説明

床材用又は家具、壁などの表面仕上げ用化粧紙及び/又は化粧板の製造方法及び製造装置

床材用又は家具、壁、仕上げホイル、ろ紙、又は低圧及び高圧での使用などのためのクラフト紙の表面仕上げ用の化粧紙及び/又は化粧板を製造するための方法。この方法において、実質的に乾燥した固体組成物を粉末形態で調製し、粉末形態のアミノプラスト(アミノ樹脂)及び/又はフェノプラスト(フェノール樹脂)、及び/又は混合物を含有するポリマー成分を有し、それ自体で及び/又は添加剤と混合して使用され;次いで組成物を乾燥状態で粉末形態にて支持体に塗布し、組成物を溶融させて支持体上にコーティングポリマー層を形成させるために、支持体に堆積させた後に加熱する;代わりに組成物を最初に加熱して先に溶融させ、次いで流体の形態で支持体に塗布してもよい。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、床材用又は家具、壁、仕上げホイル、ろ紙、クラフト紙などの表面仕上げ用の化粧紙及び/又は化粧板を、粉末アミノプラスト及び/又はフェノプラスト及び/又はそれら自体の混合物及び/又は添加剤との混合物を用いて製造するための方法及び装置に関する。
【0002】
特に本発明は、高圧及び低圧のための化粧紙、仕上げホイル、クラフト紙、これらの製品を含むパネル、並びにしっくい製の、又は壁若しくは吊り天井のための他の材料から作製されたパネル、及びろ紙の製造に関する。
【背景技術】
【0003】
知られている通り、床材用、又は家具、壁などの表面仕上げ用のパネルを製造するための化粧紙は、一般に印刷紙及び/又はカラー紙から得られ、これらをポリマー樹脂(典型的にはメラミン樹脂)又は樹脂及び他の化合物の混合物の溶液中に含浸させる。含浸及び乾燥後、次いで通常はコランダム及び/又はガラスミクロスフィアなどの顆粒物質を含有するポリマー樹脂の混合物で紙をコーティングし、これらを再び乾燥させ、場合によって他の保護組成物及び/又は仕上げ組成物でさらにコーティングし、再び乾燥させる。したがってこれにより調製された紙を、主にシート状に裁断して使用し、樹脂合板の木質又はMDFパネルに押しつけるか、あるいは家具分野のためのパネル、又は床材分野のための厚板、又は壁の表面仕上げ分野のためのパネルなどを得るために、フェノール紙と合わせる。この説明の目的において、用語「重合」及び「ポリマー」は、それぞれ「重縮合」及び「重縮合物」も含むものとする。
【0004】
現在の製造システムは、主に巻出し機、含浸浴、乾燥機、第一のスプレッダー、オーブン、第二のスプレッダー、別のオーブン、場合により第三のスプレッダー及び対応するオーブン、冷却ユニット、巻取り機、及び/又は裁断機、及び紙積載ユニットからできた長いラインを使用する。
【0005】
したがってこれらのラインは非常に長く、エネルギー消費を考慮する限り高価であり、それらは多量の開始時及び停止時のスクラップを生じさせ、進行中の製造を停止させることの困難さを示している。
【0006】
床材用又は家具、壁、床などの表面仕上げ用パネルを製造するためのより最近の技術、いわゆるダイレクトプリントは、所望の絵柄を既製品パネル上に直接印刷するため、化粧紙の使用を避ける。適切に処理され調製された(特に、天井表面の多孔質化処理によって、及び場合により均一な背景色を与えるため)パネルを、ラインに沿って着色/装飾(間接的な単色又は多色グラビア印刷システムによって、又はデジタル印刷機によって)及び乾燥させることにより、保護性及び表面硬さを付与するためのUV又はIRポリマーの最終コーティングの後、すぐに使える製品が得られる。
【0007】
支持体の含浸及びコーティング、及びそれに続くプレス加工に基づく従来の方法に関しては確かにより単純であるが、この技術では、表面の耐摩耗性及び耐引っ掻き性を高める成分を、このように調製された表面上に塗布することができず、既にあらかじめ構造化された表面を用いずに、構造化された表面(すなわち木目、石の表面プロファイルなどの再生)を得ることもできない。しかし、その後表面上に最終的な色/絵柄をデジタル印刷技術によって印刷することだけはでき、このことは生産速度が低く品質が完全に満足できるものではないことを示唆する。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明の目的は、本明細書に記載される既知の技術の欠点がない、床材用又は家具、壁、仕上げホイルなどの表面仕上げ用化粧紙及び/又は化粧板の製造方法及び製造装置を提供することである。
【0009】
したがって本発明は、本質的な表現では添付の請求項1及び11それぞれにおいて、それらの好ましい態様に関する限りは従属請求項において規定されるように、床材用又は家具、壁などの表面仕上げ用化粧紙及び/又は化粧板の製造方法及び製造装置に関する。
【課題を解決するための手段】
【0010】
実質的には、本発明によれば、含浸浴及び水又は溶媒のコーティング組成物による従来の含浸及びコーティング技術を用いる代わりに、固体粒子の形態、実質的に粉末の処理組成物を用いることによって、支持体(未処理、前処理済み、又は予備含浸済みの、化粧紙の紙支持体、又は木質繊維支持体、又はプレス準備済みパネル若しくは積層パネル、又はしっくいパネルなどであってもよい)を処理する。
【0011】
具体的にはこの組成物は、粉末形態のアミノプラスト(アミノ樹脂、具体的には尿素樹脂又はメラミン樹脂)及び/又はフェノプラスト(フェノール樹脂)を含有するポリマー成分を有し、それ自体で及び/又は添加剤と混合して使用される実質的に乾燥した固体組成物であり、例えば従来の脱水樹脂に由来する。これは、粉末材料内で化学的に又は強く物理的に結合したいくらかの水を含有する組成物を除外しない。しかし、粉末材料は注入可能であることが必須である。
【0012】
組成物の少なくとも部分的な溶融物は、例えばアミノ樹脂を溶融させることによってすでに得ることができる。
【0013】
より具体的には組成物は次を含む:特にアミノプラスト、フェノプラスト、及びそれらの混合物からなる群から選択される、一つ又は複数の重縮合熱硬化性樹脂;重合又は架橋を触媒するための一つ又は複数の適切な触媒(やはり顆粒又は粉末形態である)、例えば有機酸、又は強酸プラス弱塩基から誘導された一つの塩;任意に、実施する処理の種類に応じて、コランダム、ガラスミクロスフィア、又はセラミックミクロスフィア、α−セルロースなどの他の粒状物質;任意に、ポリマー組成物のための他の添加剤、有機及び/又は無機の電荷及びフィラー、及び/又は鉱物類;任意に、小片、顆粒、繊維などの形態の、反射材料、グリッター材料、金属光沢材料などの装飾材料を含有する。
【0014】
変形形態によれば組成物は、粉末形態のポリマー成分の代わりに又はそれに加えて、反応(縮合)して少なくとも一つのポリマー樹脂を生成するのに適した、粉末形態の反応物の混合物を含有する。具体的には組成物は、メラミン、尿素、フェノール、ホルムアルデヒドなどの、アミノプラスト及び/又はフェノプラストの前駆体である粉末形態の反応物の混合物を含有する。これらの化合物の誘導体、例えばフェノラート又はパラホルムアルデヒドもまた、自由流動性粉末を得るのに有用である。
【0015】
樹脂及び/又は粉末の反応物は、粒度分布が約1000μm未満、好ましくは約0.1μm〜約500μmの範囲である。
【0016】
適切な粉末は、例えば成分の水溶液から、噴霧乾燥などの既知の方法によって製造することができる。適切な水溶液は当技術分野で既知の方法によって調製することができ、それらの一部、例えばフェノール、尿素、又はメラミンとホルムアルデヒドとのプレポリマー又は予備縮合物を含有する溶液は市場から入手可能である。個々の成分の粉末を別々に提供し、これらの粉末を支持体へ塗布する前に組成物調製ユニット中で混合することが可能である。特定の成分の水溶液が相溶性であり、かつ、相互に反応しない限り、これらを事前に混合することができ、その混合物は乾燥粉末の調製に使用できる。
【0017】
第一の好ましい実施形態によれば、処理すべき支持体上へ組成物を乾燥状態で直接塗布し、そこで該組成物は加熱により溶融される。一方、変形形態は、固体粒子形態の組成物は溶融されて、その溶融した形態で適切な塗工装置(例えば、必ずしも限定されないが、フラットヘッド、ローラーシステム、ブレードシステムなど)によって支持体上に塗布される。
【0018】
第一の実施形態において、組成物の塗工は、必要量の粉末を正確に制御された分配によって支持体上へ直接塗り伸ばす粉末計量添加装置(doser)を用いて行われる。粉末材料は支持体上へ堆積された後に、少なくとも部分的に溶融され、それ故その表面へ固定されるので、支持体表面を液体(例えば接着剤)で前処理する必要がない。
