説明

帳票処理システム

【課題】入金不能となった振込取引の処理で、オペレータによる処理ミスで事故が発生するのを防止する。
【解決手段】センタサーバ30は、オペレータ処理用端末10からオペレータ識別子を付した入金不能データ要求電文を受信したとき、記憶している入金不能データの内容をもとに振込先の金融機関との間で照会を行って不能原因を特定し、その不能原因が口座名義の相違である場合、その相違に応じた難易度情報を特定しておき、記憶しているスキル情報の内、受信したオペレータ識別子に対応するスキル情報を読み出し、そのスキル情報に基づくオペレータの処理可能難易度範囲に特定した難易度情報が含まれる場合に、入金不能データをオペレータ処理用端末10に送信することを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、帳票処理システムに関し、特に伝票記入ミス等により入金不能となった振込取引の処理方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の帳票処理システムは、一連の処理について、エントリー作業や印鑑照合作業、不備確認作業等のように作業段階を設け、その作業段階ごとにスキルレベル判定条件を定めて、サーバ装置はオペレータによる作業が必要な作業対象データを端末装置に送信する際に、各オペレータのスキルレベルと作業段階に応じたスキルレベル判定条件とを比べ、条件を満たすオペレータの端末装置に作業対象データを振り分けている(例えば、特許文献1参照。)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2006−146830号公報(段落「0080」−段落「0085」)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上述した従来の技術においては、作業段階ごとに設けたスキルレベル判定条件にもとづき、各オペレータに作業対象データを振り分けるものであるため、同じ作業における振り分けが困難であった。特に金融機関の店舗によっては振込取引で顧客の伝票記載ミス等によって入金不能となった振込取引の情報が日に数千件発生することがあり、複数のスキルレベルの異なるオペレータが、口座照会等によって入金不能となった理由を特定する処理や、その特定した内容を元に入金や返却等の処理を分担して行っているが、入金不能となった振込取引の処理はその不能となった内容に応じて処理選択判断の難易度が異なるため、作業段階というだけでオペレータに処理を振り分けてしまうと、オペレータの能力では処理できない振込取引の情報を振り分けてしまうことがあり、オペレータの処理ミスによる事故の発生原因となってしまうという問題がある。
【0005】
本発明は、上記の問題点を解決するための手段を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、上記課題を解決するために、センタサーバと、オペレータが操作する端末とからなり、前記センタサーバの記憶部に、振込先の口座名義に関する顧客の伝票記入ミスで、入金不能になっている振込取引の情報と、記入ミスの内容の区分と、各区分の処理の難易度を示す難易度情報と、オペレータを特定する識別子に関連づけたオペレータの処理レベルの情報と、該処理レベルの情報に基づいてオペレータが実行可能な難易度の範囲の情報を記憶し、前記センタサーバは、前記端末からオペレータの識別子と入金不能となっている振込取引の情報の要求を受信したとき、格納している入金不能である振込取引の情報と、受信した前記識別子に関連するオペレータの処理レベルの情報とを読み出し、該振込取引の情報をもとに振込先の金融機関との間で照会を行って記入ミスの内容を特定し、特定した内容における区分の難易度が前記処理レベルの情報に基づく前記オペレータが実行可能な難易度の範囲内であるとき、前記振込取引の情報を前記端末に送信することを特徴とする。
【発明の効果】
【0007】
これにより、本発明は、スキル情報の高いオペレータには難易度の高い入金不能データを送信し、スキル情報の低いオペレータには難易度の低い入金不能データを送信することができるので、オペレータの処理ミスによって事故が発生する可能性を低減でき、事務効率が向上するという効果が得られる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】実施例1の帳票処理システムを示すシステム構成図
