説明

建材用粉末及び建材用粉末を含有する建材

【課題】α波を増大可能な建材用粉末を提供する。
【解決手段】本発明による建材用粉末は、質量%で、ホルンフェルス粉末:20〜50%、希土類鉱石粉末:30〜75%及び二酸化チタン粉末:1〜15%を含有する。各粉末を上記組成範囲で混合することにより、ホルンフェルス粉末から放射される遠赤外線と、希土類鉱石粉末から放射されるマイナスイオンと、遠赤外線の放射改善とマイナスイオンの放射改善とに寄与する二酸化チタン粉末とが相互に関連し、α波が増大する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、建材用粉末及び建材に関し、さらに詳しくは、内装材等の建材に適用される建材用粉末及びその建材用粉末を含有する建材に関する。
【背景技術】
【0002】
人間の活動のほとんどは、会社内や自身の住居内といった居住空間内で行われる。そのため、従来から、人間が快適に活動できる居住空間が要求されている。特に、仕事の効率を向上させたり、精神的疲労を回復させたりするために、人間がリラックスして過ごせる居住空間が望まれている。
リラックス効果を得る方法の1つとして、人間の脳波であるα波を増大させる方法がある。α波を増大させることによりリラックス効果を得ることを目的とするものとして、特開2000−262622号公報(特許文献1)には、トルマリンを用いた頭部着用具が開示されている。また、特開2007−51396号公報(特許文献2)には、ナノサイズのゲルマニウム粒子が付着した寝具が開示されている。
【0003】
しかしながら、これらの文献に開示されたものはいずれも、α波を増大させるために、上述の頭部着用具または寝具を準備しなければならず、かつ、これらを身にまとわなければならない。居住空間内にいるだけでα波を増大させるためには、居住空間を構成する建材そのものがα波の増大作用を有するのが好ましい。
【特許文献1】特開2000−262622号公報
【特許文献2】特開2007−51396号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明の目的は、α波を増大可能な建材用粉末及び建材を提供することである。
【課題を解決するための手段及び発明の効果】
【0005】
本発明者は、種々の鉱物粉末を含有する建材と、被験者のα波との関係について調査した。その結果、ホルンフェルス粉末、希土類鉱石粉末及び二酸化チタン粉末を、所定の割合で混合した粉末を建材に含ませることにより、被験者のα波が増大することを見出した。
【0006】
本発明は以上の知見に基づいて完成されたものであり、その要旨は以下のとおりである。
本発明による建材用粉末は、質量%で、ホルンフェルス粉末:20〜50%と、希土類鉱石粉末:30〜75%と、二酸化チタン粉末:1〜15%をと含有し、α波を増大する作用を有する。
【0007】
好ましくは、ホルンフェルス粉末は、カリウム40を含有する。
この場合、α波がより増大する。
【0008】
本発明による建材は、上述の建材用粉末を含有する。ここで、建材とは、たとえば、内装材である。より具体的には、たとえば、床材やドア、天井材、壁材等である。また、吹付材としての板材、壁紙、タイル、接着材、目地材等である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
以下、本発明の実施の形態を詳しく説明する。以降の説明中の「%」は、質量%を示す。
【0010】
本実施の形態による建材用粉末は、質量%で、ホルンフェルス粉末:20〜50%、希土類鉱石粉末:30〜75%及び二酸化チタン粉末:1〜15%とを含有する。
【0011】
本実施の形態による建材用粉末は、ホルンフェルス粉末と、希土類鉱石粉末と、二酸化チタン粉末とを、上述の数値範囲で含有することにより、α波を増大する効果を有する。この効果が奏される理由は定かではないが、各粉末を上記組成範囲で混合することにより、ホルンフェルス粉末から放射される遠赤外線と、希土類鉱石粉末から放射されるマイナスイオンと、遠赤外線の放射特性とマイナスイオンの放射特性とを共に改善すると推定される二酸化チタン粉末とが相互に関連し、α波を増強するものと推定される。
【0012】
ホルンフェルス粉末は、ホルンフェルスを粉末にしたものである。ホルンフェルスとは、砂岩や泥岩、頁岩といった原岩が接触変成作用を受けて形成されたものである。ホルンフェルスは、主として酸化シリコンと酸化アルミニウムからなり、他の化学成分として、ナトリウム、マグネシウム、酸化鉄等を含む。ホルンフェルスはさらに、ルビジウム、チタン、ストロンチウム等の元素を含む場合がある。
【0013】