【0019】
粉末組成物の塗工は、高い確度が要求される場合には二段階計量添加(前計量添加及び精密計量添加)によって、又は単純に一回の計量添加段階によって行われる。
【0020】
可変量の粉末組成物は、最終製品及びその機械的及び物理化学的特性に応じて、また特に表面摩耗、明るさ、引っ掻き耐性の特性にも関して、約1〜約200g/mの範囲の様々な塗布量で使用される。
【0021】
その上に粉末組成物が堆積された支持体は、続いて、例えばIRランプ、マイクロ波システムを使って、制御された火力、又は他の適切な加熱システムのいずれかによる加熱工程を経る(しかしながら、堆積された粉末が吹き飛ばされるため、熱風を直接支持体に吹き付けないことは明らかである)。
【0022】
好ましくは、加熱は約50〜約200℃の範囲の温度で行われる。
【0023】
加熱は、支持体上での、樹脂の溶融、及びポリマー層を形成するのに必要な架橋反応及び/又は重合反応、存在する可能性のある添加剤の取り込みを決定する。
【0024】
可能な冷却工程後には、支持体は次の加工工程の準備ができている。具体的には、従来のシステムによって家具又は表面仕上げの分野におけるパネル、又は床材用の細長い薄板、厚板などをライン上で直接得るために、支持体(具体的には紙支持体)は様々な材料の他の層と共にプレス機でプレス加工される(約5〜100バールの範囲の圧力で)準備ができる。プレス加工は好ましくは高温で、最も好ましくは130〜200℃で行われる。この工程の間、これまでに架橋されていない、又は部分的にだけ架橋されたポリマー樹脂の架橋を完了させることができる。
【0025】
任意に、支持体は、組成物を塗工する前に予備加熱のステップを経させる。これは粉末の支持体への接着を助けることができる。
【0026】
好ましくは、支持体の両面を上述の方法で処理する。すなわち、組成物を両面上に、それぞれの過程によって塗工する。両面に対する処理組成物は同一又は異なっていてもよい。支持体が十分に可撓性である場合、これを上下反転させて、一つの生産ラインにおいて連続運転で両面を処理することができる。剛性の支持体は別個のセグメントの形で上下反転させることができる。
【0027】
第二の実施形態において、処理粉末組成物は前もって溶融され、次いでその流体組成物を制御された方法で支持体上に分配するのに適した適切な塗工装置によって支持体上に塗工する。
【0028】
一つ又は複数のポリマー樹脂、触媒、及び任意に他の添加剤をすべて固体状態で含有し、予め調製及び/又は混合された乾燥組成物を、適切な溶融装置で溶融させ(例えば電気的に又は透熱性油もしくは他の加熱流体によって加熱する)、長手方向(支持体を供給する方向)及び横方向(支持体を供給する方向に対して垂直の方向)の両方において最適な重量及びパーセンテージ分布で、塗工装置によって塗布する。
【0029】
この変形形態でも、使用される樹脂は先に示したのと同じである。
【0030】
支持体の両面を処理するために、支持体のそれぞれの面上に作用する二つの塗工機を使用してもよいことは明らかである。
【0031】
本発明によれば、処理された支持体は、パネルを得るために他の層と共にその後プレス加工される化粧紙を得るために使用される紙支持体であることができ;代替物としては、木質繊維、しっくいなどでできたプレス準備済みパネル又は積層パネルであることができる。組成物(同様に前述した種類のもの)を、既製品パネルであり、そして任意に印刷された装飾を有する支持体上に塗工する(既に開示した方法と同様の方法で、具体的には乾燥粉末の形態で、又は溶融させた後に流体の形態で適切な塗工装置によって)。
【0032】
既知の技術に関して、本発明は以下の主な利点を有する:
− 従来の含浸及びコーティング処理において使用される水を乾燥させるために導入及び使用されるエネルギーが劇的に減少する;
− 実際的に、汚染された排気がない、
− 貯蔵が容易であり、使用に適した樹脂を得るための浴の準備がない;
− 樹脂及び添加剤の調製及び使用が簡単である;得ようとする製品の特性を得るために、粉末の混合だけが必要とされる;
− 紙支持体が決して湿潤せず、かつ、機械の中を通って強く引き込まれたままであるので、スクラップ又は原料の損失が大幅に少ないか又は全く生じることなく、ラインを停止及び再開することが可能である;
