説明

弁装置

弁ハウジング(2)と、弁ハウジング(2)のピストン孔(3)内に軸方向に摺動可能に配置された弁ピストン(4)とを有する弁装置であって、弁ピストンを介して第1の消費機器接続端(A)と第2の消費機器接続端(B)が、第1の電磁石(5)と第2の電磁石(6)の作用によって、圧力接続端(P)に、及びタンク接続端(T1、T2)に交互に接続可能であり、弁ピストン(4)が、中央配置された好ましくは中央の静止位置から、第1の消費機器接続端(A)を圧力接続端(P)に接続し且つ第2の消費機器接続端(B)をタンク接続端(T1、T2)に接続するために第1の方向へ摺動可能であるとともに、逆に流体を案内するように接続端(A、B、P、T1、T2)を接続するために逆方向に摺動可能であり、弁ピストン(4)の第1のピストン後側(8)へ押圧力を加える第1のパイロット室(7)と、第2のピストン後側(10)へ押圧力を加える第2のパイロット室(9)が設けられていて、パイロット室(7、9)内の圧力が、第1又は第2の電磁石(5、7)によって移動可能な第1及び第2のパイロットピストン(12と13)によって制御可能であり、第1及び第2のパイロット室(7、9)が、流体案内接続路(11)を介して圧力接続端(P)に接続されていて、パイロットピストン(12、13)が、それぞれパイロット室(7、9)とタンク接続端(T1、T2)との間の流体案内接続路(14)を解放するか又は閉塞する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、弁ハウジングと、弁ハウジングのピストン孔内に軸方向に摺動可能に配置されている弁ピストンとを有し、その弁ピストンを介して第1の消費機器接続端と第2の消費機器接続端とが圧力接続端及びタンク接続端に交互に接続可能な弁装置に関する。弁ピストンは、第1の消費機器接続端を圧力接続端に接続し且つ第2の消費機器接続端をタンク接続端に接続するための中央配置された好ましくは中央の静止位置から一方向に摺動可能であるとともに、逆に流体を案内するように前記接続端を接続するために、逆方向に摺動可能である。
【背景技術】
【0002】
一般的な弁装置は、多数の実施形態、例えば多方向弁として市場で自由に入手することができる。いわゆる電磁作用と関連して、それらはいわゆる比例弁技術の重要な構成要素である。この技術は、本質的には、電圧としての電気的な入力信号が、然るべき電圧レベルの電子的な増幅器によって電流に変換されることを特徴としている。
【0003】
この電流に比例して、切替え磁石としての比例磁石が、出力量である力又は行程を発生させる。この出力量は、弁装置又は油圧弁のための入力信号として使用され、及び所定の体積流量又は所定の圧力に比例することを意味する。これは、それぞれ駆動される消費機器及びそれによって作動される機械の作動部材のために、移動方向に影響を及ぼす他に、速度及び力に無段階に影響を及ぼす可能性をもたらす。同時に、然るべき時間経過、例えば時間における体積流量の変化に従って、加速及び減速に無段階に影響を及ぼすことができる。それぞれどの機能が、従って行程機能、流量機能及び/又は圧力機能が前面にくるかに従って、比例油圧装置は、方向制御弁、流量調節弁又はいわゆる圧力弁において使用される。
【0004】
比例弁技術の技術的利点は、制御された切替え移行、目標値の無段階の制御及び所定の制御課題のための油圧装置の減少にある。さらに、比例弁によって、同時に制御プロセスの精度を改良しながら、迅速かつ正確な移動シーケンスが可能である。
【0005】
しかし実際においては、既知の弁装置による解決法は、機械的な結合要素を回避しながら位置決め課題のための駆動が行なわれる複動油圧作動シリンダにおいて発生するような、多くの制御課題のための比例弁技術の分野においても、特にシステム全体及び迅速な反応の機能信頼性に関して、要望を未解決のままにしていることが明らかにされている。
【0006】
