説明

建設機械の監視カメラ盗難防止構造

【課題】監視カメラの盗難が確実に防止できる建設機械の監視カメラ取り付け構造を提供する。
【解決手段】エンジン室19の後方に設置されたカウンタウエイト21上に、後方を監視する監視カメラ24を、エンジン室側19から後方向にスライド自在に係合すると共に、エンジン室19の上面を開閉自在に覆うエンジンカバー22を閉鎖することにより、監視カメラ24の前方向へのスライドを係止したもので、作業現場等に建設機械を長時間駐車しておく場合、予めエンジンカバー22に施錠しておくことにより監視カメラ24を取り外すことができないため、夜間等に監視カメラ24が盗難に遭うのを確実に防止することができると共に、後方の視界を確保するためエンジン室19を覆うエンジンカバー22の高さを低くした建設機械にも適用することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、建設機械に設置された監視カメラが盗難に遭うのを防止する建設機械の監視カメラ盗難防止構造に関する。
【背景技術】
【0002】
従来自走自在な走行体上に、作業機や運転室等が設けられた旋回体を設置した油圧ショベルのような建設機械には、作業時後方の確認を容易にして作業が安全に行えるように、旋回体の後部に後方を監視する監視カメラを設置したものがある(例えば特許文献1)。
前記特許文献1に記載された監視カメラ設置構造は、監視カメラの取り付けられた取り付け座を、一対の取り付け板との間を連結する長尺部材にボトルにより固着すると共に、前記取り付け板を別のボトルによりカウンタウエイトの上面に固着した構造となっている。
そして前記構成により、監視カメラ用の収納室を設けることなく、また溶接作業を必要とせずにカウンタウエイトに監視カメラを設置することができる効果を有している。
しかし前記特許文献1に記載の監視カメラ設置構造では、取り付け板を固定しているボトルを外すだけでカウンタウエイトより監視カメラが取り外せるため、作業現場等に建設機械を長時間駐車しておくと、夜間等に監視カメラが盗難に遭う問題があった。
【0003】
かかる問題を改善するため、例えば特許文献2で、監視カメラの盗難が防止できる建設機械の後方監視装置が提案されている。
前記特許文献2に記載の後方監視装置は、カメラが取り付けられたベース部材本体を、カバー部材に嵌合させてベース部材下方からボトルナットによりカバー部材とベース部材を固着することにより、カメラハウジング内からカメラを取り出せなくしている。
またベース部材をエンジンカバーにより覆える位置まで延在させて、エンジンカバーにより覆われている部位にねじよりベース部材を固着した構造となっており、エンジンカバーを開放しないと、ベース部材を固着しているねじが表出しないので、予めエンジンカバーを施錠しておくことにより、監視カメラの盗難が防止できるように構成されている。
【特許文献1】特開2003−221844号公報
【特許文献2】特開2005−163943号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし前記特許文献2に記載の後方監視装置では、次のような問題がある。
すなわち油圧ショベルのように旋回体に作業機や運転室が設置された建設機械では、後方を確認せずに不用意に旋回体を旋回させると、後方の障害物等に作業機等が衝突する危険がある。
このため運転室内に設置された後方確認ミラー(バックミラー)で常に後方を視認しながら作業を行い、バックミラーでは視認しにくい例えば車体直後等は、監視カメラで確認しながら作業を行っている。
また近年では、後方の視界を確保するためエンジン室を覆うエンジンカバーの高さを可能な限り低くした建設機械が多くなっており、特に油圧ショベルのような建設機械では、作業機の能力に見合った重量のカウンタウエイトが旋回体の後部に装着されているため、エンジンカバーの高さを、カウンタウエイトの上面とほぼ同じ高さにまで低くした建設機械も稼動している。
【0005】
