説明

廃棄物物流VANシステム

【目的】 排出源10から排出される廃棄物の運搬及び処理を合理化する。
【構成】 排出源10、収集基地12、中継基地14、処理プラント16、最終処理場18、リサイクル業者20及び運搬業者22を情報コントロールセンター24と情報ネットワーク30で結ぶ。情報ネットワーク30は、排出源10からの廃棄物の引取料金、収納及び被収納間の全レベルの関係付けとしての容器体の集積状況についての情報と、廃棄物の引取及び運搬の指示に関する情報と、収集基地12、中継基地14、処理プラント16及び最終処理場18における廃棄物の搬入、搬出についての情報と、処理プラント16における廃棄物の搬入量情報と、中継基地14における廃棄物の貯留情報と、荷役取扱法規制情報とを流し、かつ運搬業者22が廃棄物を運搬する際に運搬元、運搬先及び運搬業者22に発行されるマニフェストを、廃棄物の最終的な処理の終了と共に一括処理管理する。

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】この発明は、ごみ等の廃棄物を効率良く収集、処理することができる廃棄物物流VANシステムに関するものである。
【0002】
【従来の技術】都市におけるごみ等の廃棄物の従来の処理方式では、情報ネットワークを介在させることなく、排出源から最終処理場までの廃棄物の流れ系統における上流から下流へ単に運搬していくのみであった。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】都市における廃棄物の処理系統では、廃棄物を合理的に運搬、処理等されることが望まれるが、従来方式では、廃棄物を運搬、処理する過程に無駄が多く、廃棄物の運送、配送効率、及び処理プラントの運転効率等が低い。
【0004】この発明の目的は、廃棄物の収集から処理までの過程において廃棄物を効率良く取り扱い、管理することができる廃棄物物流VANシステムを提供することである。
【0005】
【課題を解決するための手段】この発明を、実施例に対応する図面の符号を使用して説明する。この廃棄物物流VANシステムでは、廃棄物の排出源(10)と、排出源(10)から収集して来た廃棄物を持ち込まれる収集基地(12)と、収集基地(12)から廃棄物を持ち込まれて貯留する中継基地(14)と、中継基地(14)から廃棄物を持ち込まれて処理する処理プラント(16)と、処理プラント(16)から廃棄物を持ち込まれる最終処理場(18)と、廃棄物を運搬する運搬業者(22)と、リサイクル可能な廃棄物を回収するリサイクル業者(20)とが、、廃棄物に関する情報を管理する情報コントロールセンター(24)へ情報ネットワーク(30)を介して結ばれる。この情報ネットワーク(30)を介して、各排出源(10)への廃棄物の引取料金に関する情報と、収納容器体及び被収納容器体間の全レベルの関係付けとしての容器体の集積状況についての情報と、廃棄物の引取及び運搬の指示に関する情報と、収集基地(12)、中継基地(14)、処理プラント(16)及び最終処理場(18)における廃棄物の搬入、搬出についての情報と、処理プラント(16)における廃棄物の搬入量についての情報と、中継基地(14)における廃棄物の貯留についての情報と、荷役取扱法規制情報とを流すとともに、運搬業者(22)が廃棄物を運搬する際に運搬元、運搬先及び運搬業者(22)に発行されるマニフェストを、廃棄物の最終的な処理の終了と共に一括処理管理することを特徴とする廃棄物物流VANシステム。
【0006】
【作用】排出源(10)において排出されて来る廃棄物は収集基地(12)及び中継基地(14)を順に経て処理プラント(16)へ運搬される。さらに、その後、処理プラント(16)から埋立地や投棄場所等の最終処理場(18)へ運搬される。これら運搬は運搬業者(22)により行われる。また、リサイクル業者(20)は、古紙等のリサイクル可能な廃棄物を収集基地(12)等から引き取る。情報コントロールセンター(24)は、情報ネットワーク(30)を介して排出源(10)、収集基地(12)、中継基地(14)、処理プラント(16)、最終処理場(18)、運搬業者(22)及びリサイクル業者(20)と情報をやりとりする。
【0007】情報ネットワーク(30)を介して提供される情報及び処理には次のものが含まれる。
(a)各排出源(10)への廃棄物の引取料金に関する情報(b)廃棄物は、運搬、貯留の取扱上、容器体に収納されて、小型の容器体同士まとめられて、順次、さらに大型の容器体へ収納されていくが、収納容器体及び被収納容器体間の全レベルの関係付けとしての容器体の集積状況についての情報(c)廃棄物の引取及び運搬の指示に関する情報(d)収集基地(12)、中継基地(14)、処理プラント(16)及び最終処理場(18)における廃棄物の搬入、搬出についての情報(この情報は、危険廃棄物の場合に、紛失等の事故なく、確実に搬出、搬入されたかを監視するために利用される。)
(e)処理プラント(16)における廃棄物の搬入量情報(f)中継基地(14)における廃棄物の貯留情報(g)荷役取扱法規制情報(h)運搬業者(22)が廃棄物を運搬する際に運搬元、運搬先及び運搬業者(22)に発行されるマニフェストを、廃棄物の最終的な処理の終了と共に一括処理管理すること。
【0008】
