庇
【課題】決められた箇所以外から雨水が流れ落ちるのを防止した安価かつ保守や点検に手数を要さない庇を提供する。
【解決手段】庇は、中空の庇板2の開放された前端面29を塞ぐように全幅にわたって前縁板4が取り付けられたものである。前縁板4は、庇板2の開放された前端面29に当接され前面が雨水を下方へ導くガイド面40aとなっている縦板部40と、庇板2の上面に当接され上面が雨水を縦板部40のガイド面40aへ導くガイド面41aとなっている横板部41とが一体に形成されて成る。縦板部40の下部内面には全幅にわたる凹部44が形成されている。凹部44は開口部分の上部が庇板2の中空部と連通するように庇板2の開放された前端面29と対向し、開口部分の下部が外部と連通するように庇板2の下方へ突き出ている。
【解決手段】庇は、中空の庇板2の開放された前端面29を塞ぐように全幅にわたって前縁板4が取り付けられたものである。前縁板4は、庇板2の開放された前端面29に当接され前面が雨水を下方へ導くガイド面40aとなっている縦板部40と、庇板2の上面に当接され上面が雨水を縦板部40のガイド面40aへ導くガイド面41aとなっている横板部41とが一体に形成されて成る。縦板部40の下部内面には全幅にわたる凹部44が形成されている。凹部44は開口部分の上部が庇板2の中空部と連通するように庇板2の開放された前端面29と対向し、開口部分の下部が外部と連通するように庇板2の下方へ突き出ている。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、建物の外壁面より庇板が前方へ張り出すように設置される庇に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、その種の庇として、建物の外壁面に取り付けた保持枠に庇板の後端部を全幅にわたって保持させた構造のものがある。庇板は全体が一枚構成のものの他、複数の板材を幅方向に連結して構成されたものがある(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特許第3854626号公報
【0004】
この庇の庇板は、図9に示すように、側端面を互いに突き合わせるようにして幅方向へ連結される複数の板材20,21,22により構成されている。各板材20,21,22は、アルミニウムの押出成形により形成された中空体であり、中間位置の各板材20は両側端面が、両側位置の各板材21,22は内側端面が、それぞれ隣の板材と係脱が可能な構造となっている。庇板2の後端部は、建物の外壁面に取り付けられた長手状の保持枠3により全幅にわたって保持されている。
【0005】
庇板2の前端縁には樋板9が全幅にわたって装着されている。この樋板9は、図11に示すように、庇板2を構成する全ての板材20,21,22の前端面に当接させてネジ99により止着される後板部91と、後板部91と対向位置する前板部92と、各板材20,21,22の下面に突き当てる突出部93と、前板部92と後板部91との間に第1の樋溝95aを、後板部91と突出部93との間に第2の樋溝95bを、それぞれ形成するための底板部94とを備えている。第1、第2の各樋溝95a,95bは上面が開放され、第2の樋溝95bは各板材20,21,22の中空内部と連通している。第1、第2の各樋溝95a,95bの両端は、図9および図10に示すように、それぞれ開口しており、庇板2の上面を伝って第1の樋溝95aに流れ込んだ雨水は両端の開口部96,96より外部へ放出され、庇板2の中空内部を通って第2の樋溝95bに流れ込んだ雨水は両端の開口部97,97より流れ落ちる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、上記した構成の庇では、樋板9の幅wだけ庇板2の前方へ余分に突き出るため(図10)、庇の全長が必要以上に長くなる。また、樋板9は第1、第2の樋溝95a,95bを備えているので、形状が大きくなりかつ構造も複雑化し、庇がコスト高となる。さらに、第1、第2の各樋溝95a,95bは上面が開放されているので、塵芥が堆積し易く、頻繁な保守、点検が必要となる。さらにまた、第2の樋溝95bに塵芥が堆積して雨水の通路が塞がれると、突出部93と庇板2の下面との隙間98より雨水が外部へ浸出し、決められた箇所以外の随所から雨水が漏れ出て流れ落ちるという問題がある。
【0007】
この発明は、上記の問題に着目してなされたもので、従来の樋板に代えて、第1の樋溝に相当する構成のない前縁板を用いることにより、小型化と構造の簡易化とを実現し、決められた箇所以外から雨水が流れ落ちるのを防止した安価かつ保守や点検に手数を要さない庇を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
この発明による庇は、上下に対向する板面間に中空部を備える庇板と、建物の外壁面に取り付けられ庇板を前方へ張り出した状態で庇板の後端部を保持する保持枠と、庇板の開放された前端面を塞ぐように全幅にわたって取り付けられる前縁板とを備えている。前記前縁板は、庇板の開放された前端面に当接され前面が雨水を下方へ導くガイド面となっている縦板部と、庇板の上面に当接され上面が雨水を縦板部のガイド面へ導くガイド面となっている横板部とが一体に形成されて成るものである。前記縦板部の下部内面には、全幅にわたる凹部が形成され、凹部は開口部分の上部が庇板の中空部と連通するように庇板の開放された前端面と対向し、開口部分の下部が外部と連通するように庇板の下方へ突出している。
