快適性評価支援装置および方法
【課題】PMVなどの快適度指標の発生時間が偏っていても、快適性を考慮しつつ省エネルギーを図るための的確な情報を提供する。
【解決手段】評価対象空間のPMVを計測する。計測されたPMVの発生時間をPMVの1単位幅(例えば、0.1)毎に集計する。PMVの1単位幅毎にクレーム数を集計する。集計したPMVの発生時間とクレーム数とからPMVの1単位幅毎のクレーム頻度(クレーム頻度=クレーム数÷PMVの発生時間)を算出し、表示する。
【解決手段】評価対象空間のPMVを計測する。計測されたPMVの発生時間をPMVの1単位幅(例えば、0.1)毎に集計する。PMVの1単位幅毎にクレーム数を集計する。集計したPMVの発生時間とクレーム数とからPMVの1単位幅毎のクレーム頻度(クレーム頻度=クレーム数÷PMVの発生時間)を算出し、表示する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、オフィスビルや工場などの空調制御の対象空間を評価対象空間とし、その評価対象空間の快適性の評価を支援する快適性評価支援装置および方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来より、オフィスビルや工場などにおける空調制御の対象空間においては、できるだけ少ないエネルギー消費で快適な室内環境を確保することが求められている。
【0003】
しかし、省エネルギーと快適な室内環境の確保とはトレードオフの関係にあり、省エネルギーを優先させると室内環境が悪化して在室者からの暑い/寒いのクレームが多くなり、室内環境を向上させて在室者からのクレームを少なくさせると使用エネルギーが増加してしまう、という事態が生じてしまう。
【0004】
そこで、例えば特許文献1では、在室者からの室内環境に対するクレームデータを取得し、クレーム発生時点での空調制御の対象空間の快適度を表すデータとしてPMV(Predicted Mean Vote)を演算し、PMVの大きさを区分する1単位幅毎にクレーム数の割合を求め、空調制御支援データとして表示するようにしている。これにより、快適性を考慮しつつ、省エネルギーを図ることが可能なPMVを定めて、PMVの目標値として設定することが可能となる。
【0005】
なお、PMVとは室内環境の快適度を示す指標(快適度指標)の1つであって、温熱環境指標と呼ばれている。このPMVは、ファンガー(Fanger)氏によって提案されたもので、同氏により発表された快適方程式により、快適度を7段階(+3:暑い、+2:暖かい、+1:やや暖かい、0:どちらでもない、−1:やや涼しい、−2:涼しい、−3:寒い)で表現したものである。このPMVの値が0の時が快適となる。
【0006】
図12にPMVの大きさを区分する1単位幅を0.1とし、1単位幅毎のクレーム数の割合をクレーム数に置き換えた場合の空調制御支援データの表示例を示す。この例では、0.1〜0.7の範囲のPMVに対し、1単位幅(0.1)毎にクレーム数が集計され、そのクレーム数が空調制御支援データとして表示されている。この空調制御支援データから、PMVが0.3〜0.5の時がクレーム数が多く、このクレーム数が多いPMVの区間を避けて、快適性を考慮しつつ省エネルギーを図ることが可能なPMVを定め、PMVの目標値として設定すればよいことが分かる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2009−109033号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、空調制御の対象空間において、クレーム数は空調時間に従って増減するので、発生時間が多いPMVにクレームが集中し、PMVの目標値の判断を妨げてしまうという問題があった。すなわち、発生時間が少ないPMVであってもその単位時間当たりのクレーム数が多ければ、そのPMVが最もクレームが発生し易いPMVとなるにも拘わらず、集計されたクレーム数が少ないためにそのPMVが目標値として設定されてしまう虞がある。
【0009】
本発明は、このような課題を解決するためになされたもので、その目的とするところは、PMVなどの快適度指標の発生時間が偏っていても、快適性を考慮しつつ省エネルギーを図るための的確な情報を提供することが可能な快適性評価支援装置および方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
このような目的を達成するために本発明は、評価対象空間の快適度を表すデータを快適度指標として計測する快適度指標計測手段と、快適度指標の大きさを区分する1単位幅毎に計測された快適度指標の発生時間を集計する発生時間集計手段と、評価対象空間における在室者からの室内環境に対するクレームデータを取得するクレームデータ取得手段と、快適度指標の1単位幅毎に取得されたクレームデータからクレーム数を集計するクレーム数集計手段と、快適度指標の1単位幅毎に集計された快適度指標の発生時間と集計されたクレーム数とからクレーム頻度を算出するクレーム頻度算出手段と、快適度指標の1単位幅毎に算出されたクレーム頻度を表示するクレーム頻度表示手段とを備えることを特徴とする。
【0011】
この発明によれば、例えば、快適度指標を温熱環境指標(PMV)とした場合、このPMVの大きさを区分する1単位幅(例えば、0.1)毎に、計測されたPMVの発生時間が集計される。また、評価対象空間における在室者からの室内環境に対するクレームデータが取得され、PMVの1単位幅毎にクレーム数が集計される。そして、PMVの1単位幅毎に集計されたPMVの発生時間とPMVの1単位幅毎に集計されたクレーム数とから、例えばクレーム数÷PMVの発生時間としてクレーム頻度が算出され、この算出されたクレーム頻度がPMVの1単位幅毎に表示される。このクレーム頻度は、単位時間あたりのクレーム数を示し、快適性を考慮しつつ省エネルギーを図るための的確な情報として提供される。これにより、PMVの発生時間が偏っていても、正確に快適性を評価させるようにすることが可能となる。
