説明

引戸や開き戸の跳ね返り防止装置

【課題】弾性変形自在な一対の跳ね返り止め部材を用いることにより簡単かつ低コストな手段でもって引戸の跳ね返りによる半開きや自然開きを防止できる引戸の跳ね返り防止装置を提供する。
【解決手段】枠側の跳ね返り止め部材19は外向きに突設する枠側突片19bを有し、戸側の跳ね返り止め部材18は内向きに突設する戸側突片18bを有する。枠側突片19bと戸側突片18bの少なくとも一方が弾性変形自在に形成され、且つ、引分戸8,9の全閉直前に戸側突片18bが枠側突片19bに摺接し、この摺接により弾性変形自在に形成された戸側突片18b又は枠側突片19bの一方又は両方の弾性変形を介して戸側突片18bが枠側突片19bを乗り越えた後に弾性変形した戸側突片18b又は枠側突片19bの一方又は両方の弾性復元作用により引分戸8,9が全閉状態に戻されて戸側突片18bと枠側突片19bとがかみ合うようにしてある。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、組立物置など建物の開口部に設けられた引戸(片引戸、引分戸)や開き戸が閉められた時に跳ね返って半開き状態になったり、自然に開いたりするのを防止できるようにした引戸や開き戸の跳ね返り防止装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、組立物置等の開口部に設けられた引戸は上部に戸車を設け、この戸車を開口部の上枠のハンガーレールに移動自在に吊設させることにより、引戸を摩擦抵抗少なくしてスムーズに開閉できるようにしている。しかし、引戸の滑りが良すぎるため,勢いよく閉めた場合、引分戸の場合は引戸どうしが中央で衝突し、片引戸の場合は片引戸が戸当り柱に衝突して跳ね返って半開き状態になったり、自然に開いたりすることがある。
この対策として、引戸を閉めると自動的に仮ロックできるラッチ機構を付けたものがある。また、引戸のレールの一部に凹部を設け、引戸を閉めた時に戸車が前記凹部に落込んで停止するもの、あるいはレールの一部に凸部を設け、引戸の全閉直前に戸車が前記凸部を乗り越えるようにしたもの(例えば、特許文献1参照。)などがある。
【0003】
【特許文献1】特開2001−146850号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかるに、引戸にラッチ機構を付けるものでは、構造が複雑でコストが高くなり、また部材の寸法精度も求められるなどの難点がある。また、引戸を閉めた時に戸車がレールの凹部に落込んで停止するものでは引戸が全閉時に若干傾き、この傾きにより隙間を生じる。引戸の全閉直前に戸車がレールの凸部を乗り越えるようにしたものでは、引戸が全閉直前に若干傾いて全閉作動の円滑性を欠くという問題がある。さらに、引戸の全閉直前に戸車がレールの凸部を乗り越えるようにして引戸の不用意な開きを規制するものでは、凸部が高いと脱輪し、低いと引戸の不用意な開き規制効力を失うという問題がある。
【0005】
本発明は、このような問題を解決するためになされたもので、その目的とするところは、一方又は両方が弾性変形自在な一対の跳ね返り止め部材を用いることにより簡単かつ低コストな手段でもって引戸や開き戸の跳ね返りによる半開きや自然開きを防止できる引戸や開き戸の跳ね返り防止装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の請求項1に記載の引戸の跳ね返り防止装置は、建物開口部における開口枠の左右の縦枠または左右いずれか一方の縦枠の外側に配置された引分け用や片引き用の引戸の跳ね返り防止装置であって、前記縦枠の外面側と前記引戸の後端部の内面側にそれぞれ跳ね返り止め部材を取り付けてあり、前記枠側の跳ね返り止め部材が外向きに突設する枠側突片を有し、前記戸側の跳ね返り止め部材が内向きに突設する戸側突片を有しており、前記枠側突片および前記戸側突片の少なくとも一方が弾性変形自在に形成され、且つ、前記引戸の全閉直前に前記戸側突片が前記枠側突片に摺接し、この摺接により弾性変形自在に形成された前記戸側突片又は前記枠側突片の一方又は両方の弾性変形を介して前記戸側突片が前記枠側突片を乗り越え前記引戸が全閉して跳ね返った後に前記弾性変形した戸側突片又は枠側突片の一方又は両方の弾性復元作用により前記引戸が全閉状態に戻されて前記戸側突片と前記枠側突片とがかみ合うようにしてあることに特徴を有するものである。
