説明

廃棄物の処理方法

【課題】 地震や津波などの自然災害の被災地における廃棄物の処理を迅速に行い、復興までの期間や費用を削減し得る、廃棄物の処理方法を提供する。
【解決手段】 廃棄物を地域毎に設置された一次仮置き場に集積し、次いで複数の前記一次仮置き場に集積された前記廃棄物を、二次仮置き場に集約して中間処理を施すに際して、前記廃棄物を、利用可能物の抽出工程またはリサイクル処理工程の少なくともいずれかを含み、かつ、廃棄物の発生現場や前記一次仮置き場、二次仮置き場において、洗浄、解砕または破砕、篩分けの少なくともいずれかを施し、個片の大きさを50cm以下にし、さらに、二次廃棄物には、利用可能物の抽出工程またはリサイクル処理工程の少なくともいずれかを施し、かつ、前記二次仮置き場において、再選別、再処理を施すことによって比容を減少し、運搬などに必要な時間、経費、労力を削減できる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、廃棄物、特に地震や津波などの自然災害で、生じるがれきなどの廃棄物の処理方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
地震、津波、台風などの自然災害は、尊い人命を奪うだけではなく、家屋や民間施設、公共施設をも損壊し、これにより、がれきなどの大量の廃棄物を発生させる。
【0003】
このため、災害がれき、つまり廃棄物は量にとどまらず、家電製品や家具類といった日常生活に伴う物品など、通常の廃棄物と異なり、建物のがれきからの木材、プラスチック、金属、コンクリートなども多く、また、建材等に使用されているアスベストなど、有害物質も含まれており、土砂、へどろなどが混在していることから、被災地では、その処理に多大な経費と労力を要することとなる。
【0004】
また、自然災害で生じる廃棄物の処理工程の特徴として、前記のように広範囲に亘って廃棄物が発生し、しかも被災地は、災害がれきの早期の撤去や処理が望まれるため、一定範囲の地域毎に一時的な廃棄物の置き場を設け、道路がある程度復旧した時点で、それらの廃棄物をさらに適当な場所に集約し、所要の処理を行わなければならない。
【0005】
図3は、前記のような手順で廃棄物の処理を行う工程を、フローチャートで示したものである。図3における一次仮置き場は、前記の一定範囲の地域毎に設けられる一時的な廃棄物の置き場であり、適当な分量が集積されたところで、二次仮置き場に集約し、所要の処理を施す。
【0006】
ここで所要の処理とは、リサイクルの可否や材質別に分別し、破砕した後、適切に処理する工程である。たとえば、木くずであれば、破砕し、木材チップとして建材、製紙原料、燃料、木炭原料、堆肥原料などとして活用可能であり、紙くず、プラスチックくず、繊維くずであれば、リサイクル利用の他、ダイオキシン類が発生しない条件で焼却処理することになり、コンクリートの塊であれば、適当な大きさに破砕して建設の路盤材や基礎、埋戻材などの土木建設資材として利用することになる。
【0007】
また、どのような方法を講じてもリサイクルが不可能なものであれば、焼却、埋立て、外部に汚染物質が漏れないように処置した廃棄物の処理場に搬入することになる。なお、大割、小割、解砕、破砕などの工程においては、重機圧砕などが用いられる。
【0008】
一方で、無視できない事項として、汚染物質の問題がある。地震などの際の建物の倒壊によって、アスベストのような有害物質が飛散するおそれがあり、特に津波による災害においては、当然のことながら海水が流入し、耕作地に塩害という障害をもたらす他、海底のへどろを陸上に運んでしまうことがある。殊に海底に堆積したへどろには重金属類が含まれている可能性が否定できず、廃棄物に付着しているこれらをそのまま一次仮置き場から二次仮置き場へ運搬すると、汚染を拡散させる結果となり得る。
【0009】
いずれにしても、多量の廃棄物を地域全体から一次仮置き場へ収集し、さらに一次仮置き場から二次仮置き場へと集約運搬することになるが、災害廃棄物の量が膨大であればある程、運搬に際して少しでもその比容を減少することが、所要時間や費用の減縮の上から重要な課題となる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
従って本発明の課題は、地震や津波などの自然災害の被災地における廃棄物の処理を迅速に行い、復興までの期間や費用を削減し得る、廃棄物の処理方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明は、前記の課題に鑑み、廃棄物の処理工程を、鋭意再検討した結果、なされたものである。
【0012】
即ち、本発明は、廃棄物を、発生現場から地域毎に設置された一次仮置き場に集積し、次いで複数の前記一次仮置き場に集積された前記廃棄物を二次仮置き場に集約して所要の処理を施す廃棄物の処理方法において、前記廃棄物に対して、前記発生現場または前記一次仮置き場で、洗浄、解砕または破砕、篩分けの少なくともいずれかを含む一次処理を施すことにより、比容を減少する工程を有することを特徴とする廃棄物の処理方法である。
