説明

引戸装置

【課題】 下枠5の上面の体裁を良好にし、且つ、この下枠5の上面に存在する凹部18内への異物の落下を防止できる構造で、組立作業やカバー帯28の交換作業の容易化を図る。
【解決手段】 同一鉛直面上に配置された1対のガラス障子3を窓枠1内に、この窓枠1の幅方向中間部を境とした引き分け式に建て込んだ構造で、下枠5として上面に下部案内レール17を備えたものを使用する。この下部案内レール17の上端縁を、上記下枠5の上面のうちで人や物が移動する部分よりも下方に位置させる。上記ガラス障子3の移動に伴って露出する上記凹部18の上端開口を、上記カバー帯28により覆う。このカバー帯28の一端を突き合わせ框の下端部に結合し、中間部乃至他端部を、上記下枠5の下部空間29内に収納する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、バリアフリーサッシと呼ばれる、下枠の上面を平坦にした窓枠に引戸障子を建て込んで成る引戸装置の改良に関する。
【背景技術】
【0002】
高齢者や身体障害者の移動の容易性を確保する為に、バリアフリーサッシと呼ばれる、下枠の上面を平坦にした窓枠の構造が、例えば特許文献1〜4に記載される等により、従来から各種知られている。これら各特許文献に記載された構造は、何れも、引戸障子の下框に設置した戸車の外周面が単なる円筒面で、上記下枠の上面でこの戸車の外周面が転がり接触する部分が平坦面となっている。
【0003】
この様な従来構造の場合、戸車として、従来一般的に使用されていたものとは異なる、特殊なものを使用する為、今後広く普及しない限り、コストが嵩む可能性がある。特に現状では、故障した戸車を修理・交換する際に、戸車の取り寄せに要する手間やコストが、一般的な、外周面に全周に亙って凹溝を形成したものに比べて嵩む可能性がある。又、戸車と下枠との係合部で、引戸障子の屋内外方向に関する位置決めを図れない為、別途この引戸障子の屋内外方向に関する位置決めを図る為の構造が必要になる。
【0004】
この様な事情を考慮した場合、下枠として上面に下部案内レールを備えたものを使用すると共に、この下部案内レールの上端縁を、この下枠の上面のうちで人や物が移動する部分よりも下方に位置させる構造を採用する事が有利である。この場合、下枠の上面に凹部を、引戸障子の移動方向に亙って設け、上記下部案内レールを、この凹部の底面から上方に突出する状態で設ける。従って、上記下枠の上面には、この凹部の開口部が存在し、この開口部の中央部に上記下部案内レールの上端縁が存在する状態となる。
【0005】
即ち、上記凹部及び下部案内レールは、上記下枠の全長に亙って設けるのに対し、上記引戸障子の長さ(幅)はこの下枠の全長よりも短い。この為、上記凹部の開口部及び下部案内レールの上端縁の長さ方向の一部は、上記引戸障子により覆われる事なく露出する。この為、当該部分の体裁が悪くなるだけでなく、異物が上記凹部内に落下した場合に、この異物を取り出しにくくなる。即ち、上記凹部の開口部のほぼ中間部に上記下部案内レールの上端縁が存在する為、この開口部は幅方向に2分割されて狭くなる。この結果、上記凹部内にピン等の異物が落下した場合に、この異物を取り出しにくくなる。
【0006】
特許文献5には、昇降式のシャッタの両側縁部を案内する為の昇降案内溝の一部で、シャッタパネルを巻き上げた場合にこのシャッタパネルの下方に露出する部分を、帯状封止材により覆う構造が記載されている。但し、この様な特許文献5に記載された構造は、鉛直方向に存在する溝の開口部を覆う事のみを意図していて、引戸装置の下枠の上面に存在する溝部の上端開口を覆う事を意図しているものではない。又、帯状封止材を巻き取り機構により巻き取る等、構造が複雑で、設置スペースが限られた引戸装置に適用する事は難しい。
【0007】
この様な事情に鑑みて、特願2003−350593号、特願2003−376092号、特願2004−45192号等には、コストを抑えつつバリアフリー化を可能にし、且つ、美観の向上と異物の落下防止とを図れる構造を実現できる、引戸装置に関する発明が記載されている。これら先発明に係る構造の場合には、下枠として上面に下部案内レールを備えたものを使用する事により、戸車として、広く使用されている低価格品を使用可能にする。又、上記下部案内レールの上端縁を、上記下枠の上面のうちで人や物が移動する部分よりも下方に位置させる事で、バリアフリー化を可能にする。更に、上記各下部案内レールを設置した凹部の上端開口部で、ガラス障子により覆われない部分を、カバー帯により覆い、美観の向上と異物の落下防止とを図る。これら各カバー帯の中間部は上記下枠内に配設し、上記ガラス障子の移動に伴って上記上端開口部に引き出す。
【0008】
上述の様な先発明に記載された構造の場合には、同一平面上に配置された1対の引戸障子を窓枠内に、この窓枠の幅方向中間部を境とした引き分け式に建て込んだ構造で実施する場合に、組立作業が面倒になる。即ち、上記先発明の場合には、この様な引き分け式の引戸装置に関しては、カバー帯の両端部を引戸障子の両下端部に連結するとしている。この為、このカバー帯を弛みなく組み付ける為の調整作業が必要になり、建設現場での引戸装置の組立作業が面倒になるだけでなく、傷んだカバー帯の交換作業を行なう際に、窓枠から引戸障子を取り外す必要がある等、修理の為の作業も面倒になる。
【0009】
【特許文献1】実公昭55−19814号公報
【特許文献2】特開2000−96934号公報
【特許文献3】特許第3233920号公報
【特許文献4】特許第3233921号公報
【特許文献5】特開平5−340173号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
本発明は、上述の様な事情に鑑みて発明したものである。具体的に本発明は、同一平面上に配置された1対の引戸障子を窓枠内に、この窓枠の幅方向中間部を境とした引き分け式に建て込んだ構造を対象とする。又、下枠として上面に下部案内レールを備えたものを使用すると共に、この下部案内レールの上端縁を、この下枠の上面のうちで人や物が移動する部分よりも下方に位置させる。そして、この様な構造で、しかも、下枠上面の体裁を良好にし、且つ、凹部内への異物の落下を防止できる構造の、組立作業やカバー帯の交換作業の容易化を図るものである。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明の引戸装置は、従来から一般的に実施されている引戸装置と同様に、それぞれ水平方向に設置された下枠と上枠との間の同一鉛直面内に1対の引戸障子を、閉鎖時に互いに対向する竪框同士が突き合わされる状態で建て込んで成る。又、これら両引戸障子は、それぞれの下辺を構成する下框に複数の戸車を、横軸を中心とする回転自在に支持すると共に、これら各戸車の外周面に全周に亙って形成した凹溝を、上記下枠の上面に形成した下部案内レールと係合させる事により、上記同一鉛直面内での水平移動を自在としている。
【0012】
