説明

建設機械のバケット

【課題】建設機械に装備されるバケットの重量を軽くし、かつ強度を向上させる。
【解決手段】略U字状に曲げられた底板と、この底板の曲げ方向に直交する幅方向の両側それぞれに溶接された一対の側板と、底板の外面に該幅方向に間隔をおいて溶接された、建設機械に連結される一対の連結板と、底板と一対の連結板それぞれに溶接された一対の底面補強板とを備え、底面補強板各々の該幅方向の一端側の端部に連結板が溶接され、他端側が隣接する側板の側に位置付けられている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、建設機械に装備され例えば土砂の掘削・積込などに用いられるバケットに関する。
【背景技術】
【0002】
図5および図6を参照して説明する。油圧ショベルのような建設機械に装備され土砂の掘削・積込などに用いられるバケット50は、底板54と、底板54の両側それぞれに溶接された一対の側板16,16と、底板54の外面に幅方向に所定の間隔Lで溶接された、建設機械に連結される一対の連結板20,20と、底板54と連結板20,20それぞれに溶接され間隔Uで配設された一対の底面補強板22,22を備えている。
【0003】
底面補強板22,22は、幅Wの帯板を底板54の外側に沿って曲げ成形され周縁が底板54に溶接されている。連結板20,20はそれぞれ、バケット50の幅方向において底面補強板22,22の上の幅Wの中央に位置付けられている。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上述したとおりの形態の建設機械のバケットには、次のとおりの改善の望まれている課題がある。
【0005】
バケットの重量:
バケット50と建設機械の間の掘削力などの力は、側板16,16、底板54、底面補強板22,22、連結板20,20を通し伝達される。建設機械のバケット50は、掘削力が幅方向の片側に作用するなど、一対の連結板20,20には力が不均等に作用する。この不均等な力は間隔Uの底面補強板22,22の間の底板54や、底板54と側板16の連結部などに集中し亀裂など損傷を発生させやすい。したがって、亀裂、損傷を防止するために例えば底板54は厚い板によって形成されるので、重量が増し、バケット50が重くなる問題がある。
【0006】
性能、コスト:
バケット50が重くなると、バケットに積載できる重量が減る、バケットを装備した建設機械の機体バランスが悪くなる、製作コストが増加する、など性能およびコストの問題が発生する。
【0007】
本発明は上記事実に鑑みてなされたもので、その技術的課題は、建設機械に装備されるバケットの重量を軽くし、かつ強度を向上させることである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明によれば上記技術的課題を解決する建設機械のバケットとして、略U字状に曲げられた底板と、この底板の曲げ方向に直交する幅方向の両側それぞれに溶接された一対の側板と、底板の外面に該幅方向に間隔をおいて溶接された、建設機械に連結される一対の連結板と、底板と一対の連結板それぞれに溶接された一対の底面補強板とを備え、底面補強板各々の該幅方向の一端側の端部に連結板が溶接され、他端側が隣接する側板の側に位置付けられている、ことを特徴とする建設機械のバケットが提供される。
【発明の効果】
【0009】
本発明に従って構成された建設機械のバケットは、一対の底面補強板それぞれが、隣接する側板の側にオフセットされており、これにより一対の底面補強板の間隔が広がるので、この部分の底板を厚くすることなく集中する力を底板の弾性変形によって受けることができ、また側板の近くまで底面補強板が伸びているので、底板と側板の連結部分が底板を厚くすることなく補強される。
【0010】
したがって、底板などの板厚の増加がないのでバケットを軽量化でき、かつ強度を向上させることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
以下、本発明に従って構成された建設機械のバケットについて、代表的な建設機械である油圧ショベルのバケットにおける好適実施形態を図示している添付図面を参照して、さらに詳細に説明する。なお図5および図6と実質的に同一の部分は同一の符号によって示されている。
【0012】