【図2】実施例1の帳票処理システムを示す機能ブロック図
【図3】データベースに格納されるスキル情報を示すテーブル
【図4】難易度情報を示すテーブル
【図5】事故情報を示すテーブル
【図6】処理可能難易度範囲を示すテーブル
【図7】実施例1の入金不能データの処理を示すフローチャート
【図8】難易度特定処理を示すフローチャート
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
以下に、図面を参照して本発明による帳票処理システムの実施例について説明する。
【実施例1】
【0010】
図1は実施例1の帳票処理システムを示すシステム構成図である。
【0011】
図1において、帳票処理システム1は、金融機関の店舗における事務員が作業を行う場所にオペレータ処理用端末10及び役席承認用端末20をセンタサーバ30に互いに通信可能に接続して設置すると共に、金融機関のセンタに設置されて顧客の口座情報等を格納したホストコンピュータ50を専用回線等の通信回線を介してセンタサーバ30に接続して構成している。
【0012】
図2は実施例1の帳票処理システムを示す機能ブロック図である。
【0013】
図2において、オペレータ処理用端末10は、LCDやCRT等の表示画面やキーボードやマウス等の入力手段を有する他、制御部11や記憶部12等を備えているコンピュータである。
【0014】
制御部11は、記憶部12が格納するオペレータの権限で行う各種処理のためのオペレータ処理制御プログラムに従って各部を制御し、各種処理を遂行する機能を有する。
【0015】
記憶部12は、オペレータ処理制御プログラムを格納する他、制御部11による処理結果等を記憶する。
【0016】
また、記憶部12は、オペレータ処理用端末10を使用しているオペレータを特定するオペレータ識別子を記憶する。なおオペレータ識別子はオペレータ処理用端末10に予め記憶させておき、オペレータ毎に使用する端末を固定にするようにしてもよいし、オペレータがオペレータ処理用端末10の使用を開始するときに、オペレータ毎に用意されたカードから、図示しないカード読み取り部によって読み取るようにしてもよい。
【0017】
13は入金不能データ要求処理部であり、制御部11と記憶部12が格納する制御プログラムとによって実現され、振込取引で振込先の口座名義(振込先名義)や店番号、科目、口座番号等の相違が原因で振込取引が実行できない入金不能データの送信要求をセンタサーバ30に対して行う。
【0018】
入金不能データは、ここでは振込取引に関する振込元の顧客名、店番号、科目、口座番号、及び振込先として指定された振込先名義、店番号、科目、口座番号等によって構成されているものとする。
【0019】
14は承認依頼処理部であり、制御部11と記憶部12が格納する制御プログラムとによって実現され、オペレータが処理を行った処理データを役席承認用端末20に送信することで、役席者による承認を依頼する処理を行う。
【0020】
役席承認用端末20は、LCDやCRT等の表示画面やキーボードやマウス等の入力手段を有する他、承認端末制御部21や承認端末記憶部22等を備えているコンピュータである。
【0021】
承認端末制御部21は、承認端末記憶部22が格納する役席者の権限で遂行する各種処理のための役席処理用制御プログラムに従って各部を制御し、各種処理を遂行する機能を有する。
【0022】
承認端末記憶部22は、役席処理用制御プログラムを格納する他、承認端末制御部21による処理結果等を記憶する。
【0023】
23は承認待ちデータ処理部であり、承認端末制御部21と承認端末記憶部22が格納する役席処理用制御プログラムとによって実現され、センタサーバ30から受信した役席者による承認が必要な後述する承認待ちデータの処理を行う。
【0024】
24は承認差し戻し処理部であり、承認端末制御部21と承認端末記憶部22が格納する役席処理用制御プログラムとによって実現され、役席者による承認が必要なデータにミスがあった場合等にそのデータをオペレータ処理用端末10に差し戻す処理を行う。
【0025】