【0009】
上記した構成の庇において、庇板の上面に溜まった雨水は、庇板の上面を伝って前縁板まで導かれ、前縁板の横板部のガイド面を経て縦板部のガイド面に導かれる。縦板部のガイド面に至った雨水はそのガイド面を伝って下方へ流下し、縦板部の下端より落下する。庇板の内部に浸入した雨水は庇板の中空部を前端面に向けて流れ、開放された前端面より前縁板の縦板部の凹部内に流れ込んだ後、凹部から溢れ出て縦板部の下端より落下する。庇板の上面を伝って前縁板まで導かれた雨水のうち、庇板と前縁板の横板部との隙間より浸入した雨水は前縁板の縦板部の内面を伝って下方へ流下し、凹部内に流れ込んだ後、凹部から溢れ出て縦板部の下端より落下する。このように、庇板の内部を流れてきた雨水も庇板の上面を流れてきた雨水も同じ箇所、すなわち、前縁板の縦板部の下端より流れ落ちる。縦板部の凹部は縦板部の内面の側に開口しているので、塵芥が溜まりにくく、仮に塵芥が付着しても雨水により外部へ洗い流される。
【0010】
この発明の上記した構成において、庇板は全体が一枚構成の中空体であってもよく、複数の中空体の板材を連結して構成されたものであってもよい。複数の中空体の板材をもって構成する場合、庇の軽量化を実現するために、各板材はアルミニウムの押出型材を用いるのが望ましい。
【0011】
この発明の好ましい実施態様では、前記縦板部の凹部は両側端が開放され、凹部の開口下端縁は庇板の前端面の下方に被さるように突き出ている。この実施態様においては、凹部の開口下端縁によって庇板の前端面が下方より見えない目隠し状態になっているので、庇の見栄えの低下が防止される。
【0012】
上記した実施態様において、前記縦板部の下端面は後側が前側より低くなるように傾斜させている。この実施態様においては、庇板の上面を流れる雨水は前縁板の前記した横板部のガイド面および縦板部のガイド面を経て縦板部の下端に達した後、縦板部の下端面の傾斜下端より庇板の内部を流れてきた雨水と一緒になって外部へ流れ落ちる。
【0013】
この発明の好ましい実施態様においては、前記横板部の先端面は斜め上向きのテーパ面に形成されている。この実施態様においては、庇板の上面を伝って前縁板まで導かれた雨水は横板部のテーパ面よりガイド面に乗り上がるので、庇板の上面を伝う雨水の流れは円滑となる。
【発明の効果】
【0014】
この発明によると、庇板の開放された前端面を塞ぐように全幅にわたって前縁板を取り付けた構造としたから、従来例のような樋溝に相当する構成がなく、庇板の前方への突出部分をなくすことができる。このため、庇の全長が必要以上に長くならず、構造の複雑化を招くおそれもない。また、上面が開口した樋溝が存在しないので、塵芥が堆積するおそれがなく、保守、点検を頻繁に行う必要がない。さらに、凹部に塵芥が付着しても雨水が塵芥を洗い流すので、塵芥の堆積による不都合、すなわち、雨水の通路が塞がれて決められた箇所以外の隙間部分から雨水が流れ落ちるのを防止できる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】この発明の一実施例である庇の外観を示す斜視図である。
【図2】庇板の中間を省略した図1の実施例の側面図である。
【図3】図1のA−A線に沿う断面図である。
【図4】保持枠による板材の保持状態を示す断面図である。
【図5】保持枠の保持溝へ板材を差し込む状態を示す断面図である。
【図6】上下のカバーを外した状態での図4のB−B線に沿う断面図である。
【図7】前縁板の構成を示す断面図である。
【図8】庇の施工状態を示す斜視図である。
【図9】従来の庇の外観を示す斜視図である。
【図10】従来の庇の側面図である。
【図11】従来の庇における樋板の構成を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
図1および図2は、この発明の一実施例である庇1の外観を示している。
図示の庇1は、建物の外壁面10から前方へ張り出すように設置される庇板2と、建物の外壁面10に固着され庇板2を前方へ張り出した状態で庇板2の後端部を保持する保持枠3と、庇板2の開放された前端面29を塞ぐように全幅にわたって取り付けられる前縁板4とで構成されている。庇板2、保持枠3、および前縁板4を構成する各部材はアルミニウムの押出型材が用いられる。なお、図中、49は前縁板4の両端面に被せられる端枠部材である。
【0017】
庇板2は、図1および図3に示すように、側端面を互いに突き合わせるようにして幅方向へ連結される複数の中間板材20と、両側位置の中間板材20の外側端面にそれぞれ装着される側板材21,22とで構成されている。各中間板材20および各側板材21,22は、アルミニウムの押出成形により形成され、各板材の上下に対向する上板部2aと下板部2bとの間は全長にわたる中空部となっている。
【0018】
各中間板材20は、一方の側端面に第1の係合部24を、他方の側端面に第2の係合部25を、それぞれ備えている。また、各側板材21,22のうち、一方の側板材21は内側端面に第1の係合部24を備え、他方の側板材22は内側端面に第2の係合部25を備えている。各中間板材20の第1の係合部24は他の中間板材20または側板材22の第2の係合部25と係脱可能である。各中間板材20の第2の係合部25は他の中間板材20または側板材21の第1の係合部24と係脱可能である。