− 支持体が常に乾燥しているので、ラインへの引き込みが容易である;
− 長手方向及び横方向の重量分布が最適である。これは、ラインの外で成分粉末の混合物が調製され、この混合物は粉末計量添加装置(任意に前計量添加及び計量添加の二重のシステム)又は適切な塗工機によって支持体上に計量添加及び分配され、両方のシステムは正確な調節を可能にするためである;
− 異なる比重を有する様々な化合物を、完全に混合され、そして良好に分配された状態で維持する上での問題(例えば、液体樹脂、コランダム、ガラスミクロスフィアなどの混合物中の沈殿)は、それらが乾燥状態の粉末で使用されるので、完全に回避される;
− コランダム、セラミックミクロスフィアなどの特に硬い粒子によって連続的な摩擦を受けるスプレッドローラーの表面摩耗が完全に回避される;
− 粉末供給システムは粉末を完全に使用するシステムであり、したがって現状でスプレッダーに使用されているような再循環システムが必要ではない;
− 調製され、そして湿潤された樹脂の老化、及びその触媒作用に関する問題が回避される。これは老化しない粉末及び乾燥混合物のみを使用するためである;
− ラインの洗浄を必要とすることなく、ラインを長時間停止することさえもできる;
− プレス機での表面の白化の問題が回避される。これは出発粉末中の残留湿度のパーセンテージを上流で完全に制御できるためである(乳白(milky)効果又は霧(foggy)効果);
− 直接印刷型の生産ラインに適用される場合、本発明の方法は、紙の含浸及びパネルのプレス加工による従来の技術で得ることができるものに非常に近い高品質で、構造化された表面も有する製品を得ることを可能にする、
− 含浸された紙を直ちに積層体のホットプレスに使用でき、したがって含浸装置をラミネート加工用の生産ライン中に組み込むことができる。
【0033】
本発明を、添付の図面を参照しながら、以下の非限定的な実施形態においてさらに開示する。
【図面の簡単な説明】
【0034】
【図1】本発明による、床材用又は家具、壁などの表面仕上げ用化粧紙及び/又は化粧板の製造方法の第一の実施形態における、使用時の装置動作の概略図である。
【図2】本発明による方法の第二の実施形態における、使用中に稼働している、請求項1による装置の変形形態を示す図である。
【図3】一回の稼働で巻取り紙(papaer web)の両面を含浸するのに適した、本発明による装置の例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0035】
図1を参照すると、床材用又は家具、壁などの表面仕上げ用化粧紙及び/又は化粧板を製造するための装置1は、実質的に以下を含む:
− 所定の経路Pに沿って支持体3を供給するための運搬ライン2;支持体3は、任意に前処理されるかまたは前含浸された、任意に印刷されているかあるいは他方で装飾/着色されている原料紙支持体、又はその他の種類の支持体、例えば、同様に任意に既に印刷ユニット(既知のもの、図示せず)で印刷されている、異なる材料(木質繊維又は木材チップ、しっくいなど)から作製されたパネルである;図1では支持体3はストリップ材料として示されているが、これはパネル、シートなどの一連の部材で形成され得ることは明らかである;
− 支持体3のための(任意の)予備加熱ユニット4であり、支持体3がそこを通過し、そしてそこで支持体3及び特にその少なくとも一つの第一の面5(例えば上面)が所定の温度で加熱される;
− 粉末組成物の調製ユニット6であり、前述したように、実質的に乾燥しているか又は無水でさえある粉末処理組成物がそこで調製される;
− 塗工グループ7であり、具体的には、支持体3上に粉末組成物を分配するために調製ユニット6に接続された粉末計量添加装置8を含み;該計量添加装置8は、例えば(必要ではないが)振動ふるいタイプのものであり、そして組成物の顆粒を重力によって支持体3の面5上に落下させる;該計量添加装置8は他の種類のものであってもよいが、一般にはいずれの場合も、粉末組成物を支持体3上に長手方向(支持体を供給する方向)及び横方向(支持体の供給方向に対して垂直な方向)の両方で精密に計量添加し、そして均一に分布させることができる;
