説明

微細パターニングによる紫外線硬化性配合物の光沢制御

【課題】画像の光沢レベルを、異なる組成物を使用することなく、制御可能な画像の光沢制御方法を提供する。
【解決手段】画像の光沢を変化させる方法は、インク組成物および場合によって保護膜組成物を基材上に少なくとも部分的に塗布することによって前記基材上に前記画像を形成する工程と、前記インク組成物または保護膜組成物を不均一に硬化することによって前記インク組成物または保護膜組成物の1つ以上の部分に微細な粗さを提供する工程と、硬化を完了するために前記インク組成物または保護膜組成物をフラッド硬化させる工程とを含み、前記インク組成物または保護膜組成物は、少なくとも1つのゲル化剤、少なくとも1つの硬化性モノマー、場合によって少なくとも1つの硬化性ワックスおよび場合によって少なくとも1つの光開始剤を含み、前記インク組成物または保護膜組成物は、放射線に露光されると硬化する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本明細書に記載されているのは、放射線硬化性インクおよび/または保護膜を、そのインクおよび/または保護膜を不均一に硬化し、続いてそのインクおよび/または保護膜をフラッド硬化することによる微細パターニングを経て、画像の光沢を制御する方法である。
【背景技術】
【0002】
例えば写真使用のような、様々な光沢レベルが要求される印刷用途が、近年益々増えている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】米国特許第6,819,886号明細書
【特許文献2】米国特許第7,046,364号明細書
【特許文献3】米国特許出願公開第2004/0004731号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
様々な光沢レベルが要求される印刷用途では、印刷される光沢レベルを制御することが望まれているが、現在の印刷装置は一般に光沢レベルの範囲が狭く、光沢レベルは一般的に、例えばマット、セミグロス、グロスであって、顧客によって調整することはできなかった。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の画像の光沢制御方法は、インク組成物および場合によって保護膜組成物を基材上に少なくとも部分的に塗布することによって前記基材上に前記画像を形成するステップと、前記インク組成物または保護膜組成物を不均一に硬化することによって前記インク組成物または保護膜組成物の1つ以上の部分に微細な粗さを提供するステップと、硬化を完了するために前記インク組成物または保護膜組成物をフラッド硬化させるステップと、を含み、前記インク組成物または保護膜組成物は、少なくとも1つのゲル化剤、少なくとも1つの硬化性モノマー、場合によって少なくとも1つの硬化性ワックスおよび場合によって少なくとも1つの光開始剤を含み、前記インク組成物または保護膜組成物は、放射線に露光されると硬化することを特徴とする方法である。
【発明の効果】
【0006】
本明細書におけるその光沢制御方法は、画像の光沢が直接的な様式で、できる限り異なる光沢レベルを得るために異なる組成物を使用することを必要とせずに、制御されることを可能にすることを含めたいくつかの利点を提供する。その他の利点は、本明細書における記述から明らかとなろう。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【図1】滑らかな表面の正反射を表現する図である。
【図2】微細な粗さが与えられている表面の乱反射を表現する図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
記載されているのは、放射線硬化性着色組成物、例えば、着色インク組成物、および/または放射線硬化性無色組成物、例えば、保安用途で使用されるような無色のインク、ならびに/あるいは無色の保護膜組成物を有する画像の光沢を、該硬化性組成物(該硬化性組成物は、画像受容基材上に少なくとも部分的に塗布される)に該硬化性組成物の1つ以上の部分に微細な粗さを提供することによって微細パターンを与えることを通して、制御する方法である。
【0009】
微細な粗さとは、通常の裸眼の人の視覚および触覚には感知できない凹凸および/または突起の跡がある表面を指し、その表面は光を乱反射することができる。微細パターンまたは微細パターニングとは、微細な粗さを特徴とする1つ以上の表面の不規則な(例えばランダムな)もしくは規則的なパターン、またはパターニングを指す。基材上に形成される最終画像に使われる硬化性組成物に、該組成物を不均一に硬化し、続いて該組成物をフラッド硬化することによって微細パターンを与えることを通して、その最終画像が、望ましい光沢レベル、例えば、その画像を形成する前に決めた望ましい光沢レベルと実質的に同等であり、微細パターンをそこに与えないで該組成物を硬化させることによって別なふうに得られた光沢レベルとは異なる光沢レベルを有するようにすることができる。実質的に同等な光沢レベルとは、例えば、その画像の光沢レベルが望ましい光沢レベルの約5%の内側であることを指す。微細パターニングを介する光沢レベルの制御は、着色したまたは無色の組成物の組成と少なくともいくらか関係しているものと思われる。
【0010】
その着色したまたは無色の組成物は、少なくとも1つのゲル化剤、少なくとも1つの硬化性モノマー、場合によって少なくとも1つの硬化性ワックスおよび場合によって少なくとも1つの光開始剤を含む。着色した組成物について、該組成物は、該組成物の約0.5質量%〜約15質量%、例えば、該組成物の約1質量%〜約10質量%などの量で存在する少なくとも1つの着色剤、例えば、顔料、染料、顔料の混合物、染料の混合物、または顔料と染料の混合物などをさらに含む。無色の組成物については、該組成物は、完全に着色剤がないことを含めて、実質的に着色剤を含まない。保護膜組成物は、望ましくは、実質的に着色剤を含まない。
【0011】
該組成物は、少なくとも1つのゲル化剤、少なくとも1つの硬化性モノマー、場合によって少なくとも1つの硬化性ワックスおよび場合によって少なくとも1つの光開始剤を含む放射線硬化性、特に紫外線硬化性組成物である。該組成物は、また、場合によって、安定剤、界面活性剤、またはその他の添加剤を含むことができる。