特に、本発明の引戸装置に於いては、上記下部案内レールは、上記下枠の上面に上記両引戸障子の移動方向に亙って存在する凹部の底面から上方に突出した状態で設けられ、その上端縁がこの下枠の上面のうちでこの凹部の両側に存在する部分よりも上方には突出しないものである。
又、それぞれが可撓性及び押し付け力により移動可能な程度の剛性を有する材料により造られた1対のカバー帯が、上記凹部の上端開口部を覆う状態で設けられており、これら両カバー帯の一端部が、上記両引戸障子の下端部のうちで、閉鎖時に互いに突き合わされる側の端部に結合されている。
そして、上記下枠の中間部で閉鎖時に上記両竪框の突き合わせ部の下側に位置する部分に、上記両カバー帯の中間部をそれぞれ、これら両カバー帯同士の間で互いに反対方向に180度折り返して、これら両カバー帯の一部を、上記下枠のうちで上記凹部よりも下側に存在する下部空間内に導入するガイドブロックが設けられている。
このガイドブロックは、上記両カバー帯の中間部をそれぞれ180度ずつ折り返す為の、それぞれが半円形である1対のガイド部を、これら両ガイド部の突縁同士を互いに対向させた状態で下枠の長さ方向に間隔をあけて配置されたものである。
又、上記ガイドブロックは、その下面を下枠の中間部上面の凹部内で下部案内レールを除去した部分に、このガイドブロックの下面とこの凹部の底面とを当接させた状態で、このガイドブロックを上下方向に挿通したねじにより固定されている。
そして、上記引戸障子の移動に伴って上記カバー帯が、上記下部空間と上記凹部の上端開口部との間で移動して、この上端開口部で上記両引戸障子により覆われていない部分を覆う様にしている。
【発明の効果】
【0013】
上述の様に構成する本発明の引戸装置の場合、下枠として上面に下部案内レールを備えたものを使用する為、引戸障子の下框に設ける戸車として、外周面に全周に亙って凹溝を形成したものを使用できる。この為、戸車自体のコストを低く抑えられる他、戸車と下部案内レールとの係合部で、引戸障子の屋内外方向に関する位置決めを図れる。従って、別途この引戸障子の屋内外方向に関する位置決めを図る為の構造を設ける必要がなく、この面からもコスト低減を図れる。
又、上記下部案内レールの上端縁を、この下枠の上面のうちで人や物が移動する部分よりも下方に位置させているので、下枠の上面を実質的に平坦にして、この人や物の移動を容易に行なえる様にできる。
【0014】
又、上記下部案内レールの上端縁を上方に突出させない様にする為、上記下枠の上面に設けた凹部の上端開口部で上記引戸障子により覆われていない部分をカバー帯により覆う為、上記下枠上面の体裁を良好にし、且つ、上記凹部内への異物の落下を防止できる。上記カバー帯は、両端部を上記引戸障子の両縦辺の下端部に連結すると共に、このカバー帯の一部を上記下枠内部の下部空間内に配設している。この下部空間部分は、その上方に、窓開口の閉鎖時に上記引戸障子が移動する。従ってこの下部空間部分の長さは、この引戸障子の幅以上ある。この為、上記引戸障子の移動距離に関係なく、上記カバー帯を窓枠内に確実に収納できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
本発明を実施する場合に好ましくは、請求項2に記載した様に、下部案内レールの上端縁を下枠の上面のうちで凹部の両側に存在する部分よりも下方に位置させる。又、この凹部を仕切る1対の内側面の上端部開口寄り部分に、カバー帯の両端縁を係合させてこのカバー帯を案内する、1対のガイド溝を設ける。
この様に構成すれば、上記カバー帯の両端縁が上記凹部の開口縁部から浮き上がる事を確実に防止できる。この結果、この凹部内に細かい異物が入り込んだり、上記カバー帯に何らかの物が引っ掛かる事を有効に防止できる。
【0016】
又、上記請求項2に記載した発明を実施する場合に好ましくは、請求項3に記載した様に、カバー帯を金属板製とし、1対のガイド溝を、1対の内側面の上端部開口寄り部分に係止された合成樹脂製のガイド部材に設ける。
この様に構成すれば、上記カバー帯に十分な強度及び剛性を持たせ、且つ、このカバー帯と、アルミニウム合金の押し出し型材製の下枠との擦れ合い部で、耳障りな音が発生する事を防止できる。
【0017】
又、本発明を実施する場合に好ましくは、請求項4に記載した様に、凹部の底面でガイドブロックの下側に位置する部分に、上方から差し込まれたカバー帯の進行方向を上下方向から水平方向に変換して下部空間に導く為のガイド面を有する、補助ガイドブロックを設置する。
この様な補助ガイドブロックを設置すれば、修理等の為に、既に設置されている下枠内に新たなカバー帯を差し込む作業を容易に行なえる。
【0018】
又、本発明を実施する場合に好ましくは、請求項5に記載した様に、下部空間内に、その内側にカバー帯を挿入できるガイドチューブを、このガイドチューブの一部を下枠中央部でガイドブロックを挟む位置に開口させた状態で設置する。そして、両引戸障子の水平移動に伴って上記両カバー帯を、上記ガイドブロックで案内しつつ、上記ガイドチューブと凹部の上端開口部との間で移動させる。
この様に構成すれば、上記下部空間内での上記カバー帯の姿勢を安定させて、この下部空間と、下枠上面の凹部の上端開口部との間での、このカバー帯の受渡を安定した状態で行なえる。
【0019】
又、本発明を実施する場合に好ましくは、請求項6に記載した様に、1対の第二カバー帯を、下枠上面の凹部のうちで、両引戸障子を閉鎖方向に移動させた状態で露出する部分を覆う状態で設ける。そして、上記両第二カバー帯の一端部を、上記両引戸障子の下端部のうちで互いに反対側の端部に結合し、これら両第二カバー帯を、上記両引戸障子の開放方向への移動に伴って、下枠の端部と上枠の端部とを連結した竪枠内に収納する様に構成する。
この様に1対の第二カバー帯を設ければ、下枠上面の凹部のうちで、上記両引戸障子を閉鎖方向に移動させた状態で露出する、この下枠の両端寄り部分を覆える。
【実施例】
【0020】
図1〜50は、本発明の実施例を示している。本実施例の窓装置は、図1に示す様に、窓枠1の左右両端部に1対の嵌め殺し窓2、2を設け、これら両嵌め殺し窓2、2同士の間の開口部を、それぞれが特許請求の範囲に記載した引戸障子である1対のガラス障子3、3により開閉する様に構成している。このうちの窓枠1は、上辺を構成する上枠4と、下辺を構成する下枠5と、左右の縦辺を構成する竪枠6、6とにより、矩形に構成している。これら各枠4〜6は、それぞれアルミニウム合金の一体押し出し成形材製である。
【0021】
又、上記両嵌め殺し窓2、2を構成する為に、上記窓枠1の中間部に(両端からこれら両枠4、5の1/4程度中央部に寄った部分に)召し合わせ方立7、7を、上記上枠4と上記下枠5との間に掛け渡す状態で、鉛直方向に設けている。上記両嵌め殺し窓2、2はそれぞれ、上記竪枠6と上記召し合わせ方立7との間部分にガラスパネル8、8を支持固定する事により構成している。尚、本実施例の場合、上記両嵌め殺し窓2、2は、上記窓枠1のうちの屋外寄り(図2の上寄り、図3の左寄り)部分に建て込んでいる。嵌め殺し窓の構造に就いては、従来から周知であり、本発明の要旨とも関係しないので、詳しい説明は省略する。
【0022】
