説明

廃棄物管理システム

【課題】廃棄物の排出事業者とリサイクル事業者とを一元管理する。
【解決手段】排出物の種類及び量等に関する情報を入力する手段と、リサイクル資源・製品・技術に関する情報を閲覧できる手段とを有する排出事業者端末と、受け入れたいリサイクル資源・製品に関する情報を入力及び送信する手段と、排出物情報及びリサイクル技術に関する情報を閲覧できる手段とを有する受入事業者端末と、排出物を中間処理できる中間処理情報を入力及び送信する手段と、排出物及びリサイクル資源・製品・技術に関する情報を閲覧できる手段とを有する中間処理事業者端末と、リサイクル技術に関する情報を入力及び送信手段と、廃棄物及びリサイクル資源・製品に関する情報を閲覧できる手段とを有する支援機関端末と、排出物情報データベースと、リサイクル資源・製品データベースと、中間処理情報データベースと、リサイクル技術データベースとを有する廃棄物管理装置からなる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、各種廃棄物の排出事業者と、廃棄物を資源として再利用するリサイクル事業者とを一元管理するとともに最新のリサイクル技術を支援することができる廃棄物管理システムに関する。
【背景技術】
【0002】
産業界からは機械部品、金属製品類、プラスチック製品類、古紙等の各種廃棄物がそれぞれ個別に排出される。
一方、廃棄物を資源として受け入れ、再利用する事業所も近年増加している。
しかし、廃棄物を排出する事業者にも、受入事業者にも次のような問題があった。
排出事業者は、廃棄物ををリサイクル資源として受け入れてくれるリサイクル事業者を探し出し交渉していたが、リサイクル事業者は、それぞれリサイクル可能な技術分野が異なるために、リサイクルできない廃棄物も多く存在し、廃棄物の種類毎に各リサイクル事業者と交渉することは多くの労力を要し、効率的ではなかった。
また、廃棄物の種類によっては市場化できる技術が未解決の状態にあるものも多く存在する。
さらには、廃棄物がどのようにリサイクル処理されているか不明な点も多かった。
【0003】
リサイクル事業者にとっては、排出される原料の供給量にバラツキが大きく、不安定であり、処理設備や生産ラインの構築に積極的に取り込むのが難しく、価格の維持が大変である。
このような背景の下に、産業界全体として廃棄物の再利用を促進し、ゼロエミッション社会を目指すには、リサイクル技術の促進が必要であり、各事業者の関係を融合的に連携させるには産学官の連携を図る必要がある。
【0004】
特許第3934364号公報には、食品関連企業から発生する様々な種類の食品廃棄物と、それを処理してコンポストを生産する再生利用事業者を仲介するシステムを開示するが、既に、処理方法が確率された廃棄物を対象とするものであり、仲介できる範囲が限られたものである。
【0005】
【特許文献1】特許第3934364号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、産学官が連携して、廃棄物のゼロエミッション化に貢献できる廃棄物管理システムの提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明に係る廃棄物管理システムは、排出事業者が使用する排出事業者端末と、受入事業者が使用する受入事業者端末と、リサイクル中間処理事業者が使用する中間処理事業者端末と、リサイクル技術支援機関が使用する支援機関端末と、を接続した廃棄物管理装置とで構成された廃棄物管理システムであって、
排出事業者端末は、廃棄物の種類及び量等に関する情報を入力する手段と、リサイクル資源・製品・技術に関する情報を閲覧できる手段とを有し、
受入事業者端末は、受け入れたいリサイクル資源・製品に関する情報を入力及び送信する手段と、廃棄物情報及びリサイクル技術に関する情報を閲覧できる手段とを有し、
中間処理事業者端末は、廃棄物を中間処理できる中間処理情報を入力及び送信する手段と、廃棄物及びリサイクル資源・製品・技術に関する情報を閲覧できる手段とを有し、
支援機関端末は、リサイクル技術に関する情報を入力及び送信する手段と、廃棄物及びリサイクル資源・製品に関する情報を閲覧できる手段とを有し、
廃棄物管理装置は、廃棄物情報データベースと、リサイクル資源・製品データベースと、中間処理情報データベースと、リサイクル技術データベースとを格納してあり、これらの各データベースにデータを書き込み、且つデータベースからデータを取り込み、廃棄物に関する情報を予測する演算プログラムと、リサイクル資源・製品に関する情報を予測する演算プログラムを有していることを特徴とする。
【0008】