特許文献1によって、弁ハウジングと結合された2つの対向する操作磁石、弁ハウジング内に取り付けられた、少なくとも1つのポンプ接続端Pの形式の流体接続端、少なくとも2つの利用接続端A、B及び少なくとも2つのタンク接続端T1とT2、並びに弁ピストンを有する一般的な弁装置が知られており、その弁ピストンが、それぞれ弁ハウジング内の流体接続端A、B、T1、T2に対応づけ可能な、複数の半径方向の突出部と突出部との間の流体を案内する経路を有し、その突出部が中立位置において、それぞれ対応づけ可能な利用接続端A、Bへの経路を部分的又は完全に遮断し、あるいはその場合に、利用接続端A、Bが解放されている場合に、それぞれのポンプ接続端Pが対応づけ可能な突出部によって完全に遮断される。この既知の解決法は、自動車のローリングを安定化するためのシステム内で油圧アクチュエータを駆動するために使用可能な油圧弁に関するものである。
【0007】
特許文献2は、位置検出手段、幾つかの接続端とハウジング孔とを備えたハウジングを有し、各接続端がそのハウジング孔内に連通する、パイロット制御される方向制御弁を記述している。弁ピストンが、接続端の間で流れの経路を変更するために孔内で軸方向に摺動可能に案内されている。さらに、弁ピストンを制御するための複雑な制御手段が設けられており、その場合に制御手段は、弁ピストンの各側のピストンと、弁ピストンに作用するパイロット流体の制御によって弁ピストンを操作するための1つ又は2つのパイロット弁とを有している。磁石が設けられており、その磁石は弁ピストンの一方の側に、弁ピストンと同期して摺動することができるように取り付けられている。磁石はさらに、弁ピストンの少なくとも1つの側に隣接するように配置されている。磁気センサを用いて、弁ピストンの全摺動区間にわたって磁石の磁力を検出することが可能である。
【0008】
さらに、特許文献3は、弁装置を開示しており、それにおいて弁ピストンの第1のピストン後側に押圧力を加える第1のパイロット室と、第2のピストン後側に押圧力を加える第2のパイロット室が設けられており、かつその場合にパイロット室内の圧力が、第1又は第2の電磁石によって移動可能な、第1及び第2のパイロット弁によって制御可能である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】独国特許出願公開第4319162号明細書
【特許文献2】独国特許第60016510号明細書
【特許文献3】独国特許出願公開第10224739号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
この従来技術に基づいて、本発明の課題は、構造が機械的に単純であって、それにもかかわらず困難な作動条件においても確実な作動を可能にする弁装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0011】
この課題は、本発明によれば、全体として特許請求項1の特徴を有する、弁装置によって解決される。
【0012】
請求項1の特徴部分によれば、本発明の本質的な特殊性は、第1及び第2のパイロット室が流体案内接続路を介して圧力接続端に接続されていること、及びパイロットピストンがそれぞれパイロット室とタンク接続端との間の流体案内接続路を解放するか又は閉塞することにある。圧力接続端と第1及び第2のパイロット室との間の恒常的な流体案内接続路によって、パイロット室内の圧力媒体が直接、すなわち関係するパイロット室とタンク接続端との間の流体案内接続路とそれに伴ってパイロット室内の圧力を定める付属のパイロットピストンの、関係する電磁石によってもたらされる位置調節に従って、制御手段として利用可能となることができる。簡単な構造方式において、機能安全性と迅速な反応を特徴とする全体システムがそれにより提供される。
【0013】
摩擦力又は流れの力によって弁ピストンに障害作用が生じた場合に、それは、制御又は調整の努力を費やすことなく、関係するパイロット室からの圧力媒体の排出を増強することによって補償されることができ、それによって弁ピストンはさらに所望の位置の方向へ摺動する。