しかし前記特許文献2に記載された後方監視装置では、監視カメラの取り付けられたベース部材をカウンタウエイトにより固定しているねじを、エンジンカバーにより上方から覆うことによりねじの取り外しを不能にして、監視カメラが盗難に遭うのを防止していることから、エンジンカバーの高さを、カウンタウエイトの上面とほぼ同じ高さにした建設機械では、エンジンカバーによりねじを覆うことができないため、このような建設機械には適用できない問題がある。
また監視カメラの取り付けに多くの部品を必要としているため構造が複雑な上、部品コストが嵩む等の問題もある。
本発明はかかる問題を改善するためになされたもので、監視カメラの盗難が確実に防止できる建設機械の監視カメラ取り付け構造を提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の建設機械の監視カメラ盗難防止構造は、エンジン室の後方に設置されたカウンタウエイト上に、後方を監視する監視カメラが設置された建設機械の監視カメラ盗難防止構造であって、カウンタウエイトの上面に、エンジン室側から監視カメラを後方向にスライド自在に係合すると共に、エンジン室の上面を開閉自在に覆うエンジンカバーを閉鎖することにより、監視カメラの前方向へのスライドを係止したものである。
【0007】
前記構成により、作業現場等に建設機械を長時間駐車しておく場合、予めエンジンカバーに施錠しておくことにより監視カメラを取り外すことができないため、夜間等に監視カメラが盗難に遭うのを確実に防止することができる。
【0008】
本発明の建設機械の監視カメラ盗難防止構造は、監視カメラを取り付け部材に取り外し不能に取り付け、かつ取り付け部材の底面にほぼ鉤状の係止手段を突設すると共に、カウンタウエイトの上面に、係止手段をエンジン室側からスライド自在に挿入可能なスリットを形成した固定部材を固着したものである。
【0009】
前記構成により、カウンタウエイト側の加工をほとんど必要としないため、既存の建設機械にも容易に実施することが可能な上、固定部材に形成するスリットを1個所にすれば、固定部材の剛性を低下させることがないため、安全性が向上すると共に、少ない部品点数で製作することができるため、監視カメラの盗難防止構造が安価に得られる。
【0010】
本発明の建設機械の監視カメラ盗難防止構造は、取り付け部材の底面に車幅方向に離間する一対の係止手段を突設すると共に、固定部材側に、監視カメラに接続されたケーブルを引き出すケーブル引き出し孔の前端部に連続し、かつ係止手段が係合する切り欠き孔を形成したものである。
【0011】
前記構成により、2個所の係止手段が固定部材に係合するため、監視カメラを強固に保持することができ、これによって盗難防止に対する信頼性が向上する上、監視カメラに接続されたケーブルを引き出すケーブル引き出し孔と係止手段の係止部分を兼用することができるため、これらを別に形成する場合に比べて固定部材の加工が容易となる。
【0012】
本発明の建設機械の監視カメラ盗難防止構造は、エンジンカバーの高さを、カウンタウエイトの上面とほぼ同じ高さにしたものである。
【0013】
前記構成により、後方の視界を確保するためエンジン室を覆うエンジンカバーの高さを低くした建設機械にも適用することができる。
【0014】
本発明の建設機械の監視カメラ盗難防止構造は、自走自在な走行体上に、エンジン室及びその後方にカウンタウエイトが設置された旋回体が旋回自在に設けられ、かつカウンタウエイト上に、後方を監視する監視カメラが設置された建設機械の監視カメラ盗難防止構造であって、監視カメラを取り付け部材に取り外し不能に取り付け、かつ取り付け部材の底面にほぼ鉤状の係止手段を突設し、カウンタウエイトの上面に、係止手段をエンジン室側からスライド自在に挿入可能なスリットが形成された固定部材を固着すると共に、カウンタウエイトの上面とほぼ同じ高さに設けられ、かつエンジン室の上面を開閉自在に覆うように設けられたエンジンカバーを閉鎖することにより、監視カメラの前方向へのスライドを係止したものである。
【0015】
