説明

引き戸用キャッチ装置

【課題】引き戸1を行程終端で係止する引き戸用キャッチ装置の汎用性を高める。
【解決手段】キャッチ本体15と、引き戸1側に取り付けられる被係止ピン13と、調整具31とから成り、キャッチ本体15は、取付部17から被係止ピン13の移動経路側に延出する一対の弾性板状部18a,18bを備え、この一対の弾性板状部18a,18bは、その両弾性板状部18a,18b間の基部に形成された被係止ピン保持用凹部22を備えると共に、この被係止ピン保持用凹部22から先端側ほど間隔が広がるように傾斜し、調整具31は、前記一対の弾性板状部18a,18bを両側から把持して両弾性板状部18a,18bの外側への弾性変形を制限する一対の側壁部33a,33bを備えたもので、当該一対の弾性板状部18a,18bの長さ方向に位置調整自在に取り付けられている構成。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、引き戸を行程終端で係止する引き戸用キャッチ装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
この種のキャッチ装置は、引き戸が行程終端に近づいたときに当該引き戸側に取り付けられた被係止ピンをキャッチ本体の一対の弾性板状部間に進入させて、当該一対の弾性板状部が弾性に抗して押し広げられときの反力で引き戸を制動させ、引き戸が行程終端に達したとき、被係止ピンを前記弾性板状部間の基部に形成された凹部で把持させるように構成されるものである。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
而して、キャッチ本体の前記一対の弾性板状部の弾性の強さは、引き戸が行程終端に達するときの慣性力に見合った強さが必要であり、従来のこの種のキャッチ装置は、特許文献を挙げることはできないが、引き戸の大きさや重量に応じて設計されるもので、小型軽量タイプの引き戸用のキャッチ装置を大型大重量タイプの引き戸用キャッチ装置として使用したり、その逆に大型大重量タイプの引き戸用キャッチ装置を小型軽量タイプの引き戸用のキャッチ装置として使用することはできなかった。なぜならば、例えば前者の場合では、引き戸が行程終端において円滑且つ確実に制動停止されることができない恐れがあり、後者の場合は、引き戸を行程終端においてキャッチ装置に保持させるために手で引き戸を強く押し付ける必要が生じたりするのである。
【課題を解決するための手段】
【0004】
本発明は上記のような従来の問題点を解消し得る引き戸用キャッチ装置を提供することを目的とするものであって、その手段を後述する実施形態の参照符号を付して示すと、引き戸1を行程終端で係止するキャッチ装置であって、キャッチ本体15と、引き戸1側に取り付けられる被係止ピン13と、調整具31とから成り、キャッチ本体15は、取付部17から被係止ピン13の移動経路側に延出する一対の弾性板状部18a,18bを備え、この一対の弾性板状部18a,18bは、その両弾性板状部18a,18b間の基部に形成された被係止ピン保持用凹部22を備えると共に、この被係止ピン保持用凹部22から先端側ほど間隔が広がるように傾斜し、調整具31は、前記一対の弾性板状部18a,18bを両側から把持して両弾性板状部18a,18bの外側への弾性変形を制限する一対の側壁部33a,33bを備えたもので、当該一対の弾性板状部18a,18bの長さ方向に位置調整自在に取り付けられた構成となっている。
【0005】
