説明

応力検出装置

【課題】高精度で且つ低消費電力の応力検出装置を得る。
【解決手段】応力が変化したときに出力周波数が変化する応力センサ10と、温度が変化
したときに出力周波数が変化する周波数変化型の温度センサ11と、前記応力センサ10
を動作させる第1の発振回路12aと、前記温度センサ11を動作させる第2の発振回路
12bと、を備えている。更に、前記第1の発振回路12aから出力される応力検出信号
の周波数をカウントする第1の周波数カウンタ13aと、前記第2の発振回路12bから
出力される温度検出信号の周波数をカウントする第2の周波数カウンタ13bと、前記第
2の周波数カウンタ13bから出力される周波数カウント信号に基づいて、前記第1の周
波数カウンタ13aから出力される周波数カウント信号を補正する処理回路14と、を備
えている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、応力検出装置に関し、特に温度による応力センサの検出誤差を補正した応力
検出装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
圧電振動子に加わる応力と共振周波数変化との関係を利用した圧力計が実用化されてい
る。圧電振動子に双音叉型圧電振動子を用いることにより、応力に対する感度が良好とな
り、僅かな圧力差から高度差、深度差を検知することができる。
特許文献1には感圧素子として圧電振動片を用いた圧力センサが開示されている。図6
(a)は圧力センサの側断面図、同図(b)は、(a)のQ−Qにおける断面図である。
圧力センサ40は、ダイヤフラム50と、該ダイヤフラム50と対向して設けられる基台
70と、感圧素子としての圧電振動片60と、を備えた絶対圧計である。
ダイヤフラム50は、図6(a)の上方からの圧力を受けて変形する薄肉部52と、該
薄肉部52の周縁に形成される枠部58と、を備えている。ダイヤフラム50は、薄肉部
52の一方の面に、圧電振動片60を固定するための一対の支持部54を有し、圧電振動
片60はその両固定端を支持部54により支持されている。また、薄肉部52の他方の面
には、圧電振動片60の振動部64に対応する部位に、突出部56が設けられている。薄
肉部52の一部を厚肉化して突出部56とすることにより、当該部分の変形を防ぐことが
でき、圧力が印加された時に、薄肉部52の中心が圧電振動片60に接触するとことを防
止することができる。
【0003】
圧電振動片60には、いわゆる双音叉型振動素子を用いている。双音叉型振動素子は、
両端部に固定端62を有し、この2つの固定端62の間に2つの振動ビームが形成されて
いる。双音叉型振動素子に引張り応力(伸長応力)あるいは圧縮応力を印加すると、その
共振周波数が印加する応力にほぼ比例して変化するという特性がある。
図6に示す圧力センサ40では、ダイヤフラム50の薄肉部52に形成された一対の支
持部54の載置面55に、双音叉型振動素子60の両固定端62が固定されている。ダイ
ヤフラム50の上部に圧力が加わると、薄肉部52に撓みが生じ、薄肉部52は図6(a
)の下方へ変形する。支持部54の載置面55は薄肉部52の変形状態に伴って傾き、支
持部54の載置面55は薄肉部52の外側へ向けて傾く。このため、載置面55間の間隔
は大きくなり、載置面55に固定された双音叉型振動素子60の振動部54には伸長応力
が加わる。
振動部54に伸長応力が加わると双音叉型振動素子60は、その共振周波数が増加する
。そして、図示しない検出部ではこの周波数の変化を検出し、周波数の変化に基づく応力
の変化を導き出すことで、ダイヤフラム50に加わる圧力を検出することが可能となる。
【0004】
しかし、双音叉型振動素子60の周波数温度特性は、上に凸の二次特性を有するので、
温度変化が大きい環境で使用する場合には検出精度が劣化するという問題があった。特許
文献2、3、4には、温度検出素子(感温素子)としてサーミスタ、又はトランジスタを
備え、その電気的特性の変化より温度を検出し、制御部にフィードバックする装置が開示
されている。
そこで、圧力センサ40に感温素子としてサーミスタ、又はトランジスタを設けること
は容易に考えられる。例えば、図7に示す応力検出装置のブロック図のように、温度セン