この引戸の跳ね返り防止装置によれば、引戸が引分け用引戸の場合、引分戸どうしが中央で衝突する直前に、片引用引戸の場合は片引戸が開口部の左右縦枠のいずれか他方の縦枠に衝突する直前に戸側突片が枠側突片に摺接し、この摺接により弾性変形自在に形成された戸側突片又は枠側突片の一方又は両方の弾性変形を介して戸側突片が枠側突片を乗り越えて、引分戸どうしが全閉して衝突するか、片引戸が全閉して開口部の左右縦枠のいずれか他方の縦枠に衝突して跳ね返ると弾性変形した枠側突片又は戸側突片の一方又は両方の弾性復元作用により引分戸または片引戸が全閉状態に戻されて戸側突片と枠側突片とがかみ合うため、引分戸や片引戸の跳ね返りによる半開きや自然開きを防止できる。
【0007】
請求項3に記載の開き戸の跳ね返り防止装置は、建物開口部に蝶番回りに開閉するよう配置された開き戸の跳ね返り防止装置であって、前記開口部における開口枠の左右いずれか一方の縦枠の、前記開き戸の戸先端側に面する側面と、前記開き戸の戸先端側にそれぞれ跳ね返り止め部材を取り付けてあり、前記枠側の跳ね返り止め部材が前記開き戸の戸先端に向けて突設する枠側突片を有し、前記戸側の跳ね返り止め部材が前記縦枠に向けて突設する戸側突片を有しており、前記枠側突片および前記戸側突片の少なくとも一方が弾性変形自在に形成され、且つ、前記開き戸の全閉直前に前記戸側突片が前記枠側突片に摺接し、この摺接により弾性変形自在に形成された前記戸側突片又は前記枠側突片の一方又は両方の弾性変形を介して前記戸側突片が前記枠側突片を乗り越え前記開き戸が全閉して跳ね返った後に前記弾性変形した戸側突片又は枠側突片の一方又は両方の弾性復元作用により前記開き戸が全閉状態に戻されて前記戸側突片と前記枠側突片とがかみ合うようにしてあることに特徴を有するものである。
この開き戸の跳ね返り防止装置によれば、開き戸が縦枠に立てた方立(戸当り)に衝突する直前に、戸側突片が枠側突片に摺接し、この摺接により弾性変形自在に形成された戸側突片又は枠側突片の一方又は両方の弾性変形を介して戸側突片が枠側突片を乗り越えて、開き戸が全閉し縦枠の方立に衝突して跳ね返ると弾性変形した枠側突片又は戸側突片の一方又は両方の弾性復元作用により開き戸が全閉状態に戻されて戸側突片と枠側突片とがかみ合うため、開き戸の跳ね返りによる半開きや自然開きを防止できる。
【0008】
請求項1記載の引戸の跳ね返り防止装置又は請求項3記載の開き戸の跳ね返り防止装置において、前記枠側突片および前記戸側突片の少なくとも一方は縦方向に連続して長い帯状の通し形状に形成して、前記引戸の全閉状態において該引戸と前記縦枠との間の隙間、または前記開き戸の全閉状態において該開き戸と前記縦枠との間の隙間を塞ぐことができる。したがって、これによれば、引戸と縦枠との間の隙間、または開き戸と縦枠との間の隙間から塵埃や雨水が浸入するのを防止できる。
【発明の効果】
【0009】
引戸や開き戸の全閉時には、一旦、戸側突片が枠側突片に摺接し、この摺接により弾性変形自在に形成された側の戸側突片又は枠側突片の一方又は両方の弾性変形を介して枠側突片を乗り越えた後、弾性変形した枠側突片又は戸側突片の一方又は両方の弾性復元作用により戸側突片と枠側突片とがかみ合うことにより、引戸や開き戸の跳ね返りによる半開きや自然開きを防止できる。
【0010】
枠側突片を有する跳ね返り止め部材と、戸側突片を有する跳ね返り止め部材の安価な部材を用意するだけで足り、しかも柱など躯体、引戸や開き戸の寸法精度に左右されずに引戸や開き戸の跳ね返り防止装置として容易にかつ簡単に実施できる。
引戸や開き戸の大きさ、重さに応じて跳ね返り止め部材の長さを容易に変更することができ、これにより引戸や開き戸を開ける時の抵抗を均一にすることができる。
【0011】