【実施例】以下、この発明を図面の実施例について説明する。図1は廃棄物物流VANシステムの構成図である。廃棄物の排出源10は、都市内の一般家庭、商店、病院、事務所、工場及び建設現場等である。廃棄物は、排出源10において分別されて、種類ごとにドラム缶等に格納される。ドラム缶等に格納された廃棄物は、各排出源10から受け持ちの収集基地12へ運搬される。一部の廃棄物は、排出源10から収集基地12へ運搬されることなく、一般廃棄物中間処理施設26及び産業廃棄物民間処理施設28へ運搬されて、処理される。収集基地12では、格納する廃棄物を同じくするドラム缶は共通のコンテナに収納され、その後、廃棄物は、コンテナ単位で収集基地12から、複数の収集基地12を担当する中継基地14へ運搬される。コンテナへのドラム缶の収納は、収集基地12ではなく、中継基地14において行われることもある。中継基地14では、廃棄物を種類ごとに収納するコンテナを一時的に貯留する。また、同一の廃棄物を収納しているコンテナ同士のを適宜まとめて、さらに大型のコンテナに収納することもある。コンテナに収納されている廃棄物は、中継基地14から処理プラント16へ運搬され、処理プラント16において焼却等の処理を行われる。処理プラント16において処理困難な廃棄物や処理後の残物は、埋立地、投棄場所等の最終処理場18へ送られる。リサイクル業者20は、収集基地12、中継基地14及び処理プラント16へ行き、リサイクル可能な廃棄物を引き取る。運搬業者22は、排出源10から収集基地12、収集基地12から中継基地14、中継基地14から処理プラント16、及び処理プラント16から最終処理場18への廃棄物の運搬を行う。運搬業者22が廃棄物の運搬を行う際、運搬元、運搬先、及び運搬業者22には、廃棄物1の現物の授受と並行して、引取及び引渡の内容に関するマニフェスト(伝票)が発行され、控えとして残される。情報コントロールセンター24は、排出源10、収集基地12、中継基地14、処理プラント16、最終処理場18、リサイクル業者20、及び運搬業者22と情報ネットワーク30により結ばれており、情報ネットワーク30を介してこれら排出源10、収集基地12、中継基地14、処理プラント16、最終処理場18、リサイクル業者20、及び運搬業者22から情報をやり取りする。
【0009】情報ネットワーク30を介して産業廃棄物民間処理施設28から排出源10、収集基地12、中継基地14、処理プラント16、最終処理場18、リサイクル業者20、及び運搬業者22へ送られる情報及び実施される処理は次の通りである。
(a)運搬業者22は各排出源10から廃棄物を引き取るが、各排出源10へ請求する廃棄物の引取料金の情報(b)廃棄物は、種類ごとにドラム缶に格納されてから、同種の廃棄物を格納しているドラム缶同士、共通のコンテナに収納され、さらに、より大型のコンテナに求められるようになっているが、コンテナの集積状況、すなわち、収納容器体と被収納容器体との関係付けについての全レベルの情報、例えば、各コンテナはどの番号のドラム缶を収納しているか、各ドラム缶が格納している廃棄物の種類及び量についての情報(c)リサイクル業者20及び運搬業者22への廃棄物の引取及び運搬の指示に関する情報(d)収集基地12、中継基地14、処理プラント16及び最終処理場18における廃棄物の搬入、搬出についての情報(この情報は、特に危険廃棄物の場合に、搬出、輸送及び搬入過程において紛失等の事故なく行われたかを監視するために利用される。)
(e)処理プラント16において、計画に従って廃棄物が効率良く処理されるために、処理プラント16への適切な搬入量を決めた搬入量情報(f)中継基地14から処理プラント16へ効率良く送り出すために利用される中継基地14における廃棄物の種類や量に関する貯留情報(g)有害廃棄物(危険廃棄物も含む。)の場合、輸送方法、梱包方法等の取扱いについて種々の法律規制があるが、これら荷役取扱法規制情報(h)運搬業者22が廃棄物を運搬する際に運搬元、運搬先及び運搬業者22に発行されるマニフェスト(このマニフェストには、運搬業者22が運送したの識別コード、廃棄物の種類や量等の情報が記入されている。)を、廃棄物の処理プラント16及び最終処理場18における最終的な処理の終了と共に処理済みとして一括処理管理すること。
(i)収集基地12,中継基地14,処理プラント16,最終処理場18は廃棄物を搬入して、それぞれ保管、貯留、処理等を行うことによって、また、運搬業者22は廃棄物の運搬を行うことによって、それぞれ経費が発生するが、それらの経費は情報ネットワーク30に載せられ、収集基地12,中継基地14,処理プラント16,最終処理場18,運搬業者22の適切な引取料金が、統計的なシュミレーションにより決められる。その引取料金に関する情報も流される。この情報は(a)と一緒に流されてもよい。なお、こられの引取料金は当事者間に任せず、公共的な機関、例えば情報コントロールセンター24は公共的な機関が担当させることにし、適切な引取料金の決定に家情報コントロールセンター24が関与させるようにすることもある。
(j)種類ごとに等の容器体に格納、貯留された有価廃棄物の貯留情報と搬出情報を管理し、リサイクル業者20に提供する引取料金等の引取情報も流される。
【0010】
【発明の効果】この発明では、排出源から排出された廃棄物を収集基地、中継基地、処理プラント及び最終処理場へ運搬業者を介して順番に送るとともに、リサイクル業者がリサイクル可能な廃棄物を引取り、また、これら排出源、収集基地、中継基地、処理プラント、最終処理場、運搬業者及びリサイクル業者は情報コントロールセンターと共に情報ネットワークを介して結ばれて、この情報ネットワークを介して、各排出源からの廃棄物の引取料金に関する情報と、廃棄物が順次大型の容器体へ収納されていく過程における収納容器体と被収納容器体との関係付けを全レベルについて容器体の集積状況として示す情報と、廃棄物の引取及び運搬の指示に関する情報と、収集基地、中継基地、処理プラント及び最終処理場における廃棄物の搬入、搬出についての情報と、処理プラントにおける廃棄物の搬入量情報と、中継基地における廃棄物の貯留情報と、荷役取扱法規制情報.とを流すとともに、運搬業者が廃棄物を運搬する際に運搬元、運搬先及び運搬業者に発行されるマニフェストを、廃棄物の最終的な処理の終了と共に一括処理管理が行われる。これにより、引取料金の決定、各容器体の積状況の把握、リサイクル業者及び運搬業者による廃棄物の引取及び運搬、廃棄物の搬入、搬出の把握、処理プラントへの廃棄物の搬入、中継基地における廃棄物の貯留、荷役取扱法規制情報.の提示を効率化することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】廃棄物物流VANシステムの構成図である。
【符号の説明】
10 排出源
12 収集基地
14 中継基地
16 処理プラント
18 最終処理場
20 リサイクル業者
22 運搬業者
24 情報コントロールセンター
30 情報ネットワーク

