説明

引き戸の振れ止め装置

【課題】引き戸と鴨居下面に設けたガイド溝との間に生ずる隙間を実質的になくすることで引き戸のガタツキ音の発生を防止し、引き戸の摺動をスムースにすると共に引き戸の取付けを容易にする振れ止め装置を提供することを課題とする。
【解決手段】 鴨居下面に設けられたガイド溝に上端部を摺動自在に勘合した引き戸に取付けられる振れ止め装置において、振れ止め装置は引き戸の上端面に装着される一対のローラから構成され、該ローラの端部が引き戸の側方に弾性的に突出すると共にローラの少なくとも上部が円錐台状に形成されており、さらにローラの中央上部と引き戸の上端面とが弾性棒状体により連結されていることを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、上端部が鴨居に設けたガイド溝に案内されて移動する引き戸において該引き戸に装着される振れ止め装置に関するものであり、引き戸の摺動をスムースにでき、さらに引き戸の取付け、取り外しを容易にするものである。
【背景技術】
【0002】
従来、引き戸の振れ止め装置としてローラを用いてガイド溝と引き戸のガタツキを抑制し、引き戸をスムースに開閉できる振れ止め装置が提供されている。
【特許文献1】特開2002―349131号公報(第4頁、図1)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
一般に建築物における引き戸としては引き違い戸、引き分け戸、引き込み戸などの種類があるがいずれもガイド溝に嵌めこまれる引き戸本体の厚みはガイド溝の巾より小に形成される。これは引き戸を取付けあるいは取り外しを考慮して成されたもので、これによりガイド溝と引き戸との間に隙間が生じ、引き戸の摺動により引き戸に振れが生じ、また好ましくない音を発生することがある。このため振れ止め装置が取り付けられることがある。
【0004】
上記特許文献1に記されている振れ止め装置は振れ止め本体の前部、後部において側方に偏心させて設けた凹部に装着されたガイドローラから構成されている。そしてガイドローラのローラ面が振れ止め本体よりの側面より突出するようになっている。この振れ止め装置はガイドローラを付勢手段によって付勢しており構造が複雑でありまた引き戸に切り込み部を設けて取付けるなど取付けに手間が掛るものである。本発明は簡単な構成により振れ止め装置を容易に取り付けが出来るもので、しかも引き戸の取付け、取り外しが簡単に出来る振れ止め装置を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記課題を解決するために、本発明に係る振れ止め装置の第一の特徴構成は、請求項1に記載した如く、鴨居下面に設けられたガイド溝に上端部を摺動自在に嵌め合わせる引き戸に取付けられる振れ止め装置において、振れ止め装置は引き戸の上端面に装着される一対のローラから構成され、該ローラの端部が引き戸の側方に弾性的に突出すると共にローラの少なくとも上部が円錐台状に形成されている点である。
【0006】
同第二の特徴構成は、請求項2に記載した如く、第一の特徴構成に加えて上記ローラの中央上部と引き戸の上端面とが弾性棒状体により連結されている点である。
【0007】
同第三の特徴構成は、請求項3に記載した如く、振れ止め装置におけるローラの左右両端間の距離はガイド溝の巾より大である点である。
【0008】
同第四の特徴構成は上記振れ止め装置が引き戸の上端面の前後両端部に装着されている点である。
【発明の効果】
【0009】
請求項1に記載の振れ止め装置は前記構成であり、ローラは上方部が円錐台状に形成されているので引き戸の取付けに際、ローラの斜面がガイド溝に当接し引き戸を押し上げることでローラが斜面に沿ってガイド溝に挿入される。
【0010】
請求項2に記載の振れ止め装置は前記構成であるので、ローラがガイド溝に当接した場合にローラは棒状弾性体により引き戸方向に引き寄せられるので取り付けが容易になる。引き戸がガイド溝に嵌め込められると弾性棒状体の反発によりローラは外方に付勢され、ガイド溝にローラの円盤部が密着するので引き戸のガタツキが防止される。
【0011】
請求項3に記載の振れ止め装置は前記構成であるので、ローラの左右両端部の距離はガイド溝の巾より大である。そのために引き戸を摺動した時でも左右のローラの円盤部がガイド溝に密着して回動するので好ましくない音を発することがない。
【0012】
請求項4に記載の振れ止め装置は前記構成であるので、長さの大な引き戸であっても引き戸の前部および後部がガイド溝に密着しているのでガタツキが生じない。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