ホルンフェルス粉末の含有量が20%未満であれば、α波が増大し難い。含有量が過剰に少ないために遠赤外線の放射量が低下することが、その原因の1つと推定される。一方、含有量が50%を超えると、希土類鉱石粉末及び二酸化チタン粉末の含有量が低下するため、α波が増大し難い。したがって、ホルンフェルス粉末の含有量は20〜50%とする。
【0014】
好ましくは、ホルンフェルス粉末は、カリウム40を含む。カリウム40を含むホルンフェルス粉末は、4〜14μmの波長域の赤外線である育成光線をより多く放射する。この育成光線と希土類鉱石粉末から放出されるマイナスイオン、及び二酸化チタン粉末との相乗効果により、α波がより増強される。カリウム40を含むホルンフェルスは、たとえば、九州の四万十層で採掘される天降石である。
【0015】
希土類鉱石は、17個の希土類元素のうち1種又は2種以上を含有する鉱石である。代表的な希土類鉱石は、たとえば、バストネサイトや、モナザイト、ゼノタイムである。希土類鉱石粉末は、希土類鉱石を粉末にしたものである。
【0016】
希土類鉱石粉末の含有量が30%未満であれば、α波が増大し難くなる。マイナスイオンの放射量が低下することがその原因の1つと推定される。一方、希土類鉱石の含有量が75%を超えると、ホルンフェルス粉末及び二酸化チタン粉末の含有量が低下するため、各粉末同士の相乗効果が低下し、α波が増大し難くなる。したがって、希土類鉱石粉末の含有量は30〜75%である。希土類鉱石粉末の含有量の好ましい下限値は40%である。
【0017】
二酸化チタン粉末は、二酸化チタンを粉末にしたものである。二酸化チタン粉末の作用は必ずしも定かではないが、以下の作用が推定される。二酸化チタン粉末は、単体では、α波を増大する作用を有さない。しかしながら、ホルンフェルス粉末及び希土類粉末と混合することにより、ホンフェルス粉末が遠赤外線を放射するのを助長し、かつ、希土類鉱石粉末がマイナスイオンを放射するのを助長する。つまり、二酸化チタン粉末が、ホルンフェルス粉末の赤外線放射特性の向上及び希土類鉱石粉末のマイナスイオン放射特性の向上に寄与するために、α波がより増大するものと考えられる。
【0018】
二酸化チタン粉末の含有量が1%未満であれば、α波が増大し難い。一方、二酸化チタン粉末の含有量が15%を超えれば、その効果は飽和する。したがって、二酸化チタン粉末の含有量は1〜15%である。二酸化チタン粉末含有量の好ましい下限値は5%である。
【0019】
建材用粉末の好ましい粒径は、2μm〜100μmである。粒径が100μmを超えると、建材用粉末が塗布された建材、及び、建材用粉末を含有した建材の表面が粗くなる。一方、2μm未満の粒径とするのは製造上困難である。したがって、好ましい粒径は2μm〜100μmである。より好ましい粒径は、2μm〜70μmである。
【0020】
本実施の形態による建材用粉末は、建材に含有され、使用される。建材に含有する方法としては、たとえば、以下の方法がある。
(1)塗料に含有し、建材表面に塗布する。
上述の建材用粉末をアクリルウレタン樹脂系等の塗料に混ぜる。そして、建材用粉末を含有した塗料を建材表面に塗布する。壁紙を貼るための糊剤に建材用粉末を含有し、建材に塗布してもよい。塗料中の建材用粉末の好ましい含有量は、質量%で5〜70%である。
(2)建材内に直接含有する。
上述の建材用粉末を建材に含有する。具体的には、コンクリートや、モルタルに建材用粉末を含有する。また、タイルや壁材を構成する合成樹脂やセラミック等の建材に建材用粉末を含有する。これらの建材内の建材用粉末の含有量は、質量%で5〜70%が好ましい。
【0021】
なお、本実施の形態による建材用粉末は、ホルンフェルス粉末、希土類鉱石粉末及び二酸化チタン粉末の含有量が上述の数値範囲を満たせば、残部に、ホルンフェルス粉末、希土類鉱石粉末及び二酸化チタン粉末以外の粉末が含まれてもよい。たとえば、ゼオライト、竹炭、備長炭、かきがら等の粉末を含有してもよい。
【実施例1】
【0022】
本発明による建材用粉末が表面に塗布された複数の壁材(以下、本発明建材という)で構成された部屋(以下、本発明部屋という)と、従来の壁材(以下、従来建材)で構成された部屋(以下、従来部屋という)とを準備し、それぞれの部屋内で被験者のα波を調査した。
[調査方法]
本発明建材は以下の方法で作製された。表1の組成で構成される建材用粉末を準備した。表1中のホルンフェルスの主要な化学組成は表2に示すとおりであった。表1に示すとおり、希土類鉱石として化学組成を有するモナザイトを使用した。使用されたモナザイトの主要な化学組成を表3に示す。建材用粉末の平均粒径は、30μmであった。
【表1】