本発明の特徴は、廃棄物の排出事業者と、その廃棄物をリサイクル資源又はリサイクル製品として受け取りを希望する受入事業者との間を仲介するだけでなく、廃棄物をリサイクル資源として利用し易いように分解や分別等の中間処理事業者との連携を強化することができ、さらには、最近のリサイクル技術情報を有し、新しいリサイクル技術の開発に取り組んでいる研究機関や公設機関であるリサイクル技術支援機関との有機的な連携を可能にした点にある。
【0009】
廃棄物管理装置は、本発明に係る廃棄物管理システム全体を管理及び運用するサーバにて管理される。
本発明に係る廃棄物管理システムは、廃棄物、リサイクル資源、製品等の物流を伴うので運送事業者が担うのもよい。
運送事業者は排出事業者と受入事業者及び必要に応じて中間処理事業者の合意に従って物流を担うことができる。
従来は、運送事業者が排出事業者の要請により個別に受入事業者を探したり、逆に受入事業者の要請に従って排出事業者や中間処理事業者を探していたが、本発明によれば廃棄物管理システム上において合意が得られるので各事業者の負担が軽減されるとともに連携強化により信頼関係も強くなる。
【0010】
本発明において、リサイクル技術支援機関とは、公設研究機関、大学等の教育研究機関、リサイクル技術に関するNPO法人等が該当し、登録された排出物情報やリサイクル資源情報に基づいて、開発すべきリサイクル技術の検討や最近のリサイクル技術情報を提供することができる。
【0011】
本発明において、中間処理事業者とは廃棄物をリサイクルし易いように分解や分別する事業者をいい、必要に応じて排出事業者と受入事業者との間に入る。
【発明の効果】
【0012】
本発明においては、廃棄物管理装置に排出事業者が入力、送信した廃棄物情報を記憶した廃棄物情報データベースと、受入事業者が受け入れを要望する再利用のためのリサイクル資源や製品情報を記憶したリサイクル資源・製品データベースと、廃棄物を中間処理できる中間処理事業者の情報を記憶した中間処理データベースの他に、最新のリサイクル技術情報を記憶したリサイクル技術データベースとを備えているので、各事業者は端末を利用して、希望に合致した相手を探索することができるとともにこの相手に取引の要請を入力することで取引が成立する。
また、リサイクル技術支援機関は、リサイクル技術の提供をすることも、開発すべきテーマを探索することもできる。
これにより、最新のリサイクル技術を排出事業者、中間処理事者及び受入事業者が一体となって活用することができ、さらに研究テーマの発掘にもつながる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
本発明に係る廃棄物管理システムの構成例を図1に基づいて説明する。
廃棄物管理装置1は、システム管理サーバ2にて管理されていて運送事業者3がサーバに依託した例となっているが、運送事業者がサーバとして、システムを管理、運用してもよい。
廃棄物管理装置1は、排出事業者端末4と、受入事業者端末5と、中間処理事業者端末6と、支援機関端末7とがインターネットを介して接続されている。
【0014】
廃棄物管理装置1は、廃棄物情報DB(データベース)、受入情報DB、中間処理事業者情報DB、支援機関DBとが格納されている。
また、廃棄物管理装置1は、各端末から入力及び送信されたデータをDBに入力記憶させる手段と、DBから必要なデータを出力し、演算処理するプログラムを有している。
【0015】
次に各端末の具体的な機能について説明する。
排出事業者端末4は、排出事業者が排出したい廃棄物の種類及び排出量を入力及び送信する手段を有している。
廃棄物の種類には、製品名、部品名、材料名等の廃棄物の材質、特性等を特定するための情報をいい、発生量には、発生時期、1日当りの発生量、発生の頻度等、量に関する情報をいう。
これらの廃棄物情報に基づいて、排出事業者と関連付けて、プラスチックの種類、金属の種類、紙の種類、製品の種類等の予め定められた区分に従って、発生量及び提供希望価格帯が廃棄物予測プログラムにより演算処理される。
【0016】
受入事業者端末5は、廃棄物を再利用資源として受け入れたい事業者が必要とする廃棄製品、廃材の材質、数量等を入力し、送信する手段を有し、端末から送信された情報は、受入事業者と関連付けて、プラスチックの種類、金属の種類、紙の種類、製品の種類等の予め定められた区分に従って要求量及び受入価格帯を資源予測プログラムにて演算処理される。
【0017】
演算処理された予測廃棄物と予測資源は排出事業者と受入事業者の端末で閲覧可能になっていて、ID登録された第三者もインターネットを介して閲覧可能になっている。
