説明

広告画像表示装置

【課題】装置表面に貼付されたPOP広告で画像表示部が隠れてしまうことがない広告画像表示装置を提供する。
【解決手段】広告用画像の画像信号(S1)を記録した記録媒体(15)を装着する装着手段(16)とその記録媒体から画像信号(S1)を読み出して出力する信号出力手段(30)とを格納する略箱状の第1の筐体(11)と、信号出力手段から出力された画像信号を再生する、表示面(53a)を有する表示パネル(53)と、この表示面(53a)を露出させると共にその縁部(53a1)を枠状に覆う窓枠部(54)を有して表示パネルを内部に格納する略箱状の第2の筐体(52)と、を備え、第1の筐体の一面に凹部(11a)を形成すると共にその凹部に第2の筐体の一部を収納し、第1の筐体の一面に対
して第2の筐体の窓枠部を突出させた。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、店舗の商品陳列棚等に設置され、商品等の広告を表示する広告画像表示装置に関する。
【背景技術】
【0002】
スーパーマーケットやコンビニエンスストア等の店舗においては、商品陳列棚の近傍に、画像を表示するモニタや音声を出力するテープレコーダ等を配置し、その棚の商品の広告を映像(静止画像を含む)や音声で買い物客に案内することが日常的に行われている。
【0003】
この用途において、特に最近は、案内する内容を容易に更新でき、耐久性にも優れた半導体メモリを用いて、これを表示モニタとスピーカと共に一体化した広告画像表示装置が広く用いられるようになってきた。この広告画像表示装置の一例である広告表示体が特許文献1に記載されている。
【特許文献1】特開平7−134555号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、店舗内においてこのような広告画像表示装置を用いる際のその周辺状況は様々である。
例えば、商品陳列棚周辺に広い空間を有する場所においては、装置に内蔵した表示パネルでは画面が小さすぎ、多くの買い物客に対して充分な訴求効果を得にくい。
【0005】
そのため、広告画像表示装置に備えられた外部出力機能を用い、広告画像を、天吊りしたPDP(プラズマディスプレイパネル)等の大型画像表示装置に表示させることが多い。
【0006】
また、商品陳列棚周辺が密集し狭い空間しかない場所においては、陳列棚と買い物客との距離が必然的に接近するので、表示画面を買い物客の視線に合わせた位置に配置しないと注目度が低く充分な訴求効果が得られない。
【0007】
この場合、広告表示装置を目の高さに合わせると、広告対象商品が棚の低い位置にある場合等には、その商品と広告画像及び広告音声が発せられる位置とが離れ、商品を見つけることができなかったり、すぐに見つけて手に取ることができず購買意欲がそがれてしまう可能性が高かった。
【0008】
このような狭い場所で広告画像表示装置を用いる場合は、やむを得ず、音声による宣伝効果のみを期待して装置を商品の近くに設置する場合が多く、広告画像表示装置の使用者(店舗側)にとって内蔵した画像表示機能はほとんど意味が無いものになる場合があった。
【0009】
そのため、使用者からは、広告画像表示装置を店舗内に導入する際に、画像表示機能の内蔵有無で機種が選択できることが強く要望されている。
これに対して従来の広告画像表示装置は、画像表示部が筐体と一体的に形成されているので、画像表示機能の内蔵有無でそれぞれ独立した広告画像表示装置を設計、製造しなければならなかった。
【0010】
そのため、部材を成形するための金型投資が多額になったり、製造工程が別々になる等から大幅なコストアップになるという問題があった。
一方、このような広告画像表示装置を用いた場合、画面や音声による広告表示以外に、「30%OFF!」や「特売!!」というような売り文句を表示した、いわゆるPOP(Point of Purchase Advertising)広告をその表示装置の正面に貼付する場合が多い。
【0011】