又、上記各ガラス障子3、3は、それぞれの上辺を構成する上框9、9と、同じく下辺を構成する下框10、10と、左右の縦辺を構成する竪框である、召し合わせ框11、11及び突き合わせ框12a、12bとにより、ガラスパネル13、13の四辺を囲んで成る。これら各框9〜12も、アルミニウム合金の一体押し出し成形材製である。このうちの召し合わせ框11、11は、上記窓装置の閉鎖時に上記両嵌め殺し窓2、2を構成する召し合わせ方立7、7の屋内側に位置して、これら両召し合わせ方立7、7と屋内外方向に亙り互いに対向する。これに対して上記各突き合わせ框12a、12bは、上記窓装置の閉鎖時に上記窓枠1の中央部に位置して、互いに突き合わされる。
【0023】
上記各ガラス障子3、3は上記窓枠1の内側に、一般的に知られている引戸式窓装置と同様の構造により、水平移動自在に建て込まれている。この為に、上記上枠4の下面の屋内寄り(図3の右寄り)部分に上部案内レール14を設けている。そして、上記各召し合わせ框11、11及び突き合わせ框12a、12bの上端部に支持したガイドブロック15に形成したガイド溝16に、上記各上部案内レール14を係合させている。この構成により、上記各ガラス障子3、3の上端部を上記上枠4に沿う水平移動自在に支持している。この様に、上記各ガラス障子3、3の上辺を上記上枠4に対し水平移動自在に係合させる部分の構造は、従来から広く知られている構造と同様であり、本発明の要点とも関係しない為、詳しい説明は省略する。
【0024】
これに対して、上記下枠5の屋内側部分には、図3に示す様に、1本の下部案内レール17を設けている。本実施例の場合、一般的な引戸装置を構成する下枠とは異なり、上記下部案内レール17を、上記下枠5の上面にこの下枠5の全長に亙って設けた凹部18の底面から、上方に突出した状態で設けている。又、上記下部案内レール17の高さ寸法は上記凹部18の深さ寸法よりも小さくして、これら下部案内レール17の上端縁が、上記下枠5の上面のうちで上記凹部18の両側に存在する平面部分よりも下方に位置する様にしている。この構成により、上記下部案内レール17の存在に拘らず、上記下枠5の上面を幅の狭い上記凹部18の上端開口部を除き、実質的に平坦にして、高齢者や障害者、更には車椅子等の移動を容易に行なえる様にしている。
【0025】
この様な構成を有する上記下枠5に沿う移動を可能にする為に、上記各ガラス障子3、3の下辺を構成する前記下框10、10の両端部近傍部分に戸車19を、屋内外方向に設けられた横軸を中心とする回転自在に支持している。これら各戸車19は、従来から一般的な引戸に使用されていた戸車と同様のもので、外周面中央部に凹溝20を、全周に亙り形成している。この様な凹溝20を設けた上記各戸車19をそれぞれ1対ずつ支持した上記各下框10、10は、上記下部案内レール17と上記各凹溝20とを係合させる事で、上記下枠5の上方位置に、この下枠5に沿った水平移動を自在に支持している。
以上の構成により、上記各ガラス障子3、3を上記窓枠1の内側に、同一鉛直面内での水平移動自在に建て込んでいる。
【0026】
尚、図示の例では、上記下枠5として、1対の(或は2対の)引戸障子を引き違い式に建て込んだ窓装置に使用する下枠と共通のものを使用している。この為に、上記下枠5の上面屋外側部分にも下部案内レール17及び凹部18が設けられている。即ち、この下枠5の上面には、屋外側から順番に、屋外側突条22と、中央突条23と、屋内側突条24とを設け、隣り合う突条同士の間に存在する凹部18、18内に、これら両凹部18、18の底面から上方に突出する状態で、それぞれ下部案内レール17、17を設けている。但し、このうちの屋外側部分の下部案内レール17及び凹部18に関しては、前記嵌め殺し窓2、2を設置した部分に相当する部分に就いては、図3に示す様に、これら両嵌め殺し窓2、2の下框21により、これら両嵌め殺し窓2、2の間部分に就いては、図2及び後述する図21に示す様に塞ぎ板75により、それぞれ塞いでいる。
【0027】
これに対して、屋内側の下部案内レール17に関しては、上記各戸車19を案内する為に、上記下枠5の上面に露出させている。本実施例の場合には、上記中央突条23の屋内側面にブラケット25を係止し、上記屋内側の下部案内レール17の上半部を、このブラケット25と上記屋内側突条24との上半部同士の間の中間部に位置させている。そして、前記両ガラス障子3、3を前記窓枠1に建て込んだ状態で、上記各戸車19の一部は、上記ブラケット25と屋内側突条24との上半部同士の間に入り込む。
【0028】
又、上記両ガラス障子3、3の下框10の屋内側壁26の下端部を、上記下部案内レール17と上記屋内側突条24との間に進入させている。更に、この屋内側突条24の上端部屋外側面に係止したシール部材27に設けたシールリップの先端縁を上記屋内側壁26の下端部屋内側面に摺接させて、上記下枠5と上記下框10との間をシールしている。
【0029】
本発明を上述の様な窓装置に適用した本実施例の場合、図1に略示する様に、可撓性及び押し付け力により移動可能な程度の剛性を有する材料製のカバー帯28、28の一端部を、前記両ガラス障子3、3の両縦辺のうちで、閉鎖時に互いに突き合わされる側の端部である、前記両突き合わせ框12a、12bの下端部に連結している。これと共に、上記両カバー帯28、28の一部を、上記下枠5のうちで前記凹部18よりも下側に存在する下部空間29内に配設している。そして、上記両ガラス障子3、3の移動に伴って上記カバー帯28、28を、上記下部空間29部分と、上記凹部18の上端開口部との間で移動させる事により、この上端開口部で上記ガラス障子3、3により覆われていない部分を、上記カバー帯28、28により覆う様に構成している。
【0030】
この様なカバー帯28、28は、それぞれ金属製の巻き尺を構成する金属板の如きステンレス鋼板、或は合成樹脂を一体押し出し成形する事により造られた長尺材等、可撓性及び押し付け力により移動可能な程度の剛性を有する弾性材製である。本実施例の場合には、上記カバー帯28、28として、自由状態での断面形状が円弧形となるものを使用して、このカバー帯28、28の肉厚を小さく抑えつつ、剛性の確保を図っている。尚、このカバー帯28、28の湾曲方向は、上記凹部18の上端開口を覆った状態で、その上面が凸曲面となる方向としている。この理由は、上記カバー帯28、28と前記下部案内レール17の上端縁との干渉を防止しつつ、この下部案内レール17の高さ寸法を確保する為である。
【0031】
この様なカバー帯28、28の幅方向両側縁は、上記凹部18の上端開口両側部分に設けられたガイド溝30、30に、長さ方向の摺動自在に係合している。この為に、前記ブラケット25と前記屋内側突条24との互いに対向する面の上端部に、上記各ガイド溝30、30を形成している。本実施例の場合、これら各ガイド溝30、30を、前記下枠5を構成するアルミニウム合金の押し出し型材製の部材に形成した係止溝に係止した、合成樹脂の押し出し型材製のライナ部材31、31aに形成している。尚、屋内側のライナ部材31aに就いては、前記シール部材27の上端部に、このシール部材27と一体に設けている。上記両カバー帯28、28が上記下枠5に沿って移動する際には、このカバー帯28、28の両側縁が上記各ガイド溝30、30に案内される。