中間処理事業者端末6は、中間処理可能な製品、部品、材料等の情報を入力、送信する手段を有し、送信された情報は中間処理予測プログラムにより演算処理され、各端末にて閲覧可能になっている。
【0018】
排出事業者、受入事業者、中間処理事業者との間で材料、製品、価格等が一致するか否かを演算処理する適合性判定プログラムを有し、一致した情報はそれぞれの事業者に送信される。
一致した情報は運送事業者に送信され、その情報に基づいて廃棄物を輸送することになる。
廃棄物には廃棄物の情報を入力及び記憶した電子タグが取り付けられていて、電子タグリードライターにて運送事業者及び受入事業者が読み取ることが可能になっている。
【0019】
受入事業者が電子タグに記憶されている情報を読み取り、廃棄物を確認し、資源として利用した情報を電子タグに記憶させるとともに排出事業者に情報発信する。
これにより、排出事業者は適切に処理されたか否かの確認ができる。
【0020】
排出事業者が入力、送信した情報の中には受入事業者のニーズとマッチングしないものだけでなく、資源としての利用方法が確率していないものも存在する。
逆に受入事業者が事業化するために必要な技術も存在する。
このような必要となる技術を排出事業者端末4、中間処理事業者端末6、受入事業者端末7のいずれからか送信されると、必要技術一覧表が作成される。
【0021】
支援機関端末7は、例えば公設の工業技術センター、工業試験場、各種学会事業部、NPO法人等の技術開発機関に設置されていて、最新のリサイクル技術情報が入力され、送信される。
【0022】
受入事業者、中間処理事業者は廃棄物の予測情報と、必要なリサイクル技術情報とのマッチングを検討し、支援機関に技術指導の支援を要請することができる。
【0023】
支援機関は、端末から社会に必要な技術を探索することができ、産業界のニーズの高い研究テーマを抽出することができる。
【0024】
このように、本発明に係る廃棄物管理システムはインターネットを介して、排出事業者、受入事業者、中間処理事業者の連携を強化するだけでなく、廃棄物をより有効に資源としてリサイクルするための技術情報を支援機関と連携することで廃棄物のリサイクル使用率が向上し、循環型社会の構築に貢献することができる。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【図1】廃棄物管理システムの構成例を示す。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
排出事業者が使用する排出事業者端末と、受入事業者が使用する受入事業者端末と、リサイクル中間処理事業者が使用する中間処理事業者端末と、リサイクル技術支援機関が使用する支援機関端末と、を接続した廃棄物管理装置とで構成された廃棄物管理システムであって、
排出事業者端末は、廃棄物の種類及び量等に関する情報を入力する手段と、リサイクル資源・製品・技術に関する情報を閲覧できる手段とを有し、
受入事業者端末は、受け入れたいリサイクル資源・製品に関する情報を入力及び送信する手段と、廃棄物情報及びリサイクル技術に関する情報を閲覧できる手段とを有し、
中間処理事業者端末は、廃棄物を中間処理できる中間処理情報を入力及び送信する手段と、廃棄物及びリサイクル資源・製品・技術に関する情報を閲覧できる手段とを有し、
支援機関端末は、リサイクル技術に関する情報を入力及び送信する手段と、廃棄物及びリサイクル資源・製品に関する情報を閲覧できる手段とを有し、
廃棄物管理装置は、廃棄物情報データベースと、リサイクル資源・製品データベースと、中間処理情報データベースと、リサイクル技術データベースとを格納してあり、これらの各データベースにデータを書き込み、且つデータベースからデータを取り込み、廃棄物に関する情報を予測する演算プログラムと、リサイクル資源・製品に関する情報を予測する演算プログラムを有していることを特徴とする廃棄物管理システム。

【図1】
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【公開番号】特開2009−110333(P2009−110333A)
【公開日】平成21年5月21日(2009.5.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−282735(P2007−282735)
【出願日】平成19年10月31日(2007.10.31)
【出願人】(300071513)トナミ運輸株式会社 (6)
【出願人】(504237050)独立行政法人国立高等専門学校機構 (656)
【出願人】(000236920)富山県 (197)
【出願人】(507360014)