縦枠の外面側と引戸の後端部内面側にそれぞれ跳ね返り止め部材を取り付けたり、開口部の一方に立てた縦枠の開き戸に面する側と、開き戸の戸先端側にそれぞれ跳ね返り止め部材を取り付けたりする構造によれば、前述した従来のように戸車が転動するレール自体に凹部や凸部を設けるもののごとき全閉時に引戸が傾いて隙間を生じたり、全閉直前に引戸が傾いて全閉作動の円滑性を欠いたりするなどの問題はなく、引戸を傾けることなく、またスムーズに全閉することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
本発明の好適な実施形態を図面に基づき説明する。図1は本発明に係る引戸の跳ね返り防止装置が組み込まれた組立物置の斜視図、図2は図1の要部縦断側面図、図3は図1の引戸の全閉状態を示す要部横断平面図、図4は図3の引戸と跳ね返り止め部材を分離した状態で示す斜視図、図5は図4の跳ね返り止め部材の取付状態を示す断面図、図6は図3の引戸の跳ね返り防止装置の作動図であり、(a)は引戸を閉める途上の状態図、(b)は引戸を閉めた直後の状態図、(c)は引戸を閉めた直後の跳ね返り状態図、(d)は引戸が跳ね返った後に全閉状態に戻った状態図である。
【0013】
図1〜図3において、1は組立式の物置、2は物置1の四隅部に立設した本柱、3は物置1の左側面、図外の右側面および後側面にそれぞれ張設した壁面パネル、4は屋根板、5は物置1の前面の開口部、6は開口部5の上枠、7は開口部5の下枠、8,9は開口部5の上下枠6,7及び左右縦枠10,11で構成される開口枠の前記左右縦枠10,11の外側に対応する位置に配置された引分け用引戸を構成する引分戸であって、この引分戸8,9は全閉状態で引手12(図1参照)の取り付けてある側の戸先端8a,9aどうしを召し合せ、全開状態で開口部5の左右端にそれぞれ固定された袖壁13,14の前側に収納される。
【0014】
図2に示すように、開口部5において、断面溝形で内外壁部6a,6bを有する上枠6の溝内部にはハンガーレール15が左右方向にわたって固定されている。引分戸8、9の各上部の内面には帯長形状の戸車プレート16の幅方向下端側がそれぞれ各引分戸幅方向にわたって取り付けられている。各戸車プレート16の幅方向上端部には、ハンガーレール15に移動自在に吊設される戸車17が回転自在に軸支されている。なお、引分戸8,9の各下端部は、下枠7に配設した図外の下レールに左右方向に移動案内される。
【0015】
引分戸8,9の後端部8b,9bの内面側と左右の縦枠10,11の外面側にはそれぞれ跳ね返り止め部材18,19を取り付ける。
戸側の各跳ね返り止め部材18は、引分戸8,9の後端部8b,9bの各内面側にそれぞれ取り付けられる帯形状の取付部18aと、各取付部18aの幅方向一端から内向きに突設されて、先端が引分戸8,9の開き方向に向けて曲がる断面円弧形状に形成された戸側突片18bとを有する断面鉤形状に形成されている。一方、枠側の跳ね返り止め部材19は、縦枠10,11にそれぞれ取り付けられる帯形状の取付部19aと、各取付部19aの幅方向一端から外向きに突設されて、先端が引分戸8,9の閉め方向に向けて曲がる断面円弧形状に形成された枠側突片19bとを有する断面鉤形状に形成されている。これら跳ね返り防止部材18,19はそれぞれが比較的硬質の合成樹脂からなる取付部18a,19aと、比較的軟質の合成樹脂で弾性変形自在な戸側突片18b、枠側突片19bとを一体成形した合成樹脂成形品からなる。ただし、少なくとも、戸側突片18b又は枠側突片19bの一方は弾性変形自在に形成する必要上、上記のような軟質合成樹脂或いは合成ゴムなどゴム状弾性体で形成するが、他方は各取付部18a,19aと共に硬質合成樹脂や金属など固い剛性体で形成してもよい。
【0016】