【0012】
該組成物は、約50℃〜約120℃、例えば、約70℃〜約90℃の温度で塗布することができる。塗布温度において、該組成物は、約5〜約16cPs、例えば、約8〜13cPsの粘度を有することができる。本明細書において示される粘度の値は、1s−1のずり速度でのコーンアンドプレート技法を用いて得ている。該組成物は、したがって、該組成物をインクジェットにより塗布する等デジタル的に塗布することができるデバイスで使用するのに好適である。該組成物は、また、オフセット印刷技術を含めたその他の方法によって塗布することもできる。
【0013】
該少なくとも1つのゲル化剤、またはゼリー化剤は、望ましい温度範囲内での該組成物の粘度を少なくとも上昇させるように機能する。例えば、該ゲル化剤は、そのゲル化剤のゲル点より低い、例えば該組成物が塗布される温度より低い温度で該組成物中に固体のようなゲルを形成する。例えば該組成物は固体のような相において、約10から約10cPsまで、例えば、約103.5から約106.5cPsまでなどと粘度が変化する。
【0014】
該組成物がゲル状態にある温度は、例えば、ほぼ約15℃〜約60℃、例えば約15℃〜約55℃などである。そのゲル組成物は、約60℃〜約100℃、例えば、約70℃〜約90℃などの温度で液化することができる。塗布温度の液体状態からゲル状態に冷却する中で、該組成物は著しい粘度の上昇を受ける。その粘度上昇は、少なくとも1,000倍の粘度上昇、例えば、少なくとも10,000倍の粘度上昇などである。
【0015】
該放射線硬化性組成物中での使用に適するゲル化剤としては、硬化性アミド、硬化性ポリアミド−エポキシアクリレート成分およびポリアミド成分を含んでなる硬化性ゲル化剤、硬化性エポキシ樹脂およびポリアミド樹脂を含んでなる硬化性複合体ゲル化剤、それらの混合物などが挙げられる。該組成物中に該ゲル化剤を含むことにより、組成物の粘度が塗布に続いて該組成物が冷却するとき急速に増大するために、該組成物を、基材中に過剰に浸透させることなく、該基材の1つ以上の部分の上および/または該基材上に前に形成された画像の1つ以上の部分の上などの該基材上に塗布することを可能にする。紙等の多孔質基材中への過剰な液体の浸透は、望ましくない該基材の不透明性の減少をもたらし得る。該硬化性ゲル化剤は、また、該組成物のモノマー(複数可)の硬化に関与することもできる。
【0016】
該組成物中での使用に適するゲル化剤は、該組成物がシリコーンまたはその他の油をそこに有する基材上で使用されるとき、濡れを改良するために事実上両親媒性であることができる。両親媒性とは、分子の極性部分と非極性部分の両方を有する分子を指す。例えば、該ゲル化剤は、長い非極性の炭化水素鎖および極性のアミド結合を有することができる。
【0017】
使用に適するアミドゲル化剤としては、米国特許第7,276,614号および同第7,279,587号に記載されているものが挙げられる。
【0018】
米国特許第7,279,587号に記載されているように、該アミドゲル化剤は、式
【化1】

の化合物であり得、
式中、
は、
(i)約1個の炭素原子〜約12個の炭素原子を有するアルキレン基、
(ii)約1個の炭素原子〜約15個の炭素原子を有するアリーレン基、
(iii)約6個の炭素原子〜約32個の炭素原子を有するアリールアルキレン基、または、
(iv)約5個の炭素原子〜約32個の炭素原子を有するアルキルアリーレン基であり、
ただし、該置換アルキレン、アリーレン、アリールアルキレン、およびアルキルアリーレン基上の置換基は、ハロゲン原子、シアノ基、ピリジン基、ピリジニウム基、エーテル基、アルデヒド基、ケトン基、エステル基、アミド基、カルボニル基、チオカルボニル基、スルフィド基、ニトロ基、ニトロソ基、アシル基、アゾ基、ウレタン基、尿素基、それらの混合物などであり得、2つ以上の置換基が結合して環を形成することができ;
およびR’は、それぞれ互いに独立して、
(i)約1個の炭素原子〜約54個の炭素原子を有するアルキレン基、
(ii)約5個の炭素原子〜約15個の炭素原子を有するアリーレン基、
(iii)約6個の炭素原子〜約32個の炭素原子を有するアリールアルキレン基、または、
(iv)約6個の炭素原子〜約32個の炭素原子を有するアルキルアリーレン基であり、
ただし、該置換アルキレン、アリーレン、アリールアルキレン、およびアルキルアリーレン基上の置換基は、ハロゲン原子、シアノ基、エーテル基、アルデヒド基、ケトン基、エステル基、アミド基、カルボニル基、チオカルボニル基、ホスフィン基、ホスホニウム基、ホスフェート基、ニトリル基、メルカプト基、ニトロ基、ニトロソ基、アシル基、酸無水物基、アジド基、アゾ基、シアナート基、ウレタン基、尿素基、それらの混合物などであり得、2つ以上の置換基が結合して環を形成することができる。
【0019】
およびR’は、それぞれ互いに独立して、
(a)光開始基、または、
(b)以下の基:
(i)約2個の炭素原子〜約100個の炭素原子を有するアルキル基、
(ii)約5個の炭素原子〜約100個の炭素原子を有するアリール基、
(iii)約5個の炭素原子〜約100個の炭素原子を有するアリールアルキル基、または、
(iv)約5個の炭素原子〜約100個の炭素原子を有するアルキルアリール基、
である基であり、
ただし、該置換アルキル、アリールアルキル、およびアルキルアリール基上の置換基は、ハロゲン原子、エーテル基、アルデヒド基、ケトン基、エステル基、アミド基、カルボニル基、チオカルボニル基、スルフィド基、ホスフィン基、ホスホニウム基、ホスフェート基、ニトリル基、メルカプト基、ニトロ基、ニトロソ基、アシル基、酸無水物基、アジド基、アゾ基、シアナート基、イソシアナート基、チオシアナート基、イソチオシアナート基、カルボキシレート基、カルボン酸基、ウレタン基、尿素基、それらの混合物などであり得、2つ以上の置換基が結合して環を形成することができる。
【0020】
XおよびX’は互いに独立して、酸素原子または式−NR−の基であり、ここでRは、
(i)水素原子、
(ii)約5個の炭素原子〜約100個の炭素原子を有するアルキル基、
(iii)約5個の炭素原子〜約100個の炭素原子を有するアリール基、
