説明

床暖房システム

【課題】床暖房ユニットの水熱交換器を凍結させることなく、冷房サイクル運転で冷媒配管の誤接続を容易に検出できる床暖房システムを提供する。
【解決手段】室外ユニット100の冷房サイクル運転において、床暖房ユニット200の温水回路に配設された循環ポンプ23を連続に動作させた状態で、室外ユニット100の複数の冷媒配管接続部7A,7B,7C,8A,8B,8Cに夫々対応する複数の電動弁EVA,EVB,EVCを順次開くことにより、室内熱交換器温度センサ15A,15Bにより検出された室内熱交換器4A,4Bの温度および温度センサ32により検出された水熱交換器21に流入する液冷媒の温度に基づいて、冷媒配管接続判定部18aは、複数の冷媒配管接続部7A,7B,7C,8A,8B,8Cと室内熱交換器4A,4B,水熱交換器21との冷媒配管を介した接続を判定する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、床暖房システムに関し、詳しくは床暖房ユニットを備えた床暖房システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、複数の室内ユニットとその複数の室内ユニットに冷媒配管を介して接続された室外ユニットとを備え、各室内ユニットと室外ユニットとを接続する冷媒配管の誤接続を検出するマルチ型空気調和機がある(例えば、特開平7−305879号公報(特許文献1)参照)。このマルチ型空気調和機では、1台ずつ室内ユニットを冷房運転させて、冷房運転される室内ユニットに対応する冷媒経路の温度が低下するのを検出することにより、冷媒配管の誤接続を検出している。
【0003】
ところで、このようなマルチ型空気調和機の構成おいて、室内ユニットの替わりに床暖房ユニットを接続した床暖房システムでは、冷房サイクル運転で冷媒配管の誤接続を検出しようとすると、床暖房ユニットの水熱交換器が凍結して破損する恐れがあるため、冷媒配管の誤接続を検出できないという問題がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平7−305879号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
そこで、この発明の課題は、床暖房ユニットの水熱交換器を凍結させることなく、冷房サイクル運転で冷媒配管の誤接続を容易に検出できる床暖房システムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するため、この発明の床暖房システムは、
床暖房ユニットと、
上記床暖房ユニットが冷媒配管を介して接続される複数の冷媒配管接続部を有するヒートポンプユニットと、
上記床暖房ユニットの水熱交換器の温度または上記水熱交換器の温度に相当する温度を検出する温度検出手段と、
上記ヒートポンプユニットの冷房サイクル運転において、上記床暖房ユニットの温水回路に配設された循環ポンプを連続または間欠的に動作させた状態で、上記ヒートポンプユニットの上記複数の冷媒配管接続部に夫々対応する複数の電動弁を順次開くことにより、上記温度検出手段により検出された上記水熱交換器の温度に基づいて、上記複数の冷媒配管接続部と上記冷媒配管との接続を判定する冷媒配管接続判定部と
を備えたことを特徴とする。
【0007】
上記構成によれば、床暖房ユニットが冷媒配管を介してヒートポンプユニットの複数の冷媒配管接続部に接続された床暖房システムにおいて、冷媒配管接続判定部は、ヒートポンプユニットの冷房サイクル運転において、床暖房ユニットの温水回路に配設された循環ポンプを連続または間欠的に動作させた状態で、ヒートポンプユニットの複数の冷媒配管接続部に夫々対応する複数の電動弁を順次開いて、温度検出手段により検出された水熱交換器の温度に基づいて、複数の冷媒配管接続部と冷媒配管との接続を判定する。すなわち、開いた電動弁に対応する冷媒配管接続部に接続された水熱交換器に液冷媒が流入して水熱交換器の温度が下がるので、冷媒配管接続判定部は、開いた電動弁に対応する冷媒配管接続部に正しい水熱交換器が接続されているか否かを判定することが可能になる。
【0008】
この冷媒配管接続判定部による判定時に、床暖房ユニットの温水回路に配設された循環ポンプを連続または間欠的に動作させることによって、床暖房ユニットの温水回路を循環する水により熱交換され、液冷媒が流入する水熱交換器の凍結を防止できる。このように、床暖房ユニットの水熱交換器を凍結させることなく、冷房サイクル運転で冷媒配管の誤接続を容易に検出できる。
【0009】