サ82の出力をA/Dコンバータ85に接続し、該A/Dコンバータ85の出力を処理装
置86の一方の入力に接続する。また、応力センサ(双音叉振動素子)81を発振回路8
3に接続し、該発振回路83の出力を周波数カウンタ84を介して処理装置86の他方の
入力に接続する。処理装置86はA/Dコンバータ85からの信号を演算して温度を求め
、この温度に基づいて応力センサ(双音叉振動素子)81の周波数温度特性を補償し、応
力センサ81に加わった応力を高精度に検出する。そして、ダイヤフラムの構造を加味し
てダイヤフラムに印加された圧力を算出する。
【特許文献1】特開2007−327922公報
【特許文献2】特開2006−284301公報
【特許文献3】特開2006−324652公報
【特許文献4】特開2008−111761公報
【特許文献5】特許公報昭61−29652号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
図7に示したような温度センサにアナログ方式、例えばサーミスタを用いた温度計の例
が、特許文献5に開示されている。図8に示すように、温度計90は、抵抗R1、R2、
R3、R4でブリッジ回路を形成し、抵抗R1と抵抗R3との接続点と、抵抗R2と抵抗
R4との接点と、を演算増幅器(OPアンプ)92の2つの入力に接続し、その出力をA
/D変換器93の入力に接続する。A/D変換器93の出力を処理回路94で処理して温
度を求める装置である。ここで、抵抗R3は可変抵抗器Rv32とサーミスタThとの並
列回路に、可変抵抗器Rv31を直列接続した回路である。
しかしながら、サーミスタの温度−抵抗特性は指数関数的である共に、温度計測時には
、例えば電流源91から電流を流す必要である。また、A/Dコンバータは大きな電流を
消費する。例えば、サーミスを用いた温度センサでは約200μAの電流が、12ビット
のA/Dコンバータで約300μAの電流が消費される。更に、アナログ量をデジタル値
に変換する際に温度検出の精度が落ちる。このようにアナログ方式の温度検出法は精度の
問題と、大きな電流(約500μA)を消費するという問題があった。
本発明は上記問題を解決するためになされたもので、温度の検出精度を向上させて双音
叉振動素子の温度特性を補正して、圧力センサの精度を改善し、且つ消費電流を大幅に低
減した応力検出装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、上記の課題の少なくとも一部を解決するためになされたものであり、以下の
形態又は適用例として実現することが可能である。
【0007】
[適用例1]応力が変化したときに出力周波数が変化する応力センサと、温度が変化し
たときに出力周波数が変化する周波数変化型の温度センサと、前記応力センサを動作させ
る第1の発振回路と、前記温度センサを動作させる第2の発振回路と、前記第1の発振回
路から出力される応力検出信号の周波数をカウントする第1の周波数カウンタと、前記第
2の発振回路から出力される温度検出信号の周波数をカウントする第2の周波数カウンタ
と、前記第2の周波数カウンタから出力される周波数カウント信号に基づいて、前記第1
の周波数カウンタから出力される周波数カウント信号を補正する処理回路と、を備えたこ
とを特徴とする応力検出装置である。
【0008】
応力センサの周囲の温度を検出する周波数変化型の温度センサを設けて、応力センサか
らの出力信号を補正することにより、応力検出装置の精度が改善されると共に、温度検出
素子としてサーミスタ、トランジスタ等のアナログタイプの感温素子を用いる方式より、
応力検出装置の消費電流が大幅に低減できるという効果がある。
【0009】
[適用例2]応力が変化したときに出力周波数が変化する応力センサと、温度が変化し
たときに出力周波数が変化する周波数変化型の温度センサと、前記応力センサを動作させ
る第1の発振回路と、前記温度センサを動作させる第2の発振回路と、前記第1及び第2
の発振回路を切り換える切換手段と、前記切換手段から出力される信号をカウントする周
波数カウンタと、前記周波数カウンタから出力される周波数カウント信号を処理する処理
回路と、備えたことを特徴とする応力検出装置である。
