説明

巻弛み防止装置、およびサーマルプリンタ

【課題】ロール紙を傷付けることなくロール紙の弛みを確実に防止することができると共に、ロール紙の初動動作を確実にスムーズに行うことができる巻弛み防止装置、およびサーマルプリンタを提供する。
【解決手段】ロール紙Rの近傍に設けられ、ロール紙Rに向かって傾動可能な稼動バー13と、稼動バー13に設けられたローラユニット14とを備え、ローラユニット14は、ロール紙Rの軸心よりも重力方向上側でロール紙Rの外周面に当接して従動する回転ローラ18を有し、稼動バー13、およびローラユニット14の自重により、回転ローラ18をロール紙R側へと付勢するように構成した。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、ロール紙の巻弛み防止装置、およびこれを用いたサーマルプリンタに関するものである。
【背景技術】
【0002】
ロール紙に印刷を行うプリンタとしては、例えば、熱を加えると変色する特殊な記録紙に、熱したサーマルヘッドを押し付けることで印刷を行うサーマルプリンタがある。
サーマルプリンタは、ロール紙がセットされるロール紙ホルダと、多数の発熱素子を有するサーマルヘッドと、サーマルヘッドとの間にロール紙を挟むプラテンローラと、歯車を介してプラテンローラを回転させ、ロール紙を送り出す電動モータとを備えている。
【0003】
そして、印刷時においてロール紙を送り出す際、電動モータを駆動させてプラテンローラを回転させる。すると、プラテンローラの回転によりロール紙が引張られ、ロール紙ホルダ内でロール紙が回転する。このように、ロール紙は、サーマルヘッド側へ連続的に引き出される。
一方、印刷終了時には、電動モータの駆動を停止させてプラテンローラの回転を停止させる。これにより、プラテンローラによるロール紙の引出しも停止するので、ロール紙の回転も停止する。
【0004】
ここで、プラテンローラの回転を停止させた後にロール紙が惰性で回転し、プラテンローラとロール紙ホルダとの間でロール紙が弛んでしまう虞がある。このような場合、この後に印刷を再開すると、ロール紙が紙送り方向に対してずれた状態でサーマルヘッドに供給される等の不具合が生じ、紙詰まりや印刷精度の低下の原因となることが考えられる。
【0005】
このため、ロール紙の直下に配置されてロール紙の外周に当接可能な回転抑制部を備え、紙送り停止時に、回転抑制部とロール紙とが接触することによりロール紙の回転運動に対する負荷を増加させる技術が開示されている(例えば、特許文献1参照)。
このように構成することで、回転抑制部をロール紙の外周面に接触させ、ロール紙と回転抑制部との摩擦によりロール紙の回転を減衰させることができる。このため、プラテンローラ停止時のロール紙の惰性回転を抑制し、ロール紙の弛みを防止できる。
【0006】
また、ロール紙の残量(ニヤエンド)を検出し、印刷途中の紙切れ防止やプリンタの稼働率を向上させるさまざまな技術が開示されている。
例えば、ロール紙の巻径が所定値以下となり、ロール紙が所定位置まで降下した際、ロール紙ホルダ側に向かって変位するように付勢された揺動部材と、この揺動部材の変位に伴って出力が切り替わるスイッチを備えたものがある(例えば、特許文献2参照)。
また、ロール紙の軸方向端部近傍であって所定の巻径に対応する位置に光電センサを設け、ロール紙の巻径が所定値まで縮径すると、光電センサによって検出されるように構成したものがある(例えば、特許文献3参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2001−302031号公報
【特許文献2】特開2001−206602号公報
【特許文献3】特開2005−14250号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、上述の特許文献1にあっては、回転抑制部とロール紙の外周面との間に生じる摩擦によりロール紙の回転を減衰させるので、摩擦によってロール紙が傷付く虞があるという課題がある。例えば、ロール紙の印刷面側と回転抑制部とが接触する際、摩擦熱によって印刷面が変色してしまう場合があり、印刷精度が低下する。
【0009】
また、外径サイズの大きい(例えば、6インチ程度)大径のロール紙を使用する場合、ロール紙の重量が重くなるので、ロール紙に対する回転抑制部の摩擦抵抗が大きくなる。このため、ロール紙が回転せず、印刷初動動作をスムーズに行いにくいという課題がある。
ロール紙が回転しないと、プラテンローラを駆動させる電動モータに負荷がかかり、モータが脱調する虞がある。これに対して、プラテンローラを回転させるための電動モータを大型化させることで、大径のロール紙であっても容易に記録紙を供給することも考えられる。しかしながら、プリンタが大型化すると共に、製造コストが嵩む。
【0010】
さらに、ロール紙の巻径が大きい場合にあっては、ロール紙の自重が重いので、ロール紙の回転が減衰しやすいが、ロール紙が使用されて巻径が小さくなった場合、ロール紙の自重が軽くなり、ロール紙の回転が減衰しにくい。これに加え、紙送り速度を一定にした場合、ロール紙の使用開始時と比較してロール紙の使用終了時の巻径が小さくなるので、回転速度が速くなる。このため、ロール紙の巻径が大きい場合、さらに印刷初動動作をスムーズに行いにくい一方、ロール紙の巻径が小さい場合、さらにロール紙の回転が減衰しにくくなるという課題がある。
