説明

往復回転駆動装置

【課題】構成が簡単で小型化を可能とする往復回転駆動装置を提供することを目的とする。
【解決手段】スイッチ機構6は、減速機2の出力軸3もしくは該出力軸に直結された検出軸7に取り付けられたウォーム12と、第一軸13に取り付けられて該ウォーム12に噛合し減速回転する同歯数の二つのウォーム歯車14,15と、第二軸16に取り付けられて上記二つのウォーム歯車にそれぞれ噛合して減速回転する同歯数の二つのスイッチ用歯車17,18とを有し、各スイッチ用歯車は周方向の所定位置にスイッチを押す押圧部が設けられ、一方のスイッチ用歯車17の押圧部19は第二軸16が正方向に所定角だけ回転したときにモータの逆転駆動のための逆転用スイッチ20を、そして他方のスイッチ用歯車18の押圧部は第二軸16が逆方向に所定角だけ回転したときにモータ1の正転駆動のための正転用スイッチ21をそれぞれ作動せしめるようになっている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、軸を所定回転数毎に正逆回転せしめる往復回転駆動装置に関する。
【背景技術】
【0002】
この種の装置としては、特許文献1に開示されている装置が知られている。
【0003】
この特許文献1の装置は、例えば、ビニールハウスのカーテンを巻き上げそして送り出すことにより該カーテンの開閉を行なう回転軸を所定回転数毎に正逆回転させるために用いられる。この装置は、図3(A)に見られるように、カーテン開閉用の上記回転軸から公知の伝達歯車等により分岐された運転軸を介して駆動されるウォーム51を有している。該ウォーム51は、歯数が僅かに異なるウォーム歯車、例えば歯数が60と61の歯車52,53が噛合している。これらのウォーム歯車52;53の軸54;55にはそれぞれ二つのカム円盤56A,56B;57A,57Bが取り付けられており、各カム円盤にはそれぞれ対応してカム円盤の周方向一箇所に形成されたカム凹部、例えば、図3(B)のごとく、カム円盤56Aではカム凹部56A−1が形成されていて、該カム凹部56A−1にマイクロスイッチ58Aが係合するようになっている。他のカム円盤56B,57A,57Bも同様で、対応するマイクロスイッチ58B,59A,59Bが協働するように設けられている。
【0004】
かかる装置では、カーテン開閉用の回転軸は減速機を介してモータにより回転駆動され、この回転軸の回転が伝達歯車等により上記ウォーム51が回転する。このウォーム51の回転は、歯数が60そして61のウォーム歯車52,53にそれぞれ伝達される。歯車52と歯車53は歯数が1つ違うので、例えば、歯車52が1回転すると歯車53は1歯分だけずれて回転する。すなわち、歯車52と歯車53の軸54と軸55にそれぞれ取り付けられているカム円盤56Aとカム円盤58Aとは60回転するとカム凹部同士の周方向位置が一致して同期し、マイクロスイッチ58Aとマイクロスイッチ59Aが同時に作動する。この同時作動でモータの正逆回転を切り換えるようにすれば、上記歯車52の60回転に相当する回転軸の回転数毎に該回転軸の正逆回転を行なうことができる。なお、図3において、カム円盤56Aとカム円盤57Aが正転用ならば、カム円盤56Bとカム円盤57Bは逆転用として用いられる。
【特許文献1】特公昭54−2864
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1の装置は、構造が複雑であること、大型であることにおいて、改善の余地がある。
【0006】
特許文献1の装置では、僅かに歯数が異なる二種の歯車が必要である。これは、歯車の種類を多くするだけでなく、二種の歯車がそれぞれ対応する異なる軸に取り付けられることを意味する。
【0007】
二種の歯車がそれぞれの軸に取り付けられるということは、カム円盤もそれぞれの軸に設けられるということでもある。したがって、歯車のみならずカム円盤も多くなり部品点数の増加により装置が複雑化する。
【0008】
また、異なる歯数の歯車は、ウォーム51に対して、互いに反対側に位置せざるを得ず、装置はそれだけ大型化する。
【0009】
さらには、一般に、特許文献1のような装置は、モータ付減速機と一体化して作られることが多く、スイッチ機構の変更がある場合には、モータ付減速機と共に交換しなくてはならない。
【0010】
本発明は、かかる事情に鑑み、構成が簡単で小型化が可能な往復回転駆動装置を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明に係る往復回転駆動装置は、駆動用モータが連結される減速機と、該減速機の出力軸の所定回転数毎にモータを正逆転させるためのスイッチ機構を有する。
【0012】