【0010】
2つの発振回路を備えた応力検出装置を構成することにより、温度センサ用の音叉型圧
電振動子の共振周波数と、応力センサ用の双音叉型圧電振動素子の共振周波数とが大きく
異なる場合にも適用でき、しかも周波数カウンタを減らすことにより消費電流を低減でき
るという効果がある。
【0011】
[適用例3]応力が変化したときに出力周波数が変化する応力センサと、温度が変化し
たときに出力周波数が変化する周波数変化型の温度センサと、前記応力センサ及び前記温
度センサを動作させる発振回路と、前記発振回路からの出力される信号をカウントする第
1及び第2の周波数カウンタと、前記応力センサ及び前記温度センサと前記発振回路との
間の接続を時分割的に切り換える切換手段と、前記第1及び第2の周波数カウンタからの
信号を処理する処理回路と、を備えたことを特徴とする応力検出装置である。
【0012】
第1及び第2の周波数カウンタを備えた応力検出装置を構成することにより、温度セン
サ及び応力センサの信号の検出がそれぞれ異なる精度で要求される場合に適している。例
えば、温度センサの信号は1Hzの精度でカウントし、応力センサの信号は0.1mHz
の精度でカウントする必要がある場合に効果がある。このような場合には、互いに精度の
異なる周波数カウンタを設ける方が消費電流を減らせ、且つ発振回路を減らすことにより
消費電流を低減できるという効果がある。
【0013】
[適用例4]応力が変化したときに出力周波数が変化する応力センサと、温度が変化し
たときに出力周波数が変化する周波数変化型の温度センサと、前記応力センサ及び前記温
度センサを動作させる発振回路と、前記発振回路から出力される発振周波数をカウントす
る周波数カウンタと、前記応力センサ及び前記温度センサと前記発振回路との間の接続を
時分割的に切り換える切換手段と、前記切換手段を制御する制御手段と、前記制御手段か
らの切り換え制御信号に基づいて、前記周波数カウンタから出力される周波数カウント信
号を補正する処理回路と、を備えたことを特徴とする応力検出装置である。
【0014】
応力センサ及び温度センサの発振回路を時分割的に切り換える切換手段(切換器)を設
け、該切換手段(切換器)を制御回路で制御することにより、発振回路及び周波数カウン
タをそれぞれ1個に削減することが可能となり、応力検出装置の精度は維持されると共に
、応力検出装置の消費電流が大幅に低減できるという効果がある。
【0015】
[適用例5]応力が変化したときに出力周波数が変化する応力センサと、温度が変化し
たときに出力周波数が変化する周波数変化型の温度センサと、前記応力センサ及び前記温
度センサを動作させる発振回路と、前記発振回路から出力される発振周波数をカウントす
る周波数カウンタと、前記応力センサ及び前記温度センサと前記発振回路との間の接続を
時分割的に切り換える切換手段と、前記周波数カウンタから出力される周波数カウント信
号を処理する処理回路と、を備えたことを特徴とする応力検出装置である。
【0016】
切換手段を設け、発振回路及び周波数カウンタをそれぞれ1個とした応力検出装置を構
成することにより、応力検出装置の精度は維持されると共に、応力検出装置の消費電流が
大幅に低減できるという利点がある。この応力検出装置は、応力センサ用の双音叉型圧電
振動素子の共振周波数と、温度センサ用音叉型圧電振動子の共振周波数とが所定の範囲内
であり、同一の発振回路で駆動できる場合に効果がある。
【0017】
[適用例6]前記温度センサが音叉型振動子であることを特徴とする適用例1乃至5の
何れかに記載の応力検出装置である。
【0018】
温度センサとして音叉型振動子を用いることにより、応力センサ及び温度センサを1個
の発振回路で駆動できると共に、温度をデジタル量として検出することができるので、検
出精度の向上と、応力検出装置の消費電流を大幅に低減できるという効果がある。
【発明を実施するための最良の形態】
【0019】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて詳細に説明する。
図1は、本発明の一実施形態に係る応力検出装置1の構成を示すブロック図である。
応力検出装置1は、応力が変化したときに出力周波数が変化する応力センサ10と、温
