説明

引戸の自動閉鎖装置

【課題】閉扉力の設定が容易であって装置の小型化に適しており、長期に亘って安定した性能が確保できる高い耐久性を有した引戸の自動閉鎖装置を提供する。
【解決手段】ワイヤー1が巻き付けられた回転リール2と、該回転リール2と減速機構を介して連動し、圧縮状態からの復元力によって回転リール2を回転させてワイヤー1を介して引戸に閉扉力を付与する圧縮コイルバネ5と、前記回転リールに増速機構を介して連結され、引戸を閉扉時に制動する永久磁石式のマグネットブレーキ6とを備えている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、引戸の自動閉鎖装置に関し、特に防火用の引戸に適した自動閉鎖装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、この種の引戸の自動閉鎖装置としては、下記特許文献1乃至3に記載されたようなものが知られている。例えば、下記特許文献1記載の装置では、ワイヤーが戸尻側に引き出されることでゼンマイバネが蓄勢し、そのワイヤーの先端を通常時は所定位置に保持し火災時には感知器からの信号を受けて解放することにより、ゼンマイバネの弾性復元力によってワイヤーを巻き取りながら引戸にワイヤーを介して閉扉力を付与して、引戸を自動的に閉じさせるようになっている。下記特許文献2,3においても同様にゼンマイバネを使用して引戸を閉じるようにしている。
【0003】
しかしながら、ゼンマイバネは引戸の移動という長いストロークの使用に適している一方でバネ力の調整が困難であるという構造上の問題を有しており、設置場所や用途に応じて閉扉力を設定することができない。尚、下記特許文献3にはコイルバネの使用についても示唆されているが、その具体的な構成については記載されていない。しかも、自然長から伸長したバネの復元力を利用する旨記載されていることから、このコイルバネは引張りコイルバネであると考えられるが、引張りコイルバネを使用すると自然長から更に伸長されることになるため装置全体が大型になるという問題がある。
【0004】
一方、下記特許文献3においては、閉扉時に勢いよく引戸が閉まることのないように引戸を制動するガバナー装置が採用されている。しかしながら、ガバナー装置は、摺動する部材同士の摩擦抵抗を利用して制動力を付与する構造であるので、摺動音が大きいという問題がある。また、摺動によって摩耗も生じることから、長期の使用によって制動力が不安定となりやすく、耐久性にも問題がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2001−262913号公報
【特許文献2】特開平3−96585号公報
【特許文献3】特開昭55−98584号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
それゆえに本発明は上記従来の問題点に鑑みてなされ、閉扉力の設定が容易であって装置の小型化に適しており、長期に亘って安定した性能が確保できる高い耐久性を有した引戸の自動閉鎖装置を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は上記課題を解決すべくなされたものであって、本発明に係る引戸の自動閉鎖装置は、ワイヤー等の長尺体が巻き付けられた回転体と、該回転体と減速機構を介して連動し、圧縮状態からの復元力によって回転体を回転させて長尺体を介して引戸に閉扉力を付与する圧縮コイルバネと、前記回転体に増速機構を介して連結され、引戸を閉扉時に制動する永久磁石式のマグネットブレーキとを備えていることを特徴とする。
【0008】
該構成の引戸の自動閉鎖装置にあっては、回転体が一方向に回転することで圧縮コイルバネが圧縮して蓄勢するのであるが、減速機構が設けられているので、小さい圧縮量で済む。そして、引戸を閉扉させる際には、圧縮コイルバネの復元力によって回転体が他方向に回転し、長尺体を介して閉扉力が引戸に伝達付与されて引戸が自動的に閉扉する。その閉扉時においては永久磁石式のマグネットブレーキが回転体を制動するので引戸は急激に閉まるということがなく、また永久磁石式のマグネットブレーキであるので静かにゆっくりと閉まっていく。
【0009】
