説明

建設機械のサイドカメラ取付構造

【課題】サイドカメラの車体への組立性を向上させるとともに、サイドカメラ用の配線に特別な保護構造を設ける必要がない建設機械のサイドカメラ取付構造を提供する。
【解決手段】建設機械は、車体フレームと、車体フレームの前方の左側位置に設けられる運転室と、車体フレームの前方の中央位置に設けられる作業装置と、車体フレームの前方の右側位置に設けられるユーティリティ室22とを備えている。この建設機械において、ユーティリティ室22は、右側壁22D、左側壁22Hおよび上部が開閉可能でかつ施錠可能な開閉蓋22Aとによって画成されたボックス状に形成されている。車体フレームの右側の側方を撮像するサイドカメラを収納する収納ケース23が設けられ、この収納ケース23は、ボルト29でユーティリティ室22の右側壁22Dに固定され、かつサイドカメラ用の配線33が貫通孔23Fおよび22Fを挿通している。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、油圧ショベルやクレーン車などの建設機械の側方を監視するために設けられるサイドカメラの取付構造に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、油圧ショベル等の建設機械には周囲の状況を監視するためのカメラが設置されている。例えば、エンジン室後方のカウンタウエイトの上部に監視カメラを設置して、作業時に建設機械の後方の安全を監視するようにしたものが提案されている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
また、油圧ショベル等の建設機械として、前後左右の4箇所にタイヤが設けられ、一般の公道を走行できるよう構成された、例えば、ホイール式油圧ショベルがある。このような建設機械においては、運転室が建設機械の左側(車両左側)に設けられており、ブーム、アーム等からなる作業装置は運転室の右側方の車両中央部に設けられ、走行時は、この作業装置が折り畳まれた格納姿勢をとっているので、運転者にとって車両の右側方の状況が把握しにくい。そこで、車両の右側方にサイドカメラを設置し、このサイドカメラで撮像した画像を運転室のモニタに表示して、車両の右側方の状況を監視できるようにした建設機械が知られている。
【0004】
図8は、サイドカメラが設置された建設機械(ホイール式油圧ショベル)の側面図である。図8に示すように、この建設機械1は、走行体2と、走行体2の上側に配置され、車体フレーム3Aを有する旋回体3と、この旋回体3に取り付けられて上下方向に回動するブーム、アームおよびバケットからなるフロント作業装置4とから構成されている。また、旋回体3は、前方に運転室5を、後方にカウンタウエイト6をそれぞれ備え、これら運転室5とカウンタウエイト6との間に燃料タンク7およびエンジンルーム8が配置されている。なお、9、10は走行体2の前後左右に各々設けられたタイヤである。
【0005】
建設機械1には、燃料タンク7の前方に開閉可能なサイドドア11を有するユーティリティ室が設けられており、このユーティリティ室には、車体の駆動を制御する油圧機器や整備用の工具等が収容されている。図9はサイドドア11付近の構成を示しており、(a)はサイドドア11を閉めたときの斜視図であり、(b)はサイドドア11を開けたときの斜視図である。
【0006】
サイドドア11は、その後部が燃料タンク7の前部にヒンジ(図示省略)を介して取り付けられており、開閉自在に取り付けられている。そして、サイドドア11には、その内側にサイドカメラ12が取り付けられている。サイドドア11は、ユーティリティ室内の油圧機器のメンテナンスや整備用の工具を取り出す際に開閉される。なお、図9(b)に示すユーティリティ室内には、手摺り17が設けられ、サイドドア11は、前述した油圧機器のメンテナンス等以外に、旋回体3上での他のメンテナンス作業のためにステップ13、14、15、16を使って旋回体3上面部に昇る際に手摺り17を利用するときにも開閉される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2008−231726号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