かかる往復回転駆動装置において、本発明では、スイッチ機構は、減速機の出力軸もしくは該出力軸に直結された検出軸に取り付けられたウォームと、第一軸に取り付けられて該ウォームに噛合し減速回転する同歯数の二つのウォーム歯車と、第二軸に取り付けられて上記二つのウォーム歯車にそれぞれ噛合して減速回転する同歯数の二つのスイッチ用歯車とを有している。
【0013】
各スイッチ用歯車は周方向の所定位置にスイッチを押す押圧部が設けられ、一方のスイッチ用歯車の押圧部は第二軸が正方向に所定角だけ回転したときにモータの逆転駆動のための逆転用スイッチを、そして他方のスイッチ用歯車の押圧部は第二軸が逆方向に所定角だけ回転したときにモータの正転駆動のための正転用スイッチをそれぞれ作動せしめるようになっている。
【0014】
このような構成の本発明装置では、モータが正回転しているとき、この回転は減速機で減速され出力軸へ伝えられ、ここに直結されている例えばカーテン開閉用の回転軸を正転させてこのカーテンを開く。カーテンの開きが完了するために設定されている所定回転数だけ出力軸が回転すると、これに対応してウォーム、ウォーム歯車も減速回転する。さらに減速回転するスイッチ用歯車は一回転以下での所定角だけ回転し、所定角だけ回転したときに一方のスイッチ用歯車の押圧部が逆転用スイッチを作動せしめ、モータの逆転を可能とする。このとき、回路の設定により、回転を停止せしめ、所定時のモータの逆転を開始することができる。逆転するモータは減速機の出力軸も逆転せしめ、カーテンは閉となる。そのとき、この出力軸の逆方向の回転は、ウォーム、ウォーム歯車が減速回転する。そして、他方のスイッチ用歯車は所定角だけ逆回転し押圧部が正転用スイッチを作動せしめる。このようにして、正逆の往復回転が行われる。かかる装置の応用例によっては、上記カーテンのように開あるいは閉時に一定時間そのままの状態で停止していることが要求されている場合は、そのように回路の設定で対応するが、他の応用例で出力軸が単純に正逆回転を連続的に繰り返す場合は、そのような措置は不要である。
【0015】
本発明において、押圧部は、例えば、スイッチの釦部を押圧する突部として形成できる。
【発明の効果】
【0016】
本発明は、以上のごとく、減速機の出力軸に直結される検出軸に取り付けられたウォームに噛合する二つのウォーム歯車が同歯数としたので、歯車の種類が減るだけでなくウォーム歯車のための軸が共通な一つのものとすることができ、したがって、両ウォーム歯車はウォームに対して周方向で同一位置にあるので、装置がコンパクトなものとなる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
以下、添付図面の図1及び図2にもとづき、本発明の一実施形態を説明する。
【0018】
図1において、モータ1が連結された減速機2の出力軸3は、軸方向で少なくとも一方(図1にて右方)に延びていて、該出力軸3に、例えばカーテン開閉用の回転軸4が継手5を介して連結されている。
【0019】
上記出力軸3は、他方(左方)側にも延出し、スイッチ機構6の検出軸7に連結されている。この検出軸7は上記出力軸3と別体で形成され互いに連結されていても、出力軸3と一体でもよい。例えば出力軸3そのものを検出軸とすることもできる。また、上記出力軸3は、右方に延びることなく、左方のみに延出して上記スイッチ機構5の先方でカーテン開閉用の回転軸と連結してもよい。
【0020】
スイッチ機構6は、図2に見られるごとく、ケーシング8に収められている。該ケーシング8は互いに分割された半体を組み合わせることにより形成されるが、図2では一方の半体を外した状態で示されている。ケーシング8の半体は周囲の複数位置に、ピンあるいはスタッド9が設けられていて、他の半体との組立に供している。
【0021】
ケーシング8の下部空間には、軸受10,11が収められていて、該軸受10,11によって検出軸7が回転自在に支持されている。この検出軸7には、両軸受10,11間でウォーム12が取り付けられている。
【0022】
上記検出軸7の上方には、該検出軸7とは直角方向に延びる第一軸13が軸受(図示せず)により回転自在に支持され、該第一軸13には同歯数のウォーム歯車14,15が並んで取り付けられている。両ウォーム歯車14,15共に上記ウォーム13に噛合している。
【0023】
さらに、上記第一軸13の上方には、該第一軸13と平行に延びる第二軸16が軸受(図示せず)により回転自在に支持され、該第二軸16には同歯数のスイッチ用の歯車17,18が取り付けられている。これらの歯車17,18はそれぞれ上記ウォーム歯車14,15と噛合しており、歯車17,18の歯数はウォーム歯車14,15よりも多い。
【0024】
歯車17,18には、周方向の所定位置で外周近くの側面に短三角柱形状の突起が押圧部として設けられている。図では、手前の歯車17の押圧部19が示され、奥側の歯車18の押圧部は見えていない。
【0025】