(iv)約5個の炭素原子〜約100個の炭素原子を有するアリールアルキル基、または、
(v)約5個の炭素原子〜約100個の炭素原子を有するアルキルアリール基、
であり、
ただし、該置換アルキル、アリール、アリールアルキル、およびアルキルアリール基上の置換基は、ハロゲン原子、エーテル基、アルデヒド基、ケトン基、エステル基、アミド基、カルボニル基、チオカルボニル基、スルフェート基、スルホネート基、スルホン酸基、スルフィド基、スルホキシド基、ホスフィン基、ホスホニウム基、ホスフェート基、ニトリル基、メルカプト基、ニトロ基、ニトロソ基、スルホン基、アシル基、酸無水物基、アジド基、アゾ基、シアナート基、イソシアナート基、チオシアナート基、イソチオシアナート基、カルボキシレート基、カルボン酸基、ウレタン基、尿素基、それらの混合物などであり得、2つ以上の置換基が結合して環を形成することができる。
【0021】
上記の具体的な適当な置換基およびゲル化剤は、米国特許第7,279,587号および同第7,276,614号にさらに示されているので本明細書ではさらに列挙することはしない。
【0022】
複数の実施形態において、該ゲル化剤は、
【化2】

(I)、
【化3】

(II)、および
【化4】

(III)
(式中、−C3456+a−は、不飽和および環状基を含んでよい分枝アルキレン基を表し、aは0、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、または12の整数である)を含む混合物を含み得る。
【0023】
複数の実施形態において、該ゲル化剤は、例えば、硬化性エポキシ樹脂およびポリアミド樹脂を含んでなる複合体ゲル化剤であり得る。適当な複合体ゲル化剤は、同一出願人による米国特許出願公開第2007/0120921号に記載されている。
【0024】
該複合体ゲル化剤のエポキシ樹脂成分は、任意の適当なエポキシ基含有材料であることができる。複数の実施形態において、該エポキシ基含有成分としては、ジグリシジルエーテルのポリフェノール系エポキシ樹脂またはポリオール系エポキシ樹脂のいずれか、あるいはそれらの混合物が挙げられる。すなわち、複数の実施形態において、該エポキシ樹脂は、分子の末端に位置する2つのエポキシ官能基を有する。複数の実施形態における該ポリフェノール系エポキシ樹脂は、2つを超えないグリシジルエーテル末端基を有するビスフェノールA−co−エピクロロヒドリン樹脂である。該ポリオール系エポキシ樹脂は、2つを超えないグリシジルエーテル末端基を有するジプロピレングリコール−co−エピクロロヒドリン樹脂であり得る。適当なエポキシ樹脂は、約200から約800までの範囲、例えば、約300〜約700などの重量平均分子量を有する。エポキシ樹脂の市販の供給源は、例えば、Dow Chemical Corp.によるビスフェノールA型エポキシ樹脂、例えばDER383など、またはDow Chemical Corp.によるジプロピレングリコール型樹脂、例えばDER736などである。天然源を起源とするエポキシ系材料のその他の発生源、例えば植物または動物が起源のエポキシ化トリグリセリド脂肪酸エステル、例えば、エポキシ化アマニ油、エポキシ化ナタネ油など、またはそれらの混合物を使用してもよい。植物油に由来するエポキシ化合物、例えば、Arkema Inc.、Philadelphia PAによるVIKOFLEX製造品目なども使用することができる。該エポキシ樹脂成分は、したがって、不飽和カルボン酸またはその他の不飽和反応物との化学反応によって、アクリレートまたは(メタ)アクリレート、ビニルエーテル、アリルエーテルなどを有する官能化がなされる。例えば、該樹脂の末端エポキシド基は、この化学反応において開環され、(メタ)アクリル酸とのエステル化反応によって(メタ)アクリレートエステルに転化される。
【0025】
エポキシ−ポリアミド複合体ゲル化剤のポリアミド成分として、任意の適当なポリアミド材料を使用することができる。複数の実施形態において、該ポリアミドは、重合脂肪酸、例えば、天然源(例えば、ヤシ油、ナタネ油、ヒマシ油などで、それらの混合物を含む)から得られたものまたはオレイン酸、リノール酸等のようなC−18不飽和酸原料を二量体化して調製される一般に知られている炭化水素「ダイマー酸」などと、ポリアミン、例えば、ジアミン、例えば、エチレンジアミン等のアルキレンジアミン、DYTEK(登録商標)シリーズのジアミン、ポリ(アルキレンオキシ)ジアミンなどのポリアミンとから生じるポリアミド樹脂、あるいはポリエステル−ポリアミドおよびポリエーテル−ポリアミド等のポリアミドのコポリマーも含むものである。1つ以上のポリアミド樹脂を該ゲル化剤の形成において使用することができる。市販のポリアミド樹脂の供給源としては、例えば、Cognis Corporation(以前のHenkel Corp.)から入手できるVERSAMIDシリーズのポリアミド、特に、VERSAMID 335、VERSAMID 338、VERSAMID 795およびVERSAMID 963が挙げられ、そのすべてが低い分子量および低いアミン価を有する。Arizona Chemical CompanyによるSYLVAGEL(登録商標)ポリアミド樹脂およびポリエーテル−ポリアミド樹脂を含むその変形を採用してもよい。Arizona Chemical Companyから得られるSYLVAGEL(登録商標)樹脂の組成は、一般式、
【化5】

(式中、Rは、少なくとも17個の炭素を有するアルキル基であり、Rは、ポリアルキレンオキシドを含み、Rは、C−6炭素環基を含み、nは、少なくとも1の整数である)を有するポリアルキレンオキシジアミンポリアミドとして説明されている。
【0026】
該ゲル化剤は、また、例えば、同一出願人による米国特許出願公開第2007/0120924号に開示されているように、硬化性ポリアミド−エポキシアクリレート成分とポリアミド成分とを含んでもよい。その硬化性ポリアミド−エポキシアクリレートは、少なくとも1つの官能基をその中に含めているおかげで硬化性である。1例として、該ポリアミド−エポキシアクリレートは、2官能性である。その官能基(複数可)、例えばアクリレート基(複数可)などは、フリーラジカル開始を介して放射線硬化が可能であり、該ゲル化剤の硬化したインクビヒクルへの化学結合を可能にする。市販されているポリアミド−エポキシアクリレートは、CognisからのPHOTOMER(登録商標)RM370である。その硬化性のポリアミド−エポキシアクリレートは、また、硬化性エポキシ樹脂およびポリアミド樹脂を含んでなる硬化性複合体ゲル化剤について上で説明した構造の範囲内から選択することもできる。
