説明

微粒子混合燃料焚きディーゼルエンジンの燃料供給方法

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は微粉炭燃料を使用するディーゼルエンジンに関する。
【0002】
【従来の技術】通常のディーゼルエンジンは図2に示すように、燃料油が燃料タンク101から給油ポンプ102を経て燃料噴射ポンプ103に供給され、高圧燃料となって燃料弁108に導かれ噴口109からエンジンの燃焼室内に噴射されるものであるが、ディーゼルエンジン用燃料に代え、微粉炭と水又は燃料油との混合燃料を高圧にして噴射し燃焼させる場合に、高圧噴射ポンプのプランジャー室内の混合燃料の固定物によりプランジャーが焼付きを起こしてエンジンの運転の継続が出来なかった。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】本来、高圧燃料噴射ポンプには燃料の固形物をフィルターで濾過したものを使用するもので、固形物の微粉炭と、燃料油との混合燃料を直接燃料噴射ポンプにそのまま供給することは燃料噴射の機構上不適当であった。
【0004】本発明の目的は前記に示す従来のポンププランジャーの焼付きを起こす欠点を排除し、微粉炭と燃料油との混合燃料を使用しても、良好な運転を行いうる燃料供給方法を提供するに在る。
【0005】
【課題を解決するための手段】1)本発明は前記課題を解決するため、石炭微粒子を含む燃料を計量用ポンプによって逆止弁を通り燃料噴射弁内の油溜部に供給し、燃料噴射ポンプによって加圧された高圧油の圧力波によって、前記油溜部内の燃料を加圧し燃料噴射弁から噴出させることを特徴とする。
2)燃料噴射ポンプに設けたコントロールラック検出装置により検知した噴射量をコントロール装置に入力し、該コントロール装置によって制御弁の開閉タイミングを制御して、計量用ポンプから送出する燃料を該制御弁により前記噴射ポンプの噴射量に応じた送出量に制御し逆止弁を通じて噴射弁内の油溜部に送入させることを特徴とする。
【0006】
【作用】本発明は前記のように構成したので次のように作用を呈する。コントロールラック検知装置23によって検知された燃料噴射量に応じた石炭微粒子を含む燃料に、噴射ポンプから発する高圧力液を伝え燃焼室内に噴射させるもので、高圧噴射ポンプバレル5内には堅い石炭の微粒子を含む燃料油は供給されずプランジャーの焼付きを起こす事はない。
【0007】本発明の実施例に係わる説明図を図1に示す。図に於いて1は圧力波を燃料弁へ伝達するための油タンク、2は給油ポンプ、3は高圧噴射ポンプ、4はプランジャー、5はバレル、6は吐出弁、7は逆止調圧弁、8は圧力波伝達管、9は燃料噴射弁、10は噴孔、11は針弁、12は油溜部、13は逆止弁、14はばね、15は供給管、16は制御弁、17は給油管、18は給油ポンプ、19は石炭微粒子を含む燃料タンク、20はコントロール装置、21は循環用弁、22は循環用管、23はコントロールラック検知装置を示す。石炭微粒子を含む燃料は燃料タンク19から給油ポンプ18によって給油管17を経て制御弁16に入る。そして、前記燃料は、該制御弁16により、燃料噴射の休止期間中で、しかも圧力波伝達管内の油の循環が終了した後、所定の量を噴射管15を介して燃料噴射弁9に送り込まれる。このとき高圧噴射ポンプ3の逆止調圧弁7の開弁圧PRに対し逆止弁13の開弁圧をPPとし針弁11の開弁圧PNとして、Pn>Pp>PRに設定することによって、燃料タンク19から供給された燃料は逆止弁13を通り、燃料噴射弁9の油溜部12に流入する。その為この油溜部12に存在していた圧力伝達用の油は高圧噴射ポンプ3の方向に圧力伝達用の油圧管8を通って押し戻され、逆止調整弁7を押し開いてバレル(プランジャー室)5内に逆流する。また燃料の油量は、コントロールラック検知装置23により高圧燃料圧送量を検知してコントロール装置20に入力し、制御弁16の開閉タイミング期間を該コントロール装置20によって制御することにより、油溜部12に充満される。この状態で高圧燃料ポンプ3のプランジャー4が上昇して吐出弁6を押し上げ、送油が始まると圧力波伝達管8を通り圧力伝達用油が燃料噴射弁9側に送られ、油溜部12の圧力が前記開弁はPN以上に上昇し、針弁11が弁ばね14の押圧力に抗して開き、噴孔10から燃料の噴射が始まる。この時、油溜部12には、予め高圧噴射ポンプ3のラック量に応じた量の燃料が供給されているので、圧力伝達の油は噴出しない、又逆止弁13が閉じるため油溜部12側から高圧がかかっても燃料タンク19側には逆流しない。噴射終了後には、コントロール装置20によって循環用弁21を開き、圧力伝達用油を管22によって油タンク1に循環させ、圧力伝達用油の劣化を防ぐ。
【0008】
【発明の効果】本発明は以上のように構成されているので、石炭微粒子を含む燃料を高圧噴射ポンプのバレル(プランジャー室)内に導くこと無く燃料噴射弁から燃焼室内へ高圧で噴射する事ができる。従って硬度の高い石炭微粒子による高圧噴射ポンププランジャーの焼き付きを防止することが出来、又高圧噴射ポンプからの圧力伝達用油も循環するようにしたので、油の劣化による油圧伝達の不具合も無くす事ができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施例に係わる説明図。
【図2】従来例の図1応答図。
【符合の説明】
1 油タンク
2 給油ポンプ
3 高圧噴射ポンプ
4 プランジャー
5 バレル
6 吐出弁
7 逆止調圧弁
8 圧力波伝達管
9 燃料噴射弁
10 噴孔
11 針弁
12 油溜部
13 逆止弁
15 供給管
16 制御弁
17 給油管
18 給油ポンプ
19 燃料タンク
20 コントロール装置
21 循環用弁
22 循環用管
23 コントロールラック検知装置