前記構成により、作業現場等に建設機械を長時間駐車しておく場合、予めエンジンカバーに施錠しておくことにより監視カメラを取り外すことができないため、夜間等に監視カメラが盗難に遭うのを確実に防止することができると共に、カウンタウエイト側の加工をほとんど必要としないため、既存の建設機械にも容易に実施することが可能な上、少ない部品点数で製作することができるため、監視カメラの盗難防止構造が安価に得られる。
また後方の視界を確保するためエンジン室を覆うエンジンカバーの高さを低くした建設機械にも適用することができる上、固定部材に形成するスリットを1個所にすれば、固定部材の剛性を低下させることがないため、安全性が向上する。
【発明の効果】
【0016】
本発明の建設機械の監視カメラ盗難防止構造によれば、作業現場等に建設機械を長時間駐車しておく場合、予めエンジンカバーに施錠しておくことにより監視カメラを取り外すことができないため、夜間等に監視カメラが盗難に遭うのを確実に防止することができると共に、後方の視界を確保するためエンジン室を覆うエンジンカバーの高さを低くした建設機械にも適用することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
本発明の実施の形態を、図面を参照して詳述する。
図1は本発明の第1の実施の形態になる監視カメラ盗難防止構造を採用した建設機械(油圧ショベル)の側面図、図2は監視カメラ盗難防止構造を示す一部切欠平面図、図3は図2のA−A線に沿う断面図、図4は図3のB−B線に沿う拡大断面図、図5は監視カメラ盗難防止構造の分解斜視図、図6は監視カメラ盗難防止構造の第2の実施の形態を示す平面図、図7は図3のC−C線に沿う拡大断面図、同分解斜視図、図9は監視カメラ盗難防止構造の変形例を示す断面図である。
図1に示す建設機械は、自走自在な走行体1と、走行体1上に旋回自在に設置された旋回体2とからなる。
走行体1は、センタフレーム3aと、その両側に互に平行するよう設けられた一対のサイドフレーム3bよりなるトラックフレーム3を有していて、各サイドフレーム3bの一端側にはアイドラ4が前後移動自在に支承されており、他端側には油圧モータよりなる走行モータ5により回転駆動されるスプロケット6が設けられている。
アイドラ4とスプロケット6の間には無端状の履帯7が捲装されていて、この履帯7をスプロケット6で駆動することにより走行体1が自走できるようになっており、サイドフレーム3bの上下部には、複数の転輪8が回転自在に支承されている。
【0018】
トラックフレーム3のセンタフレーム3a上に旋回自在に設置された旋回体2は、断面がほぼI形に形成された互いに平行する一対の車体フレーム10が底部に設けられていて、この車体フレーム10の前部中央に作業機11が装着されている。
作業機11は図1に示すように、基端が車体フレーム10に枢着され、かつブームシリンダ13により起伏自在なブーム12と、ブーム12の先端に基端側が枢着され、かつアームシリンダ14により回動自在なアーム15と、アーム15の先端に枢着され、かつバケットシリンダ16により回動自在なバケット17とより構成されている。
車体フレーム10の前部には、作業機11の左側に運転室18が設置され、車体フレーム10の後部にはエンジン室19が設置されていて、このエンジン室19内に動力用のエンジン20と、エンジン20により駆動される油圧モータ(図示せず)等が収容されており、車体フレーム10の後端にはカウンタウエイト21が取り付けられている。
【0019】
エンジン室19は、上面と両側面がエンジンカバー22により覆われていて、エンジンカバー22の側面カバー22aの一部には、エンジン20や機器類を点検整備する際に開閉する扉22bが開閉自在に設けられている。
エンジン室19の上面を覆うエンジンカバー22の上面カバー22cは、カウンタウエイト21の上面とほぼ高さとなっていて、運転室18内に設置されたバックミラー(図示せず)により後方を視認する際、エンジンカバー22の上面カバー22cが後方の視界を妨げないようになっており、上面カバー22cもエンジン室19内を点検整備する際上方へ開閉自在となっている。