【0013】
また、本発明は、前記一次処理が、前記廃棄物を可燃物、不燃物、特定品目に区分する工程に、利用可能物の抽出工程またはリサイクル処理工程の少なくともいずれかを設けるほか、前記可燃物は、リサイクル可能な木くずと、木くず、紙くず、繊維くず、廃プラスチック、粗大ごみの混合物に分別する工程を有し、前記不燃物には、金属くず、がれき類、コンクリート塊、コンクリートくず、アスファルト塊、アスファルトくず、ガラスくず、陶磁器くず、不燃粗大ごみからなる少なくとも1種が含まれ、また前記特定品目には、家電リサイクル対象品、アスベストや放射性物質のような有害廃棄物、土砂、へどろから選ばれる少なくとも1種が含まれることを特徴とする、前記の廃棄物の処理方法である。
【0014】
また、本発明は、前記一次処理に、土砂、へどろの少なくともいずれかを含む付着物、有害物質、汚染物質を除去する工程を特徴とする、前記の廃棄物の処理方法である。
【0015】
一次処理を施した廃棄物の個片の大きさが、50cm以下であることを特徴とする、前記の廃棄物の処理方法である。
【0016】
また、本発明は、前記二次廃棄物には、利用可能物の抽出工程またはリサイクル処理工程の少なくともいずれかを施し、かつ、前記二次仮置き場において、洗浄、解砕または破砕、篩分けの少なくともいずれかを含む、再選別、再処理することを特徴とする、前記の廃棄物の処理方法である。
【0017】
また、本発明は、前記一次仮置き場または前記二次仮置き場で、通気管を設置することにより、前記廃棄物または前記二次廃棄物の堆積にともない、堆積物内部で発生するガスや熱を外部に排出させることで、発火を防ぐことを特徴とする、前記の廃棄物の処理方法である。
【発明の効果】
【0018】
本発明に係る、廃棄物の処理方法によれば、廃棄物を発生現場または一次仮置き場で、利用可能物の抽出工程またはリサイクル処理工程の少なくともいずれかを含み、かつ、一定以下の大きさに解砕または破砕してから、一次仮置き場や利用可能物の抽出工程またはリサイクル処理工程の少なくともいずれかを含み、選別された二次廃棄物を二次仮置き場に運搬して集約するので、発生現場や一次仮置き場で、利用可能物を取去ることにより体積減少が可能となるとともに、廃棄物の比容を減少できる。これにより、一次仮置き場や二次仮置き場への運搬回数が減少可能となり、たとえ比容の減少率が小さくとも、廃棄物の量が膨大であるため、その効果は十分に期待できる。
【0019】
また、有害廃棄物や土砂やへどろが付着したがれきの処理においては、がれきを洗浄、解砕または破砕、篩分けを施せば、付着したアスベストや放射性物質のような有害廃棄物や土砂やへどろを分別することが可能で、汚染の拡散を未然に抑制できる。具体的な篩分装置としては、振動篩、回転篩、多重楕円形状回転板篩などがあげられる。
【0020】
また、本発明においては、一次処理を施した廃棄物の個片の大きさを50cm以下とするのが望ましいが、倒木、家屋の柱材や梁材にあっては、長さが数mあり、運搬手段への積載にあたっては、解砕、破砕を施していないため、作業性を損なうほか、比容が大きく、運搬手段への積載量は増加できない。しかし一定の長さにすることにより木材としての利用価値が増加するほか、良質なリサイクル可能な可燃物として区分される。
【0021】
なお、一次仮置き場、二次仮置き場に集積または集約された廃棄物は、堆積した量が多量になればなる程、堆積物の比表面積が小さくなり、廃棄物が発酵したり、金属が酸化したりすると、発生した熱が外部に放散され難くなるので、最悪の場合、発火により火災に繋がることがある。このため本発明においては、図4に示す通気管を廃棄物の堆積物の中を貫通するような状態で設置する。これによって、前記のような状態となるのを抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】 本発明に係る廃棄物の基本的な処理方法の一例を示すフロー図。
【図2】 本発明に係る廃棄物の処理方法を具体的な品目毎に示したフロー図。
【図3】 従来の一般的な廃棄物の処理方法を示すフロー図。
【図4】 本発明に用いる通気管の一例を示す図。
【発明を実施するための形態】
【0023】
次に本発明の実施の形態について説明する。
【0024】
図1は、本発明に係る廃棄物の基本的な処理方法の一例を示すフロー図である。図1に示したように、本発明においては、地域毎に集積された被災地の廃棄物、つまり図1に示した、廃棄物発生現場にそのまま放置されている廃棄物や、一次仮置き場に集積された廃棄物を、解砕または破砕、篩分けし、比容を減少して、トラック、ダンプカーなどに積載する際の荷台における占積率を増加する。
【0025】
図1に示した一次仮置き場であっても、一般的には、木くず、金属くず、プラスチックくず、土砂その他のがれきに分別して集積するのが望ましいが、本発明者の検討結果によれば、一定以上の大きさであれば、どのような廃棄物であっても、個片の大きさを50cm以下とすると、比容を減容することが可能である。