図4を参照して油圧ショベルについて説明する。全体を番号2で示す油圧ショベルは、下部走行体4と、下部走行体4上に旋回自在に取り付けられた上部旋回体6と、上部旋回体6に揺動自在に取り付けられた多関節の作業腕8を備えている。バケット10が作業腕8の先端に装備されている。
【0013】
バケット10について図1〜図3を参照して説明する。バケット10は、矩形の板を略U字状に曲げて形成された底板14と、底板14の曲げ方向に直交する幅方向Xの両側それぞれに溶接された一対の側板16、16と、底板14の曲げ方向の一端側の一対の側板16、16の間に曲げ方向に伸び幅方向Xに間隔Lで底板14に補強部材18を介し溶接された、油圧ショベル2の作業腕8に連結される一対の連結板20、20と、底板14の外面に重ねて幅方向Xに間隔Vで溶接された、幅Wの帯板を底板14の外面に沿って曲げ形成された一対の底面補強板22、22を備えている。
【0014】
底板14の曲げ方向の他端側には底板14および側板16、16に一体的に溶接された切刃24が、また切刃24の先端には幅方向Xに複数個の掘削刃26がそれぞれ取り付けられている。側板16、16それぞれには側部切刃28が取り付けられている。
【0015】
連結板20、20それぞれは、バケット14の幅方向Xに伸びた連結用の一対のピン孔Z1およびZ2を備えている。連結板20のピン孔Z2の部分から底面補強板22の側に伸びる端は、断面を徐々に小さくして形成されている。
【0016】
底面補強板22は、幅方向Xの一端側の端部の上に連結板20の断面を徐々に小さくした端が立設され開先溶接されており、他端側は隣接する側板16の近傍に位置付けられている。底面補強板22はその全周が底板14に溶接されている。
【0017】
底板14と側板16は、底板14の端が側板16の板面に当接され、底板14の両側が溶接されている。
【0018】
上述のように構成されたバケット10は、油圧ショベル2の作業腕8(図4)に、ピン孔Z1およびZ2がピンにより連結され装備される。
【0019】
主として図1および図2を参照して、上述したとおりの建設機械のバケット10の作用について説明する。
【0020】
バケット10は、一対の底面補強板22,22それぞれが隣接する側板16の側にオフセットされており、これによって一対の底面補強板22,22の間隔Vが従来のバケット50における間隔Uよりも広げられるので、この部分の底板14の厚さを増加させることなく集中する力を弾性変形により受けることができる。また、側板16の近くまで底面補強板22が伸びているので、底板14と側板16の連結部分が底板14を厚くすることなく補強される。
【0021】
したがって、底板14などの板厚の増加がないので、バケットを軽量化することができ、かつ強度を向上させることができる。また、バケットの重量が増すことによる従来の、バケットに積載できる重量が減る問題、バケットを装備した建設機械の機体バランスが悪くなる問題、製作コストが増加する問題、なども除くことができる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】本発明に従って構成された建設機械のバケットの上面図。
【図2】図1のA−A矢印方向に見た拡大断面図。
【図3】バケットの側面図。
【図4】バケットを装備した建設機械の代表例である油圧ショベルの側面図。
【図5】従来の建設機械のバケットの上面図。
【図6】図5のB−B矢印方向に見た拡大断面図。
【符号の説明】
【0023】
10:バケット
14:底板
16:側板
20:連結板
22:底面補強板

【特許請求の範囲】
【請求項1】
略U字状に曲げられた底板と、
この底板の曲げ方向に直交する幅方向の両側それぞれに溶接された一対の側板と、
底板の外面に該幅方向に間隔をおいて溶接された、建設機械に連結される一対の連結板と、
底板と一対の連結板それぞれに溶接された一対の底面補強板と
を備え、
底面補強板各々の該幅方向の一端側の端部に連結板が溶接され、他端側が隣接する側板の側に位置付けられている、
ことを特徴とする建設機械のバケット。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2006−249710(P2006−249710A)
【公開日】平成18年9月21日(2006.9.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−64862(P2005−64862)
【出願日】平成17年3月9日(2005.3.9)
【出願人】(000190297)新キャタピラー三菱株式会社 (1,189)
【Fターム(参考)】