【0027】
該組成物は、任意の適当な量の、例えば、該組成物の重量に対して、約1%〜約50%などの該ゲル化剤を含むことができる。複数の実施形態において、該ゲル化剤は、該組成物の重量に対して、約2%〜約20%、例えば、該組成物の重量に対して、約3%〜約10%の量で存在させることができるが、その値はこの範囲の外であってもよい。
【0028】
該組成物の少なくとも1つの硬化性モノマーの例としては、プロポキシル化ネオペンチルグリコールジアクリレート(Sartomer製のSR−9003等)、ジエチレングリコールジアクリレート、トリエチレングリコールジアクリレート、ヘキサンジオールジアクリレート、ジプロピレングリコールジアクリレート、トリプロピレングリコールジアクリレート、アルコキシル化ネオペンチルグリコールジアクリレート、イソデシルアクリレート、トリデシルアクリレート、イソボルニルアクリレート、プロポキシル化トリメチロールプロパントリアクリレート、エトキシル化トリメチロールプロパントリアクリレート、ジ−トリメチロールプロパンテトラアクリレート、ジペンタエリスリトールペンタアクリレート、エトキシル化ペンタエリスリトールテトラアクリレート、プロポキシル化グリセロールトリアクリレート、イソボルニルメタクリレート、ラウリルアクリレート、ラウリルメタクリレート、ネオペンチルグリコールプロポキシレートメチルエーテルモノアクリレート、イソデシルメタクリレート、カプロラクトンアクリレート、2−フェノキシエチルアクリレート、イソオクチルアクリレート、イソオクチルメタクリレート、ブチルアクリレート、それらの混合物などが挙げられる。
【0029】
用語の「硬化性モノマー」は、該組成物中で同様に使用することができる硬化性オリゴマーを含むことも意図している。該組成物中で使用することができる適当な放射線硬化性オリゴマーの例は、例えば、約50cPsから約10,000cPsまで、例えば、約75cPsから約7,500cPsまで、または約100cPsから約5,000cPsまでなどの低粘度を有する。そのようなオリゴマーの例としては、Sartomer Company,Inc.、Exeter、PAから入手できる、CN549、CN131、CN131B、CN2285、CN3100、CN3105、CN132、CN133、CN132、Cytec Industries Inc、Smyrna、GAから入手できる、Ebecryl 140、Ebecryl 1140、Ebecryl 40、Ebecryl 3200、Ebecryl 3201、Ebecryl 3212、Cognis Corporation、Cincinnati、OHから入手できる、PHOTOMER 3660、PHOTOMER 5006F、PHOTOMER 5429、PHOTOMER 5429F、BASF Corporation、Florham Park、NJから入手できる、LAROMER PO 33F、LAROMER PO 43F、LAROMER PO 94F、LAROMER UO 35D、LAROMER PA 9039V、LAROMER PO 9026V、LAROMER 8996、LAROMER 8765、LAROMER 8986などを挙げることができる。
【0030】
複数の実施形態において、硬化性モノマーとしては、プロポキシル化ネオペンチルグリコールジアクリレート(Sartomer製のSR−9003など)およびジペンタエリスリトールペンタアクリレート(Sartomer製のSR399LVなど)の両方を含む。そのペンタアクリレートを含めるのは、ジアクリレートと比較して、より多い官能性を提供するためであり、したがって、より大きい反応性を与える利点がある。しかしながら、そのペンタアクリレートの量は、多過ぎると、塗布温度での該組成物の粘度に悪影響を及ぼす可能性があるためにその組成物中で制限する必要がある。ペンタアクリレートは、したがって、該組成物の例えば0.5〜5質量%など該組成物の10質量%以下となるように調合する。
【0031】
該硬化性モノマーは、該組成物中に、例えば、該組成物の重量に対して約20〜約95%、例えば、該組成物の重量に対して約30〜約85%または該組成物の重量に対して約40〜約80%などの量で含めることができる。
【0032】
該組成物は、硬化、例えば、紫外線硬化を開始するための少なくとも1つの光硬化剤を場合によってさらに含むことができる。放射線、例えば紫外線を吸収する任意の光開始剤を該配合物の硬化性成分の硬化を開始するために使用することができるが、該光開始剤が、硬化に際して実質的に黄色の着色を生じない場合が望ましい。
【0033】
アクリレートおよび/またはアミド基を含む組成物と共に使用するのに適するフリーラジカル光開始剤の例としては、ベンゾフェノン、ベンゾインエーテル、ベンジルケトン、α−ヒドロキシアルキルフェノン、および、例えばCibaから提供されるイルガキュア(IRGACURE)およびダロキュア(DAROCUR)の商品の呼称で販売されているアシルホスフィン光開始剤が挙げられる。
【0034】
アミン相乗剤、すなわち、水素原子を光開始剤に供与し、それによって重合を開始するラジカル種を形成する共開始剤(アミン相乗剤は、また該配合物中に溶解している酸素を消費することができ、酸素はフリーラジカル重合を阻害するのでその消費は重合の速度を高める)、例えば、エチル−4−ジメチルアミノベンゾエートおよび2−エチルヘキシル−4−ジメチルアミノ−ベンゾエートなどを含めることもできる。
【0035】
複数の実施形態において、該光開始剤パッケージは、少なくとも1つのα−ヒドロキシケトン光開始剤および少なくとも1つのホスフィノイル型の光開始剤(複数可)を含むことができる。
【0036】
該組成物中に含まれる光開始剤の合計量は、例えば、該組成物の重量に対して、約0から約15%まで、例えば、約0.5から約10%までであり得る。複数の実施形態において、該組成物は、例えば、電子線を硬化エネルギー源として使用する場合には光開始剤を含まなくてもよい。