【表2】

【表3】

表1の建材用粉末をアクリルウレタン系水溶性樹脂液に混入して塗料を作製した。塗料中に含有された建材用粉末は質量%で65%であった。
【0023】
作製された塗料を、予め準備された壁材表面に塗布し、本発明建材を作製した。このとき、壁材として、木製の壁材を準備した。塗布量の平均は150g/mであった。
【0024】
作製された複数の本発明建材を用いて、図1に示す本発明部屋を作製した。このとき、本発明建材の表面のうち、塗料が塗布された面が部屋の内面となるように、本発明部屋を作製した。部屋の寸法は図1に示すとおり(単位はcm)とした。
【0025】
一方、木製の壁材で構成された従来部屋を準備した。本発明部屋、従来部屋ともに、天井には100ワットの照明灯を設けた。
【0026】
5名の被験者(男性3名、女性2名、平均年齢44.8歳)を準備した。初めに、被験者を1人ずつ従来部屋に入れ、各被験者のα波を測定した。α波の測定には、テイアック株式会社製の携帯型多用途生体アンプ・収録装置Polymate(商標)を使用した。国際10/20法に基づいた12部位を測定箇所とし、耳朶に基準電極を置いた。各被験者ともに、入室から5分後のα波の振幅値(μV)を測定した。12部位の測定値の平均を各被験者のα波振幅値と定義した。全ての被験者のα波振幅値の平均値を従来部屋のα波振幅値とした。
【0027】
従来部屋での測定を完了後、被験者を1人ずつ本発明部屋に入れ、従来部屋での測定と同様の方法で、本発明部屋での各被験者のα波振幅値を求めた。全ての被験者のα波振幅値の平均値を本発明部屋のα波振幅値とした。
[調査結果]
図2に調査結果を示す。図2の縦軸は、α波振幅値(μV)である。図2を参照して、本発明部屋のα波振幅値は、従来部屋のα波振幅値よりも1.25倍程度増大した。
なお、従来部屋内のマイナスイオンと本発明部屋内のマイナスイオンを測定した結果、本発明部屋内のマイナスイオン値の方が高く、部屋を作製してから30分後のマイナスイオン値は750cmであった。さらに本発明部屋内のマイナスイオン値は、時間の経過とともに徐々に増加した。
【0028】
以上、本発明の実施の形態を説明したが、上述した実施の形態は本発明を実施するための例示に過ぎない。よって、本発明は上述した実施の形態に限定されることなく、その趣旨を逸脱しない範囲内で上述した実施の形態を適宜変形して実施することが可能である。
【産業上の利用可能性】
【0029】
本発明による建材用粉末は、建材に広く適用可能であり、特に、内装建材に利用可能である。
【図面の簡単な説明】
【0030】
【図1】本発明の実施例で準備された部屋の寸法を示す斜視図である。
【図2】本発明の建材で構成された部屋でのα波振幅値を、従来の建材で構成された部屋でのα波振幅値と比較した図である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
質量%で、ホルンフェルス粉末:20〜50%、希土類鉱石粉末:30〜75%及び二酸化チタン粉末:1〜15%を含有し、α波を増大する作用を有することを特徴とする建材用粉末。
【請求項2】
請求項1に記載の建材用粉末であって、
前記ホルンフェルス粉末は、カリウム40を含有することを特徴とする建材用粉末。
【請求項3】
請求項1又は請求項2に記載の建材用粉末を含有することを特徴とする建材。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate


【公開番号】特開2008−266066(P2008−266066A)
【公開日】平成20年11月6日(2008.11.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−110284(P2007−110284)
【出願日】平成19年4月19日(2007.4.19)
【出願人】(507062624)オードメルス株式会社 (2)
【Fターム(参考)】