上述したように、サイドカメラをサイドドアに取り付ける構造のものでは、サイドドアが車体に対して開閉自在に設けられるため、サイドカメラ用の配線もドアの開閉を考慮して取り付ける必要がある。そのためサイドカメラの車体への組立性が悪い。またドアの開閉に伴い配線の損傷を防ぐための処置も必要になるため配線の保護構造を設ける必要があり、構造が複雑になりやすい。また、ドアを閉めたときにサイドカメラがユーティリティ室内に突出するため、内部の機器との干渉を防ぐための配置が必要になり取付位置に制約を受けやすい。
【0009】
本発明の課題は、サイドカメラの車体への組立性を向上させるとともに、サイドカメラ用の配線に特別な保護構造を設ける必要がない建設機械のサイドカメラ取付構造を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記課題を解決するために、本発明の建設機械のサイドカメラ取付構造は、建設機械の旋回体を構成する車体フレームと、車体フレームの前方の左右一方側位置に設けられる運転室と、車体フレームの前方の中央位置に設けられる作業装置と、前記作業装置を挟んで前記運転室と反対側となる前記車体フレームの前方の左右他方側位置に設けられるユーティリティ室とを備えた建設機械のサイドカメラ取付構造に適用される。そして請求項1に記載の発明は、前記ユーティリティ室は、右側壁、左側壁および上部が開閉可能でかつ施錠可能な開閉蓋とによって画成されたボックス状に形成され、前記ユーティリティ室には、前記車体フレームの左右他方側の側方を撮像するサイドカメラと、このサイドカメラを固定する固定手段を設けることを特徴とする。
【0011】
上記構成によれば、ユーティリティ室の内部において固定手段を操作するだけで、例えばユーティリティ室の右側壁にサイドカメラを固定することが可能となり、サイドカメラの車体フレームヘの組立性を向上させることができる。また、サイドカメラ用の配線に特別な保護構造を設ける必要がなく、構成が簡単なサイドカメラ取付構造を実現することができる。
【0012】
また、請求項2の発明では、前記ユーティリティ室の前記固定手段は、前記右側壁または左側壁のいずれか一方に設けられ、前記サイドカメラを内部に収容する収納ケースを備え、前記収納ケースは、少なくとも左側面壁、右側面壁および前面壁を有するボックス状に形成され、前記左側面壁および右側面壁のいずれか一方には、前記収納ケースを前記ユーティリティ室の前記固定手段に固定するための被固定手段が設けられ、前記左側面壁および右側面壁のいずれか他方には、前記サイドカメラの撮像レンズが外部に臨む開口部を備え、前記収納ケースは、前記ユーティリティ室の外側に設けられることを特徴とする。
【0013】
また、請求項3の発明では、前記ユーティリティ室は、前記右側壁または左側壁のうち、前記車体フレームの左右他方側に位置する側壁が前記車体フレームの前記左右他方側の縁部よりも前記運転室側に位置するように形成され、前記収納ケースと前記ユーティリティ室とは前記車体フレームの他方側の縁部から前記運転窓側に向けて並べて配置されることを特徴とする。
【0014】
また、請求項4の発明では、前記車体フレーム上には、前記ユーティリティ室の後部に貯油タンクが設けられ、前記貯油タンクの前側下部には、凹部が形成され、前記収納ケースは前記貯油タンクの前記凹部に収容されて設けられるとともに、前記ユーティリティ室は、その後端部が前記凹部に収容されて設けられることを特徴とする。
【0015】
また、請求項5の発明では、前記車体フレームの前方の左右他方側の位置には、前記収納ケースの前方でかつ、前記ユーティリティ室の側方に位置して、ステップとして利用可能なスペースが形成されることを特徴とする。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、サイドカメラの車体への組立性を向上させることができるとともに、サイドカメラ用の配線に特別な保護構造を設ける必要がない建設機械のサイドカメラ取付構造を実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】本発明に係るサイドカメラ取付構造が適用された建設機械の側面図である。
