説明

巻取機

【課題】チャック装置5のコーンヘッド13と巻芯Mとの位置を確認する確認作業と、チャック装置5の操作作業とを同時に並行して行うのに、アーム3の片側からしか操作作業ができないために、チャッキング作業が非効率なものとなっている。
【解決手段】左右一対の機枠1と、該機枠1に枢支された軸芯2と、該軸芯2に取り付けられた左右一対のアーム3と、該一対のアーム3それぞれの先端に左右方向に互いに接近離間して、シートを巻き付ける巻芯を把持する突出部12と、上記一対のアーム3それぞれに上記突出部を左右方向に沿って移動させるアクチュエータ14とを備えた巻取機において、上記一対のアームのうち、片側のアームに上記一対のアクチュエータを操作する第一の操作部27を、上記一対のアームのうち、もう片側のアームに上記一対のアクチュエータを操作する第二の操作部28を設ける。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、シートを巻き付ける巻芯を把持する、いわゆるチャック装置を備えた巻取機に関する。
【背景技術】
【0002】
上記巻取機は、紙やプラスチックフィルム、布織物等のシートを巻き取るものであって、特にシートを巻き付ける巻芯を左右両側から水平に把持して、回転するチャック装置を備えたものである。例えば、下記の特許文献1、特許文献2に開示されている。
【0003】
上記文献に記載されているように、このようなタイプの巻取機は、一般に土台となる左右一対の機枠と、該機枠に枢支された回転可能な軸芯と、該軸芯から伸びる一対のアームと、該アームの先端に取り付けたチャック装置とから構成されている。上記チャック装置は、上記軸芯に沿って左右方向に移動可能であって回転自在な突出部と、該突出部を駆動するアクチュエータと、該アクチュエータを操作する操作部とを備えている。上記突出部の先端には、巻芯と嵌合する、いわゆるコーンヘッドが取り付けられており、該コーンヘッドが巻芯を把持し、突出部が回転することによって、シートを巻き取ることができる。そして巻芯にシートを巻き続けることによって、ロールを形成することができる。
【0004】
上記チャック装置の操作方法、チャッキング作業は、クレーン等によって巻芯をコーンヘッドに対向する位置に持上げた状態において、上記片方のアームに備えられた操作部をオペレータが操作することによって、上記突出部を上記軸芯に沿って互いに接近する方向に移動させて巻芯の端部と嵌合させることができる。また、上記突出部を互いに離間する方向に移動させることによって、巻芯を外すことができる。
【特許文献1】特開2003−72991公報
【特許文献2】特開2003−252489公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記チャッキング作業は、巻芯とコーンヘッドとを嵌合する際と、外す際に行うが、特に嵌合する際は、巻芯とコーンヘッドとの位置関係が重要となる。巻取機を操作するオペレータが、巻芯とコーンヘッドとが同一直線状に位置するか、また巻芯の端部とコーンヘッドとが噛み合うか目視を行い、確認しつつ、巻芯の位置を微調整しながら、片方のアームに備えられた操作部を操作することによって、巻芯とコーンヘッドとを嵌合させる。
【0006】
このようなチャッキング作業は、オペレータが一人で行うことが殆どであって、アームの両側からの確認作業と、操作装置の操作作業とを同時に並行して行なわなければならない。しかも、確認作業は、アームの左右両側から必要であるのに対して、操作作業はアームの一方から行うので、常に操作部を備えているアーム側に戻って作業を進めなければならない。このことは、非効率的であって、巻取機の稼動率にも影響する。
【0007】
従って、本発明の目的は、このような問題を解決し、チャッキング作業の効率を向上させることによって、巻取機の稼働率の向上を図ることである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明に係る巻取機は、左右一対の機枠と、該機枠に枢支された軸芯と、該軸芯に取り付けられた左右一対のアームと、該一対のアームそれぞれの先端に左右方向に互いに接近離間して、シートを巻き付ける巻芯を把持する突出部と、上記一対のアームそれぞれに上記突出部を左右方向に沿って移動させるアクチュエータとを備えた巻取機において、上記一対のアームのうち、片側のアームに上記一対のアクチュエータを操作する第一の操作部を、上記一対のアームのうち、もう片側のアームに上記一対のアクチュエータを操作する第二の操作部を設けたことを特徴とする巻取機である。
【0009】
更に本発明に係る巻取機は、前記第一の操作部、又は前記第二の操作部を操作することによって、前記一対のアクチュエータが連動して互いに接近離間することを特徴とする巻取機である。