【0011】
また、上述の特許文献2にあっては、ロール紙の残量を検出する装置とロール紙の弛みを防止する装置を別々に設ける必要があり、この分部品点数が増加し、製造コストが嵩むという課題がある。
さらに、上述の特許文献3にあっては、ロール紙の巻弛みが発生した場合、光電センサの検出精度が悪化する虞がある。このため、ロール紙の残量を高精度に検出できないという課題がある。
【0012】
そこで、本発明は、上述した事情に鑑みてなされたものであって、ロール紙を傷付けることなくロール紙の弛みを確実に防止することができると共に、ロール紙の初動動作を確実にスムーズに行うことができる巻弛み防止装置、およびサーマルプリンタを提供するものである。
また、ロール紙の残量を高精度に検出可能にしつつ、製造コストの低減化を図ることができる巻弛み防止装置、およびサーマルプリンタを提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0013】
上記の課題を解決するために、本発明に係る巻弛み防止装置は、ロール紙収納部に収納され、印刷ユニットに向けて引き出されるロール紙の巻弛み防止装置であって、前記ロール紙の近傍に設けられ、前記ロール紙に向かって傾動可能な稼動バーと、前記稼動バーに設けられたローラユニットとを備え、前記ローラユニットは、前記ロール紙の軸心よりも重力方向上側で前記ロール紙の外周面に当接して従動する回転ローラを有し、前記稼動バー、およびローラユニットの自重により、前記回転ローラを前記ロール紙側へと付勢するように構成したことを特徴とする。
【0014】
このように構成することで、回転ローラによりロール紙を押圧することができ、この押圧力をロール紙の回転方向に対する抵抗力として作用させることができる。このため、印刷停止時のロール紙の惰性回転を防止でき、ロール紙の弛みを防止できる。
また、回転ローラがロール紙に従動して回転するので、回転ローラとロール紙との間に無駄な摩擦が生じることがなく、ロール紙の損傷を防止できる。
さらに、ロール紙に向かって傾動可能な稼動バーにローラユニットが設けられているので、ロール紙の巻径が小さくなるに従って、稼動バーがロール紙に向かって大きく傾くことになる。このため、ロール紙の巻径が小さくなるに従って、稼動バー、およびローラユニットの自重によって作用する回転ローラのロール紙側への付勢力が大きくなる。
すなわち、ロール紙の巻径が大きい場合、回転ローラのロール紙への負荷が小さく、印刷初動動作を確実にスムーズに行うができる一方、ロール紙の巻径が小さく場合、回転ローラのロール紙への負荷が大きく、ロール紙の惰性回転を確実に防止できる。この結果、小型化、低コスト化を図ることも可能になる。
【0015】
本発明に係る巻弛み防止装置は、前記稼動バーに錘を設けたことを特徴とする。
このように構成することで、稼動バー全体の重量化を図ることなく、回転ローラにロール紙への付勢力を確実に付与することができる。このため、製造コストのさらなる低減化を図ることができる。
また、稼動バーの重量を錘によって容易に変化させることができる。このため、稼動バーの自重によって作用する回転ローラのロール紙側への付勢力を容易に調整することが可能になる。
【0016】
本発明に係る巻弛み防止装置は、前記ローラユニットは、前記回転ローラを少なくとも2つ有し、各回転ローラは、前記ロール紙の周方向に沿って並設され、それぞれ弾性部材を介して連結され、前記弾性部材が弾性変形することにより、各回転ローラの間隔が変化するように構成されていることを特徴とする。
このように構成することで、ロール紙の外周面に複数の回転ローラを確実に密着させることができる。このため、ロール紙に回転抵抗力を確実に付勢することができ、より確実にロール紙の惰性回転を防止することが可能になる。
【0017】
本発明に係る巻弛み防止装置は、前記稼動バーに、前記ローラユニットを前記ロール紙の外周面に沿って揺動自在に設けたことを特徴とする。
このように構成することで、ロール紙の外周面に回転ローラをさらに確実に密着させることができる。
【0018】
本発明に係る巻弛み防止装置は、前記稼動バーを前記ロール紙の紙送り方向に向かって傾動可能に設け、前記ローラユニットを前記稼動バーに対して前記ロール紙の紙送り方向に沿ってスライド移動可能に設けたことを特徴とする。
このように構成することで、使用開始時のロール紙の高さ位置と、使用終了時のロール紙の高さ位置との差が大きい場合であっても簡素な構造で確実にロール紙の外周面に回転ローラを密着させることができる。
【0019】
本発明に係る巻弛み防止装置は、前記稼動バーの近傍に、前記稼動バーの傾動状態を検出するセンサを設けたことを特徴とする。
このように構成することで、ロール紙の巻弛みに関わらず確実にロール紙の残量を検出することができる。このため、ロール紙の巻径を検出する場合と比較して、ロール紙の残量を高精度に検出することができる。
また、ロール紙の巻弛みを防止するための稼動バーを利用してロール紙の残量を検出することができるので、巻弛み防止装置と別途ロール紙の残量を検出する装置を設ける必要がなく、部品点数を減少できる。このため、製造コストの低減化、装置の小型化を図ることが可能になる。
【0020】
本発明に係るサーマルプリンタは、請求項1〜請求項6の何れかに記載の巻弛み防止装置と、前記印刷ユニットとを備え、前記印刷ユニットは、前記ロール紙に印刷を行うサーマルヘッドと、前記サーマルヘッドとの間に前記ロール紙から引き出された記録紙を挟んだ状態で回転するプラテンローラとを有していることを特徴とする。