【0019】
各中間板材20の内部には、長さ方向に沿う2個の取付溝23,23がほぼ左右対称位置に形成されている。各取付溝23には、長さ方向の強度を保つために、中間板材20の厚さおよび長さに応じた幅および長さを有する鉄板製の補強板9が縦向きにして挿入されて支持されている。各中間板材20の内部には補強のためのリブ27も設けられている。なお、補強板9は必ずしも必要でなく、張出し量の大きさに応じて適宜用いる。
【0020】
前記保持枠3は、庇板2の全幅とほぼ一致する長さを有するもので、図4に示すように、建物の外壁面10に沿ってアンカーボルト7により止め固定される背板部31と、背板部31の前面のほぼ中央部に保持溝8を挟んで上下に対向するように庇板2の全幅に対応する長さに一体形成された一対の保持板部30A,30Bとを備えている。各保持板部30A,30Bは可撓性を有し、後述するボルト6およびナット60による内向きの締付力が作用したとき、内側へわずかに撓んで弾性変形するようにその厚みや突出長さが設定されている。
【0021】
保持溝8は、図5に示すように、庇板2を構成する各板材20〜22の基端部を前方より差し込むことが可能な溝幅を有し、前面が全長にわたって開放されている。上側の保持板部30Aはわずかに上開きとなるように、また、下側の保持板部30Bはわずかに下開きとなるように、それぞれ背板部31の前面より突出しており、上下の保持板部30A,30B間の保持溝8は、溝底から溝開口に向けて次第に広がった溝形状になっている。保持溝8の溝底での溝幅d1は庇板2を構成する各板材20〜22の基端部の厚みとほぼ一致し、従って、保持溝8の溝開口部での溝幅d2は、d2>d1である。
【0022】
この保持枠3には、庇板2の基端部を上方および下方より覆って保持枠3やボルト6およびナット60を外部から見えないようにするための上カバー32および下カバー33が装着される。上カバー32や下カバー33はアルミニウムの押出型材である。なお、保持枠3の両側端面は端板5,5により塞がれている(図1および図2)。
【0023】
保持枠3の背板部31の上端縁には斜め前方へ突出する第1の係合突部35aが、下端縁には下方へ突出する第2の係合突部35bが、それぞれ全幅にわたり形成されている。第1の係合突部35aには上カバー32の一端縁が係合し、第2の係合突部35bには下カバー33の一端縁が係合する。また、下側の保持板部30Bの先端面には下カバー33の他端縁が係合する係合凹部36が全幅にわたって形成されている。背板部31には、上下の保持板部30A,30Bの間に、アンカーボルト7が挿入されるボルト挿通孔71が一定間隔毎に横一列に設けられている。
【0024】
上下の各保持板部30A,30Bには、長さ方向に沿う複数の対向する位置に、図4〜図6に示すように、各保持板部30A,30Bを上下に貫通するボルト止め孔61,62がそれぞれ形成されるとともに、庇板2を構成する各側板材21,22および各中間板材20の基端部であって保持板部30A,30Bの各ボルト止め孔61,62に対応する位置に、ボルト止め孔61,62に連通するボルト通し孔63,64が各板材の上板部2aおよび下板部2bを貫通して形成されている。
【0025】
前記のボルト6は、上側の保持板部30Aの上方よりボルト止め孔61へ挿入され、上側の保持板部30Aのボルト止め孔61、側板材21,22または中間板材20のボルト通し孔63,64、および下側の保持板部30Bのボルト止め孔62を一連に貫通する。下側の保持板部30Bの下方へ突出したボルト6の先端部にはナット60がネジ込まれて締め付けられる。なお、図中、66はボルト6の頭部65と上側の保持板材30Aとの間に介在させる座金であり、67は下側の保持板材30Bとナット60との間に介在させる座金である。
【0026】
ナット60を締め付けた状態のとき、上下の保持板材30A,30Bは内側へわずかに撓んで弾性変形するもので、各保持板材30A,30Bは庇板2を構成する側板材21,22や中間板材20の上板部2aおよび下板部2bにかなり広範囲にわたり接触して各板材を挟持する。
【0027】
なお、図4において、37は上カバー32の上端縁と建物の外壁面10との間に庇板2の全幅にわたって嵌め込まれるコーキング材、38は上カバー32の下端縁と庇板2の上面との間に庇板2の全幅にわたって嵌め込まれるコーキング材である。これらのコーキング材37,38によって雨水の浸入が阻止される。また、34は前記端板5をビス止めするために上下の各カバー32,33に設けられたビス止め孔である。
【0028】
庇板2の開放された前端面29、すなわち、各中間板材20および各側板材21,22の各前端面は、図7に示すように、上板材2aの上面および下板材2bの下面に対して直角に切断されて成るものであり、この庇板2の前端面29に前記した前縁板4が装着されている。
図示例の前縁板4は、庇板2の開放された前端面29に当接しフラットな前面が雨水を下方へ導くガイド面40aとなっている縦板部40と、庇板2の上面に当接され上面が雨水を縦板部40のガイド面40aへ導くガイド面41aとなっている横板部41とが一体に形成されたものである。以下の説明では、横板部41のガイド面41aを「第1ガイド面41a」、縦板部40のガイド面40aを「第2ガイド面40a」という。