引分戸8,9の後端部8b,9bの内面側に対し跳ね返り止め部材18を取り付ける手段の一例について説明する。図4に示すように、跳ね返り止め部材18の取付部18aの裏面に両面接着テープ20を貼り付けてから該取付部18a及び両面接着テープ20にリベット21が通される取付孔22を縦方向に所定ピッチで穿設する。リベット21は合成樹脂成形品であり、角筒状の脚部21aの一端に頭部21bを設け、脚部21aの中途部に左右一対の弾性変形自在な逆止爪21cを設けている。かくして、リベット21の脚部21aを跳ね返り止め部材18の取付部18aの正面側から取付孔22に、更に引分戸8,9の後端部8b,9bの内面側に縦方向に所定ピッチで開けてある取付孔23に逆止爪21cの弾性変形を介して押し込み、逆止爪21cが後端部8b,9bの裏側へ突出すると取付孔23に抜け止め状態に係合し、これにより図5に示すようにリベット21の頭部21bと後端部8b,9bとの間で跳ね返り止め部材18の取付部18aが挟持状態に固着される。このように跳ね返り止め部材18が両面接着テープ20で貼り付け、更にリベット21で固着することにより、その取り付け強度を高めることができ、また両面接着テープ20が経時的に劣化する場合も跳ね返り止め部材18はリベット21による固着力で外れるようなことがない。
左右縦枠10,11の外面側に跳ね返り止め部材19を取り付ける場合においても同じ要領で取り付ける。
【0017】
このように引分戸8,9の後端部8b,9bの内面側と左右の縦枠10,11の外面側にそれぞれ跳ね返り止め部材18,19を取り付けておくと、引分戸8,9が全開状態から閉じられる時に図3のように戸先端8a,9aどうしを中央で衝突する直前に、図6(a)のように引分戸8,9の戸側突片18bが枠側突片19bに摺接し、この摺接により弾性変形自在に形成された戸側突片18b又は枠側突片19bの一方又は両方の弾性変形を介して戸側突片18bが同図(b)のように枠側突片19bを乗り越え、引分戸8,9が全閉して戸先端8a,9aどうしを衝突すると同図(c)のように跳ね返り、すると同図(d)のように弾性変形した戸側突片18b又は枠側突片19bの一方又は両方の弾性復元作用により引分戸8,9が全閉状態に戻されて戸側突片18bと枠側突片19bとがかみ合う状態になり、この結果引分戸8,9の跳ね返りによる半開きや自然開きを防止できる。
【0018】
引分戸8,9の後端部8b,9bの内面側と縦枠10,11の外面側にそれぞれ跳ね返り止め部材18,19を取り付けて引分戸8,9の跳ね返りによる半開きや自然開きを防止するという構造によれば、前述した従来のように戸車が転動するレール自体に凹部や凸部を設けるもののごとき全閉時に引戸が傾いて隙間を生じたり、全閉直前に引戸が傾いて全閉作動の円滑性を欠いたりするなどの問題はなく、引分戸8,9を傾けることなく、またスムーズに全閉することができる。
【0019】
跳ね返り止め部材18,19は本来の引戸跳ね返りによる半開き防止機能を発揮させるためだけのものである場合は、跳ね返り止め部材18,19は縦方向に所定長さのピースものに形成されるものであっても、または引分戸8,9および縦枠10,11の縦方向全長にわたって連続した長い通しものに形成されるものであってよい。しかし、この跳ね返り止め部材18,19の一方又は両方を、引戸全閉状態において引分戸8,9と縦枠10,11間の隙間を塞いで塵埃や雨水の浸入防止に兼用する場合には、その跳ね返り止め部材18,19の戸側突片18bおよび枠側突片19bの一方又は両方を縦方向に連続して長い帯状の通し形状に形成して前記隙間を塞ぐようにする。
【0020】
跳ね返り止め部材18,19の戸側突片18bおよび枠側突片19bは上記のように断面円弧形状に形成することが、引分戸8,9を閉める時に互いに円滑に摺接させ易く、また戸側突片18b又は枠側突片19bの一方又は両方の弾性復元作用により互いに確実にかみ合わせることができて好ましいが、図7に示すように戸側突片18bおよび枠側突片19bは各取付部18a,19aの一端から略直角に突設させて跳ね返り止め部材18,19を断面L形状に形成するものであってもよい。
【0021】
本発明の跳ね返り防止装置は引分け用引戸以外にも、片引き用引戸にも同様に適用できる。すなわち、図8に示すように、片引戸24の後端部24bの内面側と開口部5内の縦枠10の外面側にそれぞれ上記実施例のものと同じ跳ね返り止め部材18、19を上記実施例の場合と同様の要領で取り付ける。この場合、片引戸24は全閉状態で戸先端24aを開口部5内の前記縦枠10と対向するよう配置された他方の縦枠を兼ねる本柱2の側面に衝合させ、全開状態で開口部5の左端に固定された袖壁13の前側に収納される。
【0022】