− 粉末を固着させるための加熱ユニット9、これは、例えば経路Pに沿って計量添加装置8の下流に位置するIRランプ及び/又はマイクロ波加熱炉又はトンネル型乾燥炉を含み、そしてその加熱ユニット9では、組成物中のポリマー成分(樹脂(類))が溶融されて、そしてその架橋/重合反応が引き起こされて、支持体3の面5上にポリマーコーティング層11が形成されるように、該組成物が加熱される;
− 場合により、処理組成物のポリマー成分を硬化させるための冷却ユニット12。
【0036】
任意に、装置1は、異なる成分、調合、又は特性を有するそれぞれのポリマー組成物(好ましくは上記に開示した種類のもの)を順次塗工するために、多数の塗工グループ7(それぞれの粉末計量添加装置8を有する)を含み、それにそれぞれの加熱ユニット9(及び任意にそれぞれの冷却ユニット12)が続く。
【0037】
例えば装置1は、経路Pに沿って第一の加熱ユニット9の下流に以下も順次含む:
− さらなるポリマーコーティング層を支持体に塗工して製品の何らかの表面特性を向上させるよう、前の粉末塗工グループで塗工された組成物の上に、第二の組成物(前の組成物に対して同様又は異なるが、一般に、一つ又は複数のメラミン及び/又はフェノール樹脂、適切な触媒及び添加剤、例えばコランダム、ガラスミクロスフィアなどからなる)を計量添加及び分配させる、第二の粉末塗工グループ;
− 例えば、IRランプ及び/又はトンネル型加熱炉又はマイクロ波加熱炉を含む、第二の加熱ユニット;
− 樹脂及び保護添加剤(ガラスミクロスフィア、α−セルロースなど)から形成された第三の保護ポリマー層を塗工する、第三の粉末塗工グループ;
− 例えば、IRランプ及び/又はトンネル型加熱炉又はマイクロ波加熱炉を含む、第三の加熱ユニット;
【0038】
仕上げ又は装飾ステーション13を、処理された支持体3の回収ステーション(例えば、巻き取り機、又はシート裁断及び回収ユニットなど)に加えて、又はその代替として、絵柄、模様、又は仕上げを、例えば剥離紙によって処理された支持体に設けるために、運搬ライン2の最後に位置させることができる。
【0039】
本発明の方法を実施するための装置1の操作は次の通りである。
【0040】
支持体3(既に示した通り)は、紙支持体又は別の材料でできたパネルであることができ、運搬ライン2に沿って供給され、そして、場合によって(任意の)予備加熱ユニット4を通過した後、塗工グループ7の計量添加装置8の下を通り;調製ユニット6においてあらかじめ調製された処理組成物が、計量添加装置8によって支持体3の面5上に分配される。
【0041】
したがって、支持体3は加熱ユニット9を通り、そこでポリマー成分(樹脂(類))は少なくとも一部が溶融し、そして架橋/重合することで組成物中の他の物質の粒子を取り込み、次いで冷却ユニット12へ入る。
【0042】
組成物がポリマー樹脂の前駆体反応物を、一つ又は複数の既に重縮合したこの種の樹脂の代わりに含む場合、加熱工程(適切な温度及びpHで行われる)は、その場(in situ)での反応物の重合、及び樹脂又は対応するポリマー樹脂の支持体上での形成を直接引き起こす。
【0043】
次いで支持体3の反対面15を、上述したタイプのさらなるユニット及びグループを用いて、又は支持体3を上下反転させて運び、面5を処理するのに使用したのと同じユニット及びグループに通すことによって、同様の方法で処理する。
【0044】
図2の変形形態において、既に開示したものと同様又は同一の細部は同じ符号によって示されており、装置1はさらに、支持体3を所定の経路Pに沿って供給する運搬ライン2、(任意の)予備加熱ユニット4、粉末組成物調製ユニット6、及び塗工グループ7を含む。
【0045】
しかしこの場合、塗工グループ7は、調製ユニット6に接続され、そして調製ユニット6で調製された粉末組成物が加熱されて、その結果そのポリマー成分が溶融し、そして流体状態となる、溶融装置17;及び、場合により固体粒子を取り込んでいる該流体組成物を、支持体3の面5上に塗工及び分配するのに適した塗工装置18を含む。該塗工装置18は、例えば、必ずではないが、フラットヘッド、ローラーシステム、ブレードシステムなどである。
【0046】
したがって加熱ユニット9は粉末の固着を必要としていないが、これは粉末ポリマー成分が塗工装置18の上流で、すなわち組成物を支持体3上に塗工する前に溶融されるからである。
【0047】
装置1は、代わりに、場合により冷却ユニット12も含む。
【0048】
