説明

建設機械

【課題】 ブームに固定されるブーム側配管のレイアウトの自由度を高め、車体側配管とブーム側配管との間を接続する油圧ホースの寿命を延ばす。
【解決手段】 ブーム12の上フランジ板12Aに、ブーム上面側ブーム用配管21B、ブーム上面側アーム用配管22B、ブーム上面側バケット用配管23Bを固定し、下フランジ板12Bに、ブーム下面側ブーム用配管24B、ブーム下面側アーム用配管25B、ブーム下面側バケット用配管26Bを固定する。これにより、各ブーム側配管のレイアウトの自由度を高めることができる。また、上段ブーム用油圧ホース21C、上段アーム用油圧ホース22C、上段バケット用油圧ホース23Cと、下段ブーム用油圧ホース24C、下段アーム用油圧ホース25C、下段バケット用油圧ホース26Cとの2系統に分けることにより、各油圧ホースの重量を低減し、その寿命を延ばすことができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば油圧ショベル、ホイールローダ等の油圧アクチュエータを搭載した建設機械に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、油圧ショベル等の建設機械は、自走可能な下部走行体と、該下部走行体に旋回可能に搭載された上部旋回体とにより車体が構成され、上部旋回体の前部側には土砂の掘削作業等を行う作業装置が俯仰動可能に設けられている。
【0003】
ここで、油圧ショベルの作業装置は、通常、上部旋回体の前部側に基端側が回動可能に取付けられたブームと、該ブームの先端側に回動可能に取付けられたアームと、該アームの先端側に回動可能に取付けられたバケット等の作業具と、ブームシリンダ、アームシリンダ、作業具シリンダからなる油圧アクチュエータとにより大略構成されている。そして、これら各油圧アクチュエータに対し上部旋回体に搭載された油圧源から圧油を給排することにより、作業装置を作動させて掘削作業等を行うことができる構成となっている。
【0004】
また、上部旋回体に搭載された油圧源と作業装置の各油圧アクチュエータとの間は複数の給排通路によって接続され、これら各給排通路は、通常、金属性のパイプ材からなる油圧配管と、可撓性を有するゴムホース等からなる油圧ホースとにより構成されている(例えば、特許文献1参照)。
【0005】
【特許文献1】特開平10−280474号公報
【0006】
この従来技術では、油圧ショベルの上部旋回体側に固定して設けられた車体側配管と、作業装置のブームの上面に固定して設けられたブーム側配管との間を、可撓性を有する油圧ホースによって接続する構成としている。この場合、油圧ホースは、上部旋回体に対して俯仰動するブームの動作に追従する必要があるため、ブームのうち上部旋回体に取付けられるブームフート部の外周側に、大きく円弧状に湾曲した状態で配置されている。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
このように、車体側配管とブーム側配管との間を接続する油圧ホースは、ブームを上,下方向に回動させたときにこのブームの動作に余裕をもって追従できるように、ブームフート部の外周側に大きく円弧状に湾曲した状態で配置されているので、この油圧ホースは長さが大きく、この分、重量(自重)も大きくなっている。
【0008】
このため、ブームを上向きに持上げた場合には、前記油圧ホースはその自重によって下向きに湾曲し、油圧ホースのうち車体側配管との接続部位には、油圧ホースの自重によって無理な力が作用することになる。この結果、ブームが上,下方向に繰返して回動することにより、油圧ホースのうち車体側配管との接続部位が破損し易くなるという問題がある。
【0009】
また、ブームを持上げた状態で上部旋回体を旋回させた場合には、大きな自重を有する油圧ホースが上部旋回体の旋回方向に倒れることにより、油圧ホースのうち車体側配管との接続部位だけでなく、ブーム側配管との接続部位にも無理な力が作用し、油圧ホースの寿命が低下してしまうという問題がある。
【0010】
さらに、上述した従来技術による油圧ショベルでは、多数のブーム側配管がブームの上面に集中して配設されているため、ブーム側配管を配置するときのレイアウトが制限されてしまい、作業装置の外観美も低下してしまうという問題がある。
【0011】
本発明は上述した従来技術の問題に鑑みなされたもので、ブームに固定されるブーム側配管のレイアウトの自由度を高めることができ、車体側配管とブーム側配管との間を接続する油圧ホースの寿命を延ばすことができるようにした建設機械を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0012】