このように片引戸24の後端部24bの内面側と縦枠10の外面側にそれぞれ跳ね返り止め部材18,19を取り付けておくと、片引戸24が全開状態から全閉状態に移動する際該片引戸24の戸先端24aが本柱2の側面に衝突する直前に、戸側突片18bが枠側突片19bに摺接し、この摺接により弾性変形自在に形成された戸側突片18b又は枠側突片19bの一方又は両方の弾性変形を介して戸側突片18bが枠側突片19bを乗り越え、片引戸24が全閉して戸先端24aを本柱2の側面に衝突して跳ね返ると、弾性変形した戸側突片18b又は枠側突片19bの一方又は両方の弾性復元作用により片引戸24が図8のように全閉状態に戻され、戸側突片18bと枠側突片19bとがかみ合うため、片引戸24の跳ね返りによる半開きや自然開きを防止できる。
【0023】
この実施例においても、跳ね返り止め部材18,19の戸側突片18bおよび枠側突片19bの一方又は両方を縦方向に連続して長い帯状の通し形状に形成することによって、片引戸全閉状態において片引戸24と縦枠10間の隙間を塞いで塵埃や雨水が浸入するのを防止できる。
【0024】
また、本発明の跳ね返り防止装置は、図9に示すような開き戸26にも同様に適用できる。すなわち、図9において、開き戸26は開口部5に蝶番27回りに開閉するよう配置されており、開口部5の左右一方に立てた縦枠を兼ねる本柱2の、開き戸26の戸先端26a側に面する側面と、開き戸26の戸先端26a側にそれぞれ上記実施例のものと同じ跳ね返り止め部材18,19を上記実施例の場合と同様の要領で取り付ける。
【0025】
しかるときは、開き戸26が閉じる時にその戸先端26aが本柱2の戸寄りに立てた方立(戸当り)2aに衝突する直前に、戸側突片18bが枠側突片19bに摺接し、この摺接により弾性変形自在に形成された戸側突片18b又は枠側突片19bの一方又は両方の弾性変形を介して戸側突片18bが枠側突片19bを乗り越え、開き戸26が全閉して戸先端26aを方立2aに衝突して跳ね返ると、弾性変形した戸側突片18b又は枠側突片19bの一方又は両方の弾性復元作用により開き戸26が図9のように全閉状態に戻され、戸側突片18bと枠側突片19bとがかみ合うため、開き戸26の跳ね返りによる半開きや自然開きを防止できる。
【0026】
この実施例においても、跳ね返り止め部材18,19の戸側突片18bおよび枠側突片19bの一方又は両方を縦方向に連続して長い帯状の通し形状に形成することによって、開き戸全閉状態において開き戸26と本柱2間の隙間を塞いで塵埃や雨水が浸入するのを防止できる。
【0027】
その他の実施例として、引分戸8,9が全開する時に開口部5の左右の柱2、2に当たって跳ね返りによる半開きや自然開きを防止するようにすることもできる。
そのためには、図10に示すように、引分戸8,9の戸先端8a,9aの内面側にも、引分戸8,9の後端部8b,9bの内面側に取り付けた戸側突片18bを有する跳ね返り止め部材18と同じように戸側突片28bを有する跳ね返り止め部材28を、この戸側突片28bが後端側の戸側突片18bとは反対側に向くように取り付ける。一方、縦枠10,11上に取り付ける跳ね返り止め部材19においてはその取付部19aの幅方向一端から突設した上記実施例の枠側突片19bと対向する枠側突片19cを取付部19aの幅方向他端から突設する形に形成する。
これにより、引分戸8、9の全閉時および全開時の双方において引分戸8,9の跳ね返りによる半開きや自然開きを防止できることになる。なお、この全開時における跳ね返りによる半開きや自然開きを防止する手段は図8に示す片引戸24においても同様に採用することができる。
【0028】
なお、図3、図8に示す実施例においては縦枠10,11が袖壁13,14とは別体に形成されているが、これに代えて縦枠10,11は鋼板製の袖壁13,14の端部に一体に折曲形成されるものであってもよい。
【図面の簡単な説明】
【0029】
【図1】本発明に係る引戸の跳ね返り防止装置が組み込まれた組立物置の斜視図である。
【図2】図1の要部縦断側面図である。
【図3】図1の引戸の全閉状態を示す要部横断平面図である。
【図4】図3の引戸と跳ね返り止め部材を分離した状態で示す斜視図である。
【図5】図4の跳ね返り止め部材の取付状態を示す断面図である。