【0032】
この様なカバー帯28、28は、その一端部を前記ガラス障子3、3の縦辺を構成する突き合わせ框12a、12bの下端部に連結している。この為に本実施例の場合には、上記両カバー帯28の一端部に図4に示す様な係止片32を固定し、上記両突き合わせ框12a、12bの下部に、図5〜8に示す様な受具33を設けている。このうちの係止片32は、例えば合成樹脂の射出成形により造られたもので、上記カバー帯28の一端部上面に、リベット及び連結金具34を介して連結固定されている。又、上記受具33は、例えば合成樹脂の射出成形により造られたもので、図7に示す様に、上記両突き合わせ框12a、12bの下部で互いに対向する面に設けられた凹部35内に、昇降のみ自在に装着されている。尚、上記両突き合わせ框12a、12bの形状は多少相違し、これに合わせてこれら両突き合わせ框12a、12bに装着する受具33の形状も多少相違する。但し、その相違は本質的なものではないので、以下、一方(図7の左方)の突き合わせ框12aに装着する受具33に就いて説明する。
【0033】
上記受具33の下端部には、下方に開口した受け溝部36を設けている。上記カバー帯28を上記突き合わせ框12aの下端部に結合する際には、上記受具33を下降させて、上記受け溝部36内に上記係止片32の係止突壁37を進入させる。この結果、上記突き合わせ框12aの水平移動に伴って、上記カバー帯28の一端部が押し引きされる様になる。又、上記受具33の中央部には弾性係止片38を形成し、この弾性係止片38を、上記突き合わせ框12aの仕切板部39の上下2個所位置に形成した係止孔若しくは係止凹部に係脱自在としている。これら両係止孔若しくは係止凹部の上下位置は、次の様に規制している。尚、上記仕切板部39の下端部は、上記受具33の必要とする昇降量を確保する為に、これら両係止孔若しくは係止凹部よりも下側位置で少し切り欠いている。
【0034】
上記カバー帯28の一端寄り部分を前記両ガイド溝30、30に係合させると共に、上側の係止孔若しくは係止凹部に上記弾性係止片38を係合させた状態で、上記受け溝部36の下方に上記係止突壁37を進退自在とする。即ち、この状態では、この受け溝部36を構成する為に上記受具33の先端部下面に設けた1対の垂下壁部40a、40bのうちの先端寄り(図5の左寄り)の垂下壁部40aの下端縁位置が上記係止突壁37の上端縁位置よりも下方に存在するが、基端寄り(図5の右寄り)の垂下壁部40bの下端縁位置は上記係止突壁37の上端縁位置よりも上方に存在する。この状態で、前記下枠5に沿って上記カバー帯28と前記ガラス障子3とを相対変位させれば、上記受け溝部36の下方に上記係止突壁37を進退させられる。これに対して、下側の係止孔若しくは係止凹部に上記弾性係止片38を係合させた状態では、上記基端寄りの垂下壁部40bの下端縁位置も、上記係止突壁37の上端縁位置よりも下方に存在する様になる。この状態では、上記受け溝部36と上記係止突壁37との係合が外れなくなって、上記突き合わせ框12aの水平移動に伴い、上記カバー帯28の一端部が押し引きされる様になる。尚、上記受具33の上下2個所位置に形成した円形の貫通孔は、上記突き合わせ框12aと下框10とを連結するタッピングねじを回転させたり、前記戸車19の高さ調節を行なう工具(ドライバ)を挿通する為のものである。
【0035】
上述の様にして、その一端部を前記1対のガラス障子3、3の互いに対向する縦辺を構成する突き合わせ框12a、12bの下端部外側面に結合した上記カバー帯28は、図9〜21に示す様な構造により、その中間部を180度折り返している。要するに、上記両ガラス障子3、3の移動に伴って上記カバー帯28の一端部を押し引きし、このカバー帯28を、前記下部空間29部分と、前記凹部18の上端開口部に設けた前記両ガイド溝30、30との間で移動させて、この上端開口部のうちで上記ガラス障子3、3により覆われていない部分を、上記両カバー帯28、28により覆う様に構成している。
【0036】
本実施例の場合には、これら両カバー帯28、28の中間部を180度折り返す為に、図9〜18に示す様なガイドブロック41を、図19〜21に示す様に、前記下枠5の中央部に組み込んでいる。このガイドブロック41は、合成樹脂を射出成形して成るもので、それぞれが半円形である1対のガイド部42、42を有する。これら両ガイド部42、42はそれぞれ、上記両ガラス障子3、3の突き合わせ框12a、12bの下端部にそれぞれの一端を連結した、上記両カバー帯28、28の中間部を、それぞれ180度ずつ折り返す為のものである。この様な両ガイド部42、42は、上記ガイドブロック41を構成する取付基部43の屋内側面に、互いの突縁同士を互いに対向させた状態で、上記下枠5の長さ方向に少し間隔をあけて設けられている。
【0037】
又、本実施例の場合には、上記取付基部43の上端部で上記両ガイド部42、42の上方位置に天板部44を、この天板部44の屋外側部分に簀の子状部45を、それぞれ設けている。このうちの天板部44は、上板部と下板部とを備えた上下二重構造で、これら両板部同士の間に、図17〜18に示す様に、多数の繊維を配列して成るブラシ状体46の基半部(図17の上半部、図18の右半部)を挟持した状態で接着固定している。又、上記簀の子状部45は、上記ガイドブロック41を設置した、上記下枠5の中央部上面に雨水が溜まるのを防止する為に設けている。この様なブラシ状体46及び上記簀の子状部45は、本発明の要旨とは関係しないので、後で説明する。
【0038】
上述の様なガイドブロック41を装着する為に、上記下枠5の中央部では、前記ブラケット25及び前記下部案内レール17(図3参照)を不連続とすると共に、前記中央突条23の屋内側面及び前記屋内側突条24の屋外側面に形成した突部を一部除去している。そして、上記取付基部43の下面を、上記下枠5の水平板部48の中央部で、上記中央突条23の屋内側面と上記屋内側突条24の屋外側面との間部分の屋外寄り部分の上面に当接させている。更に、上記取付基部43の中央部に上下方向に形成した取付孔を上方から挿通した取付ねじ47により、この取付基部43を上記下枠5の中央部に支持固定している。
【0039】
又、図示の例では、上記下枠5の中央部で上記ガイドブロック41の下方に、図22〜26に示す様な補助ガイドブロック49を支持固定している。この補助ガイドブロック49は、上記下枠5の中央部に上方から差し込まれた前記両カバー帯28、28の進行方向を上下方向から水平方向に変換して、上記下枠5の下部空間29に導く為のものである。この様な補助ガイドブロック49を支持固定する為に、上記下枠5の中央部では、図29に示す様に、前記下部案内レール17を切除して不連続部とすると共に、上記水平板部48の一部を切除して透孔50を形成している。又、シール部材27(図3参照)を係止する為に、前記屋内側突条24の上端部屋外側面に形成した係止突条の一部も、上記下枠5の中央部で切除している。これに伴って、上記シール部材27も、この下枠5の中央部で不連続になっている。