以下、本発明の実施形態について図面を参照して、詳細に説明する。図1ないし図3は本発明に係る振れ止め装置の一実施例を示すものである。図1は本発明にかかる振れ止め装置1を引き戸Aの上端面に取り付けた状態を示す一部切り欠き斜視図である。
【0014】
振れ止め装置1は左のロ−ラ11と右ロ−ラの12とこれらの左のロ−ラ11及び右のロ−ラ12を引き戸Aに連結する弾性棒状体3とからなっている。弾性棒状体3の一端は引き戸Aの上面部に取付け片2により取付けられ他端は左右のローラ11、12の上部を支持している。左右のローラ11、12は下面が引き戸Aと接していないので回動自在である。ローラ11、12は下方が円盤部13でその上部は円錐台部14に形成されている。
【0015】
弾性棒状体3は金属あるいは合成樹脂であり、太い線状物、パイプ状物、コイル状物のいずれでも良い。そしてローラ11、12が上下、左右に移動できるものが好ましい。なんとなれば引き戸Aを取付ける場合引き戸Aの下面は敷居を乗り越えるのでローラ11、12が上下に移動しないと引き戸Aの上面がガイド溝Cの上面に当接した場合、ローラ11、12がガイド溝Cに当たるので引き戸の取付けが困難となる。
【0016】
引き戸Aを図2に示す断面図において同図の右側から鴨居Bのガイド溝Cに取付ける場合、左ローラ11の円錐台部14を構成する斜面15がガイド溝Cに当接し弾性棒状体3が屈曲して左ローラ11は引き戸A側の中心側に引き寄せられガイド溝Cに挿入される。引き戸Aの左側がガイド溝Cに挿入された後、引き戸Aは押し上げられる。これにより右ローラ12の円錐台部14を構成する斜面15がガイド溝Cに当接し、左ローラ11と同様の作用により押し上げられた引き戸Aの上端部がガイド溝C内に挿入され取付けられる。
【0017】
取付けられた引き戸Aの左右にあるローラ11、12の円盤部13、13の外端部間の距離は引き戸Aの巾より大であり、またガイド溝Cの巾より大である。従って図2に示すようにガイド溝C内では左右のローラ11、12の円盤部13、13は弾性棒状体3の反発によりガイド溝Cの側壁に密着するので引き戸Aのガタツキを防止する。
【0018】
引き戸Aは摺動する場合、左右のローラ11、12は引き戸Aの移動に伴い回動するので板ばねのみの振れ止め装置のような好ましくない音を発することもない。この振れ止め装置1は引き戸Aの上端面の前後両端部に装着されているのが振れ止めの効果が良く好ましい。
【0019】
上述のように本発明の振れ止め装置1は簡単な構造であり、振れ止め装置1の装着も取付け片2を引き戸Aの厚みの中央線上に取付ければ良いので簡単に取付けられる。またローラ11、12に斜面15があるため、引き戸Aを押し上げることでガイド溝C側に斜面15が押され、弾性棒状体3が屈曲することで左右のローラ11、12が引き戸A側に引き寄せられるので引き戸Aの取付けも容易に出来るものである。
【0020】
引き戸Aが取付けられた後、左右のローラ11、12の円盤部13が弾性棒状体3の反発によりガイド溝Cの側壁に密着しているのでガタツキを生じる引き戸Aとガイド溝Cの隙間は実質的になくなる。またローラ11、12が回動するので引き戸Aの摺動が容易となり、不快な音の発生が防止される。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】本発明に係る振れ止め装置の一実施例を示す一部切り欠き斜視図である。
【図2】鴨居のガイド溝に引き戸の上部が嵌合された状態を示す一部断面図。
【図3】図2のX―X部から見たガイド溝と振れ止め装置を示す部分平面図。
【符号の説明】
【0022】
1 振れ止め装置
11 左のローラ
12 右のローラ
13 ローラの円盤部
14 ローラの円錐台部
15 ローラの円錐台部の斜面
2 棒状体の取付け片
3 弾性棒状体
A 引き戸
B 鴨居
C ガイド溝

【特許請求の範囲】
【請求項1】
鴨居下面に設けられたガイド溝に上端部を摺動自在に嵌め合わせる引き戸に取付けられる振れ止め装置において、振れ止め装置は引き戸の上端面に装着される一対のローラから構成され、該ローラの端部が引き戸の側方に弾性的に突出すると共にローラの少なくとも上部が円錐台状に形成されている引き戸の振れ止め装置。
【請求項2】
上記ローラの中央上部と引き戸の上端面とが弾性棒状体により連結されている請求項1記載の引き戸の振れ止め装置。
【請求項3】
振れ止め装置におけるローラの左右両端間の距離はガイド溝の巾より大である請求項1記載の引き戸の振れ止め装置。
【請求項4】
上記振れ止め装置が引き戸の上端面の前後両端部に装着されている請求項1記載の引き戸の振れ止め装置。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate