説明

建築物の外壁構造

【課題】 建築物の外壁面に外装材が敷設された外壁構造において、外装材の固定個所で使用されるパテ材に、経時的にひび割れや隙間が発生することを防止し、良好な外観性を維持できるようにする。
【解決手段】 実質的に変形性のない高剛性構造体からなり、その表面に前記外装材が取り付けられる下地面10と、下地面10の表面に敷設され比較的に変形性のある外装材20と、外装材20を複数個所で下地面10に固定する固定部材30と、固定部材30の頭部を覆い、伸び率50〜150%、透水性1.0ml/24Hr以下、体積収縮率2.5%以下であるパテ材とを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、建築物の外壁構造に関し、詳しくは、住宅などの外壁施工に適用され、ケイカル板などからなる外装材を、下地面となる鋼枠などに取り付ける外壁の構造を対象にしている。
【背景技術】
【0002】
建築物の外壁施工として、矩形状のケイカル板などからなる外装板を敷き詰めて仕上げる技術が知られている。
外装板による外装仕上げは、塗り壁などに比べて施工が容易で能率的であり耐久性などにも優れているとされている。
特に、工業化住宅などの建築物で、外壁を構成する各部材を積層一体化させた複合建築パネルを利用する場合、複合建築パネルの構造材である鋼枠に外装材を、ねじ釘などで取り付けて固定するだけでよいので、生産能率が極めて高くなり、外壁施工全体の効率化、低コスト化に大きく貢献している。
【0003】
外装材を、ねじ釘で取り付ける場合、ねじ釘の頭が、外装材の表面に露出したままになると、外観性が悪くなるとともに、ねじ釘が錆び易くなる。ねじ孔部分から壁の内部まで雨水などが浸入する問題も生じる。
そこで、ねじ釘の頭部は、パテ材で覆っておく。具体的には、外装材に、ねじ釘の頭部が収容されるザグリ凹部を設けておき、このザグリ凹部内に、ねじ釘の頭部が配置された状態で、その上にパテ材を充填して塞いでおく。
特許文献1には、上記のような構造に用いるパテ材として、経時的にひび割れや隙間が発生し難い特性を有する材料を用いることで、外壁の外観性を損なうことがなく良好な水密性を長期間にわたって維持できる技術が開示されている。
【特許文献1】特開2003−253846号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
前記特許文献1の技術でも、いまだ経時的な性能の低下が生じることがあり、更なる改良が望まれた。
特許文献1のパテ材における問題点を検討したところ、ねじ孔のザグリ凹部内で、ねじ釘の上を塞いでいるパテ材と、周囲の外装材表面との間に段差が生じて、外観的に目障りになったり、パテ材とザグリ凹部の内面との間に隙間が生じたりすることが判明した。
本発明の課題は、このような外装材およびパテ材を用いた外壁構造の技術をさらに改良して、経時的に良好な外観性を維持できるとともに、パテ材の周囲に隙間が発生しないようにすることである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明にかかる建築物の外壁構造は、建築物の外壁面に外装材が敷設された外壁構造であって、実質的に変形性のない高剛性構造体からなり、その表面に前記外装材が取り付けられる下地面と、前記下地面の表面に敷設され比較的に変形性のある外装材と、前記外装材を複数個所で前記下地面に固定する固定部材と、前記固定部材の頭部を覆い、伸び率50〜150%、透水性1.0ml/24Hr以下、体積収縮率2.5%以下であるパテ材とを備える。
〔建築物の外壁〕
建築物としては、一般住宅や集合住宅、オフィスビル、工場その他の各種建築物に適用できる。
【0006】
外壁とは、建築物の屋内空間と屋外空間とを仕切る通常の側壁だけでなく、屋根や軒下天井、柱壁、塀などの外面を構成する壁構造にも適用できる。
外壁は、コンクリートや鉄骨、木柱などの骨組構造、断熱材、配管、配線などの内部構造、屋内側の表面を構成する内装構造、屋外側の表面を構成する外装構造などで構成される。
外装構造以外の内部および内装側の構造については、特に限定されず、一般的な建築物における構造部材あるいは材料、層構成が採用できる。