特に、圧縮コイルバネは非密閉構造のケース体に格納されて該ケース体を介して戸枠に取り付けられるように構成され、該戸枠への取付状態において回転体と戸枠との間に増速機構とマグネットブレーキが位置するように構成されていることが好ましい。永久磁石式のマグネットブレーキを備えているので、圧縮コイルバネを密閉構造のケース体に格納して油圧制御する必要がない。そして、ケース体が非密閉構造であるので設計の自由度が高く、また、ケース体自体の大きさも小さくできて構造も簡単なものにできる。更に、ケース体の設計の自由度を活かして回転体と戸枠との間にスペースを確保し、該スペースに増速機構と永久磁石式のマグネットブレーキを配置することにより、装置全体をより一層小型化することができる。
【0010】
更に、引戸の全閉時における圧縮コイルバネの初期圧縮量を増減させることにより該圧縮コイルバネのバネ力を調整可能な調整ボルトが、ケース体の戸先側の側面壁に設けられていることが好ましい。大小様々なバネ力を持つ圧縮コイルバネを使用することで容易に閉扉力を設定できるが、更に、調整ボルトを備えているので、例えば、施工現場においても容易にバネ力を調整することができる。しかも、調整ボルトがケース体の戸先側の側面壁に設けられているので、装置を戸枠に取り付けた後においても容易にバネ力を調整することができる。
【発明の効果】
【0011】
以上のように、本発明における引戸の自動閉鎖装置にあっては、圧縮コイルバネを備えているので閉扉力の設定が容易であり、しかも装置を小型化することができる。また、永久磁石式のマグネットブレーキを備えているので、閉扉時の音も静かであって、増速機構によって十分な制動力が得られると同時にマグネットブレーキを小型化できる。更には、永久磁石式のマグネットブレーキが非接触構造であるため、長期に亘って安定した性能が確保されて高い耐久性が得られる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】本発明の一実施形態における引戸の自動閉鎖装置を底面から見た断面図。
【図2】図1のA−A断面図。
【図3】同自動閉鎖装置を正面から見た要部断面図。
【図4】同自動閉鎖装置の使用状態を示す正面図。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明の一実施形態にかかる防火用の引戸の自動閉鎖装置について図1〜図4を参酌しつつ説明する。本実施形態における自動閉鎖装置は、引戸に閉扉力を伝達するためのワイヤー1(長尺体)が巻き付けられている回転リール2(回転体)と、該回転リール2の回転を減速して伝達する減速機構と、回転リール2の回転を引戸の開閉方向に沿った直線運動に変換する変換機構としてのラック3及びピニオンギヤ4と、ワイヤー1が戸尻側に引き出されて回転リール2が一方向に回転するとラック3に押されて圧縮し、火災時に引戸を閉扉させる際には圧縮状態から復元しつつラック3を押し戻して回転リール2を他方向に回転させてワイヤー1を介して引戸に閉扉力を付与する圧縮コイルバネ5と、回転リール2の回転を増速して伝達する増速機構と、該増速機構を介して回転リール2に連結され、回転リール2が一方向に回転する際には回転リール2を制動せず、回転リール2が他方向に回転する際には回転リール2を制動する永久磁石式のマグネットブレーキ6とを備えている。
【0014】
通常時において回転リール2から引き出されたワイヤー1の先端部は、中間リール7を経由して戸尻側へと伸びて、上枠100に取り付けられた図示しないロック装置によって所定位置に保持されている。該回転リール2は、水平方向の軸線を有する回転主軸10の正面側の一端部に取り付けられて回転主軸10と一体となって回転する。回転リール2は、図2のように正面から見た場合、ワイヤー1が引き出されることで反時計回りに回転し、引戸の閉扉時にはワイヤー1を巻き取りながら時計回りに回転する。尚、ワイヤー1を上側から引き出すようにして、反時計回りや時計回りといった回転の方向を逆にしてもよい。また、中間リール7を設けることにより、自動閉鎖装置を左右共用とすることができる。即ち、左側から右側に向けて開く引戸に適用できると共に(図4参照)、逆に、右側から左側に向けて開く引戸にも適用できる。
【0015】
このように回転リール2と共に回転する回転主軸10の背面側の他端部には、第一減速ギヤ11が噛み合っている。該第一減速ギヤ11と同軸であってそれと一体的に回転する第二減速ギヤ12には、第三減速ギヤ13が噛み合っている。該第三減速ギヤ13は、回転主軸10と平行な軸線を有するピニオン軸14の正面側の一端部に取り付けられてピニオン軸14と一体に回転する。尚、図1のように、第一乃至第三減速ギヤ11,12,13は回転主軸10の戸先側に配置されている。かかる第一乃至第三減速ギヤ11,12,13が減速機構を構成する。