【0012】
本発明において、快適度を表すデータ(快適度指標)は、PMVに限られるものではなく、室内温度、不快指数、有効温度などとしてもよい。
また、本発明では、快適度指標の1単位幅毎にクレーム頻度を表示するが、このクレーム頻度に加えて快適度指標の発生時間を表示するようにしてもよい。
【0013】
また、本発明において、評価対象空間における在室者の人数を取得するようにし、快適度指標の1単位幅毎に集計された快適度指標の発生時間と快適度指標の1単位幅毎に集計されたクレーム数と取得された在室者の人数とから、例えばクレーム数÷PMVの発生時間÷在室人数として在室人数あたりのクレーム頻度を算出するようにしてもよい。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、快適度指標の1単位幅毎に快適度指標の発生時間を集計し、快適度指標の1単位幅毎にクレーム数を集計し、快適度指標の1単位幅毎に集計された快適度指標の発生時間と快適度指標の1単位幅毎に集計されたクレーム数とからクレーム頻度を算出し、この算出された快適度指標の1単位幅毎のクレーム頻度を表示するようにしたので、快適度指標の1単位幅毎のクレーム頻度が快適性を考慮しつつ省エネルギーを図るための的確な情報として提供され、PMVの発生時間が偏っていても、正確に快適性を評価させることが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】本発明に係る快適性評価支援装置の一実施の形態を含む空調制御システムを示す構成図である。
【図2】この空調制御システムにおける空調操作装置の機能ブロック図である。
【図3】この空調制御システムにおける空調操作装置が有する特有の機能を説明するためのフローチャートである。
【図4】PMVの1単位幅毎に集計されたPMVの発生時間をグラフ化して示す図である。
【図5】PMVの1単位幅毎に集計されたクレーム数をグラフ化して示す図である。
【図6】PMVの1単位幅毎のクレーム頻度およびPMVの発生時間の表示例を示す図である。
【図7】本発明に係る快適性評価支援装置の他の実施の形態を含む空調制御システムを示す構成図である。
【図8】この空調制御システムにおける空調操作装置の機能ブロック図である。
【図9】PMVの代わりに室内温度を用いた場合の図4に対応する図である。
【図10】PMVの代わりに室内温度を用いた場合の図5に対応する図である。
【図11】PMVの代わりに室内温度を用いた場合の図6に対応する図である。
【図12】PMVの1単位幅毎のクレーム数の割合をクレーム数に置き換えた場合の空調制御支援データの表示例(従来例)を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて詳細に説明する。
〔実施の形態1〕
図1はこの発明に係る快適性評価支援装置の一実施の形態を含む空調制御システムを示す構成図である。
【0017】
図1において、1は空調制御の対象空間(評価対象空間)、2はこの空調制御の対象空間(以下、単に制御対象空間と呼ぶ)1に対して設けられている空調機(図示せず)の動作を制御する空調操作装置、3−1〜3−6は制御対象空間1に設けられたユーザ端末、4は制御対象空間2のPMVを計測する快適度センサである。
【0018】
この空調制御システムにおいて、ユーザ端末3−1〜3−6は通信回線5を介して空調操作装置2と接続されており、快適度センサ4によって計測される制御対象空間1のPMVは空調操作装置2へ与えられるようになっている。
【0019】
また、ユーザ端末3−1〜3−6は、制御対象空間2に対する暑い/寒いのクレームデータの入力部を備え、この入力部からのクレームデータがそのクレームデータの発生時刻を付して空調操作装置2へ与えられるようになっている。
【0020】
また、空調操作装置2は、快適度センサ4からのPMVを制御対象空間2の快適度を表すデータ(快適度データ)として所定の周期で収集し、その収集したPMVを記憶するものとなっている。なお、この例において、PMVの収集周期は例えば1分とされている。
【0021】
図2に空調操作装置2の機能ブロック図を示す。この空調操作装置2は、プロセッサや記憶装置からなるハードウェアと、これらのハードウェアと協働して各種機能を実現させるプログラムとによって実現され、空調運転スケジュール取得部21と、快適度データ取得部22と、クレームデータ取得部23と、快適度の発生時間の集計部24と、クレーム数集計部25と、クレーム頻度算出部26と、クレーム頻度表示部27とを備えている。この空調操作装置2が本発明に係る快適性評価支援装置に相当する。なお、この実施の形態において、快適度センサ4は空調操作装置2の構成要素をなす。
【0022】
以下、図3に示すフローチャートに従って、空調操作装置2が有する本実施の形態特有の機能について説明する。
【0023】
空調操作装置2において、空調運転スケジュール取得部21は、1日に1回、立ち上がり時に、予め決められている当日の空調運転スケジュールを取得する(ステップS101)。例えば、制御対象空間1に対して設けられている空調機毎に、その空調機の運転スケジュール(7:00起動−17:00停止、7:15起動−17:10停止など)を取得し、取得した各空調機の運転スケジュールから当日の空調運転スケジュールを作成する。この当日の空調運転スケジュールで示される制御対象空間1における空調時間帯が評価対象時間帯となる。
【0024】
当日の空調運転スケジュールが開始されると(ステップS102のYES)、快適度データ取得部22は、快適度センサ4からのPMVを定周期で取得し始める(ステップS103)。この快適度データ取得部22によって取得されたPMVは快適度の発生時間集計部24へ送られる。快適度の発生時間集計部24は、PMVの1単位幅毎に、取得(計測)されたPMVの発生時間を集計する(ステップS104)。図4にPMVの1単位幅毎に集計されたPMVの発生時間をグラフ化して示す。この例では、PMVの1単位幅を0.1としている。
【0025】