【0029】
縦板部40および横板部41はそれぞれ一定の肉厚を有する平板であり、横板部41は縦板部40より小さな厚みに設定されている。縦板部40と横板部41とは、庇板2の前端面29が上板材2aの上面および下板材2bの下面に対して直角に切断されているので、この切断角度に合わせて互いに直角をなすように形成されているが、庇板2の前端面29が、図中、一点鎖線で示すように、斜めに切断されている場合には、縦板部40と横板部41とのなす角度が庇板2の前端面29の斜めの切断角度に応じた角度(鈍角)となるように前縁板4が形成される。
【0030】
横板部41は各中間板材20および各側板材21,22の上板材2aの上面にねじ43によってそれぞれ固着され、これにより前縁板4は庇板2の前端部に取り付け固定されている。図中、2cは各中間板材20および各端板材21,22に形成されたネジ孔、45は各ネジ孔2cに対応する位置に形成されたネジ43の頭部を支持する支持孔である。前縁板4の横板部41は先端面が斜め上向きのテーパ面41bに形成されており、このテーパ面41bを介して庇板2の上面と横板部41の第1ガイド面41aとが連続している。
【0031】
前縁板4の縦板部40の下部内面には全幅にわたって樋状の凹部44が形成されている。凹部44の開口部分の幅は全長にわたって一定であり、凹部44の両側端は開放されている。凹部44の開口下端縁47は庇板2の前端面29の下方に被さるように突き出ており、開口下端縁47と庇板2の下面との間には雨水が流れ出るための隙間46が形成されている。凹部44は開口部分の上部が庇板2の中空部と連通するように庇板2の開放された前端面29と対向している。凹部44の開口部分の下部は外部と連通するように庇板2の下方へ突き出ている。
縦板部40の下端面40bは後側が前側より低くなるように傾斜させており、第2ガイド面40aを流下した雨水が縦板部40の下端面40bの傾斜を伝って開口下端縁47へ導かれるようになっている。
【0032】
上記した構成の庇1を建物の外壁面10に設置するには、まず、外壁面10に保持枠3をアンカーボルト7により固着する。つぎに、図8に示すように、庇板2を構成する全ての中間板材20および側板材21,22の後端部を保持枠3に順次固定して庇板2を組み立てた後、庇板2の開放された前端面29に前縁板4を装着する。庇板2の組み立てには、保持枠3の上下に対向する保持板部30A,30B間の保持溝8へ各板材20〜22の後端部を順次差し込んで保持枠3に固定する。
【0033】
上記した構成の庇1において、図2に示すように、庇板2の上面に溜まった雨水Pは、庇板2の上面を伝って前端の前縁板4まで導かれ、横板部41の第1ガイド面41aを経て縦板部40の第2ガイド面40aに導かれる。この場合に、前縁板4の横板部41の先端面が斜め上向きのテーパ面41bに形成されているので、庇板2の上面を伝って前端の前縁板4まで導かれた雨水はテーパ面41bによって第1ガイド面41aに乗り上がり、庇板2の上面を伝う雨水の流れが円滑となる。
縦板部40の第2ガイド面40aに至った雨水は、第2ガイド面40aを伝って下方へ流下し、縦板部40の下端より落下する。
【0034】
庇板2の板材間の連結部分などから庇板2の中空内部に浸入した雨水Qは、庇板2の中空部を前端面29に向けて流れ、開放された前端面29より前縁板4の縦板部40の凹部44内に流れ込んだ後、凹部44から溢れ出て縦板部40の下端より落下する。
庇板2の上面を伝って前縁板4まで導かれた雨水Pのうち庇板2と前縁板4の横板部41との隙間へ浸入した雨水は、前縁板4の縦板部40の内面を伝って下方へ流下し、凹部44内に流れ込んだ後、凹部44から溢れ出て縦板部40の下端より落下する。
縦板部40の下端面40bは後側が前側より低くなるように傾斜しているので、庇板2の上面を流れる雨水Pは前縁板4の前記した第1ガイド面41aおよび第2ガイド面40aを経て縦板部40の下端に達した後、縦板部40の下端面40bの傾斜下端から庇板2の内部を流れる雨水Qや縦板部40の内面を伝った雨水と一緒になって流れ落ちる。
縦板部40の凹部44は縦板部40の内面側に開口しているので、塵芥が溜まりにくく、仮に塵芥が凹部44内に付着しても雨水により外部へ容易に洗い流される。
【符号の説明】
【0035】
1 庇
2 庇板
3 保持枠
4 前縁板
40 縦板部
40a ガイド面(第2ガイド面)
41 横板部
41a ガイド面(第1ガイド面)
44 凹部
【技術分野】
【0001】
この発明は、建物の外壁面より庇板が前方へ張り出すように設置される庇に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、その種の庇として、建物の外壁面に取り付けた保持枠に庇板の後端部を全幅にわたって保持させた構造のものがある。庇板は全体が一枚構成のものの他、複数の板材を幅方向に連結して構成されたものがある(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特許第3854626号公報
【0004】
この庇の庇板は、図9に示すように、側端面を互いに突き合わせるようにして幅方向へ連結される複数の板材20,21,22により構成されている。各板材20,21,22は、アルミニウムの押出成形により形成された中空体であり、中間位置の各板材20は両側端面が、両側位置の各板材21,22は内側端面が、それぞれ隣の板材と係脱が可能な構造となっている。庇板2の後端部は、建物の外壁面に取り付けられた長手状の保持枠3により全幅にわたって保持されている。