【0040】
上記補助ガイドブロック49は、合成樹脂を射出成形して成るもので、中央部下半に、ガイドブロック部51を有する。このガイドブロック部51は、富士山の頂部を上方に延ばした如き形状としたもので、上記下枠5に装着した状態でこの下枠5の長さ方向両側面に、それぞれ四分の一凹円弧形のガイド面52、52を有する。これら両ガイド面52、52の下端側である、上記ガイドブロック部51の両端縁は、それぞれ極薄の尖端縁となっている。又、上記ガイドブロック部51の屋内側には、鉛直壁部53を設け、この鉛直壁部53の両側上下方向中央部から屋外側に突出する状態で、1対の取付フランジ部54、54を形成している。又、上記鉛直壁部53の上端部に、上記下枠5の長さ方向に長いシール板部55を設けている。このシール板部55は、上記シール部材27の不連続部のシール性を確保する為のもので、周面(=長さ方向両端面及び内外両側面=図22〜26に梨子地で表した部分)に、ゴムの如きエラストマー等の弾性シール材56を貼付している。更に、上記シール板部55を含めて、上記鉛直壁部53の屋外側面には、前記両カバー帯28、28の端縁部との干渉を防止する為の凹部57を形成している。
【0041】
上述の様な構成を有する上記補助ガイドブロック49は、上記両取付フランジ部54、54の下面よりも下側に存在する下半部を、上記透孔50を通じて前記下部空間29内に挿入する。この状態で上記両取付フランジ部54、54を、前記水平板部48の上面にねじ止め固定する。又、この状態で上記シール板部55は上記シール部材27の不連続部に位置し、上記弾性シール材56とこのシール部材27の端面とが当接若しくは近接対向する。更に、上記両ガイド面52、52の下端側端部は、上記下部空間29内に配設した、次述するガイドチューブ58の開口部に整合させて、このガイドチューブ58との間で、上記両カバー帯28、28の受渡を円滑に行なわせる様にしている。
【0042】
上記ガイドチューブ58は、アルミニウム合金、合成樹脂等の一体押し出し成形材製で、上記両カバー帯28、28を摺動自在に収納する為の、矩形チューブ状の収納部59と、この収納部59の上面から上方に突出した係止突条60とを有する。このうちの収納部59の中央部は、図30に示す様に、底板部を除く部分を切除して、切除した部分に、上記補助ガイドブロック49の下半部を挿入自在としている。又、上記係止突条60はその中央部を、上記収納部59よりも少し広い範囲で切除している。
【0043】
この様なガイドチューブ58は、図32に示す様に、上記係止突条60の上端部を、前記下枠5の一部に、この下枠5と前記突き合わせ框12a(12b)とを結合する為のタッピングねじを螺合する為に設けたタッピング溝61に係合させつつ、上記下枠5の下部空間29内に、この下枠5の端部開口から挿入する。そして、上記底板部を除いて切除した上記収納部59の中央部を、前記水平板部48の一部を切除して形成した透孔50(図29参照)の下側に位置させた状態で、前記補助ガイドブロック49の下半部をこの透孔50に、上記水平板部48の上方から挿入し、この補助ガイドブロック49の下面を、上記収納部59の底板部の中央部上面に当接させる。この結果、上記ガイドチューブ58が上記下部空間29内に、水平方向の移動を阻止された状態で、がたつきなく支持固定されると共に、上記底板部の上面と前記両ガイド面52、52とが滑らかに連続する。尚、これら両ガイド面の下端部が上記底板部の上面よりも多少上側に位置する事は差し支えない(逆は不可である)。
【0044】
上述の様なガイドチューブ58の収納部59の左右両側部分には、それぞれの一端部を上記両突き合わせ框12a、12bの下端部に連結した前記両カバー帯28、28の中間部乃至他端部を挿入している。この挿入作業は、上記下枠5を構成する水平板部48の中央部に形成した上記透孔50を通じて上記両カバー帯28、28を、それぞれの他端部を下にし、この他端部を上記両ガイド面52、52に突き当てる様にして行なう。これら両ガイド面52、52に突き当てられた上記両カバー帯28、28の他端部は、これら両ガイド面52、52に案内されて湾曲しつつ上記ガイドチューブ58の収納部59の左右両側部分に入り込む。この際、上記両カバー帯28、28の他端部乃至中間部を上記両ガイド面52、52に手指により抑え付ける。又、挿入作業は、カバー帯28、28毎に前後して行なう。
【0045】
尚、上記補助ガイドブロック49の上方に前記ガイドブロック41をねじ止め固定する作業並びに上記両カバー帯28、28の一端部を上記両突き合わせ框12a、12bの下端部に連結する作業は、上記両カバー帯28、28の中間部乃至他端を上記ガイドチューブ58の収納部59の左右両側部分に挿入した後に行なう。具体的には、この挿入作業の後に、先ず、上記両カバー帯28、28の一端寄り部分を上記下枠5の上方に引き出した状態で、これら両カバー帯28、28の中間部一端寄り部分を上記ガイドブロック41に設けた前記両ガイド部42、42に巻き掛ける。次いで、このガイドブロック41を上記下枠5の中央部にねじ止め固定してから、前記図4に示した様な係止片32と、前記図5〜8に示す様な受具33とを係合させて、上記両カバー帯28、28の一端部を上記両突き合わせ框12a、12bの下端部に連結する。これら一連の作業を完了した状態では、前述の図19に示す様に、上記両カバー帯28、28の中間部が、上記ガイドブロック41のガイド部42、42により180度折り返された状態となる。
【0046】
上述の様にして、それぞれの一端部を上記両突き合わせ框12a、12bの下端部に連結されると共に、それぞれの中間部を180度折り返された上記両カバー帯28、28は、前記両ガラス障子3、3を開放方向に移動させる事に伴い、上記下枠5の上面に形成された凹部18の上端開口を覆う。即ち、上記両ガラス障子3、3を開放方向に移動させると、それまでこれらガラス障子3、3により上方を覆われていた、上記下枠5の中央部が露出する。同時に、上記収納部59から上記カバー帯28、28が、これら両ガラス障子3、3の移動方向後方に位置する上記ガイドブロック41部分から引き出される。そして上記両カバー帯28、28が、それぞれの両側縁を前記各ガイド溝30、30に係合させつつ上記凹部18の上端開口部に引き出されて、この凹部18の上端開口部を覆う。この状態では、上記下枠5の上面の体裁を良好にし、且つ、この凹部18内に異物が落下する事を防止できる。
【0047】
本発明に直接関連する部分の構成及び作用は上述の通りであるが、以下、本発明の実施に付随して実施する事になる、他の構造に就いて説明する。以下に説明する、この他の構造としては、次の(a)(b)の2通りの構造が存在する。
(a) 上記両ガラス障子3、3を閉鎖位置に移動させた状態で露出する上記下枠5の両端部に関して、上記凹部18の上端開口部を第二カバー帯により覆う構造。
(b) 上記下枠5の中央部に上記ガイドブロック41及び前記補助ガイドブロック49を設置した事に伴い、この下枠5の中央部及び上記両ガラス障子3、3の突き合わせ部の周辺部のシール性を確保する為の構造。