上述した課題を解決するため、本発明は、油圧源を搭載した自走可能な車体と、該車体に俯仰動可能に設けられたブーム、アーム、作業具を有する作業装置と、前記油圧源からの圧油により前記ブーム、アーム、作業具を作動させるブームシリンダ、アームシリンダ、作業具シリンダからなる油圧アクチュエータと、前記油圧源からの圧油を該油圧アクチュエータに給排する給排通路とからなり、前記給排通路のうち前記車体と前記ブームとの間に位置する給排通路は、前記車体側に設けられたパイプ材からなる複数の車体側配管と、前記ブームに設けられたパイプ材からなる複数のブーム側配管と、前記各車体側配管と前記各ブーム側配管との間を接続する可撓性をもったホースからなる複数の油圧ホースとを備えてなる建設機械に適用される。
【0013】
そして、請求項1の発明の特徴は、前記ブーム側配管は、前記ブームの上面側に固定されるブーム上面側配管と、前記ブームの下面側に固定されるブーム下面側配管との2系統により構成し、前記油圧ホースは、前記車体側配管から前記ブーム上面側配管に接続される上段油圧ホースと、前記車体側配管から該上段油圧ホースの下側を通って前記ブーム下面側配管に接続される下段油圧ホースとの2系統により構成したことにある。
【0014】
請求項2の発明は、前記車体に取付けられる前記ブームの基端側は二股状に分岐した左,右のブームフート部となり、前記上段油圧ホースと前記下段油圧ホースとは前記左,右のブームフート部間に配置する構成としたことにある。
【0015】
請求項3の発明は、前記ブーム上面側配管は、前記ブームシリンダ、アームシリンダ、作業具シリンダのロッド側油室に圧油を給排する系統であり、前記ブーム下面側配管は、前記ブームシリンダ、アームシリンダ、作業具シリンダのボトム側油室に圧油を給排する系統としたことにある。
【発明の効果】
【0016】
請求項1の発明によれば、複数のブーム側配管をブーム上面側配管とブーム下面側配管との2系統に分けることにより、複数のブーム側配管がブームの上面側のみに集中するのを回避することができる。これにより、ブームの上面側にはブーム上面側配管を余裕をもって配置することができ、ブームの下面側にはブーム下面側配管を余裕をもって配置することができるので、ブーム側配管のレイアウトの自由度を高めることができる。また、複数のブーム側配管をブームの上面側と下面側との2系統に分けてすっきりと配置することができるので、作業装置の外観美を高めることができる。
【0017】
請求項2の発明によれば、上段油圧ホースと下段油圧ホースとを、ブームの基端側に二股状に分岐して設けられた左,右のブームフート部間に配置することにより、これら各油圧ホースを、ブームフート部の外周側に大きく円弧状に湾曲させた状態で配置する必要がない。これにより、上段油圧ホースと下段油圧ホースの長さを短縮することができ、その自重を低減することができる。この結果、上段油圧ホースのうち車体側配管およびブーム上面側配管との接続部位、下段油圧ホースのうち車体側配管およびブーム下面側配管との接続部位に、油圧ホースの自重によって無理な力が作用するのを抑えることができ、上段油圧ホースおよび下段油圧ホースの寿命を延ばすことができる。
【0018】
しかも、上段油圧ホースおよび下段油圧ホースの長さを短縮することにより、油圧源からの圧油が上段油圧ホースおよび下段油圧ホースを流れるときの圧力損失を低減することができるので、作業装置の信頼性を高めることができる。
【0019】
請求項3の発明によれば、ブームの上面側に固定されるブーム上面側配管を、ブームシリンダ、アームシリンダ、作業具シリンダのロッド側油室に圧油を給排する油圧系統でわかりやすくまとめることができ、ブームの下面側に固定されるブーム下面側配管を、ブームシリンダ、アームシリンダ、作業具シリンダのボトム側油室に圧油を給排する油圧系統でわかりやすくまとめることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0020】
以下、本発明に係る建設機械の実施の形態を油圧ショベルに適用した場合を例に挙げ、添付図面を参照しつつ詳細に説明する。
【0021】
図中、1は油圧ショベルを示し、該油圧ショベル1は、自走可能なクローラ式の下部走行体2と、下部走行体2上に旋回可能に搭載された上部旋回体3とにより車体が構成されている。そして、車体を構成する上部旋回体3の前部側には、後述する作業装置11が俯仰動可能に設けられ、この作業装置11によって土砂等の掘削作業を行うものである。
【0022】
そして、上部旋回体3は、該上部旋回体3のベースとなり前端側に作業装置11が取付けられた旋回フレーム4と、該旋回フレーム4の後端側に設けられ作業装置11との重量バランスをとるカウンタウエイト5と、該カウンタウエイト5の前側に配設された建屋カバー6と、旋回フレーム4の前部左側に配設され運転室を画成するキャブ7とにより大略構成されている。