【0014】
第1の電磁石のための電流が低下するか又は止められた場合に、パイロットピストンは、好ましくはエネルギ蓄積装置による付加的な作用を受けて、第1のパイロット室とタンク接続端との間の流体案内接続路を閉塞する閉塞位置の方向へ移動する。第1のパイロット室内に再び構築される圧力が、弁ピストンを新たにその静止位置の方向へ摺動させる。
【0015】
弁ピストンは、第2の電磁石が通電された場合にも、説明した同じやり方で、軸方向に逆方向へ摺動する。このようにして、第2の消費機器接続端が圧力接続端と接続されて、第1の消費機器接続端がタンク接続端と接続される。
【0016】
圧力接続端と第1及び第2のパイロット室との間に流体案内接続路が常に存在する。パイロット室内の圧力媒体が、弁ピストンのそれぞれのピストン後側へ直接に作用する。それぞれのパイロット室と弁ピストンの関係するピストン後側との間に機械的な結合部材を設けることが好ましい場合もある。
【0017】
弁装置のコンパクトな構造を可能にするために、圧力接続端とパイロット室との間のそれぞれの流体案内接続路は、弁ピストン自体の中に、あるいは弁ハウジング内に配置される。当該の流体案内接続路を配置する場合に、弁ピストン内に偏心した長手方向孔を設けることが推奨される。代替的に、弁ハウジング内で、弁ハウジングの縦軸線に対して半径方向に距離を有する長手方向孔内に流体案内接続路を形成することができる。長手方向孔のそれぞれの端部又は端部領域において、関係する2つのパイロット室へ分岐路を通すことができ、それによって全体として、圧力接続端から不断の圧力媒体の圧力をパイロット室へ伝達する流体案内接続路が生み出される。
【0018】
弁ピストン内に、パイロット室からタンク接続端へ好ましくは連続する流体案内接続路が通されている。当該の流体案内接続路は、各パイロットピストンによって、対応づけ可能な弁ピストンの対向する端部又はピストン後側において制御される。好ましくはシート弁が、各パイロットピストンの円錐又は尖端として形成された端部を使って形成されている。
【0019】
流体案内接続路は、2つのパイロット室内の圧力の差によって作動される弁ピストンの必要な位置決め速度を可能にするのに相応しい小さな直径を有している。
【0020】
パイロット室内の圧力媒体の同一の押圧力に加えて、エネルギ蓄積装置が両方のピストン後側へ同一の押圧力を加えることによって、中立位置に弁ピストンが保持される。2つのエネルギ蓄積装置は、圧縮ばねとすることができる。供給圧力を直接に圧力接続端から取り出さないために、消費機器の荷重側を形成する消費機器接続端からシャトル弁を介して、圧力接続端に、及び従って圧力接続端からの流体案内接続路をパイロット室に、同時に接続することが好ましい場合がある。それによってまた、圧力媒体ポンプが停止されている場合に、消費機器における負荷圧力のみによって、弁配置の可能な作動が得られる。圧力媒体ポンプが再び作動された場合には、シャトル弁が閉じて、圧力接続端における圧力がポンプから直接2つのパイロット室へ伝達される。
【0021】
それぞれ提供可能な最高の圧力を圧力接続端又は2つの荷重側の消費機器接続端からパイロット室へパイロット圧として導くために、関係する3つすべての接続端、すなわち圧力接続端、第1の消費機器接続端、及び第2の消費機器接続端が、それぞれ逆止め弁を介して、パイロット室への流体案内接続路への集合導管に接続され得る。
【0022】
ピストン孔内の中立な中央の静止位置に弁ピストンを中央配置して、弁ピストンが変位した場合にそれを戻すために、エネルギ蓄積装置、特に圧縮ばねを各パイロット室内にそれぞれ付加的に挿入することができる。ばねは、ピストンを復帰させるための切替え時間を短縮することができる。同様に、関係するパイロット室から関係するタンク接続端への流体案内接続路を閉鎖するために、各パイロットピストンが、好ましくは圧縮ばねとして形成されたエネルギ蓄積装置から作用を受けることができる。弁ピストンを中立位置へ移動させるために、電磁石の各アーマチュアが圧縮ばねから作用を受けることが好ましい場合もある。