また、一実施形態の床暖房システムでは、
上記温度検出手段は、上記水熱交換器の入口冷媒温度を検出する温度センサである。
【0010】
上記実施形態によれば、水熱交換器の入口冷媒温度を検出する温度センサによって、水熱交換器の温度低下を正確に捉えることができる。
【0011】
また、一実施形態の床暖房システムでは、
上記水熱交換器の冷媒圧力を検出する圧力センサを備えた。
【0012】
ここで、水熱交換器とは、冷房サイクル運転において液冷媒が流入する水熱交換器のことである。
【0013】
上記実施形態によれば、圧力センサにより検出された水熱交換器の冷媒圧力に基づいて、水熱交換器の温度に相当する温度を換算することによって、水熱交換器の温度低下を正確に捉えることができる。
【0014】
また、一実施形態の床暖房システムでは、
上記床暖房ユニットは、上記温水回路に配設された熱動弁を有し、
上記冷媒配管接続判定部による判定時、上記床暖房ユニットの上記熱動弁の少なくとも1つを開いた状態にする熱動弁制御部を備えた。
【0015】
上記実施形態によれば、冷媒配管接続判定部による判定時、熱動弁制御部によって、床暖房ユニットの温水回路に配設された熱動弁の少なくとも1つを開くことによって、温水回路を循環する水により水熱交換器で液冷媒と熱交換され、液冷媒が流入する水熱交換器の凍結を確実に防止できる。
【0016】
また、一実施形態の床暖房システムでは、
上記温度検出手段は、上記床暖房ユニットの往き側の水温を検出する水温センサである。
【0017】
上記実施形態によれば、水温センサにより検出された床暖房ユニットの往き側の水温に基づいて、水熱交換器の温度に相当する温度を換算することによって、水熱交換器の温度低下を間接的に検出することができる。
【0018】
また、一実施形態の床暖房システムでは、
上記温度検出手段により検出された上記水熱交換器の温度が概5℃以下であるとき、上記ヒートポンプユニットの冷房サイクル運転の能力を現在能力よりも低下させるかまたは上記冷房サイクル運転を停止させるヒートポンプユニット制御部を備えた。
【0019】
上記実施形態によれば、温度検出手段により検出された水熱交換器の温度が概5℃以下であるとき、ヒートポンプユニット制御部は、ヒートポンプユニットの冷房サイクル運転の能力を現在能力よりも低下させるかまたは冷房サイクル運転を停止させることによって、水熱交換器が凍結により破損するのを防止できる。
【0020】
また、一実施形態の床暖房システムでは、
上記ヒートポンプユニットの上記複数の冷媒配管接続部に空気調和用の室内ユニットが少なくとも1つ接続されており、
上記冷媒配管接続判定部による判定において、上記ヒートポンプユニットの上記複数の冷媒配管接続部に夫々対応する上記複数の電動弁を開く前に、上記室内ユニットの室内ファンを予め設定された時間運転した後に停止するように、上記室内ファンを制御する室内ファン制御部を備えた。
【0021】
上記実施形態によれば、冷媒配管接続判定部による判定において、ヒートポンプユニットの複数の冷媒配管接続部に夫々対応する複数の電動弁を開く前に、室内ファン制御部により室内ファンを制御して、室内ユニットの室内ファンを予め設定された時間運転した後に停止することによって、冷媒配管の接続判定を開始するときに室内熱交換器内の液冷媒溜まりがあっても、室内ファンを運転することで室内空気との熱交換により液冷媒溜まりを解消して、室内熱交換器の温度を室内温度と同等にでき、液冷媒溜りにより室内熱交換器の温度検出が正確にできなくなるのを防止できる。
【0022】
また、一実施形態の床暖房システムでは、
上記熱動弁制御部は、上記冷媒配管接続判定部による判定時、上記ヒートポンプユニットの冷房サイクル運転前に上記熱動弁を開き、
上記冷媒配管接続判定部は、上記熱動弁を開いた状態で上記循環ポンプを動作させて、上記循環ポンプの動作から予め設定された時間経過した後に上記ヒートポンプユニットの冷房サイクル運転を開始する。
【0023】
上記実施形態によれば、冷媒配管接続判定部による判定時に、熱動弁制御部は、ヒートポンプユニットの冷房サイクル運転前に熱動弁を開き、冷媒配管接続判定部は、熱動弁を開いた状態で循環ポンプを動作させて、循環ポンプの動作から予め設定された時間経過した後にヒートポンプユニットの冷房サイクル運転を開始するので、熱動弁が通電から例えば1〜2分開状態になるのが遅れて閉じた状態であるときに、ヒートポンプユニットの冷房サイクル運転を行わないようにでき、水熱交換器の凍結を確実に防止できる。
【発明の効果】
【0024】