【0023】
ここで、旋回フレーム4は、図2および図3等に示すように、厚肉な鋼板等により形成された底板4Aと、該底板4A上に立設され、左,右方向で対面しつつ前,後方向に延びた左,右の縦板4B,4Bとを備えて構成されている。そして、左,右の縦板4Bの前端側は山形状に隆起し、後述のブーム12が取付けられる左,右のブームブラケット部4B1,4B1と、該各ブームブラケット部4B1の前側に位置し後述のブームシリンダ18が取付けられる左,右のシリンダブラケット部4B2,4B2とが設けられている。また、左,右のブームブラケット部4B1の後側には、後述する各車体側油圧配管21A,22A,23A,24A,25A,26Aの先端側を固定する配管固定ブラケット8が固定して設けられている。
【0024】
一方、建屋カバー6内には、エンジン(図示せず)と、該エンジンによって駆動される油圧ポンプ等の油圧源(図示せず)と、後述のブームシリンダ18、アームシリンダ19、作業具シリンダ20等の油圧アクチュエータに対し、油圧源からの圧油の給排を制御するコントロールバルブ(図示せず)等が設けられる構成となっている。
【0025】
11は旋回フレーム4の前端側に俯仰動可能に設けられた作業装置で、該作業装置11は、土砂の掘削作業等を行うものである。ここで、作業装置11は、後述のブーム12、アーム15、バケット16、ブームシリンダ18、アームシリンダ19、作業具シリンダ20等により構成されている。
【0026】
12は基端側が旋回フレーム4のブームブラケット部4B1に取付けられたブームで、該ブーム12は、上フランジ板12Aと、下フランジ板12Bと、左,右のウェブ板12C,12Cとによって囲まれた角筒体として形成されている。そして、ブーム12は、全体として略く字型に屈曲した状態で前,後方向に延び、その基端側には後述の各ブームフート部12Dが設けられ、先端側には後述のアーム15が取付けられる構成となっている。
【0027】
12D,12Dはブーム12の基端側に設けられた左,右のブームフート部で、これら左,右のブームフート部12Dは、図3等に示すように、左,右方向に間隔をもって二股状に分岐している。そして、左,右のブームフート部12Dは、それぞれ旋回フレーム4の左,右のブームブラケット部4B1に、上,下方向に回動可能(俯仰動可能)にピン結合されるものである。
【0028】
また、ブーム12の上フランジ板12Aには、後述のアームシリンダ19を取付けるアームシリンダブラケット12Eが設けられ、左,右のウェブ板12Cには、後述のブームシリンダ18を取付けるブームシリンダブラケット12Fが設けられている。
【0029】
13はブーム12の上フランジ板12Aに固着して設けられた上側配管固定具で、該上側配管固定具13は、左,右のブームフート部12Dの近傍に配置され左,右方向に延びている。そして、上側配管固定具13は、後述するブーム上面側ブーム用配管21B、ブーム上面側アーム用配管22B、ブーム上面側バケット用配管23Bの基端側を固定するものである。
【0030】
14はブーム12の下フランジ板12Bに固着して設けられた下側配管固定具で、該下側配管固定具14は、左,右のブームフート部12Dの近傍に配置され左,右方向に延びている。そして、下側配管固定具14は、後述するブーム下面側ブーム用配管24B、ブーム下面側アーム用配管25B、ブーム下面側バケット用配管26Bの基端側を固定するものである。
【0031】
15はブーム12の先端側に設けられたアームで、該アーム15は、上,下のフランジ板と左,右のウェブ板とによって囲まれた角筒体として形成されている。そして、アーム15の基端側は、ブーム12の先端側に上,下方向に回動可能にピン結合されている。また、アーム15の基端側には、後述のアームシリンダ19を取付けるアームシリンダブラケット15Aと、後述の作業具シリンダ20を取付ける作業具シリンダブラケット15Bとが設けられている。
【0032】
16はアーム15の先端側に設けられた作業具としてのバケットで、該バケット16は、土砂等を掘削するものである。ここで、バケット16には左,右一対のアーム取付ブラケット16Aが設けられ、該アーム取付ブラケット16Aは、アーム15の先端側に上,下方向に回動可能にピン結合されている。また、アーム取付ブラケット16Aとアーム15との間にはバケットリンク17が設けられ、該バケットリンク17の中間部位には、後述する作業具シリンダ20の先端側が連結される構成となっている。
【0033】