【発明の効果】
【0010】
上記したように本発明では、第1に、左右一対のアームのどちら側からでも、両方のチャック装置を操作できる。このことによって、チャッキング作業の効率を向上させることが可能となる。また本発明では、第2に、左右一対のアームのどちら側からでも、両方のチャック装置の両方同時開閉をすることができ、巻取機の稼働率の向上を図ることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
まず、本発明に係る巻取機の基本構成について説明する。図1、図2に示すように、上記巻取機には、左右一対の機枠1と、該機枠1に枢支された回転自在な軸芯2とが設けられている。該軸芯2には、前後にのびた左右一対のアーム3と、上下一対の水平軸周りに回転自在なガイドローラ4とが備えられており、該一対のアーム3の先端には、それぞれにチャック装置5が取り付けられている。上記機枠1の右側の内部には、上記軸芯2を回転させる軸芯用モータ6が設けられている。また、機枠1の右側には、巻取機を操作する操作盤7が設けられており、該操作盤7に上記軸芯用モータ6を作動させる操作装置8が備えられている。
【0012】
上記機枠1に支持された軸芯2は、その中心に中心軸9が通っており、該中心軸9の右側の端部であって、上記軸芯用モータ6が備えられている側に、該モータ6の回転を伝動する軸芯用ギヤ10が取り付けられている。上記操作装置8を操作することによって、該モータ6を作動させて、軸芯用モータ6の回転をチェーン11を介して、軸芯用ギヤ10に伝える。
【0013】
上記チャック装置5は、左右方向に沿って互いに接離して、回転可能な突出部12と、該突出部12の先端に脱着可能なコーンヘッド13とが設けられている。上記アーム3に該突出部12を互いに接離するアクチュエータのエアシリンダー14が備えられている。また、上記アーム3の右側に該突出部12を回転させるチャック装置用モータ15が設けられており、該チャック装置用モータ15は、左右一対のチャック装置5に対して一つ設けられている。
【0014】
上記右側のアーム3内部であって、上記突出部12の回転する回転軸16外周には、上記チャック装置用モータ15の動力を伝動するチャック用ギヤ17が取り付けられている。上記チャック装置用モータ15の回転をチェーン18を介して、チャック用ギヤ17に伝える。また、上記左右両側のアーム3内部であって、上記それぞれの回転軸16の内部には、左右方向に沿って移動可能なロッド19が備えられている。該ロッド19は上記エアシリンダー14が作動することによって、左右方向に沿って移動する。
【0015】
ここで、上記巻取機の動作について説明する。シートSを巻き付ける巻芯Mを嵌合する待機位置Xで、チャック装置5間に配置した巻芯Mを水平に把持し、アーム3が軸芯2を中心に時計周りに回転させる。図3に示すように、アーム3は、軸20を介して揺動する当接ローラ21と接する巻取り位置Yで回転する。巻芯Mに巻き付けるシートSは、送り出しローラ22側から送られてくる。そのシートSは当接ローラ21の下側を通って、巻取り皺が発生しないように該当接ローラ21に押されながら、巻取り位置Yで回転する巻芯Mに巻かれる。巻芯Mは、チャック装置用モータ15が作動して、一方のチャック装置5が回転することによって回転する。そして、巻芯Mの回転は、対向する位置にあるチャック装置5にも伝わり、巻芯Mを水平軸周りに回転することができる。
【0016】
図4に示すように、巻取り位置Yで、巻芯MにシートSを所定長さ巻き取ると、軸芯2を回転させて、アーム3が時計周りに180度回転する待機位置Xで停止させる。このときシートSは、ガイドローラ4と接する位置まで巻き出される。チャック装置5が待機位置Xで停止すると、図5に示すように、巻取り位置Bの上部に位置する、シート切断用のカッター23が、軸24を介して時計周りに回転して、シートSを切断する。切断したシートの一方の端部は、新たに巻取り位置Yに位置する巻芯M2で巻き取り、もう一方のシート端部は、待機位置Xに位置する巻芯Mで巻き取る。そして、待機位置Xでロール状に形成された巻物は、チャック装置5が開いて、取り外されて一連の動作が終了する。そして、新たな巻芯が該チャック装置5に装着されて、新たに巻取り動作が開始する。
【0017】
次に、上記チャック装置5を操作する装置について説明する。上記操作盤7に、上記前後一対のチャック装置用モータ15を作動させる操作装置25、26が備えられている。また、一対のチャック装置5には、それぞれに上記エアシリンダー14を操作する操作部27、28が備えられている。ここで、左側のチャック装置5に備えられている操作部を操作部27、もう一方の右側のを操作部28とする。
【0018】