以上より明らかなように、この発明の床暖房システムによれば、床暖房ユニットの水熱交換器を凍結させることなく、冷房サイクル運転で冷媒配管の誤接続を容易に検出できる床暖房システムを実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【図1】図1はこの発明の実施の一形態の床暖房システムの構成図である。
【図2】図2は上記床暖房システムの冷媒配管接続判定時のタイミング図である。
【図3】図3は上記床暖房システムの制御装置の冷媒配管接続判定動作を説明するためのフローチャートである。
【図4】図4は図3に続くフローチャートである。
【図5】図5は図4に続くフローチャートである。
【図6】図6は図5に続くフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0026】
以下、この発明の床暖房システムを図示の実施の形態により詳細に説明する。
【0027】
図1はこの発明の実施の一形態の床暖房システムの構成図を示している。この実施の一形態の床暖房システムは、図1に示すように、室内熱交換器4Aと室内ファン5Aを有する室内ユニットAと、室内熱交換器4Bと室内ファン5Bを有する室内ユニットBと、室内ユニットA,Bに冷媒配管を介して接続された室外ユニット100と、室外ユニット100に冷媒配管を介して接続された水熱交換器21を有する床暖房ユニット200と、床暖房ユニット200に接続された床暖房パネル300,400を備えている。
【0028】
図1において、1は圧縮機、2は上記圧縮機1の吐出側に一端が接続された四路弁、3は上記四路弁2の他端に一端が接続された室外熱交換器、EVA,EVB,EVCは上記室外熱交換器3の他端に一端が夫々接続された電動弁、4A,4Bは上記電動弁EVA,EVBの他端に一端が夫々接続された室内熱交換器、6は上記室内熱交換器4A,4Bの他端に四路弁2を介して一端が接続され、他端が圧縮機1の吸入側に接続されたアキュムレータである。上記室内熱交換器4A,4B近傍に室内ファン5A,5Bを夫々配置している。
【0029】
また、電動弁EVA,EVB,EVCの他端に複数の冷媒配管接続部7A,7Bが接続され、その複数の冷媒配管接続部に連絡配管(冷媒配管)を介して室内熱交換器4A,4Bの一端を夫々接続している。また、室内熱交換器4A,4Bの他端に連絡配管(冷媒配管)を介して複数の冷媒配管接続部8A,8Bが接続されている。
【0030】
上記圧縮機1と四路弁2と室外熱交換器3と電動弁EVA,EVB,EVCと室内熱交換器4A,4Bと床暖房ユニット200の水熱交換器21およびアキュムレータ6で冷媒回路を構成している。
【0031】
また、上記圧縮機1の吐出側に吐出管温度センサ11を設けている。また、上記室外熱交換器3に室外熱交換器温度を検出する室外熱交換器温度センサ12を設けると共に、室外熱交換器3の近傍に室外温度を検出する室外温度センサ13を設けている。また、電動弁EVAと冷媒配管接続部7Aとを接続する冷媒配管に温度センサ14Aを設け、電動弁EVBと冷媒配管接続部7Bとを接続する冷媒配管に温度センサ14Bを設け、電動弁EVCと冷媒配管接続部7Cとを接続する冷媒配管に温度センサ14Cを設けている。また、四路弁2と冷媒配管接続部8Aとを接続する冷媒配管に温度センサ17Aを設け、四路弁2と冷媒配管接続部8Bとを接続する冷媒配管に温度センサ17Bを設け、四路弁2と冷媒配管接続部8Cとを接続する冷媒配管に温度センサ17Cを設けている。
【0032】
また、室内熱交換器4Aに室内熱交換器温度を検出する室内熱交換器温度センサ15Aを設け、室内熱交換器4Aの近傍に室内温度を検出する室内温度センサ16Aを設けている。また、室内熱交換器4Bに室内熱交換器温度を検出する室内熱交換器温度センサ15Bを設け、室内熱交換器4Bの近傍に室内温度を検出する室内温度センサ16Bを設けている。
【0033】
上記床暖房ユニット200は、室外ユニット100に連絡配管(冷媒配管)を介して一次側に接続されたプレート式の水熱交換器21と、上記水熱交換器21の二次側往き口に一端が接続された正負圧弁付膨張タンク22と、上記正負圧弁付膨張タンク22の他端に一端が接続された循環ポンプ23と、上記循環ポンプ23の他端に入口側が接続された往きヘッダ24と、上記往きヘッダ24の4つの往き配管接続口に一端が夫々接続された熱動弁V1〜V4と、上記水熱交換器21の二次側戻り口に出口側が接続され、4つの戻り配管接続口が設けられた戻りヘッダ25とを備えている。
【0034】