しかしながら、従来の画像表示部付き(内蔵)広告画像表示装置では、画面が本体の正面とほぼ同じ高さの面か凹んだ面になっていたので、大きなPOP広告が貼付され易く、その場合に画面の一部が容易に隠れてしまい、広告画像が見にくくなってしまうという問題があった。
【0012】
店舗の販売現場では、プライスタグの付け替えや、特売商品の表示などを極めて短時間に行わなければならず、それと共にこのPOP広告の新たな貼付や交換が行われる。従って、画面を隠すか否か等について充分な配慮がされずに作業が行われ、結果としてPOP広告で画面が隠れるという問題が生じる場合があった。
【0013】
また、POP広告は、広告する内容に応じて頻繁に貼り替えられる場合が多い。
POP広告の裏面には貼着剤や両面テープ等が設けられているが、装置の表面が鏡面に近い程、POP広告が強く貼着され、貼り替えの際に強い引きはがし力が必要になり作業効率が低下したり、粘着剤が強固に筐体表面に残って筐体を汚したり、残存した粘着剤の剥がし作業で筐体に傷をつけてしまうという問題が生じる可能性があった。
【0014】
そこで、本発明が解決しようとする課題は、広告画像表示装置の表面に貼付されたPOP広告で画像表示部が隠れにくい広告画像表示装置を提供することにある。
また、広告画像表示装置において、画像表示部を備えた機種と備えない機種との双方を、コストアップを抑えて製造可能とする筐体構造を有する広告画像表示装置を提供することにある。
【0015】
また、POP広告の引き剥がし作業が容易で、その貼付と引き剥がしを繰り返しても装置の筐体表面が汚れる恐れが少ない広告画像表示装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0016】
上記の課題を解決するために、本願発明は次の1)〜4)の手段を有する。
1) 広告用画像を表示する表示面(53a)を有する画像表示手段(53)を備えた広告用画像表示装置(100)であって、
前記広告用画像の画像信号(S1)を記録した記録媒体(15)を装着可能な記録媒体装着手段(16)と、この記録媒体装着手段(16)に装着された前記記録媒体(15)から前記画像信号(S1)を読み出して前記表示手段(53)に向け出力する信号出力手段(30)と、を収納した略箱状の第1の筐体(11)と、
前記表示面(53a)の縁部(53a1)を枠状に覆い前記縁部(53a1)以外の前記表示面(53a)を外部に露出させる窓枠部(54,54B)を有する略箱状の第2の筐体(52)と、を備え、
前記第1の筐体(11)は、その一面(11s)に該一面(11s)より凹んだ凹部(11a)を有し、
前記第2の筐体(52)は、前記窓枠部(54,54B)が前記一面(11s)に対して突出するよう前記凹部(11a)に装着されて成ることを特徴とする広告画像表示装置(100,100B)である。
【0017】
2) 前記窓枠部(54B)は、突出する先端側が根本側よりも細い先細り形状を有することを特徴とする1)に記載の広告画像表示装置(100B)である。
3) 前記窓枠部(54,54B)の表面の表面粗さRaが前記一面(11s)の表面粗さRaよりも大きいことを特徴とする1)または2)に記載の広告画像表示装置(100,100B)である。
【0018】
4) 広告用画像の画像信号(S1)を記録した記録媒体(15)を装着可能な記録媒体装着手段(16)と、
該記録媒体装着手段(16)に装着された前記記録媒体(15)から前記画像信号(S1)を読み出して出力する信号出力手段(30)と、
前記信号出力手段(30)から出力された画像信号(S1)を画像として表示する表示面(53a)を有する表示手段(53)と、
前記記録媒体装着手段(16),前記信号出力手段(30)及び前記表示手段(53)を支持する筐体と、を備えた広告画像表示装置(100,100B)であって、
前記筐体を、前記記録媒体装着手段(16)及び前記信号出力手段(30)を内部に備えた略箱状の本体筐体部(11)と、前記表示手段(53)を支持し前記本体筐体部(11)とは独立して成るパネル支持部(52)と、で構成する一方、