25はスキル情報設定部であり、承認端末制御部21と承認端末記憶部22が格納する役席処理用制御プログラムとによって実現され、金融機関側で定められたオペレータの実務経験年数等に基づく初期設定スキルを役席者が設定するための画面を表示する他、その画面で入力された初期設定スキルをセンタサーバ30に送信する処理を行う。
【0026】
なお、初期設定スキルは、エントリーレベル、ミドルレベル、ハイレベルの3種に分類される。
【0027】
26は事故情報設定部であり、承認端末制御部21と承認端末記憶部22が格納する役席処理用制御プログラムとによって実現され、入金不能データに対してオペレータが誤処理を行い、役席者がオペレータの氏名やID等のオペレータ識別子と共にその誤処理の内容を示す事故情報を入力したときに、データベース40に事故情報を送信する処理を行う。
【0028】
27は読替可能文字設定部であり、承認端末制御部21と承認端末記憶部22が格納する役席処理用制御プログラムとによって実現され、実際の振込先の口座名義が例えば「上村」で読み仮名が「カミムラ」であり、振込取引を行う顧客が振込先名義を「ウエムラ」と読み方を誤っている場合でも入金を許可する等の読替可能文字情報を設定すると共に、設定された読替可能文字情報をセンタサーバ30に送信することで、データベース40に格納させる処理を行う。
【0029】
センタサーバ30は、サーバ制御部30aとサーバ記憶部30bとにより実現される入金不能データ処理部31、口座照会処理部32、スキル判断処理部33、役席承認データ処理部34、電文発信処理部35、オペレータ情報管理部36、難易度情報管理部37を備える他、データベース40と接続している。
【0030】
入金不能データ処理部31は、サーバ制御部30aとサーバ記憶部30bとにより実現され、振込取引の際にホストコンピュータ50が処理できなかった入金不能データを受け取り、その受け取った受信時刻に関連づけてデータベース40に格納する処理を行う。
【0031】
口座照会処理部32は、サーバ制御部30aとサーバ記憶部30bとにより実現され、振込取引用の伝票等に記載されていた振込先の店番号、科目、口座番号をもとに振込先のホストコンピュータ等から該当する口座名義のカナ氏名、漢字氏名等を取得する処理を行う。
【0032】
スキル判断処理部33は、サーバ制御部30aとサーバ記憶部30bとにより実現され、データベース40に格納されたオペレータスキルに合わせて各オペレータが適切に処理できる難易度の入金不能データを抽出する。
【0033】
役席承認データ処理部34は、サーバ制御部30aとサーバ記憶部30bとにより実現され、役席者による承認が必要な承認待ちデータを役席承認用端末20に送信する処理を行う。
【0034】
承認待ちデータは、入金不能データと、その入金不能データに対してオペレータ処理用端末が行った処理の情報とで構成される。
【0035】
電文発信処理部35は、サーバ制御部30aとサーバ記憶部30bとにより実現され、ホストコンピュータ50に振込内容を照会するための電文や、同一の金融機関の口座間で行われた振込取引で入金不能があった場合にホストコンピュータ50へ振り込み元の口座に振込金額を戻すように指示する電文、他行からの振込取引で入金不能があった場合に振込金額を返却する付替電文等の各種電文を送信する。
【0036】
オペレータ情報管理部36は、サーバ制御部30aとサーバ記憶部30bとにより実現され、オペレータが入金不能データの処理を行ったこととその処理が役席者から差戻されたことをオペレータ処理用端末10または役席承認用端末20からの通知によって認識し、
過去3ヶ月のオペレータごとの入金不能データの処理実績(回数)と差戻回数を計数すると共に、役席承認用端末20から受信したオペレータの初期設定スキルを処理実績に対する差戻回数の割合等に基づいて補正したオペレータスキルを定める処理を行う。
【0037】
上記で処理実績と差戻回数を3ヶ月分の回数を対象としたのは、オペレータのスキル向上などの実態に即した判断を行うことができるためである。
【0038】
なお、上記のオペレータ識別子ごとの入金不能データの処理実績(回数)と差戻回数、初期設定スキル、オペレータスキルで構成され、オペレータの処理レベルを示すスキル情報はデータベース40に格納されて管理される。
【0039】
ここで、図3はデータベースに格納されるスキル情報を示すテーブルである。
【0040】