図6に示すように、操作部28を操作して、エアシリンダー14内に、図示しない巻取機を設置した工場内のコンプレッサーから供給されるエアーを吹き込むことによって、エアシリンダー14内のロッド19が左右方向に沿って移動させることができる。
【0019】
操作部28には、操作スイッチA、B、Cが設けられており、該操作スイッチAを操作すると、一対の両側チャック装置5のそれぞれのエアシリンダー14が作動して、互いの突出部12が離間する。また、操作スイッチBを操作すると、一対の突出部12が互いに接近する。更にまた、操作スイッチCを操作すると、該操作された側の突出部12のみが、もう一方の突出部に向って移動する。
【0020】
図7に示すように、突出部12に装着するコーンヘッドは、巻芯の長さや、巻芯両端部の開口形状によって、取り替えることが可能である。具体的には、巻芯が両端角テーパ形状M3の場合、長さのちがう角テーパ用コーンヘッド29、30を取り付け、巻芯が両端円筒形状M4の場合、円筒用コーンヘッド31をアダプター32を介して、長さの異なる円筒33、34を装着してものを取り付けることができる。
【0021】
上述した通り、巻芯が両端円筒形状の場合は、円筒用コーンヘッドを使用し、チャッキング作業時において、巻芯とコーンヘッドとが同一直線状に位置するかアーム両側から目視し、確認できた時点でオペレータの手前の操作部の操作スイッチAを操作することによって、互いのコーンヘッドが接近して巻芯を支持する。そして、ロール状に形成された巻物を把持しているときは、装置スイッチBを操作して、巻物を取り出す。また、巻芯が両端角テーパ形状の場合は、オペレータは該巻芯と角テーパ用コーンヘッドとが一直線上に位置するか、該巻芯の開口端と、該コーンヘッドとが嵌合する位置にあるか、目視を行い、確認のとれた側の操作スイッチCを操作して、先に一方の開口端と嵌合する。そして、もう一方のアーム側に回って、もう片側の方も確認してから、そのオペレータの手前にある操作スイッチCを操作して、巻芯の両端を把持する。
【0022】
上述したように、本発明によれば、アームに取り付けたチャック装置それぞれに操作部を設けることによって、チャッキング作業時の操作作業を、確認作業を行っている側から常に行うことができるので、チャッキング作業の効率を向上することができる。また、チャッキング作業を短時間に行なえることから、巻物をより多くつくることができるようになって、巻取機の稼働率の向上を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【図1】本発明に係る巻取機の正面図である。
【図2】本発明に係る巻取機の上面図である。
【図3】巻取機の動作を説明する側面図である。
【図4】巻取機の動作を説明する側面図である。
【図5】巻取機の動作を説明する側面図である。
【図6】巻取機の動作を説明する側面図である。
【図7】巻芯とコーンヘッドと突出部との関係を示す正面図である。
【符号の説明】
【0024】
1 機枠
2 軸芯
3 アーム
4 ガイドローラ
5 チャック装置
6 軸芯用モータ
7 操作盤
9 中心軸
12 突出部
13 コーンヘッド
14 エアシリンダー
15 チャック装置用モータ
S シート
M 巻芯
X 待機位置
Y 巻取り位置
27 操作部
28 操作部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
左右一対の機枠と、該機枠に枢支された軸芯と、該軸芯に取り付けられた左右一対のアームと、該一対のアームそれぞれの先端に左右方向に互いに接近離間して、シートを巻き付ける巻芯を把持する突出部と、上記一対のアームそれぞれに上記突出部を左右方向に沿って移動させるアクチュエータとを備えた巻取機において、
上記一対のアームのうち、片側のアームに上記一対のアクチュエータを操作する第一の操作部を、上記一対のアームのうち、もう片側のアームに上記一対のアクチュエータを操作する第二の操作部を設けたことを特徴とする巻取機。
【請求項2】
前記第一の操作部、又は前記第二の操作部を操作することによって、前記一対のアクチュエータが連動して互いに接近離間することを特徴とする請求項1に記載の巻取機。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2006−312496(P2006−312496A)
【公開日】平成18年11月16日(2006.11.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−134715(P2005−134715)
【出願日】平成17年5月6日(2005.5.6)
【出願人】(000232807)日本輸送機株式会社 (320)
【Fターム(参考)】