【0037】
該組成物は、場合によって、少なくとも1つの硬化性ワックスをさらに含み得る。ワックスは、室温で、具体的には25℃で固体である。そのワックスの包含は、したがって、該組成物の、それが塗布温度から冷えるときの粘度の上昇を促進することができる。したがって、該ワックスも、該ゲル化剤が、該組成物が基材を通ってにじむのを回避させる助けとなり得る。
【0038】
該硬化性ワックスは、その他の成分と混和性であり、ポリマーを形成する硬化性モノマーと重合する任意のワックス成分であり得る。ワックスの用語は、例えば、通常ワックスと称される、さまざまな、天然の、変性した天然の、および合成材料のいずれをも含む。
【0039】
硬化性ワックスの適当な例としては、硬化性の基を含むか硬化性の基により官能化されているそのようなワックスが挙げられる。その硬化性の基としては、例えば、アクリレート、メタクリレート、アルケン、アリルエーテル、エポキシド、オキセタンなどを挙げることができる。これらのワックスは、カルボン酸またはヒドロキシル等の転換できる官能基を備えているワックスの反応によって合成することができる。本明細書に記載の該硬化性ワックスは、開示されているモノマー(複数可)と共に硬化することができる。
【0040】
該硬化性ワックスは、該組成物中に、例えば、該組成物の重量に対して、約0.1%から約30%まで、例えば、該組成物の重量に対して、約0.5%から約20%まで、または、約0.5%から15%までの量で含ませることができる。
【0041】
該組成物は、また、場合によって、酸化防止作用のある安定剤も含有することができる。該組成物のその任意の酸化防止剤は、画像を酸化から保護し、該インクの調製過程の加熱部分の間中、同様に該インク組成物を酸化から保護する。
【0042】
該組成物は、通常の添加剤を、そのような通常の添加剤と関係する既知の機能を生かすために、さらに場合によっては含むことができる。そのような添加剤としては、例えば、消泡剤、界面活性剤、スリップ剤およびレベリング剤等を挙げることができる。
【0043】
該組成物は、硬化と同時に黄変することがなく、L値またはk,c,m,yにおける測定可能な差が殆ど見られないことが望ましい。「実質的に黄変しない」とは、硬化と同時に変化する色または色相の量が、約15%未満、例えば、約10%未満または約5%未満、例えば約0%である組成物を指す。
【0044】
複数の実施形態において、本明細書に記載の該組成物は、硬化性モノマー、任意の硬化性ワックス、ゲル化剤および任意の着色剤等の該組成物成分を、約75℃から約120℃まで、例えば約80℃から約110℃までまたは約75℃から約100℃まで等の温度で、均一になるまで、例えば、約0.1時間から約3時間、例えば約2時間にわたって混合することによって調製することができる。一旦該混合物が均一になったら、そのとき任意の光開始剤を添加してよい。別法では、該組成物のすべての成分を直接混ぜ合わせ、一緒に混合することができる。
【0045】
上記の組成物について光沢を制御する方法においては、微細パターンが、組成物を少なくとも部分的に該表面上に塗布し、該組成物を不均一に硬化し、続いて硬化を完了するために該組成物をフラッド(flood)硬化することにより該組成物の1つ以上の部分に微細な粗さを提供することによって、該組成物に与えられる。該組成物の1つ以上の部分に提供される微細な粗さの程度と範囲は、ユーザーが、基材上に形成される印刷画像に望ましい光沢レベルと実質的に同等の光沢レベルを提供するようにさまざまなレベルの光沢(例えば、マット仕上げから高光沢仕上げまで)から選択することを可能にするように制御することができる。
【0046】
制御は、この関連で、該組成物の1つ以上の部分に提供される微細な粗さの程度および範囲、および/またはそれらの部分に微細な粗さを提供することによって起こる微細パターニングの程度および範囲を、望ましい最終的な光沢に基づいて該組成物を用いて形成される画像で得られるように予め選択し、その画像に対して得られた光沢レベルがその予め選択した量と、例えばその予め選択した量の約5%の内側で実質的に同等であることを必要とする。
【0047】
微細な粗さを表面上に少なくとも部分的に塗布した該組成物の1つ以上の部分に提供することによって、光の反射を拡散することができる表面を提供することができる。図2に画かれているように、微細な粗さが与えられている表面による光の乱反射は、光が、図1に画かれているような滑らかな表面による光の正反射によって得られるよりも低効率で反射するために、その表面の光沢を減少する。微細パターニングまたは他の光沢操作なしでは、紫外線硬化性ゲルインクおよび保護膜組成物等の上記の組成物は、一般的に硬化して高光沢の仕上がりとなる。低下した光沢の仕上がり、例えば、半光沢およびマット仕上げ等、となるように硬化することが時折望ましいために、光沢を、例えば、望ましい光沢レベルまで低下するように、微細パターニングをそのような組成物に与えることができる。
【0048】
微細パターニングは、エネルギー源からの照射(硬化エネルギー)を、メッシュマスク等の複数の孔を有するマスクを通して該硬化性組成物に伝達することによって達成することができる。そのマスクは、照射が、該硬化性組成物上のいくつかの場所には届かないように遮断および/または散乱され、一方、該組成物から離れるように遮断および/または散乱されない該照射は、該硬化性組成物上の他の場所を硬化することができるので、その照射が該硬化性組成物を均一に硬化することを妨げる役目をする。したがって、この不均一な硬化は、該組成物の複数部分で微細な粗さをもたらし、全体として該組成物に微細パターニングを与える。
【0049】
そのマスクは、不均一な硬化を生ずるように大きさが適切な孔を有するように選択する。例えばその孔が大き過ぎる場合、十分な放射線が遮断および/または散乱されずにフラッド硬化によって得られるのと同じように完全で均一な硬化が事実上もたらされる。他方で、その孔が小さ過ぎる場合は、多過ぎる放射線が遮断および/または散乱されて、実質的に硬化していない組成物内で少しだけ不均一な硬化、したがって、不適切な微細な粗さが結果的に生じる。フラッド硬化の結果、該組成物に与えられるその微細な粗さは、最終画像の光沢レベルを望ましい光沢レベルと実質的に同じ光沢レベルに低下させるには不十分であろう。