オペレータスキルは金融機関ごとに定められるものであるが、例えば図3のオペレータCのように、処理実績が2000回であるのに対して、差戻回数が250回であって処理実績に対して差戻しの割合が多い場合は初期設定スキルがハイレベルであっても、オペレータスキルはミドルレベルに下げられる。
【0041】
また、逆にオペレータEのように、初期設定スキルがエントリーレベルであっても処理実績が1000回であってある程度の処理を経験し、かつ差戻回数が80回と差戻しの割合が少なければ、オペレータスキルはミドルレベルに上げられるものとなっている。
【0042】
これらは、例えば処理実績の回数に応じたポイントと差し戻しの割合に応じたポイントを足し合わせて、得られた合計ポイントに応じて所定のレベルに自動的に割り振るようにしてもよいし、評価担当者が実績に応じたレベルに人為的に割り振るようにしてもよい。
【0043】
難易度情報管理部37は、サーバ制御部30aとサーバ記憶部30bとにより実現され、入金不能データに関する処理の難易度を示す難易度情報をデータベース40に格納して管理する。
【0044】
図4は難易度情報を示すテーブルである。
【0045】
振込取引の入金不能は、主に振込先の口座名義の記載ミスによるものであるので、難易度情報は口座名義の記載ミスの程度に応じて変化するものである。
【0046】
また、難易度情報は金融機関ごとに定められるものであるが、本実施例で示す例では振込先の実際の口座名義と、入金不能データの振込先名義との相違に応じて定めたものとし、図4に示すように単純な1文字の誤り(単純誤り)や、読替可能文字に関連する相違、法人格名の相違、部署名の相違、支店支社営業所に関する名称の相違、法人代表者名の相違、任意団体名の相違等に対応して定めている。
【0047】
加えて、難易度情報は誤りの内容ごとに区分Noや、数値で示す難易度、オペレータが実行するのに適した処理の内容(推奨処理内容)が設定されており、推奨処理内容はオペレータがミスのあった箇所を訂正した上で入金を実行する“入金”と振込元の顧客の口座に振込金を返却する“返却”の他、“入金”および“返却”の前に振込先となる金融機関のホストコンピュータに該当口座の照会を行って誤っている箇所を見つける“照会”の3種類がある。
【0048】
なお、センタサーバ30のサーバ記憶部30bは、金融機関側が定めた難易度の補正に必要な差戻回数係数と事故回数係数とを記憶している。
【0049】
差戻回数係数は、スキル情報の差戻回数に掛け合わせる係数であり、事故回数係数はスキル情報の事故発生回数に掛け合わせる係数である。
【0050】
データベース40は、入金不能データ、オペレータのスキル情報、難易度情報、事故情報、及び読替可能文字情報を格納している。
【0051】
事故情報とは、オペレータ識別子ごとの区分Noに応じた入金不能データの処理ミスの回数を示すものであり、ここで図5は事故情報を示すテーブルである。
【0052】
図5に示すように、事故情報はオペレータ識別子であるオペレータの氏名と、上記難易度情報の区分No、その区分Noに対応する難易度情報に対する当該オペレータの処理ミスの回数(事故発生回数)により構成される。
【0053】
なお、センタサーバ30のサーバ記憶部30bは、オペレータスキルに応じてオペレータが実行可能、つまり処理可能な難易度範囲を示すテーブルを有しており、図6は処理可能難易度範囲を示すテーブルである。
【0054】
各オペレータスキルに合わせた処理可能難易度範囲は、図6に示すようにオペレータスキルがエントリーレベルに対応する処理可能難易度範囲を1〜30、ミドルレベルに対応する処理可能難易度範囲を31〜69、ハイレベルに対応する処理可能難易度範囲を70〜100として定めている。
【0055】
上述した構成の作用について図7に示す実施例1の入金不能データの処理を示すフローチャートを用いて説明する。
【0056】
S1、オペレータ処理用端末10の制御部11は、オペレータが入力手段によって入金不能データ処理を開始する旨の入力操作がなされたとき、記憶部12からオペレータ識別子を読み出し、そのオペレータ識別子を付した入金不能データ要求電文をセンタサーバ30に送信し、センタサーバ30に対して入金不能データ要求処理部13により入金不能データの送信を要求する。
【0057】
S2、センタサーバ30のサーバ制御部30aは、受信した入金不能データ要求電文のオペレータ識別子をサーバ記憶部30bに記憶し、データベース40から受信時刻が最も古い入金不能データを読み出す。