【0016】
ピニオン軸14は、圧縮コイルバネ5を格納するケース体20に回転可能に支持されていて、その正面側の一端部がケース体20の正面壁23から所定量突出し、残る大部分はケース体20の内部に位置している。該ピニオン軸14はケース体20の戸尻側の側面壁21の内側に該側面壁21から比較的近い位置に配置されている。該ピニオン軸14にピニオンギヤ4が一体に設けられ、該ピニオンギヤ4にラック3が噛み合っている。該ラック3は、図3のようにピニオンギヤ4の上側に位置していて引戸の開閉方向即ち水平方向に伸びていてその方向に移動する。該ラック3は、その下面に歯部が形成され、その上面は平坦面に形成されていてケース体20の天面壁25の内面と摺動する。また、ケース体20の戸尻側の側面壁21の上端部には挿通孔としての切欠部21aが形成されていて、該切欠部21aをラック3の戸尻側の一端部が挿通して所定量側方に突出している。ラック3の戸先側の他端部には圧縮コイルバネ5を押すための押し板30が取り付けられている。該押し板30は、縦断面視においてL字状に形成されていて、圧縮コイルバネ5の戸尻側の一端部に当接する縦板部30aと、該縦板部30aの下端部から戸先側に向けて水平に延設された横板部30bとから構成されている。該押し板30の横板部30bは、圧縮コイルバネ5の下側に位置すると共にケース体20の底面壁26の内面と摺動する。即ち、ラック3の上面がケース体20の天面壁25の内面にガイドされ、押し板30の横板部30bの下面がケース体20の底面壁26の内面にガイドされる。
【0017】
また、図1に示すように、圧縮コイルバネ5は前後一対設けられて互いに平行に配置されており、押し板30の縦板部30aは両圧縮コイルバネ5を押す。尚、ラック3及びピニオンギヤ4はケース体20の前後方向の略中央に位置している。また、ケース体20の正面壁23の内面と背面壁24の内面には、ピニオン軸14を支持する支持部27がそれぞれ設けられ、該支持部27に押し板30の縦板部30aが当接することによってそれ以上押し板30が戸尻側に移動するのが阻止され、ピニオンギヤ4と押し板30との衝突が防止される。更に、圧縮コイルバネ5の戸先側の他端部とケース体20の戸先側の側面壁22との間には縦断面視L字状の調整板31が設けられている。該調整板31は、圧縮コイルバネ5の戸先側の他端部に当接する縦板部31aと、該縦板部31aの下端部から戸尻側に向けて水平に延設された横板部31bとから構成されている。該調整板31の横板部31bは、圧縮コイルバネ5の下側に位置すると共にケース体20の底面壁26の内面と摺動しながら移動できる。また、調整板31の縦板部31aは調整ボルト32の先端部と別のネジ33によって戸尻側からネジ止めされており、調整ボルト32の先端部と調整板31の縦板部31aとの間には弾性板34が介在している。該調整ボルト32は、ケース体20の戸先側の側面壁22に形成されたネジ孔に螺合しており、調整ボルト32を戸尻側に向けて螺入していくと調整板31の縦板部31aが戸尻側に移動して両圧縮コイルバネ5を押して圧縮させる。従って、調整ボルト32を操作することにより、圧縮コイルバネ5の初期圧縮量を調整することができて、そのバネ力を調整することができる。
【0018】
ここで、圧縮コイルバネ5を格納するケース体20は、密封されていない非密封構造であって、上述したように、正面壁23と背面壁24、両側面壁21,22、天面壁25、底面壁26からなる横長の直方体形状である。図1のように正面壁23は背面壁24に対して戸尻側に長く形成されていて、該戸尻側に延長された延在部23aに上述の回転主軸10の背面側の他端部が軸支され、延在部23aが回転主軸10を回転自在に支持する支持板として構成されている。尚、延在部23aの正面側には所定間隔を隔ててカバー壁28が設けられ、該カバー壁28はケース体20の正面壁23に図示しないスペーサを介して取り付けられている。該カバー壁28によって、回転リール2や第一乃至第三減速ギヤ11,12,13の正面側がカバーされると共に、回転主軸10の正面側の一端部が軸支されている。また、図2のようにケース体20の背面壁24には、天面壁25よりも上側及び底面壁26よりも下側にそれぞれ突出する取付フランジ部24aが設けられ、該取付フランジ部24aに形成された取付孔29を介してケース体20即ち装置が上枠100(図4参照)にネジ止めされる。
【0019】
