要注意地点が抽出されると、走行ルートの地図上に要注意地点をすべてプロットし、ハザードマップを作成する。ハザードマップは、PCの画面上で作成しても紙面上で作成してもよい(ステップS4)。
【0017】
ステップS1〜S4のルート選定過程によってハザードマップができると、今度はナビゲーション装置1に、ステップS2で選定した走行ルートを含む範囲の地図を表示させ、走行ルートを指定(パネルタッチ)して記憶させる。次にハザードマップに基づいて、ナビゲーション装置1が表示している走行ルートにある要注意地点を指定(パネルタッチ)し、当該要注意地点の情報をナビゲーション装置1で入力する。要注意地点が指定されてその情報が入力されるとナビゲーション装置1は、地図データに関連付けて(例えばその地点の緯度と経度に関連付けて)要注意地点の情報を記憶し、地点情報データベースを作成する(ステップS5)。このとき、指定した走行ルートの情報と地点情報データベースは、補助記憶部8に記憶される。地点情報データベースを作成するステップS5による地点登録過程の詳細を、図3に示している。
【0018】
まず、ナビゲーション装置1の拡大/縮小機能を利用して、適当な縮尺で地図データをディスプレイ2に表示させる。次いで、ナビゲーション装置1が表示している地図上の走行ルートにおいて、ハザードマップに書き込まれた要注意地点を、ディスプレイ2にタッチして指定する(ステップS52)。このときの操作例を画面例Aに示してある。なお、図3に示す画面例中のカーソルは便宜上のもので、実際には表示されない(ただし、PC同様にカーソルによる操作も可能)。要注意地点をタッチして指定すると、ナビゲーション装置1のディスプレイ2には、要注意地点の情報を登録するフォルダを選択する画面例Bの画面が表示される(ステップS53)。フォルダ選択画面において新規フォルダ又は工事名等をつけた既存フォルダを選択すると、補助記憶部8において該当するデータフォルダへ、この後に入力される情報が記憶される。フォルダ選択後のナビゲーション装置1のディスプレイ2には、画面例Cに示すように、要注意地点の情報を入力する地点登録画面が表示される。この地点登録画面に沿って要注意地点の情報を入力すると、該入力された情報が地図データと関連付けられてナビゲーション装置1の補助記憶部8に記憶される(ステップS54)。画面例C中の登録ボタンをタッチすると、登録完了となる(ステップS55)。
【0019】
画面例Cにおいて、アイコンC1は、補助記憶部8に記憶されている多数のアイコンの中から選択して登録する。このアイコンC1は、ナビゲーション実行中、ディスプレイ2に表示される地図上の該当地点に表示される。地点名称欄C2をタッチして選択すると、文字入力画面がディスプレイ2に表示され、表示された中の該当文字をタッチしていくことで地点名を入力することができる。アラート方向欄C3をタッチして選択すると、当該要注意地点へどの方向から進入した場合に注意を喚起するのか指定することができる。指定しない場合は全方向が対象となる。図示の例で“N”は北を示し、隣の数字が北から時計回りの角度を表す。地点画像欄C4をタッチして選択すると、ステップS3で要注意地点を抽出したときに撮影した現地の画像などを登録することができる。メモ欄C5をタッチして選択すると、文字入力画面がディスプレイ2に表示され、コメントを入力することができる。アラート音声欄C6及びアラートポップアップ画像欄C7をタッチして選択すると、補助記憶部8に記憶されている多数の合成音声データ及び画像データの中から適切なデータを指定し、要注意地点へさしかかるときにナビゲーション装置1から発せられる注意喚起の音声及びポップアップ画像を選ぶことができる。
【0020】
上記のようにして、走行ルートにおける各要注意地点の情報を記憶した地点情報データベースを作成した後には、当該ナビゲーション装置1を携行して、実際に車で走行ルートを走行するテスト走行過程を実施する(ステップS6)。ナビゲーション装置1は、GPS部7により自車の現在位置を測位し、補助記憶部8に記憶した地点情報データベースから要注意地点の情報を自車位置の進行に伴って逐次読み出し、走行ルートを含んだ地図データに要注意地点の情報を組み合わせてディスプレイ2に表示する。したがって、自車が走行ルートの要注意地点にさしかかると(例えば要注意地点の100m手前など)、ナビゲーション装置1は、アラート音声欄C6で選択した音声でスピーカーからアラートを発すると共に、アラートポップアップ画像欄C7で選択したポップアップ画像をディスプレイ2にアラート表示する。実際に車で走行ルートを走行しながら、ハザードマップに示された要注意地点で適切にナビゲーション装置1が注意を喚起するかどうか確認し、登録地点にずれがあったり、もう少し早めに注意喚起すべき所などがあれば、地点情報データベースに記憶されている要注意地点の情報を修正する(ステップS7)。