【0058】
S3、サーバ制御部30aは、読み出した入金不能データの振込先の店番号、科目、口座番号をもとに振込先の金融機関のホストコンピュータとの間で照会を行って入金不能となった不能原因を特定し、その特定した不能原因が口座名義の相違に関する原因である場合はステップS4に進み、不能原因が店番号、科目、口座番号の相違に関する原因の場合はステップS9に移行する。
【0059】
S4、サーバ制御部30aは、振込先の口座名義が異なっていることを認識したとき、その口座名義の相違に応じた難易度情報を特定する難易度特定処理を実行する。
【0060】
なお、難易度特定処理については後述する図8の難易度特定処理を示すフローチャートで説明するものとし、ここで詳しい処理のステップは省略し、特定した結果の難易度情報は、図4に示す区分No10であって難易度が70であったものとしてステップS5以降の処理を説明する。
【0061】
S5、サーバ制御部30aは、難易度特定処理で特定した難易度情報の区分Noと難易度とをサーバ記憶部30bに記憶しておき、記憶しているオペレータ識別子を読み出して、データベース40からオペレータ識別子に対応する該当するスキル情報を読み出し、さらに特定した難易度情報の区分Noと同一の区分Noで、オペレータ識別子に対応する事故情報をデータベース40から検索し、該当する事故情報がある場合に事故発生回数を読み出す。
【0062】
ここで読み出したスキル情報は図3に示すオペレータBのスキル情報で、また事故情報はオペレータBで区分No10に該当する事故情報であって読み出した事故発生回数は1回である。
【0063】
S6、サーバ制御部30aは、記憶している差戻回数係数と事故回数係数を読み出し、スキル情報の差戻回数に差戻回数係数を掛け合わせて算出した第1の難易度補正値と、事故発生回数に事故回数係数を掛け合わせて算出した第2の難易度補正値とを上記ステップS5で記憶した難易度に加算することで、オペレータBの過去の処理実績に合せた難易度に補正する。
【0064】
そして、補正した難易度を改めてサーバ記憶部30bに記憶する。
【0065】
S7、サーバ制御部30aは、スキル情報のオペレータスキルをもとにサーバ記憶部30bに記憶している処理可能難易度範囲のテーブルからそのオペレータBの処理可能難易度範囲を抽出する。
【0066】
ここでは、オペレータスキルはハイレベルであり、図6から70〜100の難易度が処理可能難易度範囲となる。
【0067】
S8、サーバ制御部30aは、記憶している難易度を読み出し、その難易度が抽出した処理可能難易度範囲に含まれるか否かを判断し、判断結果から処理可能難易度範囲に含まれない難易度の場合にはステップS2に戻って今回読み出した入金不能データの次に古い入金不能データをデータベース40から読み出しを行い、判断結果から処理可能難易度範囲に含まれる難易度の場合はステップS9に進む。
【0068】
S9、サーバ制御部30aは、読み出した入金不能データをオペレータ処理端末10に送信する。
【0069】
S10、オペレータ処理端末10の制御部11は、受信した入金不能データを表示画面に表示し、オペレータにより入金不能データの訂正等を処理入力に従って通常通りに行い、処理結果の情報を入金不能データに加えて承認待ちデータを構成し、その承認待ちデータをセンタサーバ30に送信する。
【0070】
S11、センタサーバ30のサーバ制御部30aは、受信した承認待ちデータをサーバ記憶部30bに格納し、役席者が承認待ちデータ取得の操作を行った役席承認用端末20から承認待ちデータ送信依頼を受信したときに、サーバ記憶部30bに格納した承認待ちデータを読み出して役席承認用端末20に送信する。
【0071】
S12、役席承認用端末20の承認端末制御部21は、受信した承認待ちデータの入金不能データとその処理結果の情報を表示画面に表示し、役席者によって表示された内容を承認する旨の入力がなされると、承認待ちデータを振込取引データとしてセンタサーバ30に送信する。
【0072】
S13、センタサーバ30のサーバ制御部30aは、受信した振込取引データをホストコンピュータ50に送信することで、振込取引を遂行して振込取引の入金不能データの処理を終了する。
【0073】
なお、ホストコンピュータにて行われる処理は、振込取引の再実行処理の他、振込元の顧客の口座に振込金額を返却する処理等である。