18は旋回フレーム4とブーム12との間に設けられた油圧アクチュエータとしての左,右のブームシリンダ(右側のみ図示)で、該各ブームシリンダ18のロッド側は、旋回フレーム4のシリンダブラケット部4B2にピン結合され、ボトム側はブーム12のブームシリンダブラケット12Fにピン結合されている。そして、各ブームシリンダ18は、後述のブーム用給排通路21,24を通じて油圧源(図示せず)からの圧油が給排されることにより、旋回フレーム4に対してブーム12を回動させるものである。
【0034】
19はブーム12とアーム15との間に設けられた油圧アクチュエータとしての左,右のアームシリンダで、該各アームシリンダ19のボトム側は、ブーム12のアームシリンダブラケット12Eにピン結合され、ロッド側はアーム15のアームシリンダブラケット15Aにピン結合されている。そして、各アームシリンダ19は、後述のアーム用給排通路22,25を通じて油圧源からの圧油が給排されることにより、ブーム12の先端側でアーム15を回動させるものである。
【0035】
20はアーム15とバケットリンク17との間に設けられた油圧アクチュエータとしての左,右の作業具シリンダ(右側のみ図示)で、該各作業具シリンダ20のボトム側は、アーム15の作業具シリンダブラケット15Bにピン結合され、ロッド側はバケットリンク17にピン結合されている。そして、各作業具シリンダ20は、後述のバケット用給排通路23,26を通じて油圧源からの圧油が給排されることにより、アーム15の先端側でバケット16を回動させるものである。
【0036】
次に、21,21は上部旋回体3に搭載された油圧源(図示せず)からの圧油を左,右のブームシリンダ18のロッド側油室に給排する左,右のブーム用給排通路を示している。これら各ブーム用給排通路21は、油圧源からの圧油の給排を制御するコントロールバルブ(図示せず)と左,右のブームシリンダ18のロッド側油室との間を接続するものである。
【0037】
ここで、各ブーム用給排通路21は、図2および図3に示すように、基端側がコントロールバルブに接続されると共に先端側が旋回フレーム4の配管固定ブラケット8に固定され、左,右方向に間隔をもって配置された車体側ブーム用配管21Aと、基端側がブーム12の上側配管固定具13に固定され、先端側がブーム12の上フランジ板12Aから左,右のウェブ板12Cに向けて折曲げられたブーム上面側ブーム用配管21Bと、車体側ブーム用配管21Aの先端部とブーム上面側ブーム用配管21Bの基端部との間を接続する上段ブーム用油圧ホース21Cと、ブーム上面側ブーム用配管21Bの先端部とブームシリンダ18のロッド側油室との間を接続する接続油圧ホース21Dとにより大略構成されている。
【0038】
22,22は油圧源からの圧油を左,右のアームシリンダ19のロッド側油室に給排する左,右のアーム用給排通路を示している。そして、各アーム用給排通路22は、油圧源からの圧油の給排を制御するコントロールバルブと左,右のアームシリンダ19のロッド側油室との間を接続するものである。
【0039】
ここで、各アーム用給排通路22は、基端側がコントロールバルブに接続されると共に先端側が旋回フレーム4の配管固定ブラケット8に固定され、上述した左,右の車体側ブーム用配管21A間に隣接して配置された車体側アーム用配管22Aと、基端側がブーム12の上側配管固定具13に固定され、先端側がブーム12の上フランジ板12Aに沿って延びたブーム上面側アーム用配管22Bと、車体側アーム用配管22Aの先端部とブーム上面側アーム用配管22Bの基端部との間を接続する上段アーム用油圧ホース22Cと、ブーム上面側アーム用配管22Bの先端部とアームシリンダ19のロッド側油室との間を接続する接続油圧ホース22Dとにより大略構成されている。
【0040】
23,23は油圧源からの圧油を左,右の作業具シリンダ20のロッド側油室に給排する左,右のバケット用給排通路を示している。そして、各バケット用給排通路23は、油圧源からの圧油の給排を制御するコントロールバルブと左,右の作業具シリンダ20のロッド側油室との間を接続するものである。
【0041】
ここで、各バケット用給排通路23は、基端側がコントロールバルブに接続されると共に先端側が旋回フレーム4の配管固定ブラケット8に固定され、上述した左,右の車体側ブーム用配管21A間に隣接して配置された車体側バケット用配管23Aと、基端側がブーム12の上側配管固定具13に固定され、先端側がブーム12の上フランジ板12Aに沿って延びたブーム上面側バケット用配管23Bと、車体側バケット用配管23Aの先端部とブーム上面側バケット用配管23Bの基端部との間を接続する上段バケット用油圧ホース23Cと、ブーム上面側バケット用配管23Bの先端部と作業具シリンダ20のロッド側油室との間を接続する接続油圧ホース23Dとにより大略構成されている。
【0042】
この場合、2本の車体側ブーム用配管21A、2本の車体側アーム用配管22A、2本の車体側バケット用配管23Aは、鋼管等のパイプ材を用いて形成され、これら合計6本の車体側配管は、それぞれ旋回フレーム4の配管固定ブラケット8の上部側に左,右方向に並んで固定されている。