【0005】
庇板2の前端縁には樋板9が全幅にわたって装着されている。この樋板9は、図11に示すように、庇板2を構成する全ての板材20,21,22の前端面に当接させてネジ99により止着される後板部91と、後板部91と対向位置する前板部92と、各板材20,21,22の下面に突き当てる突出部93と、前板部92と後板部91との間に第1の樋溝95aを、後板部91と突出部93との間に第2の樋溝95bを、それぞれ形成するための底板部94とを備えている。第1、第2の各樋溝95a,95bは上面が開放され、第2の樋溝95bは各板材20,21,22の中空内部と連通している。第1、第2の各樋溝95a,95bの両端は、図9および図10に示すように、それぞれ開口しており、庇板2の上面を伝って第1の樋溝95aに流れ込んだ雨水は両端の開口部96,96より外部へ放出され、庇板2の中空内部を通って第2の樋溝95bに流れ込んだ雨水は両端の開口部97,97より流れ落ちる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、上記した構成の庇では、樋板9の幅wだけ庇板2の前方へ余分に突き出るため(図10)、庇の全長が必要以上に長くなる。また、樋板9は第1、第2の樋溝95a,95bを備えているので、形状が大きくなりかつ構造も複雑化し、庇がコスト高となる。さらに、第1、第2の各樋溝95a,95bは上面が開放されているので、塵芥が堆積し易く、頻繁な保守、点検が必要となる。さらにまた、第2の樋溝95bに塵芥が堆積して雨水の通路が塞がれると、突出部93と庇板2の下面との隙間98より雨水が外部へ浸出し、決められた箇所以外の随所から雨水が漏れ出て流れ落ちるという問題がある。
【0007】
この発明は、上記の問題に着目してなされたもので、従来の樋板に代えて、第1の樋溝に相当する構成のない前縁板を用いることにより、小型化と構造の簡易化とを実現し、決められた箇所以外から雨水が流れ落ちるのを防止した安価かつ保守や点検に手数を要さない庇を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
この発明による庇は、上下に対向する板面間に中空部を備える庇板と、建物の外壁面に取り付けられ庇板を前方へ張り出した状態で庇板の後端部を保持する保持枠と、庇板の開放された前端面を塞ぐように全幅にわたって取り付けられる前縁板とを備えている。前記前縁板は、庇板の開放された前端面に当接され前面が雨水を下方へ導くガイド面となっている縦板部と、庇板の上面に当接され上面が雨水を縦板部のガイド面へ導くガイド面となっている横板部とが一体に形成されて成るものである。前記縦板部の下部内面には、全幅にわたる凹部が形成され、凹部は開口部分の上部が庇板の中空部と連通するように庇板の開放された前端面と対向し、開口部分の下部が外部と連通するように庇板の下方へ突出している。
【0009】
上記した構成の庇において、庇板の上面に溜まった雨水は、庇板の上面を伝って前縁板まで導かれ、前縁板の横板部のガイド面を経て縦板部のガイド面に導かれる。縦板部のガイド面に至った雨水はそのガイド面を伝って下方へ流下し、縦板部の下端より落下する。庇板の内部に浸入した雨水は庇板の中空部を前端面に向けて流れ、開放された前端面より前縁板の縦板部の凹部内に流れ込んだ後、凹部から溢れ出て縦板部の下端より落下する。庇板の上面を伝って前縁板まで導かれた雨水のうち、庇板と前縁板の横板部との隙間より浸入した雨水は前縁板の縦板部の内面を伝って下方へ流下し、凹部内に流れ込んだ後、凹部から溢れ出て縦板部の下端より落下する。このように、庇板の内部を流れてきた雨水も庇板の上面を流れてきた雨水も同じ箇所、すなわち、前縁板の縦板部の下端より流れ落ちる。縦板部の凹部は縦板部の内面の側に開口しているので、塵芥が溜まりにくく、仮に塵芥が付着しても雨水により外部へ洗い流される。
【0010】
この発明の上記した構成において、庇板は全体が一枚構成の中空体であってもよく、複数の中空体の板材を連結して構成されたものであってもよい。複数の中空体の板材をもって構成する場合、庇の軽量化を実現するために、各板材はアルミニウムの押出型材を用いるのが望ましい。
【0011】
この発明の好ましい実施態様では、前記縦板部の凹部は両側端が開放され、凹部の開口下端縁は庇板の前端面の下方に被さるように突き出ている。この実施態様においては、凹部の開口下端縁によって庇板の前端面が下方より見えない目隠し状態になっているので、庇の見栄えの低下が防止される。
【0012】
上記した実施態様において、前記縦板部の下端面は後側が前側より低くなるように傾斜させている。この実施態様においては、庇板の上面を流れる雨水は前縁板の前記した横板部のガイド面および縦板部のガイド面を経て縦板部の下端に達した後、縦板部の下端面の傾斜下端より庇板の内部を流れてきた雨水と一緒になって外部へ流れ落ちる。
【0013】
この発明の好ましい実施態様においては、前記横板部の先端面は斜め上向きのテーパ面に形成されている。この実施態様においては、庇板の上面を伝って前縁板まで導かれた雨水は横板部のテーパ面よりガイド面に乗り上がるので、庇板の上面を伝う雨水の流れは円滑となる。