このように構成することで、ロール紙を傷付けることなくロール紙の弛みを確実に防止することができると共に、ロール紙の初動動作を確実にスムーズに行うことができるサーマルプリンタを提供できる。
また、ロール紙の残量を高精度に検出可能にしつつ、製造コストの低減化を図ることができるサーマルプリンタを提供できる。
【発明の効果】
【0021】
本発明によれば、回転ローラによりロール紙を押圧することができ、この押圧力をロール紙の回転方向に対する抵抗力として作用させることができる。このため、印刷停止時のロール紙の惰性回転を防止でき、ロール紙の弛みを防止できる。
また、回転ローラがロール紙に従動して回転するので、回転ローラとロール紙との間に無駄な摩擦が生じることがなく、ロール紙の損傷を防止できる。
さらに、ロール紙に向かって傾動可能な稼動バーにローラユニットが設けられているので、ロール紙の巻径が小さくなるに従って、稼動バーがロール紙に向かって大きく傾くことになる。このため、ロール紙の巻径が小さくなるに従って、稼動バー、およびローラユニットの自重によって作用する回転ローラのロール紙側への付勢力が大きくなる。
すなわち、ロール紙の巻径が大きい場合、回転ローラのロール紙への負荷が小さく、印刷初動動作を確実にスムーズに行うができる一方、ロール紙の巻径が小さく場合、回転ローラのロール紙への負荷が大きく、ロール紙の惰性回転を確実に防止できる。この結果、小型化、低コスト化を図ることも可能になる。
【0022】
そして、ロール紙の巻弛みに関わらず確実にロール紙の残量を検出することができる。このため、ロール紙の巻径を検出する場合と比較して、ロール紙の残量を高精度に検出することができる。
また、ロール紙の巻弛みを防止するための稼動バーを利用してロール紙の残量を検出することができるので、巻弛み防止装置と別途ロール紙の残量を検出する装置を設ける必要がなく、部品点数を減少できる。このため、製造コストの低減化、装置の小型化を図ることが可能になる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【図1】本発明の実施形態におけるサーマルプリンタの概略構成図である。
【図2】本発明の実施形態におけるローラユニットの斜視図である。
【図3】本発明の実施形態における巻弛み防止装置の挙動を示す説明図である。
【図4】本発明の実施形態における巻弛み防止装置の挙動を示す説明図である。
【図5】本発明の実施形態における巻弛み防止装置の挙動を示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
(サーマルプリンタ)
次に、この発明の実施形態を図面に基づいて説明する。
図1は、本発明に係るニヤエンド検出付巻弛み防止装置1(以下、単に巻弛み防止装置という)が適用されたサーマルプリンタ100の概略構成図である。なお、以下の説明において、図1における上下方向が重力方向であり、サーマルプリンタ100は、床面Gに載置して使用されるものとして説明する。
【0025】
図1に示すように、サーマルプリンタ100は、芯管Sに記録紙Pが巻装されているロール紙Rを用いて記録紙Pに印刷を施し、その後、記録紙Pを適宜切断し、チケットやレシート等として利用することができるプリンタである。サーマルプリンタ100は、ケーシング2内に、ロール紙Rを収納するロール紙収納部3と、ロール紙Rから記録紙Pを引き出し、この記録紙Pに印刷を行う印刷ユニット4と、記録紙Pを適宜切断するカッターユニットと、ロール紙Rの巻弛みを防止する巻弛み防止装置1とを備えている。
【0026】
ケーシング2は、プラスチックや金属材料等により、上面に開口部2aを有する箱状に形成されている。開口部2aには、これを閉塞するカバー6が設けられている。カバー6は、ケーシング2側に開口部6aを有する箱状に形成されたものである。カバー6は、ケーシング2の開口縁に設けられたヒンジ部7を介し、ケーシング2に対して開閉自在になっている。
なお、カバー6は、閉じたときに不図示のロック機構によって自動的にケーシング2に対してロックがかかるようになっている。また、このロック機構はケーシング2の外側からワンタッチで解除できるようになっており、カバー6を速やかに開けることができるようになっている。
【0027】
ケーシング2の周縁、およびカバー6の周縁には、互いに重なり合う部位の一側、つまり、ヒンジ部7とは反対側(図1における右側)の一側に、記録紙Pを排出するための排出口8が形成されている。ケーシング2の内面側には、排出口8に対応する箇所に印刷ユニット4、およびカッターユニット5が配置されている。
印刷ユニット4は、サーマルヘッド9とプラテンローラ10とを備えている。サーマルヘッド9は、断面略矩形状に構成されたものであって、その長手方向と記録紙Pの幅方向とが一致した状態で、ケーシング2側に配置されている。
【0028】
サーマルヘッド9は、記録紙Pの幅方向に沿って多数の発熱素子(不図示)を有している。これら発熱素子は、不図示の制御部からの信号に基づいてそれぞれ発熱するように制御されている。発熱素子の発熱を制御することで各種の文字や図形等を記録紙Pの印刷面、つまり、図1における下面に印刷することが可能となっている。また、サーマルヘッド9は、不図示のコイルバネ等によってプラテンローラ10側に付勢された状態となっている。