【0043】
また、2本のブーム上面側ブーム用配管21B、2本のブーム上面側アーム用配管22B、2本のブーム上面側バケット用配管23Bも、鋼管等のパイプ材を用いて形成され、これら合計6本のブーム上面側配管は、それぞれブーム12の上フランジ板12A側に左,右方向に並んで固定されている。
【0044】
このように、ブーム用給排通路21のブーム上面側ブーム用配管21B、アーム用給排通路22のブーム上面側アーム用配管22B、バケット用給排通路23のブーム上面側バケット用配管23Bを、ブーム12の上フランジ板12Aに設けることにより、ブームシリンダ18、アームシリンダ19、作業具シリンダ20のロッド側油室に圧油を給排する油圧系統を、ブーム12の上面側にわかりやすくまとめることができる構成となっている。
【0045】
一方、2本の上段ブーム用油圧ホース21C、2本の上段アーム用油圧ホース22C、2本の上段バケット用油圧ホース23Cは、それぞれ可撓性を有する耐圧ゴムホース等を用いて形成されている。そして、各上段ブーム用油圧ホース21Cは、ブーム12の左,右のブームフート部12D間を通って車体側ブーム用配管21Aとブーム上面側ブーム用配管21Bとの間を接続し、各上段アーム用油圧ホース22Cは、左,右のブームフート部12D間を通って車体側アーム用配管22Aとブーム上面側アーム用配管22Bとの間を接続し、各上段バケット用油圧ホース23Cは、左,右のブームフート部12D間を通って車体側バケット用配管23Aとブーム上面側バケット用配管23Bとの間を接続している。
【0046】
これにより、2本の上段ブーム用油圧ホース21C、2本の上段アーム用油圧ホース22C、2本の上段バケット用油圧ホース23Cからなる合計6本の上段油圧ホースは、例えばブームフート部12Dの外周側に大きく円弧状に湾曲させて配置する必要がなく、その長さを可及的に短くすることができ、重量も低減することができる構成となっている。
【0047】
次に、24,24は油圧源からの圧油を左,右のブームシリンダ18のボトム側油室に給排する左,右のブーム用給排通路を示し、これら各ブーム用給排通路24は、油圧源からの圧油の給排を制御するコントロールバルブと左,右のブームシリンダ18のボトム側油室との間を接続するものである。
【0048】
ここで、各ブーム用給排通路24は、図2および図4に示すように、基端側がコントロールバルブに接続されると共に先端側が旋回フレーム4の配管固定ブラケット8に固定され、左,右方向に間隔をもって配置された車体側ブーム用配管24Aと、基端側がブーム12の下側配管固定具14に固定され、先端側がブーム12の下フランジ板12Bに沿って延びたブーム下面側ブーム用配管24Bと、車体側ブーム用配管24Aの先端部とブーム下面側ブーム用配管24Bの基端部との間を接続する下段ブーム用油圧ホース24Cと、ブーム下面側ブーム用配管24Bの先端部とブームシリンダ18のボトム側油室との間を接続する接続油圧ホース24Dとにより大略構成されている。
【0049】
25,25は油圧源からの圧油を左,右のアームシリンダ19のボトム側油室に給排する左,右のアーム用給排通路を示し、これら各アーム用給排通路25は、油圧源からの圧油の給排を制御するコントロールバルブと左,右のアームシリンダ19のボトム側油室との間を接続するものである。
【0050】
ここで、各アーム用給排通路25は、基端側がコントロールバルブに接続されると共に先端側が旋回フレーム4の配管固定ブラケット8に固定され、上述した左,右の車体側ブーム用配管24A間に間隔をもって配置された車体側アーム用配管25Aと、基端側がブーム12の下側配管固定具14に固定され、先端側がブーム12の左,右のウェブ板12Cに沿って上方に立上がると共に上フランジ板12Aに沿ってアームシリンダ19へと延びたブーム下面側アーム用配管25Bと、車体側アーム用配管25Aの先端部とブーム下面側アーム用配管25Bの基端部との間を接続する下段アーム用油圧ホース25Cと、ブーム下面側アーム用配管25Bの先端部とアームシリンダ19のボトム側油室との間を接続する接続油圧ホース25Dとにより大略構成されている。
【0051】
26,26は油圧源からの圧油を左,右の作業具シリンダ20のボトム側油室に給排する左,右のバケット用給排通路を示し、これら各バケット用給排通路26は、油圧源からの圧油の給排を制御するコントロールバルブと左,右の作業具シリンダ20のボトム側油室との間を接続するものである。
【0052】