一方、ケース体20の正面壁23の延在部23aの背面に、増速機構とマグネットブレーキ6が取り付けられている。回転主軸10の背面側の他端部には一方向クラッチ(図示省略)を内蔵するクラッチギヤ40が噛み合っている。該クラッチギヤ40は一方向クラッチを介して増速主軸41に装着され、該増速主軸41は延在部23aを背面側に貫通している。該増速主軸41は延在部23aの背面に取り付けられたギヤケース42に軸支され、該ギヤケース42内において増速主軸41にはそれと一体に回転する第一増速ギヤ43が設けられている。該第一増速ギヤ43は第二増速ギヤ44と噛み合い、該第二増速ギヤ44と同軸で一体に回転する第三増速ギヤ45が、マグネットブレーキ6のブレーキ軸46に装着されてそれと一体に回転するブレーキギヤ47に噛み合っている。マグネットブレーキ6はギヤケース42の背面側に位置していて、ブレーキ軸46には非磁性体からなる回転盤48が装着されている。該回転盤48の軸線方向両側にはN極とS極が所定角度毎に着磁された円盤状の永久磁石49がそれぞれ配置され、回転盤48が回転すると渦電流が発生してブレーキ軸46に制動力が付与される。尚、一方の永久磁石49に対して他方の永久磁石49を相対的に周方向に回転させることができ、互いのN極同士及びS極同士を対向させたり周方向に位置ずれさせたりすることで制動力を調整できる構造となっている。上述のようにクラッチギヤ40には一方向クラッチが内蔵されているので、ワイヤー1が引き出されて回転リール2が一方向に回転する際にはクラッチギヤ40が空転して増速主軸41は回転せず、ワイヤー1を巻き取りながら回転リール2が他方向に回転する際にはクラッチギヤ40と共に増速主軸41も回転して回転リール2に制御力が付与される。本実施形態において第一乃至第三増速ギヤ43,44,45が増速機構を構成する。
【0020】
以上のように構成された引戸の自動閉鎖装置は、図4に示すように、上枠100の戸先側の端部に取り付けられる。上枠100には引戸を吊り下げて開閉動作ができるようにするための吊り下げレール101が取り付けられているが、該吊り下げレール101の戸先側の端部の上側に位置するように自動閉鎖装置が取り付けられる。そして、回転リール2からワイヤー1が引き出されて、通常時においては、その先端部は図示しないロック装置によって戸尻側の所定位置に保持された状態にある。即ち、ワイヤー1は戸尻側の所定位置まで引き出された状態にある。このように回転リール2からワイヤー1が引き出されることで圧縮コイルバネ5が圧縮し蓄勢するが、その際、減速機構が設けられているので小さい圧縮量で済み、短い圧縮コイルバネ5を使用できると同時に装置を小型化できる。そして、火災時にロック装置が図示しない感知器から信号を受けると、ロック装置は保持していたワイヤー1の先端部を解放する。ロック装置がワイヤー1の先端部を解放すると、圧縮コイルバネ5の復元力によって回転リール2が他方向に回転してワイヤー1を巻き取っていく。ワイヤー1の先端部には図示しない係止部材が設けられており、ワイヤー1が回転リール2に巻き取られることで、係止部材が図示しない引戸のブラケットに戸尻側から係止して引戸に閉扉力が付与される。そして、回転リール2がワイヤー1を巻き取っていくことで係止部材が引戸を戸先側に押して閉扉させていくが、マグネットブレーキ6から回転リール2に制動力が付与されるので引戸は急激に閉まるということがなく、ゆっくりと閉まっていくことになる。
【0021】
このように本実施形態における自動閉鎖装置は、圧縮コイルバネ5を備えているので従来のゼンマイバネに比して閉扉力の設定が容易であり、しかも引張りバネに比して装置を小型化することができる。また、ゼンマイバネとは異なり、大小様々なバネ力を持つ圧縮コイルバネ5を使用することで容易に閉扉力を設定できるが、更に調整ボルト32を備えているので、施工現場においても容易にバネ力を調整することができる。しかも、調整ボルト32がケース体20の戸先側の側面壁22に設けられているので、装置を上枠100に取り付けた後においても容易にバネ力を調整することができる。
【0022】