【0029】
プラテンローラ10は、この外周面がサーマルヘッド9に記録紙Pを挟んで接触するようにカバー6側に配置されている。プラテンローラ10は、ゴム等の弾性体により形成されている。プラテンローラ10の一端側には不図示の従動ギヤが固定されており、例えば、ステッピングモータ等によって回転する歯車伝達機構(不図示)に噛合するようになっている。これにより、プラテンローラ10は、ステッピングモータからの回転駆動力によって回転するようになっており、記録紙Pを排出口8側に向かって送り出すことができる。ステッピングモータは、不図示の制御部の信号を受けて回転する。
【0030】
カッターユニット5は、印刷ユニット4と排出口8との間に配置されており、カバー6側に設けられた固定刃11aと、記録紙Pを間に挟んで固定刃11aと対向配置され、ケーシング2側に設けられた可動刃11bとを備えている。
可動刃11bは、制御部(不図示)からの信号に基づいて駆動する不図示の電動モータによって、固定刃11a側に向かってスライド移動可能に設けられている。そして、印刷ユニット4での印刷作業が終了すると、不図示の制御部から切断信号を受信して可動刃11bがスライド移動し、記録紙Pが切断されるようになっている。
【0031】
ケーシング2の内部中央の大部分には、ロール紙収納部3が設けられている。ケーシング2の底面2bには、ロール紙収納部3を構成する載置台12が設けられている。載置台12は、記録紙Pを印刷ユニット4側に向けて引き出し可能にロール紙Rを載置する部位であって、載置面12aが円弧状に湾曲形成されている。ロール紙Rは、カバー6を開いた状態でケーシング2の開口部2aから投げ込まれるようになっており、載置台12に安定して載置される。
すなわち、サーマルプリンタ100は、ロール紙Rをケーシング2内に投入し、単に載置台12上に置く、所謂ドロップイン方式のプリンタである。
【0032】
(巻弛み防止装置)
ケーシング2の内部には、ロール紙収納部3よりもヒンジ部7側(図1における左側)に、巻弛み防止装置1が設けられている。
巻弛み防止装置1は、ケーシング2の深さ方向(図1における上下方向)に沿って延在する板状の稼動バー13と、稼動バー13の長手方向に沿ってスライド移動可能、かつ揺動可能に設けられたローラユニット14と、ケーシング2の底面2b側であって稼動バー13とロール紙Rとの間に設けられたリミットスイッチ17とを備えている。
【0033】
ケーシング2の底面2b側には、シャフト15がロール紙Rの軸方向に沿って設けられ、シャフト15に稼動バー13の基端が回動自在に軸支されている。これにより、稼動バー13は、シャフト15を中心にしてロール紙R側に向かって、つまり、ロール紙Rの紙送り方向(図1における矢印Y1参照)に向かって傾動可能に設けられている状態になる。
また、稼動バー13の先端は、ケーシング2からカバー6内に臨まされるように延出している。稼動バー13の先端には、錘16が設けられている。この錘16の比重は、稼動バー13の比重よりも重く設定されている。
【0034】
図2は、ローラユニット14の斜視図である。
図1、図2に示すように、ローラユニット14は、ロール紙Rの軸方向に延在する2つの回転ローラ18,18を有している。各回転ローラ18は、ロール紙Rの軸方向に延びるシャフト19と、このシャフト19に回転可能に外嵌されたローラ本体20とで構成されており、ロール紙Rの外周面に沿って並設されている。シャフト19の両端は、ローラ本体20から突出している。
【0035】
各シャフト19,19の一端部19a,19aには、両者19a,19aに跨るように板バネ21aが設けられている。また、各シャフト19,19の他端部19b,19bには、両者19b,19bに跨るように板バネ21bが設けられている。
各板バネ21a,21bの長手方向端部は、例えば、溶接等によって各シャフト19,19に固定されている。
【0036】
すなわち、各シャフト19,19は、2つの板バネ21a,21bによって連結された状態になっている。各板バネ21a,21bは、一方(図2における上方)に向かって湾曲形成されており、それぞれの長手方向略中央に、両者21a,21bに跨るステー22が取り付けられている。
ステー22は、各シャフト19,19の軸方向に沿うように配置された板状の部材である。ステー22の長手方向略中央には、稼動バー13にローラユニット14を取り付けるためのブラケット23が回転ローラ18とは反対側に向かって突設されている。
【0037】
ブラケット23は、稼動バー13の長手方向に沿ってスライド移動可能、かつ揺動可能に取り付けられている。これにより、稼動バー13にローラユニット14がスライド移動可能、かつブラケット23を中心にして揺動可能に設けられる。
稼動バー13は、ロール紙Rの紙送り方向(図1の矢印Y1参照)に向かって傾動可能に設けられているので、ローラユニット14は、稼動バー13に対してロール紙Rの紙送り方向に向かってスライド移動可能に構成されていることになる。また、ローラユニット14は、稼動バー13の長手方向に沿って揺動可能に取り付けられていることから、ロール紙Rの外周面に沿って揺動可能に構成されていることになる。
【0038】
このような構成のもと、ロール紙収納部3にセットされているロール紙Rに向かって稼動バー13を傾けると、ローラユニット14の回転ローラ18がロール紙Rの外周面に当接する。すなわち、稼動バー13は、ローラユニット14を介してロール紙Rに寄り掛かった状態になる。このため、ロール紙Rの残量が少なくなり、ロール紙Rの巻径が小さくなると、これに伴って稼動バー13の鉛直方向に対する傾き角度θも大きくなる。
【0039】
ここで、サーマルプリンタ100の印刷動作が開始される前の状態において、つまり、ロール紙Rの巻径が最大の状態において、ローラユニット14は、このブラケット23の揺動中心Cの位置がロール紙Rの軸心よりも重力方向上側に位置するようになっている。すなわち、図1において、ローラユニット14は、稼動バー13の長手方向略中央から稼動バー13の先端に至る間でスライド移動可能に設けられている。
【0040】
稼動バー13とロール紙Rとの間に設けられたリミットスイッチ17は、稼動バー13の傾動状態を検出し、ロール紙Rの残量を検出するための接触式センサである。リミットスイッチ17は、押下可能な釦17aを有しており、この釦17aを稼動バー13側に向けた状態で配置されている。リミットスイッチ17は、釦17aが押下されない限り、接点が接続されないように設定されており、信号はオフのままとなる。
【0041】
このように構成されたリミットスイッチ17は、稼動バー13が所定の傾き角度θに傾動すると、この稼動バー13によって釦17aが押下されるように配置されている。すなわち、ロール紙Rの残量が所定値以下になり、稼動バー13の傾き角度θが所定値以上になると、稼動バー13によって釦17aが押下される。釦17aが押下されると、リミットスイッチ17の信号がオンになり、不図示の制御部に出力される。この制御部にリミットスイッチ17からの信号が入力されることにより、ロール紙Rの残量が検出できるようになっている。
【0042】
(作用)
次に、図1、図3〜図5に基づいて、サーマルプリンタ100、および巻弛み防止装置1の作用について説明する。
図3〜図5は、巻弛み防止装置1の挙動を示す説明図である。
図3に示すように、まず、サーマルプリンタ100にロール紙Rをセットするにあたって、カバー6を開く。その後、ケーシング2内の稼動バー13をヒンジ部7側へ向かって起こし、ロール紙収納部3のスペースを確保する。そして、このスペースにロール紙Rを投げ込み、ロール紙Rが載置台12の載置面12aに載置される。これにより、ロール紙Rのセットが完了する。
【0043】
続いて、図1に示すように、ロール紙Rの記録紙Pの先端を引き出し、印刷ユニット4へと引き込む。そして、稼動バー13をロール紙R側に向かって傾ける。すると、稼動バー13がロール紙Rに寄り掛かった状態で、ローラユニット14の2つの回転ローラ18がロール紙Rの外周面に当接する。ローラユニット14は、稼動バー13に対してスライド移動し、収まりのよいところでロール紙Rの外周面に当接する。
この状態のとき、ローラユニット14の揺動中心Cは、ロール紙Rの軸心よりも重力方向上側に位置している。この後、カバー6を閉じ、記録紙Pへの印刷準備が完了する。
【0044】
続いて、記録紙Pへの印刷作業を開始すると不図示のステッピングモータが回転し、印刷ユニット4のプラテンローラ10が回転する。また、これと共に、記録紙Pに印刷するために必要な情報量に基づいてサーマルヘッド9の発熱素子を作動させる。
すると、記録紙Pの印刷面(下面)には、サーマルヘッド9を通過する際にプラテンローラ10により排出口8へ送り出されながら熱を発している発熱素子によって所望の文字や図形等が明瞭に印刷される。
【0045】
プラテンローラ10の回転に伴って記録紙Pが排出口8に向かって送り出されることにより、ロール紙Rが回転する。このとき、ロール紙Rが載置されている載置台12の載置面12aが円弧状に湾曲形成されているので、ロール紙Rがプラテンローラ10に引張られて印刷ユニット4側に転がることがない。
また、稼動バー13がローラユニット14を介してロール紙Rに寄り掛かっているので、稼動バー13、および錘16の自重やローラユニット14の自重が作用して、回転ローラ18がロール紙Rを押圧する。このため、この押圧力がロール紙Rの回転方向に対する抵抗力として作用する。このとき、回転ローラ18は、ロール紙Rの回転に従動して回転している。
【0046】
その後、プラテンローラ10によってさらに送り出された記録紙Pは、カッターユニット5の固定刃11aと可動刃11bとの間を通過する。印刷ユニット4での印刷作業が終了し、記録紙Pを切断する場合、不図示の制御部から切断信号を受信して可動刃11bが固定刃11aに向かってスライド移動する。これにより、記録紙Pが所望の長さで切断される。
【0047】
ここで、例えば、印刷作業が終了した記録紙Pを切断するにあたって、プラテンローラ10の回転が停止すると、記録紙Pの送り出しが停止する。このとき、ロール紙Rの回転も停止するが、ロール紙Rの慣性力により、記録紙Pの送り出し停止後にロール紙Rが惰性回転しようとする。
しかしながら、ローラユニット14の2つの回転ローラ18,18がロール紙Rの外周面を押圧しているので、ロール紙Rに回転方向に対する抵抗力が作用している。このため、ロール紙Rの惰性回転が減衰され、ロール紙Rと印刷ユニット4との間の記録紙Pが弛むことがない。
【0048】
図4に示すように、サーマルプリンタ100の印刷動作を再開し、記録紙Pに印刷作業を続けていくと、ロール紙Rの巻径が印刷開始当初と比較して小さくなる。ロール紙Rが縮径化するに従い、ロール紙Rに寄り掛かっている稼動バー13がさらにロール紙R側に向かって傾動する。このため、稼動バー13の傾き角度θ(図1参照)が大きくなる分、稼動バー13、および錘16の自重やローラユニット14の自重が重力方向下方、つまり、ロール紙R側に向かって作用する。そして、ローラユニット14の2つの回転ローラ18,18がロール紙Rの外周面に強く押し当てられる。
【0049】
このとき、2つの回転ローラ18,18は、板バネ21a,21bによって連結されているので、これら板バネ21a,21bが押し広げられるように弾性変形する。このため、2つの回転ローラ18,18間の間隔L1がロール紙Rの巻径が最大径(図1参照)の場合と比較して長くなる。また、稼動バー13の長手方向に沿ってローラユニット14がスライド移動可能に設けられているので、稼動バー13が傾いた分、ローラユニット14が稼動バー13の長手方向に沿って、かつロール紙Rの外周面に沿ってスライド移動する。このため、ロール紙Rの外周面に、2つの回転ローラ18,18が確実に密着する。
【0050】
ここで、サーマルプリンタ100の印刷速度を一定とした場合、印刷ユニット4による記録紙Pの送り速度も一定となる。すなわち、ロール紙Rの巻径が小さくなる分、ロール紙Rの回転速度が速くなり、印刷停止後のロール紙Rの惰性回転が大きくなる。
しかしながら、ロール紙Rの巻径が小さくなるに従い稼動バー13の傾き角度θが大きくなり、2つの回転ローラ18,18がロール紙Rの外周面に強く押し当てられる。このため、ロール紙Rの回転方向に対する抵抗力が大きくなるので、ロール紙Rの惰性回転を防止できる。
【0051】
図5に示すように、引き続き印刷作業を続けると、さらにロール紙Rの巻径が小さくなり、稼動バー13の傾き角度θもさらに大きくなる。このため、2つの回転ローラ18,18がロール紙Rの外周面にさらに強く押し当てられる。
また、ロール紙Rの巻径が小さくなるに伴い、2つの回転ローラ18,18を連結する板バネ21a,21bに復元力が作用し、2つの回転ローラ18,18間の間隔L1が短くなる。
【0052】
これに加え、稼動バー13がさらに傾いた分、ローラユニット14が稼動バー13の長手方向に沿って、かつロール紙Rの外周面に沿ってさらにスライド移動する。このため、ロール紙Rの巻径が小さくなっても2つの回転ローラ18,18がロール紙Rの外周面に確実に密着する。よって、ロール紙Rの回転方向に対する抵抗力がさらに大きくなるので、ロール紙Rの回転速度が速くなっても確実にロール紙Rの惰性回転が防止される。
【0053】
さらに、ロール紙Rの巻径が所定値以下になり、稼動バー13の傾き角度θが所定値以上になると、稼動バー13とロール紙Rとの間に設けられたリミットスイッチ17の釦17aが稼動バー13により押下される。釦17aが押下されると、リミットスイッチ17の信号がオンになり、不図示の制御部に信号が出力される。不図示の制御部は、リミットスイッチ17からの出力信号に基づいて、ロール紙Rの残量が所定値以下であることを認識し、印刷ユニット4の印刷動作を停止する。
【0054】
なお、サーマルプリンタ100には、ケーシング2等に、リミットスイッチ17からの出力信号に応じてロール紙Rの残量を表示する警告表示部(不図示)等が設けられている。保守点検作業者は、この警告表示部の表示に基づいて、ロール紙Rの交換作業を行う。ロール紙Rの交換作業が終了すると、再び稼動バー13の傾き角度θが小さくなる。これにより、リミットスイッチ17からの信号がオフになり、印刷動作を再開することができる。
【0055】
(効果)
したがって、上述の実施形態によれば、稼動バー13、錘16、およびローラユニット14の自重を利用してロール紙Rに回転ローラ18を押圧するので、ロール紙Rに回転方向に対する抵抗力を作用させることができる。このため、印刷停止時のロール紙Rの惰性回転を防止でき、ロール紙Rの弛みを防止できる。また、回転ローラ18がロール紙Rに従動して回転するので、回転ローラ18とロール紙Rとの間に無駄な摩擦が生じることがなく、ロール紙Rの損傷を防止できる。
【0056】
さらに、ケーシング2に稼動バー13をロール紙Rの紙送り方向に向かって傾動可能に設け、ロール紙Rをセットした際、稼動バー13をロール紙Rに寄り掛かるようにセットしている。このため、ロール紙Rの巻径が小さくなるに従って、稼動バー13の傾き角度θが大きくすることができる。この結果、ロール紙Rの巻径が小さくなるに従って、回転ローラ18のロール紙R側への押圧力を大きくすることが可能になる。
【0057】
より詳しくは、ロール紙Rの巻径が大きい場合、稼動バー13の傾き角度θが小さいので、稼動バー13、錘16、およびローラユニット14の自重によって作用する回転ローラ18のロール紙R側への付勢力が小さい。このため、ロール紙Rに余計な負荷がかからず、印刷初動動作を確実にスムーズに行うができると共に、記録紙Pを送り出すプラテンローラ10の駆動力を小さく設定することができる。
【0058】
一方、ロール紙Rの巻径が小さくなると、稼動バー13の傾き角度θが大きくなり、稼動バー13、錘16、およびローラユニット14の自重によって作用する回転ローラ18のロール紙R側への付勢力が大きくなる。このため、惰性回転が大きくなるロール紙Rの巻径が小さい場合であっても確実にロール紙Rの回転を減衰させることができる。