上記構成の本発明を実施するについて、キャッチ本体15と調整具31は、引き戸用ガイドレール3に設けられた断面がリップ付きC形鋼状の部材取付用溝8に取り付けることができる。この場合、具体的には請求項2に記載のように、キャッチ本体15の前記一対の弾性板状部18a,18bは、前記部材取付用溝8の外側で当該溝8に沿って延出するように配設し、調整具31には、前記一対の側壁部33a,33bが突設された取付部32の左右両側に前記部材取付用溝8の両リップ部8aが嵌合する凹溝34を形成すると共に、前記一対の側壁部33a,33b間で取付部32を貫通するネジ孔35を設け、このネジ孔35に螺嵌し且つ先端が前記部材取付用溝8の底面に圧接する張出頭部を持たない締結用ネジ36を設け、当該締結用ネジの締め付けにより、反力で前記部材取付用溝8の両リップ部8aの下側面と取付部32側の凹溝34の一側面とが互いに圧接して、前記部材取付用溝8の長さ方向に位置調整した調整具31が固定されるように構成することができる。
【0006】
また、請求項3に記載のように、調整具31の前記一対の側壁部33a,33bには、キャッチ本体15の前記一対の弾性板状部18a,18bの外側部分が嵌合する凹溝部37を形成しておくことができる。この場合、更に請求項4に記載のように、キャッチ本体15の前記一対の弾性板状部18a,18bの先端外側には、調整具31の抜け止めとなる突出部23a,23bを設けておくことができる。
【0007】
更に請求項5に記載のように、キャッチ本体15には、前記一対の弾性板状部18a,18bの基部の被係止ピン保持用凹部22に隣接してクッション材保持用凹部21を形成し、このクッション材保持用凹部21に内嵌固定されたクッション材25の一部が前記被係止ピン保持用凹部22内に突出するように構成することができる。
【発明の効果】
【0008】
上記構成の本発明に係る引き戸用キャッチ装置によれば、引き戸側の被係止ピンが押し広げながら進入するキャッチ本体の一対の弾性板状部は、先端側ほど間隔が広がるように傾斜しているので、調整具の取付位置を前記弾性板状部の先端側に移動させると、当該調整具の一対の側壁部が両弾性板状部の先端側の間隔を狭めることになり、逆に調整具の取付位置を前記弾性板状部の基部側に移動させると、両弾性板状部の先端側の間隔を広げることになる。従って、移動させたときの慣性力が大きくなる大型大重量タイプの引き戸のキャッチ装置として使用する場合には、調整具をキャッチ本体の両弾性板状部の先端側に移動させて固定することにより、引き戸側の被係止ピンがキャッチ本体の両弾性板状部間に入り込むときの抵抗力を増大させ、十分な制動力をもって引き戸を制動できるようにし、逆に小型軽量タイプの引き戸の場合には、調整具をキャッチ本体の両弾性板状部の基部側に移動させて固定することにより、引き戸側の被係止ピンがキャッチ本体の両弾性板状部間に入り込むときの抵抗力を弱くして円滑且つ確実に被係止ピンを両弾性板状部間に入り込ませ、以て、引き戸側の被係止ピンをして常にキャッチ本体の両弾性板状部間の基部の凹部内に確実に嵌入させて引き戸を行程終端において保持させることができる。即ち、引き戸の重量に関係なく常に確実且つ円滑に所期のキャッチ作用を実行させることができるのである。
【0009】
尚、引き戸用ガイドレールに断面がリップ付きC形鋼状の部材取付用溝が設けられている場合、当該部材取付用溝を利用する一般的な部材取付方法、即ち、溝内に遊嵌された板ナットを当該部材取付用溝の外側の取付部材を貫通して前記板ナットのネジ孔に螺合するボルトで引き上げて当該板ナットと取付部材とで部材取付用溝の両リップ部を挟持する部材取付方法によりキャッチ本体を取り付けることができるのであるが、調整具は、その一対の側壁部間にキャッチ本体の一対の弾性板状部が嵌合する関係から、上記のような一般的な部材取付方法を採用することが困難である。この場合に請求項2に記載の構成によれば、部材取付用溝内に遊嵌される板ナットを使用しないで調整具を、前記一対の弾性板状部の長さ方向(部材取付用溝の長さ方向)に自在に位置調整して固定することができ、しかもキャッチ本体の一対の弾性板状部と部材取付用溝の両リップ部外側面との間の間隔を十分に狭めて、装置全体を嵩低く構成することができる。
【0010】
また、請求項3に記載の構成によれば、調整具とキャッチ本体とを一対の弾性板状部を利用して一体にしておくことができ、取り付けて使用する前の流通保管段階でのキャッチ装置の取り扱いが容易になる。この場合に請求項4に記載の構成を採用すれば、調整具をキャッチ本体の一対の弾性板状部の先端方向に移動させても当該調整具が一対の弾性板状部から外れて抜け落ちることがないので、一層取り扱いが容易になる。
【0011】
更に請求項5に記載の構成によれば、一対の弾性板状部間に進入して制動され、最終的に基部の被係止ピン保持用凹部内に嵌入する引き戸側の被係止ピンが当該被係止ピン保持用凹部内に突出しているクッション材に当接して衝撃が緩和されるので、重量の大きな引き戸であっても行程終端で停止するときのショックが無くなるか少なくなり、衝撃音の発生も抑えることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
以下に本発明の具体的実施例を添付図に基づいて説明すると、図1及び図2において、1は吊下式の引き戸であって、当該引き戸1で開閉される開口部の上側に水平に架設されている上部水平枠材2の上に敷設された引き戸用ガイドレール3に水平軸ローラー4を介して水平に横動可能に吊り下げられている。前記水平軸ローラー4を備えたローラーユニット5は、引き戸1の上部左右両端部に付設されるが、図はその一方のローラーユニット5のみが示されている。また、引き戸1は内側引き戸と外側引き戸とが前後に並設される。従って、引き戸用ガイドレール3には、内側引き戸用のガイドレール部6と外側引き戸用のガイドレール部7とが前後に並設されているが、図は内側引き戸用のガイドレール部6で支持される内側の引き戸1のみが示されている。
【0013】
引き戸用ガイドレール3の各ガイドレール部6,7は、図2に示されるように、前記水平軸ローラー4の周溝部が嵌合する断面半円状のモノレール状のもので、そのガイドレール部6,7の内側(引き戸1のある側とは反対側)から横側方に張り出す突条部6a,7aが連設されている。また、各ガイドレール部6,7の内側には、上向きに開口する部材取付用溝8,9が一体に連設されている。この部材取付用溝8,9は、断面がリップ付きC形鋼状のものであって、左右一対のリップ部8a,9aを備えている。
【0014】
引き戸1側のローラーユニット5は、水平軸ローラー4が軸支された取付板10から水平軸ローラー4の左右両側位置において内側へ水平の支持板部11,12が折曲連設されており、引き戸1の側辺に近い側の支持板部11の下側に、当該引き戸1を支持するガイドレール部6の内側に隣接する部材取付用溝8の真上に位置するように垂直で円柱状の被係止ピン13が取り付けられている。14は、水平軸ローラー4の内側位置から垂下するようにこのローラーユニット5に設けられたバネ鋼板から成る浮き上がり防止材であって、その下辺の外側への折曲部14aがこの引き戸1を支持するガイドレール部6の突条部6aの下側に入り込んで、引き戸1が浮き上がって水平軸ローラー4がガイドレール部6から外れるのを防止する。
【0015】
ローラーユニット5に取り付けられた被係止ピン13と協働して引き戸1を行程終端で係止するキャッチ本体15は、この引き戸1を支持するガイドレール部6に並設の部材取付用溝8の終端部に取り付けられている。尚、ガイドレール部7で支持される外側の引き戸(図示していない)に対してもキャッチ装置が必要なときは、図2に示すように、当該ガイドレール部7に並設の部材取付用溝9の終端部にもキャッチ本体16が取り付けられ、図示されていない外側の引き戸にも、前記引き戸1に取り付けられている被係止ピン13と同様の被係止ピンが取り付けられる。キャッチ本体15は、図3〜図8に示すように、取付部17と並列する一対の弾性板状部18a,18bとから成るもので、取付部17には、部材取付用溝8の両リップ部8a間の溝巾より広い底面から当該部材取付用溝8の両リップ部8a間に丁度嵌合する巾の突条部20が底面に一体に突設されている。この突条部20は、両リップ部8aの厚さより薄いものであり、両リップ部8a間に嵌合することにより、一対の弾性板状部18a,18bが部材取付用溝8の長さ方向と平行な向きとなるように取付部17の向きを規制する。
【0016】
キャッチ本体15における取付部17の長さ方向の一端には垂直円柱状のクッション材保持用凹部21が設けられ、このクッション材保持用凹部21から前記弾性板状部18a,18bが取付部17の長さ方向に延出するように一体に連設されている。この一対の弾性板状部18a,18bは、当該両弾性板状部18a,18b間の基部に形成された被係止ピン保持用凹部22を備えると共に、この被係止ピン保持用凹部22から先端側ほど間隔が広がるように傾斜している。更に、両弾性板状部18a,18bの外側面の先端部と長さ方向の中間位置とには、後述する調整具の移動範囲を規制する突出部23a,23b及び24a,24bが突設されている。尚、前記クッション材保持用凹部21の底には、このクッション材保持用凹部21に内嵌されたクッション材25を支持する突起26(図6〜図8参照)が取付部17から突設されている。そしてこのクッション材25の周面の一部が前記被係止ピン保持用凹部22内に突出するように、クッション材保持用凹部21と被係止ピン保持用凹部22との境界壁が切除されている。27は取付部17の長さ方向2箇所に垂直に設けられたボルト孔であって、これら両ボルト孔27に上から挿入した取付用ボルト28を、部材取付用溝8内にその長さ方向移動のみ可能に遊嵌される板ナット29の2つのネジ孔30に対し螺合させることができる。
【0017】
キャッチ本体突起15には調整具31が組み合わせられる。この調整具31は、キャッチ本体15における一対の弾性板状部18a,18bの真下位置で部材取付用溝8に取り付けられる取付部32と、この取付部32から上向きに一体に突設されて一対の弾性板状部18a,18bを把持する左右一対の側壁部33a,33bとを有する。取付部32は、その左右両側辺に部材取付用溝8の両リップ部8aが嵌合する凹溝34を備えると共に、一対の側壁部33a,33b間において取付部32を上下方向に貫通するネジ孔35を備え、このネジ孔35に締結用ネジ36が螺嵌されている。この締結用ネジ36は、上端に回転操作用角孔を備えているが張出頭部をもたないもので、その長さはネジ孔35の長さとほぼ同一程度である。左右一対の側壁部33a,33bには、その内側に前記弾性板状部18a,18bの外側部分が嵌合する、当該弾性板状部18a,18bの板厚より浅い凹溝部37が形成されている。
【0018】
上記構成の調整具31は、キャッチ本体15の一対の弾性板状部18a,18bを弾性に抗して互いに接近させた状態で突出部23a,24a間、及び突出部23b,24b間
に左右一対の側壁部33a,33bが位置するように下側から一対の弾性板状部18a,18bに外嵌させ、外側に弾性復帰する一対の弾性板状部18a,18bを左右一対の側壁部33a,33bの凹溝部37に嵌合させることにより、キャッチ本体15に組み付けることができる。
【0019】
上記のように調整具31が組み付けられたキャッチ本体15は、調整具31の締結用ネジ36とキャッチ本体15の取付用ボルト28を何れも弛めた状態で、調整具31の取付部32における左右両側の凹溝34に部材取付用溝8の両リップ部8aが嵌合すると共にキャッチ本体15の板ナット29が部材取付用溝8内に入り込むように、引き戸用ガイドレール3の一端から、若しくは部材取付用溝8の両端間適当箇所に設けられたリップ部8aの切除箇所から調整具31の取付部32及びキャッチ本体15の板ナット29を嵌合させて、当該部材取付用溝8に沿ってスライドさせる。そしてキャッチ本体15を定位置に位置決めしたならば、取付用ボルト28を締結して板ナット29を取付部17側に引き上げ、当該板ナット29の両側辺と取付部17の両側辺との間で部材取付用溝8の両リップ部8aを挟持させることにより、キャッチ本体15をガイドレール部6の長さ方向任意の位置に固定することができる。勿論、取付用ボルト28を弛めてキャッチ本体15の位置を調整することができる。
【0020】