【0050】
いくつかの実施形態において、該メッシュマスクは、約250μm未満、例えば、約80μmから約250μmまでの直径を有する複数の孔を有する。いくつかの実施形態において、該メッシュマスクは、約80μmから約150μmまでの直径を有する複数の孔を有する。いくつかの実施形態において、該メッシュマスクは、約90μmから約140μmまでの直径を有する複数の孔を有する。いくつかの実施形態において、該メッシュマスクは、約100μmから約130μmまでの直径を有する複数の孔を有する。いくつかの実施形態において、直径が約250μm以上の複数の孔を有するメッシュマスクによる組成物の硬化は、その孔が放射線を十分に遮断および/または散乱させるには大き過ぎてフラッド硬化によって得られるのと同じように完全で均一な硬化がもたらされるために、不適切な不均一硬化が結果として生じる。その孔は必ずしも円形ではなく、正方形、長方形、または楕円形等任意の形状であり得るので、その形状を横断する長さを「直径」と見なすことができる。
【0051】
例えば、該孔は形状が正方形であるか、または形状が少なくとも正方形に似ており、繰り返しの正方形を含みかつ/または繰り返しの正方形のようであり得る微細パターンを該組成物に与えることができる。微細な粗さを該組成物の1つ以上の部分に提供するのに使用するためのマスクの選択において、その孔の面積は重要な因子であり得る。そのメッシュの孔の直径対その針金の直径の比も重要な因子であり得る。いくつかの実施形態において、そのメッシュの孔の直径対その針金の直径の比は、約1.4であり得る。
【0052】
複数の実施形態において、マスクは、実質的に同じ大きさおよび/または形状の複数の孔を有することができる。複数の実施形態において、選択のため複数のメッシュマスクを使用することができる。実質的に同じ大きさおよび形状の複数の孔を有する各マスクは、各マスクのその孔が、選択のために使用できる他のマスクとは、大きさ、形状および/または数で異なる。各マスクは、画像に他のマスクのそれとは異なる一定レベルの光沢(例えば、グロス、ステインまたはマット)を与えるために構成および選択することができる。それぞれのマスクは、微細な粗さを該組成物の1つ以上の部分に異なる程度および/または範囲まで提供することによってこれを達成することができる。他の実施形態において、同じか異なる大きさおよび/または形状の孔を有する2つ以上のマスクを接近して使用して微細な粗さを該組成物の1つ以上の部分にある程度および/または範囲まで提供し、かくして、一定レベルの光沢を画像に与えることができ、その光沢のレベルは、別々に使用された同じマスクあるいは別々にまたは一緒に使用した他のマスクのそれとは異なることができる。例えば、該マスクは、分散および/または遮断される放射線の量に影響を及ぼすように、したがって、該組成物に与えられる全体の微細パターンに影響を及ぼすように、重ねるか位置をずらして置くことができる。
【0053】
例えば、直径が約80μmの大きさの複数の孔を有するメッシュマスクは、第1の減少光沢レベルに合致する画像の光沢を制御するために使用することができ、直径が約100μmの大きさの複数の孔を有するメッシュマスクは、第2の減少光沢レベル(第1の減少光沢レベルより低い光沢)に合致する画像の光沢を制御するために使用することができ、直径が約120μmの大きさの複数の孔を有するメッシュマスクは、第3の減少光沢レベル(第2の減少光沢レベルより低い光沢)に合致する画像の光沢を制御するために使用することができるなどと、例えば、直径が約150μmの大きさの複数の孔を有するメッシュマスクが、最後の減少光沢レベルと合致する画像の光沢を制御するまで続く。それらの中間の大きさの孔を有する任意のマスクも複数の実施形態において使用することができる。また、上記の全部より少ないマスクを、光沢レベルの範囲および複数の実施形態において利用できるようにすることが望まれるそのような範囲内のレベルに応じて選択するために利用できるようにすることができる。例えば、2〜4つのマスク、例えば3つのマスクを、2〜4つの減少した光沢レベル、例えば3つの減少した光沢レベルを、不均一な硬化を生じさせないで得られた減少されていない光沢レベルに加えて提供するために、プリンタ中に備えることができる。
【0054】
別の実施形態においては、光沢レベルに関して増加した自由度を提供するために該微細パターンをデジタル的に与えることができる。例えば、連続波またはパルス状レーザーのラスタリング(rastering)を使用して、硬化性組成物の不均一硬化を果たし、かくして、該組成物の1つ以上の部分に微細な粗さを提供することができる。すなわち、連続波またはパルス状レーザーのラスタリングは、デジタル的に制御された微細パターンを硬化性組成物に提供するために使用することができる。レーザーラスタリングの程度および/または範囲は、したがって、不均一硬化の程度および/または範囲は、さまざまな程度および範囲の微細な粗さを組成物に与えるために制御可能であり得る。該レーザーラスタリングを提供する対象の該組成物の部分は制御可能であり得る。すなわち、該画像に提供される光沢のレベルは、該組成物に提供されるように選択されたレーザーラスタリングの程度、範囲および/または位置によって制御可能であり得、したがって、レーザーラスタリングは選択のためのいくつかの減少された光沢レベルを提供することができる。選択的レーザー硬化後の硬化を完了させるためにフラッド硬化も使用することができる。既知のまたは当業者によりのちほど考案された不均一な硬化を提供するための任意のその他の方法または手段を、硬化性組成物に微細パターンを与えるための複数の実施形態において使用することができる。
【0055】