この計測されたPMVの発生時間の集計中、クレームデータ取得部23がユーザ端末3−1〜3−6からのクレームデータを取得すると(ステップS105のYES)、このクレームデータはクレーム数集計部25に送られる。クレーム数集計部25は、PMVの1単位幅毎(0.1毎)に、取得されたクレームデータからクレーム数を集計する(ステップS106)。図5にPMVの1単位幅毎に集計されたクレーム数をグラフ化して示す。
【0026】
このクレーム数集計部25で集計されたPMVの1単位幅毎のクレーム数はクレーム頻度算出部26に送られる。クレーム頻度算出部26は、PMVの1単位幅毎のクレーム数が送られてくると、快適度の発生時間集計部24からのPMVの1単位幅毎のPMVの発生時間を取り込んで、クレーム頻度=クレーム数÷PMVの発生時間として、PMVの1単位幅毎のクレーム頻度を算出する(ステップS107)。
【0027】
クレーム頻度算出部26で算出されたPMVの1単位幅毎のクレーム頻度および快適度の発生時間集計部24で集計されたPMVの1単位幅毎のPMVの発生時間はクレーム頻度表示部27に送られる。クレーム頻度表示部27は、PMVを横軸として縦軸に、クレーム頻度算出部26からのクレーム頻度および快適度の発生時間集計部24からのPMVの発生時間を表示する(ステップS108)。図6にクレーム頻度およびPMVの発生時間のPMVの1単位幅毎の表示例を示す。図中、棒線で示されるグラフがクレーム頻度を示し、折れ線で示されるグラフがPMVの発生時間を示す。
【0028】
空調操作装置2は、空調運転スケジュールが終了するまで(ステップS109のYES)、すなわち空調時間帯(評価対象時間帯)が終了するまで、ステップS103〜S108の処理動作を繰り返す。これにより、ユーザ端末3−1〜3−6からのクレームデータを取得する毎に、リアルタイムでPMVの1単位幅毎のクレーム頻度が算出され、この算出されたクレーム頻度とPMVの発生時間がグラフ化されて表示されるものとなる。
【0029】
このようにして、本実施の形態では、快適性を考慮しつつ省エネルギーを図るための情報として、クレーム頻度(クレーム数÷PMVの発生時間)がPMVの1単位幅毎に表示されるものとなる。このクレーム頻度は、単位時間あたりのクレーム数を示し、快適性を考慮しつつ省エネルギーを図るための的確な情報として提供される。これにより、PMVの発生時間が偏っていても、正確に快適性を評価させるようにすることが可能となる。
【0030】
すなわち、図6に示されたクレーム頻度のグラフを参照すると、PMVが0.6(0.6±0.05の区間)の時がクレーム頻度が最も高く、PMVが0.1(0.1±0.05の区間)の時がクレーム頻度が最も低いことが分かる。これにより、クレーム頻度が多いPMVを避けるようにして、快適性を考慮しつつ省エネルギーを図ることが可能なPMVを定めることにより、クレームが発生し易いPMVをPMVの目標値として設定してしまうということがなくなる。例えば、図5に示したクレーム数に従えば、PMV=0.6をPMVの目標値として設定してしまうことがあるが、図6に示したクレーム頻度に従えば、PMV=0.6をPMVの目標値として設定してしまうことはない。
【0031】
〔実施の形態2〕
図7にこの発明に係る快適性評価支援装置の他の実施の形態を含む空調制御システムの構成図を示す。この空調制御システムでは、制御対象空間1に対して、この制御対象空間1への人の入室および退室を管理する入退室管理装置6が設けられている。そして、この入退室管理装置6から空調操作装置2へ、制御対象空間1への入退室の情報(入室時刻、退室時刻などの情報)が送られるようになっている。
【0032】
また、空調操作装置2は、図8にその機能ブロック図を示すように、入退室管理装置6からの入退室の情報を入力とし、制御対象空間1における刻々の在室者の人数を取得する在室者数取得部28が設けられている。この在室者数取得部28で取得された刻々の在室者の人数はクレーム頻度算出部26に送られる。
【0033】
この空調制御システムにおいて、空調操作装置2におけるクレーム頻度算出部26は、クレーム数集計部25からのPMVの1単位幅毎のクレーム数と、快適度の発生時間集計部24からのPMVの1単位幅毎の発生時間と、在室者数取得部28からの制御対象空間1における刻々の在室者の人数とから、クレーム頻度=クレーム数÷PMVの発生時間÷在室人数として、PMVの1単位幅毎の在室人数あたりのクレーム頻度を算出する。
【0034】
クレーム頻度算出部26で算出されたPMVの1単位幅毎の在室人数あたりのクレーム頻度および快適度の発生時間集計部24で集計されたPMVの1単位幅毎のPMVの発生時間はクレーム頻度表示部27に送られる。クレーム頻度表示部27は、PMVを横軸として縦軸に、クレーム頻度算出部26からの在室人数あたりのクレーム頻度および快適度の発生時間集計部24からのPMVの発生時間を表示する。
【0035】
この場合のPMVの1単位幅毎の在室人数は、その1単位幅毎のPMVの発生時間における在室者の人数の平均値などとする。これにより、1単位幅毎のPMVの発生時間が在室者の人数で重み付けされるものとなり、高い精度で快適性を判断することが可能となる。
【0036】
なお、この実施の形態2では、入退室管理装置6からの入退室の情報から制御対象空間1における在室者の人数を取得するようにしたが、就労時間より在室者の人数を推定したり、個人が有するパーソナルコンピュータのログイン人数より在室者の人数を推測したり、機器(照明、空調機、VAV(可変風量調整装置)など)の運転台数より在室者の人数を推定するなどしてもよい。
【0037】
また、上述した実施の形態1,2では、制御対象空間2の快適度を表すデータとしてPMVを用いるようにしたが、PMVの代わりに室内温度、不快指数、有効温度などを用いるようにしてもよい。なお、有効温度(effective temperature)とは、温熱4要素のうち、放射熱を除く「気温」「湿度」「風速」で快適さを表す指標である。また、本発明でいう有効温度には、修正有効温度も含まれるものとする、また、本発明でいう不快指数の概念には、湿度も含まれるものとする。