【0023】
弁装置の、対称な、そしてそれによって製造が簡単な実施形態は、弁ハウジングの縦軸線に関して圧力媒体ポンプからの圧力接続端の中央の位置が選択されることによって、得られる。圧力接続端の両側において、第1及び第2の消費機器接続端並びに第1及び第2のタンク接続端が、圧力接続端に対して好ましくは同一の間隔をもって接続される。
【0024】
以下、図面に示す種々の実施例を用いて本発明を詳細に説明する。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【図1】本発明に係る弁装置の第1の実施形態を示す模式的な、縮尺に従わない縦断面図である。
【図2】図1内の詳細IIを示す縦断面図である。
【図3】本発明に係る弁装置の他の実施形態を示す模式的な、縮尺に従わない縦断面図である。
【図4】本発明に係る弁装置の他の実施形態を示す模式的な、縮尺に従わない縦断面図である。
【図5】本発明に係る弁装置の他の実施形態を示す模式的な、縮尺に従わない縦断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0026】
図1には、詳しく図示されない消費機器への油圧オイルのような圧力媒体を制御するための弁装置1が、模式的な縮尺に従わない縦断面で示されている。弁装置1は、弁ハウジング2を有しており、その弁ハウジングは実質的に円筒状に形成されている。弁ハウジング2内に貫通孔が形成されており、その貫通孔は弁ピストン4のためのピストン孔3又はシリンダとして形成されている。弁ピストン4を間接的に作動させるために、弁ハウジング2の両側に第1及び第2の電磁石5、6が詳しく示さないやり方で、それぞれ弁ハウジング2内の中心配置孔内に取り付けられている。電磁石5、6は、比例磁石として形成されている。弁ハウジング2内に、少なくとも1つのポンプ又は圧力接続端P、2つの消費機器接続端A、B、及び2つのタンク接続端T1、T2の形式の流体接続箇所が形成されている。弁ハウジング2内で長手方向に移動可能に案内される弁ピストン4は、外周面側に半径方向の突出部31、32を有している。それぞれの突出部のそれぞれの半径方向の外周面は、それがピストン孔3の内周側に密封様態で移動できるように選択されている。
【0027】
図1から5の実施例において、2つの中央の突出部31が消費機器接続端A、Bに対応づけられており、弁ピストン4の軸方向の端部に配置された2つの突出部32は、タンク接続端T1、T2に対応づけられている。突出部31と突出部32との間において、弁ピストン4は直径が縮小されているので、弁ハウジングの内部空間と弁ピストン4のそれぞれ縮小された外径との間に流体を案内する経路が形成されている。
【0028】
弁ハウジング2は、その2つの対向する側に、それぞれ第1のパイロット室7と第2のパイロット室9を有しており、そのそれぞれの容積がパイロットピストン36、37によって可変である。それぞれのパイロット室7、9は、弁ピストン4の第1のピストン後側8と第2のピストン後側10から軸方向に延びている、それぞれの孔33、34と、流体を案内するように接続されている。
【0029】
2つのパイロット室7、9は、さらに弁ピストン4内の長手方向孔として形成されている流体案内接続路11を介して、圧力接続端Pによる制御圧力又はポンプ圧力に晒される。弁ピストン4内の流体案内接続路11は、直径が縮小された偏心孔33、34内で、弁ピストン4内のパイロット室7、9へさらに延長されている。直径が縮小された孔は、図1、2、4及び5に示すように、それぞれ弁座片35、36内に形成されている。弁座片35、36は、弁ピストン4内の孔のそれぞれの拡幅部内に密封様態で嵌め込まれている。それらは、弁ピストン4の静止位置において、タンク接続端T1、T2の領域内に位置することができる。
【0030】