この結果、簡素な構造でロール紙Rの惰性回転を防止することができると共に、プラテンローラ10を回転駆動させる不図示のステッピングモータのサイズを小さく設定することができる。よって、サーマルプリンタ100全体の低コスト化、小形化を図ることが可能になる。
【0059】
また、稼動バー13の先端に錘16を設け、この錘16の自重を利用して確実に回転ローラ18がロール紙Rを押圧できるように構成している。このため、稼動バー13全体の重量を重くする必要がなく、この分、製造コストの低減化を図ることができる。
さらに、稼動バー13の重量を錘16によって容易に変化させることができる。つまり、ロール紙Rの材質等に応じて錘16の重量を変化させることにより、回転ローラ18に所望の押圧力を付勢することができる。このため、使い勝手のよい巻弛み防止装置1を提供することが可能になる。
【0060】
そして、ローラユニット14に2つの回転ローラ18,18を設け、これら回転ローラ18,18をロール紙Rの外周面に沿って並設している。これに加え、2つの回転ローラ18,18を板バネ21a,21bを介して連結し、2つの回転ローラ18,18の間の間隔L1がロール紙Rの巻径に応じて変化するように構成している。このため、ロール紙Rの外周面に2つの回転ローラ18,18が確実に密着し、ロール紙Rに回転抵抗力を確実に付勢することができる。よって、さらに確実にロール紙Rの惰性回転を防止することが可能になる。
【0061】
また、稼動バー13には、この長手方向に沿ってスライド移動可能、かつ揺動可能にローラユニット14が取り付けられている。このため、稼動バー13の傾きに応じてローラユニット14をロール紙Rの外周面に沿って移動させることができる。このため、使用開始時のロール紙Rの高さ位置と、使用終了時のロール紙Rの高さ位置との差が大きい場合であっても簡素な構造でロール紙Rの外周面に回転ローラ18を確実に密着させることができる。
【0062】
さらに、稼動バー13とロール紙Rとの間にリミットスイッチ17を設け、稼動バー13の傾き角度θが所定値以上になると、リミットスイッチ17により稼動バー13の傾動状態が検出されるようになっている。このため、稼動バー13を介してロール紙Rの残量を検出することができ、ロール紙Rの巻弛みに関わらず確実にロール紙Rの残量を検出することができる。
この結果、ロール紙Rの巻径を検出する場合と比較して、ロール紙Rの残量を高精度に検出することができる。さらに、巻弛み防止装置1と別途ロール紙Rの残量を検出する装置を設ける必要がなく、部品点数を減少できる。よって、信頼性が高く、製造コストの低減化、小型化可能なサーマルプリンタ100を提供することが可能になる。
【0063】
なお、本発明は上述の実施形態に限られるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において、上述の実施形態に種々の変更を加えたものを含む。
例えば、上述の実施形態では、ロール紙Rを投入して単に載置台12上に置く、所謂ドロップイン方式のサーマルプリンタ100を例に挙げたが、この方式ではなく、ケーシング2の内部にロール紙Rを軸支(回転可能に支持)する軸支機構を設けた軸支式のサーマルプリンタ100にも巻弛み防止装置1を適用することが可能である。
【0064】
また、上述の実施形態では、リミットスイッチ17は、釦17aが押下されない限り、接点が接続されないように設定されており、信号はオフのままとなる場合について説明した。しかしながら、これに限られるものではなく、リミットスイッチ17は、常時接点が接続されてオンになっており、釦17aが押下されるとオフとなるスイッチであってもよい。この場合、リミットスイッチ17がオフで印刷ユニット4の印刷動作を停止するようにしてもよい。
【0065】
さらに、上述の実施形態では、稼動バー13の傾動状態を検出するセンサとしてリミットスイッチ17を用いた場合について説明した。しかしながら、これに限られるものではなく、稼動バー13の傾動状態を検出可能なセンサであればよい。例えば、リミットスイッチ17のような接触式センサに代わって、光電センサ(例えば、フォトインタラプタ)のように非接触式センサを用いて稼動バー13の傾動状態を検出するようにしてもよい。この場合、例えば、センサを稼動バー13の下方ではなく、側方に設け、稼動バー13の傾き角度θが大きくなると、光電センサの光レーザが稼動バー13によって遮蔽されるように構成すればよい。
【0066】
そして、上述の実施形態では、サーマルプリンタ100にロール紙Rをセットするにあたって、カバー6を開き、その後、ケーシング2内の稼動バー13をヒンジ部7側へ向かって起こしてロール紙Rを収納する場合について説明した。しかしながら、これに限られるものではなく、カバー6を開くと同時に稼動バー13がヒンジ部7側へ向かって起きるように構成し、ロール紙Rを収納した後、稼動バー13をロール紙R側に傾動させるように構成してもよい。
また、上述の実施形態では、ケーシング2にカバー6を設けた場合について説明したが、これに限られるものではなく、サーマルプリンタ100の仕様に応じてカバー6を設けなくてもよい。
【0067】
さらに、上述の実施形態では、ローラユニット14に2つの回転ローラ18を設けた場合について説明した。しかしながら、これに限られるものではなく、ローラユニット14に回転ローラ18を1つ設けてもよいし、3つ以上設けてもよい。稼動バー13やローラユニット14の自重が回転ローラ18に作用するように構成されていればよい。
【0068】
そして、上述の実施形態では、2つの回転ローラ18,18の軸方向両端を板バネ21a,21bを介して連結した場合について説明した。しかしながら、これに限られるものではなく、2つの回転ローラ18,18間の間隔L1がロール紙Rの巻径に応じて変化するように構成されていればよい。
例えば、1つのシャフト19に2つの回転ローラ18,18を取り付けたものを2つ設け、各回転ローラ18,18の間を板バネにより連結してもよい。また、板バネ21a,21bに代わってコイルスプリング等の弾性部材により各回転ローラ18を連結するように構成してもよい。
【0069】
また、上述の実施形態では、板状の稼動バー13をケーシング2のシャフト15を介してロール紙Rの紙送り方向に向かって傾動可能に設け、ローラユニット14を稼動バー13の長手方向に沿って、スライド移動可能、かつ揺動可能に設けた場合について説明した。しかしながら、これに限られるものではなく、稼動バー13にローラユニット14がロール紙Rの紙送り方向に沿ってスライド移動可能に設けられ、かつロール紙Rの外周面に沿って揺動可能に設けられていればよく、稼動バー13の傾動方向を規制するものではない。
【0070】
例えば、図1において、稼動バー13を紙面手前から紙面奥側に沿って、かつロール紙Rに向かって傾動可能に設けてもよい。このような場合であっても、稼動バー13にローラユニット14がロール紙Rの紙送り方向に沿ってスライド移動可能に設けられ、かつロール紙Rの外周面に沿って揺動可能に設けられていれば前述した実施形態と同様の効果を奏することができる。これに加え、稼動バー13のレイアウト性が高まるので、サーマルプリンタ100の仕様に応じて、巻弛み装置1の設計の自由度を高めることが可能になる。
【0071】
さらに、上述の実施形態では、稼動バー13の先端に錘16を設け、回転ローラ18を確実にロール紙Rに押し付け、ロール紙Rの回転方向に対する抵抗力を付勢するように構成した場合について説明した。しかしながら、錘16の取り付け箇所を稼動バー13の先端に限るものではなく、稼動バー13やローラユニット14の自重により、回転ローラ18をロール紙Rに押し付けることができ、ロール紙Rの回転方向に対する抵抗力を付勢できればよいし、錘16を設けなくてもよい。
【符号の説明】
【0072】
1 巻弛み防止装置
3 ロール紙収納部
4 印刷ユニット
9 サーマルヘッド
10 プラテンローラ
13 稼動バー
14 ローラユニット
16 錘
17 リミットスイッチ(センサ)
18 回転ローラ
21a,21b 板バネ(弾性部材)
100 サーマルプリンタ
P 記録紙
R ロール紙

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ロール紙収納部に収納され、印刷ユニットに向けて引き出されるロール紙の巻弛み防止装置であって、
前記ロール紙の近傍に設けられ、前記ロール紙に向かって傾動可能な稼動バーと、
前記稼動バーに設けられたローラユニットとを備え、
前記ローラユニットは、
前記ロール紙の軸心よりも重力方向上側で前記ロール紙の外周面に当接して従動する回転ローラを有し、
前記稼動バー、およびローラユニットの自重により、前記回転ローラを前記ロール紙側へと付勢するように構成したことを特徴とする巻弛み防止装置。
【請求項2】
前記稼動バーに錘を設けたことを特徴とする請求項1に記載の巻弛み防止装置。
【請求項3】
前記ローラユニットは、前記回転ローラを少なくとも2つ有し、
各回転ローラは、前記ロール紙の周方向に沿って並設され、それぞれ弾性部材を介して連結され、
前記弾性部材が弾性変形することにより、各回転ローラの間隔が変化するように構成されていることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の巻弛み防止装置。
【請求項4】
前記稼動バーに、前記ローラユニットを前記ロール紙の外周面に沿って揺動自在に設けたことを特徴とする請求項1〜請求項3の何れかに記載の巻弛み防止装置。
【請求項5】
前記稼動バーを前記ロール紙の紙送り方向に向かって傾動可能に設け、
前記ローラユニットを前記稼動バーに対して前記ロール紙の紙送り方向に沿ってスライド移動可能に設けたことを特徴とする請求項1〜請求項4の何れかに記載の巻弛み防止装置。
【請求項6】
前記稼動バーの近傍に、前記稼動バーの傾動状態を検出するセンサを設けたことを特徴とする請求項1〜請求項5の何れかに記載の巻弛み防止装置。
【請求項7】
請求項1〜請求項6の何れかに記載の巻弛み防止装置と、
前記印刷ユニットとを備え、
前記印刷ユニットは、
前記ロール紙に印刷を行うサーマルヘッドと、
前記サーマルヘッドとの間に前記ロール紙から引き出された記録紙を挟んだ状態で回転するプラテンローラとを有していることを特徴とするサーマルプリンタ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2011−46476(P2011−46476A)
【公開日】平成23年3月10日(2011.3.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−195968(P2009−195968)
【出願日】平成21年8月26日(2009.8.26)
【出願人】(000002325)セイコーインスツル株式会社 (3,629)
【Fターム(参考)】