ここで、各バケット用給排通路26は、基端側がコントロールバルブに接続されると共に先端側が旋回フレーム4の配管固定ブラケット8に固定され、上述した左,右の車体側アーム用配管25A間に隣接して配置された車体側バケット用配管26Aと、基端側がブーム12の下側配管固定具14に固定され、先端側がブーム12の下フランジ板12Bから左,右のウェブ板12Cを通って上フランジ板12A側に導出され、アーム15に向けて延びたブーム下面側バケット用配管26Bと、車体側バケット用配管26Aの先端部とブーム下面側バケット用配管26Bの基端部との間を接続する下段バケット用油圧ホース26Cと、ブーム下面側バケット用配管26Bの先端部と作業具シリンダ20のボトム側油室との間を接続する接続油圧ホース26Dとにより大略構成されている。
【0053】
この場合、2本の車体側ブーム用配管24A、2本の車体側アーム用配管25A、2本の車体側バケット用配管26Aは、鋼管等のパイプ材を用いて形成され、これら合計6本の車体側配管は、それぞれ旋回フレーム4の配管固定ブラケット8の下部側に左,右方向に並んで固定されている。
【0054】
また、2本のブーム下面側ブーム用配管24B、2本のブーム下面側アーム用配管25B、2本のブーム下面側バケット用配管26Bも、鋼管等のパイプ材を用いて形成され、これら合計6本のブーム下面側配管は、それぞれブーム12の下フランジ板12B側に左,右方向に並んで固定されている。
【0055】
このように、ブーム用給排通路24のブーム下面側ブーム用配管24B、アーム用給排通路25のブーム下面側アーム用配管25B、バケット用給排通路26のブーム下面側バケット用配管26Bを、ブーム12の下フランジ板12Bに設けることにより、ブームシリンダ18、アームシリンダ19、作業具シリンダ20のボトム側油室に圧油を給排する油圧系統を、ブーム12の下面側にわかりやすくまとめることができる構成となっている。
【0056】
一方、2本の下段ブーム用油圧ホース24C、2本の下段アーム用油圧ホース25C、2本の下段バケット用油圧ホース26Cは、それぞれ可撓性を有する耐圧ゴムホース等を用いて形成されている。そして、各下段ブーム用油圧ホース24Cは、ブーム12の左,右のブームフート部12D間を通って車体側ブーム用配管24Aとブーム下面側ブーム用配管24Bとの間を接続し、各下段アーム用油圧ホース25Cは、左,右のブームフート部12D間を通って車体側アーム用配管25Aとブーム下面側アーム用配管25Bとの間を接続し、各下段バケット用油圧ホース26Cは、左,右のブームフート部12D間を通って車体側バケット用配管26Aとブーム下面側バケット用配管26Bとの間を接続している。
【0057】
これにより、2本の下段ブーム用油圧ホース24C、2本の下段アーム用油圧ホース25C、2本の下段バケット用油圧ホース26Cからなる合計6本の下段油圧ホースは、例えばブームフート部12Dの外周側に大きく円弧状に湾曲させて配置する必要がなく、その長さを可及的に短くすることができ、重量も低減することができる構成となっている。
【0058】
本実施の形態による油圧ショベル1は上述の如き構成を有するもので、この油圧ショベル1を用いて土砂の掘削作業等を行う場合には、まず、下部走行体2によって作業現場まで自走させる。
【0059】
そして、上部旋回体3に搭載された油圧源からの圧油を、ブーム用給排通路21,24を通じてブームシリンダ18に給排し、アーム用給排通路22,25を通じてアームシリンダ19に給排し、バケット用給排通路23,26を通じて作業具シリンダ20に給排する。これにより、ブーム12、アーム15、バケット16を作動させ、作業装置11を用いて土砂等の掘削作業を行うことができる。
【0060】
ここで、ブーム12が旋回フレーム4に対して上,下方向に回動するときに、ブーム用給排通路21の上段ブーム用油圧ホース21Cと、ブーム用給排通路24の下段ブーム用油圧ホース24Cとが、ブーム12の動作に追従して変形する状態について、図5および図6を参照して説明する。
【0061】
まず、図5に示すように、ブーム12が旋回フレーム4に対して下向きに回動したときには、ブーム用給排通路21の上段ブーム用油圧ホース21Cが、車体側ブーム用配管21Aとブーム上面側ブーム用配管21Bとの間でほぼ直線的に延び、ブーム用給排通路24の下段ブーム用油圧ホース24Cが、車体側ブーム用配管24Aとブーム下面側ブーム用配管24Bとの間で僅かに上向きに湾曲する。
【0062】
一方、図6に示すように、ブーム12が旋回フレーム4に対して上向きに回動したときには、ブーム用給排通路21の上段ブーム用油圧ホース21Cが、車体側ブーム用配管21Aとブーム上面側ブーム用配管21Bとの間で僅かに下向きに湾曲し、ブーム用給排通路24の下段ブーム用油圧ホース24Cが、車体側ブーム用配管24Aとブーム下面側ブーム用配管24Bとの間でほぼ直線的に延びるようになる。
【0063】