第1又は第2の電磁石5、6によって軸方向に摺動可能なそれぞれのパイロットピストン12、13のピストン尖端37、38が、それぞれ弁座片35、36内の孔33、34と並んで半径方向に配置されている排出導管17、18ないし排出導管の開口部15、16内に来る。弁座片35、36内の排出導管17、18は、圧力媒体19を排出するために、パイロット室7、9からそれぞれのタンク接続端T1、T2への流体案内接続路14を形成する。それぞれ圧縮ばね22、23が、それぞれのパイロットピストン12、13を押圧するためのエネルギ蓄積装置20、21を形成する。すなわち圧縮ばね22、23は、ピストン尖端37、38の、開口部15、16上への密封可能な押付けを引き起こし、さらに弁ピストン4の静止位置においてバランスされる圧縮ばね22、23の押圧力の影響のもとで、弁ピストン4の弾性的中央配置をもたらす。その場合に圧縮ばね22、23は、各電磁石5、6のハウジング39、40及びそれぞれのパイロットピストン12、13のストッパカラー41、42に支持される。
【0031】
図4がさらに示すように、各ばね28、29が、各パイロット室7、9内でその円筒状の内周面に対して緩く中心配置され得る。パイロット室7、9内のばね28、29は、弁装置1の残りのばねと同様に、円筒状の圧縮ばねであって、それぞれのパイロットピストン12、13を付勢する圧縮ばね22、23よりも直径においてかなり大きいので、それらはこの圧縮ばね22、23及びそれぞれのパイロットピストン12、13を半径方向に包囲する。パイロット室7、9内のばね28、29は、パイロット室7、9の直径後退部43に支持され、前記直径後退部は、パイロットピストン12、13にそれぞれ対応づけられた電磁石5、6に隣接している。
【0032】
ばね28、29の他方の端部は、カラー44を有する円筒状のスリーブ45にそれぞれ支持されており、その場合に円筒状のスリーブ45は、その外周面によってばね28、29の各々の内側で貫通支持する。スリーブ45のそれぞれのカラー44は、それぞれの電磁石5、6へ向いた突出部32の端面46で弁ピストン4に、及び弁ハウジング2によってそれぞれ形成されたパイロット室底47に打ち当たる。このようにして、図4に示す弁装置1内で、弁ピストン4は、軸方向に正確に再現可能な静止位置へ移動される。弁ピストンは、圧縮ばね22、23と28、29及びパイロット室7、9内のそれぞれの圧力によって中心に配置される。スリーブ45のそれぞれのカラー44は、電磁石5、6のそれぞれのハウジング39、40の螺合短管49の端面48によって定められる、所定の限界内で軸方向に移動する。それぞれのスリーブ45は、圧力媒体19のための半径方向の貫通孔50を有している。図5が示すように、各電磁石の領域内で、更なる圧縮ばね55が付加的に弁ピストン4をその中立位置に中央配置する。図5における圧縮ばね55は、電磁石5、6の各アーマチュア54の、それぞれのパイロットピストン12、13と対向する端部及び極鉄心56に支持されている。
【0033】
図3内の弁装置1の実施変形例が示すように、常にシステム圧力又はポンプ圧力に晒されるバイパス導管の形式で形成されている、圧力接続端Pとパイロット室7、9との間の流体案内接続路11は、長手方向孔51及びそこから垂直にそれぞれのパイロット室7、9へ通された分岐路52を介しても実現可能であり、前記分岐路52は弁ハウジング2内に然るべき埋め栓53を有する。その場合に長手方向孔51は、弁ハウジング2の縦軸線30に対して半径方向に離隔している。
【0034】
以下において、本発明に係る弁装置1の作用を、図1の実施例と図2の詳細IIを用いて詳細に説明する。弁装置1がすべての図に示される中立位置にある場合に、電磁石5、6のコイル巻き線は通電されておらず、弁ピストン4は、圧縮ばね(極パイプばね)55を介して、及び/又は2つの圧縮ばね22、23及びそれによって付勢されるパイロットピストン12、13を介して中央位置に保持されている。パイロットピストン12、13のピストン尖端37、38が、排出導管17、18の開口部15、16を閉鎖している。パイロット室7、9はポンプ圧力に晒され、消費機器接続端A、Bは加圧されることが可能であり、タンク接続端T1、T2は加圧されない。その場合にこのような弁位置は、接続されている消費機器の例としての油圧作動シリンダの引き出されない中央位置に相当する。