【0074】
次に、上記ステップS4で行った難易度特定処理を図8の難易度特定処理を示すフローチャートを用いて、SAで示すステップに従って説明する。
【0075】
ここでは既に上記のステップS3のようにサーバ制御部30aは、オペレータ処理用端末10からの要求によってデータベース40から読み出した入金不能データの振込先の店番号、科目、口座番号をもとに振込先の金融機関のホストコンピュータとの間で照会を行って入金不能となった不能原因を特定している。また特定した不能原因が振込先の口座名義の相違によるものであることを認識しているものとする。
【0076】
SA1、サーバ制御部30aは、不能原因の口座名義の相違を難易度情報のテーブルと照らし合わせて判断していく。まずは例えば「フドウサン」と「フドウサソ」のような相違が単純な1文字の単純誤り、つまり図4に示す区分No1の難易度情報に該当するか否かを判断し、1文字の単純誤りであればステップSA2に進み、それ以外の場合はSA3に移行する。
【0077】
SA2、サーバ制御部30aは、入金不能データが区分No1の難易度であると特定して難易度特定処理を終了する。
【0078】
SA3、サーバ制御部30aは、不能原因の口座名義の相違が読替可能文字情報に関わる内容に該当、つまり図4に示す区分No2の難易度情報に該当するか否かを判断し、読替可能文字情報に該当する場合はステップSA4に進み、それ以外の場合はSA5に移行する。
【0079】
SA4、サーバ制御部30aは、入金不能データが区分No2の難易度であると特定して難易度特定処理を終了する。
【0080】
SA5、サーバ制御部30aは、口座名義の相違が法人格の記載に該当、つまり図4に示す区分No3〜区分No6の何れかの難易度情報に該当するか否かを判断し、法人格の記載に該当する場合はステップSA6に進み、それ以外の場合はSA7に進む。
【0081】
SA6、サーバ制御部30aは、不能原因となった法人格の記載に関する相違内容を細かく特定する。
【0082】
具体的に、実際の口座名義に法人格の記載があるにもかかわらず、入金不能データの振込先名義に法人格の記載が無い場合には図4の区分No3の難易度と特定する。
【0083】
また、入金不能データの振込先名義に法人格の記載があっても、実際の口座名義に法人格の記載が無い場合は図4の区分No4の難易度に該当するものとして特定する。
【0084】
さらに、実際の口座名義が“法人格、氏名”の順で記載されたものに対して、入金不能データの振込先名義が、“氏名、法人格”と、法人格の前後位置が異なる場合は、図4の区分No5の難易度と特定する。
【0085】
加えて実際の口座名義が、財団法人であるのに対し、入金不能データの振込先名義が株式会社となっている等のように法人格の種類が異なる場合は図4に示す区分No6の難易度と特定するようにし、上記の区分No3〜区分No6のいずれかの難易度であることを特定して難易度特定処理を終了する。
【0086】
SA7、サーバ制御部30aは、上記ステップSA5で不能原因が法人格の記載に関する内容では無いと判断すると、次に不能原因が部署名の記載に関する相違、つまり図4に示す区分No7あるいは区分No8に該当するか否かを判断し、部署名の相違の場合は次のステップSA8に進み、部署名の相違では無い場合はステップSA9に移行する。
【0087】
SA8、サーバ制御部30aは、不能原因となっている部署名の記載に関する相違内容を細かく特定する。
【0088】
具体的には実際の口座名義に部署名の記載があるにもかかわらず、入金不能データの振込先名義に部署名の記載が無い場合、あるいは逆に入金不能データの振込名義に部署名が記載されてあって実際の口座名義に部署名の記載が無い場合の何れかのときは、図4の区分No7の難易度と特定する。
【0089】
また、実際の口座名義には“○○キカクカ”と記載され、一方入金不能データの振込先名義には“○○ケイリカ”と記載される等、部署名が異なっている場合は、図4の区分8の難易度と特定し、このように区分No7または区分No8の難易度を特定して難易度特定処理を終了する。
【0090】
SA9、サーバ制御部30aは、上記ステップSA7で不能原因が部署名の記載に関する内容では無いと判断すると、支店名・支社名・営業店名の記載、つまり図4に示す区分No9あるいは区分No10に該当するか否かを判断し、支店名・支社名・営業店名の相違の場合は次のステップSA10に進み、支店名・支社名・営業店名の相違ではない場合はステップSA11に移行する。