この変形形態において、装置1は、前述したように異なる成分、調合、又は特性を有するそれぞれのポリマー成分(好ましくは前述した種類のもの)を順次塗工するための、多数の塗工グループ7を含むことができる。
【0049】
支持体3の両面5、15を処理するために、支持体3の対向面上に配置され、支持体3のそれぞれの面5、15上で作動する二つの塗工装置18が使用できる。
【0050】
図2の装置1で行われる本発明のプロセスは、図1に関して開示したものと同一であるが、ただしここでは粉末ポリマー成分は、組成物を支持体3上に塗工する前に溶融され;それゆえ該組成物は流体の形態で支持体上に塗工され、該組成物は、場合により存在するその他の粒子物質を取り込む溶融ポリマー成分から形成される。
【0051】
図3を参照すると、本発明による装置が示されていて、これは、1回の稼働で巻取り紙(paper web)の両面をコーティング及び含浸ことができるように変更されている。ウェブ32が巻出し機31から該装置置へ供給され、そして多数のガイドローラーの後に、粘着性のペースト状状態を生じさせることによって粉末の接着を助けるために、支持体を予備加熱するための予備加熱装置38へ到達し、本発明による粉末材料を第一の面に塗り広げる、第一の粉末分散ユニット35に到達する。第一の面上に粉末を有するウェブは、熱の影響下で紙が丸まるのを防ぎ、そして少なくとも部分的に溶融した粉末をウェブ中へ含浸させるのを開始させるために、真空ベルト33によって保持されながら、好ましくは第一のIRヒーター34の下を通過する。粉末材料は、IRヒーター34の放射によって溶融され、このように巻取り紙へ固定される。そのウェブの第二の面もコートするために、ウェブは反転させなければならない。これはウェブを、支持体の処理された表面に接触しないエアクッションを有する(この場合二つの)方向転換ステーション36の上を通過させることによって達成される。これは、この時点ではまだ軟らかいであろう表面層の損傷を避けるために行われる。次いで第二の予備加熱装置38が支持体を予備加熱し、第二の粉末散布ユニット35が巻取り紙の第二の面を粉末材料でコーティングする。再度、ウェブはIRヒーター34を通過し、そしてそこで真空ベルト33によって保持される。最後にウェブは巻取り機37で巻き直され、そして任意に(図3には図示されない)シート状に裁断されて回収される。
【0052】
この型の装置は、多くの機会を提供する。例えばこの紙を、家具又は床材用パネルを作るための木材の化粧コーティングに使用できる。二つの層は異なっていてもよく、例えば一方は床材パネルの上面のための化粧層及び耐摩耗性の層であることができ、他方は単に紙を支持体に接着させるための材料であることができる。同様の装置を、床材パネル用の含浸させた背面層、又はあるいは家具用途の第二の化粧層を調製するために使用できる。
【0053】
この種の装置を、例えばファイバーボードを作るための連続運転製造ラインに容易に加えることができることは明らかである。このように、繊維パルプから開始して、1回の稼働で化粧板を作ることが可能である。
【0054】
該装置の別の使用例は、低圧及び高圧での使用のための、ろ紙又はクラフト紙の製造である。
【0055】
添付の特許請求の範囲から逸脱しないさらなる修正及び変更を本明細書に開示及び示されるシステムに対して行い得ることは理解するべきである。
【符号の説明】
【0056】
符号のリスト
1 ドライ含浸システム
2 運搬ライン
3 処理する支持体
4 予備加熱ユニット
5 処理する表面(第一)
6 調製ユニット
7 塗工グループ
8 計量添加装置
9 加熱ユニット
11 融解/溶融層
12 冷却ユニット
13 仕上げステーション
15 対向面
17 溶融装置
18 塗工装置
31 巻出し機
32 巻取り紙
33 真空ベルト
34 IRヒーター
35 粉末散布ユニット
36 方向転換ステーション(エアクッション)
37 巻取り機
38 予備加熱装置
P 支持体の経路

【特許請求の範囲】
【請求項1】