【0038】
PMVの代わりに室内温度を用いた場合の図4〜図6に対応する図を図9〜図11に示す。この場合、図11に示されるように、室内温度を横軸として縦軸に、室内温度の1単位幅毎のクレーム頻度および室内温度の発生時間が表示される。なお、この例では、室内温度の1単位幅を0.5℃としている。
【0039】
また、上述した実施の形態1では、PMVの1単位幅毎のクレーム頻度に加えてPMVの発生時間を表示するようにしたが、PMVの1単位幅毎のクレーム頻度のみを表示するようにしてもよい。実施の形態2でも同様であり、PMVの1単位幅毎の在室人数あたりのクレーム頻度のみを表示するようにしてもよい。
【0040】
また、上述した実施の形態1,2において、クレーム頻度を表示する場合、クレーム種別として「暑い」/「寒い」を区別して表示したり、クレームの程度として「とても暑い」/「すこし暑い」などを区別して表示するようにしてもよい。
【0041】
例えば、「暑い」/「寒い」を区別して表示する場合、「暑い」を赤色表示し、「寒い」を青色で表示したりする。これにより、室内温度を快適度を表すデータとする場合、不快を感じる在室者が最小人数となる室内温度を管理者が判断することが可能となる。
【0042】
また、「とても暑い」/「すこし暑い」などを表示する場合、その色の濃度を変えて表示したりする。これにより、室内温度を快適度を表すデータとする場合、在室者が許容できる室内温度を管理者が判断することが可能となる。例えば、省エネルギーが特に重要なら、「すこし暑い」程度の設定として、さらなる省エネルギー効果を出すことができる。
【0043】
〔実施の形態の拡張〕
以上、実施の形態を参照して本発明を説明したが、本発明は上記実施の形態に限定されるものではない。本発明の構成や詳細には、本発明の技術的範囲内で当業者が理解し得る様々な変更をすることができる。
【符号の説明】
【0044】
1…空調制御の対象空間(評価対象空間)、2…空調操作装置(快適性評価支援装置)、3−1〜3−6…ユーザ端末、4…快適度センサ、5…通信回線、6…入退室管理装置、21…空調運転スケジュール取得部、22…快適度データ取得部、23…クレームデータ取得部、24…クレーム数集計部、26…クレーム頻度算出部、27…クレーム頻度表示部、28…在室者数取得部。
【技術分野】
【0001】
この発明は、オフィスビルや工場などの空調制御の対象空間を評価対象空間とし、その評価対象空間の快適性の評価を支援する快適性評価支援装置および方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来より、オフィスビルや工場などにおける空調制御の対象空間においては、できるだけ少ないエネルギー消費で快適な室内環境を確保することが求められている。
【0003】
しかし、省エネルギーと快適な室内環境の確保とはトレードオフの関係にあり、省エネルギーを優先させると室内環境が悪化して在室者からの暑い/寒いのクレームが多くなり、室内環境を向上させて在室者からのクレームを少なくさせると使用エネルギーが増加してしまう、という事態が生じてしまう。
【0004】
そこで、例えば特許文献1では、在室者からの室内環境に対するクレームデータを取得し、クレーム発生時点での空調制御の対象空間の快適度を表すデータとしてPMV(Predicted Mean Vote)を演算し、PMVの大きさを区分する1単位幅毎にクレーム数の割合を求め、空調制御支援データとして表示するようにしている。これにより、快適性を考慮しつつ、省エネルギーを図ることが可能なPMVを定めて、PMVの目標値として設定することが可能となる。
【0005】
なお、PMVとは室内環境の快適度を示す指標(快適度指標)の1つであって、温熱環境指標と呼ばれている。このPMVは、ファンガー(Fanger)氏によって提案されたもので、同氏により発表された快適方程式により、快適度を7段階(+3:暑い、+2:暖かい、+1:やや暖かい、0:どちらでもない、−1:やや涼しい、−2:涼しい、−3:寒い)で表現したものである。このPMVの値が0の時が快適となる。
【0006】
図12にPMVの大きさを区分する1単位幅を0.1とし、1単位幅毎のクレーム数の割合をクレーム数に置き換えた場合の空調制御支援データの表示例を示す。この例では、0.1〜0.7の範囲のPMVに対し、1単位幅(0.1)毎にクレーム数が集計され、そのクレーム数が空調制御支援データとして表示されている。この空調制御支援データから、PMVが0.3〜0.5の時がクレーム数が多く、このクレーム数が多いPMVの区間を避けて、快適性を考慮しつつ省エネルギーを図ることが可能なPMVを定め、PMVの目標値として設定すればよいことが分かる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2009−109033号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、空調制御の対象空間において、クレーム数は空調時間に従って増減するので、発生時間が多いPMVにクレームが集中し、PMVの目標値の判断を妨げてしまうという問題があった。すなわち、発生時間が少ないPMVであってもその単位時間当たりのクレーム数が多ければ、そのPMVが最もクレームが発生し易いPMVとなるにも拘わらず、集計されたクレーム数が少ないためにそのPMVが目標値として設定されてしまう虞がある。
【0009】
本発明は、このような課題を解決するためになされたもので、その目的とするところは、PMVなどの快適度指標の発生時間が偏っていても、快適性を考慮しつつ省エネルギーを図るための的確な情報を提供することが可能な快適性評価支援装置および方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