【0091】
SA10、サーバ制御部30aは、不能原因となっている支店名・支社名・営業店名の記載に関する相違内容を細かく特定する。
【0092】
具体的には実際の口座名義に支店名・支社名・営業店名が記載されているにもかかわらず、入金不能データの振込先名義に支店名・支社名・営業店名の記載が無い場合、あるいは逆に振込先名義に支店名・支社名・営業店名が記載されてあって実際の口座名義に支店名・支社名・営業店名の記載が無い場合の何れかのときは、図4の区分No9の難易度と特定する。
【0093】
また、実際の口座名義に、“○○サイタマシテン”と記載され、一方入金不能データの振込先名義には“○○サイタマチユウオウシテン”のように記載される等、支店名・支社名・営業店名が異なっている場合は、図4の区分No10の難易度と特定し、このように区分No9または区分No10の難易度を特定して難易度特定処理を終了する。
【0094】
SA11、サーバ制御部30aは、上記ステップSA9で不能原因が支店名・支社名・営業店名の記載に関する内容では無いと判断すると、法人の代表者名の記載、つまり図4に示す区分No11あるいは区分No12に該当するか否かを判断し、法人の代表者名の相違の場合は次のステップSA12に進み、法人の代表者名の相違ではない場合はステップSA13に移行する。
【0095】
SA12、サーバ制御部30aは、不能原因となっている法人の代表者名の記載に関する相違内容を細かく特定する。
【0096】
具体的には実際の口座名義に法人の代表者名の記載があるにもかかわらず、入金不能データの振込先名義に法人の代表者名の記載が無い場合、あるいは逆に入金不能データの振込先名義に法人の代表者名が記載されて実際の口座名義に法人の代表者名の記載が無い場合の何れかのときは、図4の区分No11の難易度と特定する。
【0097】
また、実際の口座名義に記載された法人の代表者名と、入金不能データの振込先名義に記載された法人の代表者名とが異なっている場合は、図4の区分No12の難易度と特定し、このように区分No11または区分No12の難易度を特定して難易度特定処理を終了する。
【0098】
SA13、サーバ制御部30aは、上記ステップSA11で不能原因が法人の代表者名の記載に関する内容では無いと判断すると、法人以外で任意団体名の記載、つまり図4に示す区分No13〜区分No15の何れかに該当するか否かを判断し、任意団体名の相違の場合は次のステップSA14に進み、任意団体名の相違ではない場合はステップSA15に移行する。
【0099】
SA14、サーバ制御部30aは、入金不能データの不能原因となっている任意団体名の記載に関する相違内容を細かく特定する。
【0100】
具体的には実際の口座名義に記載された任意団体名と入金不能データの振込先名義に記載された任意団体名は一致するが、その任意団体の代表者名が異なっている場合は、図4の区分No13の難易度と特定する。
【0101】
また、実際の口座名義に任意団体名とその代表者名の記載があるにもかかわらず、入金不能データの振込先名義に任意団体名が無い場合、あるいは逆に入金不能データの振込先名義に任意団体名とその代表者名が有って、実際の口座名義には代表者名しかない場合のときは、図4の区分No14の難易度と特定する。
【0102】
さらに、例えば実際の口座名義が、“任意団体名、代表者名”の順であるのに対して入金不能データの振込先名義が“代表者名、任意団体名”の順となっている等、任意団体名と代表者名の位置が異なっている場合は、図4の区分No15の難易度と特定し、このように区分No13〜区分No15の難易度を特定して難易度特定処理を終了する。
【0103】
SA15、サーバ制御部30aは、上記ステップSA13で不能原因が任意団体名の記載に関する内容では無いと判断すると、図4の区分No99の難易度として特定して難易度特定処理を終了する。
【0104】
このようにサーバ制御部30aの難易度特定処理を行うことで、難易度を特定して上述したステップS5以降の処理を遂行するようにする。
【0105】