【0020】
一方旋回体2の後部に装着されたカウンタウエイト21の上面には、監視カメラ24が設置されている。
監視カメラ24は、運転室18内に設置された図示しないモニタに接続されていて、バックミラーでは視認しにくい例えば走行体1直後の画像を撮像してモニタに表示するようになっており、これによってオペレータはモニタによっても後方確認することができるため、走行体1を後進させたり、旋回体2を旋回させる等の操作が安全に行えるようになる。
監視カメラ24は、図2ないし図5に示すように水密構造のケース24a内に、CCDカメラ等の撮像手段24bがカウンタウエイト21の斜め下方を撮像できるように設置されており、撮像手段24bにより撮像された画像は、ケーブル25を介して運転室18内のモニタへ送信されて、モニタに表示されるようになっている。
【0021】
また監視カメラ24は盗難を防止するため、次のような盗難防止構造によりカウンタウエイト21に取り付けられている。
監視カメラ24のケース24aは、板状の取り付け部材26の後端側上面に、複数の固着具27によりケース24aの内側から固着されている。
取り付け部材26は、カウンタウエイト21の上面のほぼ中央に凹設された角形の凹部21aとほぼ同じ大きさに形成されていて、両側縁に沿って複数の取り付け孔26aが穿設されており、取り付け部材26の下面には、ほぼ中央にケーブル25を固着するケーブルブラケット26bが、そして前端側にほぼ鉤状の係止手段26cが突設されている。
ケーブルブラケット26bは、図4に示すようにアングル材により形成されていて、取り付け部材26に下面に横辺が溶接等の手段で固着されており、取り付け部材26の下面よりほぼ垂直に突設された縦辺に、クリップ28によりケーブル25の中間部が固定されている。
【0022】
係止手段26cは、ケーブルブラケット26bより強度が高く、かつやや長さの長いアングル材により形成されていて、取り付け部材26の中心より側方に寄った位置に取り付け部材26の前後方向とほぼ平行するように設けられている。
係止手段26cの一辺側は、図4に示すように取り付け部材26の下面に溶接等の手段で傾斜された状態で固着されており、係止手段26cの他辺側には、取り付け部材26の下面と側縁との間に固定部材30の板厚よりやや大きい隙間29が形成されている。
固定部材30は、監視カメラ24が取り付けられた取り付け部材26をカウンタウエイト21側へ固定するもので、カウンタウエイト21に形成された凹部21aの上面を覆うようにカウンタウエイト21に固着されている。
【0023】
固定部材30の上面は、取り付け部材26とほぼ同大の板体により形成されていて、取り付け部材26に形成された取り付け孔26aと合致する位置に複数のねじ孔30aが形成されており、ほぼ中央には、ケーブルブラケット26bの横辺よりやや幅広な長孔よりなるケーブル引き出し孔30bが前後方向に形成されている。
そして取り付け部材26の下面に突設された係止手段26cと合致する位置にスリット30cが前後方向に形成されていて、このスリット30cに固定部材30の前端側から係止手段26cの固着部が挿入できるようになっている。
【0024】
次に前記構成された建設機械の監視カメラ盗難防止構造の作用を説明する。
建設機械のカウンタウエイト21に監視カメラを取り付けるに当っては、図5に示す状態から予めケーブル25を固定部材30のケーブル引き出し孔30bに挿通しておき、次に固定部材30の前端側から係止手段26cの固着部を固定部材30のスリット30cへ挿入するが、このとき固定部材30の上面に取り付け部材26の下面を密着させておくことにより、取り付け部材26の下面に突設されたケーブルブラケット26bは、固定部材30のケーブル引き出し孔30bよりカウンタウエイト21の凹部21a内に突出された状態になる。
【0025】