前記本体筐体部(11)と前記パネル支持部(52)とを連結する連結手段(22,11a5,52c)を備え、前記本体筐体部(11)と前記パネル支持部(52)とを前記連結手段(22,11a5,52c)を介し分離可能に連結する構成にしたことを特徴とする広告画像表示装置(100,100B)である。
【発明の効果】
【0019】
本発明によれば、表面に貼付されたPOP広告で広告画像表示部が隠れてしまうことがないという効果を得る。
また、広告画像表示部を備えた機種と備えない機種との双方を、コストアップを抑えて製造可能になるという効果を得る。
【0020】
また、POP広告の引き剥がし作業が容易で、その貼付と引き剥がしを繰り返しても筐体表面が汚れる恐れが少ないという効果を得る。
【発明を実施するための最良の形態】
【0021】
本発明の実施の形態を、好ましい実施例により図1〜図12を用いて説明する。
図1は、本発明の広告画像表示装置の実施例を示す外観図である。
図2は、本発明の広告画像表示装置の実施例を示す断面図である。
【0022】
図3は、本発明の広告画像表示装置の実施例を説明する斜視図である。
図4は、本発明の広告画像表示装置の実施例を説明する断面図である。
図5は、本発明の広告画像表示装置の実施例における使用形態を説明する斜視図である。
【0023】
図6は、本発明の広告画像表示装置の実施例を説明する概略ブロック図である。
図7は、本発明の広告画像表示装置の実施例における使用形態を説明する他の図である。
【0024】
図8は、本発明の広告画像表示装置の実施例における連結手段の他の例を説明する図である。
図9は、本発明の広告画像表示装置における実施例の変形例を示す斜視図である。
【0025】
図10は、本発明の広告画像表示装置における実施例の変形例を説明する断面図である。
図11は、本発明の広告画像表示装置における実施例の変形例を説明する斜視図である。
【0026】
図12は、図9に示す変形例の他の例を説明する概略断面図である。
実施例の広告画像表示装置100について、まず、図1及び図2を用いて説明する。図1は、その概略外観図であり、図2は、図1におけるA−A断面図である。この装置100は、本体部10と画像表示部50とを有している。
【0027】
まず、本体部10について説明する。
本体部10は、その中央部に四角形形状の凹部11aが形成された略箱状の筐体11を有している。
【0028】
この凹部11aには、詳細を後述する画像表示部50が装着される。
筐体11の内部における凹部11aの両脇には、一対のスピーカ12が取り付けられている。また、このスピーカ12からの音声が外部に放出できるよう筐体11にはそのスピーカ12に対応した範囲に音声孔13が設けられている。
【0029】
また、筐体11の内部には、回路基板14が備えられている。
この回路基板14には、メモリーカード15が挿抜可能なカードスロット16と、画像表示部50に対して映像信号及び電源を送出するためのケーブル17が挿抜されるコネクタ18が取り付けられている。
【0030】
このメモリーカード15を外部から挿抜可能とするために、筐体11の一側面にはカード挿入口11bが設けられている。
また、筐体11の凹部11aの底面11a3には、ケーブル17を通過させる接続孔11a1が形成されている。
【0031】
筐体11の他の側面には、回路基板14と接続されたボリュームや端子等が設けられている。具体的には、音量調整ボリューム19a,再生モード切り替えスイッチ19b,映像出力端子19c1,音声出力端子19c2及び輝度調整ボリューム19dであり、これらは外部から調整や接続が可能である。輝度調整ボリューム19dは、後述する表示パネル53が表示する画像の輝度を調整する。
【0032】
次に、画像表示部50について説明する。
画像表示部50は、一面に大きく開口した表示窓51を有する扁平の箱状である表示筐体52と、その表示窓51から表示画像が視認できるよう内側に固定された、画像を表示する表示面53aを有する表示パネル53とを備えている。この表示パネル53として、例えば、4型の液晶表示素子を用いることができる。
【0033】