度が変化したときに出力周波数が変化する周波数変化型の温度センサ11と、を備えてい
る。更に、応力センサ10を動作させる第1の発振回路12aと、温度センサ11を動作
させる第2の発振回路12bと、第1の発振回路12aから出力される応力検出信号の周
波数をカウントする第1の周波数カウンタ13aと、第2の発振回路12bから出力され
る温度検出信号の周波数をカウントする第2の周波数カウンタ13bと、を備えている。
そして、第2の周波数カウンタ13bから出力される周波数カウント信号を演算して温度
を検出し、該温度に基づいて、第1の周波数カウンタ13aから出力される周波数カウン
ト信号を補正し、補正した信号を演算して応力を求める処理回路14と、を備えている。
【0020】
応力センサ10は、例えば応力感度がよく、温度特性の良好な双音叉型水晶振動素子を
用いる。双音叉型水晶振動素子は、2つの振動ビームに励振電極を形成した応力感応部と
、該応力感応部を挟むように該応力感応部と連結した2つの固定端と、を備えている。双
音叉型水晶振動素子には、前記2つの振動ビームが長手方向に対して対称な屈曲振動を行
うように、前記励振電極を配置する。
双音叉型水晶振動素子は伸張(引張り)・圧縮応力に対する感度が良好であり、高度計
用、或いは深度計用の応力感応素子として使用した場合には、分解能力が優れるために僅
かな気圧差から高度差、深度差を検出することができる。
双音叉型水晶振動素子が呈する周波数温度特性は、上に凸の二次特性であり、その頂点
温度が常温(25℃)になるように双音叉型水晶振動素子の各パラメータを設計する。
双音叉型水晶振動子に作用する力Fを圧縮方向のとき負、伸張方向(引張り方向)を正
としたとき、力Fと共振周波数の関係は、力Fが圧縮力では共振周波数が減少し、伸張(
引張り)応力では増加する。
【0021】
温度センサ11には、例えば図9に示すように水晶Zカット板をX軸(水晶結晶の電気
軸)の回りにθ回転した音叉型水晶振動子を用いる。音叉型水晶振動子の周波数温度特性
は上に凸の二次特性であり、特許第3010922号によるとX軸の回りの回転角θと1
次係数αとの関係は、図10のような関係があると開示されている。また、図11は温度
検出用の音叉型圧電振動子の周波数温度特性であり、温度Tに対し周波数変化Δf/fが
ほぼ直線的に変化する。
第1及び第2の発振回路12a、12bは、トランジスタ又は、ICを用いた周知の発
振回路を用いる。また、第1及び第2の周波数カウンタ13a、13bには、ICからな
る一般的な周波数カウンタを用いる。処理回路14は、例えばCPUを用いた回路構成で
あり、入力したデジタルの信号の演算処理を行う。第1及び第2の周波数カウンタ13a
、13bからの信号を処理回路14に取り入れ、第2の周波数カウンタ13bの信号を演
算して温度を検出する。この温度に基づいて第1の周波数カウンタ13aからの信号を補
正して、補正した信号と、双音叉水晶振動素子の応力−周波数変化の特性と、から双音叉
水晶振動素子に加わった応力を算出して求める。
【0022】
応力センサの周囲の温度を検出する周波数変化型の温度センサを設けて、応力センサか
らの出力信号を補正することにより、応力検出装置の精度が改善されると共に、温度検出
素子としてサーミスタ、トランジスタ等のアナログタイプの感温素子を用いる方式より、
応力検出装置の消費電流が大幅に低減できるという効果がある。例えば、図1の発振回路
の消費電流は20μAであり、非同期式、基準周波数20MHz、24ビットの周波数カ
ウンタの消費電流は20μAで、合計40μA程度であり、感温素子にサーミスタを用い
るアナログ方式に比べて10分の1程度に低減できる。
また、温度センサに温度計測用に設計した音叉型水晶振動子を用いることにより、その
温度特性は図11に示すように直線的であり、高精度で温度を検出することができるので
、応力センサ(双音叉型水晶振動素子)の周囲の温度を正確に検出し、応力センサに加わ
る応力を精度よく求めることができる。その上、温度センサをデジタル化したことにより
A/Dコンバータが不要になり応力検出装置の消費電流を大幅に低減できるという効果が
ある。
【0023】
図2は、第2の実施形態の応力検出装置2の構成を示すブロック図である。図1と同じ