【0021】
要注意地点の情報の修正では、まず、ナビゲーション装置1を操作して図3の画面例Bに準ずるフォルダリスト画面を開き、該当するフォルダを選ぶと、該フォルダ内に記憶されている各要注意地点の地点名称リスト(地点名称欄C2で入力した名称)が表示されるので、このリスト中の該当地点をタッチして選択する。すると、その選択した要注意地点を中心として地図がディスプレイ2に表示されるので、当該地図を表示したディスプレイ2をタッチすることで、地点修正を行うことができる。また、地点名称リストの画面にある編集ボタンをタッチすると、図3の画面例Cが開き、登録内容の編集を再度行い、登録ボタンにより更新することができる。
【0022】
テスト走行で修正箇所がなくなれば、このナビゲーション装置1をマスタとして、同構成の別のナビゲーション装置1へ走行ルートの情報及び地点情報データベースをコピーする。例えば、マスタのナビゲーション装置1において、補助記憶部8からメモリーカード4へ走行ルートの情報及び地点情報データベースをコピーし、該メモリーカード4を他のナビゲーション装置1に装着して補助記憶部8へデータをコピーする。あるいは、有線/無線通信を利用してマスタからデータを送信する方式とすることもできる。補助記憶部8に走行ルートの情報及び地点情報データベースをコピーした複数のナビゲーション装置1は、使用される工事用車両に配備され、マスタと同様に、地点情報データベースの要注意地点の情報を読み出して走行ルートを含んだ地図データに組み合わせて表示し、走行ルートのナビゲーションを行う(ステップS8)。このナビ配備過程によって配備されたナビゲーション装置1は、GPS部7により自車の現在位置を測位し、工事用車両が走行ルートの要注意地点にさしかかると、マスタと同様に、音声でスピーカーからアラートを発すると共にポップアップ画像をディスプレイ2にアラート表示し、運転者に注意を喚起する注意喚起過程を実行する(ステップS9)。
【0023】
図4及び図5には、工事用車両に配備されたナビゲーション装置1の使用例について説明するため、ディスプレイ2の表示画面を例示してある。
まず、操作(A)において、上記のようにしてマスタのナビゲーション装置1からデータをコピーしたメモリーカード4をカードスロット1aに差し込み、ディスプレイ2に表示される業務メニューのデータ操作ボタンをタッチして選択する。なお、各画面例中のカーソルは便宜上のもので、実際には表示されない(ただし、カーソルによる選択操作とすることも可能)。データ操作を選択すると、ディスプレイ2にはデータ操作画面が表示され、その中の「予定の受信」をタッチして選択することで、メモリーカード4から補助記憶部8へ、走行ルートの情報、地点情報データベース、及びその他の必要な情報がコピーされる。これにより当該ナビゲーション装置1は、地点情報データベースの要注意地点の情報を読み出して走行ルートを含んだ地図データに組み合わせて表示し、走行ルートのナビゲーションを行うと共に要注意地点で注意喚起を行うことができるようになる。続いて操作(B)において、ディスプレイ2に表示される業務メニューのお知らせボタンをタッチして選択すると、運行管理者からのメッセージなどを確認することができる。
【0024】
このように、例えば毎日の業務開始にあたって、各工事用車両に配備するナビゲーション装置1にその日のデータを取り込むようにすることで、到着地点である搬入先の現場で進入ゲートが変更された場合などでも、これに対応して走行ルートを柔軟に運用することができる。
【0025】