また、冷媒配管接続部7Cと水熱交換器21の一端とを接続する冷媒配管に圧力センサ31を配設している。また、冷媒配管接続部8Cと水熱交換器21の他端とを接続する冷媒配管かつ水熱交換器21近傍に、温度センサ32を設けている。また、正負圧弁付膨張タンク22と循環ポンプ23とを接続する往き配管に往き水温を検出する往き水温センサ33を設け、戻りヘッダ25と水熱交換器21の二次側戻り口とを接続する戻り配管に戻り水温を検出する戻り水温センサ34を設けている。
【0035】
さらに、熱動弁V1の他端に床暖房パネル300の一端が接続され、床暖房パネル300の他端が戻りヘッダ25に接続されている。また、熱動弁V2の他端に床暖房パネル400の一端が接続され、床暖房パネル400の他端が戻りヘッダ25に接続されている。この実施の形態では、2つの床暖房パネル300,400を床暖房ユニット200に接続したが、これに限らず、床暖房ユニットに接続される床暖房パネルは、1または3以上でもよい。
【0036】
上記室外ユニット100は、マイクロコンピュータと入出力回路などからなる制御装置18を備えている。上記制御装置18は、冷媒配管接続判定部18aと、ヒートポンプユニット制御部の一例としての運転制御部18bと、室内ファン制御部18cと、熱動弁制御部18dとを有する。また、室内機A,Bおよび床暖房ユニット200は、図示しない制御部を夫々備えており、室内機A,Bおよび床暖房ユニット200の各制御部は、室外ユニット100の制御装置18と通信線(図示せず)を介して互いに通信を行うことにより、床暖房システム全体として動作する。
【0037】
上記構成の床暖房システムによれば、室内機A,Bで暖房運転を行う場合、四路弁2を実線の位置に切り換えて、圧縮機1の運転を開始する。そして、電動弁EVA,EVBを夫々所定の開度に開く。そして、圧縮機1から吐出した高温高圧のガス冷媒は、室内ファン5A,5Bを運転することにより室内熱交換器4A,4Bで室内空気との熱交換により凝縮して液冷媒となる。次に、室内熱交換器4A,4Bからの液冷媒は、電動弁EVA,EVBで減圧された後、室外熱交換器3で図示しない室外ファンを運転することにより室外空気との熱交換により蒸発してガス冷媒となり、圧縮機1の吸入側に戻る。
【0038】
また、室内機A,Bで暖房運転と同時に床暖房パネル300,400で床暖房運転を行う場合、運転開始時に電動弁EVCも所定の開度に開くと共に、循環ポンプ23の運転を開始すると共に、熱動弁V1,V2を開く。それにより、床暖房ユニット200の温水回路と床暖房パネル300,400を介して水が循環する。そして、圧縮機1から吐出した高温高圧のガス冷媒は、水熱交換器21で二次側を流れる水と熱交換されることにより凝縮して液冷媒となる。次に、水熱交換器21の一次側からの液冷媒は、電動弁EVCで減圧された後、室外熱交換器3で室外空気との熱交換により蒸発してガス冷媒となり、圧縮機1の吸入側に戻る。
【0039】
ここで、室内機A,Bで暖房運転をせずに床暖房パネル300,400で床暖房運転のみを行ってもよい。
【0040】
次に、この実施の形態の床暖房システムにおいて、室外ユニット100の冷媒配管接続部7A,7B,8A,8Bと室内ユニットA,Bとの冷媒配管の接続、および、室外ユニット100の冷媒配管接続部7C,8Cと床暖房ユニット200との接続を判定する冷媒配管接続判定動作について説明する。
【0041】
図2は上記床暖房システムの冷媒配管接続判定時のタイミング図を示している。図2に示すように、制御装置18(図1に示す)の熱動弁制御部18dによって、まず、熱動弁V1,V2を開くと共に、循環ポンプ23の運転を開始する(図2(E),(F))。次に、所定時間経過後に、冷媒配管接続判定部18aによって、四路弁2を点線の位置に切り換えて、圧縮機1の運転を開始して冷房サイクル運転を始める(図2(A))。さらに、室内機Aの室内ファン5Aと室内機Bの室内ファン5Bを所定時間運転する(図2(G),(H))。そして、室内ファン5A,5Bを所定時間運転した後、電動弁EVAを開いて、室内熱交換器温度センサ15Aにより室内熱交換器4Aの温度を検出することで、室内熱交換器4Aの温度が低下したか否かを判定する。
【0042】
次に、電動弁EVAを閉じて、再び室内ファン5A,5Bを所定時間運転する(図2(G),(H))。そして、室内ファン5A,5Bを所定時間運転した後、電動弁EVBを開いて、室内熱交換器温度センサ15Bにより室内熱交換器4Bの温度を検出することで、室内熱交換器4Bの温度が低下したか否かを判定する。
【0043】
次に、電動弁EVBを閉じて、再び室内ファン5A,5Bを所定時間運転する(図2(G),(H))。そして、室内ファン5A,5Bを所定時間運転した後、電動弁EVCを開いて、温度センサ32により水熱交換器21に流入する液冷媒の温度を検出することで水熱交換器21の温度が低下したか否かを判定する。