【0048】
このうちの(a) の構造に就いて、先ず説明する。この(a) の構造は、基本的には前述の特願2003−350593号に係る先発明の構想をそのまま利用できる。又、この特願2003−350593号には、竪枠と竪框との間で下枠上面の凹部の上端開口をカバー帯で覆う構造に関して、次の(イ)(ロ)に示す2通りの構造が記載されている。
(イ) カバー帯の一端部を下枠の端部に結合支持すると共に、このカバー帯の中間部乃至他端部を竪框の内部に収納する。
(ロ) カバー帯の一端部を竪框の下端部に結合支持すると共に、このカバー帯の中間部乃至他端部を竪枠の内部に収納する。
【0049】
これら(イ)(ロ)に示す2通りの構造のうちの(イ) に示した構造の場合には、カバー帯の両端縁部を凹部の開口部に載せるだけで、このカバー帯の両端縁部をこの開口部に沿って設けたガイド溝30、30(図3参照)に係合させる事はできない。これに対して上記(ロ) に記載した構造は、カバー帯の両端縁部をこの開口部に沿って設けたガイド溝30、30に係合させて、このカバー帯の浮き上りを防止する事ができる。この為、図示の実施例では、上記(ロ) に記載した構造を採用している。
【0050】
この(ロ) に記載した構造を構成する為に図示の例では、1対の第二カバー帯62(図2参照)の一端部を、前記両ガラス障子3、3の召し合わせ框11の下端部に連結すると共に、この第二カバー帯62の中間部乃至他端寄り部分の両側縁を、上記両ガイド溝30、30に係合させている。この第二カバー帯62の一端と上記召し合わせ框11の下端部との連結部、並びに、この第二カバー帯62の両側縁と上記両ガイド溝30、30との係合部の構造は、前記両カバー帯28、28の場合と同様である。上記(ロ) に記載した構造を構成する為に、前記窓枠1の竪辺を構成する竪枠6内に、図2に示す様に、竪方向収納部63を設けている。そして、この竪方向収納部63の下端開口と上記両ガイド溝30、30の水平方向端部との間に、上記第二カバー帯62の進行方向を90度変更する為のガイドブロック(図示省略)を設けている。このガイドブロックは、ナイロンの如き滑り易い合成樹脂により造り、その内部に上記第二カバー帯62の進行方向を、水平方向と鉛直方向とで90度変更する為のガイド通路を設けている。このガイド通路は、上記竪方向収納部63の下端開口に整合する鉛直部と、上記両ガイド溝30、30の水平方向端部に整合する水平部とを、四分の一円弧状に湾曲した連結部により滑らかに連続させたものである。
【0051】
上述の様に構成するので、上記両ガラス障子3、3を閉鎖方向に向け前記下枠5の中央部に移動させると、上記第二カバー帯62が上記竪方向収納部63から上記両ガイド溝30、30の間部分に引き出され、上記下枠5の両端部に関して、上記凹部18の上端開口部を覆う。これに対して、上記両ガラス障子3、3を開放方向に向け上記下枠5の端部に移動させると、上記第二カバー帯62が、上記両ガイド溝30、30の間部分から上記竪方向収納部63に押し込まれる。この為、上記両ガラス障子3、3の移動を可能にし、且つ、これら両ガラス障子3、3を閉鎖方向に移動させた状態で露出する、上記下枠5の両端寄り部分で、上記凹部18の上端開口を覆える。
【0052】
次に、前記(b) の、上記下枠5の中央部及び上記両ガラス障子3、3の突き合わせ部の周辺部のシール性を確保する為の構造に就いて説明する。これら両ガラス障子3、3の突き合わせ框12a、12b同士の間のシールは、図2、7に示す様に、一方の突き合わせ框12aに向け張り出す状態で他方(図2、7の右方)の突き合わせ框12bに形成した係止部64、64に係止した1対のシール材65、65を構成するシールリップを、上記一方の突き合わせ框12aの先端部両側面に弾接させる事により図っている。尚、上記両シール材65、65が下方に落下しない様にすべく、上記両係止部64、64の下端部には、図33〜34に示す様に止めブラケット66を嵌合固定している。この止めブラケット66は、合成樹脂製で上記係止部64の下端部に嵌合固定自在な固定片67と、ゴムの如きエラストマー等の弾性材製で、この固定片67にその基部を結合固定されたシール片68とから成る。この様な止めブラケット66は、上記固定片67を上記係止部64に嵌合固定した状態で、上記シール片68の上端面に上記シール材65の下端面を突き当てている。そして、このシール材65の落下を防止すると共に、上記両突き合わせ框12a、12b同士の間のシールを、これら両突き合わせ框12a、12bの下端部に至る迄図れる様にしている。尚、この様な構造は、従来から知られていた構造である。
【0053】
特に、本実施例の場合には、図35に示した構造により、上記下枠5の中央部及び上記両ガラス障子3、3の突き合わせ部の周辺部のシール性の確保を図っている。この部分のシール性の確保を図る為に、上記両突き合わせ框12a、12bの下端部に、それぞれ気密片69a、69bを固定している。これら両気密片69a、69bのうち、上記一方の突き合わせ框12aの下端部に固定する、図35の左側の気密片69aは図36〜41に示す様に、同じく右側の気密片69bは図42〜47に示す様に、それぞれ形成されている。これら図36〜47中、梨子地で表した部分は、ゴムの如きエラストマー等の弾性材製のシートを貼着した部分、それ以外の部分は合成樹脂を射出成形する事により造られた部分である。
【0054】
上記両気密片69a、69bはそれぞれ、上記両突き合わせ框12a、12bの下端部にがたつきなく内嵌される嵌合部71a、71bと、この嵌合部71a、71bの下端部に形成した外向フランジ状の鍔部72a、72bと、この鍔部72a、72bよりも下方に垂れ下がった垂下壁部73a、73bとから成る。この様な上記両気密片69a、69bはそれぞれ、図48〜50に示す様に、金属製の補強板70で抑え付ける状態で、上記両突き合わせ框12a、12bの下端部にねじ止め固定している。この際、上記鍔部72a、72bの上面にコーキング剤等のシール剤を塗布して、この鍔部72a、72bの上面と上記両突き合わせ框12a、12bの下端縁との間をシールしている。
【0055】
上記両垂下壁部73a、73bの水平方向に関して基端部(互いに反対側の端部)は、前記両ガラス障子3、3の下辺を構成する下框10の屋内側壁26(図3参照)の下端部で前記下枠5の上面よりも下方に存在する部分と連続している。又、上記両ガラス障子3、3を閉鎖位置に移動させた状態で、上記両垂下壁部73a、73bの水平方向に関して先端縁同士は互いに突き合わされる。又、これら両垂下壁部73a、73bの屋内側面と上記屋内側壁26の下端部の屋内側面とは同一鉛直面内に存在する。この為、上記両ガラス障子3、3を閉鎖位置に移動させた状態では、前記シール部材27によるシール線(このシール部材27のシールリップと相手部材との接触部)が、上記両突き合わせ框12a、12bの下方位置に於いて不連続になる事はない。尚、上記シール部材27を前記補助ガイドブロック49部分で不連続とする代りに、この不連続部のシールを、前記弾性シール材56により図る事もできる。又、上記両ガラス障子3、3を閉鎖位置に移動させる際には、上記両垂下壁部73a、73bが、前記ブラシ状体46を構成する多数の繊維を押し退け(弾性変形させ)つつ、前記下部案内レール17と前記屋内側突条24との間部分に進入する。即ち、上記ブラシ状体46は、上記ガラス障子3、3を開放位置に移動させた状態で上記間部分を塞ぐと共に、このガラス障子3、3を閉鎖位置に移動させる際に、上記両垂下壁部73a、73bが上記間部分に移動する事を許容する為に設けている。