【図6】図3の引戸の跳ね返り防止装置の作動図であり、(a)は引戸を閉める途上の状態図、(b)は引戸を閉めた直後の状態図、(c)は引戸を閉めた直後の跳ね返り状態図、(d)は引戸が跳ね返った後に全閉状態に戻った状態図である。
【図7】他の実施例を図3に相応して示す引戸の全閉状態を示す要部横断平面図である。
【図8】他の実施例の引戸の跳ね返り防止装置を図3に相応して示す要部横断平面図である。
【図9】本発明に係る開き戸の跳ね返り防止装置を図に相応して示す要部横断平面図である。
【図10】更に他の実施例の引戸の跳ね返り防止装置を図3に相応して示す要部横断平面図である。
【符号の説明】
【0030】
2 本柱
5 開口部
8,9 引分戸
8a、9a 引分戸の戸先端
8b,9b 引分戸の後端部
24 片引戸
24a 片引戸の戸先端
24b 片引戸の後端部
10,11 開口枠の左右縦枠
18 戸側の跳ね返り止め部材
18b 戸側突片
19 枠側の跳ね返り止め部材
19b 枠側突片
26 開き戸
26a 開き戸の戸先端
27 蝶番

【特許請求の範囲】
【請求項1】
建物開口部における開口枠の左右の縦枠または左右いずれか一方の縦枠の外側に配置された引分け用や片引き用の引戸の跳ね返り防止装置であって、
前記縦枠の外面側と前記引戸の後端部の内面側にそれぞれ跳ね返り止め部材を取り付けてあり、
前記枠側の跳ね返り止め部材が外向きに突設する枠側突片を有し、前記戸側の跳ね返り止め部材が内向きに突設する戸側突片を有しており、
前記枠側突片および前記戸側突片の少なくとも一方が弾性変形自在に形成され、且つ、前記引戸の全閉直前に前記戸側突片が前記枠側突片に摺接し、この摺接により弾性変形自在に形成された前記戸側突片又は前記枠側突片の一方又は両方の弾性変形を介して前記戸側突片が前記枠側突片を乗り越え前記引戸が全閉して跳ね返った後に前記弾性変形した戸側突片又は枠側突片の一方又は両方の弾性復元作用により前記引戸が全閉状態に戻されて前記戸側突片と前記枠側突片とがかみ合うようにしてあることを特徴とする、引戸の跳ね返り防止装置。
【請求項2】
前記枠側突片および前記戸側突片の少なくとも一方が縦方向に連続して長い帯状に形成されて、前記引戸の全閉状態において該引戸と前記縦枠との間の隙間を塞いでいる、請求項1記載の引戸の跳ね返り防止装置。
【請求項3】
建物開口部に蝶番回りに開閉するよう配置された開き戸の跳ね返り防止装置であって、
前記開口部における開口枠の左右いずれか一方の縦枠の、前記開き戸の戸先端側に面する側面と、前記開き戸の戸先端側にそれぞれ跳ね返り止め部材を取り付けてあり、
前記枠側の跳ね返り止め部材が前記開き戸の戸先端に向けて突設する枠側突片を有し、前記戸側の跳ね返り止め部材が前記縦枠に向けて突設する戸側突片を有しており、
前記枠側突片および前記戸側突片の少なくとも一方が弾性変形自在に形成され、且つ、前記開き戸の全閉直前に前記戸側突片が前記枠側突片に摺接し、この摺接により弾性変形自在に形成された前記戸側突片又は前記枠側突片の一方又は両方の弾性変形を介して前記戸側突片が前記枠側突片を乗り越え前記開き戸が全閉して跳ね返った後に前記弾性変形した戸側突片又は枠側突片の一方又は両方の弾性復元作用により前記開き戸が全閉状態に戻されて前記戸側突片と前記枠側突片とがかみ合うようにしてあることを特徴とする、開き戸の跳ね返り防止装置。
【請求項4】
前記枠側突片および前記戸側突片の少なくとも一方が縦方向に連続して長い帯状の通し形状に形成されて、前記開き戸の全閉状態において該開き戸と前記縦枠との間の隙間を塞いでいる、請求項3に記載の開き戸の跳ね返り防止装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2006−177015(P2006−177015A)
【公開日】平成18年7月6日(2006.7.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−370531(P2004−370531)
【出願日】平成16年12月22日(2004.12.22)
【出願人】(000006910)株式会社淀川製鋼所 (34)