【発明の効果】
【0014】
この発明によると、庇板の開放された前端面を塞ぐように全幅にわたって前縁板を取り付けた構造としたから、従来例のような樋溝に相当する構成がなく、庇板の前方への突出部分をなくすことができる。このため、庇の全長が必要以上に長くならず、構造の複雑化を招くおそれもない。また、上面が開口した樋溝が存在しないので、塵芥が堆積するおそれがなく、保守、点検を頻繁に行う必要がない。さらに、凹部に塵芥が付着しても雨水が塵芥を洗い流すので、塵芥の堆積による不都合、すなわち、雨水の通路が塞がれて決められた箇所以外の隙間部分から雨水が流れ落ちるのを防止できる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】この発明の一実施例である庇の外観を示す斜視図である。
【図2】庇板の中間を省略した図1の実施例の側面図である。
【図3】図1のA−A線に沿う断面図である。
【図4】保持枠による板材の保持状態を示す断面図である。
【図5】保持枠の保持溝へ板材を差し込む状態を示す断面図である。
【図6】上下のカバーを外した状態での図4のB−B線に沿う断面図である。
【図7】前縁板の構成を示す断面図である。
【図8】庇の施工状態を示す斜視図である。
【図9】従来の庇の外観を示す斜視図である。
【図10】従来の庇の側面図である。
【図11】従来の庇における樋板の構成を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
図1および図2は、この発明の一実施例である庇1の外観を示している。
図示の庇1は、建物の外壁面10から前方へ張り出すように設置される庇板2と、建物の外壁面10に固着され庇板2を前方へ張り出した状態で庇板2の後端部を保持する保持枠3と、庇板2の開放された前端面29を塞ぐように全幅にわたって取り付けられる前縁板4とで構成されている。庇板2、保持枠3、および前縁板4を構成する各部材はアルミニウムの押出型材が用いられる。なお、図中、49は前縁板4の両端面に被せられる端枠部材である。
【0017】
庇板2は、図1および図3に示すように、側端面を互いに突き合わせるようにして幅方向へ連結される複数の中間板材20と、両側位置の中間板材20の外側端面にそれぞれ装着される側板材21,22とで構成されている。各中間板材20および各側板材21,22は、アルミニウムの押出成形により形成され、各板材の上下に対向する上板部2aと下板部2bとの間は全長にわたる中空部となっている。
【0018】
各中間板材20は、一方の側端面に第1の係合部24を、他方の側端面に第2の係合部25を、それぞれ備えている。また、各側板材21,22のうち、一方の側板材21は内側端面に第1の係合部24を備え、他方の側板材22は内側端面に第2の係合部25を備えている。各中間板材20の第1の係合部24は他の中間板材20または側板材22の第2の係合部25と係脱可能である。各中間板材20の第2の係合部25は他の中間板材20または側板材21の第1の係合部24と係脱可能である。
【0019】
各中間板材20の内部には、長さ方向に沿う2個の取付溝23,23がほぼ左右対称位置に形成されている。各取付溝23には、長さ方向の強度を保つために、中間板材20の厚さおよび長さに応じた幅および長さを有する鉄板製の補強板9が縦向きにして挿入されて支持されている。各中間板材20の内部には補強のためのリブ27も設けられている。なお、補強板9は必ずしも必要でなく、張出し量の大きさに応じて適宜用いる。
【0020】
前記保持枠3は、庇板2の全幅とほぼ一致する長さを有するもので、図4に示すように、建物の外壁面10に沿ってアンカーボルト7により止め固定される背板部31と、背板部31の前面のほぼ中央部に保持溝8を挟んで上下に対向するように庇板2の全幅に対応する長さに一体形成された一対の保持板部30A,30Bとを備えている。各保持板部30A,30Bは可撓性を有し、後述するボルト6およびナット60による内向きの締付力が作用したとき、内側へわずかに撓んで弾性変形するようにその厚みや突出長さが設定されている。
【0021】
保持溝8は、図5に示すように、庇板2を構成する各板材20〜22の基端部を前方より差し込むことが可能な溝幅を有し、前面が全長にわたって開放されている。上側の保持板部30Aはわずかに上開きとなるように、また、下側の保持板部30Bはわずかに下開きとなるように、それぞれ背板部31の前面より突出しており、上下の保持板部30A,30B間の保持溝8は、溝底から溝開口に向けて次第に広がった溝形状になっている。保持溝8の溝底での溝幅d1は庇板2を構成する各板材20〜22の基端部の厚みとほぼ一致し、従って、保持溝8の溝開口部での溝幅d2は、d2>d1である。
【0022】
この保持枠3には、庇板2の基端部を上方および下方より覆って保持枠3やボルト6およびナット60を外部から見えないようにするための上カバー32および下カバー33が装着される。上カバー32や下カバー33はアルミニウムの押出型材である。なお、保持枠3の両側端面は端板5,5により塞がれている(図1および図2)。
【0023】