このような目的を達成するために本発明は、評価対象空間の快適度を表すデータを快適度指標として計測する快適度指標計測手段と、快適度指標の大きさを区分する1単位幅毎に計測された快適度指標の発生時間を集計する発生時間集計手段と、評価対象空間における在室者からの室内環境に対するクレームデータを取得するクレームデータ取得手段と、快適度指標の1単位幅毎に取得されたクレームデータからクレーム数を集計するクレーム数集計手段と、快適度指標の1単位幅毎に集計された快適度指標の発生時間と集計されたクレーム数とからクレーム頻度を算出するクレーム頻度算出手段と、快適度指標の1単位幅毎に算出されたクレーム頻度を表示するクレーム頻度表示手段とを備えることを特徴とする。
【0011】
この発明によれば、例えば、快適度指標を温熱環境指標(PMV)とした場合、このPMVの大きさを区分する1単位幅(例えば、0.1)毎に、計測されたPMVの発生時間が集計される。また、評価対象空間における在室者からの室内環境に対するクレームデータが取得され、PMVの1単位幅毎にクレーム数が集計される。そして、PMVの1単位幅毎に集計されたPMVの発生時間とPMVの1単位幅毎に集計されたクレーム数とから、例えばクレーム数÷PMVの発生時間としてクレーム頻度が算出され、この算出されたクレーム頻度がPMVの1単位幅毎に表示される。このクレーム頻度は、単位時間あたりのクレーム数を示し、快適性を考慮しつつ省エネルギーを図るための的確な情報として提供される。これにより、PMVの発生時間が偏っていても、正確に快適性を評価させるようにすることが可能となる。
【0012】
本発明において、快適度を表すデータ(快適度指標)は、PMVに限られるものではなく、室内温度、不快指数、有効温度などとしてもよい。
また、本発明では、快適度指標の1単位幅毎にクレーム頻度を表示するが、このクレーム頻度に加えて快適度指標の発生時間を表示するようにしてもよい。
【0013】
また、本発明において、評価対象空間における在室者の人数を取得するようにし、快適度指標の1単位幅毎に集計された快適度指標の発生時間と快適度指標の1単位幅毎に集計されたクレーム数と取得された在室者の人数とから、例えばクレーム数÷PMVの発生時間÷在室人数として在室人数あたりのクレーム頻度を算出するようにしてもよい。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、快適度指標の1単位幅毎に快適度指標の発生時間を集計し、快適度指標の1単位幅毎にクレーム数を集計し、快適度指標の1単位幅毎に集計された快適度指標の発生時間と快適度指標の1単位幅毎に集計されたクレーム数とからクレーム頻度を算出し、この算出された快適度指標の1単位幅毎のクレーム頻度を表示するようにしたので、快適度指標の1単位幅毎のクレーム頻度が快適性を考慮しつつ省エネルギーを図るための的確な情報として提供され、PMVの発生時間が偏っていても、正確に快適性を評価させることが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】本発明に係る快適性評価支援装置の一実施の形態を含む空調制御システムを示す構成図である。
【図2】この空調制御システムにおける空調操作装置の機能ブロック図である。
【図3】この空調制御システムにおける空調操作装置が有する特有の機能を説明するためのフローチャートである。
【図4】PMVの1単位幅毎に集計されたPMVの発生時間をグラフ化して示す図である。
【図5】PMVの1単位幅毎に集計されたクレーム数をグラフ化して示す図である。
【図6】PMVの1単位幅毎のクレーム頻度およびPMVの発生時間の表示例を示す図である。
【図7】本発明に係る快適性評価支援装置の他の実施の形態を含む空調制御システムを示す構成図である。
【図8】この空調制御システムにおける空調操作装置の機能ブロック図である。
【図9】PMVの代わりに室内温度を用いた場合の図4に対応する図である。
【図10】PMVの代わりに室内温度を用いた場合の図5に対応する図である。
【図11】PMVの代わりに室内温度を用いた場合の図6に対応する図である。
【図12】PMVの1単位幅毎のクレーム数の割合をクレーム数に置き換えた場合の空調制御支援データの表示例(従来例)を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて詳細に説明する。
〔実施の形態1〕
図1はこの発明に係る快適性評価支援装置の一実施の形態を含む空調制御システムを示す構成図である。
【0017】
図1において、1は空調制御の対象空間(評価対象空間)、2はこの空調制御の対象空間(以下、単に制御対象空間と呼ぶ)1に対して設けられている空調機(図示せず)の動作を制御する空調操作装置、3−1〜3−6は制御対象空間1に設けられたユーザ端末、4は制御対象空間2のPMVを計測する快適度センサである。
【0018】
この空調制御システムにおいて、ユーザ端末3−1〜3−6は通信回線5を介して空調操作装置2と接続されており、快適度センサ4によって計測される制御対象空間1のPMVは空調操作装置2へ与えられるようになっている。
【0019】
また、ユーザ端末3−1〜3−6は、制御対象空間2に対する暑い/寒いのクレームデータの入力部を備え、この入力部からのクレームデータがそのクレームデータの発生時刻を付して空調操作装置2へ与えられるようになっている。
【0020】
また、空調操作装置2は、快適度センサ4からのPMVを制御対象空間2の快適度を表すデータ(快適度データ)として所定の周期で収集し、その収集したPMVを記憶するものとなっている。なお、この例において、PMVの収集周期は例えば1分とされている。
【0021】
図2に空調操作装置2の機能ブロック図を示す。この空調操作装置2は、プロセッサや記憶装置からなるハードウェアと、これらのハードウェアと協働して各種機能を実現させるプログラムとによって実現され、空調運転スケジュール取得部21と、快適度データ取得部22と、クレームデータ取得部23と、快適度の発生時間の集計部24と、クレーム数集計部25と、クレーム頻度算出部26と、クレーム頻度表示部27とを備えている。この空調操作装置2が本発明に係る快適性評価支援装置に相当する。なお、この実施の形態において、快適度センサ4は空調操作装置2の構成要素をなす。