【0044】
最後に、電動弁EVCを閉じて、圧縮機1を停止して冷房サイクル運転を終了し、循環ポンプ23の運転を停止すると共に、熱動弁V1,V2を閉じる(図2(E),(F))。
【0045】
次に、上記床暖房システムの制御装置18の冷媒配管接続判定動作を図3〜図6のフローチャートに従って説明する。なお、この図3〜図6のフローチャートでは、室外ユニット100の冷媒配管接続部7A,7B,8A,8Bに室内ユニットA,Bを冷媒配管介して接続し、室外ユニット100の冷媒配管接続部7C,8Cに床暖房ユニット200を冷媒配管介して接続した構成の床暖房システムについて説明するが、室外ユニットの冷媒配管接続部に室内ユニットおよび床暖房ユニットの接続構成に応じて冷媒配管接続判定動作の処理が行われる。
【0046】
まず、冷媒配管接続判定動作の処理がスタートすると、図3に示すステップS1で、熱動弁V1,V2を開く。
【0047】
次に、ステップS2に進み、床暖房ユニット200(図1に示す)の循環ポンプ23の運転を開始する。
【0048】
そして、ステップS3で所定時間(例えば1分〜2分)経過したと判定すると、ステップS4に進む。
【0049】
次に、ステップS4で冷房サイクル運転を開始する。
【0050】
次に、ステップS5に進み、室内機A(図3では「A」に示す)の室内ファン5Aの運転を開始し、ステップS6に進み、室内機B(図3では「B」に示す)の室内ファン5Bの運転を開始する。
【0051】
そして、ステップS7で一定時間経過したと判定すると、ステップS8に進み、室内機Aの室内ファン5Aの運転を停止し、ステップS9に進み、室内機Bの室内ファン5Bの運転を停止する。
【0052】
次に、図4に示すステップS11で室内機A(図3では「A」に示す)に対応する電動弁EVAを開く。
【0053】
次に、ステップS12に進み、室内熱交換器温度センサ15Aにより検出された室内熱交換器4Aの温度tAが基準温度T1以下であると判定すると、図5に示すステップS21に進む。この実施の形態では、室内熱交換器4Aの温度tAと基準温度T1とを比較したが、室内熱交換器4Aの温度tAに対して温度低下の変化量または温度低下の勾配などにより判定してもよい。
【0054】
一方、ステップS12で室内熱交換器温度センサ15Aにより検出された室内熱交換器4Aの温度tAが基準温度T1よりも高いと判定すると、ステップS13に進む。
【0055】
次に、ステップS13で所定時間経過したと判定すると、ステップS14に進む一方、所定時間経過していないと判定すると、ステップS12に戻る。
【0056】
そして、ステップS14では、冷媒配管接続判定部18aは、冷媒配管接続部7A,8Aに接続されるべき室内機A(図3では「A」に示す)の冷媒配管の誤接続であると検知し、ステップS15に進み、電動弁EVAを閉じて、ステップS16に進み、循環ポンプ23を停止し、ステップS17に進み、熱動弁V1,V2を閉じる。
【0057】
次に、ステップS18に進み、圧縮機1の運転を止めて冷房サイクル運転を停止した後、この処理を終了する。
【0058】
次に、図5に示すステップS21では、室内機A(図3では「A」に示す)の室内ファン5Aの運転を開始し、ステップS22に進み、室内機B(図3では「B」に示す)の室内ファン5Bの運転を開始する。
【0059】
そして、ステップS23で一定時間経過したと判定すると、ステップS24に進み、室内機Aの室内ファン5Aの運転を停止し、ステップS25に進み、室内機Bの室内ファン5Bの運転を停止する。
【0060】
次に、ステップS26で室内機B(図3では「B」に示す)に対応する電動弁EVBを開く。
【0061】
次に、ステップS27に進み、室内熱交換器温度センサ15Bにより検出された室内熱交換器4Bの温度tBが基準温度T1以下であると判定すると、図6に示すステップS31に進む。
【0062】
一方、ステップS27で室内熱交換器温度センサ15Bにより検出された室内熱交換器4Bの温度tBが基準温度T1よりも高いと判定すると、ステップS28に進む。
【0063】
次に、ステップS28で所定時間経過したと判定すると、ステップS29に進む一方、所定時間経過していないと判定すると、ステップS27に戻る。
【0064】
そして、ステップS29では、冷媒配管接続部7B,8Bに接続されるべき室内機B(図3では「B」に示す)の冷媒配管の誤接続であると検知し、図4に示すステップS16に進む。
【0065】
