説明

建築用部材及びそれを用いた建築物

【課題】 冷却手段を備えた建築用部材及びそれを用いた建築物の提供を目的とする。
【解決手段】 本発明は、防水性部材と吸水性部材とを張り合わせ、前記吸水性部材側を外界に向けて前記防水性部材側に装着されることを特徴とする建築用部材である。又、所要数並べて屋根又は/及び外壁面が構成されるよう一定の形に形成された単位パネルである。又、防水性部材は角形に形成された吸水性部材の外周側面の少なくとも一側面を覆うように延在形成されたことを特徴とする。
又、屋根又は/及び外壁には、前記屋根又は/及び外壁の全部又は/及び一部に吸水させるための散水手段が配設されたことを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、含水された水の気化熱によって冷却される建築用部材及びそれを用いた屋根又は/及び外壁を備えた建築物に関する。
【背景技術】
【0002】
昨今、地球環境にやさしい省エネ技術が要望されており、種々の手段が提供されている。例えば、家屋の空調設備としてのエアコンディショナー等がある。
しかし、家屋の空調設備としては、何れも電気やガスがエネルギーとして使用されており、電気やガスの利用をゼロとすることはできない。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
本発明は、家屋の空調設備として、何れも電気やガスをエネルギーとして直接使用しない、冷却手段を備えた建築用部材及びそれを用いた建築物の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0004】
請求項1の建築用部材の発明は、防水性部材と吸水性部材とを張り合わせ、前記吸水性部材側を外界に向けて前記防水性部材側に装着されることを特徴とする。
【0005】
請求項2の発明は、請求項1の建築用部材において、所要数並べて屋根又は/及び外壁面が構成されるよう一定の形に形成された単位パネルであることを特徴とする。
【0006】
請求項3の発明は、請求項1又は請求項2に記載の建築部材防水性部材は角形に形成された吸水性部材の外周側面の少なくとも一側面を覆うように延在形成されたことを特徴とする。
【0007】
請求項4の発明は、請求項1又は請求項2に記載の建築部材において、防水性部材は角形に形成された吸水性部材の外周側面の少なくとも相対する一対の側面を覆うように延在形成されたことを特徴とする。
【0008】
請求項5の発明は、請求項1又は請求項2に記載の建築部材において、防水性部材は吸水性部材の外周側面の全側面を一体的に覆うように延在形成されたことを特徴とする。
【0009】
請求項6の発明は、請求項1乃至請求項5の何れかに記載の建築部材において、吸水性部材は、天然石材又はコンクリート又は合成樹脂で成形されたものであることを特徴とする。
【0010】
請求項7の建築物の発明は、請求項1乃至請求項6の何れかに記載の建築用部材で屋根又は/及び外壁が構成されたことを特徴とする。
【0011】
請求項8の建築物の発明は、請求項1乃至請求項6の何れかに記載の建築用部材で構成された屋根又は/及び外壁には、前記屋根又は/及び外壁の全部又は/及び一部に吸水させるための散水手段が配設されたことを特徴とするとする建築物。
【0012】
請求項9の発明は、請求項8に記載の建築物において、散水手段は、吸水性部材の表面側に配設された散水パイプを有することを特徴とする。
【発明の効果】
【0013】
請求項1乃至請求項9の発明によれば、何れも、吸水性部材に含水された雨水等が気化によって吸熱(気化熱)され、張り合わされた防水部材が冷却されて、防水部材側即ち建物の内部側が自然冷却される。
しかも、この冷却は、電気やガス等の化石燃料を消費しない自然冷却によるものであるため環境に優しく、過度な冷却によるエネルギーの無駄も無い。
【0014】
請求項1乃至請求項6の発明によれば、何れも、吸水性部材に含まれた水分の蒸発による気化熱によって、家屋内が自然冷却される建築用部材を提供できる。
【0015】
しかも、請求項2乃至請求項6の発明によれば、何れも、建築用部材が単位パネルに成形されているので、所要面積に応じて必要枚数を用いることにより、自由な施工が可能となる。
【0016】
請求項7の発明によれば、吸水性部材に含まれた水分の蒸発による気化熱によって、家屋内が自然冷却される建築物を提供できる。
【0017】
請求項8や請求項9の発明によれば、吸水性部材に雨水等の含水量が減少した場合には、散水手段により吸水性部材に適宜含水させることにより、自在に自然冷却を得ることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
以下、本発明を住宅家屋に適用した例を、図1乃至図5に基づいて説明する。
図1は住宅の斜視図、図2は単位パネルの一例、図3は他の一例、図4も他の一例、図5も他の一例である。
【実施例】
【0019】
図2乃至図5に示す建築用部材1は、防水性部材2を基板として、この防水性部材2に吸水性部材3を張り合わせて角形に形成された単位パネルである。これ等の単位パネルは、所要数が並べられて屋根5や外壁面6等が構成されるように、取り扱い易い一定の形に形成されたパネルであって、図2に示すように、吸水性部材3側を外界に向けて防水性部材2側が適宜装着されるものである。
【0020】