保持枠3の背板部31の上端縁には斜め前方へ突出する第1の係合突部35aが、下端縁には下方へ突出する第2の係合突部35bが、それぞれ全幅にわたり形成されている。第1の係合突部35aには上カバー32の一端縁が係合し、第2の係合突部35bには下カバー33の一端縁が係合する。また、下側の保持板部30Bの先端面には下カバー33の他端縁が係合する係合凹部36が全幅にわたって形成されている。背板部31には、上下の保持板部30A,30Bの間に、アンカーボルト7が挿入されるボルト挿通孔71が一定間隔毎に横一列に設けられている。
【0024】
上下の各保持板部30A,30Bには、長さ方向に沿う複数の対向する位置に、図4〜図6に示すように、各保持板部30A,30Bを上下に貫通するボルト止め孔61,62がそれぞれ形成されるとともに、庇板2を構成する各側板材21,22および各中間板材20の基端部であって保持板部30A,30Bの各ボルト止め孔61,62に対応する位置に、ボルト止め孔61,62に連通するボルト通し孔63,64が各板材の上板部2aおよび下板部2bを貫通して形成されている。
【0025】
前記のボルト6は、上側の保持板部30Aの上方よりボルト止め孔61へ挿入され、上側の保持板部30Aのボルト止め孔61、側板材21,22または中間板材20のボルト通し孔63,64、および下側の保持板部30Bのボルト止め孔62を一連に貫通する。下側の保持板部30Bの下方へ突出したボルト6の先端部にはナット60がネジ込まれて締め付けられる。なお、図中、66はボルト6の頭部65と上側の保持板材30Aとの間に介在させる座金であり、67は下側の保持板材30Bとナット60との間に介在させる座金である。
【0026】
ナット60を締め付けた状態のとき、上下の保持板材30A,30Bは内側へわずかに撓んで弾性変形するもので、各保持板材30A,30Bは庇板2を構成する側板材21,22や中間板材20の上板部2aおよび下板部2bにかなり広範囲にわたり接触して各板材を挟持する。
【0027】
なお、図4において、37は上カバー32の上端縁と建物の外壁面10との間に庇板2の全幅にわたって嵌め込まれるコーキング材、38は上カバー32の下端縁と庇板2の上面との間に庇板2の全幅にわたって嵌め込まれるコーキング材である。これらのコーキング材37,38によって雨水の浸入が阻止される。また、34は前記端板5をビス止めするために上下の各カバー32,33に設けられたビス止め孔である。
【0028】
庇板2の開放された前端面29、すなわち、各中間板材20および各側板材21,22の各前端面は、図7に示すように、上板材2aの上面および下板材2bの下面に対して直角に切断されて成るものであり、この庇板2の前端面29に前記した前縁板4が装着されている。
図示例の前縁板4は、庇板2の開放された前端面29に当接しフラットな前面が雨水を下方へ導くガイド面40aとなっている縦板部40と、庇板2の上面に当接され上面が雨水を縦板部40のガイド面40aへ導くガイド面41aとなっている横板部41とが一体に形成されたものである。以下の説明では、横板部41のガイド面41aを「第1ガイド面41a」、縦板部40のガイド面40aを「第2ガイド面40a」という。
【0029】
縦板部40および横板部41はそれぞれ一定の肉厚を有する平板であり、横板部41は縦板部40より小さな厚みに設定されている。縦板部40と横板部41とは、庇板2の前端面29が上板材2aの上面および下板材2bの下面に対して直角に切断されているので、この切断角度に合わせて互いに直角をなすように形成されているが、庇板2の前端面29が、図中、一点鎖線で示すように、斜めに切断されている場合には、縦板部40と横板部41とのなす角度が庇板2の前端面29の斜めの切断角度に応じた角度(鈍角)となるように前縁板4が形成される。
【0030】
横板部41は各中間板材20および各側板材21,22の上板材2aの上面にねじ43によってそれぞれ固着され、これにより前縁板4は庇板2の前端部に取り付け固定されている。図中、2cは各中間板材20および各端板材21,22に形成されたネジ孔、45は各ネジ孔2cに対応する位置に形成されたネジ43の頭部を支持する支持孔である。前縁板4の横板部41は先端面が斜め上向きのテーパ面41bに形成されており、このテーパ面41bを介して庇板2の上面と横板部41の第1ガイド面41aとが連続している。
【0031】
前縁板4の縦板部40の下部内面には全幅にわたって樋状の凹部44が形成されている。凹部44の開口部分の幅は全長にわたって一定であり、凹部44の両側端は開放されている。凹部44の開口下端縁47は庇板2の前端面29の下方に被さるように突き出ており、開口下端縁47と庇板2の下面との間には雨水が流れ出るための隙間46が形成されている。凹部44は開口部分の上部が庇板2の中空部と連通するように庇板2の開放された前端面29と対向している。凹部44の開口部分の下部は外部と連通するように庇板2の下方へ突き出ている。
縦板部40の下端面40bは後側が前側より低くなるように傾斜させており、第2ガイド面40aを流下した雨水が縦板部40の下端面40bの傾斜を伝って開口下端縁47へ導かれるようになっている。
【0032】
上記した構成の庇1を建物の外壁面10に設置するには、まず、外壁面10に保持枠3をアンカーボルト7により固着する。つぎに、図8に示すように、庇板2を構成する全ての中間板材20および側板材21,22の後端部を保持枠3に順次固定して庇板2を組み立てた後、庇板2の開放された前端面29に前縁板4を装着する。庇板2の組み立てには、保持枠3の上下に対向する保持板部30A,30B間の保持溝8へ各板材20〜22の後端部を順次差し込んで保持枠3に固定する。