外装構造については、外装材を下地面に敷設し固定部材で固定する。
【0007】
外壁を複合建築パネルで構成する場合、型鋼材などで構成された鋼枠の片面側に内装材が取り付けられ、反対面側に外装材が取り付けられる。断熱材は鋼枠の内部に収容しておくことができる。
〔下地面〕
外装材が取り付けられる下地になる面である。実質的に変形性のない高剛性構造体からなる。実質的に変形性がないとは、外装材の変形性に比べて、変形性が無視できるほど小さいことを意味する。変形性とは、機械的な外力による変形と、熱膨張および熱収縮による変形や吸湿による変形などを含めた変形で評価する。
【0008】
基本的には、通常の建築物における外装材の下地面と同様の材料および部材構造が採用できる。例えば、型鋼材を組み立てて構成される鋼枠や、コンクリート盤、鉄骨柱、コンクリート柱などが挙げられる。
なお、下地面として、鋼枠などの高剛性構造体の表面に、合板などの比較的に変形性のある材料層が配置されている場合でも、外装材が固定部材で鋼枠などのほうに固定されていれば、実質的な下地面は鋼枠などである。
〔外装材〕
下地面の表面に敷設される。下地面を構成する高剛性構造体に比べて、変形性のある材料からなる。
【0009】
一般的な建築物で外装材として使用されている材料や構造が使用できる。建築物の外観や表面特性の要求に合わせて選択できる。具体的には、ケイカル板、セメント板、コンクリート板などが挙げられる。外装材の厚みは、固定部材の取付個所において、12−50mmの範囲に設定できる。
外装材の形状は、一般的には矩形板状をなしているが、それ以外の形状、例えば、多角形状のものや、外形に曲線部分を有するもの、柱の角や壁の隅に合わせた屈曲板状をなすもの、円柱の表面を構成する曲面状のものなどもある。
外装材には、固定部材を挿通する貫通孔や貫通溝、切り欠きなどを設けておくことができる。例えば、ねじ釘などの固定部材を挿通する貫通孔を設けることができる。貫通孔の端部には、固定部材の頭部が収容されるザグリ凹部を設けることができる。ザグリ凹部の寸法形状は、固定部材の頭部を収容した上方に十分な量のパテ材が充填できるように設定しておくのが好ましい。
【0010】
外装材は、下地面の表面に並べて敷設される。下地面と外装材の形状および構造によって、外装材を一方向に順次並べて施工したり、前後左右に並べて施工したりすることがある。通常、外装材同士の間には隙間があかないように詰めて施工される。外装材同士の間に隙間をあけ、この隙間を目地材で塞ぐように施工することもできる。
〔固定部材〕
外装材を複数個所で下地面に固定する。
通常の建築材取り付けに利用される、釘やねじ釘、スクリューねじ、リベット等が使用される。
【0011】
固定部材は、外装材の外周辺あるいは中心線などに沿って、互いに間隔をあけて複数個所に取り付けられる。固定部材の間隔を狭くするほど、外装材の変形を抑えることができるが、固定作業に手間や時間がかかる。外装材の変形を許さないと、外装材が熱応力で割れたりする問題が生じ易くなる。通常は、固定部材の設置間隔を3〜90cmに設定する。
外装材に、固定部材を挿通する貫通孔やザグリ凹部を設ける場合、固定部材の口径や頭部形状に合わせた内径の貫通孔あるいはザグリ凹部を設けておく。具体的には、JIS規格などに規定された、ねじ釘およびねじ下孔やザグリの規格寸法が適用できる。
【0012】
〔パテ材〕
固定部材の頭部を覆って施工される。固定部材の取付個所における外観性や水密性を確保し、固定部材の腐食防止の機能も果たす。
基本的には、通常の建築施工用のパテ材と同様の材料や配合を組み合わせて構成される。本発明では、パテ材の性状として、伸び率50〜150%、透水性1.0ml/24Hr以下、体積収縮率2.5%以下であるものを用いる。
パテ材の伸び率が充分にあれば、外装材の伸縮や変形などに対応してパテ材が容易に追随して伸縮できる。但し、伸び率が大き過ぎると、充填作業を行い難くなる。透水性が小さいことで、雨水などの侵入を確実に阻止できる。体積収縮率が小さいことで、パテ材を充填したあとで経時的に体積が小さくなる痩せの現象が防止できる。パテ材が痩せると、伸び率が充分にあっても、パテ材と外装材のザグリ凹部内面などとの間に隙間ができ易くなる。外装材の表面とパテ材の表面との間に段差が目立って、外観的に目障りになり易い。
【0013】
<パテ材の材料>
パテ材として、1液性の湿気硬化型ウレタン系パテが使用できる。1液性の湿気硬化型ウレタン系パテは、低温時の硬化性に優れる。2液性のパテ材では必須の混練作業が不要になり、常に一定の品質で使用できる。作業性、形状保持性がよく、ザグリ凹部への充填が行ない易い。耐クラック性に優れ、外装材の伸縮への追従性も高い。透水性がないので、水密性を確保できる。パテ材を施工後に、仕上げ塗装の焼き付け処理など高温処理を行っても、フクレなどの問題が生じず、塗装面の外観も良好である。
パテ材の材料として、イソシアネート基含有ウレタンプレポリマーが使用できる。イソシアネート基含有ウレタンプレポリマーは、有機ポリイソシアネートと高分子ポリオールとを、活性水素に対してイソシアネート基過剰の条件で反応させて得ることができる。鎖延長剤を配合しておいてもよい。
【0014】
有機ポリイソシアネートには、芳香族ジイソシアネートや脂肪族ジイソシアネート、芳香脂肪族ジイソシアネート、脂環族ジイソシアネート、および、これらの変性イソシアネートなどが含まれる。
高分子ポリオールには、ポリエーテルポリオールなどが含まれる。活性水素基を2個以上有する高分子ポリオールとして、ダイマー酸系ジオールやエポキシ樹脂などが挙げられる。高分子ポリオールの数平均分子量として、500〜30,000の範囲のものが使用できる。
鎖延長剤として、ポリエステルポリオールの合成に用いられる低分子アルコール類などが使用できる。分子量500未満のものが好ましい。
【0015】
イソシアネート基含有ウレタンプレポリマーの合成は、通常の合成方法、合成条件が採用される。
イソシアネート基含有ウレタンプレポリマーのイソシアネート基含有量は、0.1〜15.0質量%、さらには1.0〜10.0質量%が好ましい。イソシアネート基が少な過ぎると、分子量が大きくなりすぎ粘度が増大し作業性が低下する。イソシアネート基が多過ぎると、分子量が小さくなりすぎ機械的強度が発現し難い。
パテ材には、イソシアネート基含有ウレタンプレポリマーに加えて、無機充填剤や架橋触媒、カップリング剤、揺変剤、着色剤、溶剤なども配合できる。無機充填剤の配合量は、イソシアネート基含有ウレタンプレポリマー100重量部に対して400〜800重量部が好ましい。無機充填剤が少ないと、パテ材の施工後に塗料を上塗りしたときに塗料のひび割れが発生しやすくなり、無機充填剤が多すぎると、作業性が悪くなる。
【0016】
パテ材の好ましい配合例として、イソシアネート基含有ウレタンプレポリマー10〜29質量%、無機充填剤70〜80質量%、溶剤1〜10質量%が採用できる。
パテ材の体積収縮率を小さくするのに有効な手段として、溶剤量を少なくし、高分子可塑剤を配合しておくことが有効である。具体的には、溶剤量を、0〜2.5質量%に設定することができる。高分子可塑剤の具体例として、ショ糖のポリエーテル化物等のポリエーテル系高分子可塑剤、低粘度の(メタ)アクリル酸エステル系共重合体等のアクリル系高分子可塑剤などであって、数平均分子量が1,000以上のものが挙げられる。高分子可塑剤の配合量は、1〜10質量%に設定できる。
【0017】
<パテ材の施工>
パテ材の施工は、基本的には通常の建築施工におけるパテ材の施工と同様の方法や作業条件が採用できる。
外装材の表面に露出している固定部材を覆うように施工する。固定部材と外装材との隙間をなくすように施工する。通常は、外装材に設けられたザグリ凹部の内部にパテ材を充填する。ザグリ凹部に充填されたパテ材は、ねじ釘などの固定部材の頭を覆ってザグリ凹部の表面まで埋める。
パテ材を施工した後、仕上げ塗装を施すことができる。仕上げ塗装は、常温硬化型塗料を使用してもよいし、加熱硬化型あるいは焼付硬化型の塗料を使用することもできる。
【発明の効果】
【0018】
本発明にかかる
本発明にかかる建築物の外壁構造は、下地面に外装材を固定した固定部材を覆うパテ材が、適度な伸び性と耐透水性を備えていることで、変形性のない下地面に対して外装材が大きく変形しても、パテ材にひび割れが生じたり、パテ材と外装材との間に隙間が生じたりすることがなく、長期間にわたって、良好な仕上がり外観を維持し、雨水などが壁内に浸入するのを確実に阻止できる。
しかも、パテ材の体積収縮率が小さいので、パテ材を施工した後、経時的に痩せる現象が生じ難い。その結果、パテ材と外装材との間の隙間がより生じ難くなる。外観的に、パテ材の施工個所が周囲の外装材表面との間に段差がついて目障りになることが防止できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0019】
図1,2に示す建築物の外壁構造は、複合建築パネルで構成されている。
図2に示すように、全体が矩形盤状をなす複合建築パネルPは、C型鋼を縦横に格子状に配置して溶接やボルト結合で一体化した矩形状の鋼枠10と、鋼枠10の片面側に並べて配置された、ケイカル板などからなり小さな矩形状をなす外装材20とを有する。なお、パネルPのうち、外装材20とは反対面側には内装材を取り付けたり、鋼枠10の内部に断熱材を収容したりすることができるが、説明を簡単にするために省略している。
外装材20は、鋼枠10の長手方向に並べて4枚が配置されている。各外装材20は、外周辺と中心線に沿って間隔をあけて配置された固定部材となる、ねじ釘30で、鋼枠10に固定されている。
【0020】
図1に示すように、外装材20には、ねじ釘30の取付位置に、ねじ釘30の径よりも少し大きな断面円形の貫通孔22が設けられている。貫通孔22の上端は、逆円錐形をなすザグリ凹部24になっている。ザグリ凹部24の形状は、ねじ釘30の三角形状をなす皿形頭部32の形状に合わせている。
ねじ釘30は、外装材20の表面側から貫通孔22を通して、鋼枠10の表面に、ねじ込まれており、外装材20を鋼枠10に締め付け固定している。ねじ釘30の頭部32は、ザグリ凹部24の底部に配置されており、頭部32の上方には空間があいている。
ザグリ凹部24の内部空間のうち、ねじ釘30の頭部32よりも上方にはパテ材40が充填されている。パテ材40は、イソシアネート基含有ウレタンプレポリマーを主材料として製造された1液性の湿気硬化型ウレタン系パテ(オートンアドハー7100:商品名、オート化学工業社製)であり、伸び率100%、透水性0.5ml/24Hr、体積収縮率1〜2.5%を示す。
【0021】
パテ材40は、ザグリ凹部24の上縁まで充填されていて、外装材20との間を隙間なく塞いでいる。図2に示すように、複合建築パネルPの外観では、外装材20の固定位置にはパテ材40のみが露出し、ねじ釘30は完全に隠れている。
このようにして外装材20が取り付けられた複合建築パネルPは、必要に応じて、外装材20の表面に塗装が施される。塗装は、水系塗料を塗工したあと、90℃程度で180秒の焼き付けを行う。その後、さらに、必要に応じて、内装材や断熱材などが取り付けられて、複合建築パネルPは完成する。
完成した複合建築パネルPは、建築現場に搬入され、建築物の鉄骨骨組みなどに建て付けられて固定され、建築物の外壁構造が構築される。
【0022】
〔実施例〕
本発明の実施例となる外壁構造を作製し、その性能を評価した。
具体的には、図1、2に示すような複合建築パネルPを、パテ材の材料を変えて製造した。
<パテ材>
実施例1:1液性の湿気硬化型ウレタン系パテA
(オートンアドハー7100:商品名、オート化学工業社製、
イソシアネート基含有ウレタンプレポリマーを主成分とする)
比較例1:1液性の湿気硬化型ウレタン系パテB
(オートンアドハー7000:商品名、オート化学工業社製、
イソシアネート基含有ウレタンプレポリマーを主成分とする)
比較例2:1液性の湿気硬化型ウレタン系パテC
(オート化学工業社製、実施例1とは配合が異なる)
比較例3:釉元パテ
<外装材の取付条件>
鋼枠:C形鋼。
【0023】
外装材:ケイカル板、厚み12mm、縦240cm×横90cm矩形。
ねじ釘:取付ピッチ30cm。
塗装仕上げ:アクリルシリコン系水性塗料。90℃180秒焼き付け。
上記条件で外装材を取り付け製造された複合建築パネルに、以下の試験を実施した。
<試験方法>
伸び性:JIS−K6251(1993、改正1999)「加硫ゴムの引張試験方法」に準拠した。パテの養生は、2mm厚のシート状にして、23℃、50%相対湿度で14日間養生を行った。試験片は3号形ダンベル状を用いた。
【0024】
透水性:JIS−A6909(2003)「建築用仕上材」〔7.12透水試験B法〕に準拠した。パテの塗布厚みを2mmに設定した。
体積収縮率:JIS−A1439(1997、改正2002)「建築用シーリング材の試験方法」〔4.11質量及び体積変化試験〕に準拠した。
充填作業性:パテ材の充填作業を行ったときに、作業性の良否を、○、△、×の3段階で評価した。
塗装直後の外観:塗装仕上げを行って完成した外壁構造の外観を目視で評価した。パテ材の充填個所と周囲の表面との間に違いが認められない場合を○、わずかに違いが認められる場合を△、明らかに違いがある場合を×で評価した。
【0025】
経時後の外観:施工後1ヶ月おいて、再び、外壁構造の外観を目視で評価した。評価基準は、塗装直後の外観と同じであった。
<性能評価>
【0026】
【表1】

【0027】
<考察>
(1) 実施例1では、適度な伸び性を示すので、充填作業は容易であり、施工後に外装材が伸縮しても、耐透水性は良好に維持できた。塗装後にフクレなどが発生することもなく、良好な仕上がり外観を発揮できた。
しかも、経時的にも、痩せを生じることがなく、外観的にパテ材の充填個所と周囲の外装材の表面との間に、段差や境界線が目立つことはなかった。耐透水性が低下することも無かった。
(1) 比較例1は、塗装直後の状態では、実施例1と遜色のない良好な仕上がりが得られた。しかし、経時的にパテ材の痩せが発生し、外観的にパテ材の充填個所と周囲の外装材の表面との間に、段差や境界線が認められた。パテ材と周囲の外装材との間にわずかな隙間が発生し、雨水の侵入が生じた。
【0028】
(2) 比較例2では、伸び性が高すぎ、充填作業が難しく、塗装後にフクレなどの問題が発生して仕上がり外観が悪くなってしまった。比較例3では、伸び性が全くないため、表面にひび割れや隙間が発生し、透水性が大きくなってしまい、壁内部に水が浸入した。
【産業上の利用可能性】
【0029】
本発明の外壁構造は、例えば、住宅の外壁構造として、ケイカル板などの外装板を敷き詰めて、ねじ釘で固定し、ねじ頭の上をパテ材で塞ぐ構造を採用するときに、パテ材の充填個所における耐透水性の低下を経時的に確実に阻止することができ、外観性を長期間にわたって良好に維持するのに有用である。
【図面の簡単な説明】
【0030】
【図1】本発明の実施形態を表す外壁構造の要部拡大断面図
【図2】複合建築パネルの平面図
【符号の説明】
【0031】
10 鋼枠
20 外装材
22 貫通穴
24 ザグリ凹部
30 ねじ釘
32 頭部
40 パテ材

【特許請求の範囲】
【請求項1】
建築物の外壁面に外装材が敷設された外壁構造であって、
実質的に変形性のない高剛性構造体からなり、その表面に前記外装材が取り付けられる下地面と、
前記下地面の表面に敷設され比較的に変形性のある外装材と、
前記外装材を複数個所で前記下地面に固定する固定部材と、
前記固定部材の頭部を覆い、伸び率50〜150%、透水性1.0ml/24Hr以下、体積収縮率2.5%以下であるパテ材と
を備える建築物の外壁構造。
【請求項2】
前記固定部材が、ねじ釘であり、
前記外装材が、前記ねじ釘が挿通される貫通孔と、貫通孔の端部に配置され、ねじ釘の頭部が収容されるザグリ凹部とを有し、
前記パテ材が、前記ザグリ凹部の内部で前記ねじ釘の頭部の上に充填されている
請求項1に記載の建築物の外壁構造。
【請求項3】
前記外装材が、ケイカル板、セメント板、コンクリート板からなる群から選ばれる何れか1種からなり、
前記下地面が、型鋼材を枠状に結合してなる鋼枠である、
請求項1または2に記載の建築物の外壁構造。

【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2006−152667(P2006−152667A)
【公開日】平成18年6月15日(2006.6.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−344357(P2004−344357)
【出願日】平成16年11月29日(2004.11.29)
【出願人】(000004673)パナホーム株式会社 (319)
【出願人】(000103541)オート化学工業株式会社 (83)
【Fターム(参考)】