上記歯車17,18の側方には、スイッチ20,21がケーシング8により保持されている。これらのスイッチ20,21は押されてスイッチ動作を行なう釦部を有している。図では手前のスイッチ20の釦部20Aが示され、奥側のスイッチ21の釦部は見えていない。これらのスイッチ20,21の釦部は上記歯車17,18の押圧部により押されてスイッチ動作を行なう。押圧部と釦部との位置関係は、一方の歯車17が第二軸16の回転に伴い例えば、時計方向に一回転以下の所定角だけ回転したときに押圧部19(図2では、押圧部19はこの所定角の途中にある)が上記スイッチ20の釦部20Aを押圧するように、そして、その位置で、第二軸16の逆方向への回転に伴い他方の歯車18が一回転以下の所定角だけ回転したときに歯車18の押圧部が他のスイッチ21の釦部を押圧するように定められている。これらのスイッチ20,21の釦部の作動は、モータに対して逆回転の指令を与える。
【0026】
このように構成された本実施形態装置では、出力軸の正逆往復回転は次の要領で行なわれる。
【0027】
(1)先ず、モータ1の正回転に伴い、減速機2の出力軸3は対応する方向に減速回転する。この出力軸の回転により、例えばカーテンは開かれる。
【0028】
(2)カーテンが開き終わるまでの出力軸が回転すると、該出力軸3に連結されている検出軸7のウォーム12そして第一軸13のウォーム歯車14を経て減速回転される第二軸16の歯車17は所定角だけ時計方向に回転して、該歯車17の押圧部19がスイッチ20の釦部20Aを押して、スイッチ20を作動させる。このスイッチ20の作動による指令を受けてモータは逆回転を開始する。勿論、カーテンを一定時間開いたままにするように、このまま出力軸を停止させておいてもよい。
【0029】
(3)モータ、すなわち出力軸3が逆転すると、カーテンは閉じ始める。逆方向に回転する出力軸3は、検出軸7のウォーム12、第一軸13のウォーム歯車15を逆方向に回転せしめ、さらには、第二軸16の歯車18を所定角だけ逆方向に回転させる。このとき、歯車18の押圧部はスイッチ21の釦部を押圧してスイッチを作動せしめ、モータに再び正回転させる指令を出す。
【0030】
(4)なお、正逆回転、すなわち上記(2),(3)において、第一軸13が回転すれば、二つのウォーム歯車14,15は一緒に同方向に回転し、第二軸16の歯車17,18は一緒に同方向に回転する。しかし、最終的に、正方向あるいは逆方向での回転時にスイッチに関与するのは、歯車17,18のいずれか一方であるので、上記(2),(3)の説明では、関与する方の歯車についてのみ説明をしたものである。
【図面の簡単な説明】
【0031】
【図1】本発明の一実施形態装置の概要構成図である。
【図2】図1に用いられるスイッチ機構の斜視図である。
【図3】従来装置を示し、(A)は平面図、(B)は(A)におけるカム円盤の側面図である。
【符号の説明】
【0032】
1 モータ
2 減速機
3 出力軸
6 スイッチ機構
7 検出軸
12 ウォーム
13 第一軸
14,15 ウォーム歯車
16 第二軸
17,18 スイッチ用の歯車
19 押圧部
20,21 スイッチ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
駆動用モータが連結される減速機と、該減速機の出力軸の所定回転数毎にモータを正逆転させるためのスイッチ機構を有する往復回転駆動装置において、スイッチ機構は、減速機の出力軸もしくは該出力軸に直結された検出軸に取り付けられたウォームと、第一軸に取り付けられて該ウォームに噛合し減速回転する同歯数の二つのウォーム歯車と、第二軸に取り付けられて上記二つのウォーム歯車にそれぞれ噛合して減速回転する同歯数の二つのスイッチ用歯車とを有し、各スイッチ用歯車は周方向の所定位置にスイッチを押す押圧部が設けられ、一方のスイッチ用歯車の押圧部は第二軸が正方向に所定角だけ回転したときにモータの逆転駆動のための逆転用スイッチを、そして他方のスイッチ用歯車の押圧部は第二軸が逆方向に所定角だけ回転したときにモータの正転駆動のための正転用スイッチをそれぞれ作動せしめるようになっていることを特徴とする往復回転駆動装置。
【請求項2】
押圧部はスイッチの釦部を押圧する突部であることとする請求項1に記載の往復回転駆動装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2009−30774(P2009−30774A)
【公開日】平成21年2月12日(2009.2.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−197824(P2007−197824)
【出願日】平成19年7月30日(2007.7.30)
【出願人】(592079882)シグマー技研株式会社 (6)
【Fターム(参考)】