【0033】
上記した構成の庇1において、図2に示すように、庇板2の上面に溜まった雨水Pは、庇板2の上面を伝って前端の前縁板4まで導かれ、横板部41の第1ガイド面41aを経て縦板部40の第2ガイド面40aに導かれる。この場合に、前縁板4の横板部41の先端面が斜め上向きのテーパ面41bに形成されているので、庇板2の上面を伝って前端の前縁板4まで導かれた雨水はテーパ面41bによって第1ガイド面41aに乗り上がり、庇板2の上面を伝う雨水の流れが円滑となる。
縦板部40の第2ガイド面40aに至った雨水は、第2ガイド面40aを伝って下方へ流下し、縦板部40の下端より落下する。
【0034】
庇板2の板材間の連結部分などから庇板2の中空内部に浸入した雨水Qは、庇板2の中空部を前端面29に向けて流れ、開放された前端面29より前縁板4の縦板部40の凹部44内に流れ込んだ後、凹部44から溢れ出て縦板部40の下端より落下する。
庇板2の上面を伝って前縁板4まで導かれた雨水Pのうち庇板2と前縁板4の横板部41との隙間へ浸入した雨水は、前縁板4の縦板部40の内面を伝って下方へ流下し、凹部44内に流れ込んだ後、凹部44から溢れ出て縦板部40の下端より落下する。
縦板部40の下端面40bは後側が前側より低くなるように傾斜しているので、庇板2の上面を流れる雨水Pは前縁板4の前記した第1ガイド面41aおよび第2ガイド面40aを経て縦板部40の下端に達した後、縦板部40の下端面40bの傾斜下端から庇板2の内部を流れる雨水Qや縦板部40の内面を伝った雨水と一緒になって流れ落ちる。
縦板部40の凹部44は縦板部40の内面側に開口しているので、塵芥が溜まりにくく、仮に塵芥が凹部44内に付着しても雨水により外部へ容易に洗い流される。
【符号の説明】
【0035】
1 庇
2 庇板
3 保持枠
4 前縁板
40 縦板部
40a ガイド面(第2ガイド面)
41 横板部
41a ガイド面(第1ガイド面)
44 凹部
【特許請求の範囲】
【請求項1】
上下に対向する板面間に中空部を備える庇板と、建物の外壁面に取り付けられ庇板を前方へ張り出した状態で庇板の後端部を保持する保持枠と、庇板の開放された前端面を塞ぐように全幅にわたって取り付けられる前縁板とを備えた庇であって、
前記前縁板は、庇板の開放された前端面に当接され前面が雨水を下方へ導くガイド面となっている縦板部と、庇板の上面に当接され上面が雨水を前記縦板部のガイド面へ導くガイド面となっている横板部とが一体に形成されて成り、前記縦板部の下部内面には、全幅にわたる凹部が形成され、凹部は開口部分の上部が庇板の中空部と連通するように庇板の開放された前端面と対向し、開口部分の下部が外部と連通するように庇板の下方へ突出して成る庇。
【請求項2】
前記縦板部の凹部は、両側端が開放され、凹部の開口下端縁は庇板の前端面の下方に被さるように突き出ている請求項1に記載された庇。
【請求項3】
前記縦板部の下端面は、後側が前側より低くなるようい傾斜させている請求項2に記載された庇。
【請求項4】
前記横板部の先端面は、斜め上向きのテーパ面に形成されている請求項1に記載された庇。
【請求項1】
上下に対向する板面間に中空部を備える庇板と、建物の外壁面に取り付けられ庇板を前方へ張り出した状態で庇板の後端部を保持する保持枠と、庇板の開放された前端面を塞ぐように全幅にわたって取り付けられる前縁板とを備えた庇であって、
前記前縁板は、庇板の開放された前端面に当接され前面が雨水を下方へ導くガイド面となっている縦板部と、庇板の上面に当接され上面が雨水を前記縦板部のガイド面へ導くガイド面となっている横板部とが一体に形成されて成り、前記縦板部の下部内面には、全幅にわたる凹部が形成され、凹部は開口部分の上部が庇板の中空部と連通するように庇板の開放された前端面と対向し、開口部分の下部が外部と連通するように庇板の下方へ突出して成る庇。
【請求項2】
前記縦板部の凹部は、両側端が開放され、凹部の開口下端縁は庇板の前端面の下方に被さるように突き出ている請求項1に記載された庇。
【請求項3】
前記縦板部の下端面は、後側が前側より低くなるようい傾斜させている請求項2に記載された庇。
【請求項4】
前記横板部の先端面は、斜め上向きのテーパ面に形成されている請求項1に記載された庇。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【公開番号】特開2010−209578(P2010−209578A)
【公開日】平成22年9月24日(2010.9.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−56405(P2009−56405)
【出願日】平成21年3月10日(2009.3.10)
【出願人】(591181562)株式会社共和 (23)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成22年9月24日(2010.9.24)
【国際特許分類】
【出願日】平成21年3月10日(2009.3.10)
【出願人】(591181562)株式会社共和 (23)
【Fターム(参考)】
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