この表示パネル53に対して電気的に接続されたケーブル17は、表示筐体52の表示窓51とは反対側の面に設けられた接続孔52a及び接続孔11a1を通り回路基板14のコネクタ18に取り付けられている。
【0034】
表示筐体52は、表示パネル53の表示面53aにおける周囲の縁部53a1(図2における幅53a1wの範囲)を覆う枠部54を有している。これについての詳細は後述する。
【0035】
表示筐体52は、本体部10の筐体11の凹部11aと品位ある隙間をもって嵌りこんで装着されるように、互いの外形形状及び寸法が設定されている。
この画像表示部50は、本体部10に対して、両者を連結する連結手段であるねじ22によりねじ止め固定され装着される。
【0036】
この連結手段は、ねじに限らず周知の方法を用いることができる。例えば、筐体11と表示筐体52とを樹脂で成形した場合には、凹凸の係合によるいわゆるスナップフィットにより固定させることができる。
【0037】
その具体的な例を、図8に示す。
この例において、連結手段は、画像表示部50の表示筐体52に突出して設けた略L字状の係合部52cと、この係合部52cに係合するように筐体11の凹部11aに設けた係合孔11a5である。
【0038】
図8(a)ではこの連結手段を4ヶ所設けてあり、画像表示部50を本体部10に対して矢印Lのようにスライドさせることで両者が連結する構成となっている。
図8(b)は、この連結手段により画像表示部50と本体部10を一体化した状態を示している。両者を分離する場合は、矢印Lの逆の方向にスライドさせればよい。
【0039】
このような構成により、画像表示部50と本体部10とは連結手段を開放することによって分離できるように構成される。ねじ22を用いて連結した場合は、ドライバ等により筐体11の底面側からねじ22をゆるめて両者を分離することができるが、図8に示す連結手段のように、画像表示部50を本体部10に対してドライバ等の工具なしに容易に着脱できるように構成すると連結分離作業はより容易である。
【0040】
また、画像表示部50が無い装置100A(詳細は後述する)に対しては、ユーザが画像表示部50を後から装着できるように構成したり、また、画像表示部50を備えた広告画像表示装置100に対して、ユーザが画像表示部50を後から外せる構成にすることは自由である。
【0041】
次に、画像表示部50を備えた広告画像表示装置100の構成を図6のブロック図を用いて説明する。
カードスロット16に挿入されたメモリーカード15には、予めJPEG方式やMPEG方式で圧縮された、広告の画像(映像)信号S1や音声信号S2が記憶されている。
【0042】
この圧縮された映像信号S1及び音声信号S2は、メモリーカード15から読み出されるとデコーダ30により伸張される。
デコーダ30により伸張された映像信号は、コネクタ18及びケーブル17を介して画像表示部50に送出されて表示される。また、この映像信号は、映像出力端子19c1から外部に出力可能とされる。
【0043】
一方、デコーダ30により伸張された音声信号は、スピーカ12に送出され音声として出力される。
また、この音声信号は、音声出力端子19c2から外部に出力可能とされる。
【0044】
上述した構成において、本体部10と画像表示部50とは、それぞれ独立した略箱状の筐体11と表示筐体52とを有しているので、本体部10を共通にして画像表示部50を備えた機種と備えていない機種とを製造することができる。
【0045】
すなわち、それぞれの機種を、各機種専用の金型を用意することなく、また、製造工程も共通にして製造することが可能である。
次に、上述した広告画像表示装置100の実施例における本体部10を用いて製造される広告画像表示装置100Aについて図3及び図4を用いて説明する。
【0046】
この広告画像表示装置100Aは、画像表示部50を一体的に備えていない広告画像表示装置であり、外観を図3に示しそのB−B断面を図4に示す。