この場合、上段ブーム用油圧ホース21Cと下段ブーム用油圧ホース24Cとは、ブーム12の左,右のブームフート部12D間に配置されることにより、それぞれの長さが短く設定され、その重量(自重)も低減されている。このため、上段ブーム用油圧ホース21Cのうち車体側ブーム用配管21Aおよびブーム上面側ブーム用配管21Bとの接続部位に対し、上段ブーム用油圧ホース21Cの自重によって無理な力が作用するのを抑えることができ、かつ、下段ブーム用油圧ホース24Cのうち車体側ブーム用配管24Aおよびブーム下面側ブーム用配管24Bとの接続部位に対し、下段ブーム用油圧ホース24Cの自重によって無理な力が作用するのを抑えることができる。この結果、上段ブーム用油圧ホース21Cおよび下段ブーム用油圧ホース24Cの寿命を延ばすことができる。
【0064】
また、これと同様に、アーム用給排通路22の上段アーム用油圧ホース22Cは、車体側アーム用配管22Aおよびブーム上面側アーム用配管22Bとの接続部位に対して自重による無理な力が作用するのを抑えることができ、アーム用給排通路25の下段アーム用油圧ホース25Cは、車体側アーム用配管25Aおよびブーム下面側アーム用配管25Bとの接続部位に対して自重による無理な力が作用するのを抑えることができる。この結果、上段アーム用油圧ホース22Cおよび下段アーム用油圧ホース25Cの寿命を延ばすことができる。
【0065】
さらに、バケット用給排通路23の上段バケット用油圧ホース23Cは、車体側バケット用配管23Aおよびブーム上面側バケット用配管23Bとの接続部位に対して自重による無理な力が作用するのを抑えることができ、バケット用給排通路26の下段バケット用油圧ホース26Cは、車体側バケット用配管26Aおよびブーム下面側バケット用配管26Bとの接続部位に対して自重による無理な力が作用するのを抑えることができる。この結果、上段バケット用油圧ホース23Cおよび下段バケット用油圧ホース26Cの寿命を延ばすことができる。
【0066】
しかも、ブーム用給排通路21,24の上段ブーム用油圧ホース21C,下段ブーム用油圧ホース24Cの長さを短縮し、アーム用給排通路22,25の上段アーム用油圧ホース22C,下段アーム用油圧ホース25Cの長さを短縮し、バケット用給排通路23,26の上段バケット用油圧ホース23C,下段バケット用油圧ホース26Cの長さを短縮することにより、これら各油圧ホース21C,22C,23C,24C,25C,26Cを圧油が流れるときの圧力損失を低減することができ、作業装置11の信頼性を高めることができる。
【0067】
一方、ブーム12の上フランジ板12Aには、2本のブーム上面側ブーム用配管21Bと、2本のブーム上面側アーム用配管22Bと、2本のブーム上面側バケット用配管23Bとからなる合計6本のブーム上面側配管を固定し、ブーム12の下フランジ板12Bには、2本のブーム下面側ブーム用配管24Bと、2本のブーム下面側アーム用配管25Bと、2本のブーム下面側バケット用配管26Bとからなる合計6本のブーム下面側配管を固定する構成としている。
【0068】
このように、ブーム12に固定される合計12本のブーム側配管を、ブーム12の上フランジ板12Aに固定される6本のブーム上面側配管と、下フランジ板12Bに固定される6本のブーム下面側配管との2系統に分けることにより、多数のブーム側配管がブーム12の上フランジ板12Aのみに集中して配置されることがない。これにより、ブーム12の上フランジ板12Aには、それぞれ2本のブーム上面側ブーム用配管21B、ブーム上面側アーム用配管22Bと、ブーム上面側バケット用配管23Bを余裕をもって配置することができ、下フランジ板12Bには、それぞれ2本のブーム下面側ブーム用配管24B、ブーム下面側アーム用配管25B、ブーム下面側バケット用配管26Bを配置することができる。
【0069】
この結果、ブーム12に固定されるブーム側配管のレイアウトの自由度を高めることができ、これら多数のブーム側配管を、ブーム12の上フランジ板12A側と下フランジ12B側との2系統に分けてすっきりと配置することにより、作業装置11全体の外観美を高めることができる。
【0070】
なお、上述した実施の形態では、ブーム用給排通路21の車体側ブーム用配管21A、アーム用給排通路22の車体側アーム用配管22A、バケット用給排通路23の車体側バケット用配管23Aを、旋回フレーム4に設けた配管固定ブラケット8の上部側に固定し、ブーム用給排通路24の車体側ブーム用配管24A、アーム用給排通路25の車体側アーム用配管25A、バケット用給排通路26の車体側バケット用配管26Aを、配管固定ブラケット8の下部側に固定することにより、これら合計12本の車体側配管を上,下二段に分けて固定した場合を例示している。
【0071】