次に取り付け部材26を固定部材30の上面に沿って後方へスライドさせると、取り付け部材26の下面と係止手段26cの側縁との間の隙間29に固定部材30の進入するため、この状態では監視カメラ24を上方へ取り外そうとしても、ほぼ鉤状の係止手段26cが固定部材30の下面に係合され、監視カメラ24を上方へ取り外すことはできなくなる。
固定部材30のねじ孔30aに取り付け部材26の取り付け孔26aが合致したら、取り付け孔26aより挿入した固着具31をねじ孔30aに螺挿して、カウンタウエイト21に対し監視カメラ24を取り付けるもので、エンジンカバー22の上面カバー22cを閉鎖すると、図3に示すように上面カバー22cの後端部が取り付け部材26の前端部と突き合せ状態となるため、取り付け部材26を固定している固着具31を取り外しても取り付け部材26を前方へスライドすることができなくなる。
【0026】
一方建設機械による作業中は、エンジンカバー22の高さを予めカウンタウエイト21の高さとほぼ同じにしたことにより、運転室18内に設置したバックミラーにより後方の視認性が確保できる上、監視カメラ23により撮像された画像が運転室18内に設置されたモニタに表示されるためバックミラーとモニタを見ることにより走行体1の後進や旋回体2の旋回操作が安全に行えるようになる。
また作業を終了して作業現場に建設機械を駐車する場合は、エンジンカバー22の扉22bや上面カバー22cに施錠を行う。
これによってエンジンカバー22の上面カバー22cが開放できなくなるので、監視カメラ24をカウンタウエイト21に取り付けている固着具31を取り外しても、ほぼ鉤状の係止手段26cにより取り付け部材26が上方へ取り外すことができない上、上面カバー22cにより取り付け部材26が前方へスライドさせることもできないため、監視カメラ24が盗難に遭うのを未然に防止できるようになる。
【0027】
一方図6ないし図8は監視カメラ盗難防止構造の第2の実施の形態を示すもので、次にこれを説明する。
なお前記第1の実施の形態と同一の部分は同一符号を付して、その説明は省略する。
前記第1の実施の形態では、係止手段26cを取り付け部材26に1個所設けたが、第2の実施の形態では、図6及び図7に示すように取り付け部材26と下面に2個所設けた構造となっている。
係止手段26cは第1の実施の形態と同様にアングル材を使用しているが、第2の実施の形態では、アングル材を開放端が外側に向くよう左右対称に取り付け部材26の下面に固着しており、各係止手段26cの開放端部と取り付け部材26の下面間に、固定部材30の板厚よりやや大きい隙間29が形成されるように開放端が上方へ折り曲げられている。
【0028】
また固定部材30に形成されたケーブル引き出し孔30bの前端側には、ケーブル引き出し孔30bより幅広な切り欠き孔30dに係止手段26cの固着部が固定部材30の前端部より挿入できるようになっており、切り欠き孔30dとケーブル引き出し孔30bが連続していることにより、予めケーブル25をケーブル引き出し孔30bに挿入しておかなくても、係止手段26cの固着部が切り欠き孔30dに挿入自在となっている。
【0029】
前記第2の実施の形態も、係止手段26cの先端が固定部材30の下面に係止されることにより、監視カメラ24が上方へ取り外すことができず、またエンジンカバー22の上面カバー22cを施錠しておくことにより、取り付け部材26が前方へスライドできないため、監視カメラ24の盗難が防止できる点で、前記第1の実施の形態と同様な効果が得られる。
また前記第2の実施の形態では、係止手段26cが2個所になるため部品点数は多くなるが、2個所の係止手段26cにより監視カメラ24がより取り外しにくくなるため、盗難防止効果はさらに向上する。
【0030】
なお図9に示す変形例のように、取り付け部材26の前端側を下方へ折り曲げて、この折り曲げ部26dを固着具33によりエンジン室19の後壁やカウンタウエイト21の前面に固着し、エンジンカバー22の上面カバー22cを開放しないと固着具33が取り外せないようにしてもよく、この構造を採用すれば、係止手段26cを省略することができる。