次に、図6に示すステップS31では、室内機A(図3では「A」に示す)の室内ファン5Aの運転を開始し、ステップS32に進み、室内機B(図3では「B」に示す)の室内ファン5Bの運転を開始する。
【0066】
そして、ステップS33で一定時間経過したと判定すると、ステップS34に進み、室内機Aの室内ファン5Aの運転を停止し、ステップS35に進み、室内機Bの室内ファン5Bの運転を停止する。
【0067】
次に、ステップS36で床暖房ユニット200(図3では「C」に示す)に対応する電動弁EVCを開く。
【0068】
次に、ステップS37に進み、温度センサ32により検出された水熱交換器21に流入する液冷媒の温度tcが基準温度T2以下であると判定すると、ステップS40に進み、電動弁EVCを閉じて、図4に示すステップS16に進む。この実施の形態では、水熱交換器21に流入する液冷媒の温度tcと基準温度T2とを比較したが、水熱交換器21に流入する液冷媒の温度tcに対して温度低下の変化量または温度低下の勾配などにより判定してもよい。
【0069】
一方、ステップS37で温度センサ32により検出された水熱交換器21に流入する液冷媒の温度tcが基準温度T2よりも高いと判定すると、ステップS38に進む。
【0070】
次に、ステップS38で所定時間経過したと判定すると、ステップS39に進む一方、所定時間経過していないと判定すると、ステップS37に戻る。
【0071】
そして、ステップS39では、冷媒配管接続部7C,8Cに接続されるべき床暖房ユニット200(図3では「C」に示す)の冷媒配管の誤接続であると検知し、図4に示すステップS16に進む。
【0072】
なお、図3〜図6のフローチャートでは示されていないが、制御装置18の冷媒配管接続判定動作における冷媒サイクル運転中、運転制御部18b(ヒートポンプユニット制御部)は、温度センサ32により検出された水熱交換器21に流入する液冷媒の温度に基づいて水熱交換器21の温度に相当する温度を換算して、その換算された水熱交換器21の温度が5℃以下であるか否かを判定する。そして、運転制御部18b(ヒートポンプユニット制御部)は、水熱交換器21の温度が概5℃以下であると判定すると、室外ユニット100の冷房サイクル運転の能力を現在能力よりも低下させるかまたは冷房サイクル運転を停止させる。これにより、水熱交換器21が凍結により破損するのを防止できる。なお、運転制御部18b(ヒートポンプユニット制御部)は、往き水温センサ33により検出された床暖房ユニット200の往き側の水温、または、圧力センサ31により検出された水熱交換器21の出口側の冷媒圧力に基づいて、水熱交換器21の温度に相当する温度を換算して、換算された水熱交換器21の温度が概5℃以下であるか否かを判定してもよい。
【0073】
このようにして、上記構成の床暖房システムによれば、室内ユニットA,Bと床暖房ユニット200が冷媒配管を介して室外ユニット100(ヒートポンプユニット)の複数の冷媒配管接続部7A,7B,7C,8A,8B,8Cに接続されている場合、冷媒配管接続判定部18aは、室外ユニット100の冷房サイクル運転において、床暖房ユニット200の温水回路に配設された循環ポンプ23を連続に動作させた状態で、室外ユニット100の複数の冷媒配管接続部7A,7B,7C,8A,8B,8Cに夫々対応する複数の電動弁EVA,EVB,EVCを順次開いて、室内熱交換器温度センサ15A,15Bにより検出された室内熱交換器4A,4Bの温度および温度センサ32により検出された水熱交換器21に流入する液冷媒の温度に基づいて、複数の冷媒配管接続部7A,7B,7C,8A,8B,8Cと冷媒配管との接続を判定する。すなわち、電動弁EVA,EVB,EVCのうちの開いた1つの電動弁に対応する冷媒配管接続部(7A,7B,7C,8A,8B,8C)に接続された室内熱交換器4A,4Bまたは水熱交換器21に液冷媒が流入して室内熱交換器4A,4Bまたは水熱交換器21の温度が下がるので、冷媒配管接続判定部18aは、開いた電動弁に対応する冷媒配管接続部に正しい室内熱交換器4A,4Bまたは水熱交換器21が接続されているか否かを判定することが可能になる。この冷媒配管接続判定部18aによる判定時に、床暖房ユニット200の温水回路に配設された循環ポンプ23を連続に動作させることによって、床暖房ユニット200の温水回路を循環する水により熱交換され、液冷媒が流入する水熱交換器21の凍結を防止することができる。このように、床暖房ユニット200の水熱交換器21を凍結させることなく、冷房サイクル運転で冷媒配管の誤接続を容易に検出することができる。
【0074】