【0035】
第1の電磁石5に電流が供給されると、第1のパイロットピストン12とそのピストン尖端37が、第1の電磁石5の方向へ移動する。それによって開口部15が解放されて、パイロットオイルが第1のパイロット室7からタンク接続端T1へ流れることができる。それに対して第2のパイロット室9内の圧力は、ポンプ圧力水準に留まるので、弁ピストン4はパイロット室7、9内に生じる圧力不均衡によって第1の電磁石5の方向へ移動する。それによって圧力接続端Pと消費機器接続端Aとの間及び消費機器接続端Bとタンク接続端T2との間の弁ハウジング2内の流体案内接続路が解放される。摩擦力と流れの力によって弁ピストン4に障害作用が生じた場合に、それは、圧力媒体19又はパイロットオイルが増加して流れることによって補償され、その結果第1のパイロット室8内の圧力がさらに低下し、弁ピストン4の軸方向における力の不均衡は、観察者の視線方向における左へ増大する。第1の電磁石5への通電量が低下し、あるいは無効にされた場合に、弁ピストン4は、ばね28の作用を受けてその初期位置へ戻る。第2の電磁石6が通電された場合に、同じ事象の進行が逆方向に生じる。
【0036】
図3が示すように、圧力媒体がパイロット室7、9へ供給される前に、2つのパイロット室7、9のための供給圧力は、圧力接続端Pからだけでなく、シャトル弁24を介在させて消費機器接続端A、B及び圧力接続端Pの連結を介して、圧力接続端P又はいずれかの消費機器接続端A、Bから取り出すことができる。この構造的措置によって、弁装置1は、圧力媒体ポンプが停止されている場合でも作動される。
【0037】
図4が示すように、それぞれパイロット室7、9の方向に開放する逆止め弁25、26,27を介して上述した接続端P、A、Bを並列接続することによって、前記接続端と流体案内接続路11との間で最大提供可能な圧力媒体圧を取り出すと、好ましい場合がある。その場合に、このようにパイロット制御される弁装置1は、弁ピストン4のための行程センサも、評価又は制御電子機器を必要としない。従って弁装置1は、簡単に構築され、かつ障害が発生しにくい。電磁石5、6の電流供給が中断された場合に、弁ピストン4は自動的にそのばねで中央配置された中央初期位置へ戻る。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
弁ハウジング(2)と、弁ハウジング(2)のピストン孔(3)内に軸方向に摺動可能に配置された弁ピストン(4)とを有する弁装置(1)であって、前記弁ピストンを介して第1の消費機器接続端(A)と第2の消費機器接続端(B)が、第1の電磁石(5)と第2の電磁石(6)の作用によって、圧力接続端(P)に、及びタンク接続端(T1、T2)に交互に接続可能であり、弁ピストン(4)が、中央配置された好ましくは中央の静止位置から、第1の消費機器接続端(A)を圧力接続端(P)に接続し且つ第2の消費機器接続端(B)をタンク接続端(T1、T2)に接続するために第1の方向へ摺動可能であるとともに、逆に流体を案内するように前記接続端(A、B、P、T1、T2)を接続するために逆方向に摺動可能であり、弁ピストン(4)の第1のピストン後側(8)へ押圧力を加える第1のパイロット室(7)と、第2のピストン後側(10)へ押圧力を加える第2のパイロット室(9)とが設けられていて、前記パイロット室(7、9)内の圧力が、第1又は第2の電磁石(5、7)によって移動可能な、第1及び第2のパイロットピストン(12、13)によって制御可能である、弁装置において、
第1及び第2のパイロット室(7、9)が、流体案内接続路(11)を介して圧力接続端(P)に接続されていること、及び