また、調整具31の締結用ネジ36をねじ込んで先端を部材取付用溝8の底面に圧接させることにより、そのときの反力で浮き上がる取付部32の左右両側の凹溝34の下側面と当該凹溝34に嵌合する部材取付用溝8のリップ部8aの底面とが互いに圧接するので、調整具31は、凹溝34とリップ部8aとの上下対接面間の摩擦力と締結用ネジ36の先端と部材取付用溝8の底面との間の摩擦力とで位置固定することができる。勿論、締結用ネジ36を弛めて調整具31のキャッチ本体15に対する位置を、弾性板状部18a,18bの突出部23a,24a間、及び突出部23b,24b間の範囲内で調整することができる。
【0021】
上記の構成によれば、ガイドレール部6に沿って横動する引き戸1が、キャッチ本体15及び調整具31が配設された行程終端に接近すると、当該引き戸1の被係止ピン13がキャッチ本体15における一対の弾性板状部18a,18b間に進入することになる。この一対の弾性板状部18a,18bは先端側ほど左右に開くように傾斜しているので、その先端入り口部分は被係止ピン13の直径より広く、被係止ピン13は円滑に一対の弾性板状部18a,18b間に進入することができる。一対の弾性板状部18a,18b間の間隔が被係止ピン13の直径より狭くなった領域に達すると、被係止ピン13は、引き戸1の行程終端への運動力で一対の弾性板状部18a,18bを弾性に抗して左右に押し広げながらこの一対の弾性板状部18a,18b間を奥に進むことになり、この間の抵抗が引き戸1に対して制動力として作用し、引き戸1が行程終端に接近したとき自動的に減速される。そして引き戸1が行程終端に達したとき、被係止ピン13は、図7に実線で示すと共に図8に仮想線で示すように、被係止ピン保持用凹部22に嵌入し、一部分がこの被係止ピン保持用凹部22内に突出しているクッション材25に圧接して停止時のショックを吸収される状態で、被係止ピン13が当該被係止ピン保持用凹部22内に保持され、引き戸1が行程終端位置において位置決めされることになる。
【0022】
上記のようにキャッチ本体15と被係止ピン13とで位置決めされた引き戸1は、キャッチ本体15における被係止ピン保持用凹部22内での被係止ピン保持力に抗して被係止ピン13を引き出すように引き戸1を強く引っ張れば、位置決めが解除され、引き戸1を自由に移動させることができる。
【0023】
先に説明したように、一対の弾性板状部18a,18bは先端側ほど左右に開くように傾斜しているので、この弾性板状部18a,18bを側壁部33a,33bで挟んでいる調整具31を弾性板状部18a,18bの先端側に移動させるに従って当該弾性板状部18a,18bの先端側の間隔が狭められることになる。勿論。調整具31を突出部23a,24bに当接する最先端位置まで移動させたときも、被係止ピン13が弾性板状部18a,18b間に進入するときに受ける抵抗が最大にはなるが、被係止ピン13の弾性板状部18a,18b間への進入が妨げられることはない。而して、調整具31の側壁部33a,33bで挟まれた部分の弾性板状部18a,18bは、外側への弾性変形が調整具31の側壁部33a,33bの弾性変形をも伴う必要があるため、実質的には外側への弾性変形ができない状態になる。従って、調整具31を弾性板状部18a,18bの長さ方向に位置調整することにより、この弾性板状部18a,18bに進入してくる引き戸1側の被係止ピン13に対して強い抵抗力(制動力)を作用させる位置を弾性板状部18a,18bの長さ方向に変えることになるのである。即ち、大重量タイプの引き戸の場合には、調整具31を弾性板状部18a,18bの先端側に移動させて被係止ピン13に対し早めに強い制動力を掛けたり、逆に軽量タイプの引き戸の場合には、調整具31を弾性板状部18a,18bの基部側に移動させて被係止ピン13に対して強い制動力が作用する時期を遅らせることができるのである。また、調整具31を弾性板状部18a,18bの基部側(突出部24a,24bは無くともよい)に移動させたとき、この調整具31による弾性板状部18a,18bの外側への弾性変形の制限作用が全く生じないように構成することもできる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【図1】引き戸の上部一端のガイド部と本発明のキャッチ装置とを示す斜視図である。