この広告画像表示装置100Aを用いる用途例としては、陳列棚の周囲に広い空間があり、画像はこの広告画像表示装置100Aの映像出力端子19c1を介して、別の大画面表示装置で大勢の買い物客に対して画像表示を行う場合がある。
【0047】
この装置100Aには画像表示部50が取り付けられていないので、装置100Aの正面は突出部がない形態となっている。
そのため、画像表示機能がない替わりに、大きな、あるいは、たくさんのPOP広告をこの表面に貼付することができる。
【0048】
この装置100Aは、その凹部11aが直接外部から視認できるので、凹部11aの底面11a3と側面11a4は、通常の可視外観面と同様の品位が得られるように形成される。
【0049】
図3及び図4(a)に示した例では、凹部11aの接続孔11a1に、これを塞ぐキャップ20を嵌着させて外観品位を向上させている。
この接続孔11a1は、図4(b)に示すように、凹部11aの側面に設けることもできる。画像表示部50を取り付ける際のケーブル17の接続作業はやや難しくなるが、外部からキャップ20が見えにくい位置にあるため外観品位として好ましい。
【0050】
画像表示部50を装着する場合、ケーブル17の接続孔52aは、その表示筐体52の側面に設けておく。
ここで、図1及び図2に戻り、画像表示部50を一体的に備えた広告画像表示装置100についてさらに詳細に説明する。これらの図にも示したように、画像表示部50の正面側の最も突出した端部は、本体部10の筐体11の前面11s(表示面53a側の面)に対して距離Hだけ突出している。
【0051】
具体的には、表示筐体52において、表示パネル53の表示面53aにおける周囲である縁部53a1を隠して品位を向上させる枠部54の端面54aが、筐体11の前面11sに対して距離Hだけ突出している。
【0052】
さらに、この枠部54の端面54aの幅Wを、必要最小限の幅にしてある。
これにより、この広告画像表示装置100に、裏面に粘着剤層等を有するPOP広告を貼付する際には、枠部54が突出しているためにこれを跨いで貼付することが困難になる。
【0053】
また、枠部54の端面54aの幅Wが極めて狭いので、この端面54aにPOP広告をしっかりと貼付することも難しくなっている。
従って、図5に示すように、POP広告21は、作業者が特に注意を払わずともおのずと枠部54の外側に位置するように貼付されるので、POP広告21で表示パネル53の表示面53aが隠れてしまうという不具合は発生しない。
【0054】
また、貼付作業において、画面が隠れるか否か等に特に注意を払う必要がないので、効率良くPOP広告21の新たな貼付や交換作業を行うことができる。
次に、上述した画像表示部50の枠部54を、その突出する先端側を根本側に対して細い先細り形状にした例を示す。例えば、端面54aを曲面にした具体例について、上述の図1及び図2に対応する図9及び図10を用いて説明する。
【0055】
図9は、本発明に係る広告画像表示装置における実施例を変形した例を示す外観斜視図であり、図10は、図9のC−C断面図である。
この変形例は、上述した実施例における表示筐体52の枠部54の断面形状が異なる画像表示部50Bを備えたものであり、図9及び図10における図1及び図2と共通の部位には同じ符号を付してある。
【0056】
図10に示すように、この広告画像表示装置100Bの画像表示部50Bは、その枠部54Bの端部54Baが先細り形状であり、半径Rの円弧状の断面形状を有するように形成されている。
【0057】
そのため、仮にこの枠部54B上にPOP広告21を貼り付けようとしても、POP広告21と枠部54Bとが貼着部分において線接触となり、充分な貼着面積が得られない。
従って、この枠部54BへのPOP広告の貼り付けは極めて困難となり、この変形例の広告画像表示装置100Bは、その表示面53aがPOP広告21で隠れる可能性が極めて少ないという効果が得られる。
【0058】
以上詳述した各広告画像表示装置100,100A,100Bにおいては、POP広告21が貼付される筐体11の前面11sを、ある所定の範囲の表面粗さに形成するとさらに良い。この表面粗さについては、実施例の変形例である広告画像表示装置100Bを代表として図11を用いて説明する。