【特許請求の範囲】
【請求項1】 廃棄物の排出源(10)と、排出源(10)から収集して来た廃棄物を持ち込まれる収集基地(12)と、収集基地(12)から廃棄物を持ち込まれて貯留する中継基地(14)と、中継基地(14)から廃棄物を持ち込まれて処理する処理プラント(16)と、処理プラント(16)から廃棄物を持ち込まれる最終処理場(18)と、廃棄物を運搬する運搬業者(22)と、リサイクル可能な廃棄物を回収するリサイクル業者(20)とが、、廃棄物に関する情報を管理する情報コントロールセンター(24)へ情報ネットワーク(30)を介して結ばれ、この情報ネットワーク(30)を介して、各排出源(10)への廃棄物の引取料金に関する情報と、収納容器体及び被収納容器体間の全レベルの関係付けとしての容器体の集積状況についての情報と、廃棄物の引取及び運搬の指示に関する情報と、収集基地(12)、中継基地(14)、処理プラント(16)及び最終処理場(18)における廃棄物の搬入、搬出についての情報と、処理プラント(16)における廃棄物の搬入量についての情報と、中継基地(14)における廃棄物の貯留についての情報と、荷役取扱法規制情報とを流すとともに、運搬業者(22)が廃棄物を運搬する際に運搬元、運搬先及び運搬業者(22)に発行されるマニフェストを、廃棄物の最終的な処理の終了と共に一括処理管理することを特徴とする廃棄物物流VANシステム。

【図1】
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【公開番号】特開平6−321305
【公開日】平成6年(1994)11月22日
【国際特許分類】
【出願番号】特願平5−131004
【出願日】平成5年(1993)5月10日
【出願人】(000003377)東急車輛製造株式会社 (332)