機能の部品には同一の符号を付す。図1に示した応力検出装置1と異なる点は、切換器を
用いることにより周波数カウンタを1つ減らした点である。第1及び第2の発振回路12
a、12bの後に切り換え手段(以降、切換器と称す)16を接続し、該切換器16の後
に周波数カウンタを接続する。切換器16は処理回路14からの信号により制御されてい
る。第2の実施形態の応力検出装置2は、温度検出用の音叉型水晶振動子の共振周波数と
、応力検出用の双音叉型水晶振動素子の共振周波数とが大きく異なる場合に適しており、
しかも周波数カウンタを減らすことにより消費電流を低減できるという効果がある。例え
ば、温度検出用の音叉型水晶振動子の共振周波数が数十kHz程度、応力検出用の双音叉
型水晶振動素子の共振周波数が数百kHz程度と大きく異なる場合に適している。
【0024】
図3は、第3の実施形態の応力検出装置3の構成を示すブロック図である。図1に示し
た応力検出装置1と異なる点は、切り換え手段(切換器)を用いることにより発振回路を
1つ減らした点である。応力センサ10と温度センサ11を切換器16に接続し、該切換
器16の出力を発振回路12に接続する。発振回路12には2つ出力を持たせ、それぞれ
の出力を第1及び第2の周波数カウンタ13a、13bに接続する。切換器16は処理回
路14からの信号により制御されている。
第3の実施形態の応力検出装置3の特徴は、温度センサ11及び応力センサ10の信号
の検出にそれぞれ異なる精度が要求される場合に適している。例えば、温度センサの信号
は1Hzの精度でカウントし、応力センサの信号は0.1mHzの精度でカウントする必
要がる場合に効果がある。このような場合には、互いに精度の異なる周波数カウンタ設け
る方が消費電流を減らせ、且つ発振回路を減らすことにより消費電流を低減できるという
効果がある。
【0025】
図4は、第4の実施形態の応力検出装置4の構成を示すブロック図である。応力検出装
置4は、応力が変化したときに出力周波数が変化する応力センサ10と、 温度が変化し
たときに出力周波数が変化する周波数変化型の温度センサ11と、を備えている。更に、
応力センサ10及び温度センサ11を動作させる発振回路12と、該発振回路12から出
力される発振周波数をカウントする周波数カウンタ13と、を備えている。そして、応力
センサ10及び温度センサ11と発振回路12との間の接続を時分割的に切り替える切換
手段(切換器)16と、該切換手段16を制御する制御手段(制御回路)17と、該制御
手段17からの切り替え制御信号に基づいて、周波数カウンタ13から出力される周波数
カウント信号を処理する処理回路14と、を備えている。
応力センサ10には例えば双音叉型水晶振動素子を用い、温度センサ11に音叉型水晶
振動素子を用いて、両者が同一の発振回路で発振させることが可能である場合に適してい
る。
以上のように応力センサ及び温度センサの発振を時分割的に切り替える切換器を設け、
発振回路及び周波数カウンタをそれぞれ1個に削減することにより、応力検出装置の精度
は維持されると共に、応力検出装置の消費電流が大幅に低減できるという効果がある。
【0026】
図5は、第5の実施形態の応力検出装置5の構成を示すブロック図である。図2に示す
第4の実施形態の応力検出装置4と異なる点は、制御回路17の機能を処理回路14にも
たせ、制御回路17を削減した点である。処理回路14にはCPUを内蔵させることによ
り、応力センサ10及び温度センサ11と発振回路12との間の接続を時分割的に切り替
える信号を出力することは容易にできる。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【図1】本発明に係る応力検出装置の構成を示すブロック図である。
【図2】第2の実施形態の応力検出装置の構成を示すブロック図である。
【図3】第3の実施形態の応力検出装置の構成を示すブロック図である。
【図4】第4の実施形態の応力検出装置の構成を示すブロック図である。
【図5】第5の実施形態の応力検出装置の構成を示すブロック図である。
【図6】従来の圧力センサの構成を示す、(a)は側断面図、(b)は(a)のQ−Qおける断面図である。
【図7】温度センサにサーミスタ又は、トランジスタを用いた応力検出装置の構成を示すブロック図である。