【図2】図1の側面図である。
【図3】キャッチ装置の要部を示す分解斜視図である。
【図4】キャッチ本体の取付構造を示す側面図である。
【図5】調整具の取付構造を示す縦断側面図である。
【図6】キャッチ装置が働く前の状態を示す横断平面図である。
【図7】キャッチ装置が働いたときの状態を示す横断平面図である。
【図8】図6の縦断正面図である。
【符号の説明】
【0025】
1 引き戸
2 上部水平枠材
3 引き戸用ガイドレール
4 水平軸ローラー
6,7 ガイドレール部
8,9 部材取付用溝
8a リップ部
13 被係止ピン
15,16 キャッチ本体
17 キャッチ本体取付部
18a,18b 一対の弾性板状部
21 クッション材保持用凹部
22 被係止ピン保持用凹部
23a〜24b 突出部
25 クッション材
27 ボルト孔
28 取付用ボルト
29 板ナット
30 ネジ孔
31 調整具
32 調整具取付部
33a,33b 一対の側壁部
35 ネジ孔
36 締結用ネジ
37 凹溝部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
引き戸を行程終端で係止するキャッチ装置であって、キャッチ本体と、引き戸側に取り付けられる被係止ピンと、調整具とから成り、キャッチ本体は、取付部から被係止ピンの移動経路側に延出する一対の弾性板状部を備え、この一対の弾性板状部は、その両弾性板状部間の基部に形成された被係止ピン保持用凹部を備えると共に、この被係止ピン保持用凹部から先端側ほど間隔が広がるように傾斜し、調整具は、前記一対の弾性板状部を両側から把持して両弾性板状部の外側への弾性変形を制限する一対の側壁部を備えたもので、当該一対の弾性板状部の長さ方向に位置調整自在に取り付けられている、引き戸用キャッチ装置。
【請求項2】
キャッチ本体と調整具は、引き戸用ガイドレールに設けられた断面がリップ付きC形鋼状の部材取付用溝に取り付けられるもので、キャッチ本体の前記一対の弾性板状部は、前記部材取付用溝の外側で当該溝に沿って延出し、調整具は、前記一対の側壁部が突設された取付部の左右両側に前記部材取付用溝の両リップ部が嵌合する凹溝が形成されると共に前記一対の側壁部間で取付部を貫通するネジ孔が設けられ、このネジ孔に螺嵌し且つ先端が前記部材取付用溝の底面に圧接する張出頭部を持たない締結用ネジが設けられた、請求項1に記載の引き戸用キャッチ装置。
【請求項3】
調整具の前記一対の側壁部には、キャッチ本体の前記一対の弾性板状部の外側部分が嵌合する凹溝部が形成されている、請求項1または2に記載の引き戸用キャッチ装置。
【請求項4】
キャッチ本体の前記一対の弾性板状部の先端外側には、調整具の抜け止めとなる突出部が設けられている、請求項3に記載の引き戸用キャッチ装置。
【請求項5】
キャッチ本体には、前記一対の弾性板状部の基部の被係止ピン保持用凹部に隣接してクッション材保持用凹部が形成され、このクッション材保持用凹部に内嵌固定されたクッション材の一部が前記被係止ピン保持用凹部内に突出するように構成された、請求項1〜4の何れか1項に記載の引き戸用キャッチ装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2006−241766(P2006−241766A)
【公開日】平成18年9月14日(2006.9.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−56782(P2005−56782)
【出願日】平成17年3月2日(2005.3.2)
【出願人】(000106553)サンライズ金属工業株式会社 (4)