次に、操作(C)において、ディスプレイ2に表示される業務メニューの車両点検ボタンをタッチして選択し、これによりディスプレイ2に表示される車両点検画面において、「始業点検」をタッチして選択する。すると、ディスプレイ2には、始業点検の各項目がチェック欄付きで表示されるので、各項目の点検を実施してチェックを付けていく。始業点検後、車両点検画面に戻って「始業メーター」をタッチして選択し、現在の走行キロ数(オドメーター)を入力する。これら操作により、ナビゲーション装置1の補助記憶部8に、始業点検の各項目チェック結果と始業時の走行キロ数が、運転状況の情報の一部として記憶される。
【0026】
このようにして始業準備が済むと、機材を積み込むべく、出発地点である搬出元の工場へ工事用車両を移動させ、操作(D)において、ディスプレイ2に表示される業務メニューの作業内容ボタンをタッチして選択し、これに応じてディスプレイ2に表示される作業内容画面の中で「工場着」をタッチして選択し、補助記憶部8に工場着時刻を記憶させる。そして、機材の積み込みが終了したところで、作業内容画面にある「積込終了」をタッチして選択し、補助記憶部8に積込終了時刻を記憶させる。これら操作により、ナビゲーション装置1の補助記憶部8に、出発地点における作業時間として、工場着時刻及び積込終了時刻が記憶される。
【0027】
積み込みを終えた後、操作(E)において、ディスプレイ2に表示される業務メニューの地図ボタンをタッチして選択すると、走行ルートを含む地図がディスプレイ2に表示され、走行ルートのナビゲーションが開始される。ナビゲーションを開始したナビゲーション装置1は、走行ルートを含んだ表示範囲の地図データに地点情報データベースの要注意地点の情報を組み合わせてディスプレイ2に表示し、当該地図中に、GPS部7による現在位置の測位に従って自車位置のマークを表示する。そして、ナビゲーション装置1は、図3の画面例Cで登録されたアイコンC1を表示した要注意地点に自車がさしかかると、同画面例Cで登録されたポップアップ画像C7をディスプレイ2にポップアップ表示すると同時に、同画面例Cで登録されたアラート音声C6をスピーカーから発生し、運転者に注意を喚起する。図4の例では、自車が病院のある交差点に近づいているので、「この先病院があります。安全に注意して走行してください。」とポップアップ画像C7をポップアップして表示し、「速度を落とし、安全走行してください。」と音声で注意を喚起する。
【0028】
この運搬の途中で食事などの休憩をしたときには、操作(D)で示した作業内容画面中の「休憩開始」と「休憩終了」をタッチして選択し、両時刻を補助記憶部8に記憶させることができる。
【0029】
ナビゲーション装置1の誘導に従って工事用車両が走行し、到着地点である搬入先の工事現場に到着すれば、図5の操作(F)において、ディスプレイ2に表示される業務メニューの作業内容ボタンをタッチして選択する。これに応じてディスプレイ2に表示される作業内容画面で「現場着」をタッチして選択すると、補助記憶部8に現場着時刻が記憶される。そして、機材の荷卸しが終了したところで、作業内容にある「荷卸終了」をタッチして選択し、補助記憶部8に荷卸時刻を記憶させる。これら操作により、ナビゲーション装置1の補助記憶部8に、到着地点における作業時間として、現場着時刻及び荷卸終了時刻が記憶される。
【0030】
荷卸しを終え、走行ルートを逆走して自社へ戻ると、操作(G)において、ディスプレイ2に表示される業務メニューの車両点検ボタンをタッチして選択し、ディスプレイ2に表示される車両点検画面の中から「終業点検」をタッチして選択する。これによりディスプレイ2には、終業点検の各項目がチェック欄付きで表示されるので、各項目の点検を実施してチェックを付けていく。終業点検後、車両点検画面に戻って「終業メーター」をタッチして選択し、現在の走行キロ数を入力する。これら操作により、ナビゲーション装置1の補助記憶部8に、終業点検の各項目チェック結果と終業時の走行キロ数が、運転状況の情報の一部として記憶される。
【0031】
続いて、操作(H)において、ディスプレイ2に表示される業務メニューのデータ操作ボタンをタッチして選択し、ディスプレイ2にデータ操作画面を表示させる。そして、データ操作画面の中の「実績の送信」をタッチして選択すれば、補助記憶部8からメモリーカード4へ、操作(D)及び操作(F)による作業時間の情報(及び休憩時間の情報)、操作(C)及び操作(G)による工事用車両の運転状況の情報がコピーされる。
【0032】