なお、上記冷媒配管接続判定部18aによる判定時に、床暖房ユニット200の温水回路に配設された循環ポンプ23を間欠的に動作させて、水熱交換器21の凍結を防止してもよい。
【0075】
また、この発明の床暖房システムは、床暖房ユニット200のみが冷媒配管を介して室外ユニット100の複数の冷媒配管接続部7A,7B,7C,8A,8B,8Cに接続されていてもよい。この場合、冷媒配管接続判定部18aは、室外ユニット100の冷房サイクル運転において、床暖房ユニット200の温水回路に配設された循環ポンプ23を連続または間欠的に動作させた状態で、室外ユニット100の複数の冷媒配管接続部7A,7B,7C,8A,8B,8Cに夫々対応する複数の電動弁EVA,EVB,EVCを順次開いて、温度センサ32により検出された水熱交換器21の温度に基づいて、複数の冷媒配管接続部7A,7B,7C,8A,8B,8Cと冷媒配管との接続を判定する。すなわち、電動弁EVA,EVB,EVCのうちの開いた1つの電動弁に対応する冷媒配管接続部(7A,7B,7C,8A,8B,8C)に接続された水熱交換器21に液冷媒が流入して水熱交換器21の温度が下がるので、冷媒配管接続判定部18aは、冷媒配管接続部7A,7B,7C,8A,8B,8Cに正しい水熱交換器21が接続されているか否かを判定することが可能になる。
【0076】
また、上記水熱交換器21の入口冷媒温度を検出する温度センサ32によって、水熱交換器21の温度低下を正確に捉えることができる。
【0077】
また、上記圧力センサ31により検出された水熱交換器21の冷媒圧力に基づいて、水熱交換器21の温度に相当する温度を換算することができ、これにより水熱交換器21の温度低下を正確に捉えることができる。
【0078】
また、上記冷媒配管接続判定部18aによる判定時、床暖房ユニット200の温水回路に配設された熱動弁V1〜V4の少なくとも1つを開くことによって、温水回路を循環する水により水熱交換器21で液冷媒と熱交換され、液冷媒が流入する水熱交換器21の凍結を確実に防止できる。
【0079】
なお、上記往き水温センサ33により検出された床暖房ユニット200の往き側の水温に基づいて、水熱交換器21の温度に相当する温度を換算することができ、水熱交換器21の温度低下を間接的に検出してもよい。
【0080】
また、上記冷媒配管接続判定部18aによる判定において、室外ユニット100の複数の冷媒配管接続部7A,7B,7C,8A,8B,8Cに夫々対応する複数の電動弁EVA,EVB,EVCを開く前に、室内ファン制御部18cにより室内ファン5A,5Bを制御して、室内ユニットA,Bの室内ファン5A,5Bを一定時間運転した後に停止することによって、冷媒配管の接続判定を開始するときに室内熱交換器4A,4B内の液冷媒溜まりがあっても、室内ファン5A,5Bを運転することで室内空気との熱交換により液冷媒溜まりを解消して、室内熱交換器4A,4Bの温度を室内温度と同等にでき、液冷媒溜りにより室内熱交換器4A,4Bの温度検出が正確にできなくなるのを防止できる。
【0081】
また、上記冷媒配管接続判定部18aによる判定時に、熱動弁制御部18dは、室外ユニット100(ヒートポンプユニット)の冷房サイクル運転前に熱動弁V1,V2を開き、冷媒配管接続判定部18aは、熱動弁V1,V2を開いた状態で循環ポンプを動作させて、循環ポンプ23の動作から所定時間経過したときに室外ユニット100の冷房サイクル運転を開始するので、熱動弁V1,V2が通電から例えば1〜2分開状態になるのが遅れて閉じた状態であるときに、室外ユニット100の冷房サイクル運転を行わないようにでき、水熱交換器の凍結を確実に防止することができる。
【0082】
上記実施の形態では、プレート式の水熱交換器21に限らず、2重管式の水熱交換器でもよい。
【0083】
また、上記実施の形態では、プレート式の水熱交換器21に流入する液冷媒の温度を検出する温度センサ32を用いて、床暖房ユニット200の冷媒配管の接続を判定したが、この温度センサ32に限らず、水熱交換器自体の温度を検出する温度センサでもよい。
【0084】
この発明の具体的な実施の形態について説明したが、この発明は上記実施の形態に限定されるものではなく、この発明の範囲内で種々変更して実施することができる。
【符号の説明】
【0085】
1…圧縮機
2…四路弁
3…室外熱交換器
4A,4B…室内熱交換器
5A,5B…室内ファン
7A,7B,7C,8A,8B,8C…冷媒配管接続部
8…アキュムレータ
11…吐出管温度センサ
12…室外熱交換器温度センサ
13…室外温度センサ
14A,14B,14C…温度センサ
15A,15B…室内熱交換器温度センサ