【0056】
又、上記両ガラス障子3、3を閉鎖位置に移動させた状態で、前記シール片68の下端面は、上記両垂下壁部73a、73bの先端部上面に当接若しくは近接対向する。この結果、前記下枠5の中央部及び上記両ガラス障子3、3の突き合わせ部の周辺部のシール性を、実用上十分なレベルで図れる。
【0057】
更に、図示の例では、上記両ガラス障子3、3を閉鎖位置に移動させた状態で、前記両気密片69a、69bの屋外側に突出する状態で設けた庇部74a、74bが、前記ガイドブロック41の上端部屋外側に設けた簀の子状部45の上方に位置する。この簀の子状部45は、上記下枠5の中央部上面に多量の雨水が溜まる事を防止する為に設けているが、上記両ガラス障子3、3を閉鎖位置に移動させた状態で上記簀の子状部45が屋外側に露出していると、これら両ガラス障子3、3に吹き付けた風がこの簀の子状部45を通じて上記下枠5内に入り込み、この下枠5内の圧力を上昇させる可能性がある。そして、この下枠5内の圧力が上昇すると、この下枠5内に雨水が存在した場合に、この雨水が前記シール部材27等によるシール部を通過して、屋内側に吹き出す可能性がある。これに対して図示の例では、上記両庇部74a、74bが上記簀の子状部45の上方を覆う為、上述の様な原因で、室内に雨水が吹き出す事を防止できる。
【図面の簡単な説明】
【0058】
【図1】本発明の実施例を示す、窓装置を屋内側から見た状態で示す正面図。
【図2】図1の拡大A−A断面図。
【図3】同拡大B−B断面図。
【図4】係止片を固定したカバー帯の一端部の部分正面図。
【図5】突き合わせ框の下端部に装着する受具の正面図。
【図6】図5の右方から見た図。
【図7】突き合わせ框への組み付け状態を示す平面図。
【図8】同側面図。
【図9】ガイドブロックを屋内側上方から見た状態で示す斜視図。
【図10】同じく屋外側上方から見た状態で示す斜視図。
【図11】同じく屋内側下方から見た状態で示す斜視図。
【図12】同じく屋外側下方から見た状態で示す斜視図。
【図13】同じく屋内側から見た状態で示す正面図。
【図14】同じく屋外側から見た状態で示す背面図。
【図15】同じく平面図。
【図16】同じく図13の右方から見た図。
【図17】ガイドブロックにブラシ状体を装着した状態で示す平面図。
【図18】図17の右方から見た図。
【図19】ガイドブロック及び補助ブロックとカバー帯との組み付け状態を示す、図1のC部に相当する部分正面図。
【図20】図19の上方から見た平面図。
【図21】図19の右方から見た部分側面図。
【図22】補助ガイドブロックを屋外側上方から見た状態で示す斜視図。
【図23】同じく屋内側上方から見た状態で示す斜視図。
【図24】同じく屋外側下方から見た状態で示す斜視図。
【図25】同じく屋内側下方から見た状態で示す斜視図。
【図26】同じく屋外側から見た状態で示す正面図。
【図27】下枠へのガイドブロック及び補助ガイドブロックの組み付け状態を示す平面図。
【図28】同じく図27の右方から見た側面図。
【図29】ガイドブロック及び補助ガイドブロックを組み付ける為に加工した、下枠中央部の形状を示す平面図。
【図30】ガイドチューブの正面図。
【図31】図30のD−D断面図。
【図32】下枠への組み付け状態を示す断面図。
【図33】突き合わせ框の下端部に装着する止めブラケットの側面図。
【図34】同じく平面図。
【図35】下枠の中央部及び両ガラス障子の突き合わせ部の周辺部のシール性を確保する為の構造を取り出した状態で示す斜視図。
【図36】一方の気密片を屋外側上方戸先側から見た状態で示す斜視図。
【図37】同じく屋内側上方で逆側から見た状態で示す斜視図。
【図38】同じく屋外側下方で逆側から見た状態で示す斜視図。
【図39】同じく屋内側から見た正面図。
【図40】同じく図39の上方から見た平面図。
【図41】同じく図39の左方から見た側面図。
【図42】他方の気密片を屋外側上方戸先側から見た状態で示す斜視図。
【図43】同じく屋内側上方で逆側から見た状態で示す斜視図。
【図44】同じく屋外側下方で逆側から見た状態で示す斜視図。
【図45】同じく屋内側から見た正面図。
【図46】同じく図45の上方から見た平面図。
【図47】同じく図45の左方から見た側面図。
【図48】突き合わせ框下端部への気密片の組み付け状態を示す正面図。
【図49】同じく平面図。
【図50】同じく側面図。
【符号の説明】
【0059】
1 窓枠
2 嵌め殺し窓
3 ガラス障子
4 上枠
5 下枠
6 竪枠
7 召し合わせ方立
8 ガラスパネル
9 上框
10 下框
11 召し合わせ框
12a、12b 突き合わせ框
13 ガラスパネル
14 上部案内レール
15 ガイドブロック
16 ガイド溝
17 下部案内レール
18 凹部
19 戸車
20 凹溝
21 下框
22 屋外側突条
23 中央突条
24 屋内側突条
25 ブラケット
26 屋内側壁
27 シール部材
28 カバー帯
29 下部空間
30 ガイド溝
31、31a ライナ部材
32 係止片
33 受具
34 連結金具
35 凹部
36 受け溝部
37 係止突壁
38 弾性係止片
39 仕切板部
40a、40b 垂下壁部
41 ガイドブロック
42 ガイド部
43 取付基部
44 天板部
45 簀の子状部
46 ブラシ状体
47 取付ねじ
48 水平板部
49 補助ガイドブロック
50 透孔
51 ガイドブロック部
52 ガイド面
53 鉛直壁部
54 取付フランジ部
55 シール板部
56 弾性シール材
57 凹部
58 ガイドチューブ
59 収納部
60 係止突条
61 タッピング溝
62 第二カバー帯
63 竪方向収納部
64 係止部
65 シール材
66 止めブラケット
67 固定片
68 シール片
69a、69b 気密片
70 補強板
71a、71b 嵌合部
72a、72b 鍔部
73a、73b 垂下壁部
74a、74b 庇部
75 塞ぎ板

【特許請求の範囲】
【請求項1】