複数の実施形態において、該硬化性組成物の微細パターニングを制御するステップは、該硬化性組成物のための1つ以上のルックアップ表を含むデータベースに望ましい光沢データを提供するステップを含むことができ、その1つ以上のルックアップ表は、異なる程度および/または範囲の微細な粗さを該硬化性組成物の1つ以上の部分に提供することによって形成されるさまざまな微細パターンを用いる該組成物により提供される光沢に基づくデータを含む。この方法は、該組成物の1つ以上の部分に提供されるべき微細な粗さの程度および/または範囲ならびに望ましい光沢を得るために全体として該組成物に与えられた微細パターニングの結果として得られた程度および/または範囲を確定するために使用することができる。該硬化性組成物を不均一に硬化するためのパラメータをそのとき設定することができ、かくして、望ましい光沢レベルと実質的に同等の光沢レベルを有する最終画像を得ることができる。例えば、複数の実施形態において、複数の孔を有する適当なマスクを、確定して選択し、基材上に少なくとも部分的に塗布された該硬化性組成物の不均一硬化を、エネルギー源からの放射線を遮断および/または散乱させることによって実施し、続いて同じか異なるエネルギー源によるフラッド硬化を実施してその硬化を完了し、その画像に対して望ましい(予め選択された)光沢レベルと実質的に同等の光沢レベルを得ることができる。
【0056】
さまざまなルックアップ表のための情報を該データベースに含めることができ、そこから、計算装置、例えばコンピューターは、望ましい光沢レベルと実質的に同等の光沢レベルを得るために必要な該硬化性組成物を不均一に硬化するためのパラメータを決定することができ、その決定は、次に、該硬化性組成物を不均一に硬化するためのパラメータを設定するために使用することができる。
【0057】
該組成物は、該画像受容基材上に、インク組成物によりなされるように直接塗布することができ、かつ/または画像受容基材上に予め形成されている画像上に、保護膜組成物によりなされるように直接塗布することができる。これに関して、該保護膜組成物は、(1)基材上に形成された少なくとも1つの印刷画像の部分(部分は全体より少ない)または全体の上、(2)該基材の1つ以上の部分の上、および該基材のすべての印刷可能な部分より少ない上(印刷可能な部分は、印刷装置が画像を提供することができる基材の部分である)、または(3)該基材の実質的に全体ないし印刷可能部分全体の上に塗布することができる。該組成物が基材または該基材上の画像の全体より少ない部分に塗布されるとき、さまざまな光沢の特徴を有する最終画像を得ることができる。
【0058】
該組成物を、画像、その一部、基材、および/またはその一部の上に塗被するとき、それはさまざまなレベルの解像度で塗布することができる。例えば、該組成物は、印刷の網点(ハーフトーン)の解像度で、該画像の確かな部分(複数可)の解像度で、または基材の画像のない領域への該組成物のある程度の重なりを可能にする該画像の確かな部分(複数可)より少し劣る解像度で塗布することができる。一般的な組成物の堆積レベルは、約5から約50までのピコリットル滴サイズの量である。該組成物は、例えば、圧電および音響インクジェット印刷を含むがそれらに限定されないドロップオンデマンドのインクジェット印刷等の任意の既知のインクジェット印刷技術を用いる画像形成における任意の段階でその画像上に少なくともワンパスで塗布することができる。該組成物の塗布は、該画像および該保護膜組成物を生ずるためには1つだけのデジタルファイルが必要であるように画像を形成するために使用される情報により制御することができる。したがって、該組成物は完全デジタル方式である。
【0059】
該組成物の塗布に続いて、該組成物は、例えば、2008年1月31日出願の米国特許出願第12/023,979号に開示されているように、接触または非接触レベリングによって、場合により、平滑化することができる。
【0060】
塗布に続いて、その塗布した組成物は、一般的には該ゲル化剤の特性を利用するために該組成物のゲル点より下まで冷却する。その組成物は、次に、上で記したように、該硬化性組成物の全体には満たない場所を硬化することによって不均一に硬化し、フラッド硬化を後に続けることによって硬化を完了させることができる。ある場所の硬化は、硬化エネルギーの適当な発生源、例えば、紫外線にさらした直後に達成される。光開始剤がそのエネルギーを吸収し、ゲル状の組成物を硬化材料に転化する反応を始動する。該組成物の粘度は、硬化エネルギーの適当な発生源にさらすとさらに増大し、その結果それは硬くなって固体となる。該組成物中のモノマーおよびワックス、ならびに場合によって該ゲル化剤は、電子線または紫外線の露光を受けて重合する官能基を有する。このポリマーネットワークは、印刷画像に、例えば、耐久性、熱および光安定性、ならびに引っ掻きおよびスミア耐性を提供する。生成される最終画像は、上記のような望ましい光沢と実質的に同等の光沢を有するように作製することができる。
【0061】
該組成物の放射線硬化性成分の架橋を開始するために使用するエネルギー源は、例えばスペクトルの紫外または可視領域の波長を有する化学線、加速粒子、例えば電子線、熱、例えば加熱または赤外線などであり得る。複数の実施形態において、そのエネルギーは化学線であり、なぜなら、そのようなエネルギーは、架橋の開始および速度に関して優れた制御を提供するためである。化学線の適当な発生源としては、水銀ランプ、キセノンランプ、カーボンアーク灯、タングステン電球、レーザー、発光ダイオード、太陽光、電子線エミッター等が挙げられる。
【0062】
特に、例えば紫外光の下で約20〜約150m/分の高速コンベアによる中圧水銀ランプからの紫外線が望ましく、その紫外線は、約200〜約500nmの波長で約1秒未満の間提供される。複数の実施形態において、その高速コンベアのスピードは約15〜約80m/分で、約200〜約450nmの波長の紫外光の下での約10〜約50ミリ秒(ms)の間である。その紫外線源の発光スペクトルは、紫外線開始剤の吸収スペクトルと一般に重なり合う。任意的な硬化装置としては、紫外光を集中または拡散される反射器、選択した波長(例えば赤外線)を除去するフィルター、紫外線源から熱を除去するための冷却システムが挙げられるがこれらに限定はされない。
【0063】
採用される基材は、該印刷物の最終用途に応じて任意の適当な基材であり得る。典型的な基材としては、普通紙、コート紙、プラスチック、ポリマーフィルム、処理セルロース、木材、電子写真基板、セラミックス、繊維、金属およびそれらの混合物が挙げられ、場合によって、その上に塗布されている添加剤を含む。
【0064】