【0059】
すなわち、POP広告21が貼付され得る筐体11の少なくとも前面11sを、表面粗さRaが25μmとなるように形成する。図11においては、この第1の表面粗さを有する範囲AR1を濃い網掛けの範囲として示している。筐体11を樹脂の射出成形により形成すれば、金型のキャビティに周知のシボ加工を施すことにより、比較的容易にこの表面粗さの前面11sを有する筐体11を得ることができる。
【0060】
これは、被貼着面(前面11s)に適度な凹凸を設けると、POP広告21の貼着剤との接触面積を繰り返し貼付に最適な接触面積に設定できることによる。
発明者らは、この最適な接触面積が得られる表面粗さRa値の範囲は20μm〜30μmであることを見い出した。この表面粗さRaの範囲で筐体11の前面11sを形成すると、POP広告21をこの前面11sに貼付した際には充分な貼着力が得られる一方、手による剥がし作業において適度な力で引き剥がしができると共に貼着剤残りもほとんどなくなって筐体の前面11sが汚れることがない。
【0061】
また、実施例及びその変形例における枠部54,54Bの端面54a,54Baは、その表面粗さがより大きくなるように形成すると、仮にPOP広告21を枠部54,54Bに貼着しようとしても接触面積がより小さくなって貼着力はほとんど得られず、貼着が更に困難になるので好ましい。
【0062】
具体的には、筐体11の前面11sより枠部54,54Bの端面54a,54Baの表面粗さRaを当然に大きくし、その表面粗さRaを40μm以上とするのがよい。図11においては、この第1の範囲よりも大きい表面粗さを有する第2の範囲AR2を薄い網掛けの範囲として示している。
【0063】
上述した実施例の広告画像表示装置100を、商品陳列棚に設置した設置例を図7に示す。この設置例にはもちろん広告画像表示装置100Bを適用することができる。
これは、新商品の缶飲料61の陳列棚であり、表示パネル53の表示面53aにはその商品の広告が動画として表示されると共に、スピーカ12からは広告の音声が出力される。
【0064】
広告画像表示装置100の本体部10の前面11sにはPOP広告21が複数貼付されているが、画像表示部50の枠部54が本体部10の前面11sから突出しており、また、その端面54aの幅が狭いので、POP広告21は、表示面53aの一部を覆うことなく、確実に本体部10の前面11s上のみに収まるよう貼付される。
【0065】
また、変形例の広告画像表示装置100Bの場合は、画像表示部50Bの枠部54Bは同様に本体部10の前面11sから突出しており、また、その端面54Baは円弧状断面を有し平面部が無いように形成されているので、POP広告21は、この枠部54Bに貼着されずに、表示面53aの一部を覆うことなく確実に本体部10の前面11s上のみに収まるように貼付される。
【0066】
また、いずれの広告画像表示装置100,100Bにおいても、本体部10の前面11sの表面が、表面粗さRa20μm〜30μmの範囲で形成されることにより、POP広告21が充分な貼着力で貼付されると共に、引き剥がしも容易で、前面11sに貼着剤残りがなくきれいに剥がすことができる。
【0067】
更に、枠部54,54Bの表面が、表面粗さRa40μm以上で形成されることにより、POP広告21の貼着が極めて難くなり、POP広告21が誤ってこの枠部54,54Bに貼着されても容易に脱落し、画面53aの一部を覆うことがない。
【0068】
本発明の実施例は、上述した構成及び手順に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲において上述した変形例以外の変形例としてもよいのは言うまでもない。
例えば、筐体部11は、底板11bを別体として分離できるように構成してあってもよい。
【0069】
また、枠部54Bの断面形状は先細り形状であるとよいが、上述した円弧状に限らず、先端側に平面を有しない形状であるとさらによい。例えば先端側に頂部を有する略三角断面形状がある。