ナビゲーション装置1に加速度センサーを内蔵することにより、急発進、急ブレーキ、急ハンドルといった運転の特徴を検出することができ、この運転特徴の情報を補助記憶部8に記憶することができる。この場合、操作(H)の「実績の送信」で、運転特徴の情報も運転状況の情報としてコピーする。
【0033】
運行管理者は、各運転者からメモリーカード4を受け取り、その各メモリーカード4に記憶された実績の情報のうち、作業時間の情報に基づいて、走行ルート及び工事用車両の台数の両方又はいずれかを見直す再検討過程を実施することができる。すなわち、各車の出発地点における作業時間と到着地点における作業時間とに基づいて、運搬にかかった実際の時間、出発地点及び到着地点での待ち時間を計算することができるので、これに基づいて翌日の配車数、走行ルートを見直せば、より能率良く工事用車両を運行することができる。
【0034】
また、運行管理者は、各運転者から受け取ったメモリーカード4に記憶された実績の情報のうち、運転状況の情報に基づいて、運転者を指導するフィードバック過程を実施することができる。すなわち、上記運転特徴の情報を判断し、より環境に配慮した燃費の良い運転を指導したり、始業点検、終業点検をきちんとしているかといった指導をすることができる。また、工事用車両の走行キロ数を把握して、点検に出すなどのメンテナンス指導も行える。
【0035】
なお、この実施形態では、メモリーカード4を媒体としてデータを通信する手法を示したが、無線LANなどの手法を利用して、工事用車両にナビゲーション装置1を車載したままでデータ通信を行うように構成することも可能である。
【符号の説明】
【0036】
1 ナビゲーション装置
2 ディスプレイ
3 スタイラスペン
4 メモリーカード
5 制御部
6 地図データ記憶部
7 GPS部
8 補助記憶部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
出発地点から到着地点までの走行ルートを選定し、該選定した走行ルートにある要注意地点を抽出するルート選定過程と、
地図データに関連付けた情報登録の処理を実行するデータ処理手段を操作して、前記走行ルートの要注意地点の情報を地図データに関連付けて記憶した地点情報データベースを作成する地点登録過程と、
前記地点情報データベースから前記要注意地点の情報を読み出し、前記走行ルートを含んだ地図データに前記要注意地点の情報を組み合わせて表示するナビゲーション装置を、工事用車両に配備するナビ配備過程と、
前記ナビゲーション装置が前記工事用車両の現在位置を測位し、該工事用車両が前記要注意地点にさしかかるときに当該ナビゲーション装置が運転者へ注意を喚起する注意喚起過程と、
を含む、工事用車両の運行管理方法。
【請求項2】
前記ナビ配備過程の前に、
前記地点情報データベースから前記要注意地点の情報を読み出し、前記走行ルートを含んだ地図データに前記要注意地点の情報を組み合わせて表示するナビゲーション装置を携行して、前記走行ルートを実際に走行するテスト走行過程を含む、
請求項1記載の工事用車両の運行管理方法。
【請求項3】
前記ナビゲーション装置を利用して、前記出発地点における作業時間及び前記到着地点における作業時間の情報を記憶し、該ナビゲーション装置により記憶した情報に基づいて、前記走行ルート及び前記工事用車両の台数の少なくとも1つを見直す再検討過程をさらに含む、
請求項1又は請求項2記載の工事用車両の運行管理方法。
【請求項4】
前記ナビゲーション装置を利用して、前記工事用車両の運転状況の情報を記憶し、該ナビゲーション装置により記憶した情報に基づいて運転者を指導するフィードバック過程をさらに含む、
請求項1〜3のいずれかに記載の工事用車両の運行管理方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2012−238085(P2012−238085A)
【公開日】平成24年12月6日(2012.12.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−105230(P2011−105230)
【出願日】平成23年5月10日(2011.5.10)
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第1項適用申請有り 日刊建設工業新聞 平成22年11月11日付
【出願人】(590002482)株式会社NIPPO (130)
【Fターム(参考)】