【図8】従来のサーミスタを用いた温度計である。
【図9】X軸の回りにθ度回転した音叉型振動子である。
【図10】X軸の回りの回転角θと1次温度係数αとの関係を示す図である。
【図11】音叉型水晶振動子の温度Tと周波数変化Δf/fとの関係を示す図である。
【符号の説明】
【0028】
1、2、3…応力検出装置、10…応力センサ、11…温度センサ、12、12a、1
2b…発振回路、13、13a、13b…周波数カウンタ、14…処理回路、15…処理
回路の出力、16…切換器、17…制御回路

【特許請求の範囲】
【請求項1】
応力が変化したときに出力周波数が変化する応力センサと、
温度が変化したときに出力周波数が変化する周波数変化型の温度センサと、
前記応力センサを動作させる第1の発振回路と、
前記温度センサを動作させる第2の発振回路と、
前記第1の発振回路から出力される応力検出信号の周波数をカウントする第1の周波数
カウンタと、
前記第2の発振回路から出力される温度検出信号の周波数をカウントする第2の周波数
カウンタと、
前記第2の周波数カウンタから出力される周波数カウント信号に基づいて、前記第1の
周波数カウンタから出力される周波数カウント信号を補正する処理回路と、
を備えたことを特徴とする応力検出装置。
【請求項2】
応力が変化したときに出力周波数が変化する応力センサと、
温度が変化したときに出力周波数が変化する周波数変化型の温度センサと、
前記応力センサを動作させる第1の発振回路と、
前記温度センサを動作させる第2の発振回路と、
前記第1及び第2の発振回路を切り換える切換手段と、
前記切換手段から出力される信号をカウントする周波数カウンタと、
前記周波数カウンタから出力される周波数カウント信号を処理する処理回路と、
を備えたことを特徴とする応力検出装置。
【請求項3】
応力が変化したときに出力周波数が変化する応力センサと、
温度が変化したときに出力周波数が変化する周波数変化型の温度センサと、
前記応力センサ及び前記温度センサを動作させる発振回路と、
前記発振回路からの出力される信号をカウントする第1及び第2の周波数カウンタと、
前記応力センサ及び前記温度センサと前記発振回路との間の接続を時分割的に切り換え
る切換手段と、
前記第1及び第2の周波数カウンタからの信号を処理する処理回路と、
を備えたことを特徴とする応力検出装置。
【請求項4】
応力が変化したときに出力周波数が変化する応力センサと、
温度が変化したときに出力周波数が変化する周波数変化型の温度センサと、
前記応力センサ及び前記温度センサを動作させる発振回路と、
前記発振回路から出力される発振周波数をカウントする周波数カウンタと、
前記応力センサ及び前記温度センサと前記発振回路との間の接続を時分割的に切り換え
る切換手段と、
前記切換手段を制御する制御手段と、
前記制御手段からの切り換え制御信号に基づいて、前記周波数カウンタから出力される
周波数カウント信号を補正する処理回路と、
を備えたことを特徴とする応力検出装置。
【請求項5】
応力が変化したときに出力周波数が変化する応力センサと、
温度が変化したときに出力周波数が変化する周波数変化型の温度センサと、
前記応力センサ及び前記温度センサを動作させる発振回路と、
前記発振回路から出力される発振周波数をカウントする周波数カウンタと、
前記応力センサ及び前記温度センサと前記発振回路との間の接続を時分割的に切り換え
る切換手段と、
前記周波数カウンタから出力される周波数カウント信号を処理する処理回路と、
を備えたことを特徴とする応力検出装置。
【請求項6】
前記温度センサが音叉型振動子であることを特徴とする請求項1乃至5の何れかに記載
の応力検出装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開2010−169550(P2010−169550A)
【公開日】平成22年8月5日(2010.8.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−12672(P2009−12672)
【出願日】平成21年1月23日(2009.1.23)
【出願人】(000003104)エプソントヨコム株式会社 (1,528)