【0022】
以下、図3に示すフローチャートに従って、空調操作装置2が有する本実施の形態特有の機能について説明する。
【0023】
空調操作装置2において、空調運転スケジュール取得部21は、1日に1回、立ち上がり時に、予め決められている当日の空調運転スケジュールを取得する(ステップS101)。例えば、制御対象空間1に対して設けられている空調機毎に、その空調機の運転スケジュール(7:00起動−17:00停止、7:15起動−17:10停止など)を取得し、取得した各空調機の運転スケジュールから当日の空調運転スケジュールを作成する。この当日の空調運転スケジュールで示される制御対象空間1における空調時間帯が評価対象時間帯となる。
【0024】
当日の空調運転スケジュールが開始されると(ステップS102のYES)、快適度データ取得部22は、快適度センサ4からのPMVを定周期で取得し始める(ステップS103)。この快適度データ取得部22によって取得されたPMVは快適度の発生時間集計部24へ送られる。快適度の発生時間集計部24は、PMVの1単位幅毎に、取得(計測)されたPMVの発生時間を集計する(ステップS104)。図4にPMVの1単位幅毎に集計されたPMVの発生時間をグラフ化して示す。この例では、PMVの1単位幅を0.1としている。
【0025】
この計測されたPMVの発生時間の集計中、クレームデータ取得部23がユーザ端末3−1〜3−6からのクレームデータを取得すると(ステップS105のYES)、このクレームデータはクレーム数集計部25に送られる。クレーム数集計部25は、PMVの1単位幅毎(0.1毎)に、取得されたクレームデータからクレーム数を集計する(ステップS106)。図5にPMVの1単位幅毎に集計されたクレーム数をグラフ化して示す。
【0026】
このクレーム数集計部25で集計されたPMVの1単位幅毎のクレーム数はクレーム頻度算出部26に送られる。クレーム頻度算出部26は、PMVの1単位幅毎のクレーム数が送られてくると、快適度の発生時間集計部24からのPMVの1単位幅毎のPMVの発生時間を取り込んで、クレーム頻度=クレーム数÷PMVの発生時間として、PMVの1単位幅毎のクレーム頻度を算出する(ステップS107)。
【0027】
クレーム頻度算出部26で算出されたPMVの1単位幅毎のクレーム頻度および快適度の発生時間集計部24で集計されたPMVの1単位幅毎のPMVの発生時間はクレーム頻度表示部27に送られる。クレーム頻度表示部27は、PMVを横軸として縦軸に、クレーム頻度算出部26からのクレーム頻度および快適度の発生時間集計部24からのPMVの発生時間を表示する(ステップS108)。図6にクレーム頻度およびPMVの発生時間のPMVの1単位幅毎の表示例を示す。図中、棒線で示されるグラフがクレーム頻度を示し、折れ線で示されるグラフがPMVの発生時間を示す。
【0028】
空調操作装置2は、空調運転スケジュールが終了するまで(ステップS109のYES)、すなわち空調時間帯(評価対象時間帯)が終了するまで、ステップS103〜S108の処理動作を繰り返す。これにより、ユーザ端末3−1〜3−6からのクレームデータを取得する毎に、リアルタイムでPMVの1単位幅毎のクレーム頻度が算出され、この算出されたクレーム頻度とPMVの発生時間がグラフ化されて表示されるものとなる。
【0029】
このようにして、本実施の形態では、快適性を考慮しつつ省エネルギーを図るための情報として、クレーム頻度(クレーム数÷PMVの発生時間)がPMVの1単位幅毎に表示されるものとなる。このクレーム頻度は、単位時間あたりのクレーム数を示し、快適性を考慮しつつ省エネルギーを図るための的確な情報として提供される。これにより、PMVの発生時間が偏っていても、正確に快適性を評価させるようにすることが可能となる。
【0030】
すなわち、図6に示されたクレーム頻度のグラフを参照すると、PMVが0.6(0.6±0.05の区間)の時がクレーム頻度が最も高く、PMVが0.1(0.1±0.05の区間)の時がクレーム頻度が最も低いことが分かる。これにより、クレーム頻度が多いPMVを避けるようにして、快適性を考慮しつつ省エネルギーを図ることが可能なPMVを定めることにより、クレームが発生し易いPMVをPMVの目標値として設定してしまうということがなくなる。例えば、図5に示したクレーム数に従えば、PMV=0.6をPMVの目標値として設定してしまうことがあるが、図6に示したクレーム頻度に従えば、PMV=0.6をPMVの目標値として設定してしまうことはない。
【0031】
〔実施の形態2〕
図7にこの発明に係る快適性評価支援装置の他の実施の形態を含む空調制御システムの構成図を示す。この空調制御システムでは、制御対象空間1に対して、この制御対象空間1への人の入室および退室を管理する入退室管理装置6が設けられている。そして、この入退室管理装置6から空調操作装置2へ、制御対象空間1への入退室の情報(入室時刻、退室時刻などの情報)が送られるようになっている。
【0032】
また、空調操作装置2は、図8にその機能ブロック図を示すように、入退室管理装置6からの入退室の情報を入力とし、制御対象空間1における刻々の在室者の人数を取得する在室者数取得部28が設けられている。この在室者数取得部28で取得された刻々の在室者の人数はクレーム頻度算出部26に送られる。
【0033】
この空調制御システムにおいて、空調操作装置2におけるクレーム頻度算出部26は、クレーム数集計部25からのPMVの1単位幅毎のクレーム数と、快適度の発生時間集計部24からのPMVの1単位幅毎の発生時間と、在室者数取得部28からの制御対象空間1における刻々の在室者の人数とから、クレーム頻度=クレーム数÷PMVの発生時間÷在室人数として、PMVの1単位幅毎の在室人数あたりのクレーム頻度を算出する。
【0034】