【図2】図1における建設機械の右前方を拡大して示した右前方斜視図であり、(a)はユーティリティボックスの開閉蓋が閉じられた状態を示す状態図、(b)はユーティリティボックスの開閉蓋が開けられた状態を示す状態図である。
【図3】サイドカメラを収納した収納ケースの取付方法を示しており、(a)は収納ケース取付前の様子を示す斜視図、(b)は収納ケース取付後の様子を示す斜視図である。
【図4】サイドカメラを収納した収納ケースの外観斜視図である。
【図5】図4の収納ケースを裏側から見たときの斜視図である。
【図6】第1の実施の形態におけるサイドカメラを収納した収納ケースをユーティリティボックスに取り付けたときの取付箇所の断面図である。
【図7】本発明の第2の実施の形態による収納ケースのユーティリティボックスへの固定構造を示す取付箇所の断面図であり、(a)は取付前の断面図、(b)は取付後の断面図である。
【図8】従来例を示しており、サイドカメラが設置された建設機械の側面図である。
【図9】図8における建設機械の右前方を拡大して示した右前方斜視図であり、(a)はサイドドアが閉じられた状態を示す状態図、(b)はサイドドアが開けられた状態を示す状態図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本発明の第1の実施の形態を図1〜図6に基づいて説明する。
【0019】
図1は、本発明に係るサイドカメラ取付構造が適用された建設機械の側面図である。図1に示すように、この建設機械1は、走行体2と、走行体2の上側に配置され、車体フレーム20を有する旋回体3と、この旋回体3に取り付けられて上下方向に回動するブーム、アームおよびバケットからなるフロント作業装置4とから構成されている。また、旋回体3は、左前方に運転室5を、後方にカウンタウエイト6をそれぞれ備え、カウンタウエイト6の前側には、カウンタウエイト6と隣り合ってエンジンルーム8が設けられ、フロント作業装置4を挟んで運転室5の反対側(右側)には、エンジンルーム8の前方位置に、燃料タンクを含む貯油タンク21が設けられている。なお、9、10は走行体2の前後左右に各々設けられたタイヤである。また、貯油タンク21の前方には、内部に工具等が収容され、開閉蓋22Aによって開閉可能なユーティリティボックス22と、内部にサイドカメラ32(図1不図示)を備えた収納ケース23と、旋回体3の上面部に昇る際に使用される第一ステップ24、第二ステップ25、第三ステップ26とが設けられる。なお、これらの詳細については後述する。
【0020】
図2(a)および(b)は、建設機械(油圧ショベル)の右前方を拡大して示した右前方斜視図であり、(a)はユーティリティボックスの開閉蓋が閉じられた状態を示す状態図、(b)はユーティリティボックスの開閉蓋が開けられた状態を示す状態図である。なお、図2(a)および(b)の各図において、右方は建設機械の前部側であり、左方は建設機械の後部側である。
【0021】
車体フレーム20には、図2(a)および(b)に示すように、その前方中央位置に、フロント作業装置4が連結される作業装置連結部27が車体前後方向に延在している。車体フレーム20上で作業装置連結部27の左側には運転室5(図1参照)が設置され、右側には貯油タンク21とユーティリティ室としてのユーティリティボックス22と内部にサイドカメラ32を備えた収納ケース23とが設置されている。貯油タンク21は、給油口21Cを有する上面板と左右の側面板とからなる上側面板21Dと、それらの前面に設けられる前面板21Eと後面板、底面板(いずれも不図示)により6面が形成された容器として形成される。そしてこの貯油タンク21の前面板21Eには、タンクの意匠性を確保するために所定の厚みを有する化粧カバー21Bが設けられている。この化粧カバー21Bは、前面板21Eの下部を残して前面を覆うように設けられ、化粧カバー21Bの下部には化粧カバー21Bの下面と貯油タンク21の前面板21Eと車体フレーム20の上面とによって凹部21Aが形成される。
【0022】