【0070】
枠部54Bの断面図である図12を用いて説明すると、図12(a)は先細り形状の第1例である上述した断面円弧形状のものを示し、枠部の断面形状は、図12(b)の第2例である先端側に頂部54tを有する断面三角形状のものでもよく、図12(c)の第3例である頂部54tが側面側にある断面三角形状のものでもよく、図12(d)の第4例である頂部54tを複数有する断面形状のものでもよい。もちろん、これらを適宜組み合わせた形状としてもよいことは言うまでもない。
【図面の簡単な説明】
【0071】
【図1】本発明の広告画像表示装置の実施例を示す外観図である。
【図2】本発明の広告画像表示装置の実施例を示す断面図である。
【図3】本発明の広告画像表示装置の筐体構造における実施例を説明する斜視図である。
【図4】本発明の広告画像表示装置の筐体構造における実施例を説明する断面図である。
【図5】本発明の広告画像表示装置の実施例における使用形態を説明する斜視図である。
【図6】本発明の広告画像表示装置の実施例を説明する概略ブロック図である。
【図7】本発明の広告画像表示装置の実施例における使用形態を説明する他の図である。
【図8】本発明の公告画像表示装置の実施例の変形例を示す斜視図である。
【図9】本発明の広告画像表示装置における実施例の変形例を示す斜視図である。
【図10】本発明の広告画像表示装置における実施例の変形例を説明する断面図である。
【図11】本発明の広告画像表示装置における実施例の変形例を説明する斜視図である。
【図12】図9に示す変形例の他の例を説明する概略断面図である。
【符号の説明】
【0072】
10 本体部
11 筐体
11a 凹部
11a1 接続孔
11a3 底面
11a4 側面
11a5 係合孔
11s 前面
12 スピーカ
13 音声孔
14 回路基板
15 メモリーカード(記録媒体)
16 カードスロット
17 ケーブル
18 コネクタ
19a 音量調整ボリューム
19b 再生モード切り替えスイッチ
19c1 映像出力端子
19c2 音声出力端子
19d 輝度調整ボリューム
20 キャップ
21 POP広告
22 ねじ(連結手段)
30 デコーダ
50 画像表示部
51 表示窓
52 表示筐体
52a 接続孔
52c 係合部
53 表示パネル
53a 表示面
53a1 縁部
54,54B 枠部
54a,54Ba 端面
100,100A,100B 広告画像表示装置
H (突出する)距離
W (枠部の)幅
S1 画像(映像)信号
S2 音声信号

【特許請求の範囲】
【請求項1】
広告用画像を表示する表示面を有する画像表示手段を備えた広告画像表示装置であって、
前記広告用画像の画像信号を記録した記録媒体を装着可能な記録媒体装着手段と、前記記録媒体装着手段に装着された前記記録媒体から前記画像信号を読み出して前記表示手段に向け出力する信号出力手段と、を収納し、一面に該一面より凹んだ凹部を有する略箱状の第1の筐体と、
前記表示面の縁部を枠状に覆い前記縁部以外の前記表示面を外部に露出させる窓枠部を有する略箱状の第2の筐体と、
前記凹部に対して前記第2の筐体を連結分離可能とする連結手段と、を備え、
前記連結手段を介して前記凹部に前記第2の筐体が装着された状態で、前記窓枠部が前記一面に対して突出するよう構成されていることを特徴とする広告画像表示装置。



【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【公開番号】特開2011−138149(P2011−138149A)
【公開日】平成23年7月14日(2011.7.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−26928(P2011−26928)
【出願日】平成23年2月10日(2011.2.10)
【分割の表示】特願2005−338290(P2005−338290)の分割
【原出願日】平成17年11月24日(2005.11.24)
【出願人】(000004329)日本ビクター株式会社 (3,896)
【Fターム(参考)】