以上説明したように、本実施例は、入金不能データの難易度やオペレータスキルを定めると共に、オペレータスキルに応じた難易度の範囲を定めることで、オペレータスキルが高いオペレータからの入金不能データの要求に対しては難易度の高い入金不能データを送信することで、難しい処理を要する入金不能データで、オペレータの処理ミスによる事故が発生するのを減らすことができる。
【0106】
また、パート従業員や新入社員などのオペレータスキルの低いオペレータには難易度の低い入金不能データのみを送信することで、オペレータスキルの低いオペレータの処理ミスによる事故が発生するのを減らすことができるので、役席承認時に差し戻しとなる回数を減らし、事務効率を向上させることができる。
【符号の説明】
【0107】
1 帳票処理システム
10 オペレータ処理用端末
11 制御部
12 記憶部
13 入金不能データ要求処理部
14 承認依頼処理部
20 役席承認用端末
21 承認端末制御部
22 承認端末記憶部
23 承認待ちデータ処理部
24 承認差し戻し処理部
25 スキル情報設定部
26 事故情報設定部
27 読替可能文字設定部
30 センタサーバ
30a サーバ制御部
30b サーバ記憶部
31 入金不能データ処理部
32 口座照会処理部
33 スキル判断処理部
34 役席承認データ処理部
35 電文発信処理部
36 オペレータ情報管理部
37 難易度情報管理部
40 データベース
50 ホストコンピュータ





【特許請求の範囲】
【請求項1】
センタサーバと、オペレータが操作する端末とからなり、
前記センタサーバの記憶部に、振込先の口座名義に関する顧客の伝票記入ミスで、入金不能になっている振込取引の情報と、記入ミスの内容の区分と、各区分の処理の難易度を示す難易度情報と、オペレータを特定する識別子に関連づけたオペレータの処理レベルの情報と、該処理レベルの情報に基づいてオペレータが実行可能な難易度の範囲の情報を記憶し、
前記センタサーバは、前記端末からオペレータの識別子と入金不能となっている振込取引の情報の要求を受信したとき、格納している入金不能である振込取引の情報と、受信した前記識別子に関連するオペレータの処理レベルの情報とを読み出し、該振込取引の情報をもとに振込先の金融機関との間で照会を行って記入ミスの内容を特定し、特定した内容における区分の難易度が前記処理レベルの情報に基づく前記オペレータが実行可能な難易度の範囲内であるとき、前記振込取引の情報を前記端末に送信することを特徴とする帳票処理システム。
【請求項2】
請求項1に記載の帳票処理システムにおいて、
前記センタサーバの記憶部に、オペレータの識別子に関連付けて、オペレータが過去に発生させた各区分の処理ミスの回数を記憶し、
前記センタサーバは、前記振込先の金融機関との照会で記入ミスの内容を特定した際、受信したオペレータ識別子に関連し、かつ該特定した内容の区分と同一の区分の処理ミスの回数を読み出し、その回数に基づいて前記入金不能データの難易度を補正して補正後の難易度が、前記処理レベルの情報に基づく前記オペレータが実行可能な難易度の範囲内であるとき、前記振込取引の情報を前記端末に送信することを特徴とする帳票処理システム。
【請求項3】
センタサーバと、オペレータが操作する端末とからなり、
前記センタサーバの記憶部に、入金不能になっている振込取引の情報と、入金不能原因の区分と、各区分の処理の難易度を示す難易度情報と、オペレータを特定する識別子に関連づけたオペレータが実行可能な難易度の情報を記憶し、
前記センタサーバは、前記端末へ入金不能となっている振込取引の情報を送信する際、格納している入金不能である振込取引の情報と、前記端末を使用しているオペレータの前記識別子に基づき、入金不能である振込取引の不能原因の難易度に対応するオペレータが使用している端末に対して、前記振込取引の情報を送信することを特徴とする帳票処理システム。




【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2011−76407(P2011−76407A)
【公開日】平成23年4月14日(2011.4.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−227760(P2009−227760)
【出願日】平成21年9月30日(2009.9.30)
【出願人】(000000295)沖電気工業株式会社 (6,645)
【出願人】(591051645)株式会社OKIソフトウェア (173)