前記パイロットピストン(12、13)が、それぞれ前記パイロット室(7、9)とタンク接続端(T1、T2)との間の流体案内接続路(14)を解放するか又は閉塞することを特徴とする弁装置。
【請求項2】
圧力接続端(P)とパイロット室(7、9)との間の流体案内接続路(14)が、弁ピストン(4)内に配置されていることを特徴とする、請求項1に記載の弁装置。
【請求項3】
圧力接続端(P)とパイロット室(7、9)との間の流体案内接続路(14)が、弁ハウジング(2)内に配置されていることを特徴とする、請求項1に記載の弁装置。
【請求項4】
各パイロットピストン(12、13)が、パイロット室(7、8)からそれぞれタンク接続端(T1、T2)へ至る圧力媒体(19)用の、弁ピストン(4)内の排出導管(17、18)の開口部(15、16)を解放するか又は閉塞することを特徴とする、請求項1から3のいずれか一項に記載の弁装置。
【請求項5】
電磁石(5、6)が通電されない場合に、弁ピストン(4)がエネルギ蓄積装置(20、21)によって中立位置に保持されることを特徴とする、請求項1から4のいずれか一項に記載の弁装置。
【請求項6】
エネルギ蓄積装置(20、21)が、圧縮ばね(22、23)であることを特徴とする、請求項5に記載の弁装置。
【請求項7】
パイロット室(7、8)への流体案内接続路(11)が、シャトル弁(24)を介して圧力接続端(8)にも、消費機器接続端(A、B)にも接続可能であることを特徴とする、請求項1から6のいずれか一項に記載の弁装置。
【請求項8】
パイロット室(7、9)への流体案内接続路(11)が、圧力接続端(P)並びに第1及び第2の消費機器接続端(A、B)からそれぞれ逆止め弁(25、26、27)を介してパイロット室(7、9)へ形成されていることを特徴とする、請求項1から6のいずれか一項に記載の弁装置。
【請求項9】
パイロット室(7、9)内のシステム圧力として弁ピストン(4)に作用するばね(28、29)が、各パイロット室(7、9)内に挿入されていることを特徴とする、請求項1から8のいずれか一項に記載の弁装置。
【請求項10】
弁ピストン(4)の中立位置を維持するために、圧縮ばね(55)が、電磁石(5、6)の各アーマチュア(54)に作用することを特徴とする、請求項1から9のいずれか一項に記載の弁装置。
【請求項11】
第1のパイロット室(7)とタンク接続端(T1)との間及び第2のパイロット室(9)とタンク接続端(T2)との間の流体案内接続路(14)を閉鎖するために、エネルギ蓄積装置(20、21)が第1のパイロットピストン(18)と第2のパイロットピストン(13)にそれぞれ作用することを特徴とする、請求項1から10のいずれか一項に記載の弁装置。
【請求項12】
圧力接続端(P)が、弁ハウジング(2)の縦軸線(30)の方向においてそれぞれの消費機器接続端(A、B)の間に配置されていることを特徴とする、請求項1から11のいずれか一項に記載の弁装置。
【請求項13】
消費機器接続端(A、B)が、弁ハウジング(2)の縦軸線(30)の方向においてそれぞれのタンク接続端(T1,T2)の間に配置されていることを特徴とする、請求項12に記載の弁装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公表番号】特表2013−517434(P2013−517434A)
【公表日】平成25年5月16日(2013.5.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−549280(P2012−549280)
【出願日】平成23年1月15日(2011.1.15)
【国際出願番号】PCT/EP2011/000159
【国際公開番号】WO2011/088975
【国際公開日】平成23年7月28日(2011.7.28)
【出願人】(500580909)ハイダック フルイドテヒニク ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツング (6)
【Fターム(参考)】