それぞれ水平方向に設置された下枠と上枠との間の同一鉛直面内に1対の引戸障子を、閉鎖時に互いに対向する竪框同士が突き合わされる状態で建て込んで成り、これら両引戸障子は、それぞれの下辺を構成する下框に複数の戸車を、横軸を中心とする回転自在に支持すると共に、これら各戸車の外周面に全周に亙って形成した凹溝を、上記下枠の上面に形成した下部案内レールと係合させる事により、上記同一鉛直面内での水平移動を自在としている引戸装置に於いて、上記下部案内レールは、上記下枠の上面に上記両引戸障子の移動方向に亙って存在する凹部の底面から上方に突出した状態で設けられ、その上端縁がこの下枠の上面のうちでこの凹部の両側に存在する部分よりも上方には突出しないものであり、それぞれが可撓性及び押し付け力により移動可能な程度の剛性を有する材料により造られた1対のカバー帯が、上記凹部の上端開口部を覆う状態で設けられており、これら両カバー帯の一端部が、上記両引戸障子の下端部のうちで、閉鎖時に互いに突き合わされる側の端部に結合されており、上記下枠の中間部で閉鎖時に上記両竪框の突き合わせ部の下側に位置する部分に、上記両カバー帯の中間部をそれぞれ、これら両カバー帯同士の間で互いに反対方向に180度折り返して、これら両カバー帯の一部を、上記下枠のうちで上記凹部よりも下側に存在する下部空間内に導入するガイドブロックが設けられており、このガイドブロックは、上記両カバー帯の中間部をそれぞれ180度ずつ折り返す為の、それぞれが半円形である1対のガイド部を、これら両ガイド部の突縁同士を互いに対向させた状態で下枠の長さ方向に間隔をあけて配置されたものであり、上記ガイドブロックは、その下面を下枠の中間部上面の凹部内で下部案内レールを除去した部分に、このガイドブロックの下面とこの凹部の底面とを当接させた状態で、このガイドブロックを上下方向に挿通したねじにより固定されており、上記引戸障子の移動に伴って上記カバー帯が、上記下部空間と上記凹部の上端開口部との間で移動して、この上端開口部で上記両引戸障子により覆われていない部分を覆う事を特徴とする引戸装置。
【請求項2】
下部案内レールの上端縁が下枠の上面のうちで凹部の両側に存在する部分よりも下方に位置し、この凹部を仕切る1対の内側面の上端部開口寄り部分に、カバー帯の両端縁を係合させてこのカバー帯を案内する1対のガイド溝が設けられている、請求項1に記載した引戸装置。
【請求項3】
カバー帯が金属板製であり、1対のガイド溝が、1対の内側面の上端部開口寄り部分に係止された合成樹脂製のガイド部材に設けられている、請求項2に記載した引戸装置。
【請求項4】
凹部の底面でガイドブロックの下側に位置する部分に、上方から差し込まれたカバー帯の進行方向を上下方向から水平方向に変換して下部空間に導く為のガイド面を有する、補助ガイドブロックを設置した、請求項1〜3の何れか1項に記載した引戸装置。
【請求項5】
下部空間内に、内側にカバー帯を挿入できるガイドチューブを、このガイドチューブの一部を下枠中央部でガイドブロックを挟む位置に開口させた状態で設置し、両引戸障子の水平移動に伴って上記両カバー帯を、上記ガイドブロックに案内しつつ、上記ガイドチューブと凹部の上端開口部との間で移動させる、請求項1〜4の何れか1項に記載した引戸装置。
【請求項6】
1対の第二カバー帯が、下枠上面の凹部のうちの両引戸障子を閉鎖方向に移動させた状態で露出する部分を覆う状態で設けられており、上記両第二カバー帯の一端部が、上記両引戸障子の下端部のうちで互いに反対側の端部に結合されており、これら両第二カバー帯が、上記両引戸障子の開放方向への移動に伴って、下枠の端部と上枠の端部とを連結した竪枠内に収納される、請求項1〜5の何れか1項に記載した引戸装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図25】
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【図26】
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【図27】
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【図28】
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【図29】
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【図30】
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【図31】
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【図32】
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【図33】
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【図34】
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【図35】
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【図36】
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【図37】
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【図38】
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【図39】
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【図40】
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【図41】
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【図42】
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【図43】
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【図44】
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【図45】
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【図46】
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【図47】
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【図48】
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【図49】
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【図50】
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【公開番号】特開2006−144335(P2006−144335A)
【公開日】平成18年6月8日(2006.6.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−333951(P2004−333951)
【出願日】平成16年11月18日(2004.11.18)
【出願人】(000005005)不二サッシ株式会社 (118)
【Fターム(参考)】