また前記実施の形態では、油圧ショベルを例にして説明したが、エンジン室の近傍に監視カメラ24を設置した建設機械全般に適用できるものである。
【図面の簡単な説明】
【0031】
【図1】本発明の第1の実施の形態になる監視カメラ盗難防止構造採用した建設機械を示す側面である。
【図2】本発明の第1の実施の形態になる建設機械の監視カメラ盗難防止構造を示す一部切欠平面図である。
【図3】図2のA−A線に沿う部分断面図である。
【図4】図3のB−B線に沿う部分断面図である。
【図5】本発明の第1の実施の形態になる建設機械の監視カメラ盗難防止構造を示す分解斜視図である。
【図6】本発明の第2の実施の形態になる建設機械の監視カメラ盗難防止構造を示す平面図である。
【図7】図6のC−C線に沿う部分断面図である。
【図8】本発明の第2の実施の形態になる建設機械の監視カメラ盗難防止構造を示す分解斜視図である。
【図9】本発明の実施の形態になる建設機械の監視カメラ盗難防止構造の変形例を示す断面図である。
【符号の説明】
【0032】
1 走行体
2 旋回体
19 エンジン室
21 カウンタウエイト
22 エンジンカバー
24 監視カメラ
26 取り付け部材
26c 係止手段
30 固定部材
30c スリット

【特許請求の範囲】
【請求項1】
エンジン室の後方に設置されたカウンタウエイト上に、後方を監視する監視カメラが設置された建設機械の監視カメラ盗難防止構造であって、前記カウンタウエイトの上面に、前記エンジン室側から前記監視カメラを後方向にスライド自在に係合すると共に、前記エンジン室の上面を開閉自在に覆うエンジンカバーを閉鎖することにより、前記監視カメラの前方向へのスライドを係止したことを特徴とする建設機械の監視カメラ盗難防止構造。
【請求項2】
前記監視カメラを取り付け部材に取り外し不能に取り付け、かつ前記取り付け部材の底面にほぼ鉤状の係止手段を突設すると共に、前記カウンタウエイトの上面に、前記係止手段を前記エンジン室側からスライド自在に挿入可能なスリットを形成した固定部材を固着してなる請求項1に記載の建設機械の監視カメラ盗難防止構造。
【請求項3】
前記取り付け部材の底面に車幅方向に離間する一対の係止手段を突設すると共に、前記固定部材側に、前記監視カメラに接続されたケーブルを引き出すケーブル引き出し孔の前端部に連続し、かつ前記係止手段が係合する切り欠き孔を形成してなる請求項2に記載の建設機械の監視カメラ盗難防止構造。
【請求項4】
前記エンジンカバーの高さを、前記カウンタウエイトの上面とほぼ同じ高さにしてなる請求項1ないし3の何れかに記載の建設機械の監視カメラ盗難防止構造。
【請求項5】
自走自在な走行体上に、エンジン室及びその後方にカウンタウエイトが設置された旋回体が旋回自在に設けられ、かつ前記カウンタウエイト上に、後方を監視する監視カメラが設置された建設機械の監視カメラ盗難防止構造であって、前記監視カメラを取り付け部材に取り外し不能に取り付け、かつ前記取り付け部材の底面にほぼ鉤状の係止手段を突設し、前記カウンタウエイトの上面に、前記係止手段を前記エンジン室側からスライド自在に挿入可能なスリットを形成した固定部材を固着すると共に、前記カウンタウエイトの上面とほぼ同じ高さに設けられ、かつ前記エンジン室の上面を開閉自在に覆うように設けられたエンジンカバーを閉鎖することにより、前記監視カメラの前方向へのスライドを係止したことを特徴とする建設機械の監視カメラ盗難防止構造。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate


【公開番号】特開2008−231726(P2008−231726A)
【公開日】平成20年10月2日(2008.10.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−70710(P2007−70710)
【出願日】平成19年3月19日(2007.3.19)
【出願人】(000005522)日立建機株式会社 (2,611)
【Fターム(参考)】