クレーム頻度算出部26で算出されたPMVの1単位幅毎の在室人数あたりのクレーム頻度および快適度の発生時間集計部24で集計されたPMVの1単位幅毎のPMVの発生時間はクレーム頻度表示部27に送られる。クレーム頻度表示部27は、PMVを横軸として縦軸に、クレーム頻度算出部26からの在室人数あたりのクレーム頻度および快適度の発生時間集計部24からのPMVの発生時間を表示する。
【0035】
この場合のPMVの1単位幅毎の在室人数は、その1単位幅毎のPMVの発生時間における在室者の人数の平均値などとする。これにより、1単位幅毎のPMVの発生時間が在室者の人数で重み付けされるものとなり、高い精度で快適性を判断することが可能となる。
【0036】
なお、この実施の形態2では、入退室管理装置6からの入退室の情報から制御対象空間1における在室者の人数を取得するようにしたが、就労時間より在室者の人数を推定したり、個人が有するパーソナルコンピュータのログイン人数より在室者の人数を推測したり、機器(照明、空調機、VAV(可変風量調整装置)など)の運転台数より在室者の人数を推定するなどしてもよい。
【0037】
また、上述した実施の形態1,2では、制御対象空間2の快適度を表すデータとしてPMVを用いるようにしたが、PMVの代わりに室内温度、不快指数、有効温度などを用いるようにしてもよい。なお、有効温度(effective temperature)とは、温熱4要素のうち、放射熱を除く「気温」「湿度」「風速」で快適さを表す指標である。また、本発明でいう有効温度には、修正有効温度も含まれるものとする、また、本発明でいう不快指数の概念には、湿度も含まれるものとする。
【0038】
PMVの代わりに室内温度を用いた場合の図4〜図6に対応する図を図9〜図11に示す。この場合、図11に示されるように、室内温度を横軸として縦軸に、室内温度の1単位幅毎のクレーム頻度および室内温度の発生時間が表示される。なお、この例では、室内温度の1単位幅を0.5℃としている。
【0039】
また、上述した実施の形態1では、PMVの1単位幅毎のクレーム頻度に加えてPMVの発生時間を表示するようにしたが、PMVの1単位幅毎のクレーム頻度のみを表示するようにしてもよい。実施の形態2でも同様であり、PMVの1単位幅毎の在室人数あたりのクレーム頻度のみを表示するようにしてもよい。
【0040】
また、上述した実施の形態1,2において、クレーム頻度を表示する場合、クレーム種別として「暑い」/「寒い」を区別して表示したり、クレームの程度として「とても暑い」/「すこし暑い」などを区別して表示するようにしてもよい。
【0041】
例えば、「暑い」/「寒い」を区別して表示する場合、「暑い」を赤色表示し、「寒い」を青色で表示したりする。これにより、室内温度を快適度を表すデータとする場合、不快を感じる在室者が最小人数となる室内温度を管理者が判断することが可能となる。
【0042】
また、「とても暑い」/「すこし暑い」などを表示する場合、その色の濃度を変えて表示したりする。これにより、室内温度を快適度を表すデータとする場合、在室者が許容できる室内温度を管理者が判断することが可能となる。例えば、省エネルギーが特に重要なら、「すこし暑い」程度の設定として、さらなる省エネルギー効果を出すことができる。
【0043】
〔実施の形態の拡張〕
以上、実施の形態を参照して本発明を説明したが、本発明は上記実施の形態に限定されるものではない。本発明の構成や詳細には、本発明の技術的範囲内で当業者が理解し得る様々な変更をすることができる。
【符号の説明】
【0044】
1…空調制御の対象空間(評価対象空間)、2…空調操作装置(快適性評価支援装置)、3−1〜3−6…ユーザ端末、4…快適度センサ、5…通信回線、6…入退室管理装置、21…空調運転スケジュール取得部、22…快適度データ取得部、23…クレームデータ取得部、24…クレーム数集計部、26…クレーム頻度算出部、27…クレーム頻度表示部、28…在室者数取得部。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
評価対象空間の快適度を表すデータを快適度指標として計測する快適度指標計測手段と、
前記快適度指標の大きさを区分する1単位幅毎に前記計測された快適度指標の発生時間を集計する発生時間集計手段と、
前記評価対象空間における在室者からの室内環境に対するクレームデータを取得するクレームデータ取得手段と、
前記快適度指標の1単位幅毎に前記取得されたクレームデータからクレーム数を集計するクレーム数集計手段と、
前記快適度指標の1単位幅毎に前記集計された快適度指標の発生時間と前記集計されたクレーム数とからクレーム頻度を算出するクレーム頻度算出手段と、
前記快適度指標の1単位幅毎に前記算出されたクレーム頻度を表示するクレーム頻度表示手段と
を備えることを特徴とする快適性評価支援装置。
【請求項2】
請求項1に記載された快適性評価支援装置において、
前記クレーム頻度表示手段は、
前記快適度指標の1単位幅毎に前記算出されたクレーム頻度に加えて前記集計された快適度指標の発生時間を表示する
ことを特徴とする快適性評価支援装置。
【請求項3】
請求項1又は2に記載された快適性評価支援装置において、
前記評価対象空間における在室者の人数を取得する在室者数取得手段をさらに備え、
前記クレーム頻度算出手段は、
前記快適度指標の1単位幅毎に前記集計された快適度指標の発生時間と前記集計されたクレーム数と前記取得された在室者の人数とから在室人数あたりのクレーム頻度を算出する
ことを特徴とする快適性評価支援装置。
【請求項4】
請求項1〜3の何れか1項に記載された快適性評価支援装置において、
前記快適度を表すデータは、温熱環境指標(PMV)、室内温度、不快指数、有効温度のうちの何れかである
ことを特徴とする快適性評価支援装置。
【請求項5】
評価対象空間の快適度を表すデータを快適度指標として計測する快適度指標計測ステップと、
前記快適度指標の大きさを区分する1単位幅毎に前記計測された快適度指標の発生時間を集計する発生時間集計ステップと、
前記評価対象空間における在室者からの室内環境に対するクレームデータを取得するクレームデータ取得ステップと、