床材用又は家具若しくは壁の表面仕上げ用の化粧紙及び/又は化粧板、仕上げホイル、ろ紙、低圧及び高圧での使用のためのクラフト紙を製造するための方法であって、処理組成物を調製するステップ、及び組成物を支持体に塗布するステップを含み;該処理組成物は、乾燥粉末の形態で調製され、そして少なくとも一つの粉末ポリマー樹脂及び/又は反応及び少なくとも1つのポリマー樹脂の生成に適した粉末反応物の混合物を含有し;組成物を支持体に塗布するステップの前又は後のいずれかにおいて、少なくとも部分的にポリマー樹脂を溶融させるように、及び/又は組成物中に含有される前記反応物を溶融及び重合/架橋させるように、組成物を加熱するステップを含み、組成物が実質的に乾燥した固体組成物であることを特徴とし、前記ポリマー樹脂が一つ又は複数のアミノ樹脂及び/又はフェノール樹脂又は前述の樹脂の混合物である、方法。
【請求項2】
組成物を乾燥状態で粉末形態にて支持体に塗布し、支持体に堆積させた後に加熱する、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
組成物を最初に加熱して溶融させ、次いで流体の形態で支持体に塗布する、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
ポリマー樹脂が、尿素樹脂、メラミン樹脂、フェノール樹脂、及びそれらの組合せからなる群から選択される、請求項1〜3のいずれか一つに記載の方法。
【請求項5】
反応及び少なくとも一つのポリマー樹脂の生成に適した反応物が、メラミン、尿素、フェノール、ホルムアルデヒド、及びそれらの誘導体、並びにそれらの組合せからなる群から選択される、請求項1〜3のいずれか一つに記載の方法。
【請求項6】
組成物が、一つ又は複数の適切な触媒を顆粒又は粉末形態でさらに含有する、請求項1〜5のいずれか一つに記載の方法。
【請求項7】
組成物が、コランダム、ガラスミクロスフィア又はセラミックミクロスフィア、α−セルロース、小片、粒子、又は繊維の形態の、反射材料、グリッター材料、乳白光沢材料、金属光沢材料などの装飾材料からなる群から選択される、1つ又は複数の固体物質を含む、請求項1〜6のいずれか一つに記載の方法。
【請求項8】
粉末ポリマー樹脂及び/又は粉末反応物の粒度分布が約1000μm未満、好ましくは約0.1μm〜約500μmの範囲である、請求項1〜7のいずれか一つに記載の方法。
【請求項9】
処理組成物を塗布する前に支持体を予備加熱するステップを含む、請求項1〜8のいずれか一つに記載の方法。
【請求項10】
支持体の両方の対向する面を1つ又はそれぞれの処理組成物で処理する、請求項1〜9のいずれか一つに記載の方法。
【請求項11】
床材用又は家具若しくは壁の表面仕上げ用化粧紙及び/又は化粧板を製造するための装置(1)であって、処理組成物調製ユニット(6)と、組成物を支持体(3)に塗布するための少なくとも1つの塗工グループ(7)とを含み;調製ユニット(6)が実質的に乾燥した粉末形態の組成物を調製するのに適することを特徴とし、計量添加装置(8)の下流又は塗工装置(18)の上流に位置する、組成物を溶融させ重合/架橋させるための加熱手段(9,17)をさらに含む、装置(1)。
【請求項12】
塗工グループ(7)が、組成物を支持体(3)の上に粉末の形態で広げるのに適した計量添加装置(8)を含む、請求項11に記載の装置。
【請求項13】
塗工グループ(7)が、組成物を支持体の上に流体の形態で広げるのに適した塗工装置(18)と、加熱手段を有する溶融装置(17)とを含む、請求項11に記載の装置。
【請求項14】
支持体の対向する面で作動することができる二つの塗工グループ(7)を含む、請求項11〜13のいずれか一つに記載の装置。
【請求項15】
支持体を方向転換する手段をさらに含む、請求項14に記載の装置。
【請求項16】
支持体を方向転換する手段が、少なくとも1つの非接触エアクッション(16)を含む、請求項15に記載の装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公表番号】特表2012−524843(P2012−524843A)
【公表日】平成24年10月18日(2012.10.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−506451(P2012−506451)
【出願日】平成22年4月16日(2010.4.16)
【国際出願番号】PCT/EP2010/055068
【国際公開番号】WO2010/121971
【国際公開日】平成22年10月28日(2010.10.28)
【出願人】(511255498)
【出願人】(511255502)
【Fターム(参考)】