16A,16B…室内温度センサ
17A,17B,17C…温度センサ
18…制御装置
18a…冷媒配管接続判定部
18b…運転制御部
18c…室内ファン制御部
18d…熱動弁制御部
21…水熱交換器
22…正負圧弁付膨張タンク
23…循環ポンプ
24…往きヘッダ
25…戻りヘッダ
31…圧力センサ
32…温度センサ
100…室外ユニット
200…暖房ユニット
300,400…床暖房パネル
EVA,EVB,EVC…電動弁
V1〜V4…熱動弁

【特許請求の範囲】
【請求項1】
床暖房ユニット(200)と、
上記床暖房ユニット(200)が冷媒配管を介して接続される複数の冷媒配管接続部(7A,7B,7C,8A,8B,8C)を有するヒートポンプユニット(100)と、
上記床暖房ユニット(200)の水熱交換器(21)の温度または上記水熱交換器(21)の温度に相当する温度を検出する温度検出手段と、
上記ヒートポンプユニット(100)の冷房サイクル運転において、上記床暖房ユニット(200)の温水回路に配設された循環ポンプ(23)を連続または間欠的に動作させた状態で、上記ヒートポンプユニット(100)の上記複数の冷媒配管接続部(7A,7B,7C,8A,8B,8C)に夫々対応する複数の電動弁(EVA,EVB,EVC)を順次開くことにより、上記温度検出手段により検出された上記水熱交換器(21)の温度に基づいて、上記複数の冷媒配管接続部(7A,7B,7C,8A,8B,8C)と上記冷媒配管との接続を判定する冷媒配管接続判定部(18a)と
を備えたことを特徴とする床暖房システム。
【請求項2】
請求項1に記載の床暖房システムにおいて、
上記温度検出手段は、上記水熱交換器(21)の入口冷媒温度を検出する温度センサ(32)であることを特徴とする床暖房システム。
【請求項3】
請求項1または2に記載の床暖房システムにおいて、
上記水熱交換器(21)の冷媒圧力を検出する圧力センサ(31)を備えたことを特徴とする床暖房システム。
【請求項4】
請求項1から3までのいずれか1つに記載の床暖房システムにおいて、
上記床暖房ユニット(200)は、上記温水回路に配設された熱動弁(V1〜V4)を有し、
上記冷媒配管接続判定部(18a)による判定時、上記床暖房ユニット(200)の上記熱動弁(V1〜V4)の少なくとも1つを開いた状態にする熱動弁制御部(18d)を備えたことを特徴とする床暖房システム。
【請求項5】
請求項1から4までのいずれか1つに記載の床暖房システムにおいて、
上記温度検出手段は、上記床暖房ユニット(200)の往き側の水温を検出する水温センサ(33)であることを特徴とする床暖房システム。
【請求項6】
請求項1から5までのいずれか1つに記載の床暖房システムにおいて、
上記温度検出手段により検出された上記水熱交換器(21)の温度が概5℃以下であるとき、上記ヒートポンプユニット(100)の冷房サイクル運転の能力を現在能力よりも低下させるかまたは上記冷房サイクル運転を停止させるヒートポンプユニット制御部(18b)を備えたことを特徴とする床暖房システム。
【請求項7】
請求項1から6までのいずれか1つに記載の床暖房システムにおいて、
上記ヒートポンプユニット(100)の上記複数の冷媒配管接続部(7A,7B,7C,8A,8B,8C)に空気調和用の室内ユニット(A,B)が少なくとも1つ接続されており、
上記冷媒配管接続判定部(18a)による判定において、上記ヒートポンプユニット(100)の上記複数の冷媒配管接続部(7A,7B,7C,8A,8B,8C)に夫々対応する上記複数の電動弁(EVA,EVB,EVC)を開く前に、上記室内ユニット(A,B)の室内ファン(5A,5B)を予め設定された時間運転した後に停止するように、上記室内ファン(5A,5B)を制御する室内ファン制御部(18c)を備えたことを特徴とする床暖房システム。
【請求項8】
請求項4に記載の床暖房システムにおいて、
上記熱動弁制御部(18d)は、上記冷媒配管接続判定部(18a)による判定時、上記ヒートポンプユニット(100)の冷房サイクル運転前に上記熱動弁(V1〜V4)を開き、
上記冷媒配管接続判定部(18a)は、上記熱動弁(V1〜V4)を開いた状態で上記循環ポンプ(23)を動作させて、上記循環ポンプ(23)の動作から予め設定された時間経過した後に上記ヒートポンプユニット(100)の冷房サイクル運転を開始することを特徴とする床暖房システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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