前記快適度指標の1単位幅毎に前記取得されたクレームデータからクレーム数を集計するクレーム数集計ステップと、
前記快適度指標の1単位幅毎に前記集計された快適度指標の発生時間と前記集計されたクレーム数とからクレーム頻度を算出するクレーム頻度算出ステップと、
前記快適度指標の1単位幅毎に前記算出されたクレーム頻度を表示するクレーム頻度表示ステップと
を備えることを特徴とする快適性評価支援方法。
【請求項6】
請求項5に記載された快適性評価支援方法において、
前記クレーム頻度表示ステップは、
前記快適度指標の1単位幅毎に前記算出されたクレーム頻度に加えて前記集計された快適度指標の発生時間を表示する
ことを特徴とする快適性評価支援方法。
【請求項7】
請求項5又は6に記載された快適性評価支援方法において、
前記評価対象空間における在室者の人数を取得する在室者数取得ステップをさらに備え、
前記クレーム頻度算出ステップは、
前記快適度指標の1単位幅毎に前記集計された快適度指標の発生時間と前記集計されたクレーム数と前記取得された在室者の人数とから在室人数あたりのクレーム頻度を算出する
ことを特徴とする快適性評価支援方法。
【請求項8】
請求項5〜7の何れか1項に記載された快適性評価支援方法において、
前記快適度を表すデータは、温熱環境指標(PMV)、室内温度、不快指数、有効温度のうちの何れかである
ことを特徴とする快適性評価支援方法。
【請求項1】
評価対象空間の快適度を表すデータを快適度指標として計測する快適度指標計測手段と、
前記快適度指標の大きさを区分する1単位幅毎に前記計測された快適度指標の発生時間を集計する発生時間集計手段と、
前記評価対象空間における在室者からの室内環境に対するクレームデータを取得するクレームデータ取得手段と、
前記快適度指標の1単位幅毎に前記取得されたクレームデータからクレーム数を集計するクレーム数集計手段と、
前記快適度指標の1単位幅毎に前記集計された快適度指標の発生時間と前記集計されたクレーム数とからクレーム頻度を算出するクレーム頻度算出手段と、
前記快適度指標の1単位幅毎に前記算出されたクレーム頻度を表示するクレーム頻度表示手段と
を備えることを特徴とする快適性評価支援装置。
【請求項2】
請求項1に記載された快適性評価支援装置において、
前記クレーム頻度表示手段は、
前記快適度指標の1単位幅毎に前記算出されたクレーム頻度に加えて前記集計された快適度指標の発生時間を表示する
ことを特徴とする快適性評価支援装置。
【請求項3】
請求項1又は2に記載された快適性評価支援装置において、
前記評価対象空間における在室者の人数を取得する在室者数取得手段をさらに備え、
前記クレーム頻度算出手段は、
前記快適度指標の1単位幅毎に前記集計された快適度指標の発生時間と前記集計されたクレーム数と前記取得された在室者の人数とから在室人数あたりのクレーム頻度を算出する
ことを特徴とする快適性評価支援装置。
【請求項4】
請求項1〜3の何れか1項に記載された快適性評価支援装置において、
前記快適度を表すデータは、温熱環境指標(PMV)、室内温度、不快指数、有効温度のうちの何れかである
ことを特徴とする快適性評価支援装置。
【請求項5】
評価対象空間の快適度を表すデータを快適度指標として計測する快適度指標計測ステップと、
前記快適度指標の大きさを区分する1単位幅毎に前記計測された快適度指標の発生時間を集計する発生時間集計ステップと、
前記評価対象空間における在室者からの室内環境に対するクレームデータを取得するクレームデータ取得ステップと、
前記快適度指標の1単位幅毎に前記取得されたクレームデータからクレーム数を集計するクレーム数集計ステップと、
前記快適度指標の1単位幅毎に前記集計された快適度指標の発生時間と前記集計されたクレーム数とからクレーム頻度を算出するクレーム頻度算出ステップと、
前記快適度指標の1単位幅毎に前記算出されたクレーム頻度を表示するクレーム頻度表示ステップと
を備えることを特徴とする快適性評価支援方法。
【請求項6】
請求項5に記載された快適性評価支援方法において、
前記クレーム頻度表示ステップは、
前記快適度指標の1単位幅毎に前記算出されたクレーム頻度に加えて前記集計された快適度指標の発生時間を表示する
ことを特徴とする快適性評価支援方法。
【請求項7】
請求項5又は6に記載された快適性評価支援方法において、
前記評価対象空間における在室者の人数を取得する在室者数取得ステップをさらに備え、
前記クレーム頻度算出ステップは、
前記快適度指標の1単位幅毎に前記集計された快適度指標の発生時間と前記集計されたクレーム数と前記取得された在室者の人数とから在室人数あたりのクレーム頻度を算出する
ことを特徴とする快適性評価支援方法。
【請求項8】
請求項5〜7の何れか1項に記載された快適性評価支援方法において、
前記快適度を表すデータは、温熱環境指標(PMV)、室内温度、不快指数、有効温度のうちの何れかである
ことを特徴とする快適性評価支援方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【公開番号】特開2013−100962(P2013−100962A)
【公開日】平成25年5月23日(2013.5.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−245500(P2011−245500)
【出願日】平成23年11月9日(2011.11.9)
【出願人】(000006666)アズビル株式会社 (1,808)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成25年5月23日(2013.5.23)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年11月9日(2011.11.9)
【出願人】(000006666)アズビル株式会社 (1,808)
【Fターム(参考)】
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