図3の単位パネルは、角形に形成された吸水性部材3の外周側面の少なくとも一側面21を覆うように防水性部材2が延在形成されている。この単位パネルは、例えば、図1の屋根5の縁部に用いられる。
【0021】
図4の単位パネルは、角形に形成された吸水性部材3の外周側面の少なくとも相対する一対の側面21,22を覆うように防水性部材2が延在形成されている。この単位パネルは、単位パネル1枚幅で複数枚が列設される領域、例えば、柱と柱との間や壁の屈曲部等の幅狭の面に適宜用いられる(図示せず)。
【0022】
図5の単位パネルは、角形に形成された吸水性部材3の外周側面の全周面21,22,23,24を覆うように防水性部材2が延在形成されている。この単位パネルは、図示されて無いが、1枚単独で、或いは、複数枚が集合又は適宜分散配置されて用いられる。
【0023】
上記の吸水性部材3は、雨水等の水や湿気等の水分を保持(以下、含水ともいう)できる部材であればよく、例えば、天然石材としては砥石や軽石のような石材を適宜の厚さにスライスしたりして用いる。
【0024】
又、コンクリート製の単位パネルとしては、雨水が浸透可能なコンクリート製の下水用枡等で既に実用化されている雨水浸透性コンクリートをパネル全面或いはパネルの一部に適用したものを用いる。
【0025】
更に、合成樹脂製の単位パネルとしては、上記コンクリート製の場合と同様に、雨水が浸透可能或いは雨水が含水されやすい多孔質或いは通気性を備えた多孔質部分をパネル全面或いはパネルの一部に適用したものを用いる。
【0026】
上記実施例の説明では、建築用部材1を住宅用家屋の屋根5や外壁面6に用いた例を示したが、これに限らず、倉庫やその他の建築物、例えば、室内の高温化を嫌う冷凍倉庫等に適用することもでき、効果的でもある。
【0027】
又、上記実施例の説明では、吸水性部材3に供給される水は雨水を予定しているが、雨水の供給では天候次第となってしまう不都合がある。
そこで、随時任意に冷却効果を得るために、上記単位パネルを用いた屋根5や外壁面6に散水するための散水手段4を設けた。
【0028】
散水手段4は、一般の散水施設と同様に、例えば水道水等の水源と水源からの水を導く水道管とポンプ等を備えており、散水口もスプリンクラーであったり散水孔41が無数に穿たれた散水パイプ42であったりする。
図1では、散水手段4としては散水パイプ42を用いて、屋根5の峰や外壁面6の上辺側に適宜配設してある。
【産業上の利用可能性】
【0029】
上記実施例では住宅や倉庫等について説明したが、これ等に限らず、ビル等の建築物に広く適用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0030】
【図1】図1は住宅の斜視図である。
【図2】図2は単位パネルの一例である。
【図3】図3は他の一例である。
【図4】図4は他の一例である。
【図5】図5は他の一例である。
【符号の説明】
【0031】
1 建築用部材
2 防水性部材
3 吸水性部材
4 散水手段
5 屋根
6 外壁面
41 散水孔
42 散水パイプ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
防水性部材と吸水性部材とを張り合わせ、前記吸水性部材側を外界に向けて前記防水性部材側に装着されることを特徴とする建築用部材。
【請求項2】
所要数並べて屋根又は/及び外壁面が構成されるよう一定の形に形成された単位パネルであることを特徴とする請求項1の建築用部材。
【請求項3】
防水性部材は角形に形成された吸水性部材の外周側面の少なくとも一側面を覆うように延在形成されたことを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の建築部材。
【請求項4】
防水性部材は角形に形成された吸水性部材の外周側面の少なくとも相対する一対の側面を覆うように延在形成されたことを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の建築部材。
【請求項5】
防水性部材は吸水性部材の外周側面の全側面を一体的に覆うように延在形成されたことを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の建築部材。
【請求項6】
吸水性部材は、天然石材又はコンクリート又は合成樹脂で成形されたものであることを特徴とする請求項1乃至請求項5の何れかに記載の建築部材。
【請求項7】
請求項1乃至請求項6の何れかに記載の建築用部材で屋根又は/及び外壁が構成されたことを特徴とする建築物。
【請求項8】
請求項1乃至請求項6の何れかに記載の建築用部材で構成された屋根又は/及び外壁には、前記屋根又は/及び外壁の全部又は/及び一部に吸水させるための散水手段が配設されたことを特徴とするとする建築物。
【請求項9】
散水手段は、吸水性部材の表面側に配設された散水パイプを有することを特徴とする請求項8に記載の建築物。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2008−106580(P2008−106580A)
【公開日】平成20年5月8日(2008.5.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−292799(P2006−292799)
【出願日】平成18年10月27日(2006.10.27)
【出願人】(503368188)
【Fターム(参考)】