【特許請求の範囲】
【請求項1】 ディーゼルエンジンに固形燃料の微粒子を含む燃料油を使用して燃焼させる燃料供給方法において、石炭微粒子を含む燃料油タンク(19)内の燃料を計量用ポンプ(18)により逆止弁(13)を通り燃料噴射弁の針弁座側から、該燃料噴射弁内の油溜部(12)に供給し、ディーゼルエンジンの噴射ポンプによって加圧された高圧油が圧力波伝達管(8)を通り前記油溜部内の燃料を加圧して燃料噴射弁噴口から噴出させることを特徴とする微粒子混合燃料焚きディーゼルエンジンの燃料供給方法。
【請求項2】 ディーゼルエンジンの噴射ポンプにコントロールラック検知装置(23)を設け、該検知装置(23)により検知した噴射ポンプの噴射量をコントロール装置(20)に入力し、該コントロール装置(20)によって制御弁(16)の開閉タイミングを制御し、さらに制御弁(16)によって、前記計量用ポンプ(18)から送出される石炭微粒子を含む燃料を前記噴射ポンプの噴射量に応じた送出量に制御し逆止弁(13)を通じて燃料噴射弁内の油溜部(12)に送入することを特徴とする請求項1の微粒子混合燃料焚きディーゼルエンジンの燃料供給方法。

【図2】
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【図1】
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【特許番号】第2862104号
【登録日】平成10年(1998)12月11日
【発行日】平成11年(1999)2月24日
【国際特許分類】
【出願番号】特願平3−205630
【出願日】平成3年(1991)7月23日
【公開番号】特開平5−26126
【公開日】平成5年(1993)2月2日
【審査請求日】平成9年(1997)3月21日
【出願人】(000006208)三菱重工業株式会社 (10,378)
【参考文献】
【文献】特開 昭62−182472(JP,A)
【文献】特開 昭63−227951(JP,A)
【文献】特開 昭62−121854(JP,A)