【0026】
たとえば、木くず、紙くず、プラスチックくず、繊維くずなどが混じった混合がれきを、重機を用いて圧破、小割、選別し、さらに二軸剪断破砕機を用いて、個片の大きさを概ね50cm以下にすると、比容を約63%減少できることが判明した。つまり、廃棄物発生現場や一次仮置き場で、このような処理を施すことで、単純に計算すると、二次仮置き場までの運搬回数を、63%減少することが可能なうえ、運搬の際の二酸化炭素排出量が削減でき、二次仮置き場の所要面積も、54%減少することが可能となる。
【0027】
これに伴い、必要な運搬車両燃料のコストも、工数も同様に減少できることになる。そして当然のことながら、それに応じて、二次仮置き場における処理時間、工数も減少が可能となり、自然災害からの復興事業の効率化に寄与するところは、決して小さくないと言える。
【0028】
また、図2に示したように、可燃物、不燃物、特定品目に区分してから、利用可能物の抽出工程またはリサイクル処理工程の少なくともいずれかの分別を含み、かつ、(A)前記可燃物から処理を効率的に行なうため、可能な限り、リサイクル可能な木くずと、木くず、紙くず、繊維くず、廃プラスチック、粗大ごみの混合物に分別する。さらに、一次仮置き場で廃棄物に洗浄、解砕または破砕、篩分けを施すことで、付着したアスベストや放射性物質のような有害廃棄物や土砂やへどろを、一次仮置き場で分別回収することが可能となり、有害物質や汚染物質の拡散を抑制できる。
【0029】
また、図4は、本発明に用いる通気管の一例を示す図である。ここに示した例は、管の長さ方向に対して垂直な方向に適当な間隔で貫通孔を設けたものである。これによって廃棄物の発酵や酸化に起因するガスや熱を、外部に放散できることは前記の通りである。なお、管として、鋼管や非鉄金属管、陶器管、塩化ビニルなどのプラスチック管を用いることもできる。さらにこの通気管の機能として、堆積物の発火が起こった場合に外部から通水して消火することもできる。
【0030】
なお、本発明は、前記実施の形態に限定されるものではなく、本発明の分野における通常の知識を有する者であれば想到し得る、各種変形、修正を含む、本発明の要旨を逸脱しない範囲の設計変更があっても、本発明に含まれることは勿論である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
廃棄物を、発生現場から地域毎に設置された一次仮置き場に集積し、次いで複数の前記一次仮置き場に集積された前記廃棄物を二次仮置き場に集約して所要の処理を施す廃棄物の処理方法において、前記廃棄物に対して、前記発生現場または前記一次仮置き場で、洗浄、解砕または破砕、篩分けの少なくともいずれかを含む一次処理を施すことにより、比容を減少する工程を有することを特徴とする廃棄物の処理方法。
【請求項2】
前記一次処理は、前記廃棄物を可燃物、不燃物、特定品目に区分する工程に、利用可能物の抽出工程またはリサイクル処理工程の少なくともいずれかを含み、かつ、前記可燃物は、リサイクル可能な木くずと、木くず、紙くず、繊維くず、廃プラスチック、粗大ごみの混合物に分別する工程を有し、前記不燃物には、金属くず、がれき類、コンクリート塊、コンクリートくず、アスファルト塊、アスファルトくず、ガラスくず、陶磁器くず、不燃粗大ごみからなる少なくとも1種が含まれ、前記特定品目には、家電リサイクル対象品、有害廃棄物、土砂、へどろから選ばれる少なくとも1種が含まれることを特徴とする、請求項1に記載の廃棄物の処理方法。
【請求項3】
前記一次処理には、土砂、へどろの少なくともいずれかを含む付着物、有害物質、汚染物質を除去する工程を特徴とする、請求項1または請求項2に記載の廃棄物の処理方法。
【請求項4】
前記一次処理を施した廃棄物の個片の大きさが、50cm以下であることを特徴とする、請求項1ないし請求項3のいずれかに記載の廃棄物の処理方法。
【請求項5】
前記二次廃棄物には、利用可能物の抽出工程またはリサイクル処理工程の少なくともいずれかを施し、かつ、前記二次仮置き場において、洗浄、解砕または破砕、篩分けの少なくともいずれかを含む、再選別、再処理することを特徴とする、請求項4に記載の廃棄物の処理方法。
【請求項6】
前記一次仮置き場または前記二次仮置き場で、通気管を設置することにより、前記廃棄物または前記二次廃棄物の堆積にともない、堆積物内部で発生するガスや熱を外部に排出させることで、発火を防ぐことを特徴とする、請求項1ないし請求項4のいずれかに記載の廃棄物の処理方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2013−46896(P2013−46896A)
【公開日】平成25年3月7日(2013.3.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−227367(P2011−227367)
【出願日】平成23年9月27日(2011.9.27)
【出願人】(595070464)株式会社興和テック (2)
【Fターム(参考)】