しかし、本発明はこれに限るものではなく、例えば配管固定ブラケット8を左,右方向に延長することにより、上述した12本の車体側配管を左,右方向に一列に並べて固定する構成としてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0072】
【図1】本発明の実施の形態による油圧ショベルを示す正面図である。
【図2】油圧ショベルの旋回フレーム、作業装置、給排通路等を示す拡大正面図である。
【図3】旋回フレーム、ブーム、給排通路等を図2中の矢示III−III方向からみた平面図である。
【図4】旋回フレーム、ブーム、給排通路等を図2中の矢示IV−IV方向からみた下面図である。
【図5】ブームが下向きに回動したときに上段ブーム用油圧ホースと下段ブーム用油圧ホースが変形した状態を示す一部破断の要部拡大図である。
【図6】ブームが上向きに回動したときに上段ブーム用油圧ホースと下段ブーム用油圧ホースが変形した状態を示す一部破断の要部拡大図である。
【符号の説明】
【0073】
1 油圧ショベル
2 下部走行体(車体)
3 上部旋回体(車体)
11 作業装置
12 ブーム
12D ブームフート部
15 アーム
16 バケット
18 ブームシリンダ(油圧アクチュエータ)
19 アームシリンダ(油圧アクチュエータ)
20 作業具シリンダ(油圧アクチュエータ)
21,24 ブーム用給排通路
21A,24A 車体側ブーム用配管(車体側配管)
21B ブーム上面側ブーム用配管(ブーム上面側配管)
24B ブーム下面側ブーム用配管(ブーム下面側配管)
21C 上段ブーム用油圧ホース(上段油圧ホース)
24C 下段ブーム用油圧ホース(下段油圧ホース)
22,25 アーム用給排通路
22A,25A 車体側アーム用配管(車体側配管)
22B ブーム上面側アーム用配管(ブーム上面側配管)
25B ブーム下面側アーム用配管(ブーム下面側配管)
22C 上段アーム用油圧ホース(上段油圧ホース)
25C 下段アーム用油圧ホース(下段油圧ホース)
23,26 バケット用給排通路
23A,26A 車体側バケット用配管(車体側配管)
23B ブーム上面側バケット用配管(ブーム上面側配管)
26B ブーム下面側バケット用配管(ブーム下面側配管)
23C 上段バケット用油圧ホース(上段油圧ホース)
26C 下段バケット用油圧ホース(下段油圧ホース)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
油圧源を搭載した自走可能な車体と、該車体に俯仰動可能に設けられたブーム、アーム、作業具を有する作業装置と、前記油圧源からの圧油により前記ブーム、アーム、作業具を作動させるブームシリンダ、アームシリンダ、作業具シリンダからなる油圧アクチュエータと、前記油圧源からの圧油を該油圧アクチュエータに給排する給排通路とからなり、
前記給排通路のうち前記車体と前記ブームとの間に位置する給排通路は、前記車体側に設けられたパイプ材からなる複数の車体側配管と、前記ブームに設けられたパイプ材からなる複数のブーム側配管と、前記各車体側配管と前記各ブーム側配管との間を接続する可撓性をもったホースからなる複数の油圧ホースとを備えてなる建設機械において、
前記ブーム側配管は、前記ブームの上面側に固定されるブーム上面側配管と、前記ブームの下面側に固定されるブーム下面側配管との2系統により構成し、
前記油圧ホースは、前記車体側配管から前記ブーム上面側配管に接続される上段油圧ホースと、前記車体側配管から該上段油圧ホースの下側を通って前記ブーム下面側配管に接続される下段油圧ホースとの2系統により構成したことを特徴とする建設機械。
【請求項2】
前記車体に取付けられる前記ブームの基端側は二股状に分岐した左,右のブームフート部となり、前記上段油圧ホースと前記下段油圧ホースとは前記左,右のブームフート部間に配置する構成としてなる請求項1に記載の建設機械。
【請求項3】
前記ブーム上面側配管は、前記ブームシリンダ、アームシリンダ、作業具シリンダのロッド側油室に圧油を給排する系統であり、前記ブーム下面側配管は、前記ブームシリンダ、アームシリンダ、作業具シリンダのボトム側油室に圧油を給排する系統である請求項1または2に記載の建設機械。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2010−101040(P2010−101040A)
【公開日】平成22年5月6日(2010.5.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−271993(P2008−271993)
【出願日】平成20年10月22日(2008.10.22)
【出願人】(000005522)日立建機株式会社 (2,611)
【Fターム(参考)】