該画像を形成するために着色した組成物を使用する場合、その画像は、保護膜組成物により部分的または完全に上塗りすることができる。その保護膜組成物は、上記の無色の組成物であることができ、または別の通常のもしくは適当な保護膜組成物であり得る。その保護膜組成物は、必要に応じて、該画像の最終的な光沢を改変するためにさらに使用することができる。
【0065】
本明細書の方法は、したがって、最終画像の光沢に関して、異なる組成の組成物の使用を必要としない制御を提供する。勿論、例えば、着色したおよび無色の両方の組成物、異なる色の組成物、または上記のように微細な粗さの程度および/または範囲を該組成物の1つ以上の部分に提供することによって不均一に硬化したとき異なる範囲の光沢を提供することが可能な組成物を含めた複数の異なる組成物を包含するデバイスの使用を活用することができる。
【0066】
上記のように複数の実施形態において本明細書に記載の光沢を制御する方法は、インクジェット装置に応用することができる。インクジェット装置は当技術分野では知られており、したがってそのような装置の広範囲な説明は本明細書では必要ない。米国特許第6,547,380号に記載されているように、インクジェット印刷システムは一般に、2つのタイプ:連続流およびドロップオンデマンド、からなる。
【実施例】
【0067】
本開示を、以下の実施例においてさらに説明する。
【0068】
着色インク組成物を表1に示す各成分を混合することによって調製した。
【0069】
【表1】

【0070】
該硬化性アミドゲル化剤は、上記のように、
【化6】

(I)、
【化7】

(II)、および
【化8】

(III)
(式中、−C3456+a−は、不飽和および環状基を含んでもよい分枝アルキレン基を表し、aはさまざまに、0、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、または12の整数である)を含む混合物である。
【0071】
透明紙上のベタ塗りつぶし印刷を、改良型PHASER(登録商標)860プリンタによりデジタル的に発生させた。その画像を微細パターン化するために、その印刷物を、UV Fusion Lighthammer 6の装置を用いて32fpm(1分当りフィート数)で、異なる大きさの孔を有しており、各金網がそれぞれ実質的に同じ大きさと形状(すなわち、それぞれ直径が約80μm、直径が約150μm、および直径が約250μm)の孔を有する複数の金網を通して硬化した。すべての金網は、形が正方形であり、孔の直径対針金の直径の比が約1.4である孔を有した。その印刷物は次に硬化を完了するためにマスクは置かないでフラッド硬化させた。その印刷物の光沢をBYK Gardner製のマイクロ−TRI−グロスメーターを用い、60°および20°の配置で測定した。少なくとも5回の測定を各配置で行い、平均した。その結果は、表2にまとめられている。
【0072】
【表2】

【0073】
表2の結果によって示されるように、光沢減少の量は、メッシュの孔の大きさの作用である該インク組成物の表面に提供される微細な粗さの程度および範囲に依存する。直径が約80μmおよび直径が約150μmの孔をそれぞれ有するメッシュは、メッシュを使用しないときに得られた画像の光沢と比較してその画像の光沢を低下させた。直径が約150μmの孔を有するメッシュは、60°の配置での光沢を、直径が約80μmの孔を有するメッシュがしたより大きい程度まで低下させた。しかしながら、直径が約250μmの孔を有するメッシュについては、メッシュを使用しないときに得られた画像の光沢と比較して光沢レベルに顕著な効果は見られなかった。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
画像の光沢を変化させる方法であって、
インク組成物および場合によって保護膜組成物を基材上に少なくとも部分的に塗布することによって前記基材上に前記画像を形成するステップと、
前記インク組成物または保護膜組成物を不均一に硬化することによって前記インク組成物または保護膜組成物の1つ以上の部分に微細な粗さを提供するステップと、
硬化を完了するために前記インク組成物または保護膜組成物をフラッド硬化させるステップと、
を含み、
前記インク組成物または保護膜組成物は、少なくとも1つのゲル化剤、少なくとも1つの硬化性モノマー、場合によって少なくとも1つの硬化性ワックスおよび場合によって少なくとも1つの光開始剤を含み、前記インク組成物または保護膜組成物は、放射線に露光されると硬化することを特徴とする方法。
【請求項2】
画像の光沢を制御する方法であって、
前記画像に対する望ましい光沢レベルを予め選択するステップと、
インク組成物および場合によって保護膜組成物をジェット方式によって基材上に少なくとも部分的にデジタル的に塗布することによって前記基材上に前記画像を形成するステップと、
前記インク組成物または保護膜組成物を不均一に硬化することによって前記インク組成物または保護膜組成物の1つ以上の部分に微細な粗さをデジタル的に提供するステップと、
硬化を完了するために前記インク組成物または保護膜組成物をフラッド硬化させ、前記画像に対しての前記望ましい光沢レベルと実質的に同等の光沢レベルを前記画像に提供するステップと、
を含み、
前記インク組成物または保護膜組成物は、少なくとも1つのゲル化剤、少なくとも1つの硬化性モノマー、場合によって少なくとも1つの硬化性ワックスおよび場合によって少なくとも1つの光開始剤を含み、前記インク組成物または保護膜組成物は、紫外線に露光されると硬化し、
前記不均一な硬化は、前記インク組成物または保護膜組成物に紫外線を不均一に当てることによって得られることを特徴とする方法。

【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2010−208327(P2010−208327A)
【公開日】平成22年9月24日(2010.9.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−49722(P2010−49722)
【出願日】平成22年3月5日(2010.3.5)
【出願人】(596170170)ゼロックス コーポレイション (1,961)
【氏名又は名称原語表記】XEROX CORPORATION
【Fターム(参考)】