また、非接触の構造のマグネットブレーキ6を備えているので、従来のガバナー装置に比して閉扉時の音も非常に静かであり、長期に亘って安定した制動力を確保でき、高い耐久性が得られる。そのうえ増速機構を設けているので小型のマグネットブレーキ6であっても十分な制動力が得られる。また、マグネットブレーキ6を備えているので、圧縮コイルバネ5を密閉構造のケース体20に格納して油圧制御する必要もない。ケース体20が非密閉構造であるのでその設計の自由度が高くなり、ラック3の一部をケース体20から突出させる構造とすることもできる。更に、ケース体20の正面壁23の延在部23aと上枠100との間にスペースを確保するようにして、該スペースに増速機構とマグネットブレーキ6を配置することにより、装置全体を小型化することができ、装置を吊り下げレール101の上側に並べて配置することも容易である。
【0023】
尚、本実施形態では、圧縮コイルバネ5を二本備えていたが、三本以上でも一本でもよい。また、複数本備える場合には、上述したような水平方向に並設する他、上下方向に並設してもよい。
【0024】
更に、回転リール2の回転を引戸の開閉方向に沿った直線運動に変換する変換機構としてラック3とピニオンギヤ4とを設けたが、これに代えて、例えばピニオンギヤ4の位置にカム板を設けてカム面となるその周面を押し板30に当接させる構成としてもよい。
【0025】
また、ケース体20の正面壁23の延在部23aを支持板としてそれに回転主軸10を軸支したが、回転主軸10を軸支するための支持板をケース体20とは別部材としてケース体20に取り付けるようにしてもよい。
【0026】
尚、ワイヤー1の先端部を引戸に直接あるいはブラケット等を介して接続して、引戸の開扉時にワイヤー1が引き出されて圧縮コイルバネ5が蓄勢されるようにしてもよい。また、引戸を通常時は全開等の所定の開き位置に保持して火災時には感知器から信号を受けて引戸の保持を解除するようにしてもよい。更に、防火用に限らず通常の引戸にも適用可能であって、ワイヤー1の先端部を防火用以外の引戸に直接あるいはブラケット等を介して接続して引戸クローザとして使用してもよい。
【0027】
更に、回転体としての回転リール2に長尺体としてのワイヤー1を巻き付けた構成としたが、回転体としてプーリーやスプロケットを設けて、長尺体として無端状のワイヤーやチェーンを巻き付けるようにしてもよい。
【符号の説明】
【0028】
1 ワイヤー
2 回転リール(回転体)
3 ラック
4 ピニオンギヤ
5 圧縮コイルバネ
6 マグネットブレーキ
7 中間リール
10 回転主軸
11 第一減速ギヤ
12 第二減速ギヤ
13 第三減速ギヤ
14 ピニオン軸
20 ケース体
21 戸尻側の側面壁
21a 切欠部
22 戸先側の側面壁
23 正面壁
23a 延在部(支持板)
24 背面壁
24a 取付フランジ部
25 天面壁
26 底面壁
27 支持部
28 カバー壁
29 取付孔
30 押し板
30a 縦板部
30b 横板部
31 調整板
31a 縦板部
31b 横板部
32 調整ボルト
33 ネジ
34 弾性板
40 クラッチギヤ
41 増速主軸
42 ギヤケース
43 第一増速ギヤ
44 第二増速ギヤ
45 第三増速ギヤ
46 ブレーキ軸
47 ブレーキギヤ
48 回転盤
49 永久磁石
100 上枠(戸枠)
101 吊り下げレール

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ワイヤー等の長尺体が巻き付けられる回転体と、該回転体と減速機構を介して連動し、圧縮状態からの復元力によって回転体を回転させて長尺体を介して引戸に閉扉力を付与する圧縮コイルバネと、前記回転体に増速機構を介して連結され、引戸を閉扉時に制動する永久磁石式のマグネットブレーキとを備えていることを特徴とする引戸の自動閉鎖装置。
【請求項2】
圧縮コイルバネは非密閉構造のケース体に格納されて該ケース体を介して戸枠に取り付けられるように構成され、該戸枠への取付状態において回転体と戸枠との間に増速機構とマグネットブレーキが位置するように構成されている請求項1記載の引戸の自動閉鎖装置。
【請求項3】
引戸の全閉時における圧縮コイルバネの初期圧縮量を増減させることにより該圧縮コイルバネのバネ力を調整可能な調整ボルトが、ケース体の戸先側の側面壁に設けられている請求項2記載の引戸の自動閉鎖装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2011−208443(P2011−208443A)
【公開日】平成23年10月20日(2011.10.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−78051(P2010−78051)
【出願日】平成22年3月30日(2010.3.30)
【出願人】(000006943)リョービ株式会社 (471)