ユーティリティボックス22は、車体フレーム20の右側端側に位置する右側壁22Dと、作業装置連結部27側に位置する左側壁22Hとそれらを前後で接続する前後の側壁(不図示)とにより側部が画成されたユーティリティボックス本体22Bと、このユーティリティボックス本体22Bの上部開口部を不図示のヒンジにより開閉可能に閉塞する開閉蓋22Aと、開閉蓋22Aの施錠を行なう施錠口22Cとにより構成される。そして、このユーティリティボックス22は、後端の一部が貯油タンク21の前面に設けられた凹部21Aに収容されて設けられるとともに、右側壁22Dの右側方の車体フレーム20上に所定幅のスペースからなる第一ステップ24が形成されるように右側壁22Dが車体フレーム20の右側端から内方(左側)に位置するように車体フレーム20に設けられる。ユーティリティボックス22の開閉蓋22Aは、上面に平面部を有し、開閉蓋22Aを閉じたとき、この平面部が第二ステップ25を構成する。また、貯油タンク21の前面板21Eの上部には、化粧カバー21Bに設けられた切欠きから突出する第三ステップ26が設けられ、これら第一ステップ24、第二ステップ25、第三ステップ26および手掛け部や手摺り部(図示省略)を利用して、作業者が貯油タンク21の上に容易にアクセス可能になっている。
【0023】
なお、開閉蓋22Aのヒンジは、開閉蓋22Aを開閉させる際に、開閉蓋22Aが貯油タンク21の化粧カバー21Bの下部に干渉しない位置(凹部21Aよりも前方側)に設けられる。
【0024】
収納ケース23は、図4、5に示すように凹部21A内に収容されて設けられ、前面壁23A、右側面壁23D、左側面壁23Bと、上面壁および下面壁とにより5面が閉塞され、後面が開口した箱状に形成される。右側面壁23Dには、小径の開口23Eが設けられ、左側面壁23Bには2つのボルト孔23Cと、2つのボルト孔23Cの間に矩形状の貫通孔23Fが設けられる。ボルト孔23Cには、左側面壁23Bの内面にナット28が固着される。(図6参照)また、収納ケース23内には、右側面壁23Dの開口23Eの近傍と左側面壁23Bとの間にステー30が設けられる。収納ケース23内に設けられるサイドカメラ32は、L字型のブラケット31に固定され、このブラケット31をサイドカメラ32の撮像レンズが開口23Eから外部を臨むようにボルトによりステー30に固定することによって設けられる。サイドカメラ32に接続されたハーネス33は、貫通孔23Fから外部に導き出されるようになっている。そしてこの収納ケース23は、図2(a)(b)に示すように凹部21Aに収容されて左側面壁23Bがユーティリティボックス22の右側壁22Dに固定されて設けられる。なお、収納ケース23はユーティリティボックス22に固定された際に、右側面壁23Dが貯油タンク21の上側面板21Dの右側面板および化粧カバー21Eの側面と同一面となり、前面壁23Aが化粧カバー21Eの前面と同一面となるように構成される。
【0025】
次に図3(a)(b)により、収納ケース23のユーティリティボックス22への固定構造を説明する。
【0026】
ユーティリティボックス22の後端の凹部21Aに収容される部分の右側壁22Dには2つのボルト挿通孔22Eと、このボルト挿通孔22E間に矩形状の貫通孔22Fが設けられる。このボルト挿通孔22Eと貫通孔22Fは、収納ケース23の左側面壁23Bに設けられるボルト孔23Cと貫通孔23Fに対応し、それらが位置合わせされる。そしてユーティリティボックス22内からボルト挿通孔22E、ボルト孔23Cにボルト29が挿通され、ボルト29のねじ部がボルト孔23Cに設けられたナット28に締結される。(図6参照)なお、図6におけるボルト29の頭部と右側壁22Dとの間には、ワッシャ34が介在される。
【0027】
そしてサイドカメラ32から延びるハーネス33は、収納ケース23の左側面壁23Bの貫通孔23Fからユーティリティボックス22の右側壁22Dの貫通孔22Fを通り、ユーティリティボックス22内に導かれ、ユーティリティボックス22内でサイドカメラ32を制御する不図示の制御装置等と接続される。
【0028】
以上のように構成される本実施の形態は、以下のような作用効果を奏する。
【0029】
本実施の形態では、収納ケース23の左側面壁23Bの内側に固定されたナット28に、ユーティリティボックス22の内側からボルト29を螺合させて締め付けることにより、収納ケース23をユーティリティボックス22の右側壁22Dに取り付けた構成であり、収納ケース23をユーティリティボックス22の右側壁22Dから取り外す際は、ユーティリティボックス22の内側からでないとボルト29を緩めることができない。本実施の形態においては、ユーティリティボックス22の開閉蓋22Aは施錠可能なため、施錠されている状態にあっては、収納ケース23をユーティリティボックス22の右側壁22Dから取り外すことができない。そのため、収納ケース23は容易に取り外すことができずカメラの盗難を防止することができる。
【0030】
また、サイドカメラ32は開閉を伴わない収容ケース23に設けられて、ユーティリティボックス22に固定されるため、サイドカメラ32自体やハーネス33に特別な保護構造を設ける必要がなく、組立性も向上する。
【0031】
また、収容ケース23は、貯油タンク21の前方下部に設けられた凹部21A内に収容されて設けられるため、外部に突出する部分がなく、障害物等に接触する虞がなく損傷を防止でき、また、収容ケース23の前方でかつユーティリティボックス22の右側方に形成される第一のステップ24の面積を広く確保することができる。そのため、作業者の旋回体3の上面部等への昇降がし易くなり、円滑な乗り降りを行なうことが可能になる。
【0032】
さらに、収納ケース23の前面壁23Aを貯油タンク21の保護カバー21Bに沿わせ、かつ右側面壁23Dを貯油タンク21の上側面板21Dの右側面板と略同一面となるように配置し、レンズを臨ませる開口23Eをその右側面壁23Dに形成したので、カメラ視野範囲が隣接する貯油タンク21等の構成物によって遮られることがなく、十分な側方視界を確保することが可能になる。
【0033】
次に第2の実施の形態を図7により説明する。
本実施の形態は、第1の実施の形態における収納ケース23とユーティリティボックス22との固定を、ナット28およびボルト29に代えて、取付ピン35によって行なうものである。収納ケース23の左側壁部23Bには、ボルト孔23Cに代えて、ピン孔23Gが穿設され、ユーティリティボックス22の右側壁22Dには、ボルト挿通孔22Eに代えてピン挿通孔22Gが穿設される。
【0034】
取付ピン35は、円板状の頭部35Aと、この頭部35Aに垂直に設けられた軸部35Bと、軸部35Bの先端側に設けられたかえり35Cと、軸部35Bの基端側に軸部35Bの径よりも僅かに大きい径を有する基部35Dが設けられる。かえり35Cは、先端側が尖った楔形状で軸対称の2箇所に設けられており、通常時はスプリング等の付勢力によって図7(a)のように拡径しているが、矢印A方向に力が加わると同方向に縮径自在となっている。そしてこの取付ピン35は、かえり35Cおよび基部35Dが収納ケース23の左側壁部23Bのピン挿通孔23Gを挿通し、それらが外部に突出した状態で頭部35Aが左側壁部23Bの内面に固着されて設けられる。
【0035】
そして、収納ケース23を取付ピン35のかえり35Cとユーティリティボックス22の右側壁22Dのピン挿通孔22Gとを位置合わせし、取付ピン35のかえり35Cをユーティリティボックス22の右側壁22Dのピン挿通孔22Gに押し込み、図7(b)の状態とすることにより、収納ケース23はユーティリティボックス22に固定される。取付ピン35のかえり35Cをユーティリティ22Cのピン挿通孔22Gに押し込む際、かえり35Cは、ピン挿通孔22Gを通過するときに一旦縮径するが、ピン挿通孔22Gを通過するとスプリング等の付勢力によって矢印B方向に拡径する。これにより、ユーティリティボックス22の開閉蓋22Aを開けることなく、収納ケース23をユーティリティボックス22に固定することができる。なお、収納ケース23をユーティリティボックス22の右側壁22Dから取り外す際には、ユーティリティポックス22の開閉蓋22Aを開け、作業者がユーティリティボックス22の内部に手を入れて、取付ピン35のかえり35Cを、矢印A方向(図7(a)参照)に押圧して縮径させることによって取付ピン35の軸部35Bをピン挿通孔22Gから引き抜くことによって行なう。
【0036】
本実施の形態によれば、工具等を用いずに収納ケース23をユーティリティボックス22に押し付けるだけで、収納ケース23をユーティリティボックス22に取り付けることができる。
【0037】
なお、上述した実施の形態では、運転室5が車体フレーム20の前方左側に設けられ、ユーティリティボックス22、収納ケース23が前方右側に設けられる場合について説明したが、運転室を前方右側に、ユーティリティボックス、収納ケースを前方左側に設けても良く、その場合は、上述した左右関係がそれぞれ逆になって構成される。
【符号の説明】
【0038】
3 旋回体
4 フロント作業装置(作業装置)
5 運転室
20 車体フレーム
21 貯油タンク
22 ユーティリティボックス(ユーティリティ室)
22A 開閉蓋
22D 右側壁
22E ボルト挿通孔
22F 貫通孔
22G ピン挿通孔
22H 左側壁
23 収納ケース
23A 前面壁
23B 左側面壁
23C ポルト孔
23D 右側面壁
23E 開口
23F 貫通孔
23G ピン孔
24 第一ステップ(ステップ)
28 ウエルドナット(被固定手段)
29 ボルト(固定手段)
32 サイドカメラ
33 ハーネス(配線)
35 取付ピン(固定手段)
35C かえり

【特許請求の範囲】
【請求項1】
建設機械の旋回体を構成する車体フレームと、
車体フレームの前方の左右一方側位置に設けられる運転室と、
車体フレームの前方の中央位置に設けられる作業装置と、
前記作業装置を挟んで前記運転室と反対側となる前記車体フレームの前方の左右他方側位置に設けられるユーティリティ室とを備えた建設機械のサイドカメラ取付構造において、
前記ユーティリティ室は、右側壁、左側壁および上部が開閉可能でかつ施錠可能な開閉蓋とによって画成されたボックス状に形成され、
前記ユーティリティ室には、前記車体フレームの左右他方側の側方を撮像するサイドカメラと、このサイドカメラを固定する固定手段を設けることを特徴とする建設機械のサイドカメラ取付構造。
【請求項2】
請求項1に記載の建設機械のサイドカメラ取付構造において、
前記ユーティリティ室の前記固定手段は、前記右側壁または左側壁のいずれか一方に設けられ、
前記サイドカメラを内部に収容する収納ケースを備え、
前記収納ケースは、少なくとも左側面壁、右側面壁および前面壁を有するボックス状に形成され、前記左側面壁および右側面壁のいずれか一方には、前記収納ケースを前記ユーティリティ室の前記固定手段に固定するための被固定手段が設けられ、前記左側面壁および右側面壁のいずれか他方には、前記サイドカメラの撮像レンズが外部に臨む開口部を備え、
前記収納ケースは、前記ユーティリティ室の外側に設けられることを特徴とする建設機械のサイドカメラ取付構造。
【請求項3】
請求項2に記載の建設機械のサイドカメラ取付構造において、
前記ユーティリティ室は、前記右側壁または左側壁のうち、前記車体フレームの左右他方側に位置する側壁が前記車体フレームの前記左右他方側の縁部よりも前記運転室側に位置するように形成され、
前記収納ケースと前記ユーティリティ室とは前記車体フレームの他方側の縁部から前記運転室側に向けて並べて配置されることを特徴とする建設機械のサイドカメラ取付構造。
【請求項4】
請求項3に記載の建設機械のサイドカメラ取付構造において、
前記車体フレーム上には、前記ユーティリティ室の後部に貯油タンクが設けられ、
前記貯油タンクの前側下部には、凹部が形成され、
前記収納ケースは前記貯油タンクの前記凹部に収容されて設けられるとともに、前記ユーティリティ室は、その後端部が前記凹部に収容されて設けられることを特徴とする建設機械のサイドカメラ取付構造。
【請求項5】
請求項3又は4に記載の建設機械のサイドカメラ取付構造において、
前記車体フレームの前方の左右他方側の位置には、前記収納ケースの前方でかつ、前記ユーティリティ室の側方に位置して、ステップとして利用可能なスペースが形成されることを特徴とする建設機械のサイドカメラ取付構造。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2012−117225(P2012−117225A)
【公開日】平成24年6月21日(2012.6.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−265511(P2010−265511)
【出願日】平成22年11月29日(2010.11.29)
【出願人】(000005